JP5404621B2 - 水酸化マグネシウム組成物、その製造方法、並びに樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
また、ハロゲン系難燃剤以外の難燃剤としてリン系難燃剤が挙げられる。しかしながら、リン系難燃剤は、液状のものが多いことから、配合された樹脂成形品の耐衝撃性等の機械的強度を低下させる、加水分解しやすいため、成形品の長期耐水性や耐候性が劣る、リン化合物の染み出しによる環境ホルモン汚染の恐れがあるといった、解決せねばならない多くの問題を抱えており、例えば電線、ケーブル、自動車用ハーネス等に要求されるUL−94規格を満たした上で、更に長期に渡る耐水性や耐候性、環境への影響をなくすことは、現状の技術で困難である。
更に、天然の鉱石を原料とする為、含有する不純物による着色やアスベスト含有等の懸念があり、それらを安価に除去することは現在の技術では困難である。従って、天然品を使用する最大の利点であるコストメリットを失うという問題を抱えている。
しかし、電線、ケーブル等の難燃性の指標の一つであるUL−94難燃規格を満足する為には樹脂に大量に配合しなければならず、それにより成形品本来の物性、特にアイゾッド衝撃強度、伸び、引張り強度等を低下させるという問題を有している。
電線やケーブル、電子部品等の成形品に使用される場合、特許文献2の複合金属水酸化物粒子でも、樹脂やゴムに比較的大量に配合する必要があるため、例えば自動車用ハーネスに使用される場合、電線被覆という本来の目的には直接関与するものではないが、各々の電線を着色して区別するという二次的な目的においては、粒子自体の著しい着色のために制約を受けるという問題を有している。樹脂やゴムに色相調整剤を加えて色相を調整することも可能であるが、樹脂に配合する水酸化マグネシウムの量が大量であることから、色相調整剤も大量に添加する必要があり、そのことによる成形性や耐候性、耐久性への影響を考慮すると色相調整剤の使用は限定される。
また、金属水酸化物はその水酸基が分解して脱水することにより難燃作用をもたらすが、上述の金属元素はマグネシウムより原子量が大きいため、従来の水酸化マグネシウムと同じ割合で樹脂に配合すると配合される水酸基が相対的に減少し、難燃性が低下する問題を有している。配合割合を多くすることで対処は可能であるが、配合割合が増えることによる、成形性や樹脂成形品の強度物性の低下が新たな問題となる。
更に、上述の金属元素の塩化物を反応時に添加して得ているが、ニッケル、クロム、コバルトの塩化物は高価であり、また使用、廃棄するに際して環境への厳しい配慮が必要になるなど、安価かつ大量に生産、使用するには解決せねばならない課題が多い。
しかしながら、特許文献3で得られる粒子は、樹脂やゴムに配合した場合の耐熱劣化性の向上による難燃性向上を図っているが、耐熱劣化性は必ずしも十分とは云い難く、また色相や樹脂やゴムへ大量に配合することについての課題はなんら解決されていない。
本発明の水酸化マグネシウム組成物が上記範囲で鉄やマンガンを含有することにより、樹脂に配合され、難燃剤としてその効能を発揮する際に、水酸化マグネシウム粒子の粒子表面より遊離した鉄やマンガンが樹脂中で脱水素触媒の如き働きを行い、樹脂中の水素原子を取り去り炭素のみを残す。この残された炭素がチャーと呼ばれる不燃性炭素を生成することで難燃性を向上させ、更に、それが樹脂の分解、燃焼を阻害し続けることで難燃剤としての持続性をより向上させる。
一方、鉄及び/又はマンガンの含有量Mが10ppm未満の場合、色相や熱劣化性の点では好ましいが、難燃性の点で水酸化マグネシウム粒子単独で用いた場合と大差がなく、難燃性とその持続性を向上させる効果が小さくなる。鉄とマンガンの合計量Mは、好ましくは100〜1000ppm、より好ましくは200〜500ppmである。
なお、鉄とマンガンの含有量は、島津製作所(株)製原子吸光分光光度計AA6700Fで測定した。
なお、硫黄の含有量は、赤外線吸収法、具体的にはLECO社製炭素、硫黄分析装置CS−444で測定した。
比S/Mが1.8を超えると、水酸化マグネシウム組成物自体、並びにそれを配合した樹脂組成物及び成形体の色相が悪化する傾向にある。このような傾向を示す理由は明らかでないが、硫黄の化合物が鉄やマンガンと反応するだけでなく、マグネシウムや他の不純物であるカルシウム等の硫酸塩や亜硫酸塩が生成し、その含有量が多くなる為と推測される。
一方、比S/Mが1.0未満の場合は、色相が悪化する傾向にあるばかりでなく、樹脂成形体となった場合にその熱劣化性も悪化する傾向を示す。この理由も明らかでないが、硫黄の化合物が少ない為に水酸化マグネシウム粒子が含有する鉄やマンガンに十分に作用しきれず、鉄やマンガンの水酸化物による着色や、ラジカル化を抑えることが出来ないためと推測される。
なお、白色度Wは、KETT社製粉体白度計C−100−3で測定した。
更に、DOP濡色のb値は、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.8以下、更に好ましくは2.0以下である。
なお、本発明におけるハンターLab表色系による測定は、日本電色工業(株)製測色色差計ZE2000で測定した。
一方、平均粒子径Dp50が2.0μmを超えると、大きな粒子が樹脂成形品中に存在するため、上記した平均粒子径Dp50が0.5μm未満の場合と同様、成形体の外観を損ね、耐衝撃性や引張強度等の強度物性を低下させ、耐久性を低下させる等の問題が生じる場合がある。
なお、50%平均粒子径Dp50、最大粒子径DMax の測定は、Leeds&Northrup社製マイクロトラックFRAレーザー回折散乱式粒度分布計を用い、溶媒をメタノールにして測定した。
一方、Swが10m2 /gを超えると、水酸化マグネシウム組成物中に微細な粒子が多くなり、粉体として貯蔵時や樹脂への配合時、樹脂組成物を成形する際に凝集体を生成しやすく、上記した平均粒子径Dp50が2.0μmを超える場合と同様、成形体の外観を損ね、耐衝撃性や引張強度等の強度物性を低下させ、耐久性を低下させる等の問題が生じる傾向がある。
なお、窒素吸着式BET比表面積は、ユアサアイオニクス(株)製NOVA2000で測定した。
上記の表面処理剤について、上記の諸物性や、用途、環境への影響、ハンドリング性、コストの観点から適宜選択すればよいが、例えばエコ電線の被覆用樹脂として使われているEEAないしEVA樹脂用途には、色相の点から脂肪酸やその金属塩、シランカップリング剤による表面処理が好ましく、更に、色相及び昨今の難燃性及び強度物性の厳しい要求に対しては、シランカップリング剤がより好ましい。
表面処理剤の処理量が0.01重量部未満の場合、樹脂組成物や成形品の製造時のハンドリングの改良効果が認められず、また、樹脂中で未表面処理部分の水酸化マグネシウム粒子に水分が吸着し、それに溶解した大気中の炭酸ガスと反応して炭酸マグネシウムとなる白化を招くなど、無処理の水酸化マグネシウム粒子となんら変わりなく、表面処理剤の効能が認められない。一方、表面処理量が10重量部を超えると、例えば樹脂に配合して成形体を作成した場合、樹脂の強度が著しく低下し、場合によっては成形体としての形状すら保てなくなる為好ましくない。
硫黄成分を水酸化マグネシウム粒子生成後に添加する場合は、鉄及び/又はマンガンの添加と同時に行なうことが好ましく、特に塩化鉄溶液と硫黄成分を含有する溶液を予め混合し、水酸化マグネシウム粒子ないし表面処理した水酸化マグネシウム粒子に添加して、その表面に担持させることがより好ましい。
チオ硫酸系の還元剤としては、ハイドロサルファイト(次亜硫酸ナトリウム)、ロンガリットC(ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート)、ロンガリットZ(亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシレート)、ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)、亜硫曹(亜硫酸ナトリウム)、一硫化硫黄、硫酸ヒドロキシルアミン等が挙げられるが、環境とコスト、ハンドリングの点でハイポとハイドロサルファイトが好ましく、特にハイドロサルファイトは少量で効果を発揮する為、コストの点で好ましく用いられる。
更に、水酸化マグネシウム粒子又は表面処理水酸化マグネシウム粒子が乾粉又は懸濁液の状態にある時に添加しても、粒子の色相と樹脂に配合された場合の色相、並びに難燃性向上に効果を示す。
しかし、水酸化マグネシウム粒子を湿式で表面処理を行なった後に、塩化鉄溶液及び/又は塩化マンガン溶液に硫黄化合物を予め混合した溶液を添加し乾燥すると、ハンドリングの点で有利であり、樹脂に配合された場合に、難燃性や色相の点で良好である。
これらのメカニズムについては明らかでないが、湿式で表面処理を行った後に鉄及び/又はマンガンを添加することにより、水酸化マグネシウム粒子又は表面処理水酸化マグネシウム粒子へのそれらの担持の均一性が一層向上したことによるものと推測される。
本発明の樹脂組成物に使用される樹脂は、通常、成形品として使用されるものであればよく、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂あるいは合成ゴム等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂のうち、本発明の樹脂組成物に好ましい例としてポリオレフィン系樹脂又はその共重合体が挙げられ、なかでもEEA樹脂やEVA樹脂といった各種汎用電線、ケーブルに用いられている樹脂に用いられた場合に、色相、難燃性に加えて機械的強度が付与され好適である。
難燃助剤としては、赤燐、炭素粉末あるいはこれらの混合物が好ましい。赤燐としては、難燃剤用の通常の赤燐の他に、例えば熱硬化性樹脂、ポリオレフィン、カルボン酸重合体、酸化チタンあるいはチタンアルミ縮合物等で表面被覆した赤燐が使用できる。炭素粉末としては、カーボンブラック、活性炭あるいは黒鉛が挙げられ、カーボンブラックはオイルファーネス法、チャンネル法、サーマル法又はアセチレン法の何れの方法で調整されたものであってもよい。
難燃助剤を配合する場合、樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.5〜20wt%、より好ましくは1〜15wt%の範囲で添加される。
本発明の成形体は、上記した如く得られる樹脂組成物を、例えば押出し成形、射出成形、カレンダー成形といった公知の方法により得ることが出来る。
本発明の成形体によれば、本発明の水酸化マグネシウム組成物が配合されているため、難燃性及びその継続性に優れ、更に成形品の外観にも優れている。この様な成形体の用途としては、先述の電線やケーブルといった電線被覆用、家電製品のハウジング用、建築材料用の壁紙、発泡性断熱材、マットレス、電気、電子部品用のコネクター接続部品、半導体の封止材、プリプレグ、多層回路基板、あるいは回路基板用積層板等が挙げられる。
なお、本発明の実施例及び比較例において、水酸化マグネシウム組成物の平均粒径及び最大粒径は、Leeds&Northrup社製マイクロトラックFRAレーザー回折散乱式粒度分布計で測定し、BET比表面積は、ユアサアイオニクス(株)製NOVA2000で測定、鉄とマンガンの含有量は、島津製作所(株)製原子吸光分光光度計AA6700Fで測定、硫黄は、LECO社製炭素、硫黄分析装置CS−444で測定、白色度は、KETT社製粉体白色度計C−100−3で測定、DOP濡色は、日本電色工業(株)製測色色差計ZE2000で測定した。
<塩化マグネシウム溶液1の調整>
塩田で塩を採取した後のかん水を砂濾過と活性炭による吸着で異物とフミン質を除去して粗精製を行い、次に粗精製後のかん水が含有する硫酸イオンと等モルの塩化カルシウムをかん水に加えて、かん水中の硫酸イオンを硫酸カルシウムとして沈殿させ、濾過を行って硫酸カルシウムを除去し、塩化マグネシウムを主成分とする精製苦汁溶液を作成した。
得られた精製苦汁溶液はボーメ比重1.33の塩化マグネシウム溶液で、塩化マグネシウムに対して2360ppmの硫黄を含有していた。
塩田で塩を採取した後のかん水を砂濾過と活性炭による吸着で異物とフミン質を除去して粗精製を行い、次に粗精製後のかん水が含有する硫酸イオンと等モルの塩化バリウムをかん水に加えて、かん水中の硫酸イオンを硫酸バリウムとして沈殿させ、濾過を行って硫酸カルシウムを除去し、塩化マグネシウムを主成分とする精製苦汁溶液を作成した。
得られた精製苦汁溶液はボーメ比重1.33の塩化マグネシウム溶液で、塩化マグネシウムに対して0.8ppmの硫黄を含有していた。
石灰石を灯油焼成して生石灰とし、それを消化して得られる工業用石灰乳を篩等でコンタミネーションを除去し、その濃度を12wt%に調整した。得られた石灰乳は水酸化カルシウムからなる溶液で、工業用向けであることから価格が安価であるにも関わらず、灯油で焼成するため、無煙炭やコークスで焼成したものに比べて遥かに不純物が少ない。
塩化マグネシウム溶液1に残存する硫黄のモル数の90%に相当する塩化バリウムを、苦汁溶液に添加して硫酸バリウム析出させた後に濾過を行い、更に濃縮又は希釈を行いボーメ比重1.3の塩化マグネシウム溶液を調整した。
得られた溶液を10Lのオートクレーブに5L仕込んで液温を20℃に調整し、液温を20℃に調整した濃度12wt%の石灰乳5Lを攪拌条件下で5分かけて投入し、塩化マグネシウムと水酸化カルシウムを反応させて水酸化マグネシウム粒子を生成し、更に石灰乳投入終了後から攪拌したままオートクレーブを加熱し、2時間半でオートクレーブ中の液温を160℃まで上昇させた後に4時間維持した。
その後、自然放熱による冷却を行い、得られた水酸化マグネシウム粒子の反応懸濁液を遠心脱水機で脱水し、水道水で洗浄を行い、洗浄廃水の電気伝導度が水道水の電気伝導度より20μS/cmだけ高い水準まで下落した時点で洗浄を終了した。
該水酸化マグネシウム粒子懸濁液中の水酸化マグネシウム粒子に対して0.5wt%に当るビニルトリメトキシシランを1wt%酢酸溶液に混合して溶解し、そのビニルトリエトキシラン−酢酸混合溶液を水酸化マグネシウム粒子懸濁液に添加して表面処理を行なった。
更に、該水酸化マグネシウム粒子の懸濁液中の水酸化マグネシウム粒子に対して鉄分が210ppmに当る塩化鉄(III)を水酸化マグネシウム粒子懸濁液に添加し、十分に攪拌後、該懸濁液をスプレードライヤーで乾燥し水酸化マグネシウム組成物を得た。
得られた水酸化マグネシウム組成物の作成条件及び諸物性を表1に示す。
表1に記載する条件に変更する以外は、実施例1と同様の方法で水酸化マグネシウム組成物を作成した。得られた水酸化マグネシウム組成物の作成条件及び諸物性を表1に示す。
尚、実施例2では、鉄量が450ppmに相当する塩化鉄(III)とマンガン量が45ppmに相当する塩化マンガンを添加した。
オートクレーブ中の塩化マグネシウム溶液に投入する石灰乳の投入時間を12分に変更する以外は、実施例1と同様の方法で水酸化マグネシウム組成物を作成した。得られた水酸化マグネシウム組成物の作成条件及び諸物性を表1に示す。
塩化マグネシウム溶液2を希釈してボーメ比重1.3の塩化マグネシウム溶液を調整し、得られた溶液を10Lのオートクレーブに5L仕込んで液温を20℃に調整し、液温を20℃に調整した濃度12wt%の石灰乳5L を攪拌条件下で5分かけて投入し、塩化マグネシウムと水酸化カルシウムを反応させて水酸化マグネシウムを生成し、更に石灰乳投入終了後から攪拌したままオートクレーブを加熱し、2時間半でオートクレーブ中の液温を160℃まで上昇させた後に4時間維持した。
その後、自然放熱による冷却を行い、得られた水酸化マグネシウム粒子の反応懸濁液を遠心脱水機で脱水し、脱水後に水道水で洗浄を行い、洗浄排水の電気伝導度が水道水の電気伝導度より20μS/cm高い水準まで下落した時点で終了した。
該水酸化マグネシウム粒子懸濁液中の水酸化マグネシウム粒子に対して0.5wt%に当るビニルトリメトキシシランを1wt%酢酸溶液に混合して溶解し、そのビニルトリエトキシラン−酢酸混合溶液を水酸化マグネシウム懸濁液に添加して表面処理を行なった。
更に、表面処理された水酸化マグネシウム粒子懸濁液中の水酸化マグネシウム粒子に対して鉄分が210ppmに当る塩化鉄(III)と、塩化鉄(III)に対して2.2倍のモル数に当る硫黄を含有するハイドロサルファイトを100gの水に溶解させた後、水酸化マグネシウム粒子懸濁液に添加し、十分に攪拌後、該懸濁液をスプレードライヤーで乾燥し、水酸化マグネシウム組成物を得た。
得られた水酸化マグネシウム組成物の作成条件及び諸物性を表2に示す。
表2に記載する条件に変更する以外は、実施例9と同様の方法で水酸化マグネシウム組成物を作成した。得られた水酸化マグネシウム組成物の作成条件及び諸物性を表2に示す。
オートクレープ中の水酸化マグネシウム溶液に投入する石灰乳の投入時間を12分に変更する以外は、実施例1と同様の方法で水酸化マグネシウム組成物を作成した。
得られた水酸化マグネシウム組成物の作成条件及び諸物性を表2に示す。
表3に記載する条件に変更する以外は、実施例1と同様の方法で水酸化マグネシウム組成物を作成した。得られた水酸化マグネシウム組成物の作成条件及び諸物性を表3に示す。
実施例1〜16及び比較例1〜7で得られた水酸化マグネシウム組成物125部を、三井、デュポンポリケミカル(株)製エチレン−エチルアクリレート樹脂(商品名エバフレックス−EEA)100重量部に、滑剤としてステアリン酸カルシウム2部、安定剤として旭電化工業(株)製アデカスタブAO−60を0.2重量部配合し、(株)東洋精機製作所製ラボブラストミル4C150−01と二軸セグメント押出機2D25Wで混練して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を150℃でプレス成形を行い、3mm厚のシートを作成した。
得られたシートを縦横40mmの平板に成形し、白色度Wを測定し、ハンターLab表色系のL値並びにb値で表した。
<樹脂成形体の難燃性評価>
酸素指数法による燃焼試験用の成形体として、縦150mm×横6.5mmのテストピースを作成し、JISK7201に準拠して酸素指数を測定した。また、成形体の酸素指数測定中に、チャーの生成度合いを目視により観察した。更に、難燃性の持続性について、ASTM E1354に準拠し、コーンカロリーメーターを用いて熱発生速度を求め、着火から最高発熱量(kw/m2 )に達するまでの時間T1と、最高発熱量を示した後に発熱量が最高発熱量の30%に低下するまでの時間T2の比(T2/T1)を求めた。
<樹脂成形体の耐熱劣化性評価>
成形体の耐熱劣化性について、150℃ダンパー開度50%にしたギアオーブン(タバイエスペック社製ギアオーブンGPHH−100)内に、作成したシートを縦50mm幅25mmに切り取って回転リングに吊るし、試験片表面に粒子の析出により白化するまでの時間と重量の10%が減量するまでの時間を求めた。
<樹脂成形体の強度評価>
作成したシートについて、JISK6251のゴム引張特性に準拠して引張試験を行い、その降伏点、最大引張強度、並びに破断時伸びを求めた。なお、該試験に使用したダンベルは、JISK6251に従いダンベル状1号形とした。
具体的には、比較例1の水酸化マグネシウム組成物は鉄とマンガンの含有量が少ないため、該組成物を用いた比較例8の樹脂組成物は、チャーの生成が認められず、また持続性にも劣っている。
Claims (11)
- 鉄及び/又はマンガンと硫黄とを含む水酸化マグネシウム粒子からなり、原子吸光分光光度計で測定した鉄及び/又はマンガンの含有量Mが水酸化マグネシウム粒子に対し10〜1000ppmの範囲であり、赤外線吸収法で測定した硫黄の含有量Sが水酸化マグネシウム粒子に対し10〜1800ppmの範囲であり、鉄及び/又はマンガンの含有量Mに対する硫黄の含有量Sの比S/Mが1.0〜1.8の範囲であることを特徴とする水酸化マグネシウム組成物。
- 白色度Wが98以上、L値が78以上、b値が3.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の水酸化マグネシウム組成物。
- 脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、樹脂酸、これらの金属塩、これらのアミン塩、これらのエステル、界面活性剤、カップリング剤、燐酸エステルから選択された少なくとも1種の表面処理剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水酸化マグネシウム組成物。
- レーザー回折散乱式粒度分布計で測定した50%平均粒子径Dp50が0.5〜2.0μm、レーザー回折散乱式粒度分布計で測定した最大粒子径DMax が6.5μm以下、窒素吸着法で測定したBET比表面積Swが1〜10m2 /gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水酸化マグネシウム組成物。
- 硫酸イオンを含む塩化マグネシウム溶液と水酸化物溶液を反応させて得られる水酸化マグネシウム粒子、又はそれを表面処理して得られる表面処理水酸化マグネシウム粒子に、塩化鉄溶液及び/又は塩化マンガン溶液を添加することを特徴とする水酸化マグネシウム組成物の製造方法。
- 塩化マグネシウム溶液と水酸化物溶液を反応させて得られる水酸化マグネシウム粒子、又はそれを表面処理した表面処理水酸化マグネシウム粒子に、塩化鉄溶液及び/又は塩化マンガン溶液と硫黄化合物を混合した溶液を添加することを特徴とする水酸化マグネシウム組成物の製造方法。
- 塩化鉄溶液及び/又は塩化マンガン溶液中の鉄及び/又はマンガンの量が、水酸化マグネシウム粒子又はそれを表面処理してなる表面処理水酸化マグネシウム粒子に対して、10〜1000ppmであることを特徴とする請求項5又は6に記載の水酸化マグネシウム組成物の製造方法。
- 塩化鉄溶液及び/又は塩化マンガン溶液中の鉄及び/又はマンガンのモル数Mmに対する硫黄化合物中の硫黄のモル数Smの比Sm/Mmが、1.9〜3.3であることを特徴とする請求項6に記載の水酸化マグネシウム組成物の製造方法。
- 硫黄化合物が、チオ硫酸化合物、デクロリンから選択される少なくとも1種の還元剤であることを特徴とする請求項6又は8に記載の水酸化マグネシウム組成物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水酸化マグネシウム組成物を樹脂に配合してなることを特徴とする樹脂組成物。
- 請求項10記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
Priority Applications (1)
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