JP3632735B2 - 絶縁樹脂組成物および絶縁電線 - Google Patents

絶縁樹脂組成物および絶縁電線 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子機器の内部および外部配線に使用される絶縁電線に関するものであり、埋立、焼却などの廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の煙、腐食性ガスの発生がない絶縁電線とそれに用いる樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気・電子機器の内部および外部配線に使用される絶縁電線には、難燃性、引張特性、耐熱性など種々の特性が要求される。このため、これら絶縁電線の被覆材料として、ポリ塩化ビニル(PVC)コンパウンドや分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン系難燃剤を配合した、エチレン系共重合体を主成分とする樹脂組成物を使用することがよく知られている。
近年、このような被覆材料を用いた絶縁電線を適切な処理をせずに廃棄した場合の種々の問題が提起されている。例えば、埋立により廃棄した場合には、被覆材料に配合されている可塑剤や重金属安定剤の溶出、また焼却した場合には、多量の腐食性ガスの発生、ダイオキシンの発生などという問題が起こる。
このため、有害な重金属やハロゲン系ガスなどの発生がないノンハロゲン難燃材料で電線を被覆する技術の検討が盛んに行われている。
従来のノンハロゲン難燃材料は、ハロゲンを含有しない難燃剤を樹脂に配合することで難燃性を発現させたものであり、このような被覆材料の難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水和物が、また、樹脂としては、ポリエチレン、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体などが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで電子機器内に使用される電子ワイヤハーネスには、安全性の面から高い難燃性が要求されており、非常に厳しい難燃性規格 UL1581(Reference Standard for Electrical Wires, Cables, and Flexible Cords)などに規定される垂直燃焼試験(Vertical Flame Test)のVW−1規格やJIS C3005に規定される60度傾斜難燃特性をクリアするものでなければならない。さらに、難燃性以外の特性についても、ULや電気用品取締規格などで、伸び100%、力学的強度10MPa以上という高い力学的強度が要求されている。
ノンハロゲン難燃材料を用いた絶縁電線においてこのような高度の難燃性と力学的強度を実現するために、以下のような技術が検討されてきた。
まず、赤燐と水酸化マグネシウムを併用した絶縁組成物が検討されてきたが、赤燐の発色のために電線を白をはじめとする任意の色に着色できないことや、廃棄する際に赤燐が地中に流出し湖沼を富養化するおそれがあることなどの問題がある。
また、水酸化マグネシウムを多量に加えた絶縁組成物が検討されているが、絶縁体の肉厚によっては燃えてしまうことがあり、また、難燃性が不十分であったり、力学的強度が著しく低下したりするという問題がある。
特開平2−75642号には、ポリオレフィン又はエチレン系共重合体に対して無機難燃材とメラミンシアヌレート化合物を併用した例が開示されている。しかしこの組成物を用いた絶縁電線では前記のVW−1規格に不適合であり、また通常用いられる高級脂肪酸で表面処理した水酸化マグネシウムを200重量部程度まで加えてゆくと力学的強度が著しく低下する。特開平7−133386号においてもエチレン−酢酸ビニル共重合体をベースとする絶縁組成物が開示されているが、やはりVW−1規格に適合する難燃性は得られていない。
【0004】
通常、ノンハロゲン難燃性組成物に難燃材として金属水和物を配合すると、難燃性は向上するが、伸び・抗張力の低下が生じる。また、金属水和物を多量に、例えばエチレン系共重合体100重量部に対し250重量部加えても、非常に細径の電線においては十分な垂直難燃性を確保することができない。一方、金属水和物の量を低く抑えると、伸び・抗張力などの力学的特性は満足できるが難燃性が十分でなくなる。
【0005】
本発明は、これらの問題を解決し、絶縁電線に要求される高度の難燃性と優れた機械特性を有し、任意の色に着色でき、かつ、廃棄時の埋立による重金属化合物やリン化合物の溶出や、焼却による多量の煙、腐食性ガスの発生などの問題のない絶縁電線、及びこの絶縁電線の絶縁体を形成する樹脂組成物の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、樹脂材料としてエチレン系共重合体を用い、上記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、特定の表面処理剤で処理された金属水和物とメラミンシアヌレート化合物を特定量、難燃材として含有するエチレン系共重合体樹脂組成物により、VW−1規格に適合する優れた難燃特性を有し、しかも力学的特性、電気特性に優れ、燃焼時にダイオキシンなどの有害物質を発生しない絶縁電線が得られることを見出した。さらにこの金属水和物とメラミンシアヌレート化合物とともにスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛又はホウ酸亜鉛を併用した樹脂組成物を用いると、さらに優れた難燃性を有する絶縁電線が得られた。本発明はこの知見に基づくものである。
【0007】
すなわち本発明は
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、およびエチレン−メタクリレート共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種65〜100重量%及び不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン樹脂0〜35重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、ビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤で表面処理した金属水和物150〜250重量部及びメラミンシアヌレート化合物1〜50重量部を含有してなることを特徴とする絶縁樹脂組成物、
(2)前記樹脂成分100重量部に対し、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛及びヒドロキシスズ酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を0.5〜20重量部含有することを特徴とする(1)項に記載の絶縁樹脂組成物、及び
(3)(1)又は(2)項に記載の絶縁樹脂組成物の架橋体で導体が被覆されていることを特徴とする絶縁電線
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明においては、エチレン系共重合体、またはエチレン系共重合体と不飽和カルボン酸もしくはその誘導体で変性した変性ポリエチレン樹脂の混合物をベース樹脂とし、反応性のシランカップリング剤で表面処理された金属水和物とともにメラミンシアヌレート化合物を使用することにより、高い力学的強度と優れた難燃性(垂直難燃性など)を有する絶縁樹脂組成物とする。
本発明の絶縁樹脂組成物の作用として、燃焼したときに金属水和物が水を発生しつつ表面に殻を形成したうえで、メラミンシアヌレート化合物が内部からガスを発生することにより完全に消火できるため、非常に高い難燃性を有すると考えられる。また、この金属水和物がビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤で表面処理を行ったものであることにより、組成物を架橋したときにVW−1規格適合レベルの非常に高い難燃性を発現し、さらに、金属水和物の配合量を増やしても、要求される高い力学的強度を維持できる。必要に応じてさらにスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びホウ酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を配合することにより、燃焼時の殻の形成速度が速くなり、さらに難燃性が向上させることができる。
【0009】
以下、本発明の絶縁樹脂組成物に含まれる成分について説明する。
(A)エチレン系共重合体
本発明の絶縁樹脂組成物は、ベース樹脂にエチレン系共重合体を用いる。本発明に用いることのできるエチレン系共重合体、エチレン−酢酸ビニル(VA)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート(EA)共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である。難燃性向上の点からは、本発明で用いるエチレン系重合体として好ましいものはエチレン−酢酸ビニル共重合体である。また、難燃性を向上させるうえでエチレンに対し共重合させた共重合成分の含有量(例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体ではVA含有量、エチレン−エチルアクリレート共重合体ではEA含有量)が27重量%以上のエチレン系共重合体が好ましく、さらに好ましくは27〜42重量%、特に好ましくは27〜35重量%である。また、エチレン系共重合体のMFR(メルトフローレイト)は、強度保持の面から5以下が好ましい。
本発明においてエチレン系共重合体は、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂と混合して用いることができるが、このときエチレン系共重合体の量は樹脂成分中65重量%以上、好ましくは70重量%以上でなければならない。エチレン系共重合体が少なすぎると難燃性が低下するためである。
【0010】
(B)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性した変性ポリオレフィン樹脂
本発明においては、ベース樹脂成分中35重量%以下、好ましくは1〜20重量%の不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂が多すぎると、難燃性や伸びが著しく低下したり、この組成物で被覆した電線自体が硬くなったりする。
本発明で用いることのできるポリオレフィン樹脂としては、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)などを不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したものがあげられる。なお、本発明における変性ポリオレフィン樹脂とは、ポリオレフィン樹脂と変性剤である不飽和カルボン酸またはその誘導体とを反応させて変性したものであり、例えば、これらをパーオキサイドの存在下に溶融・混練することにより行うことができる。変性に用いる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などがあげられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸などがある。
本発明においては、必要に応じこのような変性ポリオレフィン樹脂を配合することにより、絶縁樹脂組成物の強度をさらに向上することができ、また、金属水和物による機械特性の低下を緩和する効果や電線の白化を防ぐ効果も得られる。
【0011】
(C)ビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤で表面処理した金属水和物
本発明において用いることのできる金属水和物の種類は特に制限はないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、オルト珪酸アルミニウム、ハイドロタルサイドなどの水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物があげられ、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの金属水和物のうち、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。
また、上記金属水和物の表面処理に用いられるシランカップリング剤は、ビニル基またはエポキシ基を末端に有するものであり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらのビニル基またはエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤は1種単独でも、2種以上併用して使用してもよい。
【0012】
本発明で用いることができるシランカップリング剤表面処理水酸化アルミニウムとしては、表面未処理の水酸化アルミニウム(ハイジライトH42M(商品名、昭和電工社製)など)を上記のビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤により表面処理したものなどがあげられる。
また、本発明で用いることができるシランカップリング剤表面処理水酸化マグネシウムとしては、表面無処理のもの(市販品としては、キスマ5(商品名、協和化学社製)など)、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸で表面処理されたもの(キスマ5A(商品名、協和化学社製)など)、リン酸エステル処理されたものなどを上記のビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤により表面処理したもの、またはビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤によりすでに表面処理された水酸化マグネシウムの市販品(キスマ5LH、キスマ5PH(いずれも商品名、協和化学社製)など)がある。
また、上記以外にも、予め脂肪酸やリン酸エステルなどで部分的に表面処理した水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムに追加的にビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤を用い表面処理を行った金属水和物なども用いることができる。
【0013】
金属水和物の表面処理を行う場合は、未処理又は部分表面処理金属水和物に予め又は混練りの際シランカップリング剤をブレンドして行うことができる。このときのシランカップリング剤は、表面処理するに十分な量が適宜加えられるが、具体的には金属水和物に対し0.3〜2重量%が好ましい。
本発明においては、ビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤で表面処理された金属水和物は、絶縁体としたときの高い力学的強度を維持するだけでなく、燃焼時に殻形成を促進する。したがって、この金属水和物とメラミンシアヌレート化合物を併用することにより難燃性が飛躍的に向上し、VW−1規格に適合し得る絶縁樹脂組成物とすることができる。
本発明においてこの金属水和物の配合量は、エチレン系共重合体及び変性ポリオレフィン樹脂の合計100重量部に対して、150重量部〜250重量部、好ましくは170〜230重量部である。この金属水和物の配合量が少なすぎると要求される難燃性が確保できず、また多すぎると力学的強度が著しく低下する。
【0014】
またビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤で表面処理された金属水和物とともに、ビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤以外で表面処理された金属水和物や無処理の金属水和物を用いることもできるが、全金属水和物の60重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上がビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤で表面処理された金属水和物となるようにするのが好ましい。
本発明においては必要に応じ、上記の金属水和物の分散性を向上するため、亜鉛、マグネシウム、カルシウムから選ばれる少なくとも1種の脂肪酸金属塩を配合することができる。脂肪酸金属塩の脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などがあり、ステアリン酸が好ましい。脂肪酸金属塩を用いる場合には、エチレン系共重合体及び変性ポリオレフィン樹脂の合計100重量部に対し1〜10重量部が好ましい。
【0015】
(D)メラミンシアヌレート化合物
本発明で用いるメラミンシアヌレート化合物は、粒径が細かい物が好ましい。本発明で用いるメラミンシアヌレート化合物の平均粒径は好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。また、分散性の面から表面処理されたメラミンシアヌレート化合物が好ましく用いられる。
本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物としては、例えばMCA−0、MCA−1(いずれも商品名、三菱化学社製)や、Chemie Linz Gmbhより上市されているものがある。また脂肪酸で表面処理したメラミンシアヌレート化合物、シラン表面処理したメラミンシアヌレート化合物としては、MC610、MC640(いずれも商品名、日産化学社製)などがある。
本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物として、例えば以下のような構造のメラミンシアヌレートがある。
【0016】
【化1】
Figure 0003632735
【0017】
本発明においてメラミンシアヌレート化合物の配合量は、エチレン系共重合体と変性ポリオレフィン樹脂の合計100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは5〜40重量部である。メラミンシアヌレート化合物が少なすぎると難燃性向上の効果が発現せず、多すぎると力学的強度、特に伸びが低下し、電線としたときの外観が著しく悪くなる。
【0018】
(E)スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛
本発明の絶縁樹脂組成物には、必要に応じスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びホウ酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を配合することができ、さらに難燃性を向上することができる。これらの化合物を用いることにより、燃焼時の殻形成の速度が増大し、殻形成がより強固になる。従って、燃焼時に内部よりガスを発生するメラミンシアヌレート化合物とともに、難燃性を飛躍的に向上させることができる。
本発明で用いるホウ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛は平均粒子径が5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
本発明で用いることのできるホウ酸亜鉛として、具体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B ・3.5H O)、FRC−600(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。またスズ酸亜鉛(ZnSnO )、ヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH) )として、アルカネックスZS、アルカネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。
【0019】
本発明の絶縁樹脂組成物には、電線・ケ−ブルにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
酸化防止剤としては、4, 4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、N, N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2, 2, 4−トリメチル−1, 2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1, 3, 5−トリメチル−2, 4, 6−トリス(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンゾイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などがあげられる。
【0020】
金属不活性剤としては、N, N’−ビス(3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1, 2, 4−トリアゾール、2, 2’ −オキサミドビス−(エチル3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などがあげられる。
難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどがあげられる。
【0021】
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系などがあげられ、なかでも、ワックスE、ワックスOP(いずれも商品名、Hoechst社製)などの内部滑性と外部滑性を同時に示すエステル系滑剤が好ましい。
【0022】
本発明の絶縁樹脂組成物は、上記の各成分を、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど、通常用いられる混練装置で溶融混練して得ることができる。
【0023】
次に本発明の絶縁電線について説明する。
本発明の絶縁電線は、導体が、上記の本発明の絶縁樹脂組成物の架橋体により被覆されたものであり、本発明の絶縁樹脂組成物を通常の電線製造用押出成形機を用いて導体周囲に押出被覆し、その後、その被覆層を架橋することにより製造することができる。被覆層を架橋体とすることにより、耐熱性の向上のみならず、難燃性も向上する。
架橋の方法は特に制限はなく、電子線架橋法や化学架橋法で行うことができる。
電子線架橋法で行う場合、電子線の線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋をおこなうために、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのメタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官能性化合物を架橋助剤として配合してもよい。
化学架橋法の場合は樹脂組成物に、ヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ケトンペルオキシエステル、ケトンペルオキシドなどの有機過酸化物を架橋剤として配合し、押出成形被覆後に加熱処理により架橋をおこなう。
本発明の絶縁電線の導体径や導体の材質などは特に制限はなく、用途に応じて適宜定められる。導体の周りに形成される絶縁樹脂組成物の被覆層の肉厚も特に制限はないが、0.15〜1mmが好ましい。また、絶縁層が多層構造であってもよく、本発明の絶縁樹脂組成物で形成した被覆層のほかに中間層などを有するものでもよい。
【0024】
【実施例】
実施例1〜13、比較例1〜10
まず、表1〜3に示す各成分を室温にてドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して、各絶縁樹脂組成物を製造した。
次に、電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径0.48mmφの錫メッキ軟銅撚線 構成:7本/0. 16mmφ)上に、予め溶融混練した絶縁樹脂組成物を押し出し法により被覆して、各々絶縁電線を製造した。外径は1.34mm(被覆層の肉厚0.42mm)とし、被覆後、10Mradで電子線照射して架橋を行った。
なお、表1〜3に示す各成分は下記のものを使用した。
【0025】
Figure 0003632735
Figure 0003632735
【0026】
得られた各絶縁電線について、以下の試験を行った。結果を表1〜3に示した。
▲1▼伸び、抗張力
各絶縁電線の伸び(%)と被覆層の抗張力(MPa)を、標線間25mm、引張速度500mm/分の条件で測定した。
▲2▼難燃性
各絶縁電線について、UL1581の Vertical Flame Test をおこない、合格数を示した(合格数/N数)。また、合格数がN数(全数)と等しいものについては最大燃焼時間を測定した。
▲3▼外観
絶縁電線を押し出して外観を観察し、外観の良好な絶縁電線を○、外観の悪いものを×とした。
【0027】
【表1】
Figure 0003632735
【0028】
【表2】
Figure 0003632735
【0029】
【表3】
Figure 0003632735
【0030】
実施例1〜13の絶縁電線は、UL等で規定されている伸び(100%以上)、抗張力(10Mpa 以上)、難燃性(VW−1 5/5)の条件を全て満足している。
水酸化マグネシウムの量を160重量部とした実施例7では、燃焼時間は長くなっているが、VW−1規格には適合している。また水酸化マグネシウムを240重量部加えた実施例8の場合、力学的特性はやや低下するものの規格で要求される条件は満足しており、VW−1規格にも適合している。これに対し、金属水和物の量が少なすぎる比較例5では難燃性が低く、多すぎる比較例6では力学的強度に問題がある。
メラミンシアヌレート化合物を多く用いた実施例7、12では難燃時間が減少し、難燃性が向上しており、力学的特性にも問題はないが、70重量部用いた比較例4では力学的特性が大幅に低下している。またメラミンシアヌレート化合物を加えない比較例1、2では、難燃性がVW−1規格不適合であった。
また金属水和物としてステアリン酸表面処理のものを用いた比較例3、メチル基末端のシランカップリング剤を用いた比較例7、アミノ基末端のシランカップリング剤を使用した比較例8、未処理の水酸化マグネシウムのみを用いた比較例9では、力学的強度が大幅に低下するだけでなく、難燃性も低下している。
またヒドロキシスズ酸亜鉛やホウ酸亜鉛を使用した実施例10〜13では、難燃性が大幅に向上し、最大燃焼時間が実施例1〜9よりもさらに短くなった。
また無水マレイン酸変性LLDPEを30重量部加えた実施例9では、要求される難燃性及び力学的強度を有するものが得られているが、45重量部加えた比較例10では難燃性でVW−1規格不適合であり、力学的強度も低下した。
このようにメラミンシアヌレート化合物とビニル基又はエポキシ基末端を有するシランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムとを所定量併用した場合のみ、難燃性及び力学的特性を満足することが可能であった。したがって本発明の組成物によって得られる物性は、メラミンシアヌレート化合物及び特定のシランカップリング剤処理による金属水和物の複合的効果の結果と考えることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の絶縁樹脂組成物は、埋立、焼却などの廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の煙、腐食性ガスの発生がないノンハロゲン難燃材料であり、かつ、電気・電子機器の絶縁電線に要求される極めて高い難燃性と力学的強度を満足することができる。またリン系化合物を使用しないため、廃棄による湖沼等への汚染のおそれもなく、さらに任意の色に着色、印刷できる。したがってこれを用いた本発明の絶縁電線は、極めて高い難燃性と力学的強度を有し、着色、印刷も自在で、電気・電子機器に配線される絶縁電線として好適に用いることができ、廃棄における重金属化合物の溶出や、多量の煙、腐食性ガスの発生などの問題がないという優れた効果を奏する。

Claims (3)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、およびエチレン−メタクリレート共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種65〜100重量%及び不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン樹脂0〜35重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、ビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤で表面処理した金属水和物150〜250重量部及びメラミンシアヌレート化合物1〜50重量部を含有してなることを特徴とする絶縁樹脂組成物。
  2. 前記樹脂成分100重量部に対し、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛及びヒドロキシスズ酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を0.5〜20重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の絶縁樹脂組成物の架橋体で導体が被覆されていることを特徴とする絶縁電線。
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