JPH0970287A - 麹菌株 - Google Patents

麹菌株

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JPH0970287A
JPH0970287A JP26460195A JP26460195A JPH0970287A JP H0970287 A JPH0970287 A JP H0970287A JP 26460195 A JP26460195 A JP 26460195A JP 26460195 A JP26460195 A JP 26460195A JP H0970287 A JPH0970287 A JP H0970287A
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JP
Japan
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aspergillus oryzae
strain
isovaleraldehyde
rice wine
sake
Prior art date
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Pending
Application number
JP26460195A
Other languages
English (en)
Inventor
Takafumi Kubodera
窪寺  隆文
Nobuo Yamashita
伸雄 山下
Hideo Nagai
英雄 永井
Kyoichi Kondo
恭一 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HAKUTSURU SAKE BREWING
Hakutsuru Sake Brewing Co Ltd
Original Assignee
HAKUTSURU SAKE BREWING
Hakutsuru Sake Brewing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】Aspergillus oryzaeに属す
る麹菌からイソバレルアルデヒド生産性の低下した株を
分離し、清酒醸造に使用する。 【効果】限外ろ過等、特別な処理工程を行わずに、清酒
の劣化臭である「ムレ香」の発生を防止でき、しぼりた
ての香味の損なわれていない生酒の製造が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は清酒醸造に使用される黄
麹菌アスペルギルス・オリゼーの新変異株に関するもの
である。本発明の変異株は清酒の劣化臭である「ムレ
香」の主体成分イソバレルアルデヒドをイソアミルアル
コールから生成する酵素である「ムレ香」生成酵素の活
性が低下したことにより、通常のアスペルギルス・オリ
ゼー(Aspergillus oryzae)(以
下、A.オリゼーと略す。)に属する麹菌にくらべイソ
バレルアルデヒドの生産量が1/2〜1/3に低下して
おり、生貯蔵期間における「ムレ香」の発生を効果的に
抑制することができる。したがって、清酒の品質保持に
大きく貢献するものである。
【0002】
【背景】通常、清酒は醪を上槽ろ過後、生酒の状態で一
定期間保持し、目標酒質に調整したのち、火入れ貯蔵を
行う。この生貯蔵工程において品温、期間等の管理が不
適切であると、劣化臭である「ムレ香」が発生すること
がある。また最近の清酒の消費動向として、生酒、生貯
蔵酒などの生関連商品の消費が伸びているが、これらの
商品は、その製造プロセスの特徴上、「ムレ香」の発生
する危険が高く、その発生は直接、致命的な品質の低下
につながることから、「ムレ香」の発生を防止すること
は特に生関連商品において重要な課題となっていた。
【0003】
【従来の技術】生酒、生貯蔵酒の「ムレ香」の発生防止
法としては生酒中に残存し、「ムレ香」の生成に関与す
る酵素を限外ろ過等の処理により除去する方法が確立さ
れている。しかし装置の導入や酒の処理に際して生じる
コスト面での負荷は無視できるものではない。また限外
ろ過処理を行うと、味が淡麗化し軽快さが増す一方、ろ
過膜との接触や装置内を酒が循環することにより、エス
テル系の香気が低下しがちである。以上の点より、安価
で簡便であり、かつ生関連商品の香味を損なわない「ム
レ香」の発生防止法が望まれていた。
【0004】
【本発明が解決しようとする問題点】本発明の目的は、
劣化臭である「ムレ香」が発生しにくい清酒の醸造に使
用できる麹菌、および該麹菌の使用方法を示し、簡便で
コストがかからず、香味の損なわれない「ムレ香」の発
生防止法を提供することにある。
【0005】
【問題点を解決するための手段】「ムレ香」の主体はイ
ソバレルアルデヒドであり、イソアミルアルコールを前
駆体として麹菌の生産する酵素(「ムレ香」生成酵素)
により生成することが明らかになっていた。[平成2年
度日本発酵工学大会講演要旨集,p.97]このことか
ら「ムレ香」生成酵素の活性が欠損あるいは低い麹菌を
麹の製造に使用すれば「ムレ香」の発生を防止できるも
のと想定された。
【0006】そこで市販品として入手可能な清酒醸造用
種麹より単離した約70株の麹菌株について製麹テスト
および総米1kg、麹歩合20%、汲水歩合135%の
小仕込みテストを行った。製成酒を30℃、約1ケ月間
生貯蔵して酒中のイソバレルアルデヒドをヘッドスペー
スガスクロマトグラフィーで分析した結果、生成濃度は
1.2〜2.5ppmの範囲に分布しており、A.オリ
ゼーに属する麹菌の中からは、イソバレルアルデヒドの
生産量が著しく低い値を示す株を見いだすことはできな
かった。またそのような株についても今までに報告がな
い。このことからA.オリゼーに属する麹菌は、「ムレ
香」生成酵素の活性を比較的高いレベルで保持している
ものと考えられた。
【0007】以上の知見より、発明者らはA.オリゼー
に属する麹菌に変異処理を行い、「ムレ香」生成酵素の
活性が低下することによりイソバレルアルデヒド低生産
性という性質を示す株のスクリーニングを試み、該麹菌
の取得に至った。
【0008】ここでいうイソバレルアルデヒド低生産性
麹菌とは、通常の方法、例えば上記の小仕込みテストの
条件で清酒醸造を行い、正常な醪経過で得られた製成酒
を一定の条件、例えば30℃、1ヶ月生貯蔵しても酒中
のイソバレルアルデヒド濃度が通常のA.オリゼーを用
いた場合に比べて明らかに低くなる性質、例えば上立香
の閾値である1.7ppm[醸造協会誌,85,576
(1990)]より明らかに低い、望ましくは1/2以
下の生産量しか示さない性質を持つ麹菌を指す。
【0009】本発明のイソバレルアルデヒド低生産性麹
菌は、醸造用麹菌A.オリゼーを親株として、これに対
して変異処理を行い、目的菌株をスクリーニングするこ
とにより取得することができる。親株の起源は醸造用と
して市販されているものでも、自然界から分離したもの
でもよく、また他の種属の麹菌や糸状菌類との細胞融合
株その他、遺伝子工学的手法により造成された組換え体
でもよい。いずれにしてもA.オリゼーの基本的醸造適
性を有し、かつイソバレルアルデヒドを比較的高いレベ
ルで生産するものが対象となる。変異処理法は紫外線照
射、X線照射、γ線照射などの物理的方法、N−メチル
−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、エチルメタ
ンスルホネートなどの突然変異誘起処理による化学的方
法のいずれでもよい。ただし、突然変異処理は本発明に
おける必須構成要件ではなく、スクリーニングの効率を
追求するために突然変異処理を積極的に利用しようとし
たものである。
【0010】イソバレルアルデヒド低生産性麹菌のスク
リーニング方法としては、変異処理の終了した麹菌胞子
を基本平板培地上に塗抹し、出現してきたコロニーをラ
ンダムに分離する。次に分離した菌株を約5日間、斜面
培地で培養し胞子を着生させた後、この胞子を用いて小
スケールのα化米製麹を無菌的に行う。35℃、42時
間の製麹後、調製した麹についてイソバレルアルデヒド
の生産性を次のようにして評価する。
【0011】調製した麹の全量(通常2.5g)に対し
て、0.2M 酢酸緩衝液(pH4.5)を7.5m
l、イソアミルアルコールを10μl、アンピシリンを
終濃度50γになるように加え、30℃、5日間、静置
した後、イソアミルアルコールを基質として生成するイ
ソバレルアルデヒドをヘッドスペースガスクロマトグラ
フィーにより定量する。このイソバレルアルデヒド生産
量が親株よりも有意に低かったものを1次選抜株として
残す。次にこれらの株について蒸し米150gを用いた
製麹を行い、35℃、42時間の製麹後、麹2.5gを
用いて上記と同じ方法でイソバレルアルデヒドの生産量
を定量する。このようなテストを少なくとも3回繰り返
し、安定してイソバレルアルデヒドの生産量が親株の1
/2以下になる株をイソバレルアルデヒド低生産性麹菌
の候補株として選抜する。
【0012】A.オリゼーHL−1071は清酒醸造用
麹菌A.オリゼーRIB128に生存率約0.3%の割
合で紫外線照射を行い上記のスクリーニング法で取得し
たものである。本菌株は工業技術院生命工学工業技術研
究所に平成7年7月24日に生命研第15062号(F
ERM P−15062)として寄託している。
【0013】HL−1071の形態的性質を表1に示
す。
【0014】
【表1】 HL−1701の生理的性質を表2に示す。
【0015】
【表2】
【0016】先にも述べた通り親株にA.オリゼーRI
B128と異なる株を用いた場合には形態的性質や生理
的性質が上表とは異なる株が取得されることは明らかで
ある。
【0017】
【実施例】酒造用精白米(精米歩合70%)を蒸きょう
し、32℃まで放冷後、蒸米400gに対してHL−1
071(FERM P−15062)の分生胞子を10
コ/蒸米gの割合で接種した。接種後、恒温恒湿機
(ナガノ科学VP−200)で42時間製麹を行った。
製麹時の制御条件を表3に示す。
【0018】
【表3】
【0019】得られた麹について、イソバレルアルデヒ
ドの生産性、主要酵素力価、菌体生育量、褐変性を分析
した。イソバレルアルデヒド生産性は上記の方法で、主
要酵素力価は国税庁所定分析法で、菌体生育量はN−ア
セチルグルコサミンを指標とする方法でそれぞれ分析し
た。褐変性は5℃で一晩放置した麹5gを20mlの
0.5%NaClに2時間、室温で浸漬し、ろ紙ろ過し
た後の残渣を2日間、室温で放置した後、褐変の程度を
目視で評価した。分析評価結果を表4に示す。
【0020】
【表4】
【0021】表4に示す通り、HL−1071のイソバ
レルアルデヒド生産量は、親株の約1/2.5であっ
た。その他の酵素力価も親株よりは全体的に低い傾向を
示したが、醪の正常な発酵には支障のないレベルである
と判断した。また親株のマイナス性質である麹の褐変性
はHL−1071では認められなかった。
【0022】次に上記の麹を用いて、小仕込みテストを
行った。使用した総米は1kg、麹歩合20%、汲水歩
合135%および品温経過は15℃一定とし、酵母は協
会701号を使用した。HL−1071の醪は対照であ
る親株の醪と同様、順調に発酵し、仕込み後13日で上
槽した。上槽後の新酒について一般分析、香気成分分析
を行った。一般分析は国税庁所定分析法で、香気成分分
析はヘッドスペースガスクロマトグラフィーで行った。
仕込み配合表および生成酒の分析結果を表5〜7に示
す。
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】
【表7】
【0026】表6に示す通り、HL−1071の酒質は
親株に比べ、酸度、アミノ酸度が低く淡麗ですっきりと
したものであった。また表7に示すように香気成分の組
成は親株と大きな差はなかった。
【0027】次に、この製成酒を0.2μmのメンブラ
ンフィルターを用いてろ過除菌を行った後、30℃で約
1ケ月間生貯蔵を行い、酒中のイソバレルアルデヒドを
変化を測定した。その結果を図1に示す。HL−107
1は親株に比べて明らかにイソバレルアルデヒドの増加
が少なく、貯蔵後の酒中濃度を比較すると、親株は1.
65ppmと酒中における上立香の閾値にほぼ達してい
るのに対し、HL−1071は0.52ppmと親株の
1/3以下であった。
【0028】
【図1】
【0029】次に、同じ製成酒をろ過除菌後、20℃で
50日間生貯蔵し、「ムレ香」の有無について官能検査
を実施した。その結果を表7に示す。親株についてはパ
ネラーの12名中10名が上立香に強い「ムレ香」を指
摘したのに対し、HL−1071は全員が「ムレ香」を
感じないと判定した。この結果からもHL−1071は
「ムレ香」の発生抑制に顕著な効果を示すことが確認さ
れた。
【表7】
【0030】
【効果】本発明であるイソバレルアルデヒド低生成性麹
菌を用いることにより、限外ろ過など特別な処理工程を
行わずに清酒の劣化臭である「ムレ香」の発生を効果的
に防止することが可能となった。またこのことより、必
要以上の淡麗化を避けて、こくがあり、しぼりたての状
態を保持した生酒の製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】生貯蔵中の酒中イソバレルアルデヒド濃度の増
【表8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 恭一 兵庫県神戸市東灘区住吉南町4丁目5番5 号 白鶴酒造株式会社研究室内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アスペルギルス・オリゼーに属するイソバ
    レルアルデヒド低生産性麹菌。
  2. 【請求項2】該麹菌がHL−1071(FERM P−
    15062)であることを特徴とする請求項1の麹菌。
JP26460195A 1995-09-05 1995-09-05 麹菌株 Pending JPH0970287A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998055592A1 (fr) * 1997-06-04 1998-12-10 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Sakes peu alcoolises
CN1298838C (zh) * 2005-07-28 2007-02-07 秘鸣 一种米曲霉真菌及其在普洱茶生产中应用
WO2010119967A1 (ja) 2009-04-17 2010-10-21 キッコーマン株式会社 大規模ゲノム重複を保持する麹菌
KR101286107B1 (ko) * 2011-08-26 2013-07-15 롯데칠성음료주식회사 누룩에서 분리한 아스퍼질러스 오리재 ya08 및 이를 이용한 발효주의 제조 방법

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