JPH0955134A - 塩素含有樹脂被覆電線の製造方法 - Google Patents

塩素含有樹脂被覆電線の製造方法

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JPH0955134A
JPH0955134A JP7204658A JP20465895A JPH0955134A JP H0955134 A JPH0955134 A JP H0955134A JP 7204658 A JP7204658 A JP 7204658A JP 20465895 A JP20465895 A JP 20465895A JP H0955134 A JPH0955134 A JP H0955134A
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JP
Japan
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chlorine
hydrogen chloride
electric wire
lithium
containing resin
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JP7204658A
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Inventor
Kiyotoshi Fujii
清利 藤井
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SHOWA CHEM
Showa Kako Co Ltd
Original Assignee
SHOWA CHEM
Showa Kako Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼却時、火災時に多量の塩化水素を発生する
おそれのない塩素含有樹脂被覆電線の製造方法の提供。 【構成】 塩素含有樹脂と塩化水素捕捉剤を主成分とす
る塩素含有樹脂組成物と、その他の添加剤を加熱混練
し、その混練物で銅線を被覆して被覆電線とし、これを
冷却しながら所定の長さに切断する塩素含有樹脂被覆電
線の製造方法であって、前記塩化水素捕捉剤として、次
の(1)〜(4)の塩化水素捕捉剤のうち少なくとも1
つを使用するものである。 (1)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
以下の炭酸リチウム。 (2)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
以下の炭酸リチウムと炭酸カルシウムの混合物。 (3)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
以下の炭酸リチウムと、Znの金属石鹸の混合物を主成
分とするもの。 (4)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
以下の炭酸リチウムと、Znの金属石鹸と、エポキシ化
合物、亜リン酸エステル類、β−ジケトン類、ポリオー
ル類、カルボン酸類、カルボン酸リチウムのうちの1種
以上の混合物を主成分とするもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特願平7−159
260号公報に示された塩素含有樹脂組成物を用いた、
火災時及び焼却時における有害な塩化水素の発生が極め
て少ない塩素含有樹脂被覆電線の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より塩素含有樹脂、特にポリ塩化ビ
ニルは、価格が安価で加工性に優れ、軟質から硬質まで
自由に選択でき、絶縁性、耐老化性、耐オゾン性、耐油
・化学薬品性、耐水性で着色が自由であり、占積率が小
さく、しかも燃やした時に発生する塩化水素が酸素を遮
断して難燃性を示すので、難燃性の電線被覆材として各
種の電線に多量に用いられている。
【0003】しかし、最近では、逆に火災時に有害ガス
(塩化水素ガス)の発生により電線に接続された電機機
器および電子機器の腐食、有害ガスおよび黒煙を多量に
発生することになどによって人体への影響が問題になっ
ている。また、使用後に焼却処理した時にも発生する塩
化水素が大気汚染ひいては、酸性雨の原因になったり、
焼却炉が塩化水素によって腐食して耐久性が低下した
り、黒い煙が大量に発生するなどの欠点がクローズアッ
プされている。特に、塩素含有樹脂被覆電線は、一般家
庭、ビルや地下道で電線、電話線やケーブルという形で
多量に使用されているために、火災などの燃焼時に人体
や機器に有害な塩化水素ガスを多量に発生し、煙の害と
ともに人命に危険を及ぼすおそれがあり、社会問題とな
っている。従来より、ポリ塩化ビニル被覆電線には、増
量剤、耐熱性・耐磨耗性充填剤として炭酸カルシウムが
大量に配合されているが、炭酸カルシウムは、500℃
以下の温度では、火災時、焼却処理時に発生する塩化水
素の捕捉剤としては、さほど有効ではない。実際、火災
等で燃焼する場合の被覆電線の表面温度は、700〜8
00℃程度になっており、この温度の燃焼では、炭酸カ
ルシウムは、塩素をCaCl2 として捕捉しても、これ
が加水分解を起こして再度、塩化水素が発生する。この
ことは、下記の参考文献の記載からも明白であり、同様
のことは、Ca以外のいくつかのアルカリ土類、アルカ
リ金属に関しても報告されている。このように、これら
の金属塩化物は、高温域(800℃付近)で加水分解さ
れてHClを離してしまうので、捕捉率が高いといえな
い。特に、Ca化合物以外のNaCl,MgCl2 ,K
Clが発生するNa(ナトリウム),Mg(マグネシウ
ム),K(カリウム)化合物は、高温において安定に塩
化水素を捕捉し、保持するのは、困難である。
【0004】〔参考文献〕 1.久保田宏,内田重男,金谷健;食塩より発生する塩
化水素の基礎的研究,研究報告書〔1〕,昭和55年6
月,(社)プラスチック処理促進協会 2.久保田宏,内田重男他;都市ごみ中の揮発性塩素に
ついて、都市と廃棄物,Vol.12,No.8 3.内田重男:ごみ焼却炉内での塩化水素の生成と除
去,分離技術,22,4(1992)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点に鑑みなされたもので、焼却、火災時に多
量の塩化水素を発生するおそれのない塩素含有樹脂被覆
電線の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明が提供す
る塩素含有樹脂被覆電線の製造方法は、塩素含有樹脂と
塩化水素捕捉剤を主成分とする塩素含有樹脂組成物と、
その他の添加剤を加熱混練し、その混練物で銅線を被覆
して被覆電線とし、これを冷却しながら所定の長さに切
断する塩素含有樹脂被覆電線の製造方法であって、前記
塩化水素捕捉剤として、次の(1)〜(4)の塩化水素
捕捉剤のうち少なくとも1つを使用することを特徴とす
るものである。
【0007】(1)平均粒子径が20μm以下、好まし
くは10μm以下の炭酸リチウム。
【0008】(2)平均粒子径が20μm以下、好まし
くは10μm以下の炭酸リチウムと炭酸カルシウムの混
合物。
【0009】(3)平均粒子径が20μm以下、好まし
くは10μm以下の炭酸リチウムとZnの金属石鹸の混
合物を主成分とするもの。
【0010】(4)平均粒子径が20μm以下、好まし
くは10μm以下の炭酸リチウムと、Znの金属石鹸
と、エポキシ化合物、亜リン酸エステル類、β−ジケト
ン類、ポリオール類、カルボン酸類、カルボン酸リチウ
ムのうちの1種以上の混合物を主成分とするもの。
【0011】本発明者が鋭意研究したところ、アルカリ
金属の中の一つである上記リチウム化合物が塩化水素
(HCl)捕捉剤として最も適していることが判明し
た。実際に塩化ビニルにリチウム化合物を均一に分散混
合して得られた塩素含有樹脂組成物を燃焼させた場合に
は高い捕捉率を示した。リチウム化合物HClと反応し
てできた塩化リチウム(LiCl)の加水分解率は、8
00℃付近でも1%以下と他のアルカリ金属、アルカリ
土類金属と比べて非常に小さく安定である。またリチウ
ム化合物自体、Liの分子量が金属元素の中で一番小さ
いので、他の捕捉剤のように多量に配合する必要がな
く、同一モル数を配合しても添加量が非常に少なく塩素
含有樹脂の物性に与える影響も非常に少ない。
【0012】HClと反応してできた塩化リチウムは、
融点(Mp)が606℃と他のアルカリ金属、アルカリ
土類金属塩化物と比べて非常に低いが、蒸気圧が非常に
小さいため、蒸発して水蒸気と反応して加水分解を受け
にくい。上記リチウム化合物をカルシウム化合物、特に
微粒子の炭酸カルシウムと併用しても、リチウム金属イ
オンは、イオン化傾向が金属中で一番大きいので、カル
シウムが捕捉した塩素をリチウムに移して塩化リチウム
として捕捉する。このため、CaCl2 の高温度での分
解が抑制され、HClの捕捉率が高くなる。カルシウム
塩化物であるCaCl2 は、高温で加水分解しても、リ
チウム化合物が一緒に均一混合されていれば、塩素がリ
チウム金属イオンに移行して塩化リチウムとして安定に
存在する。したがって、CaCl2 が高温で加水分解さ
れるであろう比率に見合ったリチウム化合物を余分に添
加しておけば、HCl捕捉率は高くなる。
【0013】上述のように、最適なHCl捕捉剤は、リ
チウム化合物の水酸化リチウム(LiOH)、水酸化リ
チウム一水和物(LiOH・H2 O)、炭酸リチウム
(Li2 CO3 )であるといえる。その他にケイ酸、リ
ン酸などのリチウム塩(化合物)があるが、それらの酸
として見た場合、不揮発性の酸は、塩の高温での分解を
促進する物質となって逆効果である。その他の有機酸
(特に脂肪酸)のリチウム塩もあるが一般に分子量が大
きく、塩素含有樹脂から発生するHClを100%捕捉
するための理論配合量が非常に多くなるため、塩素含有
樹脂自体の物性の与える影響が大である。したがって、
基本的には、水酸化リチウム、水酸化リチウム・一水和
物、炭酸リチウムがHCl捕捉剤として最適で、それら
を配合した塩素含有樹脂組成物が燃焼してもHClの発
生がないか、または極端に少ない。
【0014】上記水酸化リチウムは、アルカリ性が強い
ため問題が起こる場合もある。しかし、例えば、脂肪酸
などの有機酸で表面コートしたり、カップリング剤で表
面処理したり、ポリマーでマイクロカプセル化するなど
の方法によって物性に与える影響を無くして塩素含有樹
脂に配合すれば、HClの発生のない、もしくは、極端
に少ない組成物を得ることができる。塩素含有樹脂が燃
焼時に発生するHClと上記炭酸リチウムとの反応は、
固体/気体(HCl)反応のため、炭酸リチウムを微粒
子にして表面積を大きくすれば、両者の反応性は向上す
る。この場合も表面処理をすることによって塩素含有樹
脂への充填性は向上する。従来より強アルカリ性化合物
をポリ塩化ビニルに配合すると、加工時に初期着色や劣
化を起こすといわれるが、例えば、スズ(Sn)系の安
定剤などの併用によって着色の無い塩素含有樹脂成形品
を得ることが可能になる。要するに、高温で燃焼しても
HClの発生しない、また発生しても、その量が極めて
少ない。また着色や劣化も起こさない塩素含有樹脂被覆
電線を得ることができる。ただ、被覆電線の場合は、使
用している間に人体の接触もあり、また、水分が付着し
たりして水酸化リチウムは、溶出の可能性がある。した
がって、安全性の面からは、被覆電線には炭酸リチウム
が最適である。
【0015】本発明における塩化水素捕捉剤としてのリ
チウム化合物は、他のHCl捕捉剤(と称するもの)と
比べて分子量が小さいことから配合量も少なくて済むの
で、塩素含有樹脂被覆電線の物性に与える影響は少なく
加工性も良好である、通常、HClの捕捉性能は、HC
l捕捉剤としての化合物を微粒子にすればするほど向上
する。しかし、水酸化リチウム(または、その水和物)
の場合は、ともに融点が412℃と低いため、燃焼時に
HClと反応するときは、液体となっている。このた
め、粒子径をさほど厳密に考慮する必要がなく、ただ塩
素含有樹脂と混合して粒子が目立たなければよく、しか
も均一分散されていれば、たとえ100メッシュ程度で
もHClの捕捉率が高くなる。ただ炭酸リチウムの場
合、HClとの反応時には、固体であるため、粒子径
は、小さい程、反応する表面積が大きくなるので、HC
lの捕捉率が高くなる。しかし、微粒子化には、物理
的、化学的、価格的な限界がある。これを補うためには
上記添加剤(捕捉率向上助剤)を炭酸リチウムに加える
とよい。このようにすると、理論値に近い値の捕捉率に
なることが分かった。
【0016】上記塩素含有樹脂としては、代表例とし
て、ポリ塩化ビニルをあげることができるが、ポリ塩化
ビニルホモポリマーに限定されるものではない。その他
の例としては、塩化ビニルを主体とするブロック共重合
体、グラフト共重合体、さらには、ポリ塩化ビニル樹脂
を主体とするポリマーブレンドを挙げることができる。
塩化ビニルと共重合されるコモノマーとしては、酢酸ビ
ニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタアクリル酸お
よびそのエステル類、アクリロニトリル類、エチレン、
プロビレン等のオレフィン類、マレイン酸およびその無
水物などを例示することができる。これらは、一種また
は、2種以上の混合物として使用される。ポリ塩化ビニ
リデンは、ポリ塩化ビニル樹脂の例と同じくホモポリマ
ー、ブロック共重合体または、ポリマーブレンドを包含
する。また、その他にも塩素化ポリエチレンや塩素化ポ
リ塩化ビニルなどを挙げることができる。
【0017】上記Znの金属石鹸としては、それぞれの
金属に対応する酸として、芳香族酸であればベンゾエー
ト系、脂肪酸であれば、オクトエート、ラウレート、ス
テアレート、オレート、リシノレート、ヒドロキシステ
アレート、マレート(エステルマレートを含む)などが
一般に使用される。
【0018】上記エポキシ化合物としては、エポキシ化
動植物油(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ
油等)、エポキシ化脂肪酸エステル(例えばエポキシス
テアリン酸メチル、エポキシステアリン酸エチルヘキシ
ル等)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポ
キシ化ポリブタジエン、エポキシ化脂環化合物(例えば
エポキシ化テトラヒドロフタレート等)などが一般に使
用される。上記亜リン酸エステル化合物としては、大き
く分類してモノホスファイト、ポリホスファイトがあ
り、そのモノホスファイトには、モノエステル、ジエス
テル、トリエステルがあり、置換基としてはアルキル
基、アリール基がある。ポリホスファイトには、ビスホ
スファイトとポリホスファイトがあり、ビスホスファイ
トには、2価アルコールまたは、水酸基を2個有する芳
香族化合物と4価アルコール(例えばペンタエリスリト
ールなど)とのエステルがある。
【0019】β−ジケトンの例としては、特に亜鉛(Z
n)金属石鹸配合の時に捕捉率向上に特徴的に有効な、
例えば、ステアロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイル
メタン等が挙げられる。ポリオールとしては、ペンタエ
リスリトールに代表されるポリオールが挙げられる。そ
の他にグリセリン、ソルビトール、マンニトール、ジペ
ンタエリスリトール、トリメチルプロパン、ポリエチレ
ングリコール、ポリビニルアルコール、およびそれらの
水酸基の一部を反応させて部分エステルにしたものも含
まれる。
【0020】カルボン酸類は、鎖式カルボン酸(別名:
脂肪酸)と炭素環式カルボン酸(脂環式及び芳香族)に
分類される。脂肪酸には、飽和、不飽和脂肪酸直鎖、分
岐鎖脂肪族、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸が含まれる。
また、これらのリチウム塩についても同様である。ただ
一般に使用されうるカルボン酸類は、金属石鹸に使用さ
れる酸と同様に、芳香族酸であれば、ベンゾエート系、
脂肪酸であれば、オクトエート、ラウレート、ステアレ
ート、オレート、リシノレート、ヒドロキシステアレー
ト、マレート(エステルマレートを含む)などである。
【0021】火災時の難燃性付与のために難燃剤(この
場合三酸化アンチモンなどの塩化水素との相乗効果によ
って難燃機能を発揮するものは除く)を添加することが
できる。
【0022】製造方法としては、押出し法を使用するこ
とができる。塩素含有樹脂被覆電線には600V級屋内
および屋外線、可撓コード、電話用屋内および屋外線、
コントロールケーブル、ポリエチレン絶縁塩ビジャケッ
ト高周波ケーブルなど非常に種類が多い。本発明の混練
物(被覆材)は、それらの電線の使用目的から、絶縁用
(primary insulation)と保護被覆
用(jacket、sheath)に分けられるが、い
ずれの用途の被覆材にも、上記塩化水素捕捉剤を配合す
ることができる。この被覆材を使用すれば、従来と同様
の方法で、燃焼しても有害なガス(塩化水素ガス)を発
生しない被覆電線を製造することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに説明
する。
【0024】以下に述べる実施例、比較例においては、
下記の要領で被覆電線を製造した。そして、その被覆電
線の燃焼時における塩化水素発生量の測定および塩化水
素捕捉率の計算を行った。表2は、その結果を示す。
【0025】(1)ポリ塩化ビニルコンパウンドによる
被覆電線の製造 ポリ塩化ビニル樹脂103EP−J(日本ゼオン(株)
製、平均重合度1000)100重量部に対して可塑剤
のDOP(フタルる酸ジ−2エチルヘキシル)50重量
部とエポキシ化大豆油5重量部と三塩基性硫酸鉛5重量
部と塩化水素捕捉剤および塩化水素捕捉向上助剤を表1
の規定量配合してブレンダーで均一に混合し、ついでシ
リンダー後部100℃、中部120℃、前部160℃、
ヘッド170℃、ダイ180℃に設定した電線被覆用押
出機を用いて裸銅線に被覆し、直ちに水冷し、取引機で
巻き取り、被覆電線とした。
【0026】(2)実施例における塩化水素捕捉剤とし
てのリチウム化合物の理論配合量 (PVC100重量部より発生するHClを100%捕
捉するために必要な重量部) 水酸化リチウム(LiOH):38phr 炭酸リチウム(Li2 CO3 ):60phr その他、炭酸カルシウム(CaCO3 ):81phr この配合量を従来より使用されている重質炭酸カルシウ
ム、焼成クレーに代えて配合した。配合例は、表1に示
した。
【0027】
【表1】
【0028】(3)実施例と比較例のポリ塩化ビニル被
覆電線の燃焼によって発生する塩化水素の発生量は、管
状電気炉とガス吸着びんとポンプを接続し、ポンプから
一定量の空気を管状電気炉内に送り、その中に入れたポ
リ塩化ビニル被覆電線を管状電気炉内で加熱し、発生す
る塩化水素を吸着びん中の水酸化ナトリウム水溶液と反
応させて吸着させ、水中の塩素濃度をイオンクロマトに
よって定量した。測定条件は、次のとおりである。
【0029】 燃焼温度:750℃、燃焼時間:15分、燃焼サンプル量:0.2g前後 吸着液:水酸化ナトリウムN/50水溶液、キャリアーガス:空気 空気流量:0.5l/min、燃焼ボート:白金製 (4)ポリ塩化ビニル被覆電線の燃焼時に発生する塩化
水素の捕捉率の算出方法 燃焼させた被覆電線の供試品より発生したHClの実測
値を供試品1gに換算した値を、発生量(HCl発生量
/サンプル1g当り)とし、この発生量と理論HCl発
生量(燃焼時に発生したHClが全く捕捉されていない
とした発生量)より下記式を用いて計算した。
【0030】
【数1】
【0031】(5)実施例において使用した塩化水素捕
捉剤 実施例1 水酸化リチウム(無水)38重量部 (キシダ化学
(株)製 試薬1級) 実施例2 炭酸リチウム(平均粒子径3.2μm) 60重量部
(本荘ケミカル(株)製炭酸リチウム(Fグレード)を
ボールミルにて粉砕したもの) 軽質炭酸カルシウム(平均粒子径0.08μm) 30
重量部(白石工業(株)製軽質炭酸カルシウム:白艶華
CCR) 実施例3 炭酸リチウム(平均粒子径9.6μm) 60重量部
(本荘ケミカル(株)製炭酸リチウム(Fグレード)) 実施例4 炭酸リチウム(平均粒子径2.8μm) 60重量部 実施例5 炭酸リチウム(平均粒子径2.8μm) 60重量部 塩化水素捕捉率向上助剤として ステアリン酸亜鉛 5.6重量部(ステアリン酸亜鉛:
共同薬品(株)製:KV85A−1) 実施例6 炭酸リチウム(平均粒子径2.8μm) 60重量部 塩化水素捕捉率向上助剤として ステアリン酸亜鉛 5.6重量部 エポキシ化大豆油 1.0重量部(大日本インキ化学工
業(株)製:エポキシ化可塑剤:W100EL) 亜リン酸エステル 0.5重量部(旭電化工業(株)
製:アデカスタブC) 実施例7 炭酸リチウム(平均粒子径2.8μm) 60重量部 塩化水素捕捉率向上助剤として ステアリン酸亜鉛 5.6重量部 ベンタエリスリトール 2.0重量部(和光純薬 試薬
1級) 実施例8 炭酸リチウム(平均粒子径2.8μm) 60重量部 塩化水素捕捉率向上助剤として ステアリン酸亜鉛 5.6重量部 ジベンゾイルメタン 1.0重量部(和光純薬 試薬1
級) 比較例1 通常の被覆電線配合と異なり重質炭酸カルシウムを10
0重量部配合(平均粒子径:8μm) 比較例2 通常の被覆電線配合と異なり炭酸カルシウムを100重
量部配合したものであるが、塩化水素捕捉率を比較する
ために、微粒子の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径0.
08μm)を100重量部配合 比較例3 塩化水素捕捉剤及び炭酸カルシウムを配合しいない被覆
電線 比較例4 炭酸リチウム(平均粒子径32μm) 60重量部
【0032】
【表2】
【0033】表2の結果から明らかなように、塩化水素
捕捉剤として水酸化リチウムを配合すると、非常に高い
捕捉率を示す。同様に、炭酸リチウムを捕捉剤として用
いた場合は、10μm以下に粒子径を小さくすること
や、捕捉率向上助剤としてのZn化合物やエポキシ化合
物、亜リン酸エステル類、ポリオール類、β−ジケトン
類などを添加することによって、さらに捕捉率が向上
し、90%以上の高い捕捉率を示す。
【0034】重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウム
は、粒子径が小さいにも拘らず、塩化水素捕捉率が50
%以下となり、その捕捉性能は低い。このため、これら
の化合物を使用した被覆電線は、火災時の焼却時におい
て有害な塩化水素が多量に発生し、問題の解決にはなら
ない。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
上述のように、塩化水素捕捉剤を用いて塩素含有樹脂被
覆電線を製造するので、廃棄されて焼却された場合や火
災が起こった場合でも、多量の塩化水素が発生すること
のない塩素含有樹脂被覆電線を得ることができる。
【0036】したがって、例えば電子機器や電気機器に
使用しても、火災時に、これらの機器が塩化水素によっ
て腐食して使用不能になるおそれがなく、このため、情
報伝達を支える動脈を守ることができる塩素含有樹脂被
覆電線を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/098 KGW C08K 5/098 KGW KGX KGX 5/15 KHC 5/15 KHC 5/521 KHX 5/521 KHX C08L 27/06 KGL C08L 27/06 KGL H01B 7/28 H01B 7/28 F 7/34 7/34 B // H01B 3/44 3/44 B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素含有樹脂と塩化水素捕捉剤を主成分
    とする塩素含有樹脂組成物と、その他の添加剤を加熱混
    練し、その混練物で銅線を被覆して被覆電線とし、これ
    を冷却しながら所定の長さに切断する塩素含有樹脂被覆
    電線の製造方法であって、前記塩化水素捕捉剤として、
    次の(1)〜(4)の塩化水素捕捉剤のうち少なくとも
    1つを使用することを特徴とする塩素含有樹脂被覆電線
    の製造方法。 (1)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
    以下の炭酸リチウム。 (2)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
    以下の炭酸リチウムと炭酸カルシウムの混合物。 (3)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
    以下の炭酸リチウムとZnの金属石鹸の混合物を主成分
    とするもの。 (4)平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
    以下の炭酸リチウムにZnの金属石鹸と、エポキシ化合
    物、亜リン酸エステル類、β−ジケトン類、ポリオール
    類、カルボン酸類、カルボン酸リチウムのうちの1種以
    上の混合物を主成分とするもの。
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JP (1) JPH0955134A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002179932A (ja) * 2000-12-12 2002-06-26 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 塩酸トラップ剤を含有する重合体組成物

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