JPH097221A - 光情報記録媒体及び光情報の記録、消去方法 - Google Patents

光情報記録媒体及び光情報の記録、消去方法

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JPH097221A
JPH097221A JP7174343A JP17434395A JPH097221A JP H097221 A JPH097221 A JP H097221A JP 7174343 A JP7174343 A JP 7174343A JP 17434395 A JP17434395 A JP 17434395A JP H097221 A JPH097221 A JP H097221A
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group
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recording
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JP7174343A
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Noboru Sasa
登 笹
Tsutomu Sato
勉 佐藤
Tatsuya Tomura
辰也 戸村
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 通常の光ディスクと同一の極性で記録が可能
であり(互換性のある)、記録コントラストが大きく、
且つ消去比が高い可逆光情報記録媒体及び光情報の記
録、消去方法を提供する。 【構成】 前記一般式(I)で示される特定のフタロシ
アニン化合物と、該フタロシアニン化合物と相溶性のあ
る熱可塑性高分子化合物、あるいは該フタロシアニン化
合物と相溶性があり、光又は熱エネルギーにより電子的
又は構造的変化を可逆的に生じる高分子化合物〔好まし
くは前記一般式(II)で示される化合物〕とを主成分
とする記録層を設けた記録媒体、並びに少なくとも基板
/上記記録層/反射層/保護層又は少なくとも基板/上
記記録層で構成される媒体に書き込み及び消去を行なう
光情報の記録、消去方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は書換え型の光情報記録媒
体に関し、詳しくは高分子化合物と特定のフタロシアニ
ン化合物との混合物からなる記録材料を使用した光情報
記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、書換え型の光情報記録媒体の記録
層には、一般に無機材料が用いられ、例えば、カー効果
を利用したTeFeCo等の合金からなる光磁気記録材
料や、カルコゲナイド薄膜により相変化を利用した相変
化型光記録材料などがある。これら無機系材料は有害物
質を多く含んでおり、また、その成膜方法が蒸着やスパ
ッタリングなどに限定されるためコスト高になるという
デメリットを有していることから有機系材料が注目され
ている。
【0003】有機系の書換え型材料としては、スピロピ
ラン等のフォトクロミック化合物(特開昭59−227
972号公報)や液晶高分子と色素との混合物(特開平
2−136289号公報)などが提案されている。しか
しながら、スピロピラン等のフォトクロミック化合物
は、記録状態の安定性や記録、消去の繰返し性、読み出
し破壊等の問題があり、実用的には未だ未解決の課題が
多い。一方、液晶高分子と色素の混合物系材料の可逆変
化メカニズムは、液晶高分子の側鎖の配例状態が変化す
ることで液晶高分子と色素間の相互作用が変化し、結果
として記録層の光学特性を可逆的に変化させるものであ
る。その他書換え型の記録材料として特開平4−339
865号公報など種々のものが提案されているが、有機
系の材料として実用的に十分なものは未だなく新規な材
料が待たれている。
【0004】更に、特開平6−223374号公報で
は、光透過性の基板と光照射によって会合状態を生じる
色素材料を含有する記録膜が提案されているが、該明細
書中に書換えの記載がなく、また記録モードが光照射を
受けた部分の反射率が大きくなるいわゆるLow to
high記録である。特開平6−251417号公報
では、フタロシアニンポリマーを用いることで、良好な
記録を実現しているが、同様に該明細書中にも書換えの
記載がなく、また記録モードがLow to high
記録で通常の光ディスクとは極性が逆である。
【0005】また、特開平6−251418号公報で
は、特定のフタロシアニンと融点が140〜250℃の
範囲にある有機化合物との混合膜により、記録、消去を
達成している。しかし、この場合もLow to hi
gh記録で通常の光ディスクとは極性が逆であり、また
変化レベルが42%→56%とあまり大きくない。ま
た、これらの記録材料は、全てLow to high
記録で、未記録状態で60%以上の反射率が必要なCD
タイプのメディアとしては適用できない。更に、特開平
6−279597号公報では、ポリアクリレート系樹脂
とフタロシアニン化合物を含有してなる近赤外線吸収フ
ィルムが提案されているが、明細書中に書換えの記載が
なく、耐光性改善のための方法が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みてなされたもので、いわゆるhigh to lo
wの通常の光ディスクと同一の極性で記録が可能であり
(互換性がある)、記録コントラストが大きく、但つ消
去比が高い可逆光情報記録媒体を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、第一
に、下記一般式(I)で示される化合物においてR1
6のうち少なくとも1つがアルキル基からなるフタロ
シアニン化合物と、該フタロシアニン化合物と相溶性の
ある熱可塑性高分子化合物、あるいは該フタロシアニン
化合物と相溶性があり、光又は熱エネルギーにより電子
的又は構造的変化を可逆的に生じる高分子化合物とを主
成分とした記録層を有することを特徴とする光情報記録
媒体が提供される。
【化1】 (式中、R1〜R6、X1〜X4及びk〜nは、それぞれ以
下のものを示す。R1〜R6:それぞれ独立に水素原子、
置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換若
しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基又は−OR
7基、R7:水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪
族炭化水素基、置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化
水素基又はシリル基、X1〜X4:それぞれ独立に水素原
子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、
置換基を有しても良いアリール基、置換基を有しても良
いアルコキシ基、置換基を有しても良いアリールオキシ
基、置換基を有しても良いアルキルチオ基、置換基を有
しても良いアリールチオ基、ニトロ基、シアノ基、スル
ホン酸基、スルホン酸アミド基又はスルホン酸エステル
基、k、l、m、n:0〜4の整数。) 第二に、前記第一に記載した光情報記録媒体において、
前記フタロシアニン化合物が、前記一般式(I)におい
てR1〜R3及びR4〜R6のうちそれぞれの少なくとも1
つがアルキル基からなる化合物である光情報記録媒体が
提供される。第三に、前記第一に記載した光情報記録媒
体において、前記フタロシアン化合物が、前記一般式
(I)においてR1〜R6のうち少なくとも1つがn=3
以上のアルキル基からなる化合物である光情報記録媒体
が提供される。第四に、前記第一〜第三のいずれかに記
載した光情報記録媒体において、前記電子的又は構造的
変化を可逆的に生じる高分子化合物が、下記一般式(I
I)で示される化合物においてR8、R9の少なくとも1
つがアルキル基からなる化合物である光情報記録媒体が
提供される。
【化2】 (式中、R8、R9、X及びnはそれぞれ以下のものを示
す。R8、R9:水素原子又は置換基を有して良いアルキ
ル基、但し、これらは同一であっても良いが、両者同時
に水素原子となることはない、X:S原子、O原子、S
e原子又は>NR10基、R10:水素原子、アルキル基又
はアリール基、n:重合度。) 第五に、前記第一〜第三のいずれかに記載した光情報記
録媒体において、前記電子的又は構造的変化を可逆的に
生じる高分子化合物が、前記一般式(II)で示される
化合物においてR8、R9の少なくとも1つがアルキル基
からなり且つXが硫黄原子からなるポリチオフェン誘導
体である光情報記録媒体が提供される。第六に、前記第
一〜第三のいずれかに記載した光情報記録媒体におい
て、前記電子的又は構造的変化を可逆的に生じる高分子
化合物が、前記一般式(II)で示される化合物におい
てR8、R9の少なくとも1つがn=6以上のアルキル基
からなり且つXが硫黄原子からなるポリチオフェン誘導
体である光情報記録媒体が提供される。第七に、前記第
一〜第六のいずれかに記載した光情報記録媒体におい
て、少なくとも基板/前記記録層/反射層/保護層で構
成されていることを特徴とする光情報記録媒体が提供さ
れる。第八に、前記第一〜第六のいずれかに記載した光
情報記録媒体において、少なくとも基板/前記記録層で
構成されていることを特徴とする光情報記録媒体が提供
される。第九に、前記第七又は第八に記載した構成から
なる光情報記録媒体に、レーザー光で書き込みを行な
い、該書き込み光よりも弱いレーザー強度で一度書き込
まれた情報を消去することを特徴とする光情報の記録、
消去方法が提供される。
【0008】本発明の光情報記録媒体は、前記一般式
(I)で示される特定のフタロシアニン化合物と、該フ
タロシアニン化合物と相溶性のある熱可塑性高分子化合
物、あるいは該フタロシアニン化合物と相溶性があり、
光又は熱エネルギーにより電子的又は構造的変化を可逆
的に生じる高分子化合物〔好ましくは前記一般式(I
I)で示される化合物〕とを主成分とする記録層を設け
たことから、有機系材料で可逆変化が生じると共に、そ
の繰返し安定性、保存安定性も優れたものとなる。ま
た、反射層を有するCD系メディアと互換性を有する書
換え型CDを提供することが可能となる。この書換え型
CDでは、従来のCD系ドライブで情報を再生すること
が可能であり、高反射率、高記録コントラスト、高消去
比が達成される。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
おける可逆変化は、基本的には、色素分子と色素分子間
の相互作用力の変化、例えば色素分子の集合状態の変
化、色素の分散状態、結晶状態の可逆変化により、スペ
クトルの変化を起すものである。この可逆変化を促進し
安定性を増すために、フタロシアニン化合物と相溶性の
ある熱可塑性高分子化合物、あるいは該フタロシアニン
化合物と相溶性があり光又は熱エネルギーにより電子的
又は構造的変化を可逆的に生じる高分子化合物をブレン
ドする。熱可塑性高分子化合物は、初期の固定化された
状態と、軟化による色素分子の相互作用状態の変化の2
つの状態を生じさせ、可逆変化が生じる。他方、光又は
熱エネルギーにより電子的又は構造的変化を可逆的に生
じる高分子化合物は、上記の熱可塑性高分子化合物の作
用も有する場合もあるが、基本的に高分子化合物の状態
変化で色素分子の相互作用状態を変化させ、可逆変化が
生じるものである。すなわち、熱可塑性高分子化合物の
場合の可逆変化は、色素分子間の相互作用変化が主で、
高分子化合物はバインダー的役割をにない、光又は熱エ
ネルギーにより電子的又は構造的変化を可逆的に生じる
高分子化合物の場合の可逆変化は、色素分子間の相互作
用変化とともに色素分子と高分子間の相互作用変化が起
きることで生ずる。これらの高分子化合物は、可逆性を
良好にするための条件として、フタロシアニン化合物と
相溶性が良いことが必要である。すなわち、本発明の光
情報記録媒体は、上記の高分子化合物と色素を主成分と
した記録層を設けたものである。
【0010】本発明においては、上記色素として、下記
一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物であっ
て、しかもそのR1〜R6のうちの少なくとも1つ、又は
1〜R3とR4〜R6のうちそれぞれの少なくとも1つが
アルキル基である化合物が使用される。
【化1】
【0011】なお、R1〜R6、R1〜R3又はR4〜R3
少なくとも1つ含まれるアルキル基の具体例としては、
次のようなものが挙げられる。メチル基、エチル基、n
−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペン
チル基、ネオペンチル基、イソアミル基、2−メチルブ
チル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−
メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチル
ブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3
−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチ
ルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペン
チル基、n−オクチル基、2−メチルヘプチル基、3−
メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチル
ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシ
ル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等
の一級アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル
基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,
2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−
エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−
ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル
基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1
−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプ
ロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−エチ
ル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプ
ロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル
基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルぺンチ
ル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イ
ソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル
基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルヘキシル基、
1−イソブチル−3−メチルブチル基等の二級アルキル
基;tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、te
rt−アミル基、tert−オクチル基等の三級アルキ
ル基;シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル
基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチ
ルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シク
ロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、アダマン
タン基等のシクロアルキル基等。
【0012】前記一般式(I)中のR1〜R6において、
必要条件である上記アルキル基以外の置換基としては、
それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の
脂肪族炭化水素基、置換若しくは未置換の1価の芳香族
炭化水素基又は>OR7基を示す。(但し、R7は水素原
子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置
換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基又はシリル
基を示す。) また、前記一般式(I)中のX1〜X4は、それぞれ独立
に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアル
キル基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有
しても良いアルコキシ基、置換基を有しても良いアリー
ルオキシ基、置換基を有しても良いアルキルチオ基、置
換基を有しても良いアリールチオ基、ニトロ基、シアノ
基、スルホン酸基、スルホン酸アミド基又はスルホン酸
エステル基を示す。なおk、l、m、nは置換基X1
4の置換数で、0〜4の整数を示す。
【0013】また、本発明の光又は熱エネルギーにより
電子的又は構造的変化を可逆的に生じる高分子化合物と
しては、例えば主鎖あるいは側鎖に、O、N、S、P、
As、Se等の配位原子を含んだ配位基をもつ高分子化
合物、あるいは外部エネルギーに対して分子鎖の形態が
変化するような高分子化合物などが用いられる。外部エ
ネルギーが例えば光である場合、上述の分子鎖形態の変
化する高分子は光誘起分子鎖形態変化する光応答性高分
子ということができ、例えば以下のようなタイプのもの
が本発明に適する高分子化合物の1例として挙げること
ができる。 高分子の主鎖又は側鎖に含まれている光感応基間の
相互作用を光異性化により変化させる。 高分子主鎖に含まれている光感応基の構造を変化さ
せる。 光照射により高分子鎖に沿って電荷を可逆的に発生
させ、それらの静電反発を利用する。
【0014】本発明はこのように高分子化合物として、
色素と何らかの相互作用、例えば高分子化合物の配位基
と色素の配位結合、あるいはイオン間、双極子間の引
力、斥力等の静電的相互作用、電荷移動的相互作用、あ
るいは構造的な相互作用を示すものであれば特に制限は
ない。好ましい高分子化合物の例としては、下記一般式
(II)で示される化合物が挙げられる。
【化2】 上記一般式(II)中、R8及びR9は、水素原子又は置
換基を有して良いアルキル基を示す。但し、これらは同
一であっても良いが、両者同時に水素原子となることは
なく、少なくとも一方は置換基を有して良いアルキル基
である。また、XはS原子、O原子、Se原子又は>N
10基を示し、R10は水素原子、アルキル基又はアリー
ル基を示す。なお、nは重合度を示す。
【0015】前記一般式(II)で示される化合物の中
でも好ましいのは、Xが硫黄原子であるポリチオフェン
誘導体で、更に好ましいのがR8及びR9のうち1つが水
素原子で他方がアルキル基であるポリ(3−アルキルチ
オフェン)である。また、このポリ(3−アルキルチオ
フェン)の中でもフタロシアニン化合物との相溶性、有
機系溶媒への溶解度、融点等の関係からn=6以上のア
ルキル基が特に好ましい。
【0016】また、本発明のフタロシアニン化合物と相
溶性のある熱可塑性高分子化合物としては、アクリル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリア
ミド樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルエステル系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例え
ばポリ4−メチルペンテン等)、ポリエーテルスルホン
樹脂等が挙げられる。
【0017】なお、本発明の記録層においては、スペク
トル変化の度合、変化温度範囲、安定性等の観点から、
前記の高分子化合物とフタロシアニン化合物との他に、
第3の化合物を添加することもできる。この場合の添加
化合物としては、特に制限はないが、長鎖アルキル部位
をもつ有機化合物が好ましい。
【0018】なお、本発明の記録層においては、光エネ
ルギーの効率、波長整合性、色素の分子集合状態、分散
状態、結晶状態の変化促進のために、他の色素や金属、
金属化合物を添加しても良い。そのような色素として
は、例えばポリメチン色素、ナフタロシアニン系、フタ
ロシアニン系、スクアリリウム系、コロコニウム系、ピ
リリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン(インダ
ンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、
アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン
系、トリフェノチアジン系染料、及び金属錯体化合物な
どが挙げられ、また金属、金属化合物例としては、I
n、Te、Bi、In、Se、Sb、Ge、Sn、A
l、Be、TeO2、SnO、As、などが挙げられ、
それぞれを分散混合あるいは積層の形態で用いることが
できる。更には特性改良の目的で、安定剤(例えば遷移
金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面
活性剤、可塑剤などと一緒に用いることができる。
【0019】次に、本発明の記録媒体の構成について述
べる。図1は、本発明の記録媒体に適用し得る層構成例
(通常の追記型光ディスクの構造)を示す図で、基板1
の上に、必要に応じて下引き層3を介して、記録層2を
設け、更に必要に応じ保護層4が設けられる。また、必
要に応じて基板1の下にハードコート層を設けることが
できる。図2は、本発明の記録媒体に適用し得る別のタ
イプの層構成例(CD系メディアの構造)を示す図で、
図1の構成の記録層2の上に金属反射層6が設けられて
いる。なお、本発明の記録媒体は、図1及び図2に示し
た構成の記録層(有機薄膜層)を内側にして、他の基板
と空間を介して密封したエアーサンドイッチ構造にして
もよく、また保護層を介して接着した貼合せ構造にして
もよい。
【0020】次に、構成各層の必要特性及びその構成材
料について述べる。 1)基板 基板の必要特性としては、基板側より記録再生を行なう
場合には使用レーザー光に対して透明でなければならな
いが、記録層側から記録再生を行なう場合は透明である
必要はない。基板材料としては、例えばポリエステル、
アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポ
リオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リイミドなどのプラスチック、ガラス、セラミックある
いは金属などを用いることができる。なお、基板の表面
にトラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス
信号などのプレフォーマットが形成されていてもよい。
【0021】2)記録層 記録層はレーザー光の照射により色素の分子集合状態、
分散状態、結晶状態等による光学的変化を生じさせ、そ
の変化により情報を記録できるものであって、この記録
層中には前述したように前記高分子化合物と前記一般式
(I)で示されるフタロシアニン化合物が含有される。
記録層の形成は蒸着、スパッタリング、CVD又は溶剤
塗布などの通常の手段によって行なうことができる。塗
布法を用いる場合には、上記化合物などを有機溶剤に溶
解して、スプレー、ローラー塗布、ディッピング又はス
ピナー塗布などの慣用の塗布方法で行なう。有機溶剤と
しては、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノ
ールなどアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの
アミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド
類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエー
テル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、ク
ロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭
素、トリクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭素類、
ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼンなどの芳香族類、あるいはメトキシエタノール、
エトキシエタノールなどのセルソルブ類、ヘキサン、ペ
ンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの
炭化水素類などを用いることができる。記録層の膜厚
は、100Å〜10μm、好ましくは200Å〜200
0Åが適当である。
【0022】3)下引き層 下引き層は、(a)接着性の向上、(b)水又はガスな
どに対するバリヤー、(c)記録層の保存安定性の向
上、(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板の保
護、(f)案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形
成などを目的として使用される。(a)の目的に対して
は高分子、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド、ビニ
ル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴ
ムなどの種々の高分子物質及びシランカップリング剤な
どを用いることができ、(b)及び(c)の目的に対し
ては、上記高分子材料以外に無機化合物、例えばSiO
2、MgF2、SiO、TiO2、ZnO、TiN、Si
N、及びZn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、
Ag、Alなどの金属又は半金属などを用いることがで
きる。また、(b)の目的に対しては、金属、例えばA
l、Agなどや、金属光沢を有する有機薄膜、例えばメ
チン染料、キサンテン系染料などを用いることができ、
(e)及び(f)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、
熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
下引き層の膜厚は0.01〜30μm、好ましくは0.
05〜10μmが適当である。
【0023】4)金属反射層 金属反射層は単体で高反射率の得られる腐食されにくい
金属、半金属などが使用できる。具体的材料としては、
Au、Ag、Cu、Al、Cr、Niなどが挙げられ、
好ましくはAu、Alがよい。これらの金属、半金属は
単独で使用してもよく、2種以上の合金としてもよい。
膜形成法としては蒸着、スパッタリングなどが挙げら
れ、膜厚としては50〜3000Å、好ましくは100
〜1000Åである。
【0024】5)保護層、基板表面ハードコート層 保護層又は基板表面ハードコート層は、(a)記録層を
傷、埃、汚れなどから保護する、(b)記録層の保存安
定性の向上、(c)反射率の向上などを目的として使用
される。これらの目的に対しては、前記の下引き層に示
した材料を用いることができる。また、無機材料として
SiO、SiO2なども用いることもでき、有機材料と
してアクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、
ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロ
ース、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、天然
ゴム、スチレン−ブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、
ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジンなどの熱軟
化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。上記材料の
うち保護層又は基板表面ハードコート層に最も好ましい
ものは、生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。保護層
又は基板表面ハードコート層の膜厚は0.01〜30μ
m、好ましくは0.05〜10μmが適当である。本発
明において、前記の下引き層、保護層及び基板表面ハー
ドコート層には記録層の場合と同様に、安定剤、分散
剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤な
どを含有させることができる。
【0025】
【実施例】以下実施例について本発明を説明するが、本
発明これらに限定されるものではない。
【0026】実施例1 ポリ(3−ドデシルチオフェン)とビス(トリ−n−ヘ
キシルシロキシ)シリコンフタロシアニンをトルエンに
対して6:1の重量比で混合溶液を調製し、この溶液を
用いて石英基板上にスピンコートにより記録層を形成さ
せた。更にこの記録層上にAu層をスパッタにより形成
させた。このサンプルをオーブンで150℃、10分の
条件で加熱した後、室温で徐冷処理した。この時の反射
スペクトルは図3の実線にて示される。次いで、このサ
ンプルをオーブンで200℃、10分の条件で加熱した
後、氷水にて急冷処理を行なった。この時の反射スペク
トルは図3の破線で示される。この結果から約700n
m付近の反射率が急冷処理、すなわち記録動作によって
60%から30%に減少することがわかった。更に、こ
のサンプルを150℃、10分間の条件で加熱した後、
室温で徐冷処理したところ、反射スペクトルが図3の一
点破線のようになった。このことから徐冷処理、すなわ
ち消去動作で記録部が消去できたことを示し、通常の光
ディスクと同一のhigh to Lowの極性をもつ
高コントラスト、高消去比を有する。しかも、未記録部
の反射率が60%以上となる可逆CD系メディアが達成
されることが明らかとなった。
【0027】更に、このサンプルで記録、消去を繰り返
したところ、図4に示すような結果が得られ、繰返し安
定性も良好であることがわかった。また、記録状態のサ
ンプルを100℃、1時間の処理を行なっても、反射率
にほとんど変化を生じなかったことから、高耐光性を有
する光情報記録媒体が提供できることが判明した。
【0028】実施例2 実施例1で用いたビス(トリ−n−ヘキシルシロキシ)
シリコンフタロシアニンにかえて、ビス(トリ−n−ブ
チルシロキシ)シリコンフタロシアニンを用いたこと以
外は、実施例1と同様な実験を行なった。この結果、実
施例1と同様な可逆性が観測され、62%から46%の
反射率変化が得られた。
【0029】実施例3 実施例1において、ポリ(3−ドデシルチオフェン)に
かえて、ポリ〔(2−プロピル−1,3−ジオキサン−
4,6ジイル)メチレン〕を用いたこと以外は、実施例
1と同様な実験を行なった。この結果も実施例1と同
様、反射率65%と47%の可逆変化が確認できた。
【0030】実施例4 実施例1において、ビス(トリ−n−ヘキシルシロキ
シ)シリコンフタロシアニンにかえて、下記一般式(I
II)で示されるフタロシアニンを用いたこと以外は、
実施例1と同様な実験を行なった。この結果は図5に示
すように、波長約680nmにおいて反射率が60%→
42%の可逆変化が確認できた。なお、図5において、
実線は未記録及び消去動作時を示し、破線は記録動作時
を示す。
【化3】
【0031】実施例5 実施例4において、ポリ(3−ドデシルチオフェン)に
かえて、ポリスチレンを用いたこと以外は、実施例4と
同様な実験を行なった。この結果はほぼ図5と同様で、
波長約680nmにおいて反射率が64%→43%の可
逆変化が確認できた。
【0032】
【発明の効果】本発明の光情報記録媒体は、前記一般式
(I)で示される特定のフタロシアニン化合物と、該フ
タロシアニン化合物と相溶性のある熱可塑性高分子化合
物、あるいは該フタロシアニン化合物と相溶性があり、
光又は熱エネルギーにより電子的又は構造的変化を可逆
的に生じる高分子化合物〔好ましくは前記一般式(I
I)で示される化合物〕とを主成分とする記録層を有す
ることから、有機系材料で可逆変化が生じると共に、そ
の繰返し安定性、保存安定性も優れた媒体を提供でき
る。また、本記録媒体によると、反射層を有するCD系
メディアと互換性を有するいわゆる書換え型CDを提供
することが可能となる。この書換え型CDでは、従来の
CD系ドライブで情報を再生することが可能であり、高
反射率、高記録コントラスト、高消去比が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報記録媒体に適用し得る層構成例
を示す図である。
【図2】本発明の光情報記録媒体に適用し得る他のタイ
プの層構成例を示す図である。
【図3】実施例1で得られた記録媒体の反射スペクトル
である。
【図4】実施例1で得られた記録媒体の記録、消去を繰
り返した際の反射率の変動状態を示すグラフである。
【図5】実施例4で得られた記録媒体の反射スペクトル
である。
【符号の説明】
1 基板 2 記録層(有機色素層) 3 下引き層 4 保護層 5 ハードコート層 6 金属反射層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示される化合物にお
    いてR1〜R6のうち少なくとも1つがアルキル基からな
    るフタロシアニン化合物と、該フタロシアニン化合物と
    相溶性のある熱可塑性高分子化合物、あるいは該フタロ
    シアニン化合物と相溶性があり、光又は熱エネルギーに
    より電子的又は構造的変化を可逆的に生じる高分子化合
    物とを主成分とした記録層を有することを特徴とする光
    情報記録媒体。 【化1】 (式中、R1〜R6、X1〜X4及びk〜nは、それぞれ以
    下のものを示す。 R1〜R6:それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置
    換の1価の脂肪族炭化水素基、置換若しくは未置換の1
    価の芳香族炭化水素基又は−OR7基、 R7:水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭
    化水素基、置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素
    基又はシリル基、 X1〜X4:それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置
    換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良い
    アリール基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換
    基を有しても良いアリールオキシ基、置換基を有しても
    良いアルキルチオ基、置換基を有しても良いアリールチ
    オ基、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基、スルホン酸
    アミド基又はスルホン酸エステル基、 k、l、m、n:0〜4の整数。)
  2. 【請求項2】 前記フタロシアニン化合物が、前記一般
    式(I)においてR1〜R3及びR4〜R6のうちそれぞれ
    の少なくとも1つがアルキル基からなる化合物である請
    求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記フタロシアニン化合物が、前記一般
    式(I)においてR1〜R6のうち少なくとも1つがn=
    3以上のアルキル基からなる化合物である請求項1に記
    載の光情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記電子的又は構造的変化を可逆的に生
    じる高分子化合物が、下記一般式(II)で示される化
    合物においてR8、R9の少なくとも1つがアルキル基か
    らなる化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の光情報記録媒体。 【化2】 (式中、R8、R9、X及びnはそれぞれ以下のものを示
    す。 R8、R9:水素原子又は置換基を有して良いアルキル
    基、但し、これらは同一であっても良いが、両者同時に
    水素原子となることはない、 X:S原子、O原子、Se原子又は>NR10基、 R10:水素原子、アルキル基又はアリール基、 n:重合度。)
  5. 【請求項5】 前記電子的又は構造的変化を可逆的に生
    じる高分子化合物が、前記一般式(II)で示される化
    合物においてR8、R9の少なくとも1つがアルキル基か
    らなり且つXが硫黄原子からなるポリチオフェン誘導体
    である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光情報記録
    媒体。
  6. 【請求項6】 前記電子的又は構造的変化を可逆的に生
    じる高分子化合物が、前記一般式(II)で示される化
    合物においてR8、R9の少なくとも1つがn=6以上の
    アルキル基からなり且つXが硫黄原子からなるポリチオ
    フェン誘導体である請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の光情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 少なくとも基板/前記記録層/反射層/
    保護層で構成されていることを特徴とする請求項1〜6
    のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 少なくとも基板/前記記録層で構成され
    ていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に
    記載の光情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8に記載の構成からなる光
    情報記録媒体に、レーザー光で書き込みを行ない、該書
    き込み光よりも弱いレーザー強度で一度書き込まれた情
    報を消去することを特徴とする光情報の記録、消去方
    法。
JP7174343A 1995-06-16 1995-06-16 光情報記録媒体及び光情報の記録、消去方法 Pending JPH097221A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004005040A1 (ja) * 2002-07-02 2004-01-15 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology 相変化型光記録媒体およびその製造方法

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