JPH0958260A - 接着式ウインドガラスの仮止め構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウインドガラス２を車体に接着する際、上下
・左右及び前後の３方向に容易に位置決めできると共
に、接着時に所定量の圧縮力を付与できるようにする。 【解決手段】 係止突部５及び弾性突片６を備えたファ
スナ３をウインドガラス２に接着する。車体１の係合孔
７に係止突部５を嵌挿すると、車体１とウインドガラス
２の間で圧縮された弾性突片６の反作用により、係合孔
７と係止突部５との係止状態が維持される。また、弾性
突片６の反作用は、ウインドガラス２の接着時に所定量
の圧縮力を付与する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に
適用される接着式ウインドガラスの仮止め構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】たとえば自動車のフロントガラスやリヤ
ガラスのように開閉しないウインドガラスは、通常車体
に設けた開口部のフランジに接着剤を用いた接着によっ
て固定されている。このような接着式ウインドガラス
は、接着時の車体に対する位置決めをするため、ウイン
ドガラス及び車体の双方にデュアルロックファスナ（一
般的にはマジックテープの登録商標が有名）の雄・雌を
各々対応させて取付けておき、両者を係合させて仮止め
するのが一般的である。

【０００３】しかし、デュアルロックファスナは雄・雌
の相対位置が多少ずれても係合可能なものであるから、
上下及び左右方向の位置合せを精度よくできず、従っ
て、治具を用いた組付け作業を実施しなければならない
という欠点がある。

【０００４】上述したデュアルロックファスナの欠点を
解消するものとして、たとえば実開平５−３２０４３号
公報に開示されたクリップ方式の技術が提案されてい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したクリ
ップ方式のものは、当接片と係止爪とでウインドガラス
の車体に対する上下・左右及び前後（ガラス前方向）位
置を拘束するものであるから、ガラス面と車体との間に
介在させる接着剤を硬化させる際に、ウインドガラスの
車体側への変位を許容することができないため接着力を
十分に高めることが困難になるといった欠点を伴う。

【０００６】また、このようなクリップ方式のもので
は、ウインドガラスを車体に押し付ける接着剤硬化作業
時において当接片が車体に圧接されるため、車両の走行
等によって車体に作用した振動が直接ウインドガラスに
も作用してしまうといった不都合を有している。

【０００７】そこで、本発明の目的は、車体に対してウ
インドガラスを上下、左右及び前後の３方向に位置決め
でき、しかも、接着剤を硬化させる時には、接着力に所
定量の圧縮力を付与しておくことができる、接着式ウイ
ンドガラスの仮止め構造を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述した課題
を解決するためになされたもので、ウインドガラスを接
着する車体に設けられた係合孔と、前記ウインドガラス
に接着する基板の接着面の裏面から係止突部と弾性突片
とを突出させたファスナとを備え、前記ウインドガラス
に接着した前記ファスナの係止突部を前記車体の係合孔
に嵌挿し、前記弾性突片の反作用で前記係止突部と前記
係合孔との係止状態を維持するように構成したことを特
徴とする接着式ウインドガラスの仮止め構造である。

【０００９】そして、前記弾性突片は基板と一体の中空
状に形成するのが好ましく、この場合、中空状の弾性突
片内部にストローク規制を行うストッパを設けておくと
よい。

【００１０】また、前記ファスナは、前記係止突部とそ
の両側に直列に配置される弾性突部とが基板と一体に合
成樹脂で形成されていることを特徴としている。

【００１１】なお、前記弾性突片には、ばね、ゴム又は
クッションを採用することもできる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【００１３】図６は乗用車の外観概要を示す斜視図であ
って、車体１の開口部にウインドガラス２が接着により
固定されている。このウインドガラス２を接着する時に
は、ウインドガラス２側に予め接着しておいたファスナ
３を利用して車体１への位置決め及び仮止めを行う。

【００１４】図１は図６のＣ−Ｃ断面を示したもので、
（ａ）はウインドガラス２の仮止め前の状態、（ｂ）は
ウインドガラス２の仮止め完了状態である。ここで使用
しているファスナ３は、たとえば図３及び図４に示した
ような合成樹脂の一体成形部品であり、基板４の一方の
面に係止突部５及び弾性突片６が突設されている。図示
の例では、中空状に形成された２個の弾性突片６が係止
突部５の両側に直列に配設され、さらに、弾性突片６の
中空部内にはストローク規制を行うためのストッパ６ａ
が設けられている。このような形状及び構成のファスナ
３は、成形及び部品管理が容易であり、また、弾性突片
６の押圧力を係止突部５に均等に付与することができて
ウインドガラス２の仮保持姿勢を安定化させられるとい
ったメリットを有している。なお、ファスナ３を一体成
形する合成樹脂には弾性を有するものが好ましく、たと
えばポリプロピレン（ＰＰ）や塩化ビニル（ＰＶＣ）等
が適している。

【００１５】また、上述したファスナ３の係止突部５
は、ウインドガラス２の仮止め時に車体１の所定の位置
に設けた係合孔７に嵌挿され、これによってウインドガ
ラス２と車体１との間の位置決めがなされ、さらに、係
止突部５の一面に設けた係止爪５ａが抜け止めとなって
嵌挿状態を維持する。なお、荷重を受けない自然状態の
弾性突片６は、基板４の面から突出する高さｈが係止爪
５ａの位置より高くなるように形成しておく。

【００１６】上述した構成のファスナ３には、図３に示
す如く、係止突部５及び弾性突片６が突設された基板４
の裏面にウインドガラス２への接着用としてたとえば両
面テープ８を貼り付けておき、使用時に剥離シート９を
はがしてファスナ３をウインドガラス２の所定の位置へ
接着する。こうしてファスナ３が接着されたウインドガ
ラス２は、図２（ｂ）に示す如く、係止突部５を係合孔
７に位置合せして車体１側へ押し込むことにより、係止
爪５ａが矢印方向へ弾性変形して係合孔７を通り抜け
る。この結果、係止爪５ａが車体１の係合孔７に係止さ
れて抜け止めとなり、また、弾性突片６が車体１とウイ
ンドガラス２との間で圧縮されて撓んだ状態となる（図
１（ｂ）及び図２（ａ）参照）。なお、図２（ａ）にお
いて、符号１０はウインドシールドモールディング、１
１は接着剤を示している。

【００１７】従って、少なくともファスナ３及び係合孔
７の組み合せを２箇所設け、上記作業の後にウインドガ
ラス２の押し込み力を解放すると、圧縮された弾性突片
６の反作用によって、係合突部５の係合孔７からの抜け
止め作用が生じ、ウインドガラス２は車体１に対して上
下・左右及び前後（ガラス面方向）に精度よく位置決め
される。そして、このような仮止め状態からウインドガ
ラス２を車体１の外側から押圧する手段を用いて所定圧
を加え続けることにより、所定時間経過後には未硬化の
接着剤１１が硬化し、ウインドガラス２の車体１への接
着は完了する。なお、このようなウインドガラス２の接
着硬化時においては弾性突片６が撓むことを許容してい
るので、均等な押圧力が付与されることによって接着強
度を高められるし、また、接着後には車体１に対してウ
インドガラス２を弾性支持することも可能になるため、
ウインドガラス２への車体振動入力低減に有効である。

【００１８】さて、上述したファスナ３の弾性突片６に
は、安価でしかも精度よく成形できることから、基板４
と一体の中空状のものを採用している。このため、弾性
突片６のストロークを規制するストッパ６ａも中空内部
に容易に一体成形することができ、同ストッパ６ａを設
けることによって、ウインドガラス２の車体１への押込
量にオーバーストロークが生じるのを防ぐことができ、
従って、接着剤１１の付着厚さが薄くなって設定範囲か
ら外れるようなことはない。

【００１９】しかし、弾性突片としては、上述した一体
成形の中空状の他にも、たとえば図５に示す如く、別体
の弾性部材であるばね１２を基板４に取付けたものを採
用することも可能である。ばね１２を弾性突片として採
用すれば、反力荷重の設定を任意に変えられるようにな
り、製造上の制約が少ないというメリットがある。な
お、ばね１２のような別体の弾性部材としては、ゴムや
クッションを採用することも可能である。

【００２０】

【発明の効果】前述した本発明によれば、ファスナの係
止突部が車体の係合孔に係止され、かつ、圧縮された弾
性突片の反力でその係止状態が維持されるので、ウイン
ドガラスの車体に対する上下・左右及び位置決め拘束を
容易に行うことができ、安定した状態でしかも精度よく
ウインドガラスを仮止めできるといった効果がある。

【００２１】また、接着硬化作業時には、弾性突片の反
力で接着力に所定量の圧縮力を付与させておくこともで
きるので、接着接合状態を十分に高めることができると
いった効果もある。

【００２２】そして、係止突部及び弾性突片を基板とと
もに１個のファスナに一体成形可能なものとしたので、
精度の向上に有利なだけでなく、安価に製造できるとい
った効果も生じてくる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施形態を示す断面図（図６の
Ｃ−Ｃ断面図）で、（ａ）はウインドガラスの仮止め前
の状態、（ｂ）はウインドガラスの仮止め完了状態であ
る。

【図２】（ａ）は図１（ｂ）のＡ−Ａ断面図、（ｂ）は
係止突部が係合孔へ嵌挿される途中の状態を示す図であ
る。

【図３】ファスナの構成例を示す外観斜視図である。

【図４】図３のＢ−Ｂ断面図である。

【図５】弾性突片の変形例を示す要部斜視図である。

【図６】乗用車の外観概要を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 車体 ２ ウインドガラス ３ ファスナ ４ 基板 ５ 係止突部 ６ 弾性突片 ７ 係合孔

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ウインドガラスを接着する車体に設けられ
   た係合孔と、 前記ウインドガラスに接着する基板の接着面の裏面から
   係止突部と弾性突片とを突出させたファスナとを備え、 前記ウインドガラスに接着した前記ファスナの係止突部
   を前記車体の係合孔に嵌挿し、前記弾性突片の反作用で
   前記係止突部と前記係合孔との係止状態を維持するよう
   に構成したことを特徴とする接着式ウインドガラスの仮
   止め構造。
2. 【請求項２】前記弾性突片が前記基板と一体の中空状に
   形成されていることを特徴とする請求項１記載の仮止め
   構造。
3. 【請求項３】前記中空状の弾性突片が内部にストローク
   規制を行うストッパを有していることを特徴とする請求
   項２記載の仮止め構造。
4. 【請求項４】前記ファスナは、前記係止突部とその両側
   に直列に配置される弾性突部とが基板と一体に合成樹脂
   で形成されていることを特徴とする請求項１記載の仮止
   め構造。
5. 【請求項５】前記弾性突片が、ばね、ゴム又はクッショ
   ンであることを特徴とする請求項１記載の仮止め構造。