JPH0952303A - 塩素含有樹脂製壁材の製造方法 - Google Patents

塩素含有樹脂製壁材の製造方法

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JPH0952303A
JPH0952303A JP20465695A JP20465695A JPH0952303A JP H0952303 A JPH0952303 A JP H0952303A JP 20465695 A JP20465695 A JP 20465695A JP 20465695 A JP20465695 A JP 20465695A JP H0952303 A JPH0952303 A JP H0952303A
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JP
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hydrogen chloride
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lithium
lithium carbonate
chlorine
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JP20465695A
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Kiyotoshi Fujii
清利 藤井
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SHOWA CHEM
Showa Kako Co Ltd
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SHOWA CHEM
Showa Kako Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼却時、火災時に多量の塩化水素を発生する
おそれのない塩素含有樹脂製壁材の製造方法の提供。 【構成】 塩素含有樹脂と塩化水素捕捉剤を主成分とす
る塩素含有樹脂組成物と、その他の添加剤を加熱混練
し、その混練物を基布に積層する塩素含有樹脂製壁材の
製造方法であって、前記塩化水素捕捉剤として、次の
(1)〜(4)の塩化水素捕捉剤のうち少なくとも1つ
を使用することを特徴とする。 (1)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
以下の炭酸リチウム。 (2)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
以下の炭酸リチウムと炭酸カルシウムの混合物。 (3)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
以下の炭酸リチウムとZnの金属石鹸の混合物を主成分
とするもの。 (4)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
以下の炭酸リチウムと、Znの金属石鹸と、エポキシ化
合物、亜リン酸エステル類、β−ジケトン類、ポリオー
ル類、カルボン酸類、カルボン酸リチウムのうちの1種
以上の混合物を主成分とするもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特願平7−159
260号公報に示された塩素含有樹脂組成物を用いた、
火災時及び焼却時における有害な塩化水素の発生が極め
て少ない塩素含有樹脂製壁材の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より塩素含有樹脂、特にポリ塩化ビ
ニルは、価格が安価で加工性に優れ、軟質から硬質まで
自由に選択でき、しかも燃やした時に発生する塩化水素
が酸素を遮断して難燃性を示すので、難燃素材として壁
材に多量に用いられている。しかし、最近では、逆に火
災時に有害ガスおよび黒煙を多量に発生するので問題に
なっている。また、使用後に焼却処理したときに発生す
る塩化水素が大気汚染、ひいては酸性雨などの原因にな
ったり、焼却炉が塩化水素によって腐食して耐久性が低
下したり、黒い煙が大量に発生するなどの欠点がクロー
ズアップされている。特に塩素含有樹脂製壁材は、火災
などの際、室内で多量に使用されているために燃焼時に
人体に有害な塩化水素ガスを多量に発生し、煙の害とと
もに人命に危険を及ぼすおそれがあり社会問題になって
いる。
【0003】従来より、ポリ塩化ビニル製壁材には、増
量剤、耐熱性・耐磨耗性充填剤として炭酸カルシウムが
大量に配合されているが、炭酸カルシウムは、500℃
以下の温度では、火災時、焼却処理時に発生する塩化水
素の捕捉剤としては、さほど有効ではない。実際、火災
等で燃焼する場合の壁材の表面温度は、700〜800
℃程度になっており、この温度の燃焼では、炭酸カルシ
ウムは、塩素をCaCl2 として捕捉しても、これが加
水分解を起こして再度、塩化水素が発生する。このこと
は、下記の参考文献の記載からも明白であり、同様のこ
とは、Ca以外のいくつかのアルカリ土類、アルカリ金
属に関しても報告されている。このように、これらの金
属塩化物は、高温域(800℃付近)で加水分解されて
HClを離してしまうので、捕捉率が高いといえない。
特に、Ca化合物以外のNaCl,MgCl2 ,KCl
が生成するNa(ナトリウム),Mg(マグネシウ
ム),K(カリウム)化合物は、高温において安定に塩
化水素を捕捉し、保持するのは、困難である。
【0004】〔参考文献〕 1.久保田宏,内田重男,金谷健;食塩より発生する塩
化水素の基礎的研究,研究報告書〔1〕,昭和55年6
月,(社)プラスチック処理促進協会 2.久保田宏,内田重男他;都市ごみ中の揮発性塩素に
ついて、都市と廃棄物,Vol.12,No.8 3.内田重男:ごみ焼却炉内での塩化水素の生成と除
去,分離技術,22,4(1992)
【0005】
【発明が解決しようとする課題及び作用】本発明は、こ
のような従来の問題点に鑑みなされたもので、焼却、火
災時に多量の塩化水素を発生するおそれのない塩素含有
樹脂製壁材の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明が提供する塩素含
有樹脂製壁材の製造方法は、塩素含有樹脂と塩化水素捕
捉剤を主成分とする塩素含有樹脂組成物と、その他の添
加剤を加熱混練し、その混練物を基布に積層する塩素含
有樹脂製壁材の製造方法であって、前記塩化水素捕捉剤
として、次の(1)〜(4)の塩化水素捕捉剤のうち少
なくとも1つを使用することを特徴とするものである。
【0007】(1)平均粒子径が20μm以下、好まし
くは10μm以下の炭酸リチウム。
【0008】(2)平均粒子径が20μm以下、好まし
くは10μm以下の炭酸リチウムと炭酸カルシウムの混
合物。
【0009】(3)平均粒子径が20μm以下、好まし
くは10μm以下の炭酸リチウムとZnの金属石鹸の混
合物を主成分とするもの。
【0010】(4)平均粒子径が20μm以下、好まし
くは10μm以下の炭酸リチウムと、Znの金属石鹸
と、エポキシ化合物、亜リン酸エステル類、β−ジケト
ン類、ポリオール類、カルボン酸類、カルボン酸リチウ
ムのうちの1種以上の混合物を主成分とするもの。
【0011】本発明者が鋭意研究したところ、アルカリ
金属の中の一つである上記リチウム化合物が塩化水素
(HCl)捕捉剤として最も適していることが判明し
た。実際に塩化ビニルにリチウム化合物を均一に分散混
合して得られた塩素含有樹脂組成物を燃焼させた場合に
は高い捕捉率を示した。リチウム化合物がHClと反応
してできた塩化リチウム(LiCl)の加水分解率は、
800℃付近でも1%以下と他のアルカリ金属、アルカ
リ土類金属と比べて非常に小さく安定である。またリチ
ウム化合物自体、Liの分子量が金属元素の中で一番小
さいので、他の捕捉剤のように多量に配合する必要がな
く、同一モル数を配合しても添加量が非常に少なく塩素
含有樹脂の物性に与える影響も非常に少ない。
【0012】HClと反応してできた塩化リチウムは、
融点(Mp)が606℃と他のアルカリ金属、アルカリ
土類金属塩化物と比べて非常に低いが、蒸気圧が非常に
小さいため、蒸発して水蒸気と反応して加水分解を受け
にくい。上記リチウム化合物をカルシウム化合物、特に
微粒子の炭酸カルシウムと併用しても、リチウム金属イ
オンは、イオン化傾向が金属中で一番大きいので、カル
シウムが捕捉した塩素をリチウムに移して塩化リチウム
として捕捉する。このため、CaCl2 の高温度での分
解が抑制され、HClの捕捉率が高くなる。カルシウム
塩化物であるCaCl2 は、高温で加水分解しても、リ
チウム化合物が一緒に均一混合されていれば、塩素がリ
チウム金属イオンに移行して塩化リチウムとして安定に
存在する。したがって、CaCl2 が高温で加水分解さ
れるであろう比率に見合ったリチウム化合物を余分に添
加しておけば、HCl捕捉率は高くなる。
【0013】上述のように、最適なHCl捕捉剤は、リ
チウム化合物の水酸化リチウム(LiOH)、水酸化リ
チウム一水和物(LiOH・H2 O)、炭酸リチウム
(Li2 CO3 )であるといえる。その他にケイ酸、リ
ン酸などのリチウム塩(化合物)があるが、それらの酸
として見た場合、不揮発性の酸は、塩の高温での分解を
促進する物質となって逆効果である。その他の有機酸
(特に脂肪酸)のリチウム塩もあるが一般に分子量が大
きく、塩素含有樹脂から発生するHClを100%捕捉
するための理論配合量が非常に多くなるため、塩素含有
樹脂自体の物性の与える影響が大である。したがって、
基本的には、水酸化リチウム、水酸化リチウム・一水和
物、炭酸リチウムがHCl捕捉剤として最適で、それら
を配合した塩素含有樹脂組成物が燃焼してもHClの発
生がないか、または極端に少ない。
【0014】上記水酸化リチウムは、アルカリ性が強い
ため問題が起こる場合もある。しかし、例えば、脂肪酸
などの有機酸で表面コートしたり、カップリング剤で表
面処理したり、ポリマーでマイクロカプセル化するなど
の方法によって物性に与える影響を無くして塩素含有樹
脂に配合すれば、HClの発生のない、もしくは、極端
に少ない組成物を得ることができる。塩素含有樹脂が燃
焼時に発生するHClと上記炭酸リチウムとの反応は、
固体/気体(HCl)反応のため、炭酸リチウムを微粒
子にして表面積を大きくすれば、両者の反応性は向上す
る。この場合も表面処理をすることによって塩素含有樹
脂への充填性は向上する。従来より強アルカリ性化合物
をポリ塩化ビニルに配合すると、加工時に初期着色や劣
化を起こすといわれるが、例えば、スズ(Sn)系の安
定剤などの併用によって着色の無い塩素含有樹脂成形品
を得ることが可能になる。要するに、高温で燃焼しても
HClの発生しない、また発生してもその量が極めて少
ない、また着色や劣化も起こさない塩素含有樹脂製壁材
を得ることができる。ただ、壁材の場合は、使用してい
る間に人体の接触もあり、また、水分が付着したりして
水酸化リチウムが溶出するなどの可能性があり安全性の
面からは、壁材には炭酸リチウムが最適である考えられ
る。
【0015】本発明における塩化水素捕捉剤としてのリ
チウム化合物は、他のHCl捕捉剤(と称するもの)と
比べて分子量が小さいことから配合量も少なくて済むの
で、塩素含有樹脂製壁材の物性に与える影響は少なく加
工性も良好である、通常、HClの捕捉性能は、HCl
捕捉剤としての化合物を微粒子にすればするほど向上す
る。しかし、水酸化リチウム(または、その水和物)の
場合は、ともに融点が412℃と低いため、燃焼時にH
Clと反応するときは、液体となっている。このため、
粒子径をさほど厳密に考慮する必要がなく、ただ塩素含
有樹脂と混合して粒子が目立たなければよく、しかも均
一分散されていれば、たとえ100メッシュ程度でもH
Clの捕捉率が高くなる。ただ炭酸リチウムの場合、H
Clとの反応時には、固体であるため、粒子径は、小さ
い程、反応する表面積が大きくなるのでHClの捕捉率
が高くなる。しかし、微粒子化には、物理的、化学的、
価格的な限界がある。これを補うためには上記添加剤
(捕捉率向上助剤)を炭酸リチウムに加えるとよい。こ
のようにすると、理論値に近い値の捕捉率になることが
分かった。
【0016】上記塩素含有樹脂としては、代表例とし
て、ポリ塩化ビニルをあげることができるが、ポリ塩化
ビニルホモポリマーに限定されるものではない。その他
の例としては、塩化ビニルを主体とするブロック共重合
体、グラフト共重合体、さらには、ポリ塩化ビニル樹脂
を主体とするポリマーブレンドを挙げることができる。
塩化ビニルと共重合されるコモノマーとしては、酢酸ビ
ニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタアクリル酸お
よびそのエステル類、アクリロニトリル類、エチレン、
プロビレン等のオレフィン類、マレイン酸およびその無
水物などを例示することができる。これらは、一種また
は、2種以上の混合物として使用される。ポリ塩化ビニ
リデンは、ポリ塩化ビニル樹脂の例と同じくホモポリマ
ー、ブロック共重合体または、ポリマーブレンドを包含
する。また、その他にも塩素化ポリエチレンや塩素化ポ
リ塩化ビニルなどを挙げることができる。
【0017】上記Znの金属石鹸としては、これに対応
する酸として、芳香族酸であればベンゾエート系、脂肪
酸であれば、オクトエート、ラウレート、ステアレー
ト、オレート、リシノレート、ヒドロキシステアレー
ト、マレート(エステルマレートを含む)などが一般に
使用される。
【0018】上記エポキシ化合物としては、エポキシ化
動植物油(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ
油等)、エポキシ化脂肪酸エステル(例えばエポキシス
テアリン酸メチル、エポキシステアリン酸エチルヘキシ
ル等)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポ
キシ化ポリブタジエン、エポキシ化脂環化合物(例えば
エポキシ化テトラヒドロフタレート等)などが一般に使
用される。上記亜リン酸エステル化合物としては、大き
く分類してモノホスファイト、ポリホスファイトがあ
り、そのモノホスファイトには、モノエステル、ジエス
テル、トリエステルがあり、置換基としてはアルキル
基、アリール基がある。ポリホスファイトには、ビスホ
スファイトとポリホスファイトがあり、ビスホスファイ
トには、2価アルコールまたは、水酸基を2個有する芳
香族化合物と4価アルコール(例えばペンタエリスリト
ールなど)とのエステルがある。
【0019】β−ジケトンとしては、特に亜鉛(Zn)
金属石鹸配合の時に捕捉率向上に特徴的に有効な、例え
ば、ステアロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタ
ン等が挙げられる。ポリオールとしては、ペンタエリス
リトールに代表されるポリオールが挙げられる。その他
にグリセリン、ソルビトール、マンニトール、ジペンタ
エリスリトール、トリメチルプロパン、ポリエチレング
リコール、ポリビニルアルコール、およびそれらの水酸
基の一部を反応させて部分エステルにしたものも含まれ
る。
【0020】カルボン酸類は、鎖式カルボン酸(別名:
脂肪酸)と炭素環式カルボン酸(脂環式及び芳香族)に
分類される。脂肪酸には、飽和、不飽和脂肪酸直鎖、分
岐鎖脂肪族、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸が含まれる。
また、これらのリチウム塩についても同様である。ただ
一般に使用されうるカルボン酸類としては、金属石鹸に
使用される酸と同様に、芳香族酸であれば、ベンゾエー
ト系、脂肪酸であれば、オクトエート、ラウレート、ス
テアレート、オレート、リシノレート、ヒドロキシステ
アレート、マレート(エステルマレートを含む)などが
ある。
【0021】その他、壁材としての付加価値を持たせる
ために、例えば、静電気によって埃などが付着しないよ
うにする帯電防止剤、例えば、導電性可塑剤や火災時の
難燃性付与のための難燃剤(この場合、三酸化アンチモ
ンなどの塩化水素との相乗効果によって難燃機能を発揮
するものは除く)を添加することができる。また、塩素
含有樹脂製の壁紙の表面に、例えばEVOH(エチレン
−ビニルアルコール共重合体樹脂)フィルムをコーティ
ングしたり、フッ素系やシリコン系の樹脂被膜を形成す
れば、壁紙の汚染を防止することができる。また加工時
に発泡剤を添加することにより、従来と同様の発泡性壁
紙を製造することができる。これらの加工は、従来の壁
紙と同様に行うことができる。
【0022】製造方法としては、ペースト加工であるス
プレットコーティング法、ロータリー法、あるいはカレ
ンダー加工法や押し出し法を使用することができる。こ
れらの方法によれば、基布(紙、布、不織布、鋼板な
ど)の上にペースト状の樹脂をコーティングするか、半
ゲル状の樹脂をロールによってシート化したものを圧着
することによって、壁材を製造することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに説明
する。
【0024】以下に述べる実施例、比較例においては、
下記の要領で壁材として壁紙を製造した。そして、その
壁紙の燃焼時における塩化水素発生量の測定および塩化
水素捕捉率の計算を行った。表2は、その結果を示す。
壁紙の基布としては、レーヨン不織布を用いた。
【0025】(1)ポリ塩化ビニルコンパウンドによる
壁紙の製造 ポリ塩化ビニルサスペンジョンタイプSX−17(住友
化学工業(株)製、平均重合度1700)100重量部
に対して可塑剤のDOP(フタル酸ジ−2−エチルヘキ
シル)35重量部とDBP(フタル酸ジブチル)20重
量部とDOA(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル)1
0重量部と酸化チタン5重量部と塩化水素捕捉剤および
塩化水素捕捉向上助剤を表1の規定量配合してブレンダ
ーで均一に混合し、ついで150℃で5分間バンバリー
ミキサーにて溶融、混合した後、165℃でカレンダー
成形機に供給してシートにし、これをレーヨン不織布と
ともにエンボスロールに通して両者を圧着し壁紙とし
た。
【0026】(2)実施例における塩化水素捕捉剤とし
てのリチウム化合物の理論配合量 (PVC100重量部より発生するHClを100%捕
捉するために必要な重量部) 水酸化リチウム(LiOH):38phr 炭酸リチウム(Li2 CO3 ):60phr その他、炭酸カルシウム(CaCO3 ):81phr この配合量を従来より使用されている重質炭酸カルシウ
ムに代えて配合した。配合例は、表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】(3)実施例と比較例のポリ塩化ビニル製
壁紙の燃焼によって発生する塩化水素の発生量は、管状
電気炉とガス吸着びんとポンプを接続し、ポンプから一
定量の空気を管状電気炉内に送り、その中に入れたポリ
塩化ビニル製壁紙を管状電気炉内で加熱し、発生する塩
化水素を吸着びん中の水酸化ナトリウム水溶液と反応さ
せて吸着させ、水中の塩素濃度をイオンクロマトによっ
て定量した。測定条件は、次のとおりである。
【0029】燃焼温度:750℃、燃焼時間:15分、
燃焼サンプル量:0.2g前後 吸着液:水酸化ナトリウムN/50水溶液、キャリアー
ガス:空気 空気流量:0.5l/min、燃焼ボート:白金製 (4)ポリ塩化ビニル製壁紙の燃焼時に発生する塩化水
素の捕捉率の算出方法 燃焼させた壁紙の供試品より発生したHClの実測値を
供試品1gに換算した値を、発生量(HCl発生量/サ
ンプル1g当り)とし、この発生量と理論HCl発生量
(燃焼時に発生したHClが全く捕捉されていないとし
た発生量)より下記式を用いて計算した。
【0030】
【数1】
【0031】 (5)実施例において使用した塩化水素捕捉剤 実施例1 水酸化リチウム(無水)38重量部 (キシダ化学
(株)製 試薬1級) 実施例2 炭酸リチウム(平均粒子径3.2μm) 60重量部
(本荘ケミカル(株)製炭酸リチウム(Fグレード)を
ボールミルにて粉砕したもの) 軽質炭酸カルシウム(平均粒子径0.08μm) 30
重量部(白石工業(株)製軽質炭酸カルシウム:白艶華
CCR) 実施例3 炭酸リチウム(平均粒子径9.6μm) 60重量部
(本荘ケミカル(株)製炭酸リチウム(Fグレード)) 実施例4 炭酸リチウム(平均粒子径2.8μm) 60重量部 実施例5 炭酸リチウム(平均粒子径2.8μm) 60重量部 塩化水素捕捉率向上助剤として ステアリン酸亜鉛 5.6重量部(ステアリン酸亜鉛:
共同薬品(株)製:KV85A−1) 実施例6 炭酸リチウム(平均粒子径2.8μm) 60重量部 塩化水素捕捉率向上助剤として ステアリン酸亜鉛 5.6重量部 エポキシ化大豆油 1.0重量部(大日本インキ化学工
業(株)製:エポキシ化可塑剤:W100EL) 亜リン酸エステル 0.5重量部(旭電化工業(株)
製:アデカスタブC) 実施例7 炭酸リチウム(平均粒子径2.8μm) 60重量部 塩化水素捕捉率向上助剤として ステアリン酸亜鉛 5.6重量部 ベンタエリスリトール 2.0重量部(和光純薬 試薬
1級) 実施例8 炭酸リチウム(平均粒子径2.8μm) 60重量部 塩化水素捕捉率向上助剤として ステアリン酸亜鉛 5.6重量部 ジベンゾイルメタン 1.0重量部(和光純薬 試薬1
級) 比較例1 通常の壁紙配合と同じく重質炭酸カルシウムを100重
量部配合(平均粒子径:8μm) 比較例2 通常の壁紙配合と同じく炭酸カルシウムを100重量部
配合したものであるが、塩化水素捕捉率を比較するため
に、微粒子の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径0.08
μm)を100重量部配合 比較例3 塩化水素捕捉剤及び炭酸カルシウムを配合していない壁
紙 比較例4 炭酸リチウム(平均粒子径32μm) 60重量部
【0032】
【表2】
【0033】表2の結果から明らかなように、塩化水素
捕捉剤として水酸化リチウムを配合すると、非常に高い
捕捉率を示す。同様に、炭酸リチウムを捕捉剤として用
いた場合は、10μm以下に粒子径を小さくすること
や、捕捉率向上助剤としてのZn化合物やエポキシ化合
物、亜リン酸エステル類、ポリオール類、β−ジケトン
類などを添加することによって、さらに捕捉率が向上
し、90%以上の高い捕捉率を示す。重質炭酸カルシウ
ムや軽質炭酸カルシウムは、粒子径が小さいにも拘ら
ず、塩化水素捕捉率が50%以下となり、その捕捉性能
は低い。このため、これらの化合物を使用した壁紙は、
火災時の焼却時において有害な塩化水素が多量に発生
し、問題の解決にはならない。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
上述のように、塩化水素捕捉剤を用いて塩素含有樹脂製
壁材を製造するので、廃棄されて焼却された場合や火災
が起こった場合でも、多量の塩化水素が発生することの
ない塩素含有樹脂製壁材を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/07 KGV C08K 5/07 KGV 5/09 KGW 5/09 KGW 5/098 KGX 5/098 KGX 5/15 KHC 5/15 KHC 5/524 KHX 5/524 KHX C08L 27/06 KGL C08L 27/06 KGL D06N 3/00 D06N 3/00 E04F 13/18 8913−2E E04F 13/18 A

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素含有樹脂と塩化水素捕捉剤を主成分
    とする塩素含有樹脂組成物と、その他の添加剤を加熱混
    練し、その混練物を基布に積層する塩素含有樹脂製壁材
    の製造方法であって、前記塩化水素捕捉剤として、次の
    (1)〜(4)の塩化水素捕捉剤のうち少なくとも1つ
    を使用することを特徴とする塩素含有樹脂製壁材の製造
    方法。 (1)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
    以下の炭酸リチウム。 (2)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
    以下の炭酸リチウムと炭酸カルシウムの混合物。 (3)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
    以下の炭酸リチウムとZnの金属石鹸の混合物を主成分
    とするもの。 (4)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
    以下の炭酸リチウムと、Znの金属石鹸と、エポキシ化
    合物、亜リン酸エステル類、β−ジケトン類、ポリオー
    ル類、カルボン酸類、カルボン酸リチウムのうちの1種
    以上の混合物を主成分とするもの。
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