JP2763921B2 - 動的熱安定性に優れた塩素含有重合体用難燃剤組成物 - Google Patents

動的熱安定性に優れた塩素含有重合体用難燃剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、動的熱安定性に優れた塩素含有重合体用難
燃剤組成物に関するもので、より詳細には、塩素含有重
合体の混練を強く行った場合にも黒変の発生が解消され
たホウ酸亜鉛系の難燃剤組成物に関する。
(従来の技術) 近年ケーブル火災による大きな社会的混乱を防止する
ため、電線被覆樹脂等には難燃性の賦与が要求されてい
る。塩素含有重合体は、種々の熱可塑性樹脂のうちでも
比較的燃えにくいものの一つであるが、一度樹脂成形物
に炎がつくと、容易に自燃するという点で未だ十分満足
しえるものではない。
従来、樹脂類に難燃性を賦与するために、種々の無機
化合物乃至は有機化合物を難燃剤として配合することが
行われている。これらの難燃剤の内でも、ホウ酸亜鉛は
配合樹脂組成物を燃焼させた後に、電気絶縁性のある固
着性燃焼残渣を残すことが知られており、例えば特公昭
56-67363号公報には、樹脂にホウ酸亜鉛と、Al2O3,Si
O2,Sb2O3,ZnOまたはZrOの金属酸化物とを配合すること
が記載されており、又特開昭63-137988号公報には、ホ
ウ酸亜鉛粒子の表面にアルカリ土類金属の酸化物、水酸
化物又は塩基性炭酸塩とを、摩砕条件下で混合して得ら
れる耐熱性を改善させた難燃剤組成物及びその製法が記
載されており、この組成物は電線、ケーブル等の被覆と
して有用であることも示されている。
(発明が解決しようとする問題点) ホウ酸亜鉛粒子の表面にアルカリ土類金属の酸化物等
を被覆させる方法は、これを塩素含有重合体に配合した
とき、所謂亜鉛バーニングと呼ばれる現象(一定の熱覆
歴後急激に樹脂組成物が黒色に変色し且つ樹脂の機械的
性質も著しく低下する現象)を防止するには或る程度有
効であるとしても、この難燃剤組成物と塩素含有重合体
とを強く混練した場合には、熱安定化効果が減少し、比
較的短い熱覆歴で亜鉛バーニングを発生することが認め
られた。
この理由は、ホウ酸亜鉛粒子の表面に存在するアルカ
リ土類金属の酸化物等は、確かに亜鉛バーニングを抑制
する作用を行うが、前述した激しい混練条件ではアルカ
リ土類金属酸化物の被覆層がホウ酸亜鉛粒子の表面から
剥離され、これによりホウ酸亜鉛粒子の保護や亜鉛バー
ニングの抑制作用が失われるためと思われる。
従って、本発明の目的は、ホウ酸亜鉛が本来有する優
れた難燃性や、固着性燃焼残渣形成傾向を損うことなし
に、配合樹脂の静的熱安定性は勿論のこと、特に上記し
た動的熱安定性が著しく改善されたホウ酸亜鉛形の難燃
剤組成物を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、ホウ酸亜鉛粒子60乃至90重量%、塩
化亜鉛に対しマスキング乃至キレート化作用を有する有
機配合剤を多孔質担体に保持させた粒子1乃至20重量%
及びアルカリ土類金属またはアルミニウムの酸化物乃至
水酸化物5乃至40重量%を含有して成ることを特徴とす
る動的熱安定性に優れた塩素含有重合体用難燃剤組成物
が提供される。
(作用) 本発明において、難燃剤の有効成分としてホウ酸亜鉛
を使用するのは、このものが塩素含有重合体に対する難
燃性付与に優れていると共に、固着性燃焼残渣を形成す
るという特性を有することによる。
ところで、亜鉛化合物は塩素含有重合体の熱分解によ
り発生する塩化水素を捕捉する作用を有するが、捕捉反
応により生成する塩化亜鉛(ZnCl2)が塩素含有重合体
の分解触媒として作用することが、亜鉛バーニングの原
因である。
本発明は、ホウ酸亜鉛に対して、塩化亜鉛に対してマ
スキング乃至キレート作用を有する有機配合剤を多孔質
担体に保持させた粒子と、アルカリ土類金属またはアル
ミニウムの酸化物乃至水酸化物との両方を組合せること
が顕著な特徴であり、これにより難燃剤と塩素含有重合
体とが苛酷な溶融混練条件下におかれる場合にも、混練
組成物或いはそれから形成される成形体中の塩化亜鉛
を、亜鉛バーニングを生じないような微量に抑制する
か、或いは不活性化することができる。
先ず、本発明の組成物中に存在するアルカリ土類の金
属の酸化物や水酸化物は、塩化水素と反応して、これを
捕捉して塩化亜鉛の生成を抑制する作用を示す。しかし
ながら、かかる酸化物や水酸化物は、一旦塩化亜鉛が生
成した場合には、この塩化亜鉛の接触作用、即ち塩化水
素生成反応に対する接触作用を防止することは殆んどで
きない。本発明によれば、塩化亜鉛に対しマスキング乃
至キレート化作用を有する有機配合剤を共存させること
により、生成した塩化亜鉛の前記接触作用を抑制するも
のである。
本発明において、上記有機配合剤を多孔質担体に保持
させてホウ酸亜鉛との組成物とするのは、次の理由によ
る。即ち、塩化亜鉛に対しマスキング乃至キレート化作
用を有する有機配合剤を塩素含有重合体に直接配合した
のでは、所期の亜鉛バーニング防止効果が十分に得られ
ない。これは、有機配合剤と塩素含有重合体とは一般に
なじみがよくなく、有機配合剤がブリードアウトされる
傾向があるためであり、また有機配合剤のブリードアウ
トにより、混練作業性や成形作業性が著しく低下し、ま
た表面光沢性等の成形品の特性も低下する傾向がある。
これに対して、本発明に従い、上記有機配合剤を多孔質
担体に保持せしめた状態で塩素含有重合体中に配合する
と、前述したブリードアウト傾向を生じることなしに、
塩素含有重合体中に一様にしかも微細に分散せしめるこ
とが可能となり、亜鉛バーニングの発生が有効に解消さ
れると共に、混練及び成形作業性や成形品の物性をも向
上させることが可能となるのである。
本発明において、ホウ酸亜鉛粒子は60乃至90重量%、
特に70乃至80重量%で存在すべきであり、この範囲より
も少ないと難燃性賦与の点で不満足なものとなり易く、
一方上記範囲よりも多いと亜鉛バーニングの発生を防止
することが困難となる傾向がある。有機配合剤保持担体
は1乃至20重量%、特に3乃至15重量%の量で存在すべ
きであり、上記範囲よりも少ないと動的熱安定性、即ち
混練時の熱安定性が低下する傾向があり、一方上記範囲
よりも多いと酸素指数が小さくなり、難燃性が不満足な
ものとなり易い。アルカリ土類金属またはアルミニウム
の酸化物や水酸化物は、5乃至40重量%、特に9乃至25
重量%の量で存在すべきであり、この量が上記範囲を下
廻ると、酸素指数の低下なしに熱安定性を向上させるこ
とが困難となり、一方上記範囲よりも多いと、やはり難
燃性が不十分となる傾向がある。
(発明の好適態様) ホウ酸亜鉛としては、従来難燃剤として使用されてい
るホウ酸亜鉛としてはすべて使用されるが、難燃性に特
に優れたものとして、分子式 2ZnO・3B2O3・3.3〜3.7H2O で表わされるホウ酸亜鉛を挙げることができる。この
ホウ酸亜鉛は、広範囲の粒径を有し得るが、難燃性(酸
素指数)を顕著に向上させ、伸びや耐衝撃強度等の機械
的性質や成形物の表面平滑性等を向上させ、更には脆化
温度を下げて耐寒性を向上させるためには、平均粒径が
10μm以下、特に0.5乃至6μmのものを用いることが
望ましい。このような微小粒径のホウ酸亜鉛は、合成さ
れるホウ酸亜鉛をジェットミル、ボールミル等による粉
砕処理に賦するか、或いはホウ酸亜鉛の合成を、一次粒
径が可及的に大きくなり、一時粒子間の凝集が可及的に
抑制される条件下で行うことにより得ることができる。
本発明に用いる第二成分は、塩化亜鉛に対しマスキン
グ乃至キレート化作用を有する有機配合剤を多孔質担体
に保持させて成る粉体粒子である。上記マスキング乃至
キレート化作用を有する有機配合剤としては、例えば多
価アルコール、アミノアルコール、オキシカルボン酸ま
たはそのエステル乃至その塩、β−ジケトン類、β−ケ
ト酸エステル、アミノカルボン酸乃至その塩等が挙げら
れる。より具体的には、多価アルコール類としては、モ
ノまたはジペンタエリスリトール、トリメチロールプロ
パン、ネオペンチグリコール、グリセリン、ジグリセリ
ン、グリセリンモノ脂肪酸エステル、マンニトール、ソ
ルビトール、グリコース、フラクトース等が挙げられ
る。また、アミノアルコールとしては、トリエタノール
アミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン等が挙
げられる。オキシカルボン酸乃至そのエステルとして
は、グリコール酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸また
はそれらのエステル類:β−ジケトンまたはβ−ケト酸
エステル類としては、アセチルアセトン、ベンゾイルア
セトン、ジベンゾイルメタン、フロイルアセトン、ベン
ゾイルトリフルオロアセトン、アセチル酢酸エチル、ア
セチル酢酸ブチル等:アミノカルボン酸としては、アス
コルビン酸、グリシン、アスパルチン酸、N−ジヒドロ
キシエチルグリシン、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢
酸、N−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、エチレンジア
ミンテトラ酢酸、N,N′−エチレンジアミンジ酢酸、N
−ヒドロキシエチレンジアミントリ酢酸、ジエチレント
リアミンペンタ酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミンテ
トラ酢酸、トリメチレンジアミンテトラ酢酸、エチレン
グリコールジエチルエーテルジアミンテトラ酢酸、エチ
レンジアミンテトラプロピオン酸、β−アミノエチルホ
スホン酸ジ酢酸、或いはこれらの塩等が挙げられる。他
に、チオ尿素、チオグリコール酸、γ−ヒドロキシキノ
リン等も使用し得る。
本発明に用いる有機配合剤は、塩素含有重合体の加工
温度において安定で、しかも少なくとも多孔質担体に保
持された状態において該加工温度で実質上不揮発性であ
ることが望ましい。
多孔性担体としては、細孔容積(PV)が0.5cc/g以
上、特に0.8乃至0.4cc/gの無機化合物担体が使用され
る。この無機化合物担体はそれ自体不活性なものでもよ
いが、塩素含有重合体に対して熱安定化作用を有するも
のが好適であり、この見地から周期律表面第II族金属ま
たは第IV族金属のケイ酸塩が有利に使用される。
ケイ酸塩としては、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カル
シウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウムの如き
ケイ酸アルカリ土類金属塩;ケイ酸亜鉛の如きケイ酸の
第II b族金属塩;ケイ酸鉛の如きケイ酸の第IV族金属塩
が単独で或いは2種以上の組合せで使用される。これら
のケイ酸塩のうちでも非鉛系の無毒安定剤としては、ケ
イ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸亜鉛が好
適に使用され、また高度の熱安定性が要求される用途に
は、ケイ酸鉛が好適に使用される。
ケイ酸の第II族又は第IV族金属塩は、所謂正塩でも、
塩基性塩でも或いは酸性塩(ケイ酸リツチの塩)でもよ
いが、一般には下記式 MO・nSi2 式中、Mは第II族又は第IV族金属を表わし、nは0.3
乃至5の数、特に好適には0.5乃至4の数である、 で表わされる組成を有することが好ましい。
本発明に用いるケイ酸の第II族又は第IV族金属塩は、
一般に粒径40ミクロン以上の粒度のものが10%以下で且
つ粒径20ミクロン以下の粒度のものが50%以上であるよ
うな粒度分布を有していることが、塩素含有重合体への
一様且つ均一な分散性と熱安定化効果との点で望まし
い。
多孔質担体とそれに保持される有機配合剤との量比は
広範囲に変化させることができるが、両者の合計量を基
準として、一般に0.4:1乃至1:0.5、特に0.5:1乃至1:1の
重量比で存在するのがよい。両者の混合による保持に際
しては、有機配合剤を液状媒体等に分散乃至溶解させ、
これから有機配合剤が担体中に包蔵乃至沈積されるよう
にすればよい。
アルカリ土類金属又はアルミニウムの酸化物又は水酸
化物としては、生石灰、消石灰、水酸化マグネシウム、
水酸化バリウム、ジプサイト型水酸化アルミニウム等が
単独又は2種以上の組合せで使用し得る。最も有効な化
合物は、重要な順に水酸化マグネシウム、水酸化カルシ
ウムである。用いる水酸化物等は、可及的に微細な粒度
を有することが耐熱性の点で望ましい。一般に、その粒
径は10μm以下であるのがよい。
本発明の難燃剤組成物は、前記三成分を混合すること
により容易に製造される。混合に際して、三者を一度に
混合してもよく、或は、ホウ酸亜鉛と水酸化物等とを予
め混合し、この混合物に有機配合物担持粉体を加えて両
者の混合を行ってもよい。
本発明の組成物には、所望により、後述する種々の樹
脂配合剤を含有させることも可能である。
本発明の難燃剤組成物は、塩素含有重合体に対し、1
乃至40PHR、特に5乃至30PHRの量で配合して使用するこ
とができる。この難燃剤組成物は、単独の難燃剤成分と
して使用し得る他、他の難燃剤と共に樹脂に配合し得
る。組合せで使用し得る他の難燃剤としては、アンチモ
ン、ジルコン、モリブデンの酸化物、水酸化物及び硫化
物等を挙げることができ、これらとの組合せで難燃性の
相乗作用が得られることが多い。
本発明の難燃剤組成物を適用し得る塩素含有重合体と
しては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩化
ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−
エチレン共重合体、塩化−ビニルプロピレン共重合体、
塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチ
レン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、
塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、
塩化ビニル−スチレン−アクリロニトル共重合体、塩化
ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン
共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩
化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル
−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリ
ル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトル共
重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこ
れらの塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オ
レフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン及び
これらの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチ
レンと他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエ
ン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エ
ステル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸
エステル−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド
品、などをあげることができる。
また、この塩素含有重合体には、それ自体公知の各種
添加物、例えば安定剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定
剤、造核剤、充填剤、有機キレート、含量、帯電防止
剤、塩基性無機酸塩、防曇剤、プレートアウト防止剤、
表面処理剤、滑剤、蛍光剤、防カビ剤、殺菌剤、光劣化
剤、加工助剤、離型剤等を配合することができる。これ
らの添加剤は予め重合体中に配合しておくが或いは本発
明の難燃剤組成物と重合体との混練に際して同時に配合
してもよい。
(発明の効果) 本発明によれば、ホウ酸亜鉛に対して、塩化亜鉛に対
してマスキング乃至キレート化作用を有する有機配合剤
を多孔質担体に保持させる粉体粒子及びアルカリ土類金
属又はアルミニウムの酸化物、水酸化物を組合せで配合
することにより、ホウ酸亜鉛が本来有する優れた難燃作
用や固着性燃焼残渣形成作用を損なうことなしに、塩素
含有重合体と混練した際の動的熱安定性を顕著に向上さ
せることが可能となった。
(実施例及び比較例) 参考例1で得られたホウ酸亜鉛、参考例2で得られた
多孔質担持体及び各種の金属水酸化物からなる本発明に
よる難燃剤組成物を鉛系安定剤を配合させた塩素含有重
合体組成物に用いて、ポリ塩化ビニルシートを作成し、
以下に示す難燃性及び熱安定性等を評価し、その結果を
第3乃至5表に示した。
参考例1.硼酸亜鉛の調製 特開昭63-137988公報の実施例1に準拠して調製し
た。
硼酸663gと水5980gを含む溶液を用意した。この溶液
を85℃に加熱し、あらかじめ硼酸亜鉛(2ZnO・3B2O3
3.5H2O)10gを種として加えた。その加熱溶液を激しく
撹拌しながら硼酸1982gと酸化亜鉛936gを約1時間かけ
て加熱溶液中に添加し、85℃に保ちながら5時間撹拌反
応を行った。次にこの反応物を濾過し、結晶物と濾液と
に分離した。結晶物は、水約5lで洗浄した後120℃恒温
乾燥器中で12時間乾燥した。得られた硼酸亜鉛は2300g
であった。このものの分析結果は、ZnO 37.91%、B2O3
47.70%、H2O 14.39%であった。また粒度分布はコール
ターカウンター法による平均粒度が8μmであった。
(試料番号A−1) この硼酸亜鉛をジェットミルで粉砕し、平均粒径2μ
mのものを得た。(試料番号A−2) 参考例2.多孔質担持体の調製 試料No.B−1(ケイ酸カルシウム) ケイ酸分原料として市販のケイ酸ソーダ溶液を硫酸中
に滴定して強酸性液中にゲル化させ、次いで水洗して得
られたケイ酸ゲルとカルシウム原料として市販の消石灰
を用いて、両原料の水性スラリーをCaO:SiO2基準で0.3:
1、0.6:1及び0.8:1のモル範囲になるように混合し、次
いでそれぞれこのスラリーを90℃の加温下に3時間の加
温処理を行った後、濾過、140℃で乾燥された後、アト
マイザーにて粉砕分級をし、それぞれ試料B−1−1、
B−1−2、及びB−1−3のケイ酸カルシウムを調製
した。
試料No.B−2(ケイ酸カルシウム) ケイ酸分原料として、山形県東田川郡松根産のα−ク
リストバライト30%含有の酸性白土をポットミル湿式粉
砕して得られた水性スラリーにCaO:SiO2のモル比が0.8
になるように消石灰を加え、同様にして95℃の加温下に
3時間の撹拌処理をし、次いで濾過、140℃で乾燥し同
様に粉砕分級をして試料No.B−2のケイ酸カルシウムを
調製した。
試料No.B−3(ケイ酸マグネシウム) ケイ酸原料として新潟県北蒲原郡中条町産の酸性白土
の酸処理物であるSiO2含量98.5%の活性ケイ酸を用い
て、その水性スラリーにMgO:SiO2のモル比が0.8:1にな
るように市販の酸化マグネシウムを加え、同様にして95
℃の加温下3時間の撹拌処理をして以下同様にして乾燥
・粉砕・分級して試料No.B−3のケイ酸マグネシウムを
調製した。
試料No.B−4(ケイ酸バリウム) ケイ酸原料として、試料No.B−3で用いた活性ケイ酸
の水性スラリーにBaO:SiO2のモル比が0.8:1.0になるよ
うに市販の水酸化バリウムを加え、ポットミル中で湿式
粉砕した後、オートクレーブ中で150℃で3時間の水熱
処理をした後、同様にして濾過、乾燥、粉砕、分級して
試料No.B−4のケイ酸バリウムを調製した。
試料No.B−5(ケイ酸亜鉛) ケイ酸原料として試料No.B−3で用いた活性ケイ酸の
水性スラリーにZnO:SiO2のモル比が0.8:1.0になるよう
に市販の酸化亜鉛を加え、同じくボットミルで均質スラ
リーとした後、試料No.A−4と同様にオートクレープ中
で150℃で5時間の水熱処理をした後、同様に、濾過、
乾燥、粉砕、分級して試料No.B−5のケイ酸亜鉛を調製
した。
試料No.B−6(ケイ酸鉛) ケイ酸原料としては市販の2号ケイ酸ソーダ水溶液を
用い鉛原料としては、リサージを酢酸に溶解させて調製
した酢酸鉛水溶液を用い、PbO:SiO2の酸化物基準で1:3
のモル割合になるように上記両水溶液を撹拌下60分を要
して同時注下しさらに10%苛性ソーダ水溶液を用いて、
pHを6.5〜7.5に調製し更に60分間熟成後、得られたケイ
酸鉛の白色スラリーを濾過水洗いして200℃で24時間乾
燥し粉砕して40μ以下の微粒子に分級して試料No.B−6
のケイ酸鉛を調製した。
試料No.B−7(ケイ酸鉛−カルシウム) ケイ酸原料として、市販の1種メタケイ酸ソーダを用
い、鉛原料としては市販試薬の酢酸鉛を、またカルシウ
ム原料としては市販試薬の塩化カルシウムを用いPbO:Ca
O:SiO2の酸化物基準で1:1:2のモル割合になるように配
合し、ポットミル中で湿式複分解反応させた後、得られ
た白色スラリーを濾過洗浄し、次いで200℃で24時間乾
燥後、粉砕して40μ以下の微粒子に分級して試料No.B−
7のケイ酸鉛−カルシウムを調製した。
試料No.A−8(ケイ酸カルシウム−亜鉛) ケイ酸原料およびカルシウム原料は試料B−2に記載
と同様の方法で得られたものを用い亜鉛原料としては市
販の1号亜鉛華を用いCaO:ZnO:SiO2の酸化物基準として
2:1:4のモル割合になるように配合しポットミル中で湿
式混合粉砕した後、オートクレーブ中で10kg/cm23時間
水熱合成し次いで200℃で24時間乾燥してから粉砕して4
0μ以下の微粒子に分級して試料No.B−8のケイ酸カル
シウム−亜鉛を調製した。
以上の多孔質体に亜鉛金属塩に対しマスキング乃至キ
レート化作用を呈するジペンタエリスリトール、アセチ
ルアセトン、及びα−アセチル−γ−ブチロラクトンの
有機配合剤の所定量を湿式ミル混合及び乾式混合法で所
定量をそれぞれ担持させ、本発明に用いる多孔質担持体
粉末を調製し、それを第1表に示した。
難燃剤組成物の調製 参考例1で得られたホウ酸亜鉛、第1表に示した多孔
質担持体粉末及び特に吸油量が100ml/100g以下の市販の
マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの水酸化物
粉末のそれぞれ所定量をアトマイザーで予備混合をし、
第2表に示す本発明による難燃剤組成物の粉末に調製し
た。
塩素含有樹脂組成物のシート作成 第3乃至4表に示した配合から成る塩素含有樹脂組成
物のそれぞれを3.5インチロール、150℃で10分間混練を
し、厚さ10mmのシートとする。
試験方法 1)耐熱性試験 静的熱安定性 テフロン板の上に、厚さ0.7mmの混練シートを40mm×3
0mmに切り密着するようにのせこのテフロン板を200〜20
2℃に保たれたギヤオーブン中に入れ、シート表面が黒
色に一部変色を起こすまでの時間を測定する。
動的熱安定性 機械的シェアを加えながら加熱した場合の樹脂の劣化
状態で表わす。
(プラスミトル法) 試料をプラストミルにより一定の条件下で混練し、樹
脂の分解し始めるまでの時間を測定する。
プラスミトル条件 180℃×40r.p.m 2)難燃性 (株)東洋精機製作所製キャンドル法燃焼試験機を使
用し、JIS-K-7201B法に準じて行い、限界酸素指数(O.
I.%)を測定し、難燃性を評価した。
3)耐プレートアウト性 樹脂をロールにて混練したとき、混練シートがロール
表面につき離れない状態をプレートアウトという。この
プレートアウトの状態を評価した。
○;プレートアウトしない △;若干プレートアウトする ×;プレートアウトする なお本発明によるホウ酸亜鉛系難燃剤組成物の作用効
果を明確にするため、第3表に比較例も併せて示した。
以上の結果、第3乃至5表から明らかなように、塩素
含有重合体において、難燃剤であるホウ酸亜鉛に特にジ
ペンタエリスリトール等の有機配合剤を担持させたケイ
酸塩系多孔質体を併用することにより、従来から問題に
されていたホウ酸亜鉛にもとづく亜鉛バーニングとして
の耐熱性劣化が静的にも動的にも著しく改善されている
ことがよく理解される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5:053 5:10 5:07 9:12) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08K 3/00 - 13/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホウ酸亜鉛粒子60乃至90重量%、塩化亜鉛
    に対しマスキング乃至キレート化作用を有する有機配合
    剤を多孔質担体に保持させた粒子1乃至20重量%及びア
    ルカリ土類金属またはアルミニウムの酸化物乃至水酸化
    物5乃至40重量%を含有して成ることを特徴とする動的
    熱安定性に優れた塩素含有重合体用難燃剤組成物。
  2. 【請求項2】有機配合剤が多価アルコール、β−ケト酸
    エステル、β−ジケトン、である請求項1記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】多孔質担体が周期律表第II族金属又は第IV
    族金属のケイ酸塩、又はケイ酸と前記金属の酸化物乃至
    水酸化物との複合物である請求項1記載の組成物。
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