JP3123803B2 - 消煙性に優れた塩素含有重合体用難燃剤組成物及びその製法 - Google Patents

消煙性に優れた塩素含有重合体用難燃剤組成物及びその製法

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JP3123803B2
JP3123803B2 JP04027572A JP2757292A JP3123803B2 JP 3123803 B2 JP3123803 B2 JP 3123803B2 JP 04027572 A JP04027572 A JP 04027572A JP 2757292 A JP2757292 A JP 2757292A JP 3123803 B2 JP3123803 B2 JP 3123803B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、消煙性と熱安定性との
組み合わせに優れた塩素含有重合体用難燃剤組成物及び
その製法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年多発する高層ビル内の火災や地下街
に張り巡らされたケーブルの火災の大きな社会的混乱を
防止するため、又家電装置や産業機械装置やコンピュー
タ等に用いる電気配線用被覆樹脂類及び建築資材として
の内外装用有機合成樹脂類には難燃性の付与が要求され
ている。塩素含有重合体は、熱可塑性樹脂のうちでも比
較的燃えにくいものの一つであるが、一度樹脂成形物に
炎が付くと、容易に自熱するという点で未だ十分に満足
されるものてはない。
【0003】従来、樹脂類に難燃性を付与するために、
種々の無機化合物乃至有機化合物を難燃剤として配合す
ることが行われている。これらの難燃剤のうちでも、亜
鉛系の無機化合物は配合樹脂組成物を燃焼させた後に、
電気絶縁性のある固着性燃焼残渣を残すことが知られて
いる。例えば特公昭56−67363号公報には、樹脂
にホウ酸亜鉛とAl2 3 ,SiO2 ,Sb2 3 ,
nO又はZrOの金属化合物とを配合することが記載さ
れている。又特開昭63−137988号公報(先行技
術A)には、ホウ酸亜鉛粒子の表面にアルカリ土類金属
の酸化物、水酸化物とを、摩砕下に混合させて得られる
耐熱性を改善させた難燃剤組成物とその製法が記載され
ており、この組成物を配合した樹脂は電線、ケーブル等
の被覆に有用であることも示されている。更に、特開昭
60−11543号公報には、低発煙化の目的で酸化亜
鉛、炭酸亜鉛、ケイ酸亜鉛などの亜鉛化合物を配合させ
た塩素含有樹脂組成物が記載されている。更にまた特開
平1−2974489号公報(先行技術B)には、亜鉛
バーニングを防止するため塩化亜鉛を捕捉する多価アル
コールを配合させた三酸化アンチモン、酸化亜鉛からな
る消煙性を有する塩素含有樹脂組成物が記載されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】先行技術A及びB
は、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛等の亜鉛化合物による難燃性
には比較的優れているものの、これを配合した塩素含有
重合体を加熱したとき、所謂亜鉛バーニングと呼ばれる
黒変を生じる傾向があり、前述した提案は、この亜鉛バ
ーニングによる耐熱性低下を抑制したものである。
【0005】ところで、塩素含有重合体に配合する難燃
剤では、配合組成物を着火しにくくする事や、一旦着火
してもこれを消炎させることも重要な作用であるが、火
災発生時の避難を容易にし、且つ消化活動や救助活動を
容易にする見地からは、着火した場合にも煙の発生が少
ないことが望まれている。即ち、塩素含有重合体は、一
旦着火すると激しい黒煙を発生しながら燃焼する事、及
び炎が消えた後でも煙を出しながら燻り続ける事から、
後者の機能は特に重要な意味を有することになるのであ
る。本発明者等は、ZnOの含有量が比較的高く、しか
も微細な粒径を有する亜鉛化合物を、特定の有機配合剤
を保持せしめた担体粒子と複合構造を成す粒状物として
用いると、優れた耐熱性を維持しながら、しかも難燃
性、消煙性を顕著に向上させることを見出した。
【0006】即ち、本発明の目的は、優れた耐熱性を維
持しながら、しかも難燃性、特に消煙性に優れた塩素含
有重合体用難燃剤組成物及びその製法を提供するにあ
る。本発明の他の目的は、周期律表第IIa族金属のケイ
酸塩又はケイ酸塩と前記金属の酸化物乃至水酸化物との
複合物である多孔質担体粒子に塩化亜鉛に対してマスキ
ング乃至キレート化作用を有する有機配合剤を保持させ
た多孔質担体に亜鉛化合物微粒子を被覆させた複合粒子
から成る、優れた耐熱性を維持しながら、しかも難燃
性、特に消煙性に優れた塩素含有重合体用難燃剤組成物
及びその製法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、塩化亜
鉛に対しマスキング乃至キレート化作用を有する有機配
合剤を細孔内に保持する多孔質担体粒子と、酸化亜鉛、
炭酸亜鉛及びケイ酸亜鉛から成る群より選択された少な
くとも1種の亜鉛化合物であって、ZnOとしての含有
量が45重量%以上で、電子顕微鏡法による数平均一次
粒子径が0.1乃至5μmである亜鉛化合物微粒子と
を、亜鉛化合物微粒子が全体当たり3乃至50重量%と
なる量比で、含有する組成物から成り、該多孔質担体粒
子がコア粒子の形で、亜鉛化合物微粒子の大部分がコア
粒子を被覆するシェル層の形で存在することを特徴とす
る消煙性に優れた塩素含有重合体用難燃剤組成物が提供
される。
【0008】本発明によればまた、多孔質担体粒子と塩
化亜鉛に対しマスキング乃至キレート化作用を有する有
機配合剤を混合して、多孔質担体の細孔内に有機配合剤
を保持せしめる工程と、有機配合剤保持多孔質担体と、
全体当たり3乃至50重量%の、酸化亜鉛、炭酸亜鉛及
びケイ酸亜鉛から成る群より選択された少なくとも1種
の亜鉛化合物であって、ZnOとしての含有量が45重
量%以上で電子顕微鏡法による数平均一次粒子径が0.
1乃至5μmの亜鉛化合物の微粒子とを混合する工程
と、この混合物を摩砕条件下に混合、粉砕して、多孔質
担体粒子をコアとし、亜鉛化合物を微粒子の形でコアに
対して被覆させる工程とからなることを特徴とする塩素
含有重合体用難燃剤組成物の製法が提供される。
【0009】
【作用】本発明では、亜鉛化合物として、ZnOとして
の含有量が45重量%以上、特に50重量%以上で、電
子顕微鏡法による数平均一次粒子径が0.1乃至5μm
の範囲にあるものを選択使用するのが第一の特徴であ
る。亜鉛化合物の塩素含有重合体に対する難燃性付与の
機構はまだ十分に明らかでないが、亜鉛化合物が塩素含
有重合体の燃焼時に発生する塩化水素を捕捉して塩化亜
鉛となり、この塩化亜鉛が触媒となって塩素含有重合体
の分解を促進し、塩化亜鉛と炭素からなる不燃性のシェ
ルを形成することにあると一般に言われている。燃焼部
の周囲に不燃性で緻密な上記シェルが形成されると、こ
のものが煙中の粒子を捕捉するので、消炎作用も同時に
達成されるものと思われる。
【0010】本発明に用いられる亜鉛化合物は、従来の
亜鉛化合物であるホウ酸亜鉛のZnO含有量が約37重
量%であるのに対して45重量%以上特に50重量%以
上と大きく、塩化水素を捕捉して塩化亜鉛を形成しうる
能力が大きいため、難燃性付与、消煙作用に特に優れて
いるという利点をもたらす。又、亜鉛化合物のこれらの
作用は、その粒子表面を介して行われるものであるか
ら、粒径を0.1乃至5μmと微細にしたことにより、
難燃性、消煙作用が一層向上するものである。
【0011】ところで、ZnO含有量が大きく、塩化水
素の捕捉性能が大きく、塩化亜鉛を形成する能力が大き
いという事実は、耐熱性の点で著しい不利益をもたら
す。即ち、生成した塩化亜鉛が塩素含有重合体に脱塩化
水素反応をもたらす触媒となるからである。かかる見地
から、塩素含有重合体が燃焼に至らないような加熱条件
下では、塩化亜鉛の塩素含有重合体への作用が封じら
れ、一方塩素含有重合体の燃焼条件下では、塩化亜鉛の
塩素含有重合体への接触作用が十分に発揮されるような
工夫が必要である。
【0012】本発明では、上記亜鉛化合物に対して、塩
化亜鉛に対してマスキング乃至キレート化作用を有する
有機配合剤を細孔内に保持する多孔質担体粒子を組み合
わせ、この多孔質担体粒子をコア粒子とし、亜鉛化合物
微粒子をコア粒子を被覆するシェルとして存在させたこ
とが第二の特徴である。
【0013】多孔質担体(コア粒子)に保持されている
有機配合剤は、通常の加熱条件下では、塩化水素と亜鉛
化合物との反応で塩化亜鉛が生成しても、この塩化亜鉛
をマスキング乃至キレート化して、所謂亜鉛バーニング
による黒変を制御し、これにより有効成分としてのZn
O濃度が高い亜鉛化合物を使用しているにもかかわら
ず、耐熱性を顕著に向上せしめ得る。
【0014】有機配合剤を多孔質担体に保持させて使用
することも重要である。即ち、有機配合剤単独を亜鉛化
合物と組み合わせて使用する場合には、有機配合剤が塩
素含有重合体からプレートアウトする傾向が有るため
に、所定のマスキング乃至キレート化作用が得られない
か、或いは、初期には得られるとしても効果の持続性が
期待できない。これに対して有機配合剤を多孔質担体に
保持させる事により、プレートアウト傾向が緩和され、
有機配合剤の放出が徐々に生じる事により、持続し且つ
安定した耐熱性が得られるものである。
【0015】更に、有機配合剤を多孔質担体に保持させ
て亜鉛化合物と組み合わせて用いると、この多孔質担体
粒子がコア、亜鉛化合物が微粒子の形でこれを被覆する
シェルとなった複合粒子となるという予想外の利点とな
る。この複合粒子では、有機配合剤が酸化亜鉛微粒子に
距離的に近く、作用しやすい為、加熱時のマスキング乃
至キレート化作用が迅速で、亜鉛バーニングの発生が有
効に防止される。又、亜鉛化合物微粒子が既にシェルの
形で存在するため、燃焼時に於ける不燃性シェルの形成
が確実且つ有効に行われると言う利点をもたらす。尚、
複合粒子の形成に際して、有機配合剤は亜鉛化合物微粒
子のシェル形成に際してバインダー的な作用を行ない、
一方多孔質担体粒子は亜鉛化合物を微粒子化(二次粒子
の一次粒子化)又は微細な亜鉛化合物の凝集を防止する
粉砕媒体としての作用を行うものと認められる。
【0016】
【発明の好適態様】(亜鉛化合物) 亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、炭酸亜鉛及びケイ酸亜
鉛から成る群より選択された少なくとも1種が使用され
るが、有効成分(ZnO)含有濃度の点で、酸化亜鉛が
最も好ましい。酸化亜鉛(亜鉛華)としては、従来より
顔料として使用されているものであれば何れも使用する
ことができる。この酸化亜鉛は、広範囲の粒径を有しう
るが、難燃性(酸素指数)を向上させ、伸びや耐衝撃強
度等の機械的性質や成形物の表面平滑性等を向上させ、
更に特に本発明の複合粒子に於いてシェル層を形成しや
すくする為から、平均粒径が5μm以下、特に0.1乃
至2.5μmのものを用いることが望ましい。
【0017】本発明において用いる亜鉛化合物は、一般
に50ml/100g以下、特に30ml/100g以
下の吸油量を有するものが好適であり、吸油量が小さい
ものが亜鉛バーニングを防止して耐熱性を向上させるの
に有効である。
【0018】(多孔質担体粒子)多孔質担体粒子として
は細孔容積が0.4cc/g以上、特に0.6乃至0.
8cc/gの無機化合物担体が使用される。この担体
は、それ自体不活性なものでもよいが、塩素含有重合体
に対して熱安定化作用を有するものが好適であり、この
見地から周期律表第II族金属塩のケイ酸塩が有利に使用
される。
【0019】ケイ酸塩としては、ケイ酸マグネシウム、
ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチ
ウムの如きケイ酸アルカリ土類金属塩、ケイ酸の第IIb
族金属塩が単独或いは2種以上の組み合わせで使用され
る。これらのケイ酸塩のうちでもケイ酸マグネシウム、
ケイ酸カルシウムが好適に使用される。
【0020】ケイ酸の第II金属塩は、所謂正塩でも塩基
性塩でも或いは酸性塩でもよいが、一般に組成が式、
【数1】 で表され、式中、Mは周期律表第II族金属を表し、nは
0.5乃至4の数であることが好ましい。本発明のケイ
酸塩の第II金属塩は、一般に粒径40μm以上の粒径の
ものが10%以下で且つ粒径20μm以下の粒度のもの
が50%以上であるような粒度分布を有していること
が、塩素含有重合体への均一な分散と熱安定効果の点で
望ましい。
【0021】担体に保持させる有機配合剤としては、多
価アルコール、アミノアルコール、ハイドロオキシカル
ボン酸またはそのエステル乃至その塩、β−ジケトン
類、β−ケト酸エステル、アミノカルボン酸乃至その塩
が挙げられる。より具体的には多価アルコール類として
は、モノ又はジペンタエリスリトール、ネオペンチルグ
ルコール、グリセリン、ジグリセリン、グリセリンモノ
脂肪酸エステル、マンニトール、ソルビトール、グルコ
ース、ラクトース等が挙げられる。アミノアルコールと
しては、トリエタノールアミン、N−ヒドロキシルエチ
ルエチレンジアミン等が挙げられる。オキシカルボン酸
乃至そのエステルとしては、グリコール酸、酒石酸、ク
エン酸又はそれらのエステル類、β−ジケトン類又はβ
−ケト酸エステルとしては、アセチルアセトン、ベンゾ
イルアセトン、アセト酢酸エチル、プロピオニル酢酸エ
チル、ベンゾイル酢酸エチル、αアセチルγブチルラク
トン、アミノカルボン酸としては、アスコルビン酸、グ
リシン、アスパルチン酸、エチレンジアミンテトラ酢
酸、エチレングリコールジエチルエーテルジアミンテト
ラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタン酢酸、β−アミ
ノエチルホスホン酸ジ酢酸、或いはこれらの塩が挙げら
れる。他に、チオ尿素、チオグリコール酸等も使用しう
る。
【0022】本発明に用いる有機配合剤は、塩素含有重
合体の加工温度において安定で、該加工温度で実質上不
揮発性であることが望ましい。多孔質体とそれに保持さ
れる有機配合剤との量比は、広範囲に変化させることが
できるが、両者の合計量を基準にして一般に0.4:1
乃至1:0.5、特に0.5:1乃至1:1の重量比で
存在するのが良い。有機配合剤保持担体粒子は、一般に
1.0乃至20μm、特に5.0乃至10μmの粒子径
を有することが好ましい。
【0023】(製造方法)本発明による難燃剤組成物を
製造するに際しては、塩化亜鉛に対しマスキング乃至キ
レート化作用を有する有機配合剤を、該配合剤が樹脂に
配合されるまでは、少なくとも多孔質ケイ酸塩に担持さ
れていることが特に重要な事である。更にまた、本発明
による難燃剤組成物は、前記三成分を単に混合するだけ
では、本発明の目的を達成させることが困難であって、
そのために前記混合工程(A)と摩砕工程(B)とを経
て多孔質担体をコアとし、しかも多孔質担体に保持され
ている有機配合剤の一部を、効率よくシェル層を形成さ
せる酸化亜鉛のバインダーとして利用されるようにして
該組成物の複合体としなければならない。
【0024】以上を満足させる該組成物を製造する工程
(A)及び(B)から成る方法としては、湿式又は乾式
の混合・摩砕の何れによってもよいが、混合工程(A)
において、有機配合剤を前もって多孔質ケイ酸塩に担持
させておくことが重要である。湿式又は乾式の混合・摩
砕の目的には、擂潰機、サンドグラインダーミル、アト
ライター、奈良式粉砕機、湿式又は乾式ボールミル、振
動ボールミル、高速剪断攪拌機等或いはこれらの組み合
わせが使用される。酸化亜鉛シェル層を効率よく形成さ
せる観点からすれば、多孔質担体に担持された有機配合
剤の酸化亜鉛への移行し易さからすると、特に混合が均
一に行われることから湿式混合・摩砕が好ましいが、乾
式混合・摩砕はシェル層の形成がやや不完全なものとな
る傾向があるものの、処理の簡便さと言う面では利点も
多い。
【0025】又、本発明においては、必要に応じて上記
複合体を転動造粒機によって平均粒径0.1乃至2mm
の粒子に造粒して使用する事もできる。更にこの造粒時
に後述する種々の樹脂配合剤を含有させることも可能で
ある。転動造粒には普通の転動造立機の他にヘンシェル
ミキサーやスーパーミキサーのごときミキサー型の造粒
機が使用される。
【0026】(用途)本発明の難燃剤組成物は、塩素含
有重合体に対し、1乃至40重量部、特に5乃至30重
量部で配合して使用する事が出来る。この難燃剤組成物
は、難燃剤成分として単独又は、他の難燃剤であるアン
チモン、ジルコン、モリブデンの酸化物、水酸化物及び
硫化物等を合わせて樹脂に配合する事が出来る。
【0027】本発明の難燃剤組成物を配合しうる塩素含
有重合体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレ
ン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共
重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−
イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共
重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重
合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−
塩化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン
−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−無
水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エ
ステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重
合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩
化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ
塩化ビニル等の重合体、及びこれらの塩素含有重合体と
ポリエチレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリスチレン、
アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体等のブレンド品を挙げることが出来る。
【0028】また、この塩素含有共重合体には、それ自
体公知の各種添加剤、例えば安定剤、可塑剤、酸化防止
剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、造核剤、充
填剤等を配合することが出来る。これらの添加剤は予め
重合体又は本発明の難燃剤組成物中に配合しておくか或
いは本発明の難燃剤組成物と重合体との混練に際して同
時に配合してもよい。
【0029】
【実施例】本発明を次の実施例で具体的に説明する。 実施例1 (多孔質担体粒子の製造)市販酸化マグネシウムとSi
2 含量が98.5重量%の無定形シリカ(水澤化学工
業社製 シルトンA)とをMgO:SiO2 が4:3の
モル比になるように2Lビーカー中のイオン交換水に加
え、これを攪拌して10%スラリーを調製した。ついで
1Lのオートクレイブ(耐圧ガラス製)に上記スラリー
800gを仕込み30rpmの攪拌下に180℃、17
hrの条件で水熱反応を行ない、室温に冷却しケイ酸マ
グネシウムの多孔質担体スラリーを得た。
【0030】(有機配合剤保持多孔質担体の製造)上記
の多孔質担体スラリーに該スラリー乾物100g当た
り、東和合成工業社製ソルビット50gを加え攪拌溶解
させた後、110℃で24hr加熱し、揮発水分を除去
して後、東京アトマイザー製サンプルミルにて粉砕し、
5〜30μmの二次粒子径を有する有機配合剤保持多孔
質コア(以後この調製コアをd−1と記す。)を製造し
た。d−1の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0031】(亜鉛化合物被覆多孔質担体粒子の製造) 被覆用亜鉛化合物である平均一次粒子径が0.1〜5μ
mの酸化亜鉛(神島化学工業社製 ♯200)を図2に
示す。この酸化亜鉛30gと上述したd−1、70g
200mlの卓上ミキサー及び東京アトマイザー製サン
プルミルを用いて混合・摩砕し図3に示す酸化亜鉛被覆
多孔質担体粒子(試料名D−1)を製造した。
【0032】(難燃性試験用軟質PVCシートの作成)
亜鉛化合物被覆多孔質担体粒子D−1を添加した軟質P
VCシートを表1に示す配合に従ってPVC混和物を調
製し、3.5インチのデファレンシャル・ロールミルに
て150℃10分間混練して成形した。次いで以下に説
明する難燃剤試験に供し、その結果を表2に示した。安
定剤とて鉛系安定剤(水澤化学工業社製三塩基性硫酸鉛
及びステアリン酸鉛)を用いた。更に、PVC用安定剤
を非鉛系安定剤(水澤化学工業社製 Ba−Zn系安定
剤)に変えて、同様に軟質PVCシートを作製して難燃
剤試験に供し、その結果を表3に示した。
【0033】(難燃剤試験項目) *耐プレートアウト性 表1に示す配合に従ってPVC混和物を調製し、3.5
インチのデファレンシャル・ロールミルにて150℃1
0分間混練した後、ロール表面の汚れ度合いを目視判定
する。 ○ プレートアウトしない(ロール汚れが無い) × プレートアウトする(ロール汚れ有り) *耐熱性(分) 混練成形したPVCシートをオーブン中にて170℃に
加熱し、劣化着色するまでの時間(分)を測定して難燃
剤含有シートの耐熱性を評価した。 *酸素指数濃度(%) (株)東洋精機製作所製キャンドル法燃焼試験機を使用
し、JIS−K−7201B法に準じて、限界酸素指数
(O・I値%)を測定し難燃性を評価した。 *比視覚密度 (株)東洋精機製作所製のNBS発煙試験装置を用い、
熱輻射量2.5/cm2 で試料PVCシートを加熱し、
発煙させ、発煙強度を煙の白色光透過率より算出する比
視覚密度を用いて評価した。
【0034】実施例2 有機配合剤保持多孔質担体コアd−1と酸化亜鉛との重
量比を60:40にした以外は、すべて実施例1と同様
にして酸化亜鉛被覆多孔質担体粒子D−3を製造し、そ
の難燃性評価を表2及び表3に示した。
【0035】実施例3 有機配合剤保持多孔質担体コアd−1と酸化亜鉛との重
量比を50:50にした以外は、すべて実施例1と同様
にして酸化亜鉛被覆多孔質担体粒子D−3を製造し、そ
の難燃性評価を表2及び表3に示した。
【0036】実施例4 亜鉛化合物被覆剤を酸化亜鉛から塩基性炭酸亜鉛(関東
化学社製 2ZnCO・3Zn(OH)・H
ZnOとしての含量71.8重量%)に替え、d−1と
塩基性炭酸亜鉛との重量比を70:30にした以外は、
すべて実施例1と同様にして酸化亜鉛被覆多孔質担体粒
子D−5を製造し、その難燃性評価を表2及び表3に示
した。
【0037】実施例5 亜鉛化合物被覆剤を酸化亜鉛から塩基性炭酸亜鉛(関東
化学社製 2ZnCO・Zn(OH)・H、Z
nOとしての含量66.3重量%)に替え、d−1と塩
基性炭酸亜鉛との重量比を70:30にした以外は、す
べて実施例1と同様にして酸化亜鉛被覆多孔質担体粒子
D−5を製造し、その難燃性評価を表2及び表3に示し
た。
【0038】実施例6 実施例2で作製した酸化亜鉛被覆多孔質担体粒子D−2
と三酸化アンチモン(東湖産業社製)とを50:50で
混合したものD−6としを表1に従いPVC混和物と
し、実施例1と同様の条件下でPVCシートを作製し
て、難燃性評価をし表2及び表3に示した。
【0039】比較例1 神島化学工業社製酸化亜鉛#200をH−1とし表1に
従いPVC混和物とし、実施例1と同様の条件下でPV
Cシートを成形し、その難燃性評価結果を表2及び表3
に示した。
【0040】比較例2 マンニットと酸化亜鉛とを10:90の重量比で混合し
たものをH−2とし表1に従いPVC混和物とし、実施
例1と同様の条件下でPVCシートを成形し、その難燃
性評価結果を表2及び表3に示した。
【0041】比較例3 実施例1で作製したケイ酸マグネシウムと酸化亜鉛とを
10:90の重量比で混合したものをH−3とし表1に
従いPVC混和物とし、実施例1と同様の条件下でPV
Cシートを成形し、その難燃性評価結果を表2及び表3
に示した。
【0042】比較例4 実施例1で作製したケイ酸マグネシウムをH−4とし表
1に従いPVC混和物とし、実施例1と同様の条件下で
PVCシートを成形し、その難燃性評価結果を表2及び
表3に示した。
【0043】比較例5 水澤化学工業社製ホウ酸亜鉛FR−100をH−5とし
表1に従いPVC混和物とし、実施例1と同様の条件下
でPVCシートを成形し、その難燃性評価結果を表2及
び表3に示した。
【0044】実施例7 ケイ酸分原料として、山形県東田川郡松根産のαクリス
トバライト30%含有の酸性白土をポットミル湿式粉砕
して得られた水性スラリーにCaO:SiO2 のモル比
が0.8になるように消石灰を加え、95℃の加温下に
3時間の攪拌処理をし、室温に冷却し多孔質担体コア粒
子スラリーを得た。次いで該スラリーに該スラリー乾物
100g当たりジペンタエリスリトールアジピン酸エス
テル(味の素社製、プレンライザーST210)50g
を添加し1時間ポットミルで湿式粉砕をし、有機配合剤
保持多孔質担体スラリーを製造した。神島化学工業社製
酸化亜鉛#200を150g添加し、更に1時間ポット
ミルで湿式粉砕をした後、濾過、120℃で乾燥し、東
京アトマイザー社製サンプルミルで粉砕をして、酸化亜
鉛被覆多孔質担体粒子D−7を製造した。D−7を図4
に示す。以下実施例1と同様の操作により、D−7を用
いて難燃性試験用軟質PVCシートを作製し、その試験
結果を表2及び表3に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における有機配合剤保持多孔質コアd
−1の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】 本発明に使用された酸化亜鉛のSEM写真で
ある。
【図3】 本発明の難燃剤、組成物の酸化亜鉛被覆多孔
質担体粒子D−1のSEM写真である。
【図4】 本発明の難燃剤組成物の酸化亜鉛被覆多孔質
担体粒子D−7のSEM写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/04 - 27/08 C01B 33/20 - 33/46 C08K 9/00 - 9/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化亜鉛に対しマスキング乃至キレート
    作用を有する有機配合剤を細孔内に保持する多孔質担
    体粒子と、酸化亜鉛、炭酸亜鉛及びケイ酸亜鉛から成る
    群より選択された少なくとも1種の亜鉛化合物であっ
    て、ZnOとしての含有量が45重量%以上で、電子顕
    微鏡法による数平均一次粒子径が0.1乃至5μmであ
    る亜鉛化合物微粒子とを、亜鉛化合物微粒子が全体当
    たり3乃至50重量%となる量比で、含有する組成物か
    ら成り、該多孔質担体粒子がコア粒子の形で、亜鉛化合
    物微粒子の大部分がコア粒子を被覆するシェル層の形で
    存在することを特徴とする消煙性に優れた塩素含有重合
    体用難燃剤組成物。
  2. 【請求項2】 多孔質担体が周期律表第IIa族金属のケ
    イ酸塩又はケイ酸塩と前記金属の酸化物乃至水酸化物と
    の複合物である請求項1記載の難燃剤組成物。
  3. 【請求項3】 有機配合剤が多価アルコール、β−ケト
    酸エステルまたはβ−ジケトンである請求項1記載の難
    燃剤組成物。
  4. 【請求項4】 多孔質担体粒子と塩化亜鉛に対しマスキ
    ング乃至キレート化作用を有する有機配合剤を混合し
    て、多孔質担体の細孔内に有機配合剤を保持せしめる工
    程と、有機配合剤保持多孔質担体と、全体当たり3乃至
    50重量%の、酸化亜鉛、炭酸亜鉛及びケイ酸亜鉛から
    成る群より選択された少なくとも1種の亜鉛化合物であ
    って、ZnOとしての含有量が45重量%以上で電子顕
    微鏡法による数平均一次粒子径が0.1乃至5μmの
    鉛化合物の微粒子とを混合する工程と、この混合物を摩
    砕条件下に混合、粉砕して、多孔質担体粒子をコアと
    し、亜鉛化合物を微粒子の形でコアに対して被覆させる
    工程とからなることを特徴とする塩素含有重合体用難燃
    剤組成物の製法。
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