JPH0143296Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車のドア用モールのクリツプ
に関するものである。

自動車のドアの窓枠部に装着されるウエザスト
リツプモールデイング（以下、単にモールとい
う。）の取付けは、防錆、軽量化等の要請から通
常は合成樹脂にて成形されたクリツプによる。

従来、この種クリツプにはモールの取付け作業
上に問題点が含まれていた。つまり、第１図に示
す如く、ドアのアウタパネルOPへの組付けの際
に、クリツプCLを後傾姿勢で押込むがために、
モールｍのヒレ先端部Ｈを下方へ巻込んでしまう
ことである。

本考案の目的は、上記問題点の解決を図ること
であり、したがつてモールを正規な状態で確実に
取付けることができるクリツプを提供する、とい
うことになる。

以下、本考案を具体化した実施例を図面にした
がつて詳細に説明する。

まず、クリツプＣ１の取付け対象であるモール
Ｍについ説明する。本例モールＭは、ゴムまたは
軟質合成樹脂にて形成され、断面ほぼ形に形成
されたドアのアウタパネル１のモール装着部Ｄに
適合しうる。そして、その上部側にはモール装着
部Ｄに対するヒレ２と、ドアガラスＧに対するリ
ツプ３が形成され、これらによつてシールをなし
うる。また、モールＭの下部側には係合基部４が
垂下形成されるとともに該係合基部４の一面側
（リツプ３側の面）には、図示２段の係止段縁５，
５が長手方向に沿つて段設されている。

さて、本例クリツプＣ１は合成樹脂材にて形成
されており、アウタパネル１の側片６およびモー
ルＭの係合基部４に当接しうる基板７を備えてい
る。そして、この基板７の前面側には、周基板７
の下縁を前側へ折り返すことによつて、モールＭ
の係合基部４が係入されるＵ溝状の差込み口８が
形成されている。また、この折り返し部分におい
て、左右両側縁からほぼ等距離の位置には縦向き
にスリツト９，９がそれぞれ切り込まれている。
このことによつて該折り返し部分の左右両側部に
は抱持片１０，１０が形成され、中央部にはこれ
らより若干高めの係合片１１が形成されるととも
に、これら片は何れも差込み口８を拡開する方向
への独立した弾性変形が許容されることになる。
したがつて、係合片１１は薄肉にするとともに抱
持片１０，１０は厚肉に形成することによつて、
係合片１１のモールＭへの係合作業は容易とな
り、かつモールＭを取外そうとする力に対して抱
持片１０，１０が抗するとともに、抱持片１０，
１０を拡開する力が直接係合片１１に伝わること
がなく、モールＭの外れに対して有効となる。ま
た、前記係合片１１の上縁には鉤状の爪縁１２が
形成されていて、モールＭの両係止段縁５に対し
選択的に係合することができる。

一方、基板７の背面側中央部には断面略Ｓ字状
に形成され、かつ基板７側へ開口する傘状の鉤片
１３が一体かつ水平に突設されている。この構成
により、鉤片１３は窄まる方向への弾性変形が許
容されて、アウタパネル１の側片６の取付け孔１
４へ弾性係入することができる。さらに鉤片１３
の両開口縁部には段部１５，１５がそれぞれ形成
されていて、取付け孔１４の長辺側の側縁と係合
してクリツプＣ１の抜け止めをしうる。

次に、本例クリツプＣ１を用いたモールＭの取
付け作業を説明する。

ドア側への組付けに先立ち、まずモールＭのク
リツプＣ１への仮嵌め作業を行う。即ち、モール
Ｍの係合基部４をクリツプＣ１の差込み口８へ圧
入し、両係止段縁５，５のうち、下段側を係合片
１１の爪縁１２と係合させる（第４図イ状態）。
この状態で、クリツプＣ１をアウタパネル１の側
片６に対し後傾させ、鉤片１３を取付け孔１４に
あてがう。そして、水平方向へ強く押し込んでや
ると、鉤片１３は搾小されて弾性係入される。こ
れに伴つて、クリツプＣおよびモールＭは起立さ
れ、第４図ハ及び第５図に示すように、両段部１
５，１５が取付け孔１４の孔縁と係合された下
で、基板７と側片６とが密着され、これによりア
ウタパネル１に対する抜脱およびがた付きが強固
に規制される。なお、このときには、モールＭの
ヒレ２はモール装着部Ｄの上方に離間位置されて
いる（第４図ロ，ハ参照）。この後、モールＭを
下方へ押圧し、差込み口８へさらに押し込んでや
ると、爪縁１２は上段側の係止段縁５と係合され
るとともに係合基部４の下部が両抱持片１０，１
０にて抱持される。こうして、モールＭのヒレ２
がモール装着部Ｄに被せられる一方、リツプ３が
ドアガラスＧに密接し得、これらによりシール性
が確保される（第４図ニ参照）。

このように本例クリツプＣ１によれば、モール
Ｍのドア側への組付け作業が、モールＭを正立姿
勢でかつヒレ２をモール装着部Ｄの上方に位置さ
せた下で押し下げることによりなされるため、ヒ
レ２は側片６の内側に巻込まれることなく、確実
にアウタパネル１の上面に被せられる。したがつ
て、巻込まれた場合における作業ロスを未然に回
避できる。

また、鉤片１３については、図示のものに限ら
ず、側片６に装着可能な形状のものであればよ
い。また第６図に示すように、クリツプＣ２は、
係合片１１，１１と抱持片１２との関係を逆にし
たものであつてもよい。即ち、クリツプＣ２の折
り返し部分における中央部に抱持片１２を形成
し、その両側にこれより高い係合片１１，１１を
配する如くである。さらに、加えれば、モールＭ
の係合基部４において、係止段縁５は必ずしも２
段に形成する必要はなく、それ以上でもよい。

本考案は上述のように構成されているので、次
に記載する効果を奏することができる。

抱持片と係合片とをスリツトによつて切離して
形成したことにより、クリツプのモールの係止段
縁との係合作業を容易に行なうことができ、かつ
モールの外れが有効に防止できる。

また、モールをクリツプに対して仮付け可能と
したため、クリツプをドアへ組付けた後において
本止めする場合、モールを正規の姿勢のまま押込
めることができる。したがつて、モールのヒレは
そのままドアの側片の上面に被せられ、その巻込
みが有効に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のモールの組付けを示す断面図、
第２図，第３図は本例クリツプを内側および外側
からみた斜視図、第４図イ〜ニは、モールの組付
け作業を示す断面図、第５図は係合した鉤片の断
面図、第６図はクリツプの他の実施例を示す斜視
図である。 １……アウタパネル、２……ヒレ、４……係合
基部、６……側片、７……基板、１０……抱持
片、１１……係合片、１３……鉤片、１４……取
付け孔、Ｃ，Ｃ１，Ｃ２……クリツプ、ｍ，Ｍ…
…モール。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 長手方向に沿つて段設された複数の係止段縁を
   有するウエザストリツプモールデイングの係合基
   部に当接する基板と、この基板の一面側に突設さ
   れ自動車ドアの側片に挿着可能な鉤片と、基板の
   下縁を鉤片とは反対側へ折返すことによつて形成
   され前記係合基部を弾性係入可能な抱持片とを備
   えてなるクリツプであつて、 前記抱持片と前記係止段縁に係脱自在な係合片
   とをそれらの間に縦向きに入れられたスリツトを
   介して並設することによつて、係合片と抱持片と
   をそれぞれ別個独立に拡開方向への弾性変形可能
   とするとともに、前記係合片の前記係止段縁に対
   する係合位置を前記抱持片より上方に設定するこ
   とによつて、クリツプに対しウエザストリツプモ
   ールデイングを仮付け可能としたことを特徴とす
   る自動車のドア用モールのクリツプ。