【発明の詳細な説明】
ペルフルオロエーテル末端部分を有するキラル液晶化合物
発明の分野
本発明は、フッ素化されたキラルスメクティック(chiral smectic)液晶化合
物、このような化合物を製造する方法、及び液晶化合物混合物、並びにこのよう
な化合物を含む電気光学表示装置に関する。
発明の背景
液晶を用いる装置は、種々の電気光学用途において、特に、嵩張らず、エネル
ギー効率の良い電圧制御型ライトバルブ(voltage-controlled light valve)を
必要とするようなもの、例えば時計及び計算機のディスプレイ、並びにポータブ
ルコンピューター及びコンパクトテレビに見られるようなフラットパネルディス
プレイにおいての使用が見出されている。液晶ディスプレイは、低電圧及び低電
力で動作することを含む数々特徴を有し、この特徴は、液晶ディスプレイを、最
も将来有望な現在利用可能な非発光形電気光学ディスプレイの候補にならしめて
いる。しかしながら、遅い応答及び不十分な非線型性は、多くの潜在的な用途に
対して限界を与える。装置に設置しなければならない部品の数に比例して、速度
に対する要求が益々重要になるであろう。これは、あるタイプの液晶化合物の潜
在的な用途を制限する。
現在、最も広範に用いられている液晶ディスプレイのモードは、ねじれネマテ
ィック(twisted nematic:TN)、超ねじれ複屈折効果(supertwisted birefring
ence effect:SBE)、及び動的散乱(dy
namic scattering:DS)であり、これらは全てネマティック又はキラルネマティ
ック(コレステリック)液晶を用いる。これらの装置は、電界をの印加によるネ
マティック及び/又はキラルネマティック液晶(又はネマティック若しくはキラ
ルネマティック液晶の混合物)の誘電配列効果(フレデリクス効果(Freederick
sz effect))に基礎をおくものである。液晶材料の平均分子長軸は、印加電場
中での好ましい配向を決め、その配向は、材料又は混合物の誘電異方性の符号に
依存し、そしてこの配向は、印加電場の除去により緩和する。この再配向及び緩
和は、数ミリ秒程度の遅いものである。
ネマティック及びキラルネマティック液晶は最も広範に使用されているが、よ
り高度に配向したスメクチック液晶を用いる液晶装置が存在する。例えば、Cros
sland等による米国特許第4,411,494号、同第4,419,664号及び同第4,528,562号並
びにF.J.KahnによるAppl.Phys.Lett.22,111(1973)に記載されているよう
に、スメクチックA中間相を有する物質は、装置に応用することにおいて有用で
ある。これらの装置は、液晶化合物の誘電再配向に基礎をおくものであり、その
応答時間はミリ秒程度である。
キラルスメクチックA中間相を示す混合物も、Lagerwall等によるlst Interna
tional Symposium On Ferroelectric Liquid Cryatals,Bordeaux-Arcachon,Fr
ance,1987に記載されているように、装置に応用することにおいて有用である。
これらの混合物は、ソフトモード強誘電性効果と称されている電気光学効果を示
し、サブマイクロ秒スイッチングを達成することができる。
スメクティックC中間相を有する材料は、Pelzl等によるKristall Technik.1 4
,817(1979)、Mol.Cryst.Liq.Cryst.53,167(1979)、及びLiquid Crystals
2,21,131(1987)に記載されているように、装置に応用することにおいて有用
である。これらの装置
は、液晶の誘電再配向に基礎をおくものであり、その応答時間は遅い。
液晶技術分野における最近の発展は、上記したいずれの装置においても不可能
であったマイクロ秒のスイッチング及び双安定動作を与える強誘電性液晶とも称
されているティルトキラルスメクティック液晶(tilted chiral smectic liquid
crystal)の装置への利用である。強誘電性液晶は、R.B.Meyer等により発見
された(J.Physique 36,1-69(1975))。高速光学的スイッチング現象は、N
.A.Clark等により強誘電性液晶において発見された(Appl.Phys.Lett.36,
899(1980)及び米国特許第4,367,924号)。
フッ素含有強誘電性液晶材料は最近開発された。米国特許第4,886,619号(Jan
ulis)は、フルオロカーボン末端部分及びキラルの炭化水素部分を含んで成り、
前記末端部分が中心コアにより連結されているフッ素含有キラルスメクティック
液晶化合物を開示している。米国特許第5,082,587号(Janulis)は、フルオロカ
ーボン末端部分及び炭化水素又は他のフルオロカーボン末端部分を含んでなり、
前記末端部分が中心コアにより連結されているアキラルのフッ素含有液晶化合物
を開示している。米国特許第5,262,082号(Janulis等)には、少なくとも1個の
カテナリーのエーテル酸素を有する脂肪族フルオロカーボン末端部分及び脂肪族
炭化水素末端部分を含んでなり、前記末端部分が中心コアにより連結されている
アキラルフッ素含有液晶化合物が記載されている。
国際公開第WO88/03530号(Merck)及び国際公開第WO91/00897号(Merck)は、
強誘電性キラルティルトスメクティック液晶相の成分として使用してよいキラル
又はアキラル環状化合物を開示している。
米国特許第5,051,527号(Suzuki等)には、光学活性なフルオロ
アルキル基を有する新規の強誘電性液晶化合物が開示されている。
強誘電性液晶の高速スイッチングは、多くの用途、例えば、ライトバルブ、デ
ィスプレイ、プリンターヘッド等に利用することができる。マイクロ秒のスイッ
チング速度に加え、幾つかの強誘電性液晶装置の外面的形態(geometry)が、双
安定なしきい値感受性スイッチング(threshold-sensitive switching)を示す
ことは、それらを図及び絵入りの情報の受光形ディスプレイ、並びに光学的加工
用の多くの部品を含むマトリクスアドレス形装置(matorix-addressed devices
)の候補にならしめている。
発明の要約
簡単に述べると、一態様において、本発明は、スメクティック中間相又は潜在
的スメクティック中間相を有するフッ素含有キラル液晶化合物を提供する(潜在
的スメクティック中間相を有する化合物は、それ自体ではスメクティック中間相
を示さないが、スメクティック中間相を有する化合物又は潜在的スメクティック
中間相を有する他の化合物と混合された場合に、適切な条件下でスメクティック
中間相になるようなものである)。本発明のキラル液晶化合物は、(a)カテナ
リーの、すなわち鎖内にあるエーテル酸素原子を少なくとも2個含有する脂肪族
フルオロカーボン末端部分;(b)キラル脂肪族炭化水素末端部分;及び(c)
前記末端部分を連結している中心コアを含んでなる。前記脂肪族フルオロカーボ
ン末端部分は、下記式により表される:
−D(CxF2xO)zCyF2y+1
上式中、xは、各CxF2xO基に対して独立に1〜約10の整数であり、yは1
〜約10の整数であり、zは2〜約10の整数であり、並びにDは、共有結合、
(上式中、r及びr’は独立に1〜約20の整数であり、sは各(CsH2sO)
に対して独立に1〜約10の整数であり、tは1〜約6の整数であり、及びpは
0〜約4の整数である)
及びこれらの組合せからなる群より選ばれたものである。前記フルオロカーボン
末端部分の(CxF2xO)zCyF2y+1基は、炭素に結合されている水素原子を少
量含有しうるが、完全にフッ素化されていることが好ましい。好ましくは、フル
オロカーボン末端部分は、下記式により表される直鎖基である:
−D(CxF2xO)zCyF2y+1
(上式中、xは、各CxF2xO基に対して独立に1〜約6の整数であり、yは1
〜約6の整数であり、及びzは2〜約6の整数である)。
一般に、本発明の化合物は、芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式、置換芳香族、置
換ヘテロ芳香族及び置換脂環式の環からなる群より独立に選ばれた少なくとも1
個又は2個の環を含んで成る中心コアを有し、前記環は、共有結合、又は−CO
O−、−COS−、−HC=N−、−CH=CH−、−C≡C−及び−COSe
−からなる群より選ばれた化学基により互いに連結されている。前記環は縮合環
又は非縮合環であることができる。ヘテロ芳香環中のヘテロ原子は、窒素、酸素
及び硫黄からなる群より選ばれた少なくとも1個の原子含んでなる。脂環式環中
の隣接していないメチレン基は、酸素原
子又は硫黄原子により置換されていてもよい。
本発明のキラル液晶化合物は、(ラセミ混合物の形態にある場合を除き)光学
活性であり、また、単独で、又は他のキラル若しくはアキラルな液晶化合物との
混合物で電気光学ディスプレイに有用である。本発明の化合物は、他の液晶化合
物、好ましくは、例えば米国特許第4,886,619号(Janulis)、同第5,082,587号
(Janulis)及び同第5,262,082号(Janulis等)に開示されている化合物のよう
にフッ素化された末端部分を有する化合物との混合物で使用された場合に、数々
の望ましい特性を有する。例えば、本発明の化合物は、このような好ましい液晶
化合物と混合された場合に、良好な相容性を示し、得られた混合物のスメクティ
ックC温度範囲に最低限の影響を与えるのみで、そしてスイッチング可能且つ双
安定な強誘電性混合物を提供する。
最も重要なことは、本発明のキラルフッ素含有化合物が、米国特許第5,262,08
2号(Janulis等)に記載されているアキラルフッ素含有液晶化合物との混合物で
使用された場合に、同様なアキラル化合物とキラル炭化水素液晶化合物との混合
物よりも高いメモリ対ティルト角比(memory to tilt angle ratio)を示す。こ
のことは、高いメモリ対ティルト角比が、高コントラスト強誘電性液晶装置にと
って必須であるために重要である(すなわち、メモリ対ティルト角比は、理想的
には、液晶表示装置が最適なコントラスト比を有するようなものであるべきであ
る)(例えば、A.Mochizuki等によるSPIA 1665,108-09(1992)、及びヨーロ
ッパ特許出願公開第0 548 548 A1(キャノン株式会社)の論考を参照されたい)
。
本発明のフッ素含有液晶化合物は、また、水、弱酸、及び弱塩基に対する良好
な化学的安定性を有し、液晶表示装置において通常使用時に分解せず、そして光
化学的に安定、すなわち容易に光化学反
応しない。これらの化合物の多くは、脂肪族フルオロカーボン末端部分のために
、それらのフッ素を含有しない類似体よりも高いスメクトゲン性(smectogenic
properties)及び低い複屈折性を有する。これらの化合物及びこれらを含有する
混合物は、種々の電気光学ディスプレイに有用である。特に、これらのフッ素化
された材料の多くは、スメクティック中間相を示し、そして、ネマティック;キ
ラルネマティック、すなわちコレステリック;スメクティックA(SmA);ス
メクティックC(SmC);キラルスメクティックA(SmA*);及びキラル
スメクティックC(SmC*)混合物の配合において有用である。
他の態様において、本発明は、本発明の液晶化合物を少なくとも1種含んでな
る液晶化合物の混合物、本発明の液晶化合物を少なくとも1種含んでなる液晶表
示装置、及び本発明の液晶化合物を製造する方法も提供する。
発明の詳細な説明
本発明の液晶化合物は、下記式Iにより表される:
上式中、M、N及びPは、各々独立に、
からなる群より選ばれ;
a、b及びcは各々独立に0又は1〜3の整数であり、ただしa+b+cの合計
が少なくとも1であることを条件とし;
各A及びBは、独立に、共有結合、
−(CH2CH2)k−(式中、kは1〜4である)、
−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、−CH2−O−、
各X、Y及びZは、独立に、−H、−Cl、−F、−Br、−I、
−OH、−OCH3、−CH3、−CF3、−OCF3、−CN、及び−NO2から
なる群より選ばれ;
各l、m及びnは、独立に、0又は1〜4の整数であり;
Dは、共有結合、
(上式中、r及びr’は独立に1〜約20の整数であり、sは各(CsH2sO)
に対して独立に1〜約10の整数であり、tは1〜約6の整数であり、及びpは
0〜約4の整数である)
及びこれらの組合せからなる群より選ばれ;
Rは、
[上式中、R’は、独立に、−Cl、−F、−CF3、−NO2
(上式中、q’は、各(Cq'H2q'−O)に対して独立に1〜約20の整数であ
り、qは1〜約20の整数であり、wは0〜約10の整数であり、vは0〜約6
の整数であり、各v’は独立に0〜約6の整数であり、gは1〜約3の整数であ
り、g’は1〜約3の整数であり、各Dは独立に上記した群より選ばれる)
からなる群より選ばれる]
からなる群より選ばれ、且つRは直鎖又は枝分かれ鎖であり、但しRはキラルで
あることを条件とする;及び
Rfは、−(CxF2xO)zCyF2y+1(式中、xは、各(CxF2xO)に対して独
立に1〜約10の整数であり、yは1〜約10の整数であり、及びzは2〜約1
0の整数である)である。好ましくは、Rfは、好ましくは直鎖であり、xは、
各(CxF2xO)に対して独立に1〜約6の整数であり、yは1〜約6の整数で
あり、及びzは2〜約6の整数である。
本発明のキラル化合物の好ましい種類は、下記式により表される:
上式中、xは、各CxF2xOに対して独立に1〜約6の整数であり;yは1〜約
6の整数であり;及びzは2〜約4の整数であり;jは0又は1の整数であり;
及びR”は、(R’)v−CqH2q+1-v及び
(上式中、各qは独立に2〜約10の整数であり;各R′は、独立に、水素、フ
ッ素、塩素、メチル及びペルフルオロメチルからなる群より選ばれ;vは1〜約
4の整数であり;並びにCqH2q及びCqH2q+1は直鎖又は枝分かれ鎖であること
が可能である)
からなる群より選ばれる。
本発明の化合物の多くは、抑制されたネマティック中間相(suppressed nemat
ic mesophase)(すなわち、ネマティック中間相温度範囲が無いか又は非常に狭
い)及び強められたスメクティック中間相を示す。本発明の化合物と他の液晶材
料との混合物を配合し、所望の転移温度及び広い中間相温度範囲を与えることが
できる。このような混合物は、好ましくは、例えば米国特許第4,886,619号(Jan
ulis)、同第5,082,587号(Janulis)及び最も好ましくは同第5,262,082号(Jan
ulis等)に記載されている化合物のようにフッ
素化された末端部分を有する化合物を含有する。
他のキラル又はアキラル液晶化合物との混合物中において本発明の化合物は、
キラルスメクティック(強誘電性)液晶の性質を示す。更に、本発明の化合物は
、アキラルフルオロエーテル含有液晶化合物(例えば、米国特許第5,262,082号
(Janulis等)に記載されているようなもの)と混合された場合には、スメクテ
ィック層間配置の温度依存性は低い。この特性は、強誘電性液晶装置にとって理
想的な書棚形層状構造(bookshelf layer structure)の自発的発生を与える。
本発明の物質を液晶混合物の配合中に使用することの他の利点は、得ることが
可能な低い複屈折性である。本発明の液晶化合物の低い複屈折性は、素子厚さの
大きい装置の製造を可能にする。例えば、(米国特許第4,367,924号に記載され
ているような)2つの偏光子を有する表面安定化された強誘電体素子を通しての
透過光は、下記式:
I=I0(sin2(4θ))(sin2(πΔnd/λ))
(上式中、I0は、平行偏光子を通しての透過;
θは、物質のティルト角;
Δnは、液晶の複屈折率;
dは、素子厚さ;
λは、用いた光の波長である)
により表される。
透過を最大にするためには、sin2(4θ)及びsin2(πΔnd/λ)は共
に最大でなければならない。これは、各項が1に等しくなるときに起こる。第1
項は、ティルト角が22.5°に等しくなるときに最大になる。これは、液晶の
関数であり、且つ与えられた温度において与えられた物質に対しては定数である
。第2項は、
Δnd=λ/2のときに最大である。このことは、本発明の物質の低い複屈折性
の臨界を表す。低い複屈折性は、与えられた光の波長に対してより厚い素子厚さ
dを可能にする。従って、透過率を最大にしたままで厚い素子厚さが可能であり
、装置の構成をより容易にすることが可能である。
本発明のフッ素含有液晶化合物は、以下の工程を含んでなる方法により製造さ
れる:
(1)式:
により表される少なくとも1種の化合物と、式:
により表される少なくとも1種の化合物とを混合するか、又は(2)式:
により表される少なくとも1種の化合物と、下記式により表される化合物とを混
合する工程:
上式中、M、N及びPは、各々独立に、
からなる群より選ばれ;
a、b及びcは各々独立に0又は1〜3の整数であり、ただしa+b+cの合計
が少なくとも1であることを条件とし;
各A及びBは、独立に、共有結合、
−(CH2CH2)k−(式中、kは1〜4である)、
−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、−CH2−O−、
各A’、A”、B’及びB”は、独立に、−OH、−COOH、
−CH(CH2OH)2、−SH、−SeH、−TeH、−NH2、−COCl、
−CHO、−OSO2Rf’、−OSO2CH3、−OSO2−シクロ(C6H4)−
CH3及び−CH2COOH(上式中、Rf’は、1〜約10個の炭素原子を有す
るペルフルオロアルキル基である)
からなる群より選ばれ、但し、A’はA”とのカップリング反応に加わることが
でき、及びB’はB”とのカップリング反応に加わることができることを条件と
し;
各X、Y及びZは、独立に、−H、−Cl、−F、−Br、−I、−OH、−O
CH3、−CH3、−CF3、−OCF3、−CN、及び−NO2からなる群より選
ばれ;
各l、m及びnは、独立に、0又は1〜4の整数であり;
Dは、共有結合、
(上式中、r及びr’は独立に1〜約20の整数であり、sは各(CsH2sO)
に対して独立に1〜約10の整数であり、tは1〜約6の整数であり、及びpは
0〜約4の整数である)
及びこれらの組合せからなる群より選ばれ;
Rは、
[上式中、R’は、独立に、−Cl、−F、−CF3、−NO2、
(上式中、q’は、各(Cq'H2q'−O)に対して独立に1〜約20の整数であ
り、qは1〜約20の整数であり、wは0〜約10の整数であり、vは0〜約6
の整数であり、各v’は独立に0〜約6の整数であり、gは1〜約3の整数であ
り、g’は1〜約3の整数であり、各Dは独立に上記した群より選ばれる)
からなる群より選ばれる]
からなる群より選ばれ、且つRは直鎖又は枝分かれ鎖であることができ、但しR
はキラルであることを条件とし;及び
Rfは、−(CxF2xO)zCyF2y+1(式中、xは、各CxF2xOに対して独立に
1〜約10の整数であり、yは1〜約10の整数であり、及びzは2〜約10の
整数である)である(好ましくは、Rfは、好ましくは直鎖であり、xは、各(
CxF2xO)に対して独立に1〜約6の整数であり、yは1〜約6の整数であり
、及びzは2〜約6の整数である);次いで
任意に、適切なカップリング剤、すなわちカップリングをもたらす試薬の存在
中で、前記A’とA”とを反応させるか、又はB’とB”とを反応させる工程。
本発明の目的及び利点は、以下の実施例により更に説明されるが、これらの実
施例中に挙げた特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明
を著しく限定するものであると理解されるべきではない。
以下の実施例において、他に記載がないかぎり、全ての温度は摂氏温度で表示
されており、また、全ての部数は重量部で表示されている。市販入手可能な材料
は、当業者に公知の反応過程により化学変換されたものであり、これらは実施例
中に詳述されている。化学変換は、フッ素含有反応体及びフッ素非含有反応体を
用いての、アシル化、エステル化、エーテル化、アルキル化及びこれらの組合せ
によって前駆体化合物を得、次いでこれらを互いに反応させ、本発明のキラルな
フッ素含有液晶化合物を得ることからなる。
本発明の種々の実施例において調製された化合物は、それらの融点又は沸点に
より特徴付け、次の分析方法の少なくとも1種を用いて構造を確認した:クロマ
トグラフィー;13C−、1H−及び19F−NMR;並びに赤外分光法及び質量分
析法。
実施例で使用した5−アルキル−2−(4−ヒドロキシフェニル)ピリミジン
は、Zaschke,H及びStolle,R.による“Synthese nie
1-2-[4-n-alkanoyloxy-phenyl]pyrimidine”,Z.Chem.15,441-43(1975)に
記載されている。
実施例
実施例1〜17は、本発明の液晶化合物を製造する方法を記載し
ている。各化合物の化学構造は、表1に示されている。実施例1
5−((S)−2−クロロ−4−メチル−ペンタノイルオキシ)−2−(4−(
1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ)フェニル
)ピリミジン(表1の化合物1)の調製
メタノール(82.5ml、0.36モル)中のナトリウムメトキシドの25重
量%溶液を、2−ベンジルオキシトリメチニウムパークロレート(30g、0.
09モル)(A.Holy及びZ.ArnoldによるCollection Czechoslov.Chem.Commu
n.38,1372(1973)に記載されている方法により調製)、p−ヒドロキシベン
ズアミジン塩酸塩(15.6g、0.09モル)及び500mlのエタノールの溶
液に添加した。得られた混合物を加熱し、一晩還流させ、次いで室温に冷却した
。冷却した混合物に、氷酢酸(75ml)及び300mlの水を添加し、この結果と
して生成物が沈殿した。生成物を濾過により採集し、水で洗浄し、次いで空気乾
燥させ、23.06gの5−ベンジルオキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)
ピリミジンを得た。
水素化ナトリウム(1.7g)を、150mlのN,N−ジメチルホルムアミド
(DMF)中の5−ベンジルオキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)ピリミジ
ン(18g、0.0647モル)の溶液に注意して添加した。得られた溶液を1
5分間攪拌した。次いで1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシエトキ
シ)エトキシ=トリフルオロメタンスルホネート(36.5g、0.0647モ
ル)(基本的に下記実施例4におけるように調製)を添加し、得られた混合物を
95℃で1時間加熱した。室温に冷却する際に、同体積の水を冷却した混合物に
添加した。固形物が沈殿し、これを濾過により採集した。次いで、固形物を沸騰
しているメタノール中で
スラリー化させ、室温に冷却し、次いで再び濾過により採集した。採集した固形
物を、60psi(3100tor r)の水素圧力下、テトラヒドロフラン中で触媒の
炭素上の10%パラジウムを用いてParr(商標)ハイドロジェネイターによ
り約18時間を要して水素化させた。水素化が完了した後に、触媒を濾過により
除去し、次いでロータリーエバポレーターにより溶剤を除去し、25.62gの
5−ヒドロキシ−2−(4−(1,1−ジヒドペルフルオロ−2−(ブトキシエ
トキシ)エトキシ)フェニル)ピリミジンを得た。
塩化オキサリル(1ml、CH2Cl2中の2M溶液)を、5mlの塩化メチレン中
の2−(S)−クロロ−4−メチルペンタン酸(0.27g、1.83ミリモル
)の溶液に添加した。得られた溶液にDMF1滴を添加すると、泡立ちが観測さ
れた。得られた混合物を室温で1時間攪拌し、次いでロータリーエバポレーター
により減圧下で揮発性物質を除去した。残渣混合物を含むフラスコを乾燥窒素で
再加圧し、次いで発生した酸塩化物を5mlの塩化メチレン中に溶解させた。次い
で、この溶液を、5mlの塩化メチレン中の5−ヒドロキシ−2−(4−(1,1
−ジヒドロペルフルオロ−2−(エトキシ)エトキシ)フェニル)ピリミジン(
1g、1.66ミリモル)とピリジン(0.2ml、2.49ミリモル)との溶液
に直接添加した。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、シリカゲル(
5g)を混合物に添加し、ロータリーエバポレーターにより溶剤を除去した。次
いで、シリカゲル上に吸着した生成物を50gのシリカゲル床の上部に移した。
20体積部のヘキサンと1体積部の酢酸エチルとの混合物を用いて生成物を溶出
した。得られた白色固形物をメタノールから再結晶化させ、0.4gの化合物1
(表1)を得た。実施例2
5−(2−(S)−クロロプロパノイルオキシ)−2−(4−(1,1−ジヒド
ロペルフルオロ−2−(ヘキシルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル)ピリミ
ジン(表1の化合物2)の調製
この化合物を、基本的に実施例1におけるように2−(S)−クロロプロピオ
ン酸及び5−ヒドロキシ−2−(4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(
ヘキシルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル)ピリミジン(米国特許第5,262,
082号の実施例3に記載の前駆体アルコールの調製においてメチル=ペルフルオ
ロ−2−(ブトキシエトキシ)アセテートの代わりにメチル=ペルフルオロ−2
−(ヘキシルオキシエトキシ)アセテートを用いたことを除き、基本的に実施例
1(実施例4を参照)におけるように調製)から調製した。実施例3
5−(2−(S)−クロロプロパノイルオキシ)−2−(4−(1,1−ジヒド
ロペルフルオロ−4−(4−ブトキシブトキシ)ブトキシ)フェニル)ピリミジ
ン(表1の化合物3)の調製
この化合物を、基本的に実施例1におけるように2−(S)−クロロプロピオ
ン酸及び5−ヒドロキシ−2−(4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−4−(
4−ブトキシブトキシ)ブトキシ)フェニル)ピリミジン(米国特許第5,262,08
2号の実施例3に記載の前駆体アルコールの調製においてメチル=ペルフルオロ
−2−(ブトキシエトキシ)アセテートの代わりにメチル=ペルフルオロ−2−
(ブトキシブトキシ)ブチレートを用いたことを除き、基本的に実施例1(実施
例4を参照)におけるように調製)から調製した。実施例4
6−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ)−
2−(2−(S)−クロロプロパノイルオキシ)ナ
フタレン(表1の化合物4)の調製
ドライアイス(−78℃)フィンガーコンデンサー、温度計、ガス添加用ディ
ップチューブ及びオーバーヘッド攪拌機を備えたフラスコ内で、650gの1,
1−ジヒドロペルフルオロブトキシエトキシエタノール(米国特許第5,262,082
号(Janulis等)の実施例3におけるように調製)と204gのトリエチルアミ
ンとを混合した。この系を乾燥窒素でパージし、僅かに正の窒素加圧下に保った
。よく攪拌しながら、フラスコを−14℃に冷却した。次いで、窒素を排除し、
91重量%のトリフルオロメタンスルホニルフリオリドのガス345gをフラス
コ内に導入した。2時間反応させ、次いで360mlの水をフラスコに添加した。
得られた粗生成物を360mlの3.5重量%HCl及び360mlの水で洗浄し、
872gの洗浄された粗生成物を得た。洗浄された生成物を61〜78℃(3.
5mmHg、3.5tor r)のヘッド温度で蒸留し、772gの1,1−ジヒドロペ
ルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ=トリフルオロメタンスルホネ
ート(収率92%)を得た。
6−ベンジルオキシ−2−ナフトール(2.5g、0.010モル)を、25
mlの乾燥ジメトキシエタン中に懸濁させた鉱油中の0.7gの60重量%水素化
ナトリウムに徐々に添加した。得られた溶液を室温で20分間攪拌した後に、溶
液を氷浴中で冷却した。次いで、1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキ
シエトキシ)エトキシ=トリフルオロメタンスルホネート(6.2g、0.01
1モル)を冷却した溶液に徐々に添加した。添加が完了した後に、氷浴を除去し
、得られた混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、減圧下で混合物から溶剤を除
去し、25mlの水及び25mlのジエチルエーテルを添加した。全ての固形物が溶
解した後に、得られた水性層及びエーテル層を分液し、水性層を25mlのジエチ
ルエーテルで
2回抽出した。エーテル層を組合せ、20mlの水で3回洗浄し、次いで無水硫酸
マグネシウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターにより溶剤を除去した。得
られた固形物をテトラヒドロフラン中に溶解させ、触媒の炭素上の10%パラジ
ウムの存在中で60psi(3100torr)で18時間を要して水素化させた。水
素化が完了した後に、濾過により触媒を除去し、次いでロータリーエバポレータ
ーにより溶剤を除去した。得られた固形物をヘキサンから再結晶化させ、2.5
gの6−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ
)−2−ヒドロキシナフタレンを得た。
次いで、基本的に実施例1に記載したエステル化法により2−(S)−クロロ
プロピオン酸及び6−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシエトキ
シ)エトキシ)−2−ヒドロキシナフタレンから化合物4を調製した。実施例5
5−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ)−
2−(4−(S)−2−クロロ−4−メチルペンタノイルオキシ)フェニル)ピ
リミジン(表1の化合物5)の調製
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(50ml)中の5−ベンジルオキシ
−2−(4−ヒドロキシフェニル)ピリミジン(5g、0.0180モル)(基
本的に実施例1におけるように調製)とイミダゾール(2.5g、0.0360
モル)の溶液に、2.7g(0.0180モル)のt−ブチルジメチルシリルク
ロリドを添加した。得られた混合物を室温で4週間攪拌した。次いで、攪拌した
混合物を100mlの希炭酸水素塩中に注入し、この結果として生成した固形物を
濾過により採集した。メタノールからの再結晶化後、固形物を触媒の炭素上の1
0%パラジウムの存在中で60psi(3100torr)で48時間を要して水素化
した。次いで、濾過によ
り触媒を除去し、ロータリーエバポレーターにより溶剤を除去し、2.4gの5
−ヒドロキシ−2−(4−(t−ブチルジメチルシロキシフェニル)ピリミジン
を得た。
2.4g(0.0079モル)の5−ヒドロキシ−2−(4−(t−ブチルジ
メチルシロキシフェニル)ピリミジンを15mlのDMF中に溶解させ、0.2g
の水素化ナトリウムで処理した。室温で5分間攪拌した後に、4.5g(0.0
079モル)の1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エト
キシ=トリフルオロメタンスルホネート(基本的に実施例4におけるように調製
)を処理した溶液に添加し、次いで得られた混合物を90℃で1時間加熱した。
室温に冷却した後に、混合物を50mlの水と共に分液漏斗に移し、次いでクロロ
ホルムの20mlのアリコートで抽出した。次いで、結果として生じたクロロホル
ム層を組合せ、水の20mlのアリコートで洗浄し、ロータリーエバポレーターに
より溶剤を除去した。得られた褐色油をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(
10:1のヘキサン:酢酸エチル)により、2.5gの5−(1,1−ジヒドロ
ペルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ)−2−(4−t−ブチルジ
メチルシロキシフェニル)ピリミジンを得た。
5−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ)
−2−(4−t−ブチルジメチルシロキシフェニル)ピリミジン(2g、0.0
03モル)を5mlのテトラヒドロフラン(THF)中に溶解させ、4.2mlの1
Mテトラブチルアンモニウムフルオリドで処理した。得られた混合物を室温で2
時間攪拌した後、10mlの希塩化アンモニウムを混合物に添加した。次いで混合
物をジエチルエーテルの5mlのアリコートで3回抽出し、そして得られたエーテ
ル層を組合せ、次いで水の5mlのアリコートで2回洗
浄した。ロータリーエバポレーターを使用して混合物からエーテルを除去し、鑞
質の白色固形物を得た。この固形物をシリカゲル上でクロマトグラフィー(溶離
液としてクロロホルム中の5体積%のメタノールを使用)により、1.09gの
5−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ)−
2−(4−ヒドロキシフェニル)ピリミジンを得た。
次いで、基本的に実施例1に記載したエステル化法によりS−2−クロロ−4
−メチルペンタン酸及び5−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシ
エトキシ)エトキシ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ピリミジンから化合物
5を調製した。実施例6
5−((S)−2−クロロプロポキシ)−2−(4−(1,1−ジヒドロペルフ
ルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)ピリミジン(表1の化
合物6)の調製
水素化ナトリウム(0.04g、1.7ミリモル)を、5mlのDMF及び5ml
のトルエン中の5−ヒドロキシ−2−(4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−
2−(ブトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)ピリミジン(0.41g、1.
7ミリモル)(基本的に実施例1(実施例4を参照)におけるように調製)の溶
液に添加した。得られた溶液を窒素雰囲気下で攪拌し、次いで1−p−トルエン
スルホノキシ−2−(S)−クロロプロパン(0.41g、1.7ミリモル)を
シリンジにより前記溶液に注入した。得られた混合物を100℃で1時間加熱し
、次いで室温に冷却した。次いで、混合物を50mlの水とともに分液漏斗内に装
入し、トルエンの10mlのアリコートで3回抽出した。得られたトルエン層を組
合せ、次いで水の10mlのアリコートで3回抽出した。次いで、洗浄したトルエ
ン層を減圧下で濃縮させた。得られた固形物をエタノールから再結晶
化させ、0.1gの化合物6(表1)を得た。実施例7
4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−(2−メトキシエトキシ)
エトキシ)エトキシ)−4−((S)−2−クロロプロパノイルオキシ)ビフェ
ニル(表1の化合物7)の調製
水素化ナトリウム(1.06g、油中60重量%)を、DMF(100ml)中
の4−4’−ビフェノール(6.6g、35.3ミリモル)の溶液に添加した。
得られた溶液を窒素雰囲気下で0.5時間攪拌し、次いで60℃に加熱した。次
いで、シリンジにより1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−(2−メトキ
シエトキシ)エトキシ)エトキシ=トリフルオロメタンスルホネート(9.4g
、17.7ミリモル)(米国特許第5,262,082号(Janulis等)の実施例3に記載
されている前駆体アルコールの調製においてメチル=ペルフルオロ−2−(ブト
キシエトキシ)アセテートの代わりにメチル=ペルフルオロ−2−(メトキシエ
トキシエトキシ)アセテートを用いたことを除き基本的に実施例1(実施例4を
参照)におけるように調製)を前記溶液に注入した。得られた混合物を70℃で
2時間攪拌し、次いで室温に冷却した。混合物を100mlの水で失活させ、次い
でジエチルエーテルの100mlのアリコートで3回抽出した。エーテル抽出液を
集め、乾燥させ(MgSO4を使用)、濾過し、次いで濃縮させた。次いで、得
られた生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、105〜107℃
の融点を有する白色固形物として6.5g(収率65%)の4’−(1,1−ジ
ヒドロペルフルオロ−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ
)−4−ヒドロキシビフェニルを得た。
基本的に実施例1に記載したエステル化法により(S)−2−クロロプロパン
酸及び4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−
(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)−4−ヒドロキシビフェ
ニルから化合物7を調製した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィーによ
り精製した。実施例8
4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキ
シ)−4−)(S)−2−クロロ−4−メチルペンタノイルオキシ)ビフェニル
(表1の化合物8)の調製
この化合物を、基本的に実施例7に記載したように(S)−2−クロロ−4−
メチルペンタン酸(基本的にT.Sierra等によるJ.Am.Chem.Soc.114,7645(1
992)に記載されている方法により調製)及び4’−(1,1−ジヒドロペルフル
オロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)−4−ヒドロキシビフェニル(
基本的に実施例7及び1におけるように調製)から調製した。実施例9
4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキ
シ)−4−((S)−2−クロロプロパノイルオキシ)ビフェニル(表1の化合
物9)の調製
この化合物を、基本的に実施例7に記載したように(S)−2−クロロプロピ
オン酸及び4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキ
シ)エトキシ)−4−ヒドロキシビフェニル(基本的に実施例7及び1における
ように調製)から調製した。実施例10
4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキ
シ)−4−((S)−2−フルオロプロパノイルオキシ)ビフェニル(表1の化
合物10)の調製
この化合物を、基本的に実施例7に記載したように(S)−2−フルオロプロ
ピオン酸及び4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ
−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)−4−ヒドロキシビフェニル(基本
的に実施例7及び1におけるように調製)から調製した。実施例11
4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキ
シ)−4−((S)−2−フルオロペンタノイルオキシ)ビフェニル(表1の化
合物11)の調製
この化合物を、基本的に実施例7に記載したように(S)−2−フルオロペン
タン酸及び4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキ
シ)エトキシ)−4−ヒドロキシビフェニル(基本的に実施例7及び1における
ように調製)から調製した。実施例12
4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキ
シ)−4−((S)−2−クロロプロポキシ)ビフェニル(表1の化合物12)
の調製
得られた生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製したことを除き、この
化合物を、基本的に実施例6に記載したように(S)一1−p−トルエンスルホ
ノキシ−2−クロロプロパン及び4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−
(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)−4−ヒドロキシビフェニル(基本的に実
施例7及び1におけるように調製)から調製した。実施例13
4’−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキ
シ)−4−((S,S)−2−クロロ−3−メチルペンタノイルオキシ)ビフェ
ニル(表1の化合物13)の調製
この化合物を、基本的に実施例7に記載したように(S,S)−2−クロロ−
3−メチルペンタン酸及び4’−(1,1−ジヒドロ
ペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)−4−ヒドロキシビフ
ェニル(基本的に実施例7及び1におけるように調製)から調製した。実施例14
4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ
)フェニル−(S)−4−メチルヘキシルオキシベンゾエート(表1の化合物1
4)の調製
960mgの4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキ
シ)エトキシ)フェノール(1.83ミリモル)(基本的に米国特許第5,262,08
2号(Janulis等)の実施例6におけるように調製)を秤量し、ガラス瓶に入れ、
次いで5mlのジクロロメタン及び2ml(約1.5g)のトリエチルアミン中に溶
解させた。1g当量、432mgの4−(S)−4−メチルヘキシルオキシ安息香
酸を秤量し、25ml三つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下で10mlのジクロロメ
タン中に溶解させ、0.23gの塩化オキサリルで処理し、次いでシリンジによ
りフラスコに注入した。得られた混合物を15分間攪拌し、次いで氷酢酸の滴下
添加により酸性にした水で処理し、次いで、再び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄
した。得られた有機相を硫酸マグネシウムにより乾燥させ、溶離液としてジクロ
ロメタンを使用し、シリカゲル(5g)の短いカラムを通じて濾過した。次いで
、ロータリーエバポレーターを使用し、減圧下で濾過した相から溶剤を除去し、
得られた生成物を−20℃においてエタノールから数回再結晶化させ、1.00
gの化合物14(表1)を得た。実施例15
4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ
)フェニル−4−(4−((S)−2−メチルブトキ
シ)フェニル)ベンゾエート(表1の化合物15)の調製
4−(4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル)安息香酸(1.00g
)を秤量し、50mlフラスコ内に入れ、還流下15分間を要して5ml(約8.2
g)の塩化チオニルで処理した。過剰の塩化チオニルを蒸留し、塩化チオニルの
最後の痕跡を窒素気流中で加熱することにより除去し、粗酸塩化物を得た。4−
(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)フ
ェノール(1.94g、1.05g当量)(基本的に米国特許第5,262,082号(J
anulis等)の実施例6におけるように調製)を秤量し、ガラス瓶に入れ、25ml
のジクロロメタンで希釈し、10ml(約7.2g)のトリエチルアミンで処理し
た。得られた溶液を粗酸塩化物に添加し、次いでこの結果得られた混合物を15
分間静置した。混合物を、氷酢酸の滴下添加により酸性にした50mlの水で1回
洗浄し、次い50mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。得られた有機相
を硫酸マグネシウムにより乾燥させ、溶離液としてジクロロメタンを使用し、シ
リカゲル(10g)の短いカラムを通じて濾過した。濾過した相から溶剤を除去
し、得られた生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離液として
トルエンを使用)にかけ、エタノールから再結晶化させ、0.445gの化合物
15(表1)を得た。実施例16
4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ
)フェニル−4−((S)−2−クロロプロポキシ)ベンゾエート(表1の化合
物16)の調製4−((S)−2−クロロプロポキシ)安息香酸メチル
窒素雰囲気下、(S)−2−クロロ−1−プロパノール(アルドリッチ・ケミ
カル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.)、1.0
0g、10.6ミリモル)、4−ヒドロキシ安息香酸メチル(1.81g、1.
1g当量)、トリフェニルホスフィン(4.13g、1.5g当量)、及び25
mlのテトラヒドロフランを50ml三つ口フラスコに装入した。次いで、シリンジ
によりジエチルアゾジカルボキシレート(2.9g、1.6g当量)をフラスコ
に注入した。得られた溶液を3日間攪拌し、次いで250mlの水と25mlの酢酸
エチルとの混合物中に注入した。得られた混合物を振盪し、この結果として得ら
れた水性相及び有機相を分液し、水性相を25mlの酢酸エチルで1回以上抽出し
た。得られた有機相を組合せ、硫酸マグネシウムにより乾燥させ、濾過した。次
いで濾過した相から溶剤を除去し、得られた粗生成物をジクロロメタン中に溶解
させ、シリカゲルに通じた。減圧下での溶剤の除去の際に、反応副生成物が結晶
化し始めた。ガスクロマトグラフィー(GC)は、得られた上澄みが殆ど所望の
生成物であることを示し、このためシクロヘキサンから副生成物を再結晶化させ
、痕跡量の生成物を回収した。得られた上澄みを組合せ、溶離液としてシクロヘ
キサンを使用し、シリカゲルに通じ、減圧下で溶剤を除去し、部分的に精製され
た生成物を回収し、これは更に精製することなくして加水分解した。4−((S)−2−クロロプロポキシ)安息香酸
得られた粗4−((S)−2−クロロプロポキシ)安息香酸を25mlのジメチ
ルスルホキシド中に溶解させ、次いで25mlの水中の0.44g(約1.04g
)の水酸化ナトリウムで処理した。反応をGCにより監視し、1時間後、追加の
0.44gの固形水酸化ナトリウムを得られた混合物に添加した。45分後、混
合物のアリコートは、出発物質が存在しないことを示したために、この混合物を
50mlの0.1N塩酸に注入した。50mlの酢酸エチルにより得られた混合物か
ら有機物を抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾
過し、次いで減圧下で溶剤を除去し、粗生成物を得、これを−20℃において2
0mlのエタノールから再結晶化させた。生成物である酸を採集し、減圧下で乾燥
させた。4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ )フェニル−4−((S)−2−クロロプロポキシ)ベンゾエート
窒素雰囲気下、乾燥した生成物である酸を100mlフラスコに装入し、25ml
のジクロロメタン中に溶解させ、次いで3.7ml(5.2g)の塩化オキサリル
で処理した。10分間攪拌した後に、大気圧下でジクロロメタンを蒸留し、次い
で減圧下で過剰の塩化オキサリルを除去した。得られた酸塩化物を、5.8gの
4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ
)フェノール(基本的に米国特許第5,262,082号(Janulis等)の実施例6におけ
るように調製)(2−(S)−クロロプロパノールに基づき1.05g当量)、
7ml(約5.0g)のトリエチルアミン及び25mlのジクロロメタンの溶液中に
溶解させた。得られた混合物を15分間攪拌した後、混合物を100mlの水で洗
浄し、次いで100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。2回洗浄した混合
物を乾燥させた後、混合物を濾過し、溶剤及び過剰のトリエチルアミンを減圧下
で除去し、溶離液としてジクロロメタンを使用して残渣物質を5gのシリカゲル
に通じた。得られた生成物を、1回目は4℃において25mlのメタノールから、
2回目は−20℃において20mlのエタノールからの合計2回再結晶化させ、0
.262gの精製された化合物16(表1)を得た。実施例17
4−((S,S)−2,3−エポキシ)−ヘキシルオキシフェニル−4−(1,
1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエト
キシ)エトキシ)ベンゾエート(表1の化合物17)の調製
4−((S,S)−2,3−エポキシ)−ヘキシルオキシフェノール(ディス
プレイテック・ダブリュ・ピー46(Displaytech WP46)、1.00g、4.8
2ミリモル)を秤量し、磁気攪拌機、隔膜及び窒素雰囲気を備えた100mlフラ
スコに入れた。前記フェノールを25mlのジクロロメタン中に溶解させた。1g
当量の4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エ
トキシ)ベンゾイルクロリド(2.76g)((1,1−ジヒドロヘプタフルオ
ロ−2−エトキシエチルトリフレートの代わりに4−(1,1−ジヒドロペルフ
ルオロ−2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)トリフルオロメタンスルホネ
ートを用いたことを除き)基本的に上記実施例16の方法により酸塩化物に対応
する酸の転化によって基本的に米国特許第5,262,082号(Janulis等)の実施例1
1におけるように調製)を秤量し、ガラス瓶に入れ、5mlのジクロロメタン中に
溶解させた。2.0mlのトリエチルアミン(過剰、約3g当量)をエポキシフェ
ノールの溶液に添加し、次いで即座に酸塩化物溶液を添加した(両方の添加はシ
リンジにより行った)。20分後、得られた混合物を4分割した100mlの水で
洗浄し、引き続き100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで洗浄した
混合物を硫酸ナトリウムで一晩を要して乾燥させた。乾燥した混合物を濾過し、
減圧下で溶剤を除去し、次いで得られた粗生成物を、溶離液としてトルエンを用
い、中性シリカ上のクロマトグラフィーにより精製した。薄層クロマトグラフィ
ーにより生成物の存在が示された組合せた画分をトルエンから再結晶化させ、次
いで減圧下で乾燥させ、0.405gの化合物17(表1)を得た。
リンカム・ティー・エム・エイチ600ホット・ステージ(Linkam TMH600 hot
stage)及びザイス(Zeiss)偏光顕微鏡を使用して物質の相転移を観察すること
によって、表1の化合物の転移温度を調べた。転移温度(℃)は、等方的状態(
I)から冷却した際に得、これを表2に記載した。
実施例18及び19は本発明の液晶化合物及び液晶表示装置を説明する。実施例18
本発明のキラル化合物(化合物10)を使用する装置を以下のように組み立て
た。予め超音波洗浄したガラス基板(幅2.85cm、
長さ3.5cm、厚さ0.1cm)上にインジウムスズ酸化物(ITO)被覆(30
0ÅのITOコーティング)したものに、ギ酸中のナイロン6/6(アルドリッ
チ・ケミカル・カンパニー)の0.52重量%溶液の数滴を滴下した。基板を1
200rpmで40秒間回転させ、75℃で16時間を要して硬化させ、厚さ約4
00Åのコーティングを与えた。被覆されたプレートを、綿65%、レーヨン3
5%のビロード状の布帛(J.B.Matin Co.製、#5100 Matinee)がしっかりと
巻き付けられたパイル状の外面を有する115gのラビングバー(rubbing bar
)(直径2.5cm、長さ10cmのガラス棒)を用いて一方向においてラビングし
(20回)、基板上に配向した配列層を与えた。
高さ1.5μmのポリイミドスペーサー柱状物のパターンを有するもう一つの
ITO被覆(300ÅのITO被覆)されたガラス基板の超音波洗浄されたもの
の上に、ブチルアルコール中のポリメチルシロキサンの溶液(5.6%、Owens-
Illinois,Inc.から入手可能なGR-651L)の1.5重量%溶液の数滴を滴下した
。基板を8000rpmで20秒間回転させ、75℃で16時間を要して硬化させ
、厚さ約200〜300Åの配列コーティングを与えた。
紫外線硬化型接着剤(ノーランド(Norland)(商標)61光学接着剤、ノー
ランド・プロダクツ・インコーポレイティッド(Norland Products,Inc.))を
使用し、ITOにより構成された電極、及び装置を形成するよう内側に面した配
列層により基板を組み立てた。次いで、減圧下で毛管作用を利用してこの装置に
以下の液晶化合物の混合物を充填した。
表2において記載したのと基本的に同様に混合物の相転移温度を測定し、以下
の結果を得た。
IからSA 79.4℃
SAからSC 43.5℃
SCからM -10.2℃
表2において記載したのと基本的に同様にアキラルベース混合物(すなわち、
表2の最後に掲げた(キラル)化合物を含まない混合物)の相転移温度を測定し
、以下の結果を得た。
IからSA 85.5℃
SAからSC 51.0℃
SCからM -6.4℃
装置のITO構成電極を、可変出力電圧を有する任意の波形発生器に接続した
。装置を互いに直交する2枚の偏光子の間の回転台上に設置し、この偏光子/装
置の組合せを、平行な強度約1mWの白熱光源(直径5mm)とシリコン光検出器と
の間に配置することによって、光透過率を測定した。白熱光源の波長スペクトル
が450〜700nmに制限されるように白熱光源にフィルターをかけた。光検出
器からの出力をオシロスコープでモニターした。20V/μmの電界及び38.
5℃の温度で測定された装置のラッチング時間(latching time)は167マイ
クロ秒であった。同一の幅及び6.7V/μmの強度を有する一連の矩形パルス
により30ミリ秒間隔の開けられた強度20V/μmの二極性矩形波からなる電
圧波形で装置を駆動した。ラッチング時間は、2つの安定且つ飽和した多重メモ
リ状態を観測するのに必要な最小パルス幅であることがわかった。Jap.J.Appl
.Phys.22,661(1983)に記載されているのと基本的に同様な方法に従って、3
8.5℃において装置の偏光を測定した。
装置のメモリ対ティルト角比(φm/φt)は0.97であった。
装置を、強度20Vの30Hz矩形波で駆動させた。ティルト角φtは、駆動状
態の(extinction points)を分割する角度の半分であることがわかった。メモ
リ角φtを得るために、約30ミリ秒間隔の開けられた強度20V/μmの交流
二極性矩形パルスからなる電圧波形で装置を駆動させた。パルス幅を調節し、2
つの安定且つ飽和したメモリ状態を観測した。メモリ角は、2つのメモリ状態の
(extinction points)を分割する角度の半分であることがわかった。実施例19
基本的に実施例18におけるように装置を製造した。化合物10の代わりに化
合物5をキラル添加剤(chiral dopant)として使用したことを除き、実施例1
8に記載したのと同様な液晶混合物で装置を充填した。
混合物の相転移温度を、表2に関して上記したのと基本的に同様に測定した。
IからSA 76.3℃
SAからSC 35.6℃
SCからM -3.3℃
20V/μmの電界及び25.6℃の温度で実施例18におけるのと基本的に
同様に測定した装置のラッチング時間は130μ秒であった。装置の偏光を、実
施例18におけるのと基本的に同様に測定し、25.6℃において11.6nC/c
m2であることがわかった。メモリ対ティルト角比(φm/φt)を実施例18にお
けるのと基本的に同様に測定し、0.98であることがわかった。比較例
実施例18におけるのと基本的に同様に装置を製造した。化合物10の代わり
に2重量%の比較用化合物C1と1重量%の比較用化
合物C2(下記構造式で表される化合物)との混合物を用いたことを除き、実施
例18に記載したような液晶混合物で装置を充填した。
混合物の相転移温度を、表2に関して上記したのと基本的に同様に測定した。
IからSA 85.5℃
SAからSC 30.6℃
SCからM -6.4℃
20V/μmの電界及び20.6℃の温度で実施例18におけるのと基本的に
同様に測定した装置のラッチング時間は24.7μ秒であった。装置の偏光を、
実施例18におけるのと基本的に同様に測定し、20.6℃において17.1nC
/cm2であることがわかった。装置のメモリ対ティルト角比(φm/φt)を実施例
18におけるのと基本的に同様に測定し、0.84であることがわかった。この
データと実施例18及び19に関して上記したデータとを比較すると、本発明の
化合物をアキラルなフルオロエーテル含有液晶化合物との混合物で使用した場合
には、同じアキラル化合物とキラル炭化水素液晶化合物との混合物よりも高いメ
モリ対ティルト角比を示す混合物を与えるが示される。更に、この比較によって
、本発明の化合物は、このような化合物のスメクティックC温度範囲に僅か
に最小限の影響を及ぼす。
実施例20〜24は、本発明の液晶化合物を調製する方法を説明する。各化合
物の化学構造は表4に示されている。実施例20
5−((S)−2−フルオロデシルオキシ)−2−(4−(1,1−ジヒドロペ
ルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)ピリミジン(表4
の化合物18)の調製
2−(S)フルオロデカノール(800mg、4.5ミリモル;H.Nohira等に
よるMol.Cryst.Liq.Cryst.180B,379-88(1990)に記載されている方法によ
り調製可能)を、トルエンスルホニルクロリド(865mg、4.5ミリモル)、
エチルジイソプロピルアミン(1165mg、9ミリモル)及びジメチルアミノピ
リジン(27mg、0.22ミリモル)と塩化メチレン中で組合せた。得られた混
合物を室温で一晩攪拌した。得られた粗トシレート生成物を、10体積部のヘキ
サン及び1体積部の酢酸エチルとで溶出することによりシリカゲル上のフラッシ
ュクロマトグラフィーにより精製した。
磁気攪拌棒、コンデンサー及び窒素送込口を備えた三つ口フラスコに炭酸カリ
ウム(85mg、0.6ミリモル)及びアセトニトリル(20ml)を装入した。得
られた混合物に攪拌しながら5−ヒドロキシ−2−(4−(1,1−ジヒドロペ
ルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)ピリミジン(36
4mg、0.6ミリモル;基本的に上記実施例1におけるように調製)を徐々に添
加した。この混合物を室温で30分間攪拌した。次いで、1−p−トルエンスル
ホノキシ−2−(S)−フルオロデカン(200mg、0.6ミリモル)を攪拌し
た混合物に添加した。混合物を加熱し、一晩還流し、次いで水(約20ml)を含
む分液漏斗に注入した。生じた層を分液し、次いで水性相をジエチルエーテルで
抽出し、10
体積部のヘキサン及び1体積部の酢酸エチルで溶出することによりクロマトグラ
フィー(基本的に上記実施例1におけるのと同様)により精製した。所望の生成
物の収量は0.35gであった。生成物の構造は、1H及び19F核磁気共鳴分光
分析により確認した。実施例21
5−(1,1−ジヒドロペルフルオロ(2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ
))−2−(4−(ジヒドロ−5−(R)−オキシメチル−3−(R)−ヘキシ
ル−2(3H)−フラノン)フェニル)ピリミジン(表4の化合物19)の調製
5−ベンジルオキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)ピリジン(7.5g、
26.95ミリモル)を(R)−エピクロロヒドリン(9.97g、107.8
ミリモル)及びカリウムt−ブトキシド(t−ブタノール中の1M溶液29.6
ml)と組合せた。得られた混合物を60℃に加熱し、窒素雰囲気下で3時間加熱
した。次いで、混合物を飽和ブラインに注入し、クロロホルムの200mlのアリ
コートで抽出した。組合せたクロロホルム抽出液を水で洗浄し、次いで硫酸ナト
リウムで乾燥させた。減圧下で抽出液から溶剤を除去し、次いで得られた粗生成
物をアセトニトリルから再結晶化させ、エポキシドである5−ベンジルオキシ−
2−(4−(2−(R)−エポキシ)プロポキシ)フェニル)ピリジンを得た。
このエポキシド (5.9g、18.42ミリモル)をヘキシルマロネート(6
.36g、27.6ミリモル)及びt−ブタノール中のカリウムt−ブトキシド
(t−ブタノール中の1M溶液22.1ml)と組合せた。得られた混合物を加熱
し、2時間還流し、次いで冷却し、希塩酸によりpH1の酸性にした。混合物を濾
過し、水で洗浄し、次いでメタノールで洗浄し、空気乾燥させ、シス及びトラン
ス異性体の混合物として粗ジヒドロフラノンを得た。この混合物の一部を、ヘキ
サン
/クロロホルム/酢酸エチル(45:50:5)で溶出する分取高圧液体クロマ
トグラフィーにより分割し、シス体/トランス体比が93:7の画分(0.67
g)を得た。この画分(シス体が支配的)を3時間を要して基本的に実施例1に
おけるように水素化し、ベンジル保護基を脱保護させた。
水素化生成物である5−ヒドロキシ−2−(4−(ジヒドロ−5−(R)−オ
キシメチル−3−(R)−ヘキシル−2(3H)−フラノン)フェニル)ピリミ
ジン(0.44g、1.19ミリモル)を炭酸カリウム(0.20g、1.43
ミリモル)及び1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(ブトキシエトキシ)エチ
ルトリフルオロメタンスルホネート(0.74g、1.31ミリモル;基本的に
上記実施例4におけるように調製)と組合せ、次いで得られた混合物を1.5時
間還流した。冷却後、混合物に水(10ml)を添加し、次いで混合物を濾過した
。濾液を水で洗浄し、次いでメタノールで洗浄し、洗浄した濾液を空気乾燥させ
た。次いで、得られた粗生成物を、クロロホルムで溶出するシリカゲル上のカラ
ムクロマトグラフィーにより更に精製し、5−(1,1−ジヒドロペルフルオロ
(2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ))−2−(4−(ジヒドロ−5−(
R)−オキシメチル−3−(R)−ヘキシル−2(3H)−フラノン)フェニル
)ピリミジンを得た。所望の生成物の収量は0.57gであった。生成物の構造
は、 1H及び19F核磁気共鳴分光分析により確認した。実施例22
5−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−(6−(2−ブトキシエトキシ)ヘキシ
ルオキシ))−2−(4−(ジヒドロ−5−(R)−オキシメチル−3−(R)
−ヘキシル−2(3H)−フラノン)フェニル)ピリミジン(表4の化合物20
)の調製
基本的に実施例21の方法を用い、5−ヒドロキシ−2−(4−(ジヒドロ−
5−(R)−オキシメチル−3−(R)ヘキシル−2(3H)−フラノン)フェ
ニル)ピリミジン(0.70g、1.89ミリモル)を、アセトニトリル(20
ml)中の炭酸カリウム(0.31g、2.27ミリモル)及び1,1−ジヒドロ
ペルフルオロ−6−(ブトキシエトキシ)ヘキシル=ノナフルオロブタンスルホ
ネート(1.73g、1.89ミリモル)と組合せた[1,1−ジヒドロペルフ
ルオロ−6−(ブトキシエトキシ)ヘキシル=ノナフルオロブタンスルホネート
は、基本的に上記実施例4に記載した方法により、ノナフルオロブタンスルホニ
ルフルオリド(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第4版、
第11巻、第558〜564頁、John Wiley & Sons,New YorK(1994)中のP.M
.Savuにより記述された方法により調製可能)及び1,1−ジヒドロペルフルオ
ロ−2−(ブトキシエトキシ)ヘキサノール(米国特許第5,262,082号の実施例
3に記載されているのと基本的に同様に対応するメチルエステルの水素化ホウ素
ナトリウムによる還元により調製)から調製された]。得られた粗生成物を基本
的に実施例21におけるように単離及び精製し、シス体/トランス体比が90:
10のジヒドロフラノン異性体混合物1.10gを得た(1H核磁気共鳴分光分
析により確認した)。実施例23
5−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−(4−(4−ブトキシブトキシ)ブトキ
シ))−2−(4−(ジヒドロ−5−(R)−オキシメチル−3−(R)−ヘキ
シル−2(3H)−フラノン)フェニル)ピリミジン(表4化合物21)の調製
基本的に実施例21の方法を用いて、5−ヒドロキシ−2−(4−(ジヒドロ
−5−(R)−オキシメチル−3−(R)−ヘキシル
−2(3H)−フラノン)フェニル)ピリミジン(0.70g、1.89ミリモ
ル)を、アセトニトリル(20ml)中の炭酸カリウム(0.31g、2.27ミ
リモル)及び1,1−ジヒドロペルフルオロ−4−(ブトキシエトキシ)ブチル
=トリフルオロメタンスルホネート(1.73g、1.89ミリモル;基本的に
上記実施例4におけるように1,1−ジヒドロペルフルオロ−4−(4−ブトキ
シエトキシ)ブタノールから調製)と組合せた。得られた粗生成物を基本的に実
施例21におけるように単離及び精製し、シス体/トランス体比90:10のジ
ヒドロフラノン異性体混合物1.05gを得た(1H核磁気共鳴分光分析により
確認した)。実施例24
4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エ
トキシ)エトキシ)−4’−(ジヒドロ−5−(R)−オキシメチル−2(3H
)フラノン)ビフェニル(表4の化合物22)の調製
4−(1,1−ジヒドロペルフルオロ−2−(2−(2−メトキシエトキシ)
エトキシ)エトキシ)−4’−ビフェノール(2g、35ミリモル;基本的に上
記実施例7におけるように調製)及び(S)−(+)−ジヒドロ−5−(p−ト
リルスルホニルオキシメチル)−2(3H)−フラノン(1.0g、37ミリモ
ル;アルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.)から入手可
能)を乾燥アセトニトリル(20ml)中に溶解させた。炭酸カリウム(0.51
g、37ミリモル)を得られた混合物に添加し、スラリーとした。この混合物を
70〜85℃で5時間加熱し、次いで室温に冷却した。冷却した混合物に水(6
0ml)を添加した。得られた固形生成物を濾過により採集し、次いでメタノール
から再結晶化させ、0.53gの白色固形物を得た。生成物の構造は、1H及び19
F核磁気共鳴分光分析により確認した。
示差走査熱量測定法(DSC)及び/又はリンカム・ティー・エム・エイチ6
00ホット・ステージ(Linkam TMH600 hot stage)及び偏光顕微鏡を使用して
物質の相転移を観察することによって、実施例20〜24の化合物の転移温度を
測定した。冷却の際に、等方的状態(I)からスメクティックA中間相(SA)
へ、そしてより高秩序の中間相(M1及びM2)へ転移する転移温度を得、これ
らを下記表3に示した。
本発明の範囲及び精神から離れることなく本発明の様々な修飾及び変更が、当
業者により明らかになるであろう。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年12月4日
【補正内容】
1)請求の範囲(請求の範囲翻訳文第46頁〜第53頁)
請求の範囲
1.(a)少なくとも2個のカテナリーのエーテル酸素原子を含有する脂肪族
フルオロカーボン末端部分;(b)キラル脂肪族炭化水素末端部分;及び(c)
前記末端部分を連結している中心コア;を含んでなるスメクティック中間相又は
潜在的スメクティック中間相を有するフッ素含有キラル光学活性液晶化合物であ
って、前記脂肪族フルオロカーボン末端部分が下記式により表されるフッ素含有
キラル光学活性液晶化合物:
−D(CxF2xO)zCyF2y+1
上式中、xは、各CxF2xO基に対して独立に1〜約10の整数であり、yは1
〜約10の整数であり、zは2〜約10の整数であり、並びにDは、共有結合、
(上式中、r及びr’は独立に1〜約20の整数であり、sは各(CsH2sO)
に対して独立に1〜約10の整数であり、tは1〜約6の整数であり、及びpは
0〜約4の整数である)
及びこれらの組合せからなる群より選ばれたものである。
2.前記xが各CxF2xO基に対して独立に1〜約6の整数であ
り、前記yが1〜約6の整数であり、及び前記zが2〜約6の整数である請求項
1に記載の化合物。
3.下記式(I)により表される請求項1に記載のフッ素含有キラル液晶化合
物:
上式中、M、N及びPは、各々独立に、
からなる群より選ばれ;
a、b及びcは各々独立に0又は1〜3の整数であり、ただしa+b+cの合計
が少なくとも1であることを条件とし;
各A及びBは、独立に、共有結合、
−(CH2CH2)k−(式中、kは1〜4である)、
−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、−CH2−O−、
各X、及びZは、独立に、−Cl、−F、−Br、−I、−OH、−OCH3、
−CH3、−CF3、−OCF3、−CN、及び−NO2からなる群より選ばれ;
各l、m及びnは、独立に、0又は1〜4の整数であり;
Dは、共有結合、
(上式中、r及びr’は独立に1〜約20の整数であり、sは各(CsH2sO)
に対して独立に1〜約10の整数であり、tは1〜約6の整数であり、及びpは
0〜約4の整数である)
及びこれらの組合せからなる群より選ばれ;
Rは、
[上式中、R’は、独立に、−Cl、−F、−CF3、−NO2、
(上式中、q’は、各(Cq'H2q'−O)に対して独立に1〜約20の整数であ
り、qは1〜約20の整数であり、wは0〜約10の整数であり、vは0〜約6
の整数であり、各v’は独立に0〜約6の整数であり、gは1〜約3の整数であ
り、g’は1〜約3の整数であり、各Dは独立に上記した群より選ばれる)
からなる群より選ばれる]
からなる群より選ばれ、且つRは直鎖又は枝分かれ鎖であり、但しRはキラルで
あることを条件とし;及び
Rfは、−(CxF2xO)zCyF2y+1(式中、xは、各CxF2xOに対して独立に
1〜約10の整数であり、yは1〜約10の整数であり、及びzは2〜約10の
整数である)である。
4.前記Rfが直鎖であり、前記xが各CxF2xO基に対して独立に1〜約6の
整数であり、前記yが1〜約6の整数であり、及び前記zが2〜約6の整数であ
る請求項3に記載の化合物。
5.他のキラル又はアキラル液晶化合物との混合物として、前記混合物がラセ
ミ化合物でないことを条件に、請求項1に記載のフッ素含有液晶化合物を少なく
とも1種含んでなる液晶化合物の混合物。
6.フッ素化された末端部分を有する他の液晶化合物を少なくとも1種更に含
んでなる請求項5に記載の混合物。
7.請求項1に記載のフッ素含有液晶化合物を少なくとも1種のみ含んでなる
か、又は他のキラル若しくはアキラル液晶化合物との混合物として、前記混合物
がラセミ化合物でないことを条件に、請求項1に記載のフッ素含有液晶化合物を
少なくとも1種含んでなる液晶表示装置。
8.フッ素化された末端部分を有する他の液晶化合物を少なくとも1種更に含
んでなる請求項7に記載の装置。
9.以下の工程を含んで成る請求項3に記載のフッ素含有キラル液晶化合物を
製造する方法:
(a)式:
により表される少なくとも1種の化合物と、式:
により表される少なくとも1種の化合物とを混合するか、又は式:
により表される少なくとも1種の化合物と、下記式により表される少なくとも1
種の化合物とを混合する工程:
上式中、M、N及びPは、各々独立に、
からなる群より選ばれ;
a、b及びcは各々独立に0又は1〜3の整数であり、ただしa+b+cの合計
が少なくとも1であることを条件とし;
各A及びBは、独立に、共有結合、
−(CH2CH2)k−(式中、kは1〜4である)、
−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、−CH2−O−、
各A’、A”、B’及びB”は、独立に、−OH、−COOH、−CH(CH2
OH)2、−SH、−SeH、−TeH、−NH2、
−COCl、−CHO、−OSO2Rf’、−OSO2CH3、−OSO2−シクロ
(C6H4)−CH3及び−CH2COOH(上式中、Rf’は、1〜約10個の炭
素原子を有するペルフルオロアルキル基である)
からなる群より選ばれ、但し、A’はA”とのカップリング反応に加わることが
でき、及びB’はB”とのカップリング反応に加わることができることを条件と
し;
各X、Y及びZは、独立に、−Cl、−F、−Br、−I、−OH、−OCH3
、−CH3、−CF3、−OCF3、−CN、及び−NO2からなる群より選ばれ;
各l、m及びnは、独立に、0又は1〜4の整数であり;
Dは、共有結合、
(上式中、r及びr’は独立に1〜約20の整数であり、sは各
(CsH2sO)に対して独立に1〜約10の整数であり、tは1〜約6の整数で
あり、及びpは0〜約4の整数である)
及びこれらの組合せからなる群より選ばれ;
Rは、
[上式中、R’は、独立に、−Cl、−F、−CF3、−NO2、
(上式中、q’は、各(Cq'H2q'−O)に対して独立に1〜約20の整数であ
り、qは1〜約20の整数であり、wは0〜約10の整数であり、vは0〜約6
の整数であり、各v’は独立に0〜約6の整数であり、gは1〜約3の整数であ
り、g’は1〜約3の整数であり、各Dは独立に上記した群より選ばれる)
からなる群より選ばれる]
からなる群より選ばれ、且つRは直鎖又は枝分かれ鎖であり、但しRはキラルで
あることを条件とし;及び
Rfは、−(CxF2xO)zCyF2y+1(式中、xは、各CxF2xOに対して独立に
1〜約10の整数であり、yは1〜約10の整数
であり、及びzは2〜約10の整数である)である;次いで
(b)前記A’とA”とを反応させるか、又はB’とB”とを反応させる工程
。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 303/20 7329−4C C07D 303/20
307/33 9159−4C 405/12 239
405/12 239 9279−4H C09K 19/12
C09K 19/12 9279−4H 19/20
19/20 9279−4H 19/30
19/30 9279−4H 19/32
19/32 9279−4H 19/34
19/34 9279−4H 19/44
19/44 9279−4H 19/46
19/46 7809−2K G02F 1/13 500
G02F 1/13 500 7822−4C C07D 307/32 G
// C07M 7:00
(72)発明者 ジョンソン,ギルバート シー.
アメリカ合衆国,ミネソタ 55133−3427,
セントポール,ポスト オフィス ボック
ス 33427(番地なし)
(72)発明者 ラドクリフ,マーク ディー.
アメリカ合衆国,ミネソタ 55133−3427,
セントポール,ポスト オフィス ボック
ス 33427(番地なし)
(72)発明者 サビュ,パトリシア エム.
アメリカ合衆国,ミネソタ 55133−3427,
セントポール,ポスト オフィス ボック
ス 33427(番地なし)
(72)発明者 スナスタッド,ダニエル シー.
アメリカ合衆国,ミネソタ 55133−3427,
セントポール,ポスト オフィス ボック
ス 33427(番地なし)
(72)発明者 スポーン,テレンス ディー.
アメリカ合衆国,ミネソタ 55133−3427,
セントポール,ポスト オフィス ボック
ス 33427(番地なし)