JP3616861B2 - 樹脂充填用水酸化アルミニウムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内装材、電子、電気機器のハウジング、その他樹脂成形体に難燃性を付与する樹脂充填用水酸化アルミニウムおよびその製造方法に関する。
さらに詳細には、該水酸化アルミニウムを充填した樹脂成形体に充分な難燃性を付与せしめると共に、加工時のハンドリングが容易であり、且つ得られる成形体が優れた表面性状を呈する樹脂充填用水酸化アルミニウムおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油化学や有機高分子化学の目覚ましい進歩により、高分子材料が我々の生活空間の中で種々の必需品となって存在している。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂は、自動車や家屋内のカーペット、内張り等の内装材、TV、パソコンその他電気製品、電線の被覆材等広く用いられている。しかしこれら高分子材料は周知の如く、高温を発して燃焼する性質を有するため、一旦火災が発生した場合は火勢拡大のみならず、多量の煙、有毒ガス、腐食性ガス等が発生する場合もあることより、安全性、防災上の観点から、より優れた難燃化、不燃化が要求されている。
【0003】
かかる点より、該用途に用いられる高分子材料に対して難燃化の諸対策が講じられてきたが、最近の難燃規制の動向は、燃えにくい材料であることのみでなく、有毒ガスが発生しにくいこと、低発煙性であること等も要求されている。
【0004】
このため高分子材料の難燃化に対しては従来Br系、Cl系などのハロゲン系難燃剤が主体に開発されてきたが、該ハロゲン系難燃剤は発煙性、有毒ガス発生の面から次第に倦厭され、これに替わるものとして低有毒性であり発煙抑制機能をもつ金属水酸化物、酸化錫、酸化アンチモン、ほう酸塩、リン化合物等の無機系難燃剤等の開発が盛んに行われている。
【0005】
中でも水酸化アルミニウムは、加熱に伴う吸熱反応と脱水反応の両面から難燃効果を発揮し、かつ有毒ガスの発生もなく安全性が高い難燃剤である。さらに水酸化アルミニウムの脱水生成物は高比表面積を持ち発煙抑制効果もあり、また他の金属水酸化物に比較し廉価で化学的にも安定である等の多くの利点を有することが知られてしる。しかしながら樹脂に充分な難燃性を付与するためには多量に添加する必要があり、所望の難燃性を付与する程度の水酸化アルミニウムを充填混合する場合には樹脂本来の優れた成形加工性を損ねる等の欠点を有する。
【0006】
樹脂本来の優れた成形加工性等を損ねることなく、難燃性を確保する手段として、無機充填剤に表面処理を施す技術が既に公知である。例えば特開昭61−264034号公報には、シランカップリング剤で表面処理した無機水和物等をEVAに充填する方法が開示されている。
【0007】
しかし上記方法では、該樹脂組成物より得られる成形体の難燃性と機械強度は改善されるが、加熱下での樹脂組成物の流動性は不十分で、成形加工性が悪く、高トルクがかかる混練工程等で生じる発熱により樹脂や表面処理剤等の添加薬剤が劣化し、成形体が着色する等の問題があった。
【0008】
他方、難燃助剤を添加することで金属水酸化物の充填量を減少させ機械的強度の向上を図る手法も知られている。例えば特開昭62−218432号公報にはエチレンプロピレンゴム或いはエチレンブテン−1ゴムに脂肪酸または脂肪酸金属塩で表面処理を施した微粒水酸化アルミニウムと赤燐を配合する方法、また特開昭61−130370号公報には、ポリオレフィン100重量部に、Mg(OH)2 又はAl(OH)3 を50〜100重量部、赤りん、硼酸亜鉛、二酸化チタンのうち何れかを3〜50重量部充填する方法等が記載されている。
【0009】
しかし上記の如く難燃助剤に赤りん等のリン系化合物を用いた場合には、配合作業時、粉塵が発生し作業員の健康を害する可能性があることより厳密な作業環境が要求され、これを達成するため製造設備費の増大を招く等の欠点を有する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は水酸化アルミニウムを樹脂、特に熱可塑性樹脂に充填して樹脂組成物として使用した場合、水酸化アルミニウム以外に何ら他の難燃助剤を添加しなくとも該樹脂組成物により得られた成形体が優れた難燃性を示し、かつ成形加工時のハンドリング性に優れる共に、この樹脂組成物を用いて得られる成形体が優れた表面性状を呈する樹脂充填用水酸化アルミニウムおよびその製造方法を提供するものである。
【0011】
かかる事情下に鑑み、本発明者らは上記目的を満足する樹脂充填用水酸化アルミニウムを見出すべく鋭意検討した結果、特定範囲以下の平均二次粒子径とNa濃度を有し、かつ特定の樹脂に充填した場合、特定の流動性を示す水酸化アルミニウムは上記目的を全て満足し得ること、またかかる水酸化アルミニウムは、原料として特定の物性を有する水酸化アルミニウムを用い、これに粉砕や部分溶解等の特定操作を2種類以上組み合わせて施すことにより得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、含有Na濃度がNa2O換算で0.15重量%以下、平均二次粒子径が10μm以下であり、かつメルトフローレート(以下MFRと略記する場合がある)が0.80g/10分である熱可塑性樹脂100重量部に対し150重量部充填した場合、該樹脂充填後の樹脂組成物のMFRが0.55g/10分以上であることを特徴とする樹脂充填用水酸化アルミニウムを提供するにある。
【0013】
さらに本発明は、含有Na濃度がNa2 O換算で0.3重量%以下、平均一次粒子径が0.5μm〜15μm、平均二次粒子径が0.5μm〜60μmであるバイヤー法で得られた未粉砕の水酸化アルミニウムを、該平均二次粒子径が10%〜90%の範囲になるまで体積粉砕機を用いて粉砕し、次いで粉砕後の水酸化アルミニウムをさらに磨砕による表面粉砕を行い、粉砕後の平均二次粒子径が表面粉砕前の平均二次粒子径の60%〜99%の範囲で、且つ粉砕後のBET比表面積が粉砕前のBET比表面積の1.2〜5倍になるように粉砕することにより、含有Na濃度がNa2 O換算で0.3重量%以下、平均二次粒子径が10μm以下であり、MFRが0.80g/10分である熱可塑性樹脂100重量部に対し150重量部充填した場合、該充填組成物のMFRが0.55g/10分以上である樹脂充填用水酸化アルミニウムの製造方法を提供するにある。
【0014】
さらに本発明は、平均二次粒子径が0.5μm〜30μmの水酸化アルミニウムを乾式衝撃粉砕機を用いて粉砕後の平均二次粒子径が10%〜90%の範囲になるまで粉砕した後、該粉砕後の水酸化アルミニウムを20℃〜80℃で平衡状態にあるアルカリ濃度がNa2 O換算で1mol/l〜10mol/lであるアルミン酸アルカリ溶液に添加してスラリー化し、次いでこのスラリーを10℃〜70℃昇温することにより、アルミン酸アルカリ溶液に添加後の水酸化アルミニウムのBET比表面積を該溶液に添加前よりも70〜95%低下せしめることにより、含有Na濃度がNa2 O換算で0.3重量%以下、平均二次粒子径が10μm以下であり、MFRが0.80g/10分である熱可塑性樹脂100重量部に対し150重量部充填した場合、該充填組成物のMFRが0.55g/10分以上である樹脂充填用水酸化アルミニウムの製造方法を提供するにある。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は幾多の実験より、水酸化アルミニウム充填した樹脂組成物の成形加工時に於ける優れたハンドリング特性と、該樹脂組成物を加工して得られた成形体が十分な難燃性効果を発現すると共に優れた表面性状を発現するとの目的を達成するためには、特定の平均二次粒子径と特定量以下のNa濃度を有し、且つ特定樹脂に充填した場合、特定以上の流動性を示す水酸化アルミニウムでなければならない事、またかかる物性を有する水酸化アルミニウムは、原料として特定の物性を有する水酸化アルミニウムを用い、これに粉砕や部分溶解等の特定操作を2種類以上組み合わせて施すことにより得られることを見いだし完成したものである。
【0016】
本発明の樹脂充填用水酸化アルミニウムの平均二次粒子径は約10μm以下が必須であり、好ましくは約0.1μm〜約10μm、より好ましくは約0.1μm〜約5μmである。水酸化アルミニウムの平均二次粒子径が約10μmを越える場合には、この樹脂組成物より得られる成形体の機械強度低下や、粒子が成形体表面に現れ外観不良を引き起こす。また微粒である場合には分散不良を生じ、同様に成形体の機械的強度低下や外観不良を引き起こす場合がある。
【0017】
また本発明の樹脂充填用水酸化アルミニウムとしては、含有Na濃度がNa2 O換算で約0.3重量%以下、好ましくは約0.01〜約0.2重量%、より好ましくは約0.01〜約0.15重量%のものが使用される。該含有Na濃度が約0.3重量%を越える場合には、耐熱性が低下し樹脂組成物の加工時に熱分解を生起し、難燃性が低下するので好ましくない。
【0018】
更に本発明に於いて使用する水酸化アルミニウムはMFRが約0.80g/10分である熱可塑性樹脂100重量部に対し該水酸化アルミニウムを150重量部充填した樹脂組成物のMFRが約0.55g/10分以上であることが必須である。該樹脂組成物のMFRが約0.55g/10分未満の場合は該樹脂組成物の成形加工性は悪化し、得られる成形体の表面性状や機械的強度が低下する。
MFRの測定に用いる熱可塑性樹脂は、MFRが約0.80g/10分である熱可塑性樹脂であれば、特に制限されないが、本発明に於いては超低密度ポリエチレン(住友化学工業株式会社製、商標名:エクセレンVL、VL100)を用いた。
【0019】
かかる物性を全て満足する水酸化アルミニウムは通常公知の樹脂、例えばポリエチレン、エチレン・プロピレンコポリマー、エチレン・酢酸ビニルコポリマー、エチレンブテンコポリマー、エチレン・アクリレートコポリマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、AAS、AES等のスチレンの重合体もしくは共重合体、メタクリル酸重合体等の熱可塑性樹脂100重量部に対し約50重量部以上、普通には約100重量部以上、更には約150〜約400重量部充填し、難燃性樹脂組成物として広い用途に適用可能である。
【0020】
該水酸化アルミニウム使用に際し、必要に応じて表面処理を行っても良い。
表面処理を行う薬剤は特に限定するものではないが、一般的にはステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、並びに脂肪酸金属塩、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等の各種カップリング剤、マレイン酸・オレフィン等のコポリマー、アルキルリン酸エステル並びにその金属塩が用いられる。中でもアルキルリン酸エステル並びにその金属塩が望ましい。
【0021】
本発明の水酸化アルミニウムの製造方法は上記物性を有するものが得られる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により得ることができる。
先ずその一製造方法としては原料水酸化アルミニウムとして、バイヤー法で得られた未粉砕の平均一次粒子径が約0.5μm〜約15μm、好ましくは約0.5μm〜約10μm、より好ましくは約0.5μm〜約5μm、平均二次粒子径が約0.5μm〜約60μm、好ましくは約1μm〜約30μm、より好ましくは約1μm〜約10μmで、含有Na濃度がNa2 O換算で約0.3重量%以下、好ましくは約0.01〜約0.2重量%、より好ましくは約0.01〜約0.15重量%の水酸化アルミニウムを用い、これを体積粉砕機を用いて、該原料水酸化アルミニウムの平均二次粒子径が約10〜約90%、好ましくは約15〜約85%になるまで粉砕する。
上記原料水酸化アルミニウムとしてはバイヤー法により得られた水酸化アルミニウムが挙げられる。また体積粉砕機とは通常化学工学便覧改訂第4版第1283頁〜1292号に見られるような衝撃粉砕機、ボールミル、振動ボールミル、特殊ボールミル、ジェット粉砕機等を指し、市販品としてはスーパーミクロンミル、コントラプレックス、パルベライザー等の衝撃式粉砕機、遊星形粉砕機、アペックスミル、ハイスウィングボールミル、タワーミル等の特殊ボールミル、ジェットマイザー、ジェットミル等のジェット粉砕機等が挙げられる。
体積粉砕機で粉砕後の水酸化アルミニウムは更に磨砕方法による粉砕を行い、粉砕後の平均二次粒子径が磨砕前(湿式媒体ミル粉砕後)の平均二次粒子径の約60%〜約99%、好ましくは約65%〜約99%の範囲であり、かつ粉砕後のBET比表面積が粉砕前のBET比表面積の約1.2〜約5倍、好ましくは約1.2〜約3.5倍になるように粉砕する。
【0022】
上記製造方法に於いて、体積粉砕に供する原料未粉砕水酸化アルミニウムの平均一次粒子径が約0.5μm未満の場合は、所望の流動性が得られず、他方約15μmより大きい場合は粉砕時に一次粒子にひずみが入り耐熱性が低下する。
また平均二次粒子径が約0.5μm未満の場合は粉砕効率が悪く所望の流動性を示す粒子が得難く、約60μmを越えるような大きい粒子の場合には平均二次粒子径が約10μm以下の粒子を得るために多大なエネルギーを必要とするので好ましくない。
【0023】
本方法に於いて、体積粉砕機での粉砕効果は粒度分布のブロード化に表れ、最適な粉砕を行った場合、高密度充填が可能な粒度分布を有する粉体が得られる。体積粉砕機で粉砕後の水酸化アルミニウムの平均二次粒子径が粉砕前の粒子の10%未満の場合は過粉砕となり粉砕品の耐熱性が低下する。他方、粉砕後の粒径が90%より大きい場合は細密充填を可能とする粒度分布が得られないためか樹脂中への充填量が低下する。
また磨砕に用いる機器としては通常、雷潰機、デカンター等が挙げられる。磨砕による粉砕の程度が、粉砕前の平均二次粒子径と比較して60%未満の場合には比表面積が増大し樹脂に充填した際の流動性が悪化するだけでなく、耐熱性も低下する。また、粉砕後の粒径が99%を越える場合には細密充填を可能とする粒度分布が得られないためか樹脂中への充填量が低下し、成形体の表面性状を満足し、所望の難燃効果を付与させることのできる樹脂充填用水酸化アルミニウムは得られない。
【0024】
第二の製造方法としては、平均二次粒子径が約0.5μm〜約30μm、好ましくは約1μm〜約10μmの水酸化アルミニウムを乾式衝撃粉砕機を用いて粉砕後の平均二次粒子径が約10%〜約90%、好ましくは約15%〜約85%の範囲になるまで粉砕した後、該粉砕後の水酸化アルミニウムを約20℃〜約80℃で平衡状態にあるアルカリ濃度がNa2 O換算で約1mol/l〜約10mol/lであるアルミン酸アルカリ溶液に添加してスラリー化し、次いでこのスラリーを約10℃〜約70℃昇温処理(但し、沸点以下)することにより、アルミン酸アルカリ溶液に添加後の水酸化アルミニウムのBET比表面積を該溶液に添加前よりも約70〜約95%、好ましくは約80〜約90%低下せしめ製造することができる。
乾式衝撃粉砕機としてはジェットミル粉砕機が一般的であり、市販品としてはカウンタージェットミル、超音速ジェットミル等が使用される。
【0025】
本発明の樹脂充填用水酸化アルミニウムは上記方法により得ることができる。またこのようにして得られて水酸化アルミニウム表面への薬剤処理の方法も特に限定するものではないが、例えば、分散媒中で懸濁状態にある水酸化アルミニウムに薬剤を添加し、十分に混合撹拌した後乾燥する方法や、予め薬剤を水、有機溶媒等に溶解または均一分散させた後、水酸化アルミニウムと共にヘンシェルミキサー、ウェルナー、リボンブレンダー等を用いて混合し乾燥する方法、乾燥した水酸化アルミニウムにスーパーミキサー等のブレンダーを用いて薬剤を乾式処理する方法、または水酸化アルミニウムを粉砕し粒度調製時に薬剤を添加し、メカノケミカルを応用して表面処理する方法などが採られる。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述した本発明の樹脂充填用水酸化アルミニウムは、樹脂、特に熱可塑性樹脂に充填して樹脂組成物として使用する場合、本発明の水酸化アルミニウム以外に何ら他の難燃助剤を添加しなくとも得られた成形体が、優れた表面性状並びに機械的強度を損なうことなく、優れた難燃性を発現する量の水酸化アルミニウムを充填し得ることを可能成らしめたもので、安全性や作業性、或いは価格が廉価である事等をも含めその産業上の価値は頗る大である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
尚、本発明において樹脂充填組成物の物性は以下の手法にて測定し、実施例、比較例の評価結果は表1にまとめた。
【0028】
流動性:JIS−K7210に準拠し、測定温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した。測定機器はメルトインデクサー(宝工業製、型式:L207)を用いた。
【0029】
平均一次粒子径:マイクロトラックMKII粒度分布計(SPA モデル7997−20、日機装株式会社製)により測定した。
平均二次粒子径:走査型電子顕微鏡写真を用い、無作為抽出した30個の粒子について一定方向の最大粒子径を測定し、その平均値より求めた。
混練トルク測定法:ラボプラストミルでの樹脂充填組成物混練時、チャート上に表れた混練終了直前のトルク値を読み取った。
表面性状:目視にて観察した。○は成形体の表面平滑性良好、×は表面平滑性不良を示す。
【0030】
難燃性:30×25mm×0.3mmtの試験片に下端からバーナーで火をつけ、火がついたら直ちに試験片下端からバーナーを取り除き、該試験片がすべて燃焼するまでの時間を測定した。
【0031】
(水酸化アルミニウム調製方法)
実施例1
60℃に保持したアルミン酸ソーダ溶液(ソーダ濃度がNa2 O換算で130g/l、Na2 O/Al2 O3 モル比1.6)に、平均二次粒子径2μmの種子水酸化アルミニウムを65g/l添加し攪拌を行いつつ、約5倍量の上記で使用した同組成アルミン酸ソーダを徐々に添加し晶析反応を行わせることにより、含有Na濃度(Na2 O換算)0.1重量%、平均一次粒子径3μm、平均二次粒子径10μm)の水酸化アルミニウムを含むスラリーを得た。該スラリーに水を添加し濃度を100g/lに調整した後、湿式媒体ミル(コトブキ技研工業株式会社製、商品名:アペックスミルAM−1型)に投入して以下の条件で粉砕を行った。
粉砕メディア:2mmφジルコニアボール 700ml
ミル回転数 :1800rpm
流量 :300ml/min
粉砕後の平均二次粒子径は4.3μm、BET比表面積は3.2m2 /gであった。
さらに粉砕後のスラリーをスーパーデカンター(巴製作所製)で表面粉砕を行いながら洗浄及び固液分離を行い、含水率20重量%の水酸化アルミニウムを得た(表面粉砕後の水酸化アルミニウムの平均二次粒子径は4.2μm、BET比表面積は4.1m2 /gであった)。
次いでポリエチレンの袋に上記表面粉砕後の水酸化アルミニウムを投入し、これに該水酸化アルミニウム(乾体基準)に対し表面処理剤として4重量%のステアリルリン酸エステルカリウムを添加し人力で十分混合し、水酸化アルミニウム上に表面処理剤を被覆処理した後、120℃×3時間程度で乾燥した。
【0033】
実施例2
実施例1において晶析によって得た原料水酸化アルミニウムを濾過、洗浄し、120℃×1時間で乾燥した。次いで得られた水酸化アルミニウムをジェットミル(セイシン企業製、商品名:コジェットシステムα)を用いて以下の条件で体積粉砕した。
Pノズル空気圧:5.0kg/cm2
Gノズル空気圧:5.0kg/cm2
処理量 :200g/H
粉砕後の平均二次粒子径は1.7μm、BET比表面積は4.9m2/gであった。さらに該粉砕水酸化アルミニウムに水を添加して含水率50%のスラリーにしスーパーデカンターで表面粉砕、固液分離を行い、含水率20%の水酸化アルミニウムを得た。この平均二次粒子径は1.6μm、BET比表面積は9.2m2/gであった。
得られた水酸化アルミニウムは次いで実施例1と同様の方法で表面処理を行った。
【0034】
(熱可塑性樹脂組成物の作製)
上記実施例1〜2の方法で得た表面処理後の水酸化アルミニウム150重量部とポリエチレンビーズ(住友化学工業株式会社製、超低密度ポリエチレン、エクセレンVL VL100、MFR:0.8g/10分)100重量部を、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製、型式:30−C150、ミキサータイプ:R−100)に投入し、混合した後、ブレードを停止したまま160℃で5分間予熱を行い、予熱終了後、同じく160℃で10分間、60rpmでブレードを回転させて混練し熱可塑性樹脂組成物を得た。このときの混練トルクおよび得られた熱可塑性樹脂の流動性(MFR)、難燃性およびこれより得られた成形体の表面性状を調べた。その結果を表1に示す
【0035】
比較例1
実施例1で用いたと同じバイヤー法水酸化アルミニウムをそのまま(粉砕処理を一切行わないで)実施例1と同様の方法で表面処理を施した後、樹脂との混練を行い熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂の流動性(MFR)、難燃性、混練トルクおよびこれより得られた成形体の表面性状を調べた。その結果を表1に示す
【0036】
比較例2
実施例2において、ジェットミルによる粉砕の後、スーパーデカンターによる表面粉砕を行わない(このものの平均二次粒子径は1.7μm、BET比表面積は4.9m2/gであった)で水を添加して含水率20%の水酸化アルミニウムを得た。
得られた水酸化アルミニウムを実施例1と同様の方法で表面処理を施した後、実施例1と同一の方法で樹脂との混練を行い熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂の流動性(MFR)、難燃性、混練トルクおよびこれより得られた成形体の表面性状を調べた。その結果を表1に示す
【0037】
【表1】
Claims (3)
- 含有Na濃度がNa2O換算で0.15重量%以下、平均二次粒子径が10μm以下であり、かつメルトフローレートが0.80g/10分である熱可塑性樹脂100重量部に対し150重量部充填した場合、該樹脂充填後の樹脂組成物のメルトフローレートが0.55g/10分以上であることを特徴とする樹脂充填用水酸化アルミニウム。
- 含有Na濃度がNa 2 O換算で0.3重量%以下、平均二次粒子径が10μm以下であり、かつメルトフローレートが0.80g/10分である熱可塑性樹脂100重量部に対し150重量部充填した場合、該樹脂充填後の樹脂組成物のメルトフローレートが0.55g/10分以上である樹脂充填用水酸化アルミニウムを製造する方法であり、
含有Na濃度がNa2O換算で0.3重量%以下、平均一次粒子径が0.5μm〜15μm、平均二次粒子径が0.5μm〜60μmであるバイヤー法で得られた未粉砕の水酸化アルミニウムを、該平均二次粒子径が10%〜90%の範囲になるまで体積粉砕機を用いて粉砕し、次いで粉砕後の水酸化アルミニウムをさらに磨砕による表面粉砕を行い、粉砕後の平均二次粒子径が表面粉砕前の平均二次粒子径の60%〜99%の範囲で、且つ粉砕後のBET比表面積が粉砕前のBET比表面積の1.2〜5倍になるように粉砕することを特徴とする前記樹脂充填用水酸化アルミニウムの製造方法。 - 含有Na濃度がNa 2 O換算で0.3重量%以下、平均二次粒子径が10μm以下であり、かつメルトフローレートが0.80g/10分である熱可塑性樹脂100重量部に対し150重量部充填した場合、該樹脂充填後の樹脂組成物のメルトフローレートが0.55g/10分以上である樹脂充填用水酸化アルミニウムを製造する方法であり、
平均二次粒子径が0.5μm〜30μmの水酸化アルミニウムを乾式衝撃粉砕機を用いて粉砕後の平均二次粒子径が10%〜90%の範囲になるまで粉砕した後、該粉砕後の水酸化アルミニウムを20℃〜80℃で平衡状態にあるアルカリ濃度がNa2O換算で1mol/l〜10mol/lであるアルミン酸アルカリ溶液に添加してスラリー化し、次いでこのスラリーを10℃〜70℃昇温することにより、アルミン酸アルカリ溶液に添加後の水酸化アルミニウムのBET比表面積を該溶液に添加前よりも70〜95%低下せしめることを特徴とする前記樹脂充填用水酸化アルミニウムの製造方法。
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