JPS6332004Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、自動車ドアの窓枠部に装着される
ウエザストリツプモールデイング（以下、便宜上
シールという。）を固定するためのクリツプに関
するものである。

（従来の技術とその問題点） シールは通常には、クリツプを用いてドアパネ
ルに固定されるのであるが、パネル側には取付孔
が設けられる。この場合、ドアパネルの窓開口の
下縁に内向きの段部を形成し、段部の奥でパネル
を下向きに折曲げて取付片としているものでは、
取付孔を段部と取付片の角に下縁沿いに所定間隔
で開設することがある。

こういつた形式の取付孔に適用されるクリツプ
の従来例として、例えば実開昭51−32816公報の
もの、同51−39919号公報のものおよび同52−
21622号公報のものがある。これらクリツプは金
属板を複雑に折り曲げ加工しなければならないこ
とから、製作が非常に困難である。また、抜け止
めのために爪を切り出しているが、パネルの傷付
けやすく、錆の発生原因ともなる。さらに、取付
孔は段部と取付片の角に跨つて開設されているた
め、取付片の下端部に挟持されているだけでは、
ぐら付きやすく、不安定である。

そこで、本考案はクリツプを適度の弾性を有す
る合成樹脂から 体形成して製作上の問題点を解
消するとともに、パネルに対し確実に固定するこ
とのできるクリツプを提供することを目的とした
のである。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、この考案は自動
車の窓開口の下縁段部と、段部の奥で下向きに曲
げられた取付片の角に開設された取付孔の下縁部
に嵌めて取付けられ、昇降する窓ガラスの外面に
摺接するシール片を備えたシールを保持する合成
樹脂で成形された一体のシール装着用クリツプに
おいて、取付片の後面に当接すると共にシールの
保持手段をその後面に備えた基板と、基板の一部
から下向きに伸び、取付孔に上から入れて基板の
前面との間で取付片を挟着固定する挟着片と、取
付孔の段部にある上縁部へ向けて基板から立設さ
れ、その先端には取付孔の上縁部に対し下か後か
ら係合する係合部を有する係合片とを含んで構成
することとしたのである。

（作用） したがつて、本考案のクリツプは基板に設けら
れたシール保持手段にてシールが保持される。ま
た、ドアパネルに対しては、係合片の係合部が取
付孔の上縁部に下と後から係合し、また挟着片が
基板との間で取付片を挟み付けることによつて、
装着される。

（実施例） 以下、本考案を具体化した実施例を図面にした
がつて詳細に説明する。

図面において、１はドアのパネルであり、窓開
口の下縁には内向きの段部２を有し、段部２の奥
は下向きに曲げられて取付片３となつている。取
付孔４は段部２と取付片３との角において、下縁
に沿つて適当な間隔で開設されている。また、取
付孔４は挿通部４ａとこれより幅狭の係止部４ｂ
とよりなつている。そして、シール５としては、
窓ガラス６に摺接するシール片７、段部２に被せ
られる装飾縁部８および係合基部９が一体になつ
たものが対象となつている。

本例のクリツプＣは取付片３の後面にその前面
を当接する基板１０と、基板１０の後面にシール
を保持する保持手段１１を有しており、全体は合
成樹脂にて一体に成形されている。

シール保持手段１０としては、本例では抱持片
１２がその役割を果している。同抱持片１２は基
板１０の下部を後側へＵ字状に折り返すことで形
成されている。このとき、基板１０と抱持片１２
との間には拡開方向への弾性変形可能な差込み口
１３が形成され、シール５の係合基部９を差込ん
でこれを挟持しうる。また、抱持片１２の内側に
は幅方向に沿つて爪縁１４が形成されていて、係
合基部９の係止爪１５と係合可能である。

なお、抱持片１２の上縁には所定範囲に亘つて
切り欠き１６がある。

基板１０の前側には挟着片１７が形成されてい
る。この挟着片１７は取付孔４の挿通部４ａの幅
よりも少し狭く、ここへ遊挿しうる大きさに形成
され、その先端は上反り状の舌部１８となつてい
る。また、挟着片１７は基板１０との連結にあた
り、その中央部に間隙材１９を縦向きに介在して
いる。この間隙材１９は取付孔４の係止部４ｂと
ほぼ同幅に形成され、本例では挟着片１７の上縁
から舌部１８のやや上部に至るまでの間に亘つて
形成されている。また、その厚みはボデイパネル
１の厚みとほぼ等しくしてある。しかして、挟着
片１７を取付孔４に嵌込んだときには、挟着片１
７が取付片３を挟着するとともに、間隙材１９が
係止部４ｂに係合してクリツプＣ全体の横方向の
ガタ付きを防止することができる。

一方、基板１０の上半部は所定の間隔をおいて
縦向きに二条の切り込み２０，２０が入れられ、
これによつて両間に取付孔４の挿通部４ａよりや
や小幅の係合片２１が起立している。この係合片
２１の先端部は挿通部４ａの上縁部４ｃに対し下
と後から係合する係合部２２を有する。そして、
係合片２１は所定の弾性変形が許容されていて、
取付孔４に対しては適度の弾性力をもつて係合す
るようになつている。すなわち、シール５の装着
状態において、係合片２１はシール５との間に所
定の間隔があくようにしてあり、これが係合片２
１の撓み代ｓとなる（第３図参照）。但し、この
撓み代ｓは係合片２１が充分に撓んだ状態で、係
合部２２による係合が解除される程度に設定され
ている。

引き続き、上記のように形成された本例の作用
と効果を具体的に説明する。

まず、対象とするシール５に対してクリツプＣ
を内側から嵌込む。すなわち、シール５の係合基
部９を差込み口１３から圧入すると、係合基部９
は抱持片１２にて挟持され、同時に爪縁１４と係
止爪１５とが係合する。

この後、クリツプＣを後傾姿勢にして挟着片１
７を挿通部４ａに対して差込みながらシール５を
段部２に対し上方から被せるようにして嵌込む。
そして、クリツプＣ全体を下向きに押し込んでや
ると、挟着片１７は間隙材１９にて案内されなが
ら、挿通部４ａ側から係止部４ｂ側へ変位する。
この結果、挟着片１７が取付片３を挟圧保持する
と同時に、間隙材１９が係止部４ｂに密着状に嵌
り合うことから、クリツプＣの横方向のガタ付き
が規制される。また、この際には係合片２１の係
合部２２が挿通部４ａの上縁部４ｃと弾性力をも
つて係合することとなる。

この固定状態において、クリツプＣの係合片２
１は係合部２２にて取付孔４の上縁部４ｃに対し
後と下から係合するので安定し、かつ窓ガラス６
が上昇する際にシール５が上向きの力を受けてク
リツプを上に外そうとしても、係合片２１の係合
部２２がこれに対抗するのでクリツプＣは上向き
に動かない。また、窓ガラス６の下降によつてシ
ール５が下向きの力を受けたときは間隙材１９の
下端が係止部４ｂの下端に当接しているので、ク
リツプＣは下にも動かない。

なお、シール５を取外す場合には、シール５の
装飾縁部８を捲り上げて係合部２２を露出させ、
ここを適当な治具Ｊをもつて押してやる。する
と、係合片２１は前述した撓み代の分だけ撓むた
め、取付孔４の上縁部４ｃとの係合が解除され
る。したがつて、このままの状態でクリツプＣを
持上げれば、挟着片１７が取付孔４から外れるた
め、クリツプＣ全体を抜き取ることができる。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案は係合
片の係合部が取付孔の上縁部に下と後から係合す
るため、クリツプの固定状態が安定し、かつ窓ガ
ラスの上昇の際に受ける力で上に移動するのを完
全に防止できる。また、クリツプは合成樹脂の一
体成形品であるため生産は容易であり、固定の際
にあるいは使用中にドアパネルの塗装を傷付ける
ことがない。

【図面の簡単な説明】

第１図はクリツプを内側から見た斜視図、第２
図は同外側から見た斜視図、第３図は第１図のＡ
−Ａ線断面図、第４図は取付孔の斜視図、第５図
はクリツプの使用状態を示す断面図である。 ２……段部、３……取付片、４……取付孔、４
ｃ……上縁部、５……シール、６……窓ガラス、
７……シール片、９……係合基部、１０……基
板、１１……保持手段、１７……挟着片、２１…
…係合片、２２……係合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車の窓開口の下縁段部と、段部の奥で下向
   きに曲げられた取付片の角に開設された取付孔の
   下縁部に嵌めて取付けられ、昇降する窓ガラスの
   外面に摺接するシール片を備えたシールを保持す
   る合成樹脂で成形された一体のシール装着用クリ
   ツプにおいて、取付片の後面に当接すると共にシ
   ールの保持手段をその後面に備えた基板と、基板
   の一部から下向きに伸び、取付孔に上から入れて
   基板の前面との間で取付片を挟着固定する挟着片
   と、取付孔の段部にある上縁部へ向けて基板から
   立設され、その先端には取付孔の上縁部に対し下
   と後から係合する係合部を有する係合片とを含む
   ことを特徴とするシール装着用クリツプ。