JPH0967356A - エポキシ化反応粗液の精製方法 - Google Patents

エポキシ化反応粗液の精製方法

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JPH0967356A
JPH0967356A JP24845295A JP24845295A JPH0967356A JP H0967356 A JPH0967356 A JP H0967356A JP 24845295 A JP24845295 A JP 24845295A JP 24845295 A JP24845295 A JP 24845295A JP H0967356 A JPH0967356 A JP H0967356A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シクロヘキセン系化合物を有機過酸を用いて
エポキシ化を行ったエポキシ化反応粗液の精製段階でエ
ポキシ化合物の重合を抑制した精製方法を提供する。 【解決手段】 シクロヘキセン系化合物、例えば3−シ
クロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシ
レート、4−ビニルシクロヘキセン等を有機過酸を用い
てエポキシ化を行った反応粗液から抽剤として水を使用
することにより有機酸および有機過酸を除去した後、有
機層にポリリン酸化合物、例えばトリポリリン酸−2−
エチルヘキシルエステル、ピロリン酸カリウム等を仕込
み、蒸留することを特徴とするエポキシ化反応粗液の精
製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シクロヘキセン系
化合物を有機過酸を用いてエポキシ化を行った反応粗液
の精製方法に関し、より詳細には、シクロヘキセン系化
合物を有機過酸を用いてエポキシ化を行ったエポキシ化
反応粗液の精製段階でポリリン酸化合物を添加し、エポ
キシ化合物の重合を抑制した精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロヘキセン系のエポキシ化合物は、
熱や紫外線、イオン化放射線、ラジカル重合開始剤の存
在下で容易に単独または不飽和基含有化合物と共重合す
ることが可能であり、塗料法樹脂などの中間原料として
有用な化合物として多用されている。しかし、エポキシ
化合物は製造段階において重合し易く、製造の安定化が
妨げられると共に、収率の低下を招く。このためエポキ
シ化合物の反応工程での副生成物を防ぐ方法として、反
応系に金属キレ−ト剤を添加する方法等が特開平6−1
07651号公報に開示されている。
【0003】一方、エポキシシクロヘキセン系化合物の
製造は、シクロヘキセン系化合物を有機過酸を用いてエ
ポキシ化を行うが、得られたエポキシ化合物を含む反応
粗液は精製段階においても重合し易い。例えば、エポキ
シ化反応粗液を蒸留する場合に反応粗液中に有機過酸や
有機酸が存在すると、蒸留塔の塔底でエポキシ化合物の
重合や副反応がおこり、エポキシ化合物の収率や品質が
低下する。また、有機過酸や有機酸が塔底に存在しない
ような運転をするために塔底の温度を上昇させるとエポ
キシ化合物は熱的に不安定な物質が多く、エポキシ化合
物の収率や品質が低下する。この状況を解決するため、
蒸留による精製前に有機過酸や有機酸を水洗あるいは中
和によって除去する必要があるが、中和を行うと有機酸
のアルカリ塩が生成するため排水のCODが高くなり、
工業的に製造する際に改善が望まれている。特開平5−
155872号公報では、接触時間の短い装置を用いて
エポキシ化合物の反応粗液を水洗する方法が記載されて
いるが、水洗後の粗液を精製工程の持ち込む前に添加す
るキレ−ト剤については何等示されていない。また、特
開平2−262574号公報には、エポキシ化されたア
クリレ−ト化合物の製造方法として、中和水洗後にラジ
カル重合禁止剤と金属キレ−ト剤を共存させる方法が開
示されているが、これは、アクリル基のラジカル重合を
防止して良好な品質の製品を提供するための方法であ
り、エポキシ化合物の安定な製造に関するものではな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、シクロヘキセ
ン系化合物を有機過酸を用いてエポキシ化を行った反応
粗液の精製段階においてエポキシ化合物の重合を抑制す
ることにより、重合トラブルを防止して製品を安定に製
造し、製造収率を高め得る反応粗液の精製方法の開発が
熱望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、シクロヘ
キセン系化合物を有機過酸を用いてエポキシ化を行った
反応粗液の特定段階において、ポリリン酸化合物を作用
させることにより重合を防止し得ることを見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、シクロヘキセン系化合
物を有機過酸を用いてエポキシ化を行った反応粗液から
抽剤として水を使用することにより有機酸および有機過
酸を除去した後、有機層にポリリン酸化合物を仕込み、
蒸留することを特徴とするエポキシ化反応粗液の精製方
法を提供するものである。また、シクロヘキセン系化合
物が3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセン
カルボキシレートであり、エポキシ化合物が3,4−エ
ポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロ
ヘキサンカルボキシレートであることを特徴とする前記
エポキシ化反応粗液の精製方法を提供するものである。
また、ポリリン酸化合物がトリポリリン酸−2−エチル
ヘキシルエステルである前記エポキシ化反応粗液の精製
方法を提供するものである。さらに、シクロヘキセン系
化合物が4−ビニルシクロヘキセンであり、エポキシ化
合物が1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンで
あることを特徴とする前記エポキシ化反応粗液の精製方
法を提供するものである。さらに、ポリリン酸化合物が
ピロリン酸カリウムであることを特徴とする前記エポキ
シ化反応粗液の精製方法を提供するものである。以下、
本発明について詳述する。
【0007】本発明で使用される反応粗液は、シクロヘ
キセン系化合物を有機過酸によりエポキシ化反応して得
られる反応粗液である。本発明で使用するシクロヘキセ
ン系化合物としては、(イ)α−ピネン系化合物、
(ロ)3−シクロヘキセニルメチルメタクリレ−ト、
(ハ)3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセ
ンカルボキシレ−ト、(ニ)ビニルシクロヘキセン等が
例示できる。これらを用いた反応粗液としては、上記
(イ)α−ピネンを有機過酸でエポキシ化してα−ピネ
ンオキサイドを製造する場合の反応粗液、(ロ)3−シ
クロヘキセニルメチルメタクリレ−トを有機過酸でエポ
キシ化して3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタ
クリレ−トを製造する場合の反応粗液、(ハ)3−シク
ロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレ
−トを有機過酸でエポキシ化して3,4−エポキシシク
ロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカ
ルボキシレ−トを製造する場合の反応粗液、(ニ)ビニ
ルシクロヘキセンを有機過酸でエポキシ化してビニルシ
クロヘキセンモノエポキシドを製造する場合の反応粗液
等がある。
【0008】シクロヘキセン系化合物を有機過酸によっ
てエポキシ化するために用いられる有機過酸としては、
過蟻酸、過酢酸、過プロピオン酸、m−クロロ過安息香
酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香酸等を例示できる。
エポキシ化には有機過酸と触媒を併用してもよく、例え
ば炭酸ソ−ダ等のアルカリや硫酸などの酸を触媒として
用い得る。
【0009】有機過酸とシクロヘキセニル化合物の二重
結合とのモル比は理論的には1/1であるが、通常はシ
クロヘキセニル化合物に対して有機過酸を0.5〜3.
0倍モル、特には1.0〜1.5倍モル使用することが
好ましい。シクロヘキセニル化合物の方が有機過酸より
も価格が高いこと、原料のリサイクルにも手間がかかる
ことが多いこと、反応中に有機過酸が少量ではあるが分
解することから、有機過酸を理論量より少し多めに使用
することが好ましい。
【0010】反応は溶媒存在下でもよい。溶媒を添加す
ることにより反応粗液の粘度低下、有機過酸を希釈によ
る反応の安定化、さらには有機酸とエポキシ基との反応
速度を遅くする等の効果がある。使用できる溶媒として
はベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イ
ソプロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、p−シメン等
の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ヘ
プタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン等の脂肪
族炭化水素や脂環族炭化水素、シクロヘキサノ−ル、ヘ
キサノ−ル、ヘプタノ−ル、オクタノ−ル、ノナノ−
ル、フルフリルアルコ−ル等のアルコ−ル、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢
酸エチル、酢酸n−アミル、酢酸シクロヘキシル、プロ
ピオン酸イソアミル、安息香酸メチル等のエステル類、
エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、エチレン
グリコ−ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ−ルモ
ノメチルエ−テルアセテ−ト、エチレングリコ−ルモノ
エチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テ
ルアセテ−ト、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テ
ル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル等の多価
アルコ−ルとその誘導体、クロロホルム、ジメチルクロ
ライド、四塩化炭素、クロルベンゼン等のハロゲン化合
物、1,2−ジメトキシエタン等のエ−テル化合物等を
用いることができる。溶媒の使用量は、通常シクロヘキ
セン系化合物の0.1〜10倍重量であり、特には0.
5〜3.0倍重量であることが好ましい。0.5倍重量
より少ない場合には、反応安定化などの効果が少なく、
逆に3倍重量より多くても反応安定化などの効果はそれ
ほど上昇せず、溶媒の回収に多大の費用を要するので無
駄になる。
【0011】エポキシ化反応を行う際には必要に応じ
て、重合禁止剤を添加することもできる。重合防止剤と
してはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−
テル、P−ベンゾキノン、クレゾ−ル、t−ブチルカテ
コ−ル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノ−
ル、2−t−ブチル−4−メトキシフェノ−ル、3−t
−ブチル−4−メトキシフェノ−ル、2,6−ジ−t−
ブチル−p−クレゾ−ル、2,5−ジヒドロキシ−p−
キノン、ピペリジン、エタノ−ルアミン、α−ニトロソ
−β−ナフト−ル、ジフェニルアミン、フェノチアジ
ン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N,N
−ジエチルヒドロキシルアミン等を用いることができ
る。これらは、単独で使用してもよいし2種以上を併用
してもよい。
【0012】必要な場合には、有機過酸の安定剤として
リン酸水素アンモニウム、ピロリン酸カリウム、ピロリ
ン酸−2−エチルヘキシルエステル、ピロリン酸カリウ
ム−2−エチルヘキシルエステル、ピロリン酸ナトリウ
ム−2−エチルヘキシルエステル、トリポリリン酸、ト
リポリリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ト
リポリリン酸−2−エチルヘキシルエステル、トリポリ
リン酸カリウム−2−エチルヘキシルエステル、テトラ
ポリリン酸、テトラポリリン酸カリウム、テトラポリリ
ン酸ナトリウム、テトラポリリン酸−2−エチルヘキシ
ルエステル、テトラポリリン酸カリウム−2−エチルヘ
キシルエステル、テトラポリリン酸ナトリウム−2−エ
チルヘキシルエステル、ヘキサメタリン酸カリウム、ヘ
キサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。こ
れらは、単独で使用してもよいし2種以上を併用しても
よい。
【0013】エポキシ化の反応温度は、エポキシ化反応
が有機過酸の分解反応に優先するような上限値以下で行
なう。たとえば有機過酸として過酢酸を用いる場合には
0〜70℃以下であることが好ましい。反応温度が0℃
より低いと反応の完結までに長時間を要するので、過酢
酸を用いる場合には0℃以上で行うことが好ましい。ま
た、エポキシ化反応の際に有機過酸の副生などによる有
機酸で、エポキシ基が開環する副反応が生じる場合に
は、予め副反応量が少なくなるような温度を前記したよ
うな温度領域から選定して実施する。
【0014】反応圧力は一般的には常圧下で操作される
が、加圧または低圧下でも実施できる。また反応は連続
方式もしくはバッチ方式で行い、連続方式の場合はピス
トンフロ−型式が好ましい。またバッチ方式の場合は、
有機過酸は逐次的に仕込むセミバッチ方式であることが
好ましい。セミバッチ方式で有機過酸を逐次的に仕込む
には、反応容器内にシクロヘキセン系化合物および使用
する反応溶媒を所定量仕込み、この中に必要に応じて触
媒や有機過酸の安定剤を溶解させ、この中に前記有機過
酸を滴下して行う。反応の終点の確認は残存する有機過
酸の濃度等の測定をガスクロ等により分析して行う。
【0015】本発明はこれらの方法によって得られた反
応粗液を用いるが、これ以外の製法による反応粗液を使
用してもよく、エポキシ化反応を行った粗液をそのまま
蒸留するとエポキシ化合物が重合し、あるいは副反応を
起こす場合には、本発明を適用することができる。
【0016】次に、シクロヘキセン系化合物を有機過酸
を用いてエポキシ化を行った反応粗液を水洗する。水洗
方法としては、ミキサ−セトラ−タイプや抽出塔などの
装置を用いてもよいし、エポキシ化合物と有機酸や水と
の接触時間を短くしたい場合は遠心抽出器を用いてもよ
い。水洗水と反応粗液の比率は、水洗水/反応粗液=
0.1〜3の範囲であることが好ましく、特には1〜2
範囲であることが好ましい。水洗温度は水層と有機層と
の分液に必要な比重差を保つ範囲で行う必要があり、水
洗温度を調節しても分液能が悪い場合には溶媒を添加し
て比重差を確保する。
【0017】次いで、水洗工程を経た反応粗液(有機
層)を蒸留し低沸成分を除去する。蒸留には薄膜蒸発器
またはフラッシュ管等を使用することができる。蒸留は
加熱温度50〜200℃、好ましくは80〜180℃の
範囲で行い、用いた溶媒の物性によって任意の減圧状態
を選択する。溶媒に酢酸エチルを用いた場合には、圧力
1〜760torr、好ましくは10〜150torr
の範囲であることが好ましい。蒸留は圧力や温度を変え
た2段階で行うことも可能である。例えば、1段目では
加熱温度50〜100℃、圧力20〜150torrと
し、反応粗液の溶媒濃度を3〜50重量%まで蒸留し、
次いで2段階目の蒸留で加熱温度50〜100℃、圧力
を1段目の1/2に強化して、反応粗液の溶媒濃度1重
量%以下とする場合である。2段階で行うことにより蒸
留当初に穏和な条件を設定でき、反応粗液の重合を防ぐ
ことができる。
【0018】本発明では反応粗液の蒸留前に反応粗液に
ポリリン酸化合物を添加する。これは水洗工程で有機
酸、有機過酸とともに除去された有機過酸の安定剤であ
るポリリン酸化合物を補うためである。反応粗液をポリ
リン酸化合物の添加無しに蒸留処理すると、蒸留塔の缶
出液中で金属材質の触媒作用によりエポキシ化合物が開
環重合反応をおこし、装置内の閉塞を引き起こす。そこ
でキレート作用のあるポリリン酸化合物を添加するもの
である。ポリリン酸化合物の添加量はその種類および蒸
留温度によって若干異なるが、粗液に対して1〜10,
000ppm、特には10〜2,000ppmの範囲で
あることが好ましい。使用するポリリン酸化合物として
は、前記した有機過酸の安定剤を使用し得るが、特には
ピロリン酸カリウムやトリポリリン酸−2−エチルヘキ
シルエステルなどが適している。完全な無機塩化合物の
場合では、溶解度が低く析出する可能性が高いので注意
を要する。なお、使用するポリリン酸化合物の濃度は反
応溶媒等、ポリリン酸の溶解度等を考慮して定めるが、
濃度が低すぎると実質的な効果が出なくなるので注意す
る。ポリリン酸化合物は脱ハイボイラ−として濃縮され
缶出されるため、缶出液中で析出しない化合物を選択し
て使用する必要がある。そこで所定の操作条件の下に予
め析出状態などを測定し、使用するポリリン酸化合物を
選択する。反応粗液の溶媒が酢酸エチルである場合に
は、ポリリン酸化合物はトリポリリン酸−2−エチルヘ
キシルエステルであることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0020】(比較例1)撹拌機を備えたジャケット付
きSUS316製20リットル反応器に、3−シクロヘ
キセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレ−ト
(以後「CMCC」と略す。)5,000gを張り込ん
だ後、昇温し内部温度を25℃とした。過酢酸の30%
酢酸エチル溶液13,790gを6時間かけて滴下した
後、3時間熟成を行った。滴下および熟成中は内部温度
を30℃に保持した。こうして3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカル
ボキシレ−ト(以後「ECC」と略す。)を含む反応粗
液18,790gを得た。ECCを含む反応粗液を酢酸
エチルで1.7倍に希釈した液を遠心抽出機に軽液入口
より供給し、水洗液/反応粗液=2で処理することによ
り、軽液出口より軽液を968g/分の速度で、重液出口
より重液を2,191g/分の速度で得た。反応粗液を
酢酸エチルで希釈した液中の酢酸および過酢酸の濃度
は、それぞれ14.15%、1.60%であったが、遠
心抽出機で処理するとそれぞれ800ppm、570p
pmに減少していた。反応粗液に存在していたECCの
97%が、遠心抽出機で処理した後の軽液中に存在して
いた。遠心抽出機で処理した後の軽液を用いて連続蒸留
を行った。伝熱面積0.034m2の強制撹拌式の薄膜
蒸発器に軽液を22,300g/時で供給し、操作圧力
1mmHg、加熱温度170℃で塔頂から1,564g
/時、塔底から800g/時で抜き出した。缶出液をホ
−ルドタンクで放置していたところ、2時間目から液表
面に薄膜が発生し、6時間目ではほぼ完全にゲル化し
た。
【0021】(実施例1)比較例1と同様の方法で得ら
れた水洗後の軽液に、トリポリリン酸−2−エチルヘキ
シルエステルを粗液に1,000ppm添加して、同様
の蒸留を行った。缶出液は、30時間放置後でもゲル化
しなかった。
【0022】(比較例2)4−ビニルシクロヘキセンを
比較例1と同様の方法でエポキシ化し、4−ビニルシク
ロヘキセンモノエポキシドを含有する反応粗液を40段
の蒸留塔で、2段階の蒸留により脱低沸成分、脱高沸成
分を留去し、脱高沸缶出液をホ−ルドタンクで100℃
で放置した。その結果、約6時間後に増粘が認められ
た。
【0023】(実施例2)比較例2と同様の方法で得た
水洗後の粗液に、ピロリン酸カリウムを約1,000p
pm添加して2段階の蒸留を行った。その結果、脱高沸
缶出液は約30時間経過してもゲル化が認められなかっ
た。
【0024】
【発明の効果】本発明により、シクロヘキセニル系化合
物のエポキシ化合物の蒸留精製工程にポリリン酸化合物
を金属キレ−ト剤として仕込むことにより、エポキシ化
合物の重合を防止し、安定に製造できると共に製品の収
率低下を防止できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロヘキセン系化合物を有機過酸を用
    いてエポキシ化を行った反応粗液から抽剤として水を使
    用することにより有機酸および有機過酸を除去した後、
    有機層にポリリン酸化合物を仕込み、蒸留することを特
    徴とするエポキシ化反応粗液の精製方法。
  2. 【請求項2】 シクロヘキセン系化合物が3−シクロヘ
    キセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレート
    であり、エポキシ化合物が3,4−エポキシシクロヘキ
    シルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキ
    シレートであることを特徴とする請求項1記載のエポキ
    シ化反応粗液の精製方法。
  3. 【請求項3】 ポリリン酸化合物がトリポリリン酸−2
    −エチルヘキシルエステルである請求項1または2記載
    のエポキシ化反応粗液の精製方法。
  4. 【請求項4】 シクロヘキセン系化合物が4−ビニルシ
    クロヘキセンであり、エポキシ化合物が1,2−エポキ
    シ−4−ビニルシクロヘキサンであることを特徴とする
    請求項1記載のエポキシ化反応粗液の精製方法。
  5. 【請求項5】 ポリリン酸化合物がピロリン酸カリウム
    であることを特徴とする請求項1または4記載のエポキ
    シ化反応粗液の精製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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