JP6934656B2 - ハイドロタルサイト類化合物、該ハイドロタルサイト類化合物を配合してなる樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の結晶構造と粉体物性を有するハイドロタルサイト類化合物と、それを配合してなる樹脂組成物及びその成形体に関する。
ハイドロタルサイト類化合物は、通常、M2+ 1−xM3+ x(OH)2An− x/n・mH2Oの組成式で表わされ、結晶構造が層状構造をしており、2価(M2+)および3価(M3+)の金属の複合水酸化物からなる基本層と、その基本層間にアニオン(An−)と水を有する中間層からなる。
基本層は2価の金属イオンの一部の代わりに3価の金属イオンが配位することで正に帯電しており、基本層の層間にアニオンがインターカレートすることで、トータルの電荷が中和している。
ハイドロタルサイト類化合物は、基本層の表層および層間にアニオンを吸着することが可能であり、その能力によって合成樹脂、合成ゴム、セラミック、塗料、紙、トナー等に配合され、ハロゲン捕捉剤や受酸剤、吸収剤としての効能を有する優れた安定剤として広範な用途に使用されている。
ポリ塩化ビニル樹脂などの塩素含有樹脂は、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れ、難燃性と電気絶縁性を有し、熱を加えると軟化し、冷却すると硬化することから加工に好ましく、可塑剤の添加によって成形品自体の柔らかさの変更も可能であり、更に安価である等から用途は多岐にわたり、衣類、壁紙、バッグ、クッション材、断熱材、防音材、保護材、ロープ、電線被覆、網戸、包装材料、水道管、建築材料、農業用フィルム、消しゴムなど幅広く使用されている。
しかし、塩素含有樹脂は熱や紫外線等を受けると、分子鎖中の塩化水素が脱離して分子鎖中の炭素の二重結合を生成しやすく、その二重結合や脱離した塩化水素が更に分子鎖から塩化水素の脱離を誘引し、分子鎖中の炭素の二重結合の連続体を生み出し、着色や脆性を大きくして商品価値を低下させる問題を抱えており、成形加工時の加熱や長時間の使用に対する対策が必要である。
その対策として、以前から様々な安定剤を添加して塩素含有樹脂の安定性を改善、向上させることが行われており、鉛系、有機スズ系、金属石鹸系などの各種安定剤が提案、使用されている。
しかしながら、鉛系や有機スズ系安定剤は近年、鉛やスズ自体が人体や環境に有害であることから使用が避けられる方向にあり、環境への負荷が少ない金属石鹸系の亜鉛−カルシウム系や亜鉛−バリウム系安定剤への代替が進んでいる。
ところが、耐熱性の向上を目的に亜鉛金属石鹸系安定剤を多量に塩素含有樹脂に配合すると、亜鉛焼けと呼ばれる樹脂が黒化する現象や、亜鉛系安定剤が外部滑剤としても働くため混練を阻害する等の問題がある。
一方、ポリ塩化ビニル樹脂などの塩素含有樹脂の成形品は、用途によって屋外あるいは屋内で太陽光に曝されることがあり、紫外線等による着色や脆性低下といった耐候性劣化を起こす問題があり、それらを抑制する目的で、有機酸金属塩、無機金属塩、亜リン酸エステル類等の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤等を配合している。
しかしながら、その酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤が塩素含有樹脂中で金属イオンと反応して着色し、本来の色調が出ずに商品価値を下げるだけでなく、紫外線吸収剤や光安定剤が当初の性能を発揮できず、設計した耐候性が出なくなるなどの問題が生じる。
特に射出成型や押出混練等の加熱加圧条件下では、樹脂自体や樹脂の配合物の活性や脱離、移動、反応が活発になり、金属イオンと紫外線吸収剤や光安定剤との反応等がいっそう促進される。
この現象は、マグネシウムやアルミニウムを基本とし、僅かであるが他の金属元素も含有するハイドロタルサイト類化合物を安定助剤として塩素含有樹脂に使用した際も発生し、βジケトン等の有機安定化助剤を添加するなどして着色等の問題を解決している(特許文献1,2)。
また、例えばメルカプトのエステル化合物を更に添加することで耐候性を損なうことなく、よりいっそう着色を防止する方法等が提案されている(特許文献3)。
近年、環境保護や環境負荷低減の観点から塩素含有樹脂にも、その長寿命化やリサイクル、リユースが強く求められ、対策としてハイドロタルサイト類化合物などの安定助剤や紫外線吸収剤、光安定剤などの各種安定剤の配合量増による対応が提案・検討されている。
しかしながら、ハイドロタルサイト類化合物や光安定剤等の各種安定剤の配合量を単純に増やすことは、金属イオンと光安定剤等との反応機会が増えることになり、樹脂の着色や安定剤の能力低下による耐候性劣化が著しくなり好ましくない。
そこで、ハイドロタルサイト類化合物から離脱する各種金属イオンと光安定剤等との反応を抑制する、βジケトン等の添加量を増やすことが提案されたが、ブリードやブルーミングと呼ばれる樹脂からそれらが浮き上がる現象が生じるため、電線の如き長期に渡って使用される用途においては、大量添加は不向きである。
更に、ポリ塩化ビニル樹脂にそれらを配合する際、ハンドリングの観点からそれらをエポキシ化植物油などに加えてペースト状または液状にしているが、例えばβジケトンであるジベンゾイルメタンはFDAの認可が得られていないことから医療用途に使用できず、FDAに認可されたβジケトンであるステアロイルベンゾイルメタンは、エポキシ化植物油の粘度があげてしまい、流動性が悪化しハンドリングが困難になる等の問題がある(特許文献4)。
加えて、βジケトンやメルカプトのエステル化合物は、鉛系、金属石鹸系の安定剤はもとより、ハイドロタルサイト類化合物等の安定助剤より高価という問題がある。
ハイドロタルサイト類化合物は、反応時の条件によって、その金属水酸化物からなる基本層中の金属イオンの置き換えが可能であり、例えば上述のハイドロタルサイト類化合物の2価の金属イオンであるマグネシウムの一部ないし全てを他の金属に置き換えることも可能である。
例えば、マグネシウムの全てを亜鉛に置き換えた組成式ZnxAl2(OH)4+2xCO3・mH2O(式中、3.5≦x≦4.5、0≦m≦4)で表わされるハイドロタルサイト類化合物が提案され、該ハイドロタルサイト類化合物のハロゲン吸収・受酸能力が先述のハイドロタルサイト類化合物も含めた従来品より優れていることから、塩素含有樹脂の耐熱性が向上すると報告されている(特許文献5)。
また、マグネシウムの一部を亜鉛に置き換えた組成 (MgyZnz)1-xAlx(OH)2Ax/n・mH2O(式中、0.1≦x≦0.5、y+z=1、0.5≦y≦1、0≦z≦0.5、Aはn価のアニオン、0≦m≦1)を有するハイドロタルサイト類化合物が、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させることが提案されている(特許文献6,7)。
しかし、それらはあくまでもそれらのハイドロタルサイト類化合物を塩素含有樹脂に配合した場合の耐熱性の向上にのみ着目しており、それらのハイドロタルサイト類化合物の原料となる亜鉛の使用について考慮されていない。
また、亜鉛をハイドロタルサイト類化合物内に含有することから、それらが遊離して先に挙げた亜鉛焼けを起こす可能性や、押出成形や射出成形といった加熱加圧条件下での劣化や耐候性劣化の防止には関与せず、根本的な問題解決に寄与しない。
上述のハイドロタルサイト類化合物のマグネシウムの一部、ないし全てを置換する亜鉛は、通常、塩化物ないし硫酸化物、硝酸化物として反応時に添加され、高度な反応条件の設定の下で、ハイドロタルサイト類化合物の基本層である金属水酸化物層に組み込まれる。
亜鉛の塩化物、硫酸化物、硝酸化物は、酸化亜鉛や金属亜鉛を塩酸、硫酸、硝酸と反応して得られるが、酸化亜鉛や金属亜鉛はほとんどが、閃亜鉛鉱(ZnS)や菱亜鉛鉱(ZnCO3)等の亜鉛鉱を精製した後、焙焼して亜鉛焼鉱(ZnO)を得るか、亜鉛焼鉱を乾式法、ないし湿式法(電解精錬)で精錬することにより得られている。
もっとも、硫酸亜鉛は電解精錬時に硫酸亜鉛の形態にするため、それを得ることを目的とする場合は、金属亜鉛まで精錬する必要はない。
ただ、閃亜鉛鉱はカドミウムを、菱亜鉛鉱は鉛を含有するため、それらの有害物の除去や環境保護、作業者の防護等を目的した精製工程が高度になる上、酸化亜鉛や金属亜鉛と反応させる塩酸、硫酸、硝酸も必要になり、製造コストが高騰する。
更に、わが国おいて亜鉛自体が、水質汚濁法で排出水中の濃度(排水基準)を2ml/L以下(平成18年11月10日公布)に規定される等、亜鉛の使用や貯蔵について環境保全の点でも厳しくなり、それがコストやハンドリングの更なる負担となっている。
よって、亜鉛等の環境やコスト、ハンドリングに負荷をかける原料を使わずに、アニオンの吸収能力をより向上させることが求められていた。
本発明者らは、環境や経済性を考慮し、結晶構造内のエネルギー状態に着目して耐熱性を著しく向上させたハイドロタルサイト類化合物や、結晶構造の改良と新たな封止・捕捉剤に着目して改良して、加熱加圧条件下での金属イオンの脱離を抑制するハイドロタルサイト類組成物を提案した(特許文献8,9)。
しかしながら、前者は加熱加圧条件下でのハイドロタルサイト類化合物からの金属イオンの脱離・遊離の抑制が、後者は耐熱性が従来のハイドロタルサイト類化合物や組成物と同等か若干上回る程度であり、環境や経済性を考慮し、両物性を備えたハイドロタルサイト類化合物が要望されていた。
特開昭57-80444号公報 特開平06-192520号公報 特開2013-10834号公報 特許第5116141号公報 特公平11-255973号公報 WO99/01409号公報 WO99/05219号公報 特開2016-108177号公報 特開2016-108427号公報
本発明は、各種樹脂、特に塩素含有樹脂において、昨今の環境負荷低減を目的に、該樹脂の特性である優れた耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、難燃性、電気絶縁性、加工性、成形品の用途に応じた特性を維持しつつ、経済性を損なうことなく耐熱性を向上させ、長寿命化、リサイクル、リユースを可能にするハイドロタルサイト類化合物を提供することを目的とする。
具体的には、亜鉛などを使用しないMg−Al型ハイドロタルサイト類化合物について、アニオン吸着性の向上とマグネシウムやアルミニウムなどの金属イオンの脱離・遊離の一層の抑制、ならびに粉体や粒子としての粒度特性を向上させることで、例えばポリ塩化ビニル樹脂等の塩素含有樹脂に配合された際に、塩化水素、ないし塩化物イオンをより吸着して分子鎖の二重結合の連続生成を防ぎ、かつハイドロタルサイト類化合物から脱離・遊離する金属イオンをより抑制することで、酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤と反応して着色することを防ぐことを課題とする。
また、該ハイドロタルサイト類化合物を塩素含有樹脂に配合した場合、βジケトン等の安定化助剤を使用しないか、もしくは使用量を極めて少なくしても、塩素含有樹脂の特性を損なうことなく優れた耐候性を付与し、長寿命化、リサイクル、リユースにも対応可能とすることを目的とする。
本発明者らは、かかる実情を鑑み、上記目的を達成せんと鋭意検討の結果、特定の結晶構造と粒度特性を有するMg−Al型ハイドロタルサイト類化合物が、ハイドロタルサイト類化合物からのマグネシウムやアルミニウム等の金属イオンの脱離や遊離を抑制しつつ、アニオンの吸着性に優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は下記の発明を包含する。
(1)本発明のハイドロタルサイト類化合物は、下記式(a)の化学式で表わされ、CuK α線(波長λ=0.15418nm)を用いたX線回折結果とSherrerの式から求められる(003)面の結晶子のサイズと(110)面の結晶子のサイズとの比が0.65〜0.80の範囲内にあり、下記(b)〜(d)の粒度特性を満足することを特徴とするハイドロタルサイト類化合物である。
(a)Mg1-xAl(OH)2x/n・mH2O
(b)5≦Sw≦15 (m2/g)
(c)0.8≦Dp50≦2.0 (μm)
(d)DMax≦9.250 (μm)
ただし、式中Aはn価のアニオンを示し、xおよびmは下記の条件を満足する値を示す。
0.1≦x≦0.5 , 0≦m<1
Sw :窒素吸着法で測定したBET比表面積(m2/g)
Dp50 :レーザー回折散乱式粒度分布計で測定したハイドロタルサイト類化合物の50%平均粒子径(μm)
Max :レーザー回折散乱式粒度分布計で測定したハイドロタルサイト類化合物の最大粒子径(μm)
(2)上記ハイドロタルサイト類化合物が、X線回折結果とSherrerの式から求められる(003)面と(110)面の結晶子のサイズが何れも10〜40nmの範囲内であることを特徴とするハイドロタルサイト類化合物。
(3)上記ハイドロタルサイト類化合物が、脂肪酸、脂肪酸金属塩、カップリング剤から選択される1種の表面処理剤で表面処理されていることを特徴とする表面処理ハイドロタルサイト類化合物。
(4)上記ハイドロタルサイト類化合物が、酸解離定数が1.5〜3.5の酸、その塩から選択される少なくとも1種の封鎖・捕捉剤Aと、マグネシウムイオンに対する一次のキレート安定化定数が6以上のキレート剤から選択される封鎖・捕捉剤Bの何れか、または両方で被覆されていることを特徴とするハイドロタルサイト類化合物。
(5)上記封鎖剤・捕捉剤Aが亜硫酸、ホスホン酸、サリチル酸、マレイン酸、それらの塩から選択される少なくとも1種であることを特徴とするハイドロタルサイト類化合物。
(6)上記封鎖剤・捕捉剤Bがヒドロキシエチリデンジホスホン酸であることを特徴とするハイドロタルサイト類化合物。
(7)上記(1)〜(6)の何れかのハイドロタルサイト類化合物と樹脂とを含有してなることを特徴とする樹脂組成物。
(8)樹脂がポリ塩化ビニル樹脂であることを特徴とする上記樹脂組成物。
(9)上記(7)記載の樹脂組成物からなる成形体。
(10)上記(8)記載の樹脂組成物からなる成形体。
本発明によれば、亜鉛などを使用しないMg−Al型ハイドロタルサイト類化合物において、ハイドロタルサイト類化合物を構成する結晶子と粉体としての粒度に着目し、特定の格子面の結晶子サイズの比率が特定の範囲内にあり、さらに特定の粒度を有することで、ハイドロタルサイト類化合物からのマグネシウムやアルミニウム等の金属イオンの脱離や遊離を抑制し、それらの金属イオンと酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤が反応して着色することを防ぎ、優れたアニオン吸収・吸着能力と優れた粒度特性により、例えばポリ塩化ビニル樹脂等の塩素含有樹脂に配合された際に塩化水素、ないし塩化物イオンを速やかに吸着して分子鎖の二重結合の連続生成を防ぎ、その機械的特性の低下を防ぐことが可能なハイドロタルサイト類化合物、ならびに該ハイドロタルサイト類化合物を配合してなる樹脂組成物とその成形体を提供する。
本発明のハイドロタルサイト類化合物は、上記(a)の化学式で表わされる。
n価のアニオンAは、2価のCO3 2−,SO4 2−と1価のOH,F,Cl,Br,NO3 ,Iが挙げられる。これらのなかでも、CO3 2−が入手しやすく経済的にも有効であり、環境への負荷の点でも有利である上、これまでの検討でハイドロタルサイト類化合物としても安定で良好である。
本発明のハイドロタルサイト類化合物を構成するMg−Al型ハイドロタルサイト類化合物は、構成する金属元素がマグネシウムとアルミニウムであり、生成時の条件で両者の配合割合を選択することが可能である。
ハイドロタルサイト類化合物には、例えば(MgZn)1−xAl(OH)2Ax/n・mH2O(式中、0.1≦x≦0.5、y+z=1、0.5≦y≦1、0≦z≦0.5、Aはn価のアニオン、0≦m≦1)等の組成式で示されるハイドロタルサイト類化合物もあるが、本発明のハイドロタルサイト類化合物の組成であることがコストやハンドリングの点で好ましい。
本発明のハイドロタルサイト類化合物を構成するMg−Al型ハイドロタルサイト類化合物は、生成時の条件でX線回折装置とSherrerの式から求められる各面のサイズを操作することが可能である。
そして鋭意検討の結果、本発明のハイドロタルサイト類化合物の結晶を構成する結晶格子(003)面と(110)面の結晶子のサイズ比が0.65〜0.85の範囲内、好ましくは0.65〜0.80の範囲にあることで、アニオンの吸収・吸着量が多くなり、マグネシウムの脱離や遊離が抑制されることが判明した。
本発明のハイドロタルサイト類化合物の結晶を構成する結晶格子(003)面と(110)面の結晶子のサイズ比が0.65未満のハイドロタルサイト類化合物は、現時点では得られていない。
(003)面と(110)面の結晶子のサイズ比が0.85を超えると、例えばポリ塩化ビニル樹脂に配合した場合に、耐熱(継続)性と押出混練加工や射出成形加工を想定した加圧加熱条件下での着色抑制の両方を満足することができず、本発明の目的に到達しない。従来技術に挙げたハイドロタルサイト類化合物がこれに該当する。
X線回折装置としては、(株)リガク製全自動水平型多目的X線回折装置“Ultima IV“を使用し、CuK α線(波長λ=0.15418nm)を用いた、X線回折結果から得られる (003)面と(110)面の回折ピークを測定した。
そして、Sherrerの式 D hkl = K・λ/βcosθ を用いた、該回折装置に付属するソフトで結晶子サイズを算出した。
ここで、D hkl は結晶子の大きさ、λは測定に用いたX線の波長、βは結晶子の大きさによる回折線の広がり、θは回折線のブラッグ角、KはSherrer定数を表す。
ハイドロタルサイト類化合物の窒素吸着法で測定したBET比表面積Sw (m2/g)は5≦Sw≦15、好ましくは8≦Sw≦12である。Swがこの範囲内にあることによって、製造時や使用時のハンドリングが良好になり、さらに例えばポリ塩化ビニル樹脂に配合されて安定剤や受酸剤としてその効能を発揮する際に、樹脂中に良く分散してハロゲンの吸着反応が起こりやすくなる。
BET比表面積Swが5m2/g未満のものは製造が困難であり、また、その場合、巨大な単一粒子がハイドロタルサイト類化合物中に多く存在することになり、それらをポリ塩化ビニル樹脂などに配合すると、樹脂中での個数が不足して発生した塩化水素の速やかな吸収・吸着が行われず、分子鎖からの塩化水素の脱離や二重結合の連続生成の抑制ができず好ましくない。また、樹脂組成物や成形物の破断の原因ないし機械的な弱点となり、成形品の耐衝撃強度や引張強度を低下させる原因となるため好ましくない。
Swが15m2/gを超えると、ハイドロタルサイト類化合物中に微細な粒子が多くなり、粉体として貯蔵中や樹脂への配合時、または組成物を成形する際に凝集を起こしやすくなり、例えばポリ塩化ビニル樹脂組成物に配合した場合に、樹脂中での個数の不足がして発生した塩化水素の速やかな吸収・吸着が行われず、分子鎖からの塩化水素の脱離や二重結合の連続生成の抑制ができず好ましくない上、粒子からの比表面積が増えることによって、粒子からマグネシウムやアルミニウム等の金属イオンの離脱が起こりやすくなり、それらが光安定剤や酸化防止剤と反応して着色する機会が増えるため好ましくない。
更に組成物や成形体の破断の原因ないし機械的な弱点となり、強度物性を低下させる原因になるので好ましくない。
なお、本発明における窒素吸着式BET比表面積の測定は、MOUNTECH Co.,Ltd製Macsorb(登録商標)HM model−1201で測定した。
本発明のハイドロタルサイト類化合物は、レーザー回折散乱式粒度分布計により測定した50%平均粒子径Dp50(μm)は0.8≦Dp50≦2.0、好ましくは0.8≦Dp50≦1.5の範囲にあり、同じくレーザー回折散乱式粒度分布計により測定した最大粒子径DMax(μm)はDMax≦9.250の範囲にあり、二次凝集が殆どないか、あるいは少ないものが得られる。
ハイドロタルサイト類化合物の粒度特性が上記範囲内にあることによって、樹脂に配合されて安定剤としてその効能を発揮する際に、樹脂中に良く分散し、更に配合された樹脂中でハロゲンと接する個数や面積が適切になり、ハロゲンの吸収・吸着が起こりやすくなり、マグネシウムやアルミニウムの離脱を少なくすることができる。
上記50%平均粒子径Dp50 が0.8μm未満のものは製造が困難であり、また、電子顕微鏡観測等により該50%平均粒子径Dp50が0.8μm未満の粒子を得ることは出来るが、微細になりすぎるために粒子の表面エネルギーが大きくなり、凝集して安定化を図るため、粒度測定でその様な値を示す粒子は得にくい。
また、例えばポリ塩化ビニル樹脂に配合すると、マグネシウムやアルミニウムが粒子から脱離や遊離しやすくなり、光安定剤や酸化防止剤などとの反応する機会が増えるだけでなく、樹脂への配合時や樹脂組成物を成形する際にも凝集体を生成しやすくなり、樹脂中での個数が不足して発生した塩化水素の速やかな吸収・吸着が行われず、分子鎖からの塩化水素の脱離や二重結合の連続生成の抑制ができず好ましくない上、その組成物の破断の原因ないし機械的な弱点となり、樹脂成形品の耐衝撃強度や引張強度といった強度物性を低下させる原因となるため好ましくない。
平均粒子径Dp50 が2.0μmを超えると、粗大な粒子が樹脂中に多く存在することになり、その粒子を配合して樹脂組成物とした場合に、その組成物の外観を損なうばかりでなく破断の原因ないし機械的な弱点となり、成形品の強度物性を低下させる原因となるため好ましくない。
また、例えばポリ塩化ビニル樹脂に配合した場合、樹脂中での個数が少なくなるため、発生した塩化水素の速やかな吸収・吸着が行われず、分子鎖からの塩化水素の脱離の抑制ができず好ましくない。
特にその粒子が凝集体で構成される場合は、個数減によるハロゲンの吸収・吸着能力の低下と、表面積増加による金属元素の離脱促進の両者が起きるため、最も好ましくない。
上記最大粒子径DMaxが9.250μmを超えると、単一粒子や凝集粒子といった形態に関係なく粗大な粒子が塩素含有樹脂中に多く存在することになり、それらを樹脂に配合して組成物にすると、その組成物の破断の原因ないし機械的な弱点となり、成形品の耐衝撃強度や引張強度等の強度物性を低下させる原因となるため好ましくない。
ハイドロタルサイト類化合物の平均粒径Dp50および最大粒径Dmaxは、マイクロトラック・ベル(株)社製マイクロトラックMT3300EX II レーザー回折散乱式粒度分布計で測定した。
好ましい態様として、本発明のハイドロタルサイト類化合物が、X線回折結果とSherrerの式から求められる(003)面と(110)面の結晶子のサイズが何れも10〜40nmの範囲内である。
この詳細なメカニズムは不明であるが、先述の本発明者の発明である特許文献9にあるように、結晶を構成する結晶子が大きいとバラツキも大きくなり、結晶子間の間隙が多くなり、それがマグネシウムやアルミニウム、その他のイオンの結晶ないし粒子からの離脱を容易にし、酸化防止剤や光安定剤、紫外線吸収剤との反応が阻害されにくくなることが原因と考えている。
好ましい態様として、本発明のハイドロタルサイト類化合物は、樹脂に配合後に成形されて樹脂成形体とした際に、耐久性・強度等の諸物性向上の他、本来のハロゲン吸収性の向上、粒子の安定性、分散性,樹脂との親和性向上や撥水性付与の目的で、脂肪酸、脂肪酸金属塩、カップリング剤から選択される少なくとも1種の表面処理剤で表面処理(被覆)を行うのが好ましい。
表面処理剤は、上記の諸物性や、用途、環境への影響、ハンドリング性、コストの観点から、上記した脂肪酸やその金属塩、シランカップリング剤による表面処理が好ましい。
脂肪酸として例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪酸;ソルビン酸、エライジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、セトレイン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸が挙げられ、中でもハイドロタルサイト類化合物との反応性や、粒子の安定性、分散性、入手しやすさ、コストの点でステアリン酸とパルミチン酸の混合酸が好ましい。
脂肪酸の金属塩としては、例えば、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸コバルト(II)、ステアリン酸錫(IV)、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸鉛(II)等の飽和脂肪酸塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸コバルト(II) 、オレイン酸ナトリウム等の不飽和脂肪酸塩が挙げられる。
また、本発明のハイドロタルサイト類化合物の表面処理時または以前に、既述の脂肪酸に、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、鉛、コバルト、錫、アシル基を持つ化合物を混合・反応させて、脂肪酸の金属塩を適宣作製しても良い。
以上の脂肪酸の金属塩の中でもハイドロタルサイト類化合物との反応性や、粒子の安定性、分散性、入手しやすさ、コストの点でステアリン酸ないしパルミチン酸を主成分とする混合石鹸の使用が好ましい。
シランカップリング剤の例としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル・トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトトキシシラン等が挙げられ、中でもハイドロタルサイト類化合物との反応性や安定性、樹脂との親和性向上、コストの点で、ビニルトリメトキシシラン、及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの使用が好ましい。
上記の表面処理剤は単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。表面処理剤の処理量は、本発明で得られるハイドロタルサイト類化合物が使用される樹脂の種類・用途によって適宜選択されるが、例えばポリ塩化ビニル系樹脂の安定剤として使用される場合、粒子100重量%に対して0.01〜15重量%、好ましくは0.05〜8重量%である。
表面処理剤の処理量が、0.01重量%未満の場合、表面処理剤の効能が認められず、コストアップを招くだけで好ましくない。表面処理量が15重量%を超えると、例えばポリ塩化ビニル樹脂に配合する際、例えば脂肪酸金属塩途は外部滑剤としても働くために作業が不可能になる上、脂肪酸やカップリング剤がブリードやブルーミングと呼ばれる現象を発生しやすくなり、更に成形体を作成した場合に樹脂の強度が著しい低下し、場合によっては成形体としての形状すら保てなくなるため好ましくない。
好ましい態様として、本発明のハイドロタルサイト類化合物は、上述のハイドロタルサイト類化合物および表面処理ハイドロタルサイト類化合物に酸解離定数が1.5〜3.5の範囲にある酸、その塩から選択される少なくとも1種からなる封鎖・補足剤Aと、マグネシウムに対する一次のキレート安定度定数が6以上のキレート剤から選択される少なくとも1種の封鎖・補足剤Bの何れか、又は両方で表面処理(被覆)させることが好ましい。
酸解離定数が1.5〜3.5の範囲にある酸として例えば、無機酸ではホスホン酸(亜リン酸)、亜硫酸、o−リン酸、ヒ酸、亜塩素酸、亜テルル酸、亜セレン酸、亜硝酸、フッ化水素酸、シアン酸が挙げられるが、毒性、安定性、環境負荷軽減への配慮、水への溶解性、入手のしやすさなどの点から、亜硫酸とホスホン酸が好ましい。
有機酸としては、アセチルサリチル酸、イノシン、1,10−フェナントロリン、2,2−ビビリジン、2−クロロプロピオン酸、2−フランカルボン酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、4−ヒドロキシプロリン、4−メチルピラゾール、DL−ロイシン、(d、RR)−酒石酸、L−2,4−ジアミンノ酪酸、L−アラニル−L−アラニン、L−アラニル−L−フェニルアラニン、L−アラニルグリシルグリシルグリシン、(L,β)−アラニルグリシルグリシン、(L,β)−アラニルグリシン、L−ヒスチジルグリシン、L−フェニルアラニルグリシン、L−プロリルグリシン、L−ロイシル−L−チロシン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、m−ニトリロアニリン、2−ニトロ安息香酸、3−ニトロ安息香酸、4−ニトロ安息香酸、2−ベンゼンジカルボン酸、3−ベンゼンジカルボン酸、N,N’−ジメチルグリシン、N,N’−ジメチルシステイン、2−クロロアニリン、4−クロロアニリン、2−クロロ安息香酸、2−フルオロ安息香酸、2−ブロモ安息香酸、2−ヨード安息香酸、4−アニリンスルホン酸、γ−L−グルタミル−L−システイニルグリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、アデノシン、アラニン、アルギニン、イソニコチン酸、イソロイシン、オキサロ酢酸、オルニチン、グアニン、グアニシン、クエン酸、グリオキシル酸、グリシル−DL−ヒスチジルグリシン、グリシル−L−アラニン、グリシル−L−ヒスチジン、グリシル−L−ロイシン、グリシルグリシル−L−アラニン、グリシルグリシル−L−ヒスチジン、グリシルグリシルグリシル−L−ヒスチジン、グリシルグリシルグリシルグリシン、グリシルグリシルグリシン、グリシルグリシン、グリシン、グルタミン、クロロ酢酸、サルコシルグリシン、サルコシン、シアノ酢酸、システイン、シトルリン、セリン、チオグリコール酸、チロシン、トリエチレンテトラミン、トリプトファン、トレオニン、ニコチンアミド、ニコチン酸、バリン、ヒスチジン、ヒポキサンチン、ピラゾール、ピルビン酸、フェニキシ酢酸、フェニルアラニン、フマル酸、プリン、フルオロ酢酸、プロモ酢酸、プロリン、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、メチオニン、メルカプト酢酸、ヨード酢酸、リシン、リンゴ酸、ロイシンが挙げられるが、毒性、安定性、環境負荷軽減への配慮、水への溶解性、入手のしやすさなどの点から、現時点、2-アミノ安息香酸、2-クロロ安息香酸、2-フルオロ安息香酸、サリチル酸、マレイン酸、マンデル酸、リンゴ酸、2-ニトロ安息香酸、2-ブロモ安息香酸が好ましく、中でもサリチル酸とマレイン酸が好適である。
酸解離定数が1.5〜3.5の範囲にある無機酸の塩として、無機酸では亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素二ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸バリウム、亜硫酸ビスマス、o−リン酸亜鉛、o−リン酸アルミニウム、o−リン酸アンモニウムコバルト、o−リン酸一アンモニウム,o−リン酸一カリウム、o−リン酸一水素カルシウム、o−リン酸一ナトリウム、o−リン酸インジウム、o−リン酸エストラムスチン二ナトリウム、o−リン酸銀、o−リン酸一クロム(III)、o−リン酸コバルト(II)、o−リン酸サマリウム(III)、o−リン酸三カリウム、o−リン酸三カルシウム、o−リン酸α三カルシウム、o−リン酸β三カルシウム、o−リン酸三ナトリウム、o−リン酸三マグネシウム、o−リン酸三リチウム、o−リン酸水素アンモニウムナトリウム、o−リン酸水素カリウム、o−リン酸水素カルシウム、o−リン酸水素ナトリウム、o−リン酸水素二アンモニウム、o−リン酸水素二カリウム、o−リン酸水素二ナトリウム、o−リン酸水素バリウム、o−リン酸水素マグネシウム、o−リン酸セリウム(II)、o−リン酸鉄(III)、o−リン酸銅(II)、o−リン酸ナトリウム、o−リン酸二水素アンモニウム、o−リン酸二水素カリウム、o−リン酸二水素カルシウム、o−リン酸二水素ナトリウム、o−リン酸二水素マンガン(II)、o−リン酸二水素リチウム、o−リン酸ネオジウム(III)、o−リン酸ビスマス(III)、o−リン酸ヒドロキシアミン、o−リン酸プラセオジム(III)、o−リン酸ペンタクロリド、o−リン酸ホウ素、o−リン酸マグネシウムアンモニウム、o−リン酸マグネシウム、o−リン酸マンガン(II)、o−リン酸マンガン(III)、o−リン酸四カルシウム、o−リン酸ランタン(III)、ヒ酸カリウム、ヒ酸カルシウム、ヒ酸水素二ナトリウム、ヒ酸二水素セシウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸銅、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸バリウム、亜テルル酸カドミウム、亜テルル酸カリウム、亜テルル酸ナトリウム、亜セレン酸カリウム、亜セレン酸ナトリウム、亜セレン酸バリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸銀、亜硝酸ジアミンパラジウム(II)、亜硝酸ジアンミン白金アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、フッ化亜鉛、フッ化アルミニウム、フッ化アンチモン、フッ化アンモニウム、フッ化イッテルビウム、フッ化エルビウム、フッ化カドニウム、フッ化カリウム、フッ化カリウムチタン、フッ化カルシウム、フッ化コバルト(II)、フッ化コバルト(III)、フッ化サマリウム、フッ化酸化イッテルビウム、フッ化酸化テルビウム、フッ化ジスプロビウム、フッ化水銀(II)、フッ化水素アンモニウム、フッ化水素カリウム、フッ化水素ナトリウム、フッ化スカンジウム、フッ化スズ(II)、フッ化ストロンチウム、フッ化セシウム、フッ化セリウム(III)、フッ化タンタル(V)、フッ化チタンカリウム、フッ化ツリウム、フッ化鉄(III)、フッ化テルビウム(III)、フッ化銅(II)、フッ化ナトリウム、フッ化鉛(II)、フッ化ニッケル(II)、フッ化ネオジム(II)、フッ化バリウム、フッ化ビスマス(III)、フッ化プラセオジム(III)、フッ化ホルミウム、フッ化マグネシウム、フッ化マンガン(III)、フッ化モリブデン(VI)、フッ化ユウロビウム、フッ化ランタン、フッ化リチウム、フッ化ルテチウム、フッ化ルビジウム、シアン酸アンモニウム、シアン酸カリウム、シアン酸銀、シアン酸ナトリウムが挙げられるが、毒性、安定性、環境負荷軽減への配慮、水への溶解性、入手のしやすさなどの点から、現時点、亜硫酸ナトリウムとホスホン酸ナトリウムが好ましい。
酸解離定数が1.5〜3.5の範囲にある有機酸の塩として、例えばサリチル酸亜鉛、サリチル酸アンモニウム、サリチル酸カルシウム、サリチル酸銀、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸リチウム等のサリチル酸塩、モノクロロ酢酸ナトリウムといったモノクロロ酢酸塩、乳酸亜鉛、乳酸アルミニウム、乳酸アンモニウム、乳酸カルシウム、乳酸銀、乳酸ナトリウム、乳酸ニッケル、乳酸バリウム、乳酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、乳酸リチウムなどの乳酸塩が挙げられる。これらの中ではサリチル酸亜鉛や乳酸マグネシウムが好ましい。
なお、上記の酸解離定数が1.5〜3.5の範囲にある酸とその塩については、単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられるが、2種以上を組み合わせての使用するのが好ましく、特に無機酸塩と有機酸の2種類を併用するのが更に好ましい。
上記の酸解離定数が1.5未満、もしくは3.5を超える酸やその塩を例えばポリ塩化ビニル樹脂に配合した場合、着色や耐候性劣化を起こしやすくなるため好ましくない。
これらのメカニズムは現時点、明らかでないが、酸解離定数が1.5未満の酸やその塩の場合、それらがハイドロタルサイト類化合物表面と強力に反応して、その結晶構造の一部を損ねてハイドロタルサイト類化合物からの金属イオンの脱離や遊離を促し、光安定剤や酸化防止剤等との反応機会を増やすことが原因と推測している。
酸解離定数が3.5を超える酸やその塩の場合、ハイドロタルサイト類化合物の懸濁液に添加しても、十分にハイドロタルサイト類化合物の表面に処理、もしくは被覆できずにハイドロタルサイト類化合物製造時に系外に排出されたり、例えばポリ塩化ビニル樹脂にそれらの酸や塩とハイドロタルサイト類化合物を別個に配合することと変わりなくなるため、それらが本発明のハイドロタルサイト類化合物の表面を封鎖、もしくは脱離する金属イオンと効率的に反応できず、光安定剤や酸化防止剤等との反応を妨げることが出来なくなることが原因と推測している。
上記の酸解離定数が1.5〜3.5の範囲にある酸とその塩の添加量については、ハイドロタルサイト類化合物に対して各々0.01〜3.0重量%の添加が良好であった。
そして、ハイドロタルサイト類化合物に対するそれらの添加量が0.01重量%未満の場合、無添加の場合と変わりなく本発明の効能が現れない。一方、3.0重量%を超えると、例えばポリ塩化ビニル樹脂への配合時や加工成形時に加熱した際、それら自体が黒化や焼けなどの原因となる場合や活性を付与しすぎてハンドリングを悪化させることがあり好ましくない。
マグネシウムに対する一次のキレート安定化定数が6以上のキレート剤として例えば、2−ヒドロキシベンジルイミノジ酢酸、ホスホノメチルイミノジ酢酸、ホスホノエチルイミノジ酢酸などのイミノジ酢酸誘導体、N’−(オルトヒドロキシシクロヘキシル)エチレンジアミントリ酢酸等のトリ酢酸類、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸−N,N’−ジプロピオン酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸−N,N’−ジ(2−プロピオン酸)、1,2−プロピレンジアミンテトラ酢酸、トリメチレンジアミンテトラ酢酸、1,2−シクロペンタンジアミンテトラ酢酸、trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、オルトフェニレンジアミンテトラ酢酸、ビス(イミノジ酢酸エチル)メチルアミン、トリメチレンテトラアミンヘキサ酢酸等のエチレンジアミンテトラ酢酸類、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトロトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類が挙げられ、メカニズムは不明であるがヒドロキシエチリデンジホスホン酸が好適である。
マグネシウムに対する一次のキレート安定化定数の上限については特に制限されないが、該安定度定数の値が大きくなるほど、分子の構造が複雑、かつ大きくなるためコストがかさむうえに、例えば塩素含有樹脂に配合した際に系内へ想定していない悪影響を及ぼす可能性があるため、通常、8程度が好ましく、7程度がより好ましい。
マグネシウムに対する一次のキレート安定化定数が6未満のキレート剤を例えばポリ塩化ビニル樹脂などに配合した場合、着色や耐候性劣化を起こすため好ましくない。
これらのメカニズムは現時点、明らかでないが、マグネシウムに対する一次のキレート安定化定数が6未満の場合、ハイドロタルサイト類化合物として例えばポリ塩化ビニル樹脂に配合すると、キレート能力の低さからハイドロタルサイト類化合物から脱離して遊離する金属イオンと効率よく反応できず、光安定剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種安定剤との反応を妨げることが出来なくなることが原因と推測している。
マグネシウムに対する一次のキレート安定化定数が6以上のキレート剤の配合量について、ハイドロタルサイト類化合物に対して各々0.01〜3.0重量%の添加が良好であった。
ハイドロタルサイト類化合物に対するそれらの添加量が0.01重量%未満の場合、無添加の場合と変わりなく本発明の効能が現れない。一方、3.0重量%を超えると、例えばポリ塩化ビニル樹脂への配合時や加工成形時に加熱した際、それら自体が黒化や焼けなどの原因となる場合があり好ましくない。
本発明のハイドロタルサイト類化合物は、上述の条件を満足するハイドロタルサイト類化合物が得られる方法であればよく、その方法や条件は何等制限されない。基本的には公知の方法で製造することが出来るが天然品でも問題ない(例えば特公昭46-2280号公報や特公昭47-32198号公報)。
また、上述の封鎖・捕捉剤AないしBと表面処理剤の添加・処理順序は何れを先にしても良く、ハンドリングで決定されるが、これまでの検討では、表面処理剤を最初にすると好ましい傾向にある。
封鎖・補足剤A、Bと表面処理剤の添加・処理順序は、対象とする樹脂や用途によっては物性に差がでるが、例えばポリ塩化ビニル樹脂等に用いる場合は、先に表面処理剤で表面処理することが好ましい。
本発明の第二は、本発明のハイドロタルサイト類化合物を配合してなることを特徴とする樹脂組成物に関する。
本発明のハイドロタルサイト類化合物が使用される樹脂は、通常、成形品として使用されるものであればよいが、通常、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン重合体、ポリブテン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)等の如きC2〜C8のオレフィン(αオレフィン)の重合体もしくは共重合体のようなポリオレフィン系樹脂や、これらオレフィンとジエンの共重合体類、エチレン−アクリレート共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル−プロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、フェノキシ樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびメタクリロ系の樹脂等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
これらの熱可塑性樹脂のうち、本発明のハイドロタルサイト類化合物による熱劣化防止効果および機械強度保持特性の優れた例としては、ポリオレフィンまたはその共重合体、およびハロゲン含有樹脂であり、具体的には、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンプロピレン共重合体の如きポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、EEA(エチレンエチルアクリレート樹脂)、EVA(エチレンビニルアセテート樹脂)、EMA(エチレンアクリルメチル共重合樹脂)、EAA(エチレンアクリル酸共重合樹脂)、超高分子ポリエチレンの様なポリエチレン系樹脂、およびポリブデン、ポリ(4−メチルペンテン−1)等のC2〜C6のポリオレフィンの重合体もしくは共重合体等が挙げられる。
中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、ポリ(4−メチルペンテン−1)またはこれらの共重合体が特に好ましい。更にポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリアミド11、ポリヒドロキシ酪酸等の生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックも使用可能である。
これらのポリオレフィン樹脂は、チーグラー系の重合触媒に由来するハロゲンをその樹脂中に含有するが、本発明のハイドロタルサイト類化合物がそれらハロゲンの吸収・受酸に極めて優れていることから、そのハロゲンが原因となって生じる熱劣化の抑制効果が優れている。
また、ポリ塩化ビニル樹脂もしくはその共重合体に対しても本発明のハイドロタルサイト類化合物は、同様の理由で熱劣化の抑制効果が優れている。
更にエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂および尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、および、EPDM、ブチルゴム、イソプレンゴム、SBR、NBR、クロロスルホン化ポリエチレン、NIR、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムおよびフッ素ゴム等の合成ゴムにも適用することができる。
本発明のハイドロタルサイト類化合物は、樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部で樹脂に配合される。
本発明のハイドロタルサイト類化合物の樹脂への配合方法に特別な制約はなく、例えば上述の樹脂に用いられる各種安定剤や充填剤等をこれらの樹脂に配合する公知の方法と同様の手段で、他の樹脂配合剤と共に、もしくは別個に合成樹脂に可能な限り均一になるよう配合すればよい。
具体的には、リボンブレンダー、高速ミキサー、ニーダー、ペレタイザー、押し出し機等の公知の混合装置を利用して配合する方法や、ハイドロタルサイト類化合物を有効成分としてなる熱劣化剤の懸濁液を重合後のスラリーに攪拌しつつ添加して混合し乾燥する方法を挙げることができる。
本発明のハイドロタルサイト類化合物を含有する樹脂には、本発明の効能を損なわない限り、上記成分以外に他の添加剤を配合することが出来る。
このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、発泡剤、可塑剤、充填剤、補強剤、難燃剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、上記以外の無機系あるいは有機系安定剤が挙げられる。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、通常、塩化ビニル系樹脂組成物に用いられる、有機カルボン酸、フェノール類および有機リン酸類の金属塩、ゼオライト化合物、βジケトン化合物、エポキシ化合物、多価アルコール、フェノール系および硫黄系などの酸化防止剤、紫外線吸剤、ヒンダードアミン系光安定剤、その他無機金属化合物などの他の添加剤を添加することができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何等限定されるものではない。
なお、本発明の実施例および比較例において、ハイドロタルサイト類化合物の平均粒径Dp50および最大粒径Dmaxは、マイクロトラック・ベル(株)社製マイクロトラックMT3300EX IIレーザー回折散乱式粒度分布計で測定した。
ハイドロタルサイト類化合物のBET比表面積Swは、MOUNTECH Co.,Ltd製Macsorb(登録商標)HM model−1201で測定した。
ハイドロタルサイト類化合物の結晶子の大きさは、(株)リガク製全自動水平型多目的X線回折装置Ultima IVで求めた回折結果から、Sherrerの式を用いて結晶子の大きさを算出する付属ソフトを用いて行った。
なお、ハイドロタルサイト類化合物の組成分析はICP−MS法で、CO3はCHN測定法で、水酸基と層内水量は熱量分析法で測定・算出した。
実施例1
3.5mol/Lの塩化マグネシウム溶液と1.0mol/L硫酸アルミニウム溶液をマグネシウムとアルミニウムのモル比が2.1:1になるように混合し20℃に調整した。
次に、18.08mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と0.51mol/Lの炭酸ソーダ溶液を水酸化物と炭酸基のモル比が6.4:1になるよう混合し20℃に調整した。
反応後の液のpHが10.5±0.1の範囲内に維持するように両混合溶液を接触させて反応を行い、ハイドロタルサイト類化合物の反応液を作製した。
更に得られた反応液をオートクレーブに投入し、120rpmの回転数で攪拌下、150℃で18時間維持した後、室温まで放冷してハイドロタルサイト類化合物の懸濁液を得た。
得られたハイドロタルサイト類化合物懸濁液をプレスフィルターで脱水、水道水で洗浄を行い、洗浄廃水が水道水の電気伝導度より20μS/cm高くなった時点で洗浄を終了した。
得られた表面処理ハイドロタルサイト類化合物の懸濁液を再びプレスフィルターで脱水してケーキ状とし、次いでギアオーブンで135℃・12時間乾燥後、コロフレックス解砕機で解砕して、表面処理ハイドロタルサイト類化合物の乾粉を得た。
ハイドロタルサイト類化合物の懸濁液の一部を採取して分析や測定を行ったところ、化学式がMg0.676Al0.324(OH)2(CO3)0.16・0.53H2Oで、BET比表面積Sw 14.8m2/g、平均粒径Dp50 1.93μm、最大粒子径DMax 9.25μmの粒子であった。
得られたハイドロタルサイト類化合物の反応条件と化学式、諸物性を表1に示す。
実施例2〜22,比較例1〜6
溶液反応時のpHと水熱反応時の撹拌回転数、温度、維持時間を表1記載の内容に変更する以外は、実施例1と同様の方法で反応を行い、表1に示す化学式、物性のハイドロタルサイト類化合物を得た。
比較例7
溶液反応時のpHを11.5±0.1の範囲内に維持しつつ混合して反応を行い、更に反応タンクの上部から反応液を溢流させる連続法に変更する以外は実施例1〜16、ならびに比較例1〜6と同様の方法で反応を行い、表1に示す化学式、物性のハイドロタルサイト類化合物を得た。
実施例23
実施例1で得られたハイドロタルサイト類化合物の洗浄後のプレスケーキ状のハイドロタルサイト類化合物を再び水で懸濁液化し、液温を80℃に調整し、該ハイドロタルサイト類化合物の懸濁液中のハイドロタルサイト類化合物に対して3.8重量%に当る、市販のステアリン酸ナトリウム65%−パルミチン酸ナトリウム35%の混合石鹸(工業用)を80℃の水に溶かしたのちに添加し、60分間攪拌してハイドロタルサイト類化合物の表面処理を行った。
その後、ハイドロタルサイト類化合物に対して0.18重量%のサリチル酸(A1:酸解離定数2.81)と0.18重量%の亜硫酸ナトリウム(A2:酸解離定数1.86)、0.2重量%のヒドロキシエチリデンジホスホン酸(B:キレート安定度定数6.55)を各々水に溶解し、撹拌下、表面処理ハイドロタルサイト類化合物溶液にサリチル酸溶液、亜硫酸ナトリウム溶液、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸溶液の順に30分毎に添加してハイドロタルサイト化合物の懸濁液を得た。
得られた表面処理ハイドロタルサイト類化合物の懸濁液を再びプレスフィルターで脱水してケーキ状とし、次いでギアオーブンで135℃・12時間乾燥後、コロフレックス解砕機で解砕して、表面処理ハイドロタルサイト類化合物の乾粉を得た。
使用したハイドロタルサイト類化合物の表面処理剤や封鎖・捕捉剤種、処理・添加量を表2に示す。
実施例24〜44
実施例1,7,14,21で得られたハイドロタルサイト類化合物の洗浄後のプレスケーキを再び水で懸濁液化し、表面処理剤、封鎖・捕捉剤、処理量を表2に変更する以外は、実施例23と同様に操作し表2に示す表面処理・被覆ハイドロタルサイト類化合物を得た。
なお、実施例36,37で封鎖・捕捉剤A1として用いたサリチル酸アンモニウム、サリチル酸ナトリウム等の塩の酸解離定数は酸と同じ2.81、実施例39で封鎖・捕捉剤A1として用いたマレイン酸の酸解離定数は1.75である。
実施例25,30で封鎖・捕捉剤A2として用いたホスホン酸の酸解離定数は1.50、実施例32で用いた亜硫酸は亜硫酸ナトリウムと同じ1.86である。
実施例34,41で封鎖・補足剤Bのキレート剤として用いたニトロトリ(メチレンホスホン酸)5ナトリウムのマグネシウムに対するキレート安定度定数は7.20である。
実施例45〜88,比較例8〜14
実施例1〜44、ならびに比較例1〜7で得られたハイドロタルサイト類化合物を、下記の配合組成で混合後、161℃に設定した混練押出機でペレットを作成した。
(配合組成)
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100重量部
DOP 50重量部
ステアリン酸亜鉛 0.8重量部
表面処理ハイドロタルサイト類化合物 3.0重量部
更に、得られたペレットを161℃のロールとヒーター付圧力プレスを使用し、厚さ1mmのシートを作成した。得られたシートについて、下記の方法で耐熱劣化性試験、耐熱プレス試験、耐ヒケ・発泡性を評価し、体積固有抵抗を測定した。結果を表3〜7に示す。
<耐熱劣化性評価>
作製したシートを20mm×10mmに切り取り、190℃で ダンパー開度50%にしたギアオーブン(タバイエスペック社製ギアオーブンGPHH−100)に置いて15分毎に取り出し、試験片が黒色化するまでの時間を求めた。
<耐熱プレス試験>
作製したシートを20mm×20mmに切り取り、ヒーター付圧力プレスを使用して圧力をかけながら、190℃で5分および30分間、シートを加熱した後に取り出し、シートの色相を測定した。なお、装置は、日本電色工業(株)製測色色差計ZE 2000を用い、透過光のYI値を評価した。
<耐ヒケ・耐発泡性>
作製したシートを20mm×20mmに切り取り、ヒーター付圧力プレスを使用して圧力をかけながら、190℃で5分および30分間、シートを加熱した後に取り出し、気泡や、ヒケと呼ばれる表面のくぼみやシート内の空隙を観察。以下の5段階で評価した。
5.シートにヒケ・気泡なし
4.シートの端に微細(0.1mm以下)な気泡がみられる
3.シートに2〜5個の1〜2mm程度のヒケと微細な気泡がみられる
2.シートに1〜2mm程度のヒケが6個以上みられる
1.シート全面に著しいヒケ、気泡がみられる
<体積固有抵抗試験>
JIS K6723に準拠して下記の手順で測定した。即ち作製したシートから縦横120mm以上のシートを打ち抜き、試験片の厚みを5個所測定してその平均値を厚みとし、試験装置と打ち抜いたシートを30℃に設定した恒温槽に30分以上置き、印加電圧500V、充電時間1分で体積固有抵抗を測定する。なお、装置は、Agilent Technologies 製4339B High Resistance Materを使用した。
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本発明によれば、ハイドロタルサイト類化合物を構成する特定の2つの格子面の結晶子サイズの比率が特定の範囲内にあり、かつ粉体もしくは粒子としての分散性や大きさを規定することで、従来のハイドロタルサイト類化合物や組成物のアニオンの吸着性に優れ、かつ、それらの欠点であるマグネシウムイオンの脱離を抑制し、樹脂に配合して樹脂組成物とした場合に、例えばポリ塩化ビニル樹脂に配合した場合には、脱離したマグネシウムイオンと他の添加剤との反応によって生じる着色や安定剤としての能力低下を防ぎつつ、紫外線や加熱等によってポリ塩化ビニル樹脂等の分子鎖から離脱する塩化水素樹脂ないし塩素イオンを吸収する安定剤として有用である。

Claims (10)

  1. 下記式(a)の化学式で表わされ、X線回折結果とSherrerの式から求められる(003)面と(110)面の結晶子サイズ比が0.65〜0.80の範囲にあり、下記(b)〜(d)の粒度特性を満足することを特徴とするハイドロタルサイト類化合物。
    (a)Mg1-xAl(OH)2x/n・mH2O
    (b)5≦Sw≦15 (m2/g)
    (c)0.8≦Dp50≦2.0 (μm)
    (d)DMax≦9.250 (μm)
    ただし、式中はn価のアニオンを示し、xおよびmは下記の条件を満足する値を示す。
    0.1≦x≦0.5 , 0≦m<1
    Sw :窒素吸着法で測定したBET比表面積(m2/g)
    Dp50 :レーザー回折散乱式粒度分布計で測定したハイドロタルサイト類化合物の50%平均粒子径(μm)
    Max :レーザー回折散乱式粒度分布計で測定したハイドロタルサイト類化合物の最大粒子径(μm)
  2. X線回折結果とSherrerの式から求められる(003)面と(110)面の結晶子サイズが10〜40nmであることを特徴とする請求項1記載のハイドロタルサイト類化合物。
  3. ハイドロタルサイト類化合物が、脂肪酸、脂肪酸金属塩、カップリング剤から選択される少なくとも1種の表面処理剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1記載の表面処理ハイドロタルサイト類化合物。
  4. ハイドロタルサイト類化合物が、酸解離定数が1.5〜3.5の酸、その塩から選択される少なくとも1種の封鎖・捕捉剤Aと、マグネシウムイオンに対する一次のキレート安定化定数が6以上のキレート剤から選択される少なくとも1種の封鎖・捕捉剤Bの何れか、または両方で被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイドロタルサイト類化合物。
  5. 封鎖・捕捉剤Aが亜硫酸、ホスホン酸、サリチル酸、マレイン酸、それらの塩から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載のハイドロタルサイト類化合物。
  6. 封鎖・捕捉剤Bがヒドロキシエチリデンジホスホン酸であることを特徴とする請求項4記載のハイドロタルサイト類化合物。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のハイドロタルサイト類化合物と樹脂とを含有してなることを特徴とする樹脂組成物。
  8. 樹脂がポリ塩化ビニル樹脂であることを特徴とする請求項7記載の樹脂組成物。
  9. 請求項7記載の樹脂組成物からなる成形体。
  10. 請求項8記載の樹脂組成物からなる成形体。
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