JP2542231Y2 - 自動車の窓のコーナー用モールの固定装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車の窓のコーナー部に装着されるモー
ルの固定装置に関する。

［従来の技術］ 自動車の窓に嵌められるガラスはその周縁部に沿って
窓開口部の縁との間に空隙が出来ることからこの空隙を
隠すため一般に窓ガラス用のモールが装着される。この
窓用のモールには各種のタイプがあり、自動車の形や大
きさ等デザインに合せて、或は強度や組立の作業性等に
合わせてそれぞれのタイプが選択される。本発明は窓開
口部にファスナーを止着してこれを足場にモールを装着
するタイプのモールの取付にあって窓のコーナー部に装
着されるコーナー用モールの固定装置についての改良考
案に関するものである。

ファスナー併用型のモールは安定性に優れる利点があ
り多くの実用例がある。一般的には帯板状をなす合成樹
脂製ファスナーの下縁に折り返し状の係止爪片を備えて
おり、この爪にモールに設ける係止脚部を掛け止めてモ
ールを安定的に装着する構造となっている。しかし、窓
のコーナー部においてはコーナーの形状に合せてファス
ナーを屈曲させる必要があり、またモールも同様に屈曲
させなければならないことから窓の直線的な開口縁部に
おいてモールを取付けるような単純な構造で実施するこ
とができない。そこで従来は、このコーナー部について
は直線的な部所とは異るコーナー用のモールを使い、併
せてクリップを使用してファスナーに固定する方法を採
用している。

第7,8図は従来のコーナー部におけるモールの実用例
を示したものである。これについて説明すると、図中に
おいて１は自動車のボディで、２はボディの表面を窪ま
せて起立壁面３を形成しながら開設した窓開口部であ
り、４はこの窓開口部に嵌め付けたガラス、５は上記起
立壁面３に沿って粘着テープ６を介して止着した帯板状
をなす合成樹脂製のファスナーであり、７はこのファス
ナーにクリップ８を介して係止したコーナー用の金属製
モールである。

ファスナー５は長手方向に沿って下縁部から折り返し
状の係止爪９を全長に亘り形成し、且つこのコーナー部
においてコーナー曲面に沿って密着した状態で止着でき
るように下縁部から複数の切込み10を設けて該部分を櫛
歯状に形成し、この部分で係止爪片９を個々に独立した
鈎形のものにしてある。

一方、クリップ８はモール７の下面に嵌合する板状の
頭部8aと頭部下面から垂下してその一面に係止爪11を備
える脚部8bからなり、モールの下面に頭部を装着したの
ち、その脚部8bをガラス４とファスナー５との間に通し
て前記係止爪片９に係止爪11を掛け止めることによって
モール７の装着が出来るようにしてある。

［考案が解決しようとする問題点］ この様に従来のファスナー併用型のモールの取付構造
はファスナーとクリップの係合によってモールの取付け
が行われるものとなっているが、この構造に係る取付け
はクリップの脚部を掛止める係止爪片９が切込み10の形
成によって櫛歯状に独立し、係止力を弱めていることか
らクリップ８の掛け止めが不安定であり、外れる危険が
あった。また、係止爪片９の強度が切込みの形成によっ
て低下し、剛性がなくなることに伴ってクリップの係止
爪11を掛け止める作業の際迅速に、且つ正確に掛け止め
るのが困難になり、作業性が悪くなると共に仕上りが悪
くなる問題があった。

本発明はこの様な従来の問題点に鑑み窓のコーナー部
に装着されるコーナー用モールを窓開口部の起立壁面に
止着されるファスナーに対して容易に、且つ正確に掛け
止めることができ、しかも安定した装着状態が得られる
ようにした自動車の窓のコーナー用モールの固定装置を
提案せんとするものである。

［問題点を解決するための手段］ 即ち、本考案はファスナーとモールを止めるクリップ
との係合の弱さに鑑み、この両者の間に補助クリップを
介挿し、ファスナーにおける切込みの形成によって生ず
る係止爪片９の劣化を回避すると共にクリップに対する
係止力を高めて安定した保持力を得、窓コーナー部にお
けるモールの確実な装着が期待できるようにした自動車
の窓のコーナー用モールの固定装置を提供せんとするも
のである。

更に、この考案の特徴とするところを詳述すると、本
考案は窓開口部の起立壁面に沿って止着される帯状ファ
スナーと、ファスナーに係止する補助クリップと、モー
ルの下面に装着されるクリップとからなり、前記ファス
ナーには下縁部にＶ字形の切込みを連設して突片を設け
ると共に、前記補助クリップには上記突片に係止する固
着片と鈎形の係止爪を備え、また前記クリップには前記
モールの下面に嵌合し止め着される頭部と該頭部の下面
から垂下し一面に係合凸部を設ける脚部を備えて該クリ
ップの係合凸部を前記補助クリップの係止爪に掛け止め
ることによってモールを窓開口部縁とガラス周縁部との
間に装着できるようにした自動車の窓のコーナー用モー
ルの固定装置を提供せんとするものである。

上記クリップの脚部に設けられる係合凸部は一個であ
る外、適宜の間隔をおいて脚部の高さ方向に沿って複数
個段設することを含み、補助クリップの係止爪との係合
位置を選択可能とすることによってモールの装着状態を
調整し最適状態に装着できるようにしたことにある。ま
た、本考案はクリップの脚部下端にガラス側に向って延
設する係止腕を備え、モールの装着時に前記係止爪を補
助クリップに係止するのに併せて該係止腕をガラスの周
縁部下面に侵入させて係合し、一層安定的なモールの装
着を可能にした自動車の窓のコーナー用モールの固定装
置を提案せんとするものである。

次に、この考案を第１図乃至第６図に示す実施例につ
きその特徴とするところを詳述し、併せてその他の特徴
を明らかにする。

［実施例］ 第１図は使用状態を説明する斜視図であり、第２図は
第１図II−II線に沿って断面とした要部の拡大縦断側面
図であり、第３図は要部の分解斜視図である。尚、図中
前記従来例において説明した部所と同一のものには同一
の符号を付して一部説明を省略することにする。

図中20はモール７に取付けるクリップであり、21は窓
開口部２に止着されるファスナー５に止め付けて上記ク
リップ20を係止する補助クリップである。

クリップ20は合成樹脂を材料に成形されるもので、モ
ール７に装着するための頭部20aと、この頭部から垂設
される脚部20bから構成されている。上記頭部は断面Ｃ
字形に形成されるモール７の中空部に嵌り込める大きさ
に形成されると共に、窓のコーナー部の曲面に沿うコー
ナー用モール７の形状に合せて弧状に形成され、その両
縁部をモール下面の折り返し部7a,7bにそれぞれ掛け止
めてモールに取付くようにしてある。そして、この実施
例では頭部の上面に長さ方向に沿って隆起部22を設け、
この隆起部をモールの下面に当接することによってガタ
付くことなくモールに装着できるようにしてある。

一方、脚部20bは頭部の下面から同じく窓コーナー部
の曲面に沿うように弧状に垂設され、その凸弧面状をな
す一面に係合凸部23を設け、脚端部からは後述するガラ
ス４の下面に係止する係止腕24を延設している。

ファスナー５は前述従来例について説明した様に合成
樹脂を素材に帯板状に形成され、その下縁部には折り返
し状の係止爪片９が設けてある。ここでは屈曲する窓の
コーナー部に沿って曲面状に撓められるようにその一部
の下縁部を係止爪片９と共に切除し、且つ帯板状をなす
主体部分を間隔をおいて切込む複数のＶ字形切込み25に
よって櫛歯状に形成し、下縁部に沿って複数の突片26が
設けられるようにしてある。

前記補助クリップ21は上記突片26に止め付けてクリッ
プ20の係合を可能にするもので、金属板を素材にして突
片26を抱持し固着する固着止27とクリップ20を掛け止め
る鉤形の係止爪28とを有する。

第４図乃至第６図はこの補助クリップ21を拡大して示
したものであり、板状をなす主体部分21aは突片26の形
状に略適合した倒台形状に形成し、この両側縁部から折
り返し部21bを介して固着片27を延設している。そして
両固着片はそれぞれ主体21aに対して突片26の略肉厚分
の間隔をおいて折り返し状に設けられ、且つ相互が向き
合うようにしてある。従って、この補助クリップは主体
21aを突片26の一面に添わせ、その両側縁部を固着片27
間に差し入れることによって突片26に止め付けることが
できるものとなっている。そして、更にここでは主体部
分に爪29を切起して補助クリップを突片の下端から差し
込んで両固着片27で抱持したときこの爪29を突片の一面
に引っ掛けて抜け止めとし一体的固着が行えるようにし
てある。

一方、係止爪28は主体部分21aの上縁部から前面側に
折り返し状に設けてあり、素材のばね性によって主体部
分側に撓み込めるようにしてある。

この様に構成してなる本考案固定装置はファスナー５
の突片26に補助クリップ21を取付けた状態でこれを窓の
コーナー部の起立壁面３に粘着テープ６を介して止着
し、その一方、コーナー用モール７の下面に前述した方
法でクリップ20を装着する。そして、このクリップ付き
のモール７をガラス４のコーナー部周縁部に外から嵌め
付け、モールをガラスの上面に、そしてクリップの係止
腕24をガラスの下面に各係合させたのち、このモールを
ガラスと共に窓開口部２に嵌め入れ、モール下面のクリ
ップの脚部20bをファスナー５の表面に沿って差し入
れ、その外側面に設ける係合凸部23を前記補助クリップ
の係止爪28に掛け止めて装着作業を完了することにな
る。この装着作業に当って補助クリップ21の係止爪28は
係合凸部23の押付けで一旦主体部分21a側に撓み込み、
その後復元してこの凸部と係合することになる。

尚、この実施例ではファスナーの突片26に１個の補助
クリップを取付けた場合について説明しているが、複数
の突片26にそれぞれ補助クリップを止着し、複数点でク
リップ20を掛け止めるようにすると安定した装着が得ら
れることは言うまでもない。また、クリップ20の脚部20
bに設ける係合凸部23をここでは１個としたが、脚部の
高さ方向に沿って複数個段設すると、補助クリップとの
係合位置を選択することが可能となり、これによってガ
ラス４の嵌め込み深さに併せてモール７の止め付け位置
を決めることが出来、これによってモールとガラス及び
ボディ表面との位置関係を作業時に整合させ一体性を図
ることも可能となる。

［考案の効果］ 以上、本考案を実施例につき詳述したが、前述構成に
よって明らかなように本考案固定装置はファスナーに対
して別体に成形される補助クリップを止着し、この補助
クリップを介してモールに備えるリップを掛け止めるよ
うにしたことからモールを堅固にファスナーに対して止
着することができると共に、補助クリップはファスナー
とは別体に成形するものであることからそれ自体の強度
を任意に選択することができ、したがって強い係止爪を
もった補助クリップを使用することも可能であり、クリ
ップを確実に掛け止められる効果がある。

勿論、補助クリップは単一の外、複数個をセットする
ことができるため、素材の選択を行う以外に任意に掛け
止めの力を選択することができることは言うまでもな
い。

更に本考案は、クリップの脚部に複数の係合凸部を段
設することによってモールの係止位置の選択が可能であ
るため装着時に係合が果せず浮き上ったり、或はモール
とガラスの表面に空隙が出来るようなことがなく安定し
た美麗な装着が得られる利点がある。

そして更に、本考案装置は補助クリップに所要の強度
をもたせることができるため、クリップの脚部を押し込
めば自動的に係合凸部に係止爪を係合させることがで
き、従って装着作業を容易に行えると共に、確実な装着
が行える利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の使用状態を示す斜視図、第２図は上図
II−II線に沿って断面とした要部の縦断面図、第３図は
要部の分解斜視図、第４図は補助クリップの拡大正面
図、第５図は同じく背面図、第６図は第４図のVI−VI線
断面図であり、第７図は従来例の分解斜視図、第８図は
同じく使用状態の拡大縦断面図である。 ２…窓開口部、３…起立壁面 ４…ガラス、５…ファスナー ６…粘着テープ、７…コーナー用モール 20…クリップ、20a…クリップの頭部 20b…クリップの脚部、21…補助クリップ 23…係合凸部、25…切込み 26…突片、27…固着片 28…係止爪

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】窓開口部（２）の起立壁面（３）に沿って
   止着される下縁部に沿って折り返し状の係止爪片（９）
   を設けてなる帯状のファスナー（５）と、ファスナーに
   係止する補助クリップ（21）と、モール（７）の下面に
   装着されるクリップ（20）とからなり、 前記ファスナー（５）には前記窓開口部（２）のコーナ
   ー部に対応する部分につき下縁部に沿って前記係止爪片
   （９）を切除し、且つ帯板状をなす主体部分に間隔をお
   いて下縁部から複数のＶ字形切り込み（25）を設けて櫛
   歯状に複数の突片（26）を連設せしめ、他方前記補助ク
   リップ（21）には上記突片（26）に係止する固着片（2
   7）と鉤形の係止爪（28）を備えしめ、また前記クリッ
   プ（20）には前記モール（７）の下面に嵌合し止着され
   る頭部（20a）と該頭部の下面から垂下し一面に係合凸
   部（23）を設ける脚部（20b）を備え、前記ファスナー
   （５）の突片（26）に下端より補助クリップ（21）を嵌
   め付け固着片（27）で止め付け、その一方該補助クリッ
   プ（21）から突出する係止爪（28）に前記モール（７）
   に装着したクリップ（20）の脚部（20b）に設ける係合
   凸部（23）を掛け止めて前記モール（７）を窓開口部縁
   とガラス周縁部との間に装着するようにした自動車の窓
   のコーナー用モールの固定装置。
2. 【請求項２】実用新案登録請求の範囲第１項記載におい
   て、クリップ（20）の脚部（20b）の一面に設けられる
   係合凸部（23）は脚部の高さ方向に複数個段設されるこ
   とを特徴とした自動車の窓のコーナー用モールの固定装
   置。
3. 【請求項３】実用新案登録請求の範囲第１項記載におい
   て、クリップ（20）には脚部（20b）下端からガラス
   （４）側に向けてガラス（４）の下面に係止する係止腕
   （24）を延設することを特徴とした自動車の窓のコーナ
   ー用モールの固定装置。