JPH09510342A - 植物プラスチドにおけるトランスジェニック構造体の制御された発現 - Google Patents

植物プラスチドにおけるトランスジェニック構造体の制御された発現

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Abstract

(57)【要約】 植物プラスチドゲノム中に挿入される外来性 DNA配列の発現のタイミング又は組織パターンを調節する方法を提供するための植物細胞の遺伝子工学のために有用な新規組成物及び方法が本発明において提供される。構造体は、植物細胞組織においてウィルス性単一サブユニット RNAポリメラーゼの発現を提供し、そして植物細胞プラスチド中にその発現されたポリメラーゼタンパク質を標的化する核形質転換のためのものを包含する。さらに、上記核発現構造体から発現される RNAポリメラーゼに対して特異的であるウィルス遺伝子プロモーター領域、及び形質転換されたプラスチド細胞に発現されるべき対象の DNA配列を含んで成るプラスチド発現構造体が提供される。本明細書に記載される核及び/又はプラスチド構造体を含んで成る植物細胞及び植物が興味の対象である。特に、核ポリメラーゼ構造体及びプラスチド発現構造体の両者を含んで成る植物において組織及び/又は発生的な特定の態様で挿入されたプラスチド遺伝子構造体の発現を制御するための方法が興味の対象である。

Description

【発明の詳細な説明】 植物プラスチドにおけるトランスジェニック構造体の制御された発現 発明の分野 本発明は、植物への遺伝子工学技法の適用に関する。より詳しくは、本発明は 、特定のウィルスポリメラーゼにより認識されるプロモーターを用いて、クロロ プラスト発現構造体と共に特定のウィルス RNAポリメラーゼの発現のためへの核 構造体の使用に関する。 背 景 高等植物のプラスチドは、遺伝子工学のための魅力ある標的である。植物プラ スチド(クロロプラスト、アミロプラスト、エライオプラスト、クロモプラスト 、等)は、光合成の他に、産業的に重要な化合物、たとえばアミノ酸、複雑な炭 水化物、脂肪酸及び色素の生成を担当する主要な生合成センターである。プラス チドはプロプラスチドとして知られる通常の前駆体に由来し、そして従って、一 定の植物種に存在するプラスチドはすべて同じ遺伝子含有物を有する。植物細胞 は小さな 120〜160kb の環状ゲノムの 500〜10,000コピーを含み、それらの個々 の分子は、大きな(約25kb)逆方向反復体を有する。従って、ひじょうに高レベ ルの外来性遺伝子発現を潜在的にもたらすことができる興味ある特定の遺伝子の 20,000までのコピーを含むように植物細胞を構築することが可能である。 DNA配列及び生化学データは、プラスチドオルガネラの転写及び翻訳機構並び にそれらの開始シグナルが原核生物系に見出されるものと類似していることを示 す。実際、プラスチド由来のプロモータ ー配列は、原核細胞においてレポーター遺伝子の発現を指図していることを報告 されている。さらに、プラスチド遺伝子は、原核生物において存在するように、 ポリシストロニックオペロン中にしばしば構成されている。 プラスチドと原核生物との間の明白な類似性にもかかわらず、プラスチド及び 原核生物において遺伝子発現を制御するために使用される方法には基本的な差異 が存在する。 原核生物に典型的に観察される転写制御機構に対立するものとして、プラスチ ド遺伝子の発現はトランス−作用性核コードタンパク質により翻訳及びmRNA安定 性のレベルで主に制御されている。 植物クロロプラストの安定した形質転換に向けられたこれまでの研究は、葉の プラスチド中に所望する遺伝子を組込むための相同組換えに依存して来た。この 態様においては、組換え DNA構造体のための同種形成性又はほぼ同種形成性のト ランスジェニック植物が得られる。しかしながら、プラスチド遺伝子発現のため の遺伝子工学に対する主な欠点は、所望する遺伝子生成物の発現のタイミング及 び/又は部位を制御するための組織特異的及び/又は組織進行性調節機構の欠乏 である。トランスジェニック植物におけるプラスチドオルガネラの完全な補体が 形質転換されるので、組込まれた構造体は、すべてのプラスチドを含む植物組織 において発現される。 プラスチドに挿入される配列の発現を制御するための機構は、特定の組織タイ プに存在するプラスチド経路、たとえばそれぞれジャガイモ塊茎又は油種子にお けるスターチ及び脂肪酸生合成経路、花色経路、種々の果物プラスチドにおける 果物熟成関連反応、及び若い植物組織において耐除草剤性を生成するように標的 化され得る経路の最適な変性のために有用であろう。さらに、たとえばアンチセ ンス構造体を用いて生来のプラスチド遺伝子の発現を減じることに よる、存在するプラスチド代謝の調節されていない変性及び/又は新しい生化学 的経路の導入が、生存する植物を得ることの不可能さをもたらす。たとえば、初 期発育段階での生長する組織における一定の経路の変更が、調節されていないE .コリ又はクロロプラスト遺伝子プロモーターを用いて観察され、有害な最終生 成物の生成をもたらし、そして従って、トランスジェニック植物を得る能力を制 限する。しかしながら、所望する生化学的反応のための遺伝子が発育の特定の段 階でのみ発現するようプログラムされている場合、その反応は、所望する期間で 、たとえば収穫すべき十分な植物バイオマスが存在する時点で、所望する生成物 を生成するように制御され得る。この態様においては、所望する最終生成物の実 質的な量が得られる。 関連文献 プラスチドの安定した形質転換は、緑藻類クラミドモナス(Chlamydomonas)(B oynton et al.(1988)Science 240:1534-1538)及び最も最近は、高等植物(Sv ab et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8526-8530;Svab and Maliga (1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:913-917)に報告されている。それらの方 法は、選択マーカーを含み、そして相同組換えによりプラスチドゲノムに標的を 向けられた DNAの粒子ガン導入に頼っている。 ゼニゴケ(Ohyama et al.(1986)Nature 322:572-574)、イネ(Hiratsuka e tal.(1989)Mol.Gen.Genet.217:185-194)及びタバコ(Shinozaki et al. (1986)EMBO J.ら:2043-2049)からのプラスチドゲノムの完全なDNA配列が報 告されている。 プラスチドプロモーターは、原核細胞においてレポーター遺伝子の発現を指図 するものとして報告されている(Gruissem et al.(1 993)Critical Reviews in Plant Sciences 12:19-55)。 T7ポリメラーゼによるE.コリにおけるクローン化された遺伝子の選択的発 現が、Rosenberg et al.(Gene(1987)56:125-135)により報告されている。 タバコ(Lassner et al.(1991)Plant Mol.Biol.17:229-234)、マウス細胞 (Lieber et al.(1989)Nucl.Acids Res.17:8485-8493)及びサッカロミセス セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)(Benton et al.(1990)Mol.Cell .Biol.10:353-360)における核に対してのT7 RNAポリメラーゼの標的化が報告 されている。 発明の要約 本発明によれば、植物プラスチドゲノム中に挿入された外来性 DNA配列の発現 のタイミング又は組織パターンを制御する方法を提供するために植物細胞の遺伝 子操作のために有用な構造体が供給される。核形質転換のための構造体は、植物 細胞組織におけるウィルスの単一のサブユニット RNAポリメラーゼの発現、及び 植物細胞プラスチド中への発現されたポリメラーゼタンパク質の標的化を提供す る。核構造体は、すべての植物細胞におけるウィルスポリメラーゼの組織的な発 現を提供するもの、及び好ましくは、特定の植物組織において及び/又は特定の 発育段階で、発現を提供するものを包含する。 本明細書においてポリヌクレオチドとしても言及される、プラスチド形質転換 に使用するための DNA配列は、上記の核発現構造体から発現された RNAポリメラ ーゼに対して特異的であるウィルスゲノムプロモーター領域、及び形質転換され たプラスチド細胞において発現されるべき対象の DNA配列を含んで成るプラスチ ド発現構造体を含む。プラスチド形質転換のためのポリヌクレオチドのこの部分 は、“プラスチド発現構造体”として本明細書では言及される。対象の DNA配列 は、たとえば生来のプラスチド遺伝子の発現の低下が所望される場合、センス配 向又はアンチセンス配向での単一のコード領域であり得る。その対象の DNA配列 は、たとえば、プラスチド中への外来性生化学経路の導入が所望される場合、オ ペロンとして発現されるべき多くの連続したコード配列を含むことができる。プ ラスチド形質転換のためのポリヌクレオチドはまた、植物プラスチドオルガネラ におけるマーカーの発現を提供する DNA構造体を含み、ここで前記マーカーは前 記マーカーを発現するプラスチドオルガネラを含んで成る植物細胞の選択を提供 する。このプラスチド構造体はまた、本明細書において、“プラスチド選択構造 体”としても言及される。プラスチド形質転換に使用するためのポリヌクレオチ ドはまた、プラスチドゲノム中への発現及び選択構造体のトランスファーを提供 する手段を含むであろう。便利には、トランスファーされるべき構造体を両端に 有する標的のプラスチドゲノムに対して相同性の領域が包含される。プラスチド ゲノムへのトランスファーのための他の手段はまた、転移因子の使用を包含する 方法により本明細書において考慮される。 本明細書に記載される核及び/又はプラスチド構造体を含んで成る植物細胞及 び植物もまた、本発明において考慮される。そのような植物又は植物細胞は、本 発明の核及びプラスチド構造体の両者を有する植物細胞を提供するために、植物 育成又は形質転換法に使用され得る。本発明の核及びプラスチド発現構造体の両 者を含んで成る植物細胞は、ウィルスプロモーター領域の制御下でのプラスチド ゲノムにおける対象の DNA配列の発現の結果として変更された表現型を有するで あろうことが理解される。 さらに、植物プラスチドにおける組織及び/又は発生する選択的 な発現、及び得られる表現型の変更を提供する方法が、本発明の核ポリメラーゼ 構造体及プラスチド発現構造体の両者を含んで成る植物細胞において付与される 。 図面の説明 図1。核形質転換のためのT7 RNAポリメラーゼ発現二元構造体、pCGN4026の略 図が示される。LB、左側の T-DNAボーダー;RB、右側の T-DNAボーダー;35S、 CaMV 35Sプロモーター;nptII、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子 ;tml 3′、腫瘍形態学“大きな”3′領域;d35S、増強されたCaMV 35Sプロモ ーター;TP、タバコ小サブユニット5′未翻訳領域、クロロプラストトランジッ トペプチドとイントロンI及び成熟タンパク質の初めの12個のアミノ酸; T7 RN AP、ファージT7 RNAポリメラーゼ遺伝子のコード領域(出発コドン欠失); nos 3′、ノパリンシンターゼ3′領域。 図2。T7 RNAポリメラーゼ依存性 GUS発現マーカーを含むトランスプラストミ ックタバコ系の調製のための構造体及びクロロプラスト DNAのサザン分析が示さ れる。pCGN4276構造体の略図及びタバコプラスチドゲノム中へ組込みの表示が上 部に示される。入って来る DNA及び野生型 DNAのための予測されたサイズのBamH Iフラグメントのが提供される。入って来る DNAの5′端上にはBamHI部位は存 在しないので、その2種のキメラ遺伝子の組合されたサイズを表示する。また、 サザン分析のために使用されるプローブA及びBの位置も示されている。プロー ブAは形質転換の程度を決定し、そしてプローブBは GUS遺伝子の存在を示す。 サザン分析の結果は、図2の下部に示されている。4276/4026-3クローン1及び 2は、N.タバカムvar.(N.tabacum var.)“Xanthi”系4026-3における2つの 独立したスペクチノマイシン耐性形質転換体を示す。4276/Xanthi は、野生型N.タバカムvar.“Xanthi”におけるスペクチノマイシン耐性形質 転換体を示す。対照 DNAは、形質転換されていない“Xanthi”からである。 発明の特定の記載 本発明の核形質転換構成体は、植物細胞の核のゲノム中に挿入され得、そして プラスチドオルガネへのポリメラーゼタンパク質の輸送を付与することができる トランジットペプチド領域に融合されるウィルス性単一サブユニット RNAポリメ ラーゼの発現を提供できるヌクレオチドのいづれかの配列を含む。本発明のウィ ルスポリメラーゼコード配列は、それらの細菌宿主の感染に基づいてDNA−依存 性 RNAポリメラーゼの合成を提供する形態学的に類似する細菌ウィルスのグルー プから得られる。他の既知の DNA依存性 RNAポリメラーゼに比べて、このクラス の細菌ウィルスによりコードされるポリメラーゼは、単一のタンパク質種(約 1 00kDの分子量)から成り、そして特定のプロモーター配列からの転写を選択的に 認識し、そして提供する。このタイプのポリメラーゼをコードするいくつかの十 分に特徴づけられたウィルスは、E.コリT3及びT7ファージ及びサルモネラ チフィムリウム(Salmonella typhimurium)のSP6ファージを包含する。そのよ うなポリメラーゼのためのコード配列は、McGraw et al.(Nucl.Acids Res.( 1985)13:6753-6766)及びKotani et al.(Nucl.Acids Res.(1985)15:265 3-6664)により報告されている。このクラスのバクテリオファージの他のメンバ ーは、プスードモナス(Pseudomonas)ファージgh-1、クレブシエラ(Klebsiella )ファージK11、シトロバクター(Citrobacter)ファージviIII、及びセラチア (Serratia)ファージIVを包含する。従って、このクラスのファージのいづれか のメンバーからの関連するポリ メラーゼのためのコード配列を得ることができ、そしてたとえばT7ポリメラー ゼコード配列を含んで成る構造体により本明細書においては例示される核発現構 造体に使用され得る。 植物プラスチド中へのウィルスポリメラーゼの輸送を提供するようにトランジ ットペプチド領域をコードする配列は好ましくは、植物核コードプラスチドタン パク質、たとえばリブロースビスリン酸カルボキシラーゼの小サブユニット(SS U)、アシルキャリヤータンパク質(ACP)を含む植物脂肪酸生合成関連遺伝子、ス テアロイル−ACP デサチュラーゼ、β−ケトアシル−ACPシンターゼ及びアシル −ACPチオスステラーゼ又はLHCP II遺伝子から得られる。プラスチドへの輸送を 提供するトランジットペプチドのためのコード配列は、特定のトランジットペプ チドのコード配列のすべて又は一部を含むことができ、そしてまた、特定のトラ ンジットペプチドに関連する成熟タンパク質コード配列の一部も含むことができ る。プラスチドオリガネラ中に標的のタンパク質を運ぶために使用され得るトラ ンジットペプチドの多くの例が当業界において存在する。本発明において使用さ れる特定のトランジットペプチドをコードする配列は、プラスチドへの輸送が得 られる限り、重要ではない。本明細書に提供される例においては、タバコ RuBIS CO SSU遺伝子5′未翻訳領域+クロロプラストトランジットペプチドのためのコ ード配列及び成熟 SSUの12個のアミノ酸(イントロンIを含む)が、タバコプラ スチドへの核発現されたT7ポリメラーゼの輸送を提供するために構造体に含ま れる。ブラシカのプラスチドへの核発現されたT7ポリメラーゼの輸送に関して は、タバコ SSUイントロンI領域が欠失されている類似する構造体が使用され得 る。 植物細胞核におけるトランジットペプチドウィルスポリメラーゼコード配列の 発現を提供する植物プロモーターは、すべての植物組 織において構成的な発現を提供し、又は好ましくは、特定の植物組織において、 及び/又は植物成長の特定の段階で発現を提供できる。構成プロモーターは、特 定の植物において高い又は低いレベルの発現を示すことができるが、しかし植物 のすべての部分においては少なくともあるレベルの発現を一般的に提供するであ ろう。植物の構成プロモーターの例は、CaMVからの19S及び35Sプロモーター及 びmas,nos及び ocsアグロバクテリウム T-DNA遺伝子からのプロモーターを包含 する。発育性又は組織選択性発現に関しては、有用なプロモーターは、植物種子 、果物、塊茎、繊維細胞、植物花組織及び花粉において選択的に発現された遺伝 子からのものを包含する。 種子プラスチドにおける選択的な発現は、脂肪酸生合成経路の変性、貯蔵タン パク質の変性又は種子における新しい経路の導入、たとえば細菌性ポリヒドロキ シブチレート(PHB)経路の導入が所望される場合に、所望される。そのような 適用のために有用である植物機能プロモーターの例は、植物貯蔵タンパク質遺伝 子、又は油性種子における脂肪酸生合成に関与する遺伝子からのものを包含する 。そのようなプロモーターの例は、ナピン(Kridle et al.(1991)Seed Sci. Res.1:209:219)、ファーセオリン(Phaseolin)、ゼイン、ダイズトリプシ ンインヒビター、ACP、ステアロイル−ACPデサチュラーゼ及びオレオシン(Oleo sin)のような遺伝子からの5′調節領域を包含する。種子特異的遺伝子調節は 、EP 0255378(2/3/88)に論じられている。 果実プラスチドにおける選択的な発現は、たとえば果物の色又は風味の発育経 路の変性が所望される場合、又は植物果実における炭水化物含有率の変更が所望 される場合に所望される。そのような用途のために有用である植物機能プロモー ターの例は、ポリガラクツロナーゼ(Bird et al.(1988)Plant Mol.Biol.11 :651-662)、 トマトからのE−8遺伝子(Deikman et al.(1988)EMBO J.7:3315-3320;P ella Penna et al.(1989)Plant Cell 1;53-63)、トマト2A11(Dear et al. (1989)Plant Mol.Biol.13:639-651)又はWO 91/01324(2/7/91)に記 載されているような子房特異的プロモーター領域のような果実関連遺伝子からの ものを包含する。 主なスターチ貯蔵組織、たとえばジャガイモ塊茎又はトウモロコシ種子におけ るスターチ合成経路の変性は、本明細書に記載されるプラスチド発現方法により 達成され得る。そのような場合、パラチン(Paratin)(Twell et al. (1987)Pla nt Mol.Biol.9:365-375)、ゼイン又は植物スターチシンターゼ(Visser et al .(1989)Plant Sci.64:185-192)からのプロモーターが、ウィルス性単一サ ブユニット RNAポリメラーゼの核発現のために特に有用である。 本明細書に記載される構造体及び方法により選択的に変性され得る他の植物組 織は、植物花組織及び綿繊維のような特殊化された組織を包含する。花組織に選 択的にウィルスポリメラーゼの核発現のために使用され得るプロモーターは、カ ルコンシンターゼ遺伝子、たとえばペチュニアからの CHS遺伝子Aからのプロモ ーターを包含する(Koes et al.(1986)Nucl.Acids Res.14:5229-5239)。 花色の変性に関しては、花組織におけるアントシアニン又はフラボノイド型色素 の発現又はアンチセンス制御が所望される。植物の花色遺伝子操作に関しては、 van Tunen et al.(Plant Biotechnology Series,Volume 2(1990)Developm ental Regulation of Plant Gene Expression,D.Grierson ed.)を参照のこと 。繊維組織の変性に関しては、綿繊維組織における発現のためへのトマト p7Z遺 伝子プロモーターの使用が、同時継続出願07/998,158(12/29/92出願)に記載 されている。綿繊維細胞における発現のために有用な他の プロモーターはまた報告されている(Crow,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA( 1992)89:5769-5773)。所望する綿繊維変性は、強度又はきめの改良を包含する 。そのような改良のために使用され得る遺伝子の例は、 PHB生合成遺伝子、セル ロースシンターゼ遺伝子(Saxena et al.(1990)Plant Mol.Biol.15:673-683 )及び菌類のキチンシンターゼ遺伝子(Bowen et al.Proc.Nat.Acad.Sci.(199 2)89:519-523)を包含する。 綿繊維の有用な表現型変性のもう1つの例は、たとえば青又は黒色繊維を有す る着色された綿の生成である。綿繊維における色系生成のためのコード配列の核 発現のための方法は、07/998,158 に記載されている。たとえば、メラニン生成 に関しては、ストレプトミセス(Streptomyces)からの2つのタンパク質コード 配列(Bernan et al.(1985)Gene 37:101-110)が使用され得る。2種のタン パク質、すなわちORF438生成物及びチロシナーゼのためのmRNAが、単一プロモー ターストレプトミセスから転写される。本発明によれば、オペロンが特定のウィ ルスプロモーター領域、たとえば本明細書に記載されるT7プロモーターからの 発現のために適合され、そしてプラスチド形質転換のために使用され得る。同様 に、2種以上の遺伝子生成物が、形質転換された宿主細胞におけるインジゴの生 成のために必要とされる。担当酵素がモノオキシゲナーゼである場合、未審査請 求の日本特許出願公開番号第2−119777(Suzuki et al.)に記載されるように、 2種の遺伝子生成物が必要とされる。酵素がデオキシゲナーゼ、たとえば Kurke la et al.Gene(1988)73:355-362に記載されるナフタレンジオシキゲナーゼ (ND)である場合、3種の遺伝子生成物が必要とされる。トリプトファナーゼコ ード配列の使用はまた、インジゴへの転換のために利用できるインドールの量を 高めるためにも所望される。トリプトファナーゼ遺伝 子配列の源は、E.コリを包含する(たとえば、 Deeley et al.(1982)J.Bac teriol.151:942-951を参照のこと)。従って、そのようなタンパク質のための コード配列は、単一サブユニットのウィルスポリメラーゼにより特異的に認識さ れるウィルスプロモーターの後ろにポペロンとして提供され、そして本明細書に 記載されるようにプラスチド発現構造体に使用され得る。 追加の態様においては、本出願は、若い組織に存在し、又は活性的に成長して いる植物組織、たとえば分裂領域に選択的に存在するプラスチド経路を選択的に 変性する方法を提供する。特に、光誘発性プロモーター、たとえば若い組織にお けるウィルスポリメラーゼの発現のための SSU又はクロロフィルA/B結合タン パク質遺伝子からのプロモーターが考慮される。活動的に成長する植物組織に関 しては、EF-1の遺伝子からのプロモーターが使用される。たとえばUSPN 5,177,0 11(Shewmaker et al,1/5/93発行)を参照のこと。そのような若い組織又は 分裂性プロモーターは、耐性遺伝子を用いてのグリホセート、ブロモキシニル又 はイミダゾリノン除草剤に対して除草剤耐性を付与する変性のためのプラスチド 発現構造体と一緒に使用され得る。たとえば、Stalker et al.(J.Biol.Chem. (1985)260:4724-4728,Stalker et al.(J.Biol.Chem.(1985)263:6310- 6314及びSathasivan et al.(Nucl.Acids Res.(1990)18:2188を参照のこと 。さらに、そのような組織のプラスチドは、高められた光合成能力を付与するた めの又は耐病性及び/又は耐ストレス性のための機構を付与するための変性のた めの所望する標的である。 本発明のプラスチド形質転換に使用するための DNA配列又はポリヌクレオチド は、上記核発現構造体から発現される RNAポリメラーゼにより特異的に認識され るウィルス遺伝子プロモーター、及びそ のウィルスプロモーターの制御下で、形質転換されたプラスチド細胞において発 現されるべき対象の DNA配列を含んで成るプラスチド発現構造体を含むであろう 。従って、核ポリメラーゼ発現構造体がT7ポリメラーゼをコードする場合、次 の例において論ぜられるように、対象の DNA配列の発現のためのプラスチド構造 体は、T7ポリメラーゼの存在下で、対象の DNA配列が単に発現されるよう、T 7遺伝子プロモーターを含むであろう。同様に、T3,SP6又は他のウィルスポ リメラーゼが核形質転換の結果として発現される場合、プラスチド発現構造体は 対応する遺伝子プロモーター領域を利用するであろう。 本明細書に記載される構造体に使用される特定のウィルスプロモーター領域は また、選択されたウィルス遺伝子の5′未翻訳 DNA領域の一部を含むことができ る。たとえば、ファージT7の遺伝子10からの5′未翻訳領域は、強められた翻 訳を付与することが報告されており、そして本明細書に記載されるT7プラスチ ド発現構造体に含まれる。種々の源からの異なった又は追加の5′未翻訳領域は 、対象の DNA配列の発現のためのプラスチド構造体に使用される。 プラスチドウィルスプロモーター発現構造体は一般的に、核構造体によりコー ドされるウィルスポリメラーゼにより認識される転写終結領域を含むであろう。 典型的には、強い転写終結領域は、本発明の特定のウィルスプロモーターを用い る場合に必要とされ、そして従って、特定のプロモーター領域が得られる遺伝子 と同じ遺伝子からの転写終結領域を用いることが便利である。従って、本明細書 に記載される例においては、T7遺伝子10プロモーター領域及びその対応する遺 伝子10転写終結領域は、プラスチドT7発現構造体に使用される。 ファージT7における種々の他の遺伝子はまた、そのT7単一サ ブユニットポリメセーゼにより特異的に認識されるプロモーター配列を含むであ ろうことが注目される。特に、T7の遺伝子10は、同一の24bpプロモーター領域 を有する6個のT7遺伝子の1つである。従って、それらの遺伝子のいづれか一 つからのプロモーターは、その対応する5′未翻訳領域を伴って又は伴わないで 、本発明により包含されるプラスチド発現構造体のために使用され得る。 プラスチドウィルスプロモーター発現構造体における対象の DNA配列は、構造 遺伝子配列によりコードされるタンパク質が形質転換されたプラスチドにおいて 生成されるように、特定の構造遺伝子の発現のために配向されるコード配列であ り得る。さらに、対象の DNA配列は、単一のウィルスプロモーター領域からの多 くの遺伝子の発現のためのオペロンが生成されるように、多くの個々の構造遺伝 子をコードする領域を含むことができる。従って、構築された又は合成のオレペ ロンから又は先在する原核生物の遺伝子クラスターからの複数の遺伝子を導入し 、そして発現することが可能である。そのような方法は、特定のウィルスポリメ ラーゼの核発現を誘導するために使用されるプロモーターに依存して、特定の所 望する植物組織又は発育の特定段階において価値あるタンパク質及び精製薬品の 大規模且つ安価な生成を可能にするであろう。そのようなアプローチは標準の核 形質転換法によっては実施されない。なぜならば、個々の遺伝子がプラスチド摂 取及び適切なプロモーター及びターミネーターシグナルのためのコードされたト ランジットペプチドを含むモノシストロン中に構築されるべきであるからである 。結果として、遺伝子発現レベルはシストロン間で広く変化することが予測され 、そして多くのトランスジェニック植物系の発生が必要とされる。究極的には、 交差が、標的の生化学経路への発現を得るために、1種の植物中にそれらのシス トロンのすべてを導入するために必要と される。 他方、プラスチド構造体における対象の DNA配列は、内因性遺伝子mRNAに相補 的な RNAが形質転換されたプラスチドに生成されるように配向された内因性プラ スチド遺伝子のフラグメントであり得る。そのようなアンチセンス構造体は、標 的のプラスチド遺伝子の発現を低めるために使用され得る。 プラスチド形質転換に続いて所望する植物細胞を選択する手段を付与するため には、プラスチド形質転換のためのポリヌクレオチドはまた、マーカー遺伝子の 発現を付与する構造体を含むであろう。そのマーカー遺伝子生成物の発現は、そ のマーカータンパク質を発現するプラスチドオルガネラを含んで成る植物細胞の 選択を可能にする。本明細書における例においては、細菌aadA遺伝子がクロロプ ラスト5′プロモーター及び3′転写終結領域の制御下で発現される。植物細胞 のプラスチド形質転換のためのそのような発現構造体の使用は、Svab and Malig a(1993、前記)に記載されている。aadA遺伝子の発現は、スペクチノマイシン 及びストレプトマイシン耐性を付与し、そして従って、このマーカー遺伝子を発 現する植物細胞の同定を可能にする。aadAマーカー遺伝子のための選択は、スト レプトマイシンの存在、又はより好ましくは、植物成長培地におけるストレプト マイシンの存在により漂白されない植物細胞の同定に基づかれている。クロロプ ラスト代謝に関与する生成物をコードする他の遺伝子がまた、選択マーカーとし て使用され得る。たとえば、植物除草剤、たとえばグリホサート、ブロモキシニ ル又はイミダゾリノンに対する耐性を付与する遺伝子が特に使用される。そのよ うな遺伝子は、Stalker et al.(J.Biol.Chem.(1985)260:4724-4728 ;グ リホセート耐性EPSP)、Stalker et al.(J.Biol.Chem.(1985)263:6310-63 14;ブロモキシニル耐性ニトリラーゼ遺伝 子)、及びSathasivan et al.(Nucl.Acids Res.(1990)18:2188;AHASイミ ダゾリノン耐性遺伝子)により報告されている。 本明細書に記載される例においては、aadA遺伝子は、タバコ16SrRNAプロモー ター、rrn領域及びタバコ rps16 3′結合領域の制御下にある。多くの追加のプ ロモーター領域がまた、選択可能マーカー、たとえば植物プラスチドにおいて機 能することが知られている種々のプラスチドプロモーター及び細菌プロモーター の発現を誘導するためにも使用され得る。 プラスチド形質転換に使用するためのポリヌクレオチドはまた、プラスミドゲ ノム中へのウィルスプロモーター発現構造体及び選択マーカー構造体の安定した トランスファーを提供する手段を含むであろう。便利には、標的のプラスチドゲ ノムに対して相同性の領域は、トランスファーされるべき構造体を両端に有し、 そしてゲノム中への二重クロスオーバーを通しての相同組換えによるプラスチド ゲノムのトランスファーを提供する。相同の領域がプラスチドゲノムの逆方向反 復領域(IRA及びIRB)に存在する場合、トランス遺伝子の2つのコビーがプラス チドゲノム当たりに予測される。典型的には、プラスチドゲノムを有する相同性 の領域は、約1kbのサイズであろう。より小さな相同性の領域、たとえば 100bp などの小さな領域が使用され得、これはプラスチドゲノム中への相同組換えを提 供することができる。しかしながら、組換えの頻度及び従って、形質転換された プラスチドを有する植物を得る頻度は、相同領域のサイズが小さくなるにつれて 低下する。タバコプラスチド形質転換のためのそのような相同性の領域を含んで 成る構造体の例は、Svab et al.(1990前記)及びSvab and Maliga(1993前記 )に記載されている。タバコ及びブラシカのプラスチドゲノム中への組換えのた めに有用な領域はまた、次の例に記載されている。類似する相同組換 え及び選択構造体は、標的の植物種からのプラスチド DNAを用いて調製され得る 。 プラスチドゲノムへのトランスファーの他の手段は、たとえば転位因子の使用 を包含する方法により本明細書において考慮される。たとえば、プラスチドゲノ ム中にトランスファーされるべき構造体は、植物プラスチドにおいて機能する転 位マーカーからの逆方向反復領域を両端に有する。プラスチド中への標的 DNAの トランスファーのために必要とされるトランスポザーゼの過渡発現を提供する D NA構造体がまた、クロロプラスト中に導入される。この態様においては、種々の 表現型が、プラスチドゲノム上の種々の位置への発現構造体の挿入に起因する位 置効果に依存して同じ発現構造体により形質転換された植物において得られる。 そのようなプラスチド形質転換法に使用するための適切なトランスポゾンは、細 菌Tn10、バクテリオファージMu及び種々の他の既知の細菌性トランスポゾンを包 含する。 本発明の構造体を構築する場合、調節領域及び読み取り枠を含んで成る種々の フラグメントが、異なったプロセッシング条件、たとえば連結、制限酵素消化、 PCR、インビトロ変異誘発、リンカー及びアダプターの付加、及び同様の手段に ゆだねられ得る。従って、ヌクレオチドトランジッション、トランスバージョン 、挿入、欠失又は同様のことが、調節領域、ウィルスポリメラーゼコード配列及 び/又はプラスチドにおける発現のための対象の DNA配列に使用される DNAに対 して行なわれ得る。制限消化、クレノウブラント末端処理、連結及び同様の方法 がまた、当業界においては十分に知られており、そして、たとえばManiatis et al.(Molecular Cloning:a laboratory manual (1982)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)により記載されている。 構造体の調製の間、 DNAの種々のフラグメントがクローニングベクターにおい てしばしばクローン化され得、そしてこれは DNAの増幅、 DNAの変性又は配列、 リンカー又は同様のものの連結又は除去による操作を可能にする。通常、ベクタ ーはE.コリにおいて、少なくとも比較的高いコピー数で複製できるであろう。 多くのベクター、たとえばpBR322、 pUCシリーズ、M13シリーズ、及びpBluescr ipt(Strategene;La Jolla,CA)は、クローニングのために容易に入手できる 。 ウィルスポリメラーゼ発現構造体による植物細胞の核を形質転換するためのこ の方法のうちいづれかの1つの方法が、本発明において使用され得る。植物細胞 の核の形質転換のための方法は、Ti−又はRi−プラスミド、マイクロインジェク ション、エレクトロポレーション、リポソーム融合、 DNA衝撃又は同様の方法の 使用を包含する。 アグロバクテリウムが植物細胞核の形質転換のために使用される場合、アグロ バクテリウム宿主に存在する T-DNA又はTi−又はRi−プラスミドによる相同組換 えのためにアグロバクテリウム中に導入されるベクターが使用され得る。他方、 Ti−プラスミドに無関係にアグロバクテリウムに保持されるプラスミドに基づい て、植物細胞への前記構造体のトランスファーを提供する二元ベクターが使用さ れ得る。T-DNAにより片側又は両側に隣接される、特に左及び右ボーダー、より 特定には右ボーダーを有する構造体を有することが所望される。核発現構造体及 び T-DNAボーダーは1又は複数のマーカーを含み、このマーカーは、形質転換さ れたアグロバクテリウム及び形質転換された植物細胞の選択を可能にする。多く のマーカー、たとえばカナマイシン、アミノグリコシド、G418、ハイグロマイシ ン又は同様のものに対する耐性が、植物細胞による使用のために開 発されて来た。使用される特定のマーカーは本発明においては必須ではなく、1 つの又は他のマーカーが特定の宿主及び構成の態様に依存して好まれる。 ベクターは、植物細胞中への T-DNAをトランスファーするために機能的なvir −遺伝子を有するアグロバクテリウム中への形質転換により植物細胞中への対象 の DNAを導入するために使用される。次に、広い宿主範囲のベクター構造体を含 むアグロバクテリウムが、複製及び通常の発現が生じるであろう条件下で植物宿 主細胞中への所望する DNAのトランスファーのための適切な条件下で植物細胞を 感染せしめるために使用される。これはまた、通常、所望する DNAを含む細胞が 容易に選択され得るように、マーカーのトランスファーも包含するであろう。 植物細胞に標的 DNA構造体をトランスファーするために衝撃法を使用する、植 物核形質転換及び選択の方法はまた、本発明にも使用され得る。そのような方法 は、アグロバクテリウム介在形質転換法に対してほとんど敏感ではない植物細胞 の形質転換において特に有用である。衝撃形質転換法は、Sanford et al.(199 1)Technigue 3;3-16;Klein et al.(1992)Bio/Technology 10:286-291に 記載されている。 一般的に、植物細胞の形質転換においては、標的移植片が、形質転換されたア グロバクテリウムと共にインキュベートされ、又は DNA被覆された粒子により衝 撃を与えられる。次に、植物細胞は適切な培地において増殖せしめられ、所望す る構造体を得たそれらの植物細胞が選択的に培養される。塊茎が形成された後す ぐに、苗条形成が、既知の方法に従って適切な植物ホルモンを用いる事によって 生ぜしめられ、そして苗条は、植物の再生のための根形成培地に移される。次に 、植物は成長せしめられ、そして同じ形質転換された 株又は異なった株により受粉される。ホモ接合系の生成のためには、自家受粉が 用いられる。 粒子衝撃によるタバコプラスチドゲノムの安定した形質転換は、Svab et al. (1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8526-8530;Svab and Maliga(1993)Pr oc.Natl.Acad.Sci.USA 90:913-917に報告されている。上記文献に記載される 方法は、本明細書に記載されるプラスチド形質転換構造体により形質転換された 植物を得るために使用され得る。手短に言及すれば、そのような方法は、好まし くは代謝的に活性的なプラスチドオルガネラに富んでいる組織、たとえば葉及び 子葉を包含する若い植物組織からの標的宿主移植片の DNA衝撃を包含する。次に 、衝撃を与えられた組織は、細胞分裂促進培地上で約2日間、培養される。次に 、植物組織は、特定の選択剤の阻害量、並びに特定のホルモン及び特定植物種の ための再生を得るのに必要な他の物質を含む選択培地に移される。たとえば、上 記出版物及び本明細書に提供される例においては、選択マーカーは細菌aadA遺伝 子であり、そして選択剤はスペクチノマイシンである。前記aadA遺伝子生成物は 、連続した増殖を可能にし、そしてマーカー遺伝子生成物を含んで成るクロロプ ラストを含む細胞の緑化を可能にする。マーカー遺伝子生成物を含まない細胞は 漂白される。衝撃を与えられた外植片は、約3〜8週で若い苗条を形成するであ ろう。それらの苗条からの葉は同じ選択培地上で継代培養され、同種形成性苗条 の生成及び選択を確保される。2ラウンド目の苗条形成の代わりとして、初期の 選択された苗条が成熟植物に成長せしめられ、そして分離により、挿入された遺 伝子構造体のために同種形成性である形質転換された植物が提供される。 次に、そのようにして選択された形質転換植物は、植物中の全プラスチド含有 物が形質転換されたか(同種形成性形質転換体)いづ れかを決定するために分析され得る。典型的には、2つのラウンドの苗条形成及 びスペクチノマイシン選択に続いて、分析される約50%のトランスジェニック− 苗が、プラスチド DNAのサザンブロット分析により決定される場合、同種形成性 である。それらの苗はさらなる栽培、トランスジェニックプラスチド表現型(核 ウィルスポリメラーゼ発現構造体がまたプラスチド形質転換体にも存在する)の 分析、又はトランスプラストミック植物の核中へのウィルスポリメラーゼ構造体 の形質転換法への使用のために選択される。 本明細書の例に示されるように、挿入されたプラスチド遺伝子構造体はすべて の交配において母として受け継がれ、そして発現は、プラスチド標的化T7 RNAポ リメラーゼをコードする活性核遺伝子の性的な伝達により達成され得る。従って 、核ウィルスポリメラーゼ発現構造体及びプラスチド発現構造体の両者を有する 本発明の植物細胞を得るためにはいくつかの可能な手段が存在する。1つの方法 においては、ポリメラーゼ活性を発現するホモ接合性核形質転換植物が得られ、 そしてプラスチドゲノム中にプラスチド発現構造体をトランスファーするために 衝撃手段により再形質転換される。逆に言えば、プラスチド形質転換植物は、本 明細書に記載されるような衝撃手段により得られ、そして核及びプラスチドトラ ンスジェニック構造体の両者を有するトランスジェニック植物を再生するために 、たとえばアグロバクテリウム介在形質転換により又は粒子衝撃を通して、核形 質転換法に使用される。第3の方法においては、トランスプラストミック植物及 び核トランスジェニック植物がそれぞれの形質転換法を用いて独立して得られ、 そして核及びプラスチドトランスジェニック構造体の両者を有する植物が、植物 育成技法を用いて、核トランスジェニック及びプラスチドトランスジェニック植 物を交雑することによって調製される。そのような交雑においては 、プラスチドトランスジェニック植物は、母親として使用され、そして核トラン スジェニック植物は父親である。 そのような組織を包含する形質転換及び再生法がアグロバクテリウム−介在形 質転換、衝撃又は他の方法のいづれかにより一定の植物種のために適合された場 合、それらの技法はプラスチド形質転換植物を生成するために選択及び再生法へ の使用のために変性され得る。たとえば、タバコについて本明細書に記載される 方法は、他のナス科の種、たとえばトマト、ペチュニア及びジャガイモに容易に 適用できる。ブラシカに関しては、アグロバクテリウム介在形質転換及び再生法 は一般的に、胚軸組織、すなわち低プラスチド含有率の若くない組織の使用を包 含する。従って、ブラシカに関しては、好ましい標的組織は、小胞子由来の胚軸 又は子葉組織(若く、そして従って多くのプラスチドを含む)、又は葉組織外植 体を包含する。そのような組織からの再生率は低いけれども、たとえばアグロバ クテリウム介在形質転換により見出される位置上の効果は予測されず、そして所 望する表現型を得るために多くの都合良く形質転換された植物をスクリーンする ことが必要ないであろう。 従って、本明細書に記載される構造体及び方法は、変性されるべき又は植物に 付加されるべき経路のタイプに依存して、広範囲の種類の植物生命体に使用され 得る。たとえば、スターチ変性のためには、ジャガイモ又はトウモロコシ植物が 形質転換され得る。花色の変性のためには、ペチュニア、バラ及びカーネーショ ンが標的植物宿主である。果実品質の変性のためには、トマトが使用され得る。 種子油品質又は種子タンパク質含有率の変性のためには、油性種子収穫物、たと えばブラシカ、ダイズ、トウモロコシ、ベニバナ又はヒマワリが使用され得る。 次の例においては、核コード/プラスチド標的化T7ポリメラー ゼを発現するか又は発現しないいづれかの植物のプラスチドゲノム中へのファー ジT7遺伝子10プロモーターの制御下での GUSマーカーの導入が記載されている 。核コード/プラスチド標的化T7 RNAポリメラーゼの使用によるプラスチドトラ ンス遺伝子発現を操作する能力が示される。ファージT7遺伝子10プロモーター 及び5′未翻訳領域の制御下でのプラスチド−担持される受容体遺伝子 GUSが、 活性T7 RNAポリメラーゼを含むタバコ系中に導入される場合、発現される。その 結果は、ウィルスポリメラーゼが植物プラスチドゲノム中に都合良く導入され、 そしてT7遺伝子10プロモーターからの GUS遺伝子を活動的に転写することを示 す。さらに、 GUS活性はT7ポリメラーゼ活性の存在下で発現されるが、しかし その不在下では発現されず、従って、この反応の特異性、及び選択的なウィルス 単一サブユニット RNAポリメラーゼをコードする核トランスジェニック構造体の 発現を制御することによって、プラスチドトランスジェニック構造体の発現を選 択的に制御する能力を示す。 次の例は、例示的であって、本願発明を限定するものではない。 例1 ポリメラーゼ発現構造体 A.CaMV 35Sプロモーター構造体 構造体pAR3283(Dunn et al.(1988)Gene 63:259-266)を、BglII/EcoRIに より消化し、T7ポリメラーゼ遺伝子のコドン11に融合されるSV40 T−抗原核位 置シグナルを除去する。合成アダプター(上部鎖:5′−GATCTGGATCCAACACGATT AACATCGCTAAGAACG−3′及び下部鎖:5′−AATTCGTTCTTAGCGATGTTAATCGTGTTGGA TCCA−3′)を導入し、pCGN4023を得る。前記アダプターは、T7 RNAポリメラー ゼ遺伝子の野生型アミノ末端コード領域を回復するが、但し、メチオニン開始コ ドンがBamHI制限部位により置換されている。pCGN40 23からのBamHIフラグメントを、BamHIにより消化されたpCGN566(アンピシリ ンよりもむしろクロラムフェニコールに対する耐性を付与する、 pUC18に関連す るプラスミド)中にサブクローンし、pCGN4024を得る。 二重35Sプロモーター(−941〜−90/−363〜+2)及びtml 3′調節領域を 含むプラスミドpCGN2113(3/2/89に寄託されたATCC寄託番号40587)をSacI/ EcoRIにより消化し、 tml 3′領域を除去する、nos 3′を含むpBI101(Jefferso n et al.(1987)EMBO J.6:3901-3907)からのSacI/EcoRIフラグメントをtm l 3′の位置に導入する。次にその得られたプラスミドpCGN1575を SphI/XbaI により切断し、クレノウによりブラント末端化し、そしてプラスミドを再連結し 、pCGN1577を得る。 BglIIリンカーを、EcoRI消化及びpCGN1577のクレノウ処理 に続いて、EcoRI部位に付加する。次に、その得られるプラスミドpCGN1579にお けるNcoI部位を、NcoIによる消化により除去し、クレノウ処理し、そして再連 結する。新プラスミドpCGN1594は、短くされたバージョン7二重35Sプロモータ ー(転写開始部位に関して−526〜−90/−363〜+2)及び 260bpの nos 3′か ら成る。 タバコ RuBISCO SSU遺伝子5′未翻訳領域+クロロプラストトランジットペプ チドのためのコード配列及び成熟SSU(イントロンIを含む)の12個のアミノ酸 のためのコード配列を有する DNAフラグメントを、鋳型としてクローンTSSU-3-8 (O'Neal et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:8661-8677)を用いて、上部鎖 プライマー5′−CCCAAGCTTAGATCTCATCTTGGAAGTTTAAAGG−3′及び下部鎖プライ マ−5′−GGGGAGCTCGTCGACGGATCCGTACTTCTTCTTGTTAATTGG−3′を用いて PCR増 幅する。PCR反応は、94c/30秒、55c/30秒及び72c/30秒の25サイクルのた めに設定されたPerkin Elmer熱サイクラー (GeneAmp System 9600)において、Perkin Elmer/Cetusにより推薦される条件を 用いて 100μlの体積において行なわれる。得られたフラグメントを、HindIII /SacIによる消化により pBluescriptII SK+(Stratagene;LaJolla,CA)中に クローン化する。DNA配列の確認に続いて、その得られたプラスミドpCGN3669を BglII/SacIにより消化し、そして SSU配列を、BamHI/SacI消化されたpCGN1 594中にクローン化する。得られたプラスミドpCGN3672をBamHIにより切断し、 そして変性されたT7ポリメラーゼ遺伝子を、pCGN4024からのBamHIフラグメン トとして導入する。T7ポリメラーゼ遺伝子が、成熟 SSUとの翻訳融合として読 み取るように配向されているクローンpCGN4025を選択する。pCGN4025をHindIII /BglIIにより消化し、そしてd35S/クロロプラストトランジットペプチド:T 7ポリメラーゼ/nos 3′発現構造体を、HindIII/BamHI消化された二元ベクタ ーpCGN1559(McBride et al.(1990) Plant Mol.Biol.14:269-276)中に導入し 、 pCGN4026(図1)を得る。 B.ナピン発現構造体 タバコ SSU 5′未翻訳領域、リーダーペプチドコード領域及び成熟SSU(1stイ ントロンを含む)の初めの12個のアミノ酸のためのコード領域を含むHindIII/B amHIフラグメントを、pCGN3609(上記)の消化により得る。そのフラグメント を、CaMV 35Sプロモーター領域を置換してpCGN986(下記)のHindIII/BamHI部 位中にクローン化し、そしてpCGN4095をもたらす。 pCGN986は、カリフラワーモザイクウィルス35S(CaMV 35)プロモーター及び それらの間に複数の制限部位を有する T-DNA tml 3′−領域を含む。 T-DNA tm l 3′−配列を、BamHI−EcoRIフラグメント(ヌクレオチド9062〜12,823,Bar ker et al.Plant Mol.Biol.(1982)2:335-350におけるようにして番号をつけ る)として、 pTiA6,Bam19 T-DNAフラグメント(Thomashow et al.,Cell(1980)19:729-739 )からサブクローン化した。Baml9フラグメントのヌクレオチド11,209でのユニー ク SmaI部位を SacI部位に変え、そしてBamHI部位を、リンカーを用いてEcoR I部位に変えた。発現カセット pCGN986は、HindIII部位、続いてCaMV 35Sプロ モーター、2つの SalI部位、 XbaI, BamHI,SmaI、及び KpnI部位、並び に SacI/EcoRIフラグメントとしての tml 3′領域(T-DNAのヌクレオチド1120 7-9023)を含む。 pCGN4095の SSU部分におけるイントロン領域を、 SphI及びBamHI部位により 隣接される SSUリーダーペプチド/成熟タンパク質領域に対応する合成オリゴヌ クレオチドを用いて除去する。イントロンを有さない SphI/BamHIフラグメン トを、pCGN4095中に連結し、SphI/BamHIフラグメントを含むイントロンを置 換し、そしてpCGN4096を得る。 pCGN4024(上記)からのT7ポリメラーゼコード領域を約 2.2kbフラグメント として得、 そしてpCGN4096中にクローン化し、 SSUリーダーペプチド+成熟 SS Uの12個のアミノ酸のためのコード領域、及び同じ翻訳読み取り枠におけるT7 ポリメラーゼコード領域を含むpCGN4205をもたらす。 約 1.7kbのナピンプロモーター領域を、pCGN3223からの BglII/HindIIIフラ グメントとして、クロラムフェニコール耐性を付与するクローニングベクター中 にクローン化し、pCGN4212を得る。pCGN3223は、アンピシリン耐性バックグラウ ンドに 1.725ナピン5′及び 1.265ナピン3′調節配列を含むナピン発現カセッ トである。そのナピン5′及び3′調節領域は、pCGN1808(Kridl et al.Seed S cience Research(1991)1:209-219)に存在するものと同じであるが、しかし 異なった制限部位を端に有する。pCGN3223における調節 領域は、HindIII,NotI及び KpnI制限部位を端に有し、そしてユニーク SalI ,BglII,PstI及び XhoIクローニング部位は、5′及び3′非コード領域間に 位置する。 ナピン5′調節領域を、pCGN4212からの BglII/HindIIIフラグメントとして 、 Bg1II/HindIII消化されたpCGN4205中に挿入し、ナピン5′及び tml 3′調 節領域間にセンス発現配向で位置する SSU:T7ポリメラーゼコード構造体を含む pCGN4217を得る。ナピン/SSU:T7ポリメラーゼ/tml キメラ遺伝子を、二元ベ クタープラスミドpCGN1559及びpCGN1548(McBride et al.,前記)中にHindIII /PstI部分消化フラグメントとしてクローン化し、それぞれpCGN4225及びpCGN4 226を得る。 C.ファセオリン発現構造体 β−ファセオリン5′非コード領域の 850bp BglIIフラグメントを、p8.8 pro (Hoffman et al.(1987)EMBO J.6:3213-3221)から得、そしてBamHI部位でp UC(Vieira and Messing(1982)Gene 19:259-268)中にクローン化し、pTV796を 得る。pTV796におけるファセオリンフラグメントは、pUC9のSmaI部位がファセオ リンプロモーターの3′側に位置するように配向される。ファセオリンを、クロ ラムフェニコール耐性を付与するクローニングベクター中にHindIII/SmaIフラ グメントとしてpTV796からサブクローン化する。得られるクローンpCGN4230を、 HindIII及び BglIIにより消化し、そしてファセオリンプロモーターを含む約 80 0bpのフラグメントを、HindIII/BglII消化のpCGN4205(上記)中にクローン化 し、pCGN4231を得る。pCGN4231は、ファセオリン5′及び tml 3′調節領域間に センス発現配向下で位置するSSU:T7ポリメラーゼコード構造体を含む。そのフ ァセオリン/SSU:T7ポリメラーゼ/tml キメラ遺伝子を、二元ベクタープラス ミドpCGN1559及びpCGN1548(McBride et a l.,前記)中にHindIII/PstI部分消化フラグメントとしてクローン化し、それ ぞれpCGN4232及びpCGN4233を得る。例2 プラスチドにおける形質転換及び発現のための構造体 A.GUSプラスチド発現構造体 ファージT7ポリメラーゼ遺伝子10プロモーター及び全5′未翻訳領域を、上 部鎖プライマー5′−GGGAAGCTTGCGAAATTAATACGACTCAC−3′及び下部鎖プライ マー5′−CCCCCATGGGTATATCTCCTTCTTAAAG−3′を用いてpET3a(Rosenberg et a l.(1987)Gene 56:125−135)から PCR増幅する(上記のようなPCR条件下)。 得られるPCR反応生成物は、24bpのT7プロモーター領域及び66bpの)T7 5′未翻 訳領域から成る。5′未翻訳領域は、最端5′でステム−ループ構造、続いて、 翻訳エンハンサー(Olins et al.(1988)Gene(Amst.)73:227-235)、強い原核リ ボソーム結合部位、及び遺伝子10の開始コドンを含む。T7 PCRフラグメントをHi ndIII/NcoIにより消化し、そしてHindIII/NcoIにより消化されたpUC120中に クローン化し、pCGN4028を創造する。pUC120は、反対の配向に挿入される 1ac領 域及び 1acペプチド(Vieira,J.PhD.Thesis.University of Minnesota,1988) の ATCでNcoI部位を有するpUC118(Vieria and Messing,Methods in Enzymolo gy(1987)153:3-11)に基づくE.コリ発現ベクターである。 3′調節領域を創造するために、psbA′未翻訳領域(Shinozakiet al.(1986)E MBO J.5:2043-2049 により報告されるタバコクロロプラストゲノム配列の塩 基対 533-435)とpET3aからのT7遺伝子10ターミネーター領域との間に、 PCR により融合を創造した。最初の反応においては、psbA 3′未翻訳領域は、鋳型と してニコチアナタバカム var. “Xanthi”の全 DNAを用いて、上部鎖プライマ ー5′−GGGGAATTCGATCCTGGCCTAGTCTATAAG−3′及び下部鎖プライマー 5′−GGTTATGCTAGTTATTGCTCAAAAGAAAAAAAGAAAGGAGC−3′を用いて増幅される 。また、T7遺伝子10ターミネーターは、鋳型としてpET3a DNAを用いて、上部 鎖プライマー5′−GCTCCTTTCTTTTTTTCTTTTGAGCAATAACTAGCATAACC−3′及び下 部鎖プライマー5′−CCCCTGCAGCCGGATATAGTTCCTCC−3′を用いて増幅される。 追加の PCR反応においては、上記psbA 3′及びT7ターミネーター反応からの反 応生成物それぞれ5μlを、最終反応混合物100μl中に組合し、ここで融合生 成物が、psbA 3′反応に使用される上部鎖プライマー及びT7遺伝子10ターミネ ーター反応に使用される低部鎖プライマーを用いて増幅される。その融合生成物 を、EcoRI及びPstIにより消化し、そしてEcoRI/PstIにより消化された pBl uescriptII KS(−)(Stratagene)中にクローン化し、pCGN4027を得る。 追加の操作を通して、T7プロモーター領域(HindIII/NcoI)及びpsbA 3′ /T7ターミネーター(EcoRI/PstI)を、pBluescriptII KS(−)主鎖(Stratag ene)において、pkiwi101(Janssen et al.(1989)Plant Mol.Biol.14:61-72 )からの NcoI/EcoRI GUS遺伝子フラグメントと組合し、pCGN4055を得る。 従って、pCGN4055においては、 GUS遺伝子は、遺伝子10のための開始コドンが GUSの開始コドンであるように、E.コリファージT7遺伝子10プロモーター領 域(転写開始部位に対して配列−24〜+66)から下流に位置する。T7遺伝子10 の5′未翻訳領域は、それはE.コリにおける翻訳エンハンサーのために重要で あると報告されていることから保持される。 GUS遺伝子構造体の3′領域は、若 い組織におけるmRNAの安定化において重要であることが示されているpsbA 3′調 節要素(Gruissem et al.(1993)Critical Reviews in Plant Sciences 12:19- 55)、及び強い rho独立ファージT7遺伝子10ターミネーターを含む。 B.PHBオペロンのためのプラスチド発現構造体 ブラシカにおけるポリヒドロキシブチレート(PHB)経路に関与する遺伝子を含 むオペロンのプラスチド発現のための構造体を次のようにして調製する。アルセ リゲネスユートロファス(Alcalgenes eutrophus)からのPHBオペロンを、 Sfu I及びEcoRIによるpAeT41(Peoples et al.(1989)J.Biol.Chem.264:15298-153 03)の消化により得、そしてその適切な約 4.2kbのフラグメントの ClaI/EcoR I−消化BluescriptII KS(−)(Stratagene)中へのクローニングにより、pCGN407 7を得る。pCGN4077を変異誘発し、phbBにおける NcoI部位を除去し、そして得 られる構造体をpCGN4082と命名する。pCGN4077をまた変異誘発し、phbCコード領 域における NcoI部位を除去し、そして ATG翻訳開始コドンで NcoI部位を付加 する。得られる構造体をpCGN4081と命名する。pCGN4081及びpCGN4082を XhoI及 び BglIIにより消化し、そして変異誘発されたphbCコード領域を含むpCGN4081の XhoI/ BglIIフラグメントを、変異誘発されたphbB領域及びクローニングベク ター配列を含むpCGN4082の XhoI/ BglIIフラグメントに連結する。その得られ る構造体pCGN4086は、除去された内部 NcoI部位と共に完全な PHBオペロンを含 み、そして ATG翻訳開始コドンで付加された NcoI部位を有する。 PHBオペロン は、pCGN4086のEcoRI及び XhoIによる消化により得られ、そしてEcoRI/ Xho I消化された pBluescriptII S(+)中にクローン化され、pCGN4089が得られる 。pCGN4089をEcoRI/ NdeIにより消化し、 PHBオペロン3′未翻訳領域を除去 し、そしてEcoRI/ NdeIリンカーアダプターにより連結し、pCGN4098を生成す る。PHBオペロンを、EcoRI及び NcoIによるpCGN4098の消化により得、そしてE coRI/ NcoI消化されたpCGN4211中にクローン化し、pCGN4216を得る。pCGN421 1は、アンピシリン耐性クローンを提供するために HindIII/ PstI消化された pBluescriptII(−)にHindIII/ PstIフラグメン トとしてトランスファーされたpCGN4055(上記)のT7/GUS/pshA 3′ :T7 3′ フラグメントを含む。EcoRI及び NcoIによるpCGN4211の消化は、 GUS領域を除 去する。従って、pCGN4216は、T7遺伝子プロモーター領域及びpsbA 3′ :T7 3′領域の制御下で PHRオペロンを含む。 C.タバコ形質転換構造体 pCGN4055をHindIII/ PstIにより消化し、そして5′/GUS/psbA 3′ :T7 3′発現構造体を、相同組換えによりタバコプラスチドゲノム中へのキメラ遺伝 子の組込みを企画されている、HindIII/ PstI消化されたベクター中にクロー ン化する。その得られた構造体をpCGN4276(図2)と称する。pCGN4276構造体を 含んで成る細菌細胞は、American Type Culture Collection(ATCC),Rockville ,MD(ATCC # )に寄託された。相同組換えベクター、すなわちプラス ミドOVZ445は、タバコ16S rRNAプロモーター、 rrnから発現されたストレプトマ イシン/スペクチノマイシン選択マーカー遺伝子、aadA(前記 rrnプロモーター 及びaadA領域は Svab and Maliga(1993;前記)に記載されている)を含み、そ して約 150bpの rps16 3′終結領域(rps16遺伝子の配列はShinozaki,K.et al. ,前記により報告されている)を有する。同様に、T7/PHB/psbA 3′:T7 3′領 域を含むpCGN4216からのHindIII/BamHIフラグメントを、HindIII/XbaIによ り消化されたOVZ445中にHindIII/ SpeIフラグメントとしてトランスファーし 、pCGN4295を得る。 プラスチド形質転換のためのaadA選択マーカー構造体は、それがtrnVと rps12 との間の遺伝子間領域におけるtrnV遺伝子座のすぐ上流に位置するように、そし てクロロプラストゲノム DNAの少なくとも1kbがaadA発現構造体に隣接するよう に、タバコクロロプラスト ゲノムフラグメント上のOVZ44Bに存在する。プラスチド DNA隣接フラグメントは 、前記ベクターと標的のプラスチド DNA配列との間に相同組換えが生じるような 領域を提供する。相同組換え部位はクロロプラスト逆方向反復体領域(IRA及びIR B)(Shinozaki et al.,前記)に存在するので、トランス遺伝子の2つのコピー がプラスチドゲノム当たりに予測される(Svab,et al.(1990)前記)。 D.ブラシカ形質転換構造体 ブラシカプラスチドのゲノム中への組換えのための相同性の領域を得るために 、リブロースビスホスフェートカルボキシラーゼの大きなサブユニットをコード するrbcL遺伝子を含んで成るフラグメントを、ブラシカプラスチド DNAからクロ ーン化する。プラスチド DNAは、Doyle et al.(Phytochem.Bull.(1987)19:11-1 5)により記載されているように単離され得る。ブラシカナパスのプラスチドゲノ ムの地図(Warwick et al.(1991)Theor.Appl.Genet.82:81-92;Palmer et al. (1983)Theor.Appl.Genet.65:181-189)は、rbcL遺伝子座が 4.3又は 4.8kbの KpnIフラグメントのいづれか上に存在することを示す。このフラグメントをク ローン化するために、プラスチド DNAをAsp718により消化し(KpnIと同じ認識 配列)、そしてAsp718により消化されたBluescriptII KS(−)中にクローン化す る。得られるクローンからの DNAを、タバコからのrbcLコード領域を含む放射性 ラベルされたプローブを用いてサザンハイブリダイゼーションにより分析する。 ラベルされたクローンにハイブリダイズする約 4.3kbのバンドを含むクローンpC GN5034を、rbcL遺伝子のさらなる位置決定のために選択する。 DNA配列分析によ るrbcL遺伝子の位置決定に続いて、プラスチド発現構造体、たとえば PHBオペロ ン構造体の挿入のための適切な領域を同定する。所望する領域は、所望する遺伝 子構造体の挿入が生来のプラスチド遺伝子の発現 を中断せず、そして挿入されたプラスド構造体がブラシカプラスチドゲノム中へ の二重クロスオーバーによる相同組換えを提供するために相同の領域を端に有す る領域である。例3 アグロバクテリウム介在の核植物形質転換 核発現のための二元構造体を、トランスジェニック植物の調製のために、Hols ters et al.(Mol.Gen.Genet.(1978)163:181-187)の方法によって、適切なアグ ロバクテリウム株の細胞、たとえばLBA4404(Ooms et al.(1982)Plasmid 7:15- 29)又はEHA101(Hood et al.(1986)J.Bacteriol.168:1291-1301)中に形質転換 する。 トランスジェニックタバコ植物を、Horsch et al.(Science(1985)227:1229 -1232)により記載されるようにしてアグロバクテリウム介在形質転換により得る 。トランスジェニックブラシカ植物を、Radke et al.(Theor.Appl.Genet.(1988) 75:685-694;Plant Cell Reports(1922)11:499-505)により記載されるよう にしてアグロバクテリウム介在形質転換により得る。アグロバクテリウムツメフ ァシエンスとの同時培養によるゴシピアムヒルスタムL(Gossypium hirsutum L. )子葉の形質転換は、 Firoozabady et al.,Plant Mol.Bio.(1987)10:105-116 及びUmbeck et al.,Bio/Technology(1987)5:263-266 により記載されてい る。 他の植物種は、関連する技法を用いて同様にして形質転換され得る。他方、Kl ein et al.(Bio/Technology 10:286-291)により記載されるようなマイクロプ ロジェクチル衝撃法をまた用いて、本明細書に記載されるウィルス性単一サブユ ニット RNAポリメラーゼ発現構造体を含んで成る核形質転換された植物を得るこ とができる。粒子衝撃法による綿の形質転換は、1992年9月17日に公開された W O 92/15675 に報告されている。 たとえば、クロロプラスト標的化シグナル配列と共にT7 DNAポリ メラーゼ遺伝子を有する二元ベクターpCGN4026を、A.ツメファシエンス LBA44 04中に導入し、そして得られるアグロバクテリウム株を用いて、プラスチド局在 化T7 RNAポリメラーゼ活性を発現するトランスジェニックタバコ系を生成する。 その ATG開始コドンを欠くキメラT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を、タバコ小サブユ ニット(SSU)トランジットペプチド(TP)及び成熟 SSUの初めの12個のアミノ酸 への翻訳融合体としてd35Sプロモーターから発現する。多かれ少かれ、35Sプロ モーターの構成的な性質により、T7ポリメラーゼ活性がほとんどすべての組織 におけるプラスミドに発現されることが予測される。 同様に、二元プラスミドベクターpCGN4225,pCGN4226,pCGN4232及びpCGN4233 をA.ツメファシエンスEHA101中に導入し、そしてその得られるアグロバクテリ ウム株を用いて、T7 RNAポリメラーゼ活性を局在化するプラスミドを発現するト ランスジェニックブラシカ植物、たとえばB.ナパス var.A112を生成する。そ れらの構造体においてT7 RNAポリメラーゼの発現を提供するナピン及びファセロ リンプロモーターが植物種子組織に選択的な発現を提供するので、T7ポリメラ ーゼ活性は、種子組織のプラスミドに主に発現することが予測される。例4 ポリメラーゼ発現するトランスジェニック植物の分析及び選択 pCGN4026による形質転換に起因する約20種の耐カナマイシン性タバコ系を生成 し、そしてT7 RNAポリメラーゼ活性についてスクリーンする。T7 RNAポリメラー ゼアッセイを、40mMのトリス−HCl 、pH7.9、8 mMの MgCl2、 5 mMのジチオトレ イトール、4 mMのスペルミジン−HCl 、 0.4mMの個々のATP,GTP,CTP及び UTP 、及び2μCiの 32P-UTPを含む反応において pBluescriptII KS(−)転写体中へ の 32P-UTPの組込みを測定することによって実施する。 一次形質転換体(T1世代)の葉組織における検出できるT7 RNAポリメラーゼ 活性は、合計タンパク質μg当たり0.01〜2.25単位である。 カナマイシン分離アッセイを、分離比を決定するためにすべての陽性系の種子 に対して行なう。3種の系、4026-3,4026-9及び 4026-11は、耐性遺伝子に対し て3:1に分離し、これはT7ポリメラーゼ構造体が単一の染色体位置で挿入さ れたことを示す。4026-3,4026-9及び 4026-11を自家受粉し、ホモ接合系を創造 する。ホモ接合系からの葉に対するT7 RNAポリメラーゼアッセイは、4026-3が最 とも低いレベルのT7 RNAポリメラーゼ活性を有するが、4026-9及び4026-11はよ り高いレベルのポリメラーゼ活性を有することを示した。下記表1を参照のこと 。 高レベルのプラスチド−標的化されたT7 RNAポリメラーゼを発現するタバコ系 は、しわのある葉の形態学を有することが観察された。過剰のポリメラーゼは、 いくらかのレベルの非特異的転写を付与し、又はプラスチド転写複合体との負の 相互作用によりプラスチドに対して有害であると思われる。そのような場合、T 7転写単位の添加が、プラスチドオルガネラの生存性をさらに危うくする。低T7 RNAポリメラーゼ生成系4026-3は、そのプラスチドがT7-GUS転写単位(上記)に より形質転換されるまで、しわのある葉の表現型を決して示さなかったことが注 目される。例5 植物プラスミド形質転換法 タバコプラスチドを、マイクロプロジェクチルの粒子ガン供給(Svab and Mal iga(1993),前記)により形質転換する。プラスチドゲノム中への組込みは相同 組換えにより生じ、そして標的部位は逆方向反復体においてリボソームRNAオペ ロン近くに存在するので、トランス遺伝子の2つのコピーが、プラスチドゲノム 当り予測される(Svab et al.(1990)前記)。 野生型及びpCGN4026 T-DNAに対してホモ接合性のタバコ種子(N.タバカムv. Xanthi N/C)を、50%クロロックス溶液(2.5%次亜塩素酸ナトリウム)において2 0分間、表面殺菌し、そして滅菌された H2Oにより4度すすぐ。次に、種子を 0. 2×MS塩培地上に無菌プレートし、そして発芽せしめる。苗を、30g/lのスク ロースを有する寒天固化MS培地上で成長せしめる(Murashige and Skoog(1962) Physiol.Plant 15:493-497)。Bio-Rad PDS 1000/He衝撃システム(Sanford et al.(1991)Technique 3:3-16;Klein et al.(1992)Bio/Technology 10:286-29 1)を用いて、タングステンマイクロプロジェクチル(1.0μm)を DNA、たとえばT 7/GUS 発現構造体、pCGN4276により被覆し、そしてその被覆されたマイクロプ ロジェクチルを用いて、RMOP培地(MS塩、1mg/lの BAP、 0.lmg/lの NAA、3 0g/lのスクロース及び 0.7%のphytager)(Svab et al.(1990)前記)上に背軸 側を上に配置され成熟葉に衝撃を与える。 500mg/lのスペクチノマイシン二塩 酸塩により補充されたRMOP培地上での形質転換された植物の発育及び同じ選択培 地上での続くサブクローニングを、Svab et al.(1990);Svab and Maliga(1993 ) ,前記に従って行なう。選択された植物を、1mg/lの IBA、 500mg/lのスペ クチノマイシン二塩酸塩及び 0.6%のphytagerを含むMS培地中で根づかせる。 いくつかの同種形成性非−T7 RNAポリメラーゼ生成“Xanthi”4276系を対照と して同時に創造した。多産な形質転換体は、 pCGN4276T7/GUS 発現構造体によ る高レベルT7 RNAポリメラーゼ生成系4026-9のプラスチドを形質転換する試みか らは得られなかった。4026-9からのプラスチド形質転換体の欠失は、プラスチド トランス遺伝子の高レベル発現が、T7発現システムが使用される場合、E.コ リに生じることが報告されているように、オルガネラ上での代謝性流出を提供す ることによりたぶん説明される。例6 プラスチドT7プロモーター構造体からの発現についての植物の分析 上記のようにしてのプラスチド形質転換に続いて、4026-3のT7 RNAポリメラー ゼ産生バックグラウンドにおける2種の独立して単離された同種形成系を生成し 、そして4026-3クローン1及び2と命名した。同種形成性は、図2に示されるよ うなサザンブロット分析により示された。pCGN4276構造体の略図及びタバコプラ スチドゲノム中への組込みの図が図2の上部に示されている。上部線はpCGN4276 から付与される入って来るDNAを示し、そして下部線は、組込みの標的領域を示 す。BamHIフラグメントのための予測されるサイズは、野生型 DNAと同様に、そ の入って来る DNAについても示されている。その入って来る DNAの5′端上には BamHI部位が存在しないので、2種のキメラ遺伝子の組合された大きさが示され ている。また、サザン分析のために使用される、2種のプローブA及びBの位置 も示されている。4276/4026-3クローン1及び2は、N.タバカムvar.“Xanth i”系4026-3における2種の独立した耐スペクチノマイ シン性形質転換体を示す。4276/Xanthiは、野生型N. タバカム var.“Xanth i”における1種の耐スペクチノマイシン性形質転換体を表わす。対照の DNAは 未翻訳Xanthiからである。DNA分子量マーカーは、キロ塩基対で示される。 サザン分析は図2の底部に示される。全体の植物細胞 DNAは、Dellaporta et al.(1983)Plant Mol.Biol.Rep.1:19-21により記載されるようにして調製され る。個々のサンプルのための約2μgの DNAをBamHIにより消化し、1%アガロ ースを通して電気泳動し、Nytran+に移し、そして d32P-dCTPラベルされたプロ ーブによりフィルターハイブリダイズせしめる。プローブAは、形質転換(同種 形成性)の程度をし、そしてプローブBは GUS遺伝子の存在を示す。プローブA とのハイブリダイゼーションは、トランス遺伝子からの新しいBamHI部位の導入 がトランスプラスミック系において 3.3kb〜0.8kb のプローブされたフラグメン トのサイズに変化する。同種形成性の程度は、残留する 3.3kbバンドの存在によ り測定される。野生型の 3.3kbバンドの形跡のみが元のブロットにおいて観察さ れ、そしてそのレベルは図2で示されるこのブロットの再生においては検出でき ない。トランス遺伝子の初期コピーが他の逆方向反復体上に重複されていないプ ラスチドを、その 3.3kbバンドが示すか、又は未翻訳プラスチドの小集団が存在 するかいづれかについては明らかでない。 GUS遺伝子のT7 RNAポリメラーゼ依存性転写を測定するために、4276/“Xanth i”及び4276/4026-3の個々の1つのクローンの葉組織からの全体の細胞 RNAサ ンプルを、 GUS特異的プローブによるノザン分析にゆだねる。全体の植物 RNAは 、 Hughes et al.(1988)Plant Mol.Biol.Rep.6:253-257により記載しているよ うにして調製された。予測されるサイズ(2.1kb)のmRNAに富んだ単一バンドが42 76/4026-3 RNAサンプルにのみ存在する。これは、 GUSトランス遺伝子の転写が T7ポリメラーゼの存在に依存することを示す。T7 RNAポリメラーゼが2種の遺 伝子バックグラウンドにおいて他の転写体のレベルに影響を与えないことを示す ために、重複フィルターをaadAトランス遺伝子特異的プローブによりハイブリダ イズし、そして GUSフィルターをpsbA特異的プローブにより再ハイブリダイズす る。その結果は、遺伝子バックグラウンドが、連結されたaadAトランス遺伝子又 は連結されていないpsbA遺伝子のいづれの相対的な転写レベルに対しても影響を 与えないことを示す。奇妙なことには、 1.3kbのaadA−特異的転写体が予測され る 0.9kbのバンドの他に、両ラインに存在する。これは、 rps16 3′の境界内で プロセスされていないaadA転写体か又は GUSコード領域内の上流に生じる転写の 開始のいづれかの結果であり得る。個々のmRNAについてのハイブリダイゼーショ ンシグナルの強度を Ambisオートラジオグラフィースキャナーを用いて定量化し 、そしてその結果は、 GUSシグナルが組合されたaadAシグナルよりも約5倍高く 、そしてpsbAシグナルよりも5倍低いことを示す。 T7 GUS転写体がトランスジェニックプラスチドにおいて翻訳されていることを 示すために、β−グルクロニダーゼ特異的活性を種々の組織において測定した。 GUSアッセイは、Jefferson et al.(EMBO J.,(1987)6:3901-3907)により記載 しているようにして行なわれた。4276/4026-3クローンからの種々の組織におけ るそれらのアッセイの結果は下記表2に示される。 上記結果は、 GUS活性がすべての組織において発現され、そして葉及び花弁に おいて最高であることを示す。さらに、 GUS活性はXanthiバックグラウンドにお いては観察されないので、発現はT7 RNAポリメラーゼの存在に依存する。葉、茎 及び花弁に示される活性を比較すれば、成長する種子組織における GUS活性は、 4276/Xanthi組織について観察されるバックグラウンドレベルに接近している。 根組織に見られる活性はまた低いが、しかし十分にバックグラウンド以上である 。 GUS活性をまた、第2の4276/4026-3クローンの葉及び根組織においてもアッ セイした。第1のクローンにおいて観察されるのと同じ、それらの2種の組織に おける発現のレベル間の関係が、第2クローンの葉及び根組織において見られる 。 葉組織に観察されるGUS mRNA蓄積及びβ−グルクロニダーゼ活性 のレベルは、psbA 5′-GUS- pshA 3′プラスチドトランス遺伝子(Staub and Mal iga(1993)EMBO J.12:601-606)を有するタバコについてこれまでに記載され たレベルに匹敵する。それらの結果の比較によれば、上記タバコ植物におけるβ −グルクロニダーゼのレベルは、それらの植物における全体の可溶性タンパク質 の約 1.5〜2%であると見積られる。さらに、ファージmRNAリーダーによる翻訳 刺激のレベルは、psbAリーダー、すなわち十分に照らされた葉組織のために最適 であることが示された条件下で psbA mRNAリーダーのレベルに類似すると思われ る(Staub and Maliga,前記)。従って、4026-3トランスジェニックの植物にお いて測定されるT7 RNAポリメラーゼ活性の比較的低いレベルに関してさえ、プラ スチドT7−トランス遺伝子から生成されるmRNAのレベルはpsbAプロモーターか ら生成されるそのレベルと同じほど高く、ここで前記プロモーターは、最強の内 因性プラスチドプロモーターの1つであることが報告されている(Rapp et al.( 1992)J.Biol.Chem.267:21404-21411)。 根及び成長する種子組織における低い活性レベルは、それらの組織における細 胞当たりの低められたプラスチドゲノムコピー数により一部説明され得る。さら に、プラスチド発現構造体におけるpsbA 3′領域は、光合成的に活性的なクロロ プラストの光誘発された成長の間、mRNA蓄積において6倍の低下を付与すること が報告されている(Deng et al.(1988)EMBO J.7:3301-3308)。種々の組織にお ける核−コードされたT7 RNAポリメラーゼの異なった発現レベルはまた、観察さ れるβ−グルクロニダーゼレベルにおける1つの要因である。T7ポリメラーゼ の発現を誘導するCaMV 35Sプロモーターは、上記種子サンプルが分析された段階 である、後期の成長する種子においてよりも葉及び根において高い活性を有する ことが報告 されている。 若くない根及び種子組織に比較して、花冠の上方の拡張する部分におけるβ− グルクロニダーゼ蓄積(後−萄形成)は、葉に見出されるその蓄積に近い。プラ スチドリボソーム又はプラスチド特異的翻訳活性のいづれも、葉組織に比較して ピーマン果実及びヒマワリ花弁の十分に成熟したクロロプラストに検出され得な いことが報告されている(Kuntz et al.(1989)Mol.Gen.Genet.216:156-163) 。従って、翻訳器官はクロロプラストにおいて低レベルに減じられ得るけれども 、我々は、花弁におけるT7/GUS 構造体からの高レベルの発現を検出できるが、 但しそのレベルは葉に見られるレベルよりも4〜5倍低い。あるプラスミド遺伝 子、特にpsbAのためのmRNAは、ピーマン果実及びヒマワリ花弁(33)並びにトマ ト果実の十分に成熟したクロロプラストにおいて少なくとも4〜5倍低下するこ とが示されている。さらに、花弁組織におけるトランス−活性化T7 RNAポリメラ ーゼの低レベルは、花冠の拡張する部分における35Sプロモーターの減じられた 活性により説明され得る。従って、葉における値に比較して低レベルの GUS活性 は、psbA 3′により引き起こされる異なったmRNA蓄積、及び/又は転写又は翻訳 活性の低下の結果でありえる。例7 遺伝の研究 GUSレポーター遺伝子が母親側から受け継がれた特徴として挙動することを示 すために、いくつかの交雑を行なった。試験及び自家交雑に由来する種子を発芽 せしめ、そして組織化学的な基質X-glucにより染色することによってβ−グルク ロニダーゼ活性についてその実生を評価した。4026-3/4276についての自家交雑 は、核コードされたポリメラーゼがホモ接合性であるので、予測されるように、 129個の陽性をもたらし、そして陽性は存在しなかった。野生型核 /4276プラスチド(雌)×4026-3核(ホモ接合性)/Xanthiプラスミド(雄)交 雑は、 192個の陽性をもたらし、そして陰性はもたらさず、ところが相反交雑に 関しては、 119個の実生において陽性は存在しなかった。ホモ接合性4026-3/42 76(雌)と野生型“Xanthi”(雄)との間の交雑は、そのホモ接合性におけるT 7ポリメラーゼ用量効果を包含する母親からの実生よりもわずかに薄い青色の表 現型を有する、試験された 135個の実生のうち 135個の実生をもたらした。相反 交雑は、試験された 143個の実生に関して陽性を生成しなかった。それらのデー タは、レポーター遺伝子がすべての交雑において母親から受け継がれ、そしてプ ラスミド標的化T7 RNAポリメラーゼをコードする活性遺伝子の性的伝達により都 合良く活性化され得ることを確証する。 本明細書に言及されるすべての出版物及び特許出願は当業者の熟練のレベルの 示しである。すべての出版物及び特許出願は、それぞれ個々の出版物又は特許出 願が引例により特別且つ個々に組込まれているのと同じ程度に引用により本明細 書に組込まれる。 前述の発明は例示的且つ例的にいくらか詳細に記載されたけれども、一定の変 更及び修飾が本発明の範囲内で行なわれ得ることは明らかであろう。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.植物細胞におけるウィルス性単一サブユニット RNAポリメラーゼの発現の ための核発現構造体であって、 転写の5′から3′方向に次の操作可能的に連結された成分: 植物細胞核において機能的なプロモーター、前記ウィルス性 RNAポリメラーゼ を植物プラスチドオルガネラ中に運ぶことができるトランジットペプチドのため のコード配列、前記ウィルス性 RNAポリメラーゼのためのコード配列及び植物細 胞核において機能的な転写終結領域を含んで成り、ここで前記トランジットペプ チド及び RNAポリメラーゼコード配列が同じ翻訳読み取り枠に存在することを特 徴とする構造体。 2.前記ポリメラーゼが、コリファージT7 RNAポリメラーゼ、コリファージT3 RNAポリメラーゼ、サルモネラファージ SP6 RNAポリメラーゼ、プソイドモナス ファージgh-1 RNAポリメラーゼ、クレブシエラファージ K11 RNAポリメラーゼ、 シトロバクターファージViIII RNAポリメラーゼ、及びセラチアファージIV RNA ポリメラーゼから成る群から選択される請求の範囲第1項記載の構造体。 3.前記プロモーターが構成的な発現を提供する請求の範囲第1項記載の構造 体。 4.前記プロモーターが組織選択性又は発生的に調節された発現を提供する請 求の範囲第1項記載の構造体。 5.前記プロモーターが植物種子組織において選択的に発現される遺伝子から である請求の範囲第4項記載の構造体。 6.前記プロモーターが植物スターチ貯蔵器官において選択的に発現される遺 伝子からである請求の範囲第4項記載の構造体。 7.前記プロモーターが植物花組織において選択的に発現される 遺伝子からである請求の範囲第4項記載の構造体。 8.前記プロモーターが植物果実組織において選択的に発現される遺伝子から である請求の範囲第4項記載の構造体。 9.植物プラスチドオルガネラの形質転換及び形質転換されたプラスミドを含 んで成る植物細胞の選択のためのポリヌクレオチドであって、前記プラスチドの ゲノムに対して相同性の DNA領域、及びマーカー遺伝子を発現するプラスチドオ ルガネラを含んで成る植物細胞の選択のための前記マーカー遺伝子の発現のため の構造体の他に、 転写の5′から3′の配向に次の操作可能的に連結された成分:ウィルス性サ ブユニット RNAポリメラーゼ特異的プロモーター、対象の DNA配列及び前記プロ モーターからの転写を終結できる転写終結領域を含んで成るポリヌクレオチド。 10.前記プロモーター及び前記転写終結領域が同じウィルスゲノムからである 請求の範囲第9項記載のポリヌクレオチド。 11.前記プロモーターが、コリファージT7 RNAポリメラーゼ、コリファージT3 RNAポリメラーゼ、サルモネラファージSP6 RNAポリメラーゼ、プソイドモナス ファージgh-1 RNAポリメラーゼ、クレブシエラファージK11 RNAポリメラーゼ、 シトロバクターファージViIII RNAポリメラーゼ、及びセラチアファージIV RNA ポリメラーゼから成る群から選択されたウィルス性単一サブユニットポリメラー ゼに対して特異的である請求の範囲第9項記載のポリヌクレオチド。 12.前記対象の DNA配列が前記プラスチドオルガネラに生来のmRNAに対して相 補的な配列の転写のために向けられている請求の範囲第9項記載のポリヌクレオ チド。 13.前記対象の DNA配列がセンス配向でタンパク質コード配列の発現を提供す る請求の範囲第9項記載のポリヌクレオチド。 14.前記対象の DNA配列が2又はそれ以上の構造遺伝子の発現のためのオペロ ンを含んで成る請求の範囲第9項記載のポリヌクレオチド。 15.請求の範囲第1〜8のいづれか1項記載の核発現構造体を含んで成る植物 又は植物細胞。 16.請求の範囲第9〜14のいづれか1項記載のポリヌクレオチドを含んで成る 植物又は植物細胞。 17.請求の範囲第1〜8のいづれか1項記載の核発現構造体及び請求の範囲第 9〜14のいづれか1項記載のポリヌクレオチドを含んで成る植物細胞であって、 前記核発現構造体によりコードされる前記ウィルス性単一サブユニット RNAポリ メラーゼが前記ポリヌクレオチドの前記ウィルス性単一サブユニット RNAポリメ ラーゼ特異的プロモーターに対して特異的であることを特徴とする植物細胞。 18.植物プラスチドオルガネラに対象の DNA配列の転写を提供するための方法 であって、 次の細胞を含んで成る植物を成長せしめることを含んで成り、ここで前記植物 細胞中の核が、転写の5′から3′の方向に次の操作可能的に連結された成分: 前記核において機能的なプロモーター、プラスチドトランジットペプチドのた めのコード配列、ウィルス性単一サブユニット RNAポリメラーゼのためのコード 配列、及び前記核において機能的な転写終結領域を含んで成る DNA構造体を含ん で成り、ここで前記トランジットペプチドコード配列及び前記 RNAポリメラーゼ コード配列が同じ翻訳読み取り枠において存在し、そして 前記プラスチドオルガネラのゲノムが、転写の5′から3′の配向に次の操作 可能的に連結された成分:前記ウィルス性単一サブユニット RNAポリメラーゼに 対して特異的なプロモーター、前記対象 の DNA配列、及び転写終結領域を含んで成る DNA構造体を含んで成ることを特徴 とする方法。 19.前記ウィルス性単一サブユニット RNAポリメラーゼが、コリファージT7 R NAポリメラーゼ、コリファージT3 RNAポリメラーゼ、サルモネラファージSP6 RN Aポリメラーゼ、プソイドモナスファージgh-1 RNAポリメラーゼ、クレブシエラ ファージ K11 RNAポリメラーゼ、シトロバクターファージViIII RNAポリメラー ゼ、及びセラチアファージIV RNAポリメラーゼから成る群から選択される請求の 範囲第18項記載の方法。 20.前記核において機能的なプロモーターが、組織選択性又は発生的に調節さ れた発現を提供する請求の範囲第18項記載の方法。 21.前記核において機能的なプロモーターが、構成的な発現を提供する請求の 範囲第18項記載の方法。
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