【発明の詳細な説明】
キラルトリアリール誘導体を調製するためのエナンチオ選択処理方法およびそ れに使用するキラル中間体
本発明は、キラルトリアリールエタン類を調製するためのエナンチオ選択(ena
ntioselective)処理方法と、それに使用する新規なキラル中間体とに関する。
本願発明者らは、自らの欧州特許第626939号明細書においてトリアリー
ルエタン(±)−4−[1−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニ
ル)−2−フェニルエチル]ピリジンについて述べている。この化合物は、以下
の式すなわち
[式中、Yはメトキシ基、−OR2はシクロペンチルオキシ基、−R3はフェニル
基、−R4は4−ピリジル基である]で表され、不斉炭素原子[上記の構造式で
は星印で区別してある]によってR−異性体またはS−異性体として存在するこ
とができる。各異性体は、イソ酵素であるホスホジエステラーゼIV[PDEIV]
に対して経口活性がある強力な選択阻害因子である。この酵素は、炎症性白血球
および気道平滑筋においてアデノシン3',5'−サイクリック−リン酸[cAM
P]の加水分解時に重要な役割を果たす。したがって、各異性体はPDEIVの選
択阻害因子として抗炎症作用および気管支拡張作用の両方を有するので喘息など
の炎症性疾患に治療効果があると考えることができる。
例えばジアステレオマー誘導体調製物やキラル高速液体クロマトグラフィーな
どによってR−異性体またはS−異性体の各々を対応混合物から単離することは
できるが、この手法は、特に産業的な規模では臨床使用に許容し得る鏡像異性体
純度の物質を十分な収率で生成することが困難であってあまり満足できるもので
あるとは言えない。この問題を解決するため、本願発明者らはエナンチオ選択処
理方法を開発したが、これは新規なキラル中間体を利用して各異性体を少なくと
も98%のe.e.値(鏡像異性体過剰率)で高収率で直接提供することができる
操作である。この方法は特に堅実なものであり、通常は95%以上のe.e.値で
キラルトリアリールエタン類を大規模に製造することができる。
エナンチオ選択処理方法において鍵となる化合物は、以下の式(1)で示され
るα,β−不飽和オレフィンすなわち
Ar-CH=C(R4)COAux (1)
[式中、ArおよびR4は同じであっても異なっていても良く、各々が酸素原子
、硫黄原子もしくは窒素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含む
単環式アリール基または二環式アリール基であり、Auxは、キラル(R−また
はS−)助剤(auxiliary)の残基である]であって、本発明の第1の態様を構成
する。
式(1)で示されるオレフィンは、以下の式(2)で示されるR−異性体また
はS−異性体すなわち
を生成するエナンチオ選択処理方法の出発原料であり、式中、ArおよびR4は
式(1)において定義した通りであり、R3は、酸素原子、硫黄原子もしくは窒
素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含有する単環式アリール基
または二環式アリール基であり、前記R3基はAr基およびR4基と同じであるか
異なっており、式中、波線(〜)は−CH(R3)−の立体配置がR−またはS
−の立体配置のいずれかであることを意味する。
本発明の別の態様によれば、本願発明者らは、式(2)で示されるR−異性体
またはS−異性体を調製するためのエナンチオ選択処理方法に使用される、式(
1)で示されるオレフィンを提供する。式(2)で示されるR−異性体またはS
−異性体の中でも、特に以下においてさらに具体的に説明する異性体は、医療用
薬剤として、例えば喘息などの炎症性疾患の予防または治療に用いられる選択性
PDEIV阻害剤などとして有用である。
本発明に係るオレフィンの具体的な例は、表および図1を含む後述の実施例に
示される。特に、図1は式(2)で示される特定の異性体に対するエナンチオ選
択処理方法全体を示す反応スキームである。ただし、広義には本願発明者らは本
発明に係る別の態様において式(2)で示されるR−異性体またはS−異性体を
調製するための多段処理方法を提供する。この方法は、第1のステップにおいて
式(1)で示される化合物とをR3−を含有する有機金属試薬とを反応させ、式
(3)で示される化合物すなわち
式中、Ar,R3,R4,Auxは先に定義した通りとする
を生成し、
続いて第2のステップにおいて式(3)で示される化合物を塩基存在下でチオー
ル[RSH]で切断することによって、以下の式(4)で示されるチオエステル
すなわち
[式中、−SRはチオールの残基であり、Rは有機基である]を生成し、続く最
後のステップでは式(4)で示される中間体を脱カルボニル化することによって
、式(2)で示される所望のR−異性体またはS−異性体を生成する。
上記の式(3)および(4)で示される中間体は、新規で有用な化合物であり
、本発明のさらに別の態様を構成する。
式(1)で示される化合物は幾何異性体の他にキラル異性体を形成し得ること
、さらには本発明がこうした化合物の異性体で考えられるものすべてを包含する
ことを意図することは理解されよう。本発明に係る処理方法に使用するために選
択される特定の異性体は、処理によって得られる式(2)で示される異性体の性
質を決定する。このため、例えば図1には、式(1)で示される化合物中のAr
[3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル]基とR4[4−ピリジル
]基とが、シス(E)の関係となる処理方法が示されている。この例では、キラ
ル助剤(図中のR★)がR−異性体である場合には、処理によって得られる式(
2)で示される化合物はR−異性体である。あるいは、同じ例ではあるが、Ar
基とR4基とがトランス(Z)の関係にある式(1)で示される化合物を使用す
ると、式(2)で示される対応のS−異性体が生成される。このことから、Ar
、R4、Auxのその他の立体化学的組合せは容易に理解できるであろうし、A
r、R4およびAuxの性質によって特定の関係を最初に選択すれば、式(2)
で示される特定の所望の異性体に対して最適な処理を実現することができる。
本発明に係る多段処理方法の第1のステップでは、R3−含有有機金属試薬は
、例えばグリニャール試薬R3MgHal[式中Halは、臭素原子などのハロ
ゲン原子]や、有機リチウム化合物R3Liなどであり得る。グリニャール試薬
を使用する場合には、臭化銅(I)−ジメチルスルフィド錯体や塩化銅(I)な
どの錯化剤の存在下で反応を実行することが好ましい。反応は、ジエチルエーテ
ルやテトラヒドロフランといった非環状エーテルや環状エーテルなどの不活性溶
媒中で、−70℃前後から0℃前後までなどの低温で実行することができる。そ
の後でク
エンチング(quenching)が必要であれば、水性塩化アンモニウムといった水素供
与体などの求電子試薬を使用して−30℃から−20℃などの低温で実行するこ
とができる。
この処理方法の第2のステップでは、チオールは例えばRSHであって、式中
、Rはエチル基やプロピル基といったC1-4アルキル基などのアルキル基や、ベ
ンジル基などのC6-12アリールC1-3アルキル基といったアルアルキル基のよう
な有機基である。塩基は、有機金属塩基、例えばn−ブチルリチウム塩基のよう
なアルキルリチウムなどの有機リチウム塩基であり得る。反応は、不活性溶媒、
例えばテトラヒドロフランといった環状エーテルなどのエーテル中で、0℃前後
から0℃乃至25℃などの周囲温度前後の低温において実行することができる。
本処理方法の最終ステップでは、化合物を塩基存在下で加熱した後、還流温度
などの高温でpH4前後からpH6前後まで酸性にすることによって、式(4)
で示される中間体の脱カルボニル化を達成することができる。塩基は、例えばエ
タノールといったアルコールなどの溶媒中の水酸化ナトリウムや水酸化カリウム
といった水酸化物などの無機塩基などであってもよい。塩基との反応が終了した
ら、例えば塩酸などの無機酸を使用して、混合物を所望のpHまで酸性化し、加
熱して式(2)で示される所望の異性体を生成することができる。
本処理方法のこの部分では、式(4)で示されるチオエステル中間体を最初に
対応のカルボン酸に転位させるが、ここで−SRは−OHに置換される。カルボ
ン酸は、室温または特にR4基が2−ピリジル基や4−ピリジル基などの電子欠
乏基である場合は還流温度にまで加熱することによって、所望のR−異性体ある
いはS−異性体に自然に脱カルボキシル化される。自然な脱カルボキシル化が起
こらない場合には、カルボン酸を単離して融解温度まで強く加熱するか、酸を対
応のアルデヒドに転化してから当該アルデヒドをWilkinsonの触媒であ
る[RhCl(Ph3P)3]またはRh(CO)(PPh3)2Cl[式中、Ph
はフェニル]などの触媒で、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンの
存在
下で、トルエンなどの不活性溶媒中において例えば100℃前後の高温で処理す
るなどして、化学的に脱カルボキシル化する必要もあり得る。アルデヒドは、都
合のよい手段、例えば水素化アルミニウムリチウムや水素化ホウ素ナトリウムな
どの水素化物を使用して酸を対応のアルコールに還元してから、クロロクロム酸
ピリジニウム、ジクロロクロム酸ピリジニウムやジョーンズ試薬などの酸化剤を
使用してアルコールをアルデヒドに酸化するなどの方法で酸から生成することが
できる。
必要であれば、本発明に係る多段処理方法は、式(4)で示されるチオエステ
ル中間体を単離せずに処理することができる。
上述の処理方法の各ステップでは、特定の反応が進行して完了した後に、例え
ばNMRを利用したり、薄層クロマトグラフィーなどの分析用クロマトグラフィ
ーによるなど適当な分析技術を使用することができる。
本発明に係る処理方法は、式(1)で示される出発原料のR4が電子吸引性基(
electron-withdrawing group)である場合に特に効果的である。具体的な電子吸
引性基には、5員環または6員環の窒素を含有するヘテロアリール基であるイミ
ダゾリル基やピリジル基、特に、2−ピリジル基、4−ピリジル基などを含む。
式(1)で示される出発原料において、キラル助剤の残基であるAuxは、例
えば1つ以上のホモキラル中心を含有する環状または非環状のスルタム(sultam)
、アルコールまたはアミンの残基であり得る。具体的なスルタムとしては、例え
ばR−10,2−ボルナンスルタム(bornanesultam)やS−10,2−ボルナンス
ルタムなどが挙げられる。具体的なアルコールとしては、例えばR−8−フェニ
ルメントールまたはS−8−フェニルメントールやショウノウなどのメントール
由来のものが挙げられる。具体的なアミンとしては、オキサゾリジノン(oxazolld
inones)、エフェドリン、プロリノール(prolinols)などのオキサゾリンが挙げら
れる。一般に、Aux基は、R−スルタムまたはS−スルタム、特に、R−10
,2−ボルナ
ンスルタムまたはS−10,2−ボルナンスルタムの残基であることが好ましい
。
式(1)で示される化合物の中で特に有用なものには、
(E)−N−[3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−
2−(4−ピリジル)プロペノイル(propenoyl)]−(1R)−10,2−ボルナ
ンスルタム、
(Z)−N−[3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−
2−(4−ピリジル)プロペノイル]−(1R)−10,2−ボルナンスルタム
、
(E)−N−[3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−
2−(4−ピリジル)プロペノイル]−(1S)−10,2−ボルナンスルタム
、
(Z)−N−[3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−
2−(4−ピリジル)プロペノイル]−(1S)−10,2−ボルナンスルタム
、
(E)−N−3−フェニル−2−(4−ピリジル)プロペノイル−(1R)−
10,2−ボルナンスルタム、
(Z)−N−3−フェニル−2−(4−ピリジル)プロペノイル−(1R)−
10,2−ボルナンスルタム、
(E)−N−3−フェニル−2−(4−ピリジル)プロペノイル−(1S)−
10,2−ボルナンスルタム、
(Z)−N−3−フェニル−2−(4−ピリジル)プロペノイル−(1S)−
10,2−ボルナンスルタム、
が含まれる。
式(1)で示される出発原料は、例えば酸塩化物などの酸ハロゲン化物といっ
た以下の式(5)で示される酸の活性誘導体すなわち
Ar−CH=C(R4)CO2H (5)
と、適宜R−またはS−キラル助剤(Aux−H)とを、水素化ナトリウムなど
の塩基の存在下で、テトラヒドロフランやジクロロメタンなどの溶媒中で反応さ
せることによって調製することができる。
以下の式(6)で示される酸の活性誘導体は、従来の手順を用いて対応する酸
から調製することができる。例えば、酸塩化物が望ましい場合、酸と塩化チオニ
ルまたは塩化オキサリルとを、ジクロロメタンなどの溶媒中で、0℃前後から還
流温度前後までの温度で反応させることによって得ることができる。
この反応に使用するためのキラル助剤は、[例えば Aldrich Chemical Co.か
ら]市販されている化合物でもよいし、市販されている化合物を調製するために
使用する方法と類似した方法を用いて周知の化合物から調製したものであっても
よい。
式(5)で示される酸は、以下の式(6)で示されるアルデヒドすなわち
Ar−CHO (6)
と、エステルであるR4CH2CO2CH2CH3とを、トルエンなどの溶媒中で、
酢酸や安息香酸などの酸やピペリジンなどの塩基の存在下で、還流温度などの高
温で反応させた後、これによって生成されるエステルを水酸化ナトリウムなどの
無機塩基を用いてテトラヒドロフランなどの溶媒中で還流温度などの高温で鹸化
することによって調製することができる。
式(6)で示されるアルデヒドは、周知の化合物[例えば欧州特許第6269
39号明細書などを参照のこと]であってもよいし、この周知の化合物を調製す
るために使用される方法と類似した方法で調製したものであってもよい。
以下のページでは、式(1)、(2)、(3)、(4)の化合物中のAr基、
R3基およびR4基についてさらに詳細に説明する。
このように、Ar基、R3基またはR4基で表される単環式アリール基または二
環式アリール基としては、例えば任意に置換されたフェニル基、1−ナフチル基
、2−ナフチル基、インデニル基、イソインデニル基などの任意に置換されたC6-12
アリール基が挙げられる。
単環式または二環式のアリール基であるAr、R3またはR4が1つ以上のヘテ
ロ原子を含有する場合、これは例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選択され
る1個、2個、3個あるいは4個のヘテロ原子を含有し、任意に置換されたC1-9
ヘテロアリール基などである。一般に、ヘテロアリール基は、例えば単環式また
は二環式のヘテロアリール基である。単環式ヘテロアリール基としては、酸素原
子、硫黄原子、窒素原子から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有
する5員環ヘテロアリール基や6員環ヘテロアリール基などが挙げられる。
Ar、R3またはR4によって表されるヘテロアリール基の例としては、ピロリ
ル、フリル、チエニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、N−エチルイ
ミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、
ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−オ
キサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、
1,3,4−オキサジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジ
ニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジ
ニル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル
、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾイル、ベンゾチアゾリル、ベン
ゾキサゾリル(benzoxazolyl)、キナゾリニル、ナフチリジニル(naphthyridinyl)
、ピリド[3,4−b]ピリジル、ピリド[3,2−b]ピリジル、ピリド[4,3−b]
ピリジル、キノリニル(quinolinyl)、イソキノリニル、テトラゾリル(tetrazoly
l)、5,6,7,8−テトラ−ヒドロキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロイソ
キノリニルなどが挙げられる。
Ar、R3またはR4によって表されるヘテロアリール基は、適宜環式炭素また
はヘテロ原子を介して残りの分子に付着させることができる。このため、例えば
、Ar基、R3基またはR4基がピリジル基である場合、これは2−ピリジル基、
3−ピリジル基または4−ピリジル基であり得る。チエニル基である場合には、
2−チエニル基、3−チエニル基であり得るし、同様に、フリル基である場合に
は、2−フリル基または3−フリル基であり得る。
Ar、R3もしくはR4によって表されるアリール基またはヘテロアリール基は
、各々任意に1,2,3個またはそれ以上の置換基[R5]で置換されていてもよ
い。置換基R5は、R6原子または基もしくは-Ark1(R6)mから選択すること
ができ、この場合R6は、ハロゲン原子か、アミノ(-NH2)基、置換アミノ基、ニトロ
基、シアノ基、水酸基(-OH)、置換水酸基、シクロアルコキシ基、ホルミル[HC(O
)-]基、カルボキシル基(-CO2H)、エステル化カルボキシル基、チオール基(-S
H)、置換チオール基、−C(O)Alk1、−SO3H、−SO2Alk1、−SO2
NH2、−SO2NHAlk1、−SO2N[Alk1]2、−CONH2、−CONHA
lk1、−CON[Alk1]2、−NHSO2H、−NHSO2Alk1、−N[SO2A
lk1]2、−NHSO2NH2、−NHSO2NHAlk1、−NHSO2N[Alk1
]2、−NHC(O)Alk1または−NHC(O)OAlk1であり、Alk1は、直
鎖または枝分れ鎖のC1-6アルキレン、C2-6アルケニレン(alkenylene)またはC2-6
アルキニレン(alkynylene)であり、任意に1,2あるいは3個の-O-原子もし
くは-S-原子または-S(O)p-[式中、pは1または2の整数である]あるいは-N
(R8)-基によって分断されており、mは0か整数1,2または3である。
−Alk1(R6)m基においてmが整数1,2,または3である場合、1個または
複数のR6置換基が−Alk1において適当な炭素原子上に存在し得ることは理解
できよう。2つ以上のR6置換基が存在する場合には、それらは同じであっても
異なっていてもよく、Alk1における同一の炭素原子上にでも異なる炭素原子
上にでも存在することができる。明らかに、mが0であってR6置換基が存在し
ない場合、またはAlk1が−SO2Alk1などの基の一部を構成する場合には
、Alk1によって表されるアルキレン鎖、アルケニレン鎖またはアルキニレン
鎖は、アルキル基、アルケニル(alkenyl)基またはアルキニル(alkynyl)基になる
。
R6が置換アミノ基である場合には、これは−NH[Alk1(R6a)m]基[式中
、Alk1およびmは先に定義した通りであり、Rt3aはR6について先に定義し
た通りであるが、置換アミノ基、置換水酸基または置換チオール基以外である]
または−N[Alk1(R6a)m]2基であり、この場合各−Alk1(R13a)m基
は、
同じであるか異なっている。
R6がハロゲン原子である場合には、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子
、またはヨウ素原子などであり得る。
R6がシクロアルコキシ基である場合には、例えばシクロペンチルオキシ基や
シクロヘキシルオキシ基などのC5-7シクロアルコキシ基であり得る。
R6が置換水酸基または置換チオール基である場合には、それぞれ−OAlk1
(R6a)m基または−SAlk1(R6a)m基であり得るが、Alk1、R6aおよびmに
ついては先ほど定義した通りである。
R6基によって表されるエステル化カルボキシル基には、一般式−CO2Alk2
で示される基が含まれ、式中、Alk2は線状あるいは枝分れしており、メチル基、
エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基
やt-ブチル基などの任意に置換されたC1-8アルキル基;任意に置換されたベン
ジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、1-ナフチルメチル基や2-ナフ
チルメチル基などのC6-12アリールC1-8アルキル基;任意に置換されたフェニ
ル基、1-ナフチル基や2-ナフチル基などのC6-12アリール基;任意に置換された
フェニルオキシメチル基、フェニルオキシエチル基、1-ナフチルオキシメチル基
や2-ナフチルオキシメチル基などのC6-12アリールオキシC1-8アルキル基;ピ
バロイルオキシメチル基、プロピオニルオキシエチル基やプロピオニルオキシプ
ロピル基などの任意に置換されたC1-8アルカノイルオキシ(alkanoyloxy)C1-8
アルキル基;あるいは任意に置換されたベンゾイルオキシエチル基やベンゾイル
オキシプロピル基などのC6-12アロイルオキシC1-8アルキル基である。Alk2
基に存在する任意の置換基には、上述したR5置換基も含まれる。
Alk1が置換基R5内かR5として存在する場合には、これは例えばメチレン
鎖、エチレン鎖、n-プロピレン鎖、i-プロピレン鎖、n-ブチレン鎖、i-ブチレン
鎖、
s-ブチレン鎖、t-ブチレン鎖、エテニレン鎖、2-プロペニレン鎖、2-ブテニレン
鎖、3-ブテニレン鎖、エチニレン鎖、2-プロピニレン(propynylene)鎖、2-ブ
チニレン(butynylene)鎖や3-ブチニレン鎖などであり、1,2または3個の-O-
原子もしくは-S-原子または-S(O)-基、-S(O)2-基もしくは-N(R7)-基によ
って任意に分断される。ここで、式中R7は水素原子あるいはメチル基またはエ
チル基などのC1-6アルキル基である。
R5によって表される特に有用な原子または基には、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子、ヨウ素原子や、メチル基やエチル基などのC1-6アルキル基、メチル
アミノ基やエチルアミノ基などのC1-6アルキルアミノ基、ヒドロキシメチル基
やヒドロキシエチル基などのC1-6ヒドロキシアルキル基、メチルチオール基や
エチルチオール基などのC1-6アルキルチオール基、メトキシ基やエトキシ基な
どのC1-6アルコキシ基、シクロペンチルオキシ基などのC5-7シクロアルコキシ
基、トリフルオロメチル基などのハロC1-6アルキル基、メチルアミノ基やエチ
ルアミノ基などのC1-6アルキルアミノ基、アミノ基(−NH2)、アミノエチル
基やアミノメチル基などのアミノC1-6アルキル基、ジメチルアミノ基やジエチ
ルアミノ基などのC1-6ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、水酸基(−O
H)、ホルミル基[HC(O)-]、カルボキシル基(−CO2H)、−CO2Alk2
[式中Alk2は上述で定義した通りである]、アセチル基などのC1-6アルカノ
イル基、チオール基(−SH)、チオメチル基やチオエチル基などのチオC1-6ア
ルキル基、スルホニル基(−SO3H)、メチルスルホニル基やアミノスルホニ
ル基(−SO2NH2)などのC1-6アルキルスルホニル基、メチルアミノスルホ
ニル基やエチルアミノスルホニル基などのC1-6アルキルアミノスルホニル基、
ジメチルアミノスルホニル基やジエチルアミノスルホニル基などのC1-6ジアル
キルアミノスルホニル基、カルボキサミド基(−CONH2)、メチルアミノカ
ルボニル基やエチルアミノカルボニル基などのC1-6アルキルアミノカルボニル
基、ジメチルアミノカルボニル基やジエチルアミノカルボニル基などのC1-6ジ
アルキルアミノカルボニル基、スルホニルアミノ基(−NHSO2H)、メチル
スルホニルアミノ基やエチルスルホニルアミノ基などのC1-6アルキルスルホニ
ルアミノ基、ジメチルスルホニルアミノ
基やジエチルスルホニルアミノ基などのC1-6ジアルキルスルホニルアミノ基、ア
ミノスルホニルアミノ基(−NHSO2NH2)、メチルアミノスルホニルアミノ基
やエチルアミノスルホニルアミノ基などのC1-6アルキルアミノスルホニルアミ
ノ基、ジメチルアミノスルホニルアミノ基やジエチルアミノスルホニルアミノ基
などのC1-6ジアルキルアミノスルホニルアミノ基、アセチルアミノ基などのC1 -6
アルカノイルアミノ基、アセチルアミノメチル基などのC1-6アルカノイルア
ミノC1-6アルキル基、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミ
ノ基やt-ブトキシカルボニルアミノ基などのC1-6アルコキシカルボニルアミノ
基、などが含まれる。
必要であれば、2つのR5置換基を互いに結合させて、例えばエチレンジオキ
シ基のようなC2-6アルキレンジオキシ基といった環状エーテルなどの環状基を
形成することもできる。
2つ以上のR5置換基が存在する場合には、必ずしも同じ原子および/または
基が必要であるわけではないことは理解できよう。R5置換基は、式(3)で示
される分子の残りに付着した原子から離隔していれば、どの環状炭素原子にでも
存在することができる。このため、例えば、Ar置換基のいずれかによって表さ
れるフェニル基は、分子の残りに付着した環状炭素原子対して、2位、3位、4
位、5位または6位に存在することができる。
本発明に係る上述の化合物と処理方法は、特に、以下の一般式(2a)で示さ
れる式(2)のR−異性体またはS−異性体を調製するのに使われ得る
式中、
Yはハロゲン原子または−OR1基であり、R1は任意に置換されたアルキル基で
あり、
R2は任意に置換されたアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロ
アルケニル基であり、
R3およびR4は、同じであっても異なっていても良く、各々は単環式または二環
式のアリール基で、酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選択される1つ以上のヘ
テロ原子を任意に含有するものであり、
波線(〜〜)は−CH(R3)−の立体配置がR−またはS−の立体配置である
ことを意味する。
式(3)の化合物において、Yがハロゲン原子である場合には、これは例えば
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などであり得る。
式(3)の化合物において、Yが−OR1基である場合には、R1は例えばメチ
ル基、エチル基、n−プロピル基やi−プロピル基などの任意に置換されたC1-6
アルキル基である任意に置換された線状または枝分れしたアルキル基であり得る
。任意の置換基でR1基上に存在し得るものとしては、1つ以上のハロゲン原子
、例えば、フッ素原子や塩素原子が挙げられる。具体的な置換アルキル基として
は、例えば、-CH2F基、-CH2Cl基、-CHF2基、-CHCl2基、-CF3基、-C
Cl3基などが挙げられる。
式(3)で示される化合物のR2によって表されるアルキル基としては、C1-3
アルキル基であるメチル基やエチル基などの任意に置換された線状または枝分れ
したC1-6アルキル基が挙げられる。これらの基に対する任意の置換基としては
、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、あるいは
水酸基またはメトキシ基やエトキシ基などのC1-3アルコキシ基などのC1-6アル
コキシ基から選択された1,2または3個の置換基が挙げられる。
式(3)で示される化合物のR2によって表されるアルケニル基としては、エ
テニル基、プロペン−1−イルや、2−メチルプロペン−1−イルなどの任意に
置換された線状または枝分れしたC2-6アルケニル基が挙げられる。任意の置換
基としては、R2基に関して上述した置換基が挙げられる。
式(3)で示される化合物のR2が任意に置換されたシクロアルキル基または
シクロアルケニル基である場合、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基やシ
クロヘキシル基などのC3-8シクロアルキル基や、例えば2−シクロブテン−1
−イル基、2−シクロペンテン−1−イル基、3−シクロペンテン−1−イル基
、2,4−シクロペンタジエン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基
、3−シクロヘキセン−1−イル基、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル基
や3,5−シクロヘキサジエン−1−イル基などの1つまたは2つの二重結合を
含むものなどのC3-8シクロアルケニル基であり得るが、各シクロアルキル基ま
たはシクロアルケニル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など
のハロゲン原子、メチル基やエチル基といったC1-3アルキル基などの線状また
は枝分れしたC1-6アルキル基、水酸基、あるいは、メトキシ基またはエトキシ基と
いったC1-3アルコキシ基などのC1-6アルコキシ基から選択された1,2または
3個の置換基によって任意に置換される。
式(2a)の化合物では、特に、R1が任意に置換されたエチル基か、特に任
意に置換されたメチル基である場合には、Y基は−OR1基であることが好まし
い。特に有用な置換基で、R1基上に存在することができるものとしては、1,2
もしくは3個のフッ素原子または塩素原子が挙げられる。
R2は、任意に置換されたメチル基またはシクロペンチル基であることが好ま
しい。特にR2はシクロペンチル基である。
式(2a)で示される化合物において特に有用なR3基またはR4基としては、
酸素原子、硫黄原子、特に、窒素原子から選択された1つ以上のヘテロ原子を任
意に含有し、1,2または3個以上のR5置換基によって任意に置換される単環式
アリール基が挙げられる。こうした化合物では、Ar、R3またはR4によって表
される基がヘテロアリール基である場合、窒素を含有する単環式ヘテロアリール
基、特に、窒素を含有する6員環のヘテロアリール基であることが好ましい。こ
のため、ある好ましい例では、R3基およびR4基は、各々窒素を含有する6員環
のヘテロアリール基であり得る。別の好ましい例では、R3は単環式アリール基
または酸素原子もしくは硫黄原子を含有する単環式ヘテロアリール基であり、R4
は窒素を含有する6員環のヘテロアリール基である。こうした例では、窒素を
含有する6員環のヘテロアリール基は任意に置換されたピリジル基、ピリダジニ
ル基、ピリミジニル基またはピラジニル基であり得る。具体的な例としては、任
意に置換された2−ピリジル基、3−ピリジル基、特に、4−ピリジル基、3−
ピリダジニル基、4−ピリダジニル基、5−ピリダジニル基、2−ピリミジニル
基、4−ピリミジニル基、5−ピリミジニル基、2−ピラジニル基や3−ピラジ
ニル基などがある。単環式アリール基は、フェニル基や置換フェニル基であり得
る一方、酸素原子や硫黄原子を含む単環式ヘテロアリール基は、任意に置換され
た2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基であり得る。
式(2a)で示される化合物の中で特に有用な基の1つは、R3とR4が各々ピ
リジル基であるか、特に、一原子置換されたピリジル基、あるいは好ましくは二
原子置換されたピリジル基であるか、R3はフェニル基、チエニル基、フリル基
、または置換されたフェニル基、チエニル基、フリル基であり、R4はピリジル
基であるか、特に一原子置換されたピリジル基であるか、好ましくは二原子置換
されたピリジル基である場合である。
この特定の化合物の基では、R3および/またはR4が置換フェニル基である場
合、例えば一原子置換、二原子置換もしくは三原子置換されたフェニル基などで
あり得るが、その場合の置換基は先に定義したようなR5原子または基である。
R3基および/またはR4基が一原子置換されたフェニル基である場合には、置換
基は、残りの分子に付着した環状炭素原子に対して2位であるか、好ましくは3
位であ
るか、特に、4位であり得る。
式(2a)の化合物において、R4および/またはR4が置換ピリジル基である
場合、これは一原子置換または二原子置換されたピリジル基などであり、例えば
、一原子置換または二原子置換された2ピリジル基、3−ピリジル基、特に、4
−ピリジル基などであり、これらは先に定義された1個または2個のR5原子ま
たは基、特に、1個または2個のハロゲン原子、例えばフッ素原子や塩素原子な
どが、あるいは、メチル基、メトキシ基、水酸基もしくはニトロ基によって置換
されたものである。特にこの種の有用なピリジル基は、3−一原子置換−4−ピ
リジル基か、3,5−二原子置換−4−ピリジル基か、2−もしくは4−一原子
置換−3−ピリジル基か、2,4−二原子置換−3−ピリジル基である。
本発明に係る化合物および処理方法は、特に、
(R)−(+)−4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェ
ニル)−2−フェニルエチル]ピリジン、
(S)−(−)−4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェ
ニル)−2−フェニルエチル]ピリジン、
(R)−(+)−4−[1−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェ
ニル)−2−(4−ピリジル)エチル]ピリジン、
(S)−(−)−4−[1−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェ
ニル)−2−(4−ピリジル)エチル]ピリジン
を調製するために有用である。
式(2)で示される化合物中に特定の置換基が存在することで、化合物の塩を
生成することができる。従って、エナンチオ選択処理方法の最後のステップは塩
の形成であり、本発明に係る処理方法はこれに応用することを意図している。塩
は、式(3)で示されるR−またはS−異性体とエーテルなどの有機溶媒などの
適当な溶媒中の適当な酸または塩基とを従来の手順を利用して反応させることに
よって形成される。適当な塩としては、薬学的に許容できる塩、例えば、無機酸
または有機酸由来の酸添加塩や、無機塩基または有機塩基由来の塩などが挙げら
れる。
酸添加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、メタンスルホン
酸塩、エタンスルホン酸塩やイセチオネート(isethionates)などのアルキルスル
ホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩やベシル酸塩(besylates)などのアリールス
ルホン酸塩、ナプシレート(napsylates)、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、トリフル
オロ酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マロン
酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、安息香酸などが挙げられる
。
無機塩基または有機塩基由来の塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などの
アルカリ金属塩、マグネシウム塩やカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、モ
ルホリン塩、ピペリジン塩、ジメチルアミン塩、ジエチルアミン塩などの有機ア
ミン塩などが挙げられる。
式(2)の化合物の中で特に有用な塩には、薬学的に許容できる塩、特に、酸
添加によって薬理学的に許容できる塩が含まれる。
以下の実施例および表は、本発明に係る処理方法および化合物を説明するもの
である。実施例1では図1を参照したが、これは処理方法の個々のステップおよ
び中間体を図示したものである。すべてのNMRデータは、別段の記載がない限
りCDCl3中で得たものである。実施例1
本実施例では、ステップE,F,Gは本発明に係る処理方法を示し、ステップD
の(ii)部分の化合物は本発明に係る化合物である。ステップ(A) 3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド
(図1のステップA
)
ジメチルホルムアミド(700ml)に溶解させた3−ヒドロキシ−4−メト
キシベンズアルデヒド(140g;0.92mol)の攪拌溶液に乾性炭酸カリウム(
2.54g;1.84mol)を添加した。混合物を55℃まで加熱し、シクロペンチ
ルブロミド(74g;1.97ml;1.84mol)をジメチルホルムアミド(300
ml)に溶解したものを2時間かけて滴下した。添加終了後、混合物を55℃で
15時間攪拌し、冷却し、ろ過してから、溶媒を真空中で除去した。残分をCH2
Cl2に溶解し、1.0MのNaOHで洗浄し、フェノールを完全に除去した。
有機層を(MgSO4で)乾燥させ、カラムクロマトグラフィー(SiO2;CH2C
l2)で精製した。溶液を真空中で濃縮し、表題化合物を油(192g)として
得た。δH(CDCl3)1.5−2.0(8H,brm,(CH2)4)、3.87(3H,s,
OMe)、4.80(1H,br m,OCHCH2)、6.90(1H,d,J 8.7Hz,
OMeに対してオルト位のArH)、7.30−7.45(2H,m,OMeに対し
てメタ位の2×ArH)、9.77(1H,s,ArCHO)ステップ(B) エチル3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2−(4− ピリジル)プロペノエート(propenoate)
(図1のステップB)
ステップAのアルデヒド(26.62g;0.12mol) 、エチル−4−ピリジルア
セテート(19.92g;0.12mol;1当量) 、酢酸アンモニウム(18.63g;
0.24g;2当量)の混合物を氷酢酸(200ml)に溶解し、N2下にて120℃
で20時間攪拌した。この溶液を室温まで冷却し、酸を真空中で除去し、オレン
ジ色/茶色の残分を得た。この残分を飽和重炭酸溶液(pH=8.5まで)に加え
、酢酸エチルで数回抽出した。結合有機層をブライン(brine)で洗浄し、(MgS
O4で)乾燥し、乾燥するまで蒸発させて、黄色固体を得た。トルエン/ヘキサン
(第1回産物)に続き、トルエン(第2回産物)から得られた再結晶を、カラム
クロマトグラフィー(SiO2;ヘキサン−EtOAc/ヘキサン:7/3)にか
けたところ、融点109℃〜111℃の表題化合物が白色結晶性固体として得ら
れた。δH(CDCl3) 1.27(3H,t,J 7.1Hz,CH2CH 3)、1.45
−1.8(8H,br m,シクロペンチル H 1s)、3.81(3H,s,OMe)、
4.16
(1H,br m,OCH)、4.25(2H,q,J 7.1Hz,CH 2CH3)、6.
43(1H,d,J 2.0Hz,シクロペンチルオキシに対してオルト位のArH)
、6.73(1H,d,J 8.4Hz,OMeに対してオルト位のArH)、6.8
0(1H,dd,J 2.0,8.4 Hz,シクロペンチルオキシに対してパラ位のA
rH)、7.22(2H,dd,J 1.6,4.5 Hz,ピリジン H 3,H 5)、7.8
3(1H,s,HC=C)、8.64(2H,dd,J 1.6,4.5 Hz,ピリジン H 2
,H 6)。
これに代わる方法は、以下の通りである。
ステップAのアルデヒド(22g;100mmol)とエチル−4−ピリジル−アセ
テート(16.5g;100mmol)とを室温にて乾性トルエン(150ml)に溶解
した攪拌溶液に氷酢酸(2.4ml)を添加し、続いてピペリジン(0.8ml)
を添加した。この溶液を還流温度まで加熱し、生じた水を共沸混合物として除去
し、Dean Stark装置によって収集した。16時間後、溶液を自然に室
温まで冷却させてから、木炭とフロリジル(Florisil)とを添加し、5分間攪拌し
た後、ろ過した。溶媒を真空中で蒸発させて除去した。得られた結晶性固体をジ
クロロメタンに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、(MgSO4で)
乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空中で蒸発させて除去した。生成物を(ジイソプロ
ピルエーテルで)再結晶化したところ、表題化合物が白色結晶固体として得られ
たが、その融点およびNMRデータは上記の値と一致した。ステップ(C) (E)−3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2−(4 −ピリジル)プロペン酸塩酸塩(propenoic acid hydrochloride)
(図1のステッ
プC)
ステップBのエステル(36.89g;100.5mmol)をテトラヒドロフラン
(300ml)に溶解した攪拌溶液に、水溶性(300ml)水酸化ナトリウム
(6.03g;150.8mmol;1.5当量)溶液を添加した。反応混合物を還流温
度で3時間加熱し、室温まで冷却し、濃縮塩酸(27ml)を徐々に添加してp
H1〜1.5に酸化した。溶媒を真空中で除去したところ、表題化合物が淡黄色
の固
体として得られた。δH(CDCl3)1.5−1.85(8H,br m,シクロペ
ンチル H 1s)、3.81(3H,s,OMe)、4.44(1H,br m,OCH
)、6.55(2H,m,OMeに対してメタ位の2xArH)、6.79(1H,d,J
8.3Hz,OMeに対してオルト位のArH)、7.81(2H,d,J 6.0Hz
,ピリジン H 3,H 5)、8.07(1H,s,HC=C),8.81(2H,d,J 6.0
Hz,ピリジン H 2,H 6)。注
この化合物は、1.5当量の塩化ナトリウムを含む。ステップ(D)
(i)(E)−3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2− (4−ピリジル)塩化プロペノイル塩酸塩(propenovl chloride hvdrochloride) .
ステップ(C)の酸(5.52g;11.9mmol)(1.5当量のNaCl含有)
をジクロロメタン(60ml)に溶解した攪拌懸濁液に正味の塩化チオニルを添
加した。反応混合物を穏やかな還流下で45分間あるいはHClガスの放出の停
止またはアリコートの1Hnmr(CDCl3中)によって定義されるような反応の完
了まで加熱した。溶媒および余分な塩化チオニルを真空中で乾性トルエンおよび
ジクロロエタンを含むいくつかの共沸混合物を用いて除去したところ、表題混合 物
が濁った黄色で粉末状の固体として得られた。δH(CDCl3)1.5−1.7
(2H,br m,シクロペンチル H 1s)、1.7−1.9(6H,br m,シクロ
ペンチル H 1s)、3.87(3H,s,OMe)、4.5(1H,br m,OCH)
、6.61(2H,m,OMeに対してメタ位の2×ArH)、6.76(1H,d,J
8.8Hz,OMeに対してオルト位のArH)、7.88(2H,d,J 6.0
Hz,ピリジン H 3,H 5)、835(1H,s,HC=C)、892(2H,d,J
6.0Hz,ピリジン H 2,H 6)。
(ii)(E)−N[3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)− 2−(4−ピリジル)−プロペノイル]−(1R)−10,2−ボルナンスルタ ム
(i)の酸塩化物(5.86g;12.2mmol)を、低温(−40℃)のスルタム塩
R★Na溶液[(2S)−ボルナン−10,2−スルタム(2.48g;11.6mmol
;
0.95当量)と水素化ナトリウム(油中に60%分散)(1.95g;48.7mol;
4当量)とをテトラヒドロフラン(120ml)に溶解しN2下にて室温で生成し
て30分間攪拌したものである]に添加した。30分後、ジクロロメタン(20
ml)を添加し、反応混合物を−20℃でさらに30分間攪拌した。反応を10
%の塩化アンモニウム溶液(20ml)でクエンチングし、テトラヒドロフラン
を真空中で除去した。残分を半飽和重炭酸ナトリウム溶液(150ml)と酢酸
エチル(150ml)とに分けた。水相を酢酸エチル(2×50ml)で再抽出
し、結合した有機相をブライン(30ml)で洗浄し、(MgSO4で)乾燥さ
せ、真空中で蒸発させたところ、オレンジ色のガラス状の固体が得られた。フラ
ッシュクロマトグラフィー(SiO2;50%酢酸エチル/ヘキサン)にかける
と、表題化合物が淡黄色の泡沫状固体として生成された。δH(CDCl3) 1
.01(3H,s,CMe)、1.14(3H,s,CMe)、1.3−2.2(15H,b
r m,8×シクロペンチル H 1s+7×スルタム H 1s)、3.43(1H,d,J
13.7Hz,HCHSO2)、3.55(1H,d,J 13.7Hz,HCHSO2、
3.80(3H,s,OMe)、4.07(1H,t,J 6.2Hz,NCH)、4.19(1
H,br m,OCH)、6.47(1H,d,J 2.0Hz,シクロペンチルに対し
てオルト位のArH)、6.73(1H,d,J 8.2Hz,OMeに対してオルト位
のArH)、6.82(1H,dd,J 2.0Hz,8.2Hz,シクロペンチルオキシ
に対してパラ位のArH)、7.33(1H,s,HC=C)、7.36(2H,dd,J
1.4,4.4Hz,ピリジン H 3,H 5)、8.59(2H,dd,J 1.4,4.4Hz,
ピリジン H 2,H 6)。ステップ(E) N−[(3R)−3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)− 3−フェニル−2−(4−ピリジル)プロパノイル]−(1R)−10,2−ボ ルナンスルタム
(図1のステップE)
ステップDのアシルスルタム(28.15g;56.2mmol)をテトラヒドロフラ
ン/エーテル(5:1;180ml)に溶解させた攪拌溶液に、−70℃、N2存
在下で、臭化フェニルマグネシウム(エーテル中に3M)(41.4ml;123.6m
mol;
2.2当量)を滴下した。混合物を−40℃(±20℃)まで自然に昇温し、この温
度で1.25時間攪拌した。溶液を10%の水性塩化アンモニウム溶液(40ml
)でクエンチングし、酢酸エチル(500ml)と水(500ml)とに分け、
酢酸エチルで水性層を数回抽出した。結合有機層をブライン(100ml)で洗
浄し、(MgSO4で)乾燥し、溶媒を真空中で除去したところ、黄色固体が得られ
たが、これをエタノール(500ml)から再結晶化し、表題化合物を白色針状
結晶として得た。δH(CDCl3)0.75(3H,s,CMe)、0.88(3H,s
,CMe)、1.1−2.0(15H,br m,8×シクロペンチル H 1s+7×ス
ルタム H 1s)、3.31(1H,d,J 13.8Hz,HCHSO2)、3.45(1H
,d,J 13.8Hz,HCHSO2)、3.68(3H,s,OMe)、3.7−3.7
5(1H,m,NCH)、4.55(1H,d,J 11.5Hz,PhCH)、4.57(1
H,br m,OCH)、5.06(1H,d,J 11.5Hz,PhCHCH)、6.5
5−6.65(3H,m,ArH)、7.1−72(1H,m,ArH)、7.2−7.3(
2H,m,ArH)、7.33(2H,dd,J 1.6,4.5Hz,ピリジン H 3,H 5)
、7.47(2H,d,J 7.2Hz,ArH)、8.39(2H,dd,J 1.6,4.5
Hz,ピリジン H 2,H 6)。ステップ(F) (R)−3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−3−フェ ニル−2−(4−ピリジル)エタンカルボキシチオエタン
(図1のステップF)
エタンチオール(0.99g;13.4mmol;2.6当量)をテトラヒドロフラ
ン(30ml)に溶解した溶液に、0℃、N2下でn−ブチルリチウム(ヘキサン
中1.6M)(4.82ml;7.71mmol;1.5当量)を添加した。白色スラリー
を0℃で15分間攪拌し、ステップEのアシルスルタム(3.16g;5.1mmol
;1当量)をテトラヒドロフラン(40ml)に溶解させた溶液を添加した。反
応混合物を放置して自然に室温まで昇温し、3時間攪拌した。この溶液を乾燥す
るまで真空中で濃縮し、得られた残分を最終ステップに使用した。ステップ(G) (R)−(+)−4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニ ル)−2−フェニルエチル]ピリジン
(図1のステップG)
ステップ(F)の粗化合物を水性NaOH溶液(2M;100ml)およびエ
タノール(50ml)に溶解させた攪拌溶液を加熱して1時間還流した。50〜
65℃において、pHを濃塩酸でpH6〜6.65に調整して、反応混合物を穏
やかな還流下で10〜15分間加熱した。真空中で濃縮する前に水性NaOHで
反応をアルカリ性にした。油性残分をエーテル(100ml)と水(100ml
)とに分け、水性層をエーテル(2×100ml)で再抽出し、結合有機層を1
Mの水性NaOH(40ml)および水(40ml)で洗浄してから、10%の
水性HCl(2×50ml)で抽出した。結合酸抽出物をエーテル(2×30m
l)で抽出し、固体NaOHを添加することによって塩基性にした。生成された
油をエーテル(2×75ml)に抽出し、抽出物をブライン(30ml)で洗浄
し、(MgSO4で)乾燥し蒸発させて、ほぼ無色の油を得た。カラムクロマト
グラフィー(SiO2;Et2O/ヘキサン:70/30→Et2O)で精製し、表 題化合物
を無色のガラス性結晶として得た。δH(CDCl3) 1.5−2.1(
8H,br m(CH 2)4)、3.27(2H,d,J 8.0Hz,CH 2ピリジン)、3
.75(3H,s,OMe) 、4.12(1H,t,J 8.0Hz,PhCHCH2)、4.
61(1H,br m,OCHCH2)、6.5−6.7(3H,m,OMeに対してオル ト位
のArH+OMeに対してメタ位の2×ArH)、6.87(2H,dm,J 4
.5Hz,ピリジン H 3,H 5)、7.05−7.2(5H,m,C 6H 5)、8.32(2H,
dm,J 4.5Hz,ピリジン H 2,H 6)。実施例2〜18
実施例1のステップ(E),(F),(G)(本発明に係る処理方法)を繰り
返して、化合物(化合物番号1〜17)を生成し、これを表1,2,4,5に示し
た。
各例では、実施例1のステップDのように調製されたアシルスルタムを、適当
なR3を含有するグリニャール試薬と反応させて、表1および2に示される化合
物1〜17を生成した。
次に、生成されたアシルスルタムをステップ(F)および(G)において述べ
たように処理し、表4および5に記載された最終生成物である異性体(1〜17
)を生成した。実施例19
本実施例は、化合物20(表4および5)の調製を示す。
以下のステップ(F)および(G)は、本発明に係る処理方法について述べた
ものである。ステップ(E)は、本発明に係る化合物の調製について述べたもの
である。
3−チオフェンカルボキシアルデヒド(20g;178mmol)とエチル−4−酢
酸ピリジル(29.4g;178mmol)とを乾性トルエン(250ml)に溶解した攪
拌溶液に、室温、窒素雰囲気下で、氷酢酸(4.2ml)とピペリジン(1.4ml)
とを添加した。
混合物を還流下でDean&Starkトラップを用いて18時間撹拌し、ト
ルエンを真空中で蒸発させて、生成された固体をエタノールから再結晶化し、同
じ溶媒を用いて(0℃で)洗浄したところ、乳白色の固体が得られた。ろ液を蒸
発させ、残分をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2;EtOAc/ヘ
キサン,1:1)にかけて、さらに生成物の一部を得た。2つの産物を組み合わ
せてエタノールから再結晶化し、(E)−エチル−3−(3−チオフェン)−2
−(4−ピリジル)プロペネート(propenate)をp.m.104〜106℃の結晶性
白色固体(26.83g;58%)として得た。
エステル(26.0g;100.4mmol)をテトラヒドロフラン(200ml)
に溶解した溶液を、水(200ml)に溶解した水酸化カリウム (11.3g;
200.8mmol)で処理し、還流下で2時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、
テトラヒドロフランを真空中で蒸発させ、残分を濃縮HClでpH5.5に調整
し、沈殿した白色固体をろ過して収集し、真空中で90℃以上で乾燥させ、(E)−
3−(3−チオフェン)−2−(4−ピリジル)プロペン酸ヒドロクロリン(hydro
chlorine)(22.86g;98.6%)、融点212〜213℃(分解)を得た
。ステップ(E)
水素化ナトリウム(60%分散;4.16g;104mmol)を乾性テトラヒド
ロフラン(800ml)に溶解した懸濁液に、室温かつ窒素雰囲気下で、数回に
分けて酸を添加した。これを40分間攪拌した後(生成されたカルボン酸ナトリ
ウムの厚く白色のppt)、オキシ塩化燐(4.78g;2.9ml;31.2mmo
l)を添加した。水素化ナトリウム(60%分散;2.99g;74.8mmol)を
乾性テトラヒドロフラン(1000ml)に溶解した攪拌懸濁液に、室温かつ窒
素雰囲気下で、(2R)ボルナン−2,10−スルタム(13.42g;62.34
mmol)を乾性THF(40ml)に溶解した溶液を添加した。泡立ちがなくなっ
た後、混合物を5分間攪拌してから、カニューレによって酸塩化物溶液に添加し
た。これを室温で一晩攪拌してから、まず半飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50
0ml)で非常に慎重にクエンチングした。有機層を分離し、水性層を酢酸エチ
ル(2×200ml)で抽出した。結合有機抽出物を、半飽和炭酸水素ナトリウ
ム溶液(50ml)およびブライン(500ml)で洗浄し、MgSO4上で乾
燥させ、溶媒を真空中で蒸発させたところ、黄色の泡沫状固体が得られた。フラ
ッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2;EtOAc/ヘキサン,1:1)
にかけたところ、生成物である化合物(20)(表3)を淡黄色の固体(17.73g
;66.5%)として得た。生成物の一部0.413gをエタノールから再結晶化し
て結晶性の白色固体(0.341g)を得た。ステップ(F)
マグネシウムの削り屑(1.5g;61.6mmol)に、窒素雰囲気下、室温で、
3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル (13.9g;51.3mmol)
を乾性テトラヒドロフラン(10ml)に溶解した溶液を添加した。混合物を加
熱してグリニャール試薬の生成を開始した後、自然に還流させた。反応がおさま
った後、還流下で2時間混合物を攪拌し、エーテル/テトラヒドロフラン(60
ml;1:1)で希釈し、−70℃に冷却し、ステップEで生成されたα,β−
不飽和オレフィン(10.0g、23.4mmol)をテトラヒドロフラン/エーテル
(150ml;1:1)に溶解した溶液を、温度が−60℃を超えない程度で添
加した。反応は、−30℃から−20℃までの間で行われ、90分間撹拌してか
ら−20℃で10%の塩化アンモニウム水溶液(100ml)を用いてクエンチ
ングし、酢酸エチル(200ml)次いで(2×100ml)で抽出した。結合
有機抽出物をブライン(200ml)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、溶媒を真空中
で蒸発させ、淡褐色透明な油を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ
ー(SiO2;EtOAc/ヘキサン,1:1の後3.2)にかけたところ、白色
の皺がよった泡沫(13.68g;94%)が得られた。高温のエタノール/ヘ
キサン(1:4)(50ml)で粉砕した後、エタノール/ヘキサン(150m
l,1:3.3)から再結晶化したところ、化合物20(表1および2)が白色の
毛羽立った固体(10.92g;75.4%)として得られた。ステップ(G)
プロパンチオール(3.39g;4.0ml;44.5mmol)を乾性テトラヒド
ロフラン(130ml)に溶解させた攪拌溶液に−10℃、窒素雰囲気下で、n
−BuLi(ヘキサン中に1.6M;20.2ml;32.3mmol)を添加した。
混合物を−10℃で30分間撹拌してから、ステップ(F)のアシルスルタム
(12.55g;20.2mmol)を乾性テトラヒドロフラン(100ml)に溶解
した溶液に添加し、反応を室温で2時間維持した。この時点ですべての出発原料
が消費された(薄層クロマトグラフィー:酢酸エチル/ヘキサン 3:1)。
溶媒を真空中で蒸発させ、エタノール(130ml)を添加した後、水酸化カ
リウム(2.26g、40.4mmol)を水(100ml)に溶解した溶液を添加し
た。
これを還流下で2時間攪拌した後、室温にて一晩放置した。
チオエステルがすべて消費されたら、濃縮HClを使用してpHを5.5〜5.
0に調整し、60℃で2時間撹拌した(泡立て)。
この混合物を冷却し、真空中で濃縮し、水(200ml)および10%NaO
H水溶液(80ml)で処理してから、酢酸エチル(4×200ml)を用いて
抽出した。
結合有機抽出物を水酸化ナトリウム溶液(10%;2×100ml)、ブライ
ン(100ml)で洗浄した後、MgSO4上で乾燥し、溶媒を真空中で蒸発さ
せた。
フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2;酢酸エチル/ヘキサン,1:1
)にかけたところ、無色透明の油(6.31g;82%)が得られた。
油の一部(1.97g)をエーテル(50ml)に溶解し、エタノール性HC
l(10ml)で処理した。混合物を還流し、エーテル(20ml)で処理し、
室温まで冷却し、窒素流下でろ過した。吸湿性が高い白色固体を速やかにエーテ
ル(2×10ml)で洗浄し、真空下で55℃で乾燥し、化合物20(表4およ
び5)を非晶質の白色粉末(1.62g;75%)として得た。実施例20〜21
実施例19のステップ(F)および(G)を繰り返して、化合物18および1
9(表4および5)を生成した。ステップ(F)に対し、本発明に係る適切な出
発原料(化合物18および19,表3)を実施例19に示されるステップ(E)
に記載したようにして得た。実施例22
本実施例は、本発明に係る化合物(ステップD)の調製と、これに続く本発明
に係る別の化合物への転化(ステップD2)とについて説明するものである。
Dean&Stark装置を備える500mlの丸底フラスコに、3−シクロ
ペントキシ 4−メトキシベンズアルデヒド(41.6g;189mmol)および
エチルイミダゾール−4−酢酸(24.3g;158mmol;欧州特許第59156
号明細書に記載されたように調製)を氷酢酸(100ml)および乾性トルエン
(230ml)に溶解した溶液を充填した。
酢酸アンモニウム(29.1g;378mmol)を添加し、反応混合物を穏やか
な還流下で18時間加熱した。
溶媒を真空中で除去し、残分を水(500ml)と酢酸エチル(11)とで処
理した。
攪拌時全般にわたって、固体状の十分な炭酸水素ナトリウムを添加し、完全に
泡を消した。
相を分離し、水相を酢酸エチル(2×350ml)を用いて再抽出した。
結合有機抽出物をブライン(100ml)で洗浄し、(Na2SO4で)乾燥さ
せ、真空中で蒸発させて、暗色の油を得た。
これをクロマトグラフィー(SiO2;50%酢酸エチル/ヘキサン→100
%酢酸エチル→10%エタノール/酢酸エチル)にかけて、表6に記載したイミ
ダゾリルエステルを暗色の泡沫状固体(31.4g;56%)として得た。
エステル(8.3g;23.3mmol)および塩化トリフェニルメチル(7.14g;
25.6mmol)を乾性ピリジン(50ml)に溶解した溶液を、室温にて3時間、
窒素下で攪拌した。
溶媒を真空中で除去し、残分を酢酸エチル(100ml)および水(100ml)
を用いて処理し、混合物を完全に振とうした。
ヘキサン(100ml)を添加し、不溶性の有機生成物を豊富な水で洗浄し、
十分なエーテルで完全に脱色した。
吸引して乾燥させた後、表6に記載したトリフェニルメチルイミダゾリルエス
テルを白色粉末として得た。
この材料は、50:50の遊離塩基と対応する塩酸塩との混合物であった。
エステル(7.9g;13.2mmol)および水酸化カリウム(2.96g;52.9
mmol)を50%水性エタノール(140ml)に溶解した溶液を穏やかな還流下
で5時間加熱した。
反応混合物を冷却し、濃塩酸を用いてpHを6に調整した。
得られた白色沈殿物を水(100ml)で希釈し、生成物をジクロロメタン(
全量11)で抽出した。
有機抽出物を(NA2SO4で)乾燥し、真空中で蒸発させ、表6に示されるカ
ルボン酸を灰色がかった固体(7.4g;87%)として得た。ステップ(D)
酸(4.87g;8.5mmol)、2S−ボルナン−10,2−スルタム(3.67g;
17.1mmol)、4−メチル−モルホリン(1.03g;10.2mmol)および4
−ジメチルアミノピリジン(0.52g;4.3mmol)を乾性ジクロロメタン(1
20ml)に溶解した溶液をN2下で2日間撹拌した。
反応混合物をジスクロロメタン(dischloromethane)(150ml)と10%水
性リン酸二水素カリウム(150ml)とに分けた。
相を分離し、水性相をジクロロメタン(2×100ml)で再抽出した。
結合有機抽出物を10%水性KH2PO4(100ml)で洗浄し、相を分離し
た。
洗浄された結合水性相をジクロロメタン(50ml)で抽出した。
すべての有機抽出物を結合し、ブライン(75ml)で洗浄し、(Na2SO4で)
乾燥させ、真空中で蒸発させて、粗生成物を黄色泡沫(8.9g)として得た。
フラッシュクロマトグラフィー(SiO2;70%エーテル/ヘキサン→100
%エーテル)によって精製し、表6に記載のトリフェニルメチルイミダゾリルア
シルスルタムを黄色泡沫(4.5g;67%)として得た。ステップ(D2)
硫酸ジメチル(129μl≡172mg;1.36mmol)を、アシルスルタム(
1g;1.30mmol)を乾性アセトニトリル(15ml)に溶解した氷冷溶液に
添加し、反応混合物を室温で18時間攪拌した。
溶媒を真空中で除去し、粗N−メチルイミダゾリウム塩を黄色の泡沫状固体と
して得た。
この生成物をエタノール(20ml)に溶解して、穏やかな還流下で45分間
加熱した。溶媒を真空中で除去してから、水性飽和NaHCO3(50ml)と
酢酸エチル(50ml)とに分けた。
相を分離し、水性相を酢酸エチル(2×30ml)で再抽出した。
結合有機抽出物をブライン(20ml)で洗浄し、(Na2SO4で)乾燥させ
、真空中で蒸発させ、黄色の泡沫を得た。
フラッシュクロマトグラフィー(SiO2,50%の酢酸エチル/ヘキサン→
100%酢酸エチル)によって精製し、表6に記載のN−メチルイミダゾリルア
シルスルタムを淡黄色泡沫(550mg,78%)として得た。(ステップE)
ステップ(D2)のアシルスルタム(260mg;0.48mmol)を乾性テト
ラヒドロフラン(10ml)に溶解した氷浴冷却攪拌水溶液に、臭化フェニルマ
グネシウム(テトラヒドロフラン中1ml,1ml)を窒素雰囲気下で滴下した
。
淡黄色の透明な溶液を30分間攪拌してから、10%水性NH4Cl(30ml
)でクエンチングした。
相を分離し、水性相を酢酸エチル(25ml)で再抽出した。
結合有機抽出物を、ブライン(5ml)で洗浄し、(Na2SO4で)乾燥させ、真空中
で蒸発させて、粗生成物を泡沫状固体(340mg)として得た。
酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化し、表6に記載した純粋なフェニルアシル
スルタムを白色粉末(120mg,40%)として得た。実施例23
ステップAの3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒドの代
わりに3−シクロペンチルチオ−4−メトキシベンズアルデヒドを使用して実施
例1の処理方法を繰り返した。表7には、本発明に係る処理方法で生成される生
成チオエーテルを挙げておく。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 401/06 213 9159−4C C07D 401/06 213
409/06 213 9159−4C 409/06 213
417/06 213 9053−4C 417/06 213
233 9053−4C 233
417/14 213 9053−4C 417/14 213
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C
N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE
,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,
LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N
L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 ワレロー,グラハム,ジョン
イギリス,ミドルセックス エイチエイ6
3キューユー,ノースウッド,ウィーラ
ンド ロード 4,オークサイド(番地な
し)
(72)発明者 ヘッド,ジョン,クリフォード
イギリス,バークシャー エスエル4 3
エイエックス,ウインザー,クラレモント
ロード,8,フラット 2エイ
(72)発明者 ボイド,イワン,キャンベル
イギリス,クラックス エフケー10 2ア
ールゼット,チュリボディ,レディ アヴ
ェニュー,30
(72)発明者 ポーター,ジョン,ロバート
イギリス,オックスフォードシャイアー
オーエックス9 4エイディ,チナー,ヘ
ントン,ファーム プレイス,7