JPH0524568Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、モールの取付け用保持具に関する
ものである。

（従来の技術） 自動車のフロント、リアウインドガラスの周縁
には装飾用としてウインドモールデイング（以
下、モールと略称する。）が取付けられている。
最近では樹脂製の保持具を用いて取付けられるの
が通常である。保持具には種々の形式があり、そ
の中には予めモールに先付けしておいてから、ガ
ラス端面とボデイとの間の隙間に押嵌めて装着さ
せるタイプがある。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記のタイプには次のような問
題があるのが知られている。即ち、保持具の押込
みの際にはボデイ側から上向きの反力を受ける。
このため、モール側に対する保持具の係合が解除
されてしまうことがあり、付け直しを強いられた
り、そのまま組付けられてしまえばモールががた
付く。

そこで、本考案は押込み時にあつてもモールに
対する係合状態が確保できる保持具を提供するこ
とを目的とする。

また、本考案の他の目的は押込み時においてク
リツプの浮上りがなくモールの係合状態を良好に
確保できかつモールの取付け作業を円滑になし得
る保持具を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案は自動車
等のウインドガラスの周辺に装着されるモールの
取付け用保持具であつて、モール側に装着される
クリツプ本体と、自動車等ボデイ側のガラス受枠
部の側面に接着手段を介して貼付けられかつクリ
ツプ本体に係合される係止具とからなり、この係
止具はその下部に上向きに開口し拡開方向への適
度の弾性変形可能な差込み溝部が形成され、かつ
その内壁にはモールの取付け高さの調整用係止縁
が高さ方向へ複数条形成される一方、前記クリツ
プ本体は、その基板の下部において前記差込み溝
部に弾性係入される押込み縁が形成され、かつ基
板の外壁には係止具の貼付け位置のばら付きを吸
収するために、前記各調整用係止縁に対し選択的
に係合される爪片が形成され、かつ基板の内壁の
左右両側縁には前記押込み縁の差込みに伴つて相
互に拡開する方向へ弾性変形し、押込み縁が差込
まれた状態ではウインドガラスの端面とボデイと
の間においてガラス端面に当接されることによ
り、前記係止具をボデイ側へ押付ける弾性反力を
作用させる少なくとも一対の押圧翼片が内方へ末
広がり状に延出形成され、しかもこの押圧翼片の
各端部にはモールの内面に当接しうる突起が突設
される構成としたのである。

（作用） したがつて、上記の構成によれば、予めクリツ
プ本体にモールを装着させた状態で係止具の差込
み溝部へ押込み縁を押込む。この場合、両押圧翼
片は拡開変形しながらガラス端面に摺接するが、
この押込みに伴つてクリツプ本体は上向きの反力
を受ける。しかし、両押圧翼片の突起がモールの
内面に当接しているため、押上げによつてクリツ
プ本体が動くのが規制され、押圧翼片がねじれ変
形し、さらにそのことによりモールに対する係合
が解除されてしまうのを回避できる。

そして、クリツプ本体の押込み縁が係止具の差
込み溝部に挿入されかつクリツプ本体の爪片が係
止具の調整用係止縁のいずれかに係合すること
で、クリツプ本体が係止具に固定される。

（実施例） 以下、本考案を具体化した実施例を図面にした
がつて詳細に説明する。

本例保持具は自動車のボデイＢ側に形成された
ガラス受枠部Ｊの内周面に装着される係止具Ｋ
と、モールＭ側に装着されかつ上記係止具Ｋに係
入されるクリツプ本体Ｃとからなる。まず、係止
具Ｋについて説明する。

係止具Ｋは、適度な弾性を有する合成樹脂材に
て形成されている。係止具Ｋには背板１の下縁部
を内方へ折り返して抱持片２が形成されており、
これにより背板１および抱持片２の間にはクリツ
プ本体Ｃの押込み縁９に対するＵ字状の差込み溝
部３を拡開変形可能に形成している。さらに、背
板１の内側面には鋸歯城に形成された数条（図示
のものは高さ方向へ３条）の調整用係止縁４〜４
が長手方向に沿つて刻設されており、それぞれは
クリツプ本体Ｃの係止爪１１と選択的に係合しう
る。

次に、上記した係止具Ｋが付設されるボデイＢ
とウインドガラスＧとの関係を第４図によつて説
明する。ウインドガラスＧの周縁の内面（ルーム
側の面）には弾性材よりなるダム５が接着されて
いる。また、このダム５の外周縁にはウインドガ
ラスＧとボデイＢとの間を接着およびシールする
シーラ材６が塗布されている。そして、上記係止
具ＫはボデイＢのガラス受枠部Ｊの内側周面にお
いて、それぞれ両面接着テープ７を介して複数箇
所に接着される。

クリツプ本体Ｃもまた適度な弾性を有する合成
樹脂材にて形成されている。このクリツプ本体Ｃ
は第１図に示すように中央部に基板８を備えてお
り、その下縁には前記差込み溝部３に対し弾性係
入しうる鉤状の押込み縁９が形成されている。ま
た、基板８の中央部には下向きコの字状に切り欠
かれることにより、内外方向へ弾性変形可能な爪
片１０が形成されるとともに、その上縁には前記
各調整用係止縁４と係脱可能に係合しうる係止爪
１１が形成されている。また、基板８の下端にお
いてその左右両端面からは一対のガイド脚片１
８，１８が係止具Ｋに向けて斜め下向きに形成さ
れている。両ガイド脚片１８は係止具Ｋを差込み
溝部３に対して差込む場合のガイドの役割を果た
すもので、拡開方向および第１図に示すＸ，Ｙ方
向へ複合的に弾性変形しうる。さらに、基板８の
上縁において係止具Ｋと対向する側にはモールＭ
の第１フランジ縁ｆ１と係合しうる鉤縁１２が形
成されている。その反対側には、左右両端部から
一対の張出し片１３，１３が末広がり状に突出し
ている。これらは相互に拡開する方向へ弾性変形
した状態で、モールＭの第２フランジ縁ｆ２と係
合しうる。また、基板８の左右両端縁からは、ガ
ラスＧの周面を押圧しうる薄板状の一対の押圧翼
片１４，１４がそれぞれ内方へ向けて末広がり状
にかつ拡開変形可能に延設されている。両押圧翼
片１４の下縁は先端へ向けて上向き勾配となるテ
ーパ面１５が形成されている。また両押圧翼片１
４の上縁の先端寄りには上向きに突起１６が突出
しており、クリツプ本体ＣがモールＭに取付けら
れた状態で、モールＭの内面に当接しうるように
なつている。なお１７は両押圧翼片１４の外側面
において、長さ方向に沿つて形成された補強用の
リブである。

次に、上記のように形成された本例保持具を用
いて、モールＭの取付け作業の実際を説明する。

まず、モールＭの取付けに先立ち、係止具Ｋの
ボデイＢ側への取付け作業が行われる。この作業
は、係止具Ｋの背板１に両面接着テープ７を貼り
付けたもとで、ガラス受枠部Ｊの側面の適所に接
着させることにより行われる。但し、この作業に
おいて係止具Ｋの下面をボデイＢに密着させてお
く。

上記の予備作業が完了した後、モールＭの取付
け作業が行われる。

まず、クリツプ本体Ｃの両張り出し片１３の各
先端側をモールＭの第２フランジ縁ｆ２の所定部
位に係入させる。このもとで、基板８を押圧する
ことにより、両張り出し片１３を第２フランジ縁
ｆ２に沿つて押し拡げながら、鉤縁１２側をモー
ルＭの第１フランジ縁ｆ１へ係入させる。この結
果、両張り出し片１３の弾発力により、鉤縁１２
には第１フランジ縁ｆ１と係合する方向への押付
け力が発揮される。すなわち、クリツプ本体Ｃは
モールＭに対し突張つた状態で装着されるため、
がた付きなく強固に止着されることになる。な
お、クリツプ本体ＣをモールＭに装着した際にお
ける両押圧翼片１４の各突起１６はモールＭの内
面に当接した状態となる。

こうして、クリツプ本体ＣをモールＭに組付け
セツトした後、モールＭのボデイＢ側への組付け
作業が行われる。すなわち、上方から覗き込みな
がら、まず両ガイド脚片１８の先端側を差込み溝
部３に入れ抱持片２とは反対側の壁面に当てる。
そして、そのまま押込んでやると、前述したよう
に両ガイド脚片１８は拡開およびＸ，Ｙ方向へ複
合的に弾性変形し、その変形動作を通じて押込み
縁９を自動的に差込み溝部３へと案内する。この
結果、押込み縁９は抱持片２の弾発力にて保持さ
れる。その一方で、押込み作業はボデイラインと
モールラインとを合致させて正規の状態にすべ
く、係止爪１１に対する所定の一の調整用係止縁
４が選択され、これとの係合がなされる。

ところで、クリツプ本体Ｃが押込まれる場合、
押圧翼片１４のテーパ面１５がガラスＧの上面の
周縁に圧接し徐々に拡開するが、この際にクリツ
プ本体Ｃには押上げ力が作用する。しかし、突起
１６がモールＭの内面に当られていることから、
クリツプ本体Ｃの浮上がりが規制され、モールＭ
の両フランジ縁ｆ１，ｆ２との係合状態が確保さ
れる。したがつて、クリツプ本体ＣはモールＭに
確実に係止したまま係止具Ｋに対して押嵌めるこ
とができる。このため、従来のように、クリツプ
本体ＣがモールＭから外れてしまうような事態は
回避され、再度着け直し等によつて作業の遅延を
招くのを解消できる。

なお、押込み作業が完了すれば、両押圧翼片１
４はウインドガラスＧの端面に圧着されるため、
これらの弾発力によつて係止爪１１と調整用係止
縁４との係合力が増強される。また、同時に係止
具Ｋをガラス受枠部Ｊの側壁面に押付けるため、
接着テープ７の接着効果を補強することもでき、
経時的な接着力の低下を抑制できる、といつた効
果も得られる。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案はモー
ル側に装着されるクリツプ本体と、ボデイ側のガ
ラス受枠部の側面に貼付けられかつクリツプ本体
に係合される係止具とからなり、係止具はその下
部に上向きに開口し拡開方向への適度の弾性変形
可能な差込み溝部が形成され、かつその内壁には
モールの取付け高さの調整用係止縁が高さ方向へ
複数条形成される一方、前記クリツプ本体は、そ
の基板の下部において前記差込み溝部に弾性係入
される押込み縁が形成され、かつ基板の外壁には
係止具の貼付け位置のばら付きを吸収するため
に、前記各調整用係止縁に対し選択的に係合され
る爪片が形成され、かつ基板の内壁の左右両側縁
には前記押込み縁の差込みに伴つて相互に拡開す
る方向へ弾性変形し、押込み縁が差込まれた状態
ではウインドガラスの端面とボデイとの間におい
てガラス端面に当接されることにより、前記係止
具をボデイ側へ押付ける弾性反力を作用させる少
なくとも一対の押圧翼片が内方へ末広がり状に延
出形成され、しかもこの押圧翼片の各端部にはモ
ールの内面に当接しうる突起が突設されてなるこ
とを要旨とするものである。したがつて、本考案
によれば、クリツプ本体を正規の状態に組付けが
できることより、モールの取付け作業を円滑かつ
確実に行うことができ、またモールの良好な装着
状態が得られる。

すなわち、本考案はウインドガラスの周面を押
圧する押圧翼片が基板の左右両側縁から内方へ末
広がり状に延出されていることにより、クリツプ
本体を係止具の差込み溝部に押込んだ際、押圧翼
片がウインドガラスの端面に圧着されて係止具を
ボデイ側に押し付け、長期に亘りモールを確実に
保持することができる。

また、本考案によれば、押圧翼片に突起を形成
してモールの内面に当てるようにしているため、
係止具への押し嵌めの際において、クリツプ本体
の浮上りが規制されることとなり、モールに対す
る係合状態を良好に保持させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本例クリツプ本体の斜視図、第２図お
よび第３図はそれぞれモールの装着作業を示す断
面図、第４図は係止具の取付け状態を示す斜視図
である。 Ｃ……クリツプ本体、Ｂ……ボデイ、Ｍ……モ
ール、Ｋ……係止具、Ｇ……ウインドガラス、３
……差込み溝部、９……押込み溝、１４……押圧
翼片、１６……突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車等のウインドガラスの周辺に装着される
   モールの取付け用保持具であつて、モール側に装
   着されるクリツプ本体と、自動車等ボデイ側のガ
   ラス受枠部の側面に接着手段を介して貼付けられ
   かつクリツプ本体に係合される係止具とからな
   り、この係止具はその下部に上向きに開口し拡開
   方向への適度の弾性変形可能な差込み溝部が形成
   され、かつその内壁にはモールの取付け高さの調
   整用係止縁が高さ方向へ複数条形成される一方、
   前記クリツプ本体は、その基板の下部において前
   記差込み溝部に弾性係入される押込み縁が形成さ
   れ、かつ基板の外壁には係止具の貼付け位置のば
   ら付きを吸収するために、前記各調整用係止縁に
   対し選択的に係合される爪片が形成され、かつ基
   板の内壁の左右両側縁には前記押込み縁の差込み
   に伴つて相互に拡開する方向へ弾性変形し、押込
   み縁が差込まれた状態ではウインドガラスの端面
   とボデイとの間においてガラス端面に当接される
   ことにより、前記係止具をボデイ側へ押付ける弾
   性反力を作用させる少なくとも一対の押圧翼片が
   内方へ末広がり状に延出形成され、しかもこの押
   圧翼片の各端部にはモールの内面に当接しうる突
   起が突設されてなるモールの取付け用保持具。