JPH0940886A - 顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物、その製造方法およびカラーフィルター - Google Patents

顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物、その製造方法およびカラーフィルター

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JPH0940886A
JPH0940886A JP19167195A JP19167195A JPH0940886A JP H0940886 A JPH0940886 A JP H0940886A JP 19167195 A JP19167195 A JP 19167195A JP 19167195 A JP19167195 A JP 19167195A JP H0940886 A JPH0940886 A JP H0940886A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】無水マレイン酸および/または無水ナジック酸
と多価アミン化合物を反応せしめて得られるポリイミド
と顔料からなる顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物であ
る。 【効果】本発明の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物は顔
料の分散性と安定性に優れ、この組成物から耐熱性、耐
光性、耐薬品性とコントラスト比の良好なカラーフィル
ターを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無水マレイン酸、無水ナ
ジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られるポ
リイミド前駆体溶液と、顔料とからなる顔料分散熱硬化
性樹脂溶液組成物に関するものであり、さらにその組成
物を用い製造された光学素子の遮光膜、光ファイバーの
被覆膜、液晶デイスプレイや撮像素子などに用いられる
カラーフィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族あるいは脂肪族のテトラカルボン
酸二無水物とジアミン化合物を反応せしめて得られるポ
リイミド前駆体溶液に顔料を分散させた組成物およびそ
の用途に関するものとしては液晶デイスプレイや撮像素
子などに用いられる耐光性、耐熱性、耐薬品性等に優れ
たカラーフィルター用ポリイミド前駆体と顔料からなる
組成物、およびそれを用いて形成されたカラーフィルタ
ーが知られている(特開昭60−184202号公報、
特開昭60−184203号公報、特開昭61−180
203号公報)等。
【0003】ポリイミド前駆体溶液に顔料を分散させた
組成物は特にフォトリソグラフィ法でのカラーフィルタ
ー作製に有用であり、例えば特開昭60−247603
号公報や特開昭61−77804号公報に示されるごと
く、ポジ型フォトレジストを用いるパターン加工技術が
知られており、パターン精度が良く、耐光性、耐熱性、
耐薬品性等に優れたカラーフィルターを得ることができ
る。
【0004】フォトリソグラフィ法、印刷法さらには公
知のその他の方法ともガラス基板上に顔料分散ポリイミ
ド前駆体組成物で着色塗膜を形成するが、この場合ポリ
イミド前駆体溶液に微粉砕した顔料を均一に分散させる
ことが、塗布膜の平坦性、画素のコントラストなどカラ
ーフィルタの性能上特に重要である。
【0005】従来、知られているN−メチル−2−ピロ
リドン、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジ
メチルアセトアミド等のアミド系極性溶剤使用のポリイ
ミド前駆体溶液組成物は微細顔料の分散性が不十分であ
り、また顔料分散ポリイミド前駆体溶液組成物中の顔料
の凝集が生じやすく、さらにはポリイミド前駆体である
ポリアミック酸の溶液は加水分解やゲル化を避けるた
め、冷凍庫保存が必要である等の課題を有していた。
【0006】またポリイミド前駆体を感光性として、こ
の溶液に顔料を分散させて感光性顔料分散ポリイミド前
駆体溶液組成物を得ることは難しかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特に
カラーフィルター作製において顔料分散ポリイミド前駆
体溶液のごときパターニング性や、得られるカラーフィ
ルターの耐光性、耐熱性、耐薬品性を有しつつ、かつ顔
料分散性と保存安定性に優れた新規な顔料分散熱硬化性
樹脂組成物を得ることにあり、この組成物からコントラ
スト比の高いカラーフィルターを提供することにある。
さらには感光性顔料分散ポリイミド前駆体溶液組成物を
得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は以
下の構成により達成される。
【0009】(1)無水マレイン酸および/または無水
ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られる
ポリイミド前駆体と顔料とを含有する顔料分散熱硬化性
樹脂溶液組成物。
【0010】(2)無水マレイン酸および/または無水
ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られる
ポリイミド前駆体の溶液中で顔料を分散する工程を含む
ことを特徴とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の製
造方法。
【0011】(3)ラクトン類を主溶剤とし分散された
顔料を主成分とする顔料分散液に、無水マレイン酸およ
び/または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せ
しめて得られるポリイミド前駆体の溶液を添加する工程
を含むことを特徴とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成
物の製造方法。
【0012】(4)前記記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶
液組成物から得られた硬化膜を有することを特徴とする
カラーフィルター。
【0013】本発明者等は無水マレイン酸および/また
は無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得
られるポリイミド前駆体が耐熱性と透明性を兼ね備えた
被膜を与え、かつ有機アルカリあるいは無機アルカリ、
さらには水で現像した場合にも良好な現像性を有するこ
とに注目し、種々の該ポリイミド前駆体溶液を調製して
顔料分散熱硬化性樹脂組成物を作製しカラーフィルター
への適用を検討した結果、本発明に到達したものであ
る。また、無水マレイン酸および/または無水ナジック
酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られるポリイミ
ド前駆体において、特にポリアミンイミド前駆体が顔料
分散安定性と現像性の良好な顔料分散熱硬化性樹脂組成
物となることを見出したものである。
【0014】ここでポリアミンイミド前駆体とは、加熱
硬化により主鎖にアミン結合とイミド結合を有するポリ
マーを形成する前駆体を意味している。
【0015】ポリアミンイミドとしては例えばMode
rn Plastics(March 1982),p
age16 に記載されるごときビスマレイミド系のポ
リイミドが知られているが、本発明者等は特にビスマレ
イミド系ポリイミドの前駆体に限定されず、加熱硬化に
より主鎖にアミン結合とイミド結合を有するポリマーを
形成する前駆体を幅広く検討し本発明に到達したもので
ある。
【0016】本発明において好ましく使用されるポリア
ミンイミド前駆体は、無水マレイン酸と、分子内に1級
アミノ基または2級アミノ基を少なくとも2個以上有す
る化合物、好ましくは芳香族ジアミン、脂肪族ジアミ
ン、脂環族ジアミンのうち少なくとも一種を有機溶剤中
で反応せしめて得られるものである。該ポリアミンイミ
ド前駆体においては、アミノ基の少なくとも一部がポリ
アミンイミド前駆体溶液調製時あるいは着色膜形成時に
マレイン酸化合物の二重結合とマイケル付加反応を生じ
るものである。
【0017】無水マレイン酸とジアミンの使用比率は等
モルでも良いが、無水マレイン酸の使用比を大きくし、
ジアミンの種類を選択することにより、末端にマレイン
酸アミド構造を有するポリアミンイミド前駆体を得るこ
とができ、熱硬化三次元化型とすることができる。また
ジアミンの使用比を大きくし、末端ジアミンのポリアミ
ンイミド前駆体を得て、これに無水ナジック酸を付加反
応させ末端にナジック酸アミド構造を有するポリアミン
イミド前駆体を得ることができ、同様に熱硬化三次元化
型とすることができる。
【0018】ナジック酸末端ポリイミドに関してはPl
astic Digest & Plocessin
g,No.11(1972),page5 に記載され
るごとき通常のポリイミド末端をナジック酸無水物で封
鎖したポリマが知られているが、本発明者等は特に該ポ
リイミドの前駆体に限定されず、加熱硬化により主鎖に
アミン結合とイミド結合を有するポリマーを形成する前
駆体を幅広く検討し本発明に到達したものである。
【0019】これらのポリアミンイミド前駆体の主鎖あ
るいは末端のアミン結合あるいはアミノ基の活性水素に
グリシジルアクリレートあるいグリシジルメタアクリレ
ートのような分子内にグリシジル基とアクリロイル基あ
るいはメタアクリロイル基(以下、(メタ)アクリロイ
ル基と略称する)を有する化合物、あるいは多価アクリ
レートを付加反応させて光反応性二重結合基を導入し、
必要に応じてアクリルモノマー、および、光重合開始剤
および/または増感剤を配して光硬化型のポリアミンイ
ミド前駆体を得ることができ、この顔料分散ポリアミン
イミド前駆体溶液組成物を感光性顔料分散熱硬化性樹脂
組成物として使用することができる。光反応性二重結合
基としては、3−(メタアクリロイルオキシ)−2−
(ヒドロキシ)プロピルアミノ基であることが好まし
い。
【0020】但し、本発明はポリアミンイミド前駆体と
顔料からなる顔料分散熱硬化性樹脂組成物に限定される
ものではなく、広く無水マレイン酸および/または無水
ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られる
ポリイミド前駆体と顔料からなる顔料分散熱硬化性樹脂
組成物に適用されるものである。
【0021】本発明において使用される酸成分は無水マ
レイン酸および/または無水ナジック酸(5−ノルボル
ネン−2,3−ジカルボン酸無水物ともいう)を必須成
分とするものであるが、必要に応じて公知の4価カルボ
ン酸の二無水物が広く併用できる。具体的にはピロメリ
ット酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´
−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸二無水物、1,
2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、
3,3´,4,4´−ジフェニルスルフォンテトラカル
ボン酸二無水物もしくはこれらの混合物等を挙げること
ができるがこれらに限定されるものでは無い。
【0022】本発明において使用される多価アミン化合
物としては公知の多価アミン化合物が広く使用できる
が、特に分子内に1級アミノ基または2級アミノ基を少
なくとも2個以上有する化合物が好ましく使用され、具
体的には4,4´(または3,3´)−ジアミノジフェ
ニルエ−テル、4,4´(または3,3´)−ジアミノ
ジフェニルスルフォン、4,4´(または3,3´)−
ジアミノジフェニルサルファイド、メタフェニレンジア
ミン、パラフェニレンジアミン、ビス(3−アミノプロ
ピル)テトラメチルジシロキサン、4,4´(または
3,3´)−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−メ
チレンビス(シクロヘキシルアミン)、メタキシリレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノルボルナンジア
ミン、イソフォロンジアミン等、公知の脂肪族、芳香
族、脂環族のジアミン、トリアミンが単独あるいは併用
して使用できる。さらには両末端がアミノ基であるポリ
アミド酸、両末端がアミノ基であるポリアミドアミド
酸、両末端がアミノ基である脂肪族ポリイミド、両末端
がアミノ基であるポリアミドイミド等のオリゴマーまた
はポリマーも使用することができる。
【0023】本発明の無水マレイン酸および/または無
水ナジック酸と多価アミン化合物の反応に使用される有
機溶剤は特に限定されるものではないが、γ−ブチロラ
クトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルフォルムアミド等の
極性溶剤、好ましくはγ−ブチロラクトン、N−メチル
−2−ピロリドンと、分子内に少なくとも一個の水酸基
と少なくとも一個のエーテル結合を含有する沸点100
〜300℃の液体の混合溶剤が好ましく使用される。特
に分子内に少なくとも一個の水酸基と少なくとも一個の
エーテル結合を含有する沸点100〜300℃の溶剤の
使用は塗布性の良好な組成物を得るために好ましいとと
もに、得られるポリイミド前駆体溶液への顔料分散を改
良するものである。この様な有機溶剤成分としては、例
えば3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、プロピレン
グリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、ジプロピレングリ
コ−ル−モノ−メチルエ−テル、トリプロピレングリコ
−ル−モノ−メチルエ−テル、プロピレングリコ−ル−
モノ−3級−ブチルエ−テル、エチルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ、メチルカルビト−ル、エチルカルビト−
ル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0024】本発明の顔料分散液は顔料分散ポリイミド
前駆体溶液を経て、主としてカラーフィルター用の着色
塗膜を形成するために用いられるので、本発明に使用さ
れる顔料としては、透明性が高く、耐光性、耐熱性、耐
薬品性に優れたものが好ましい。代表的な顔料の具体例
をカラーインデックス(CI)ナンバーで示すと、黄色
顔料の例としてはピグメントイエロー20、24、8
3、86、93、94、109、110、117、12
5、137、138、139、147、148、15
3、154、166、173等が挙げられるがこれらに
限定されない。オレンジ色顔料の例としてはピグメント
オレンジ13、31、36、38、40、42、43、
51、55、59、61、64、65等が挙げられるが
これらに限定されない。赤色顔料の例としてはピグメン
トレッド9、97、122、123、144、149、
166、168、177、180、192、215、2
16、224等が挙げられるがこれらに限定されない。
紫色顔料の例としてはピグメントバイオレット19、2
3、29、32、33、36、37、38等が挙げられ
るがこれらに限定されない。青色顔料の例としてはピグ
メントブルー15(15:3、15:4、15:6、な
ど)、21、22、60、64、等が挙げられるがこれ
らに限定されない。緑色顔料の例としてはピグメントグ
リーン7、10、36、47等が挙げられるがこれらに
限定されない。黒色顔料の例としてはピグメントブラッ
ク7等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】上記顔料は実用的には数色組み合わせて調
色され使用されるものである。
【0026】これらの原料は必要に応じてロジン処理、
酸性基処理、塩基性基本処理などの表面処理がなされて
いるものである。
【0027】本発明の顔料分散ポリイミド前駆体溶液を
作製するには、顔料とポリイミド前駆体溶液を直接混合
分散させても良いが、あらかじめ顔料をγ−ブチロラク
トン、N−メチルピロリドンのごとくポリイミド前駆体
溶液と相溶する有機溶剤中で分散させておき、これにポ
リイミド前駆体溶液を混合せしめても良い。γ−ブチロ
ラクトン等のラクトン類は特に顔料の分散性が良好であ
る。また顔料の分散に際してはアルカリ金属を含まない
界面活性剤や高分子系の分散剤が好ましく使用され、特
にポリアミック酸オリゴマー(繰り返し数2〜10程
度)等が有効に使用できる。これら分散剤の使用は通
常、顔料100重量部に対して1〜20重量部の範囲か
ら選ばれるが、これに限定されない。
【0028】本発明のポリイミド前駆体溶液の良好な顔
料分散性はポリイミド前駆体が主としてオリゴマーから
なり、化学構造および溶剤選択の幅が大きいことから種
々の変性が可能なことに起因しているものである。
【0029】本発明のポリイミド前駆体溶液において、
特にポリアミンイミド前駆体溶液はそのアミン結合に起
因して顔料の分散安定性が良好である。
【0030】顔料分散ポリイミド前駆体溶液を主成分と
する顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物における顔料の添
加量はポリイミド前駆体100重量部に対して1〜30
0重量部の範囲が好ましく、さらには25〜200重量
部が好ましく、特に形成する塗布膜の着色度、物性のバ
ランスの点で特に50〜150重量部が好ましい。
【0031】本発明の顔料分散ポリイミド前駆体溶液に
ベンゾイントシレート、トリ(ニトロベンジル)フォス
フェート、トリアニソインフォスフェート、ジアリール
ヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等の公知
の光酸発生剤、ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメ
ート、ジ(メトキシベンジル)ヘキサメチレンジカルバ
メート等の公知の光塩基発生剤またはアクリルモノマー
と公知の光重合開始剤、増感剤等を加えて感光性の顔料
分散ポリイミド前駆体溶液を得ることができる。特に感
光性顔料分散ポリイミド前駆体溶液のポリイミド前駆体
構造としてはポリアミンイミド前駆体にグリシジルメタ
アクリレートを反応せしめた化合物が感度において優れ
ている。
【0032】また、本発明の顔料分散ポリイミド前駆体
溶液に公知の界面活性剤、消泡剤等を添加することがで
き、また公知のポリイミド前駆体溶液を混合して使用す
ることもできる。
【0033】本発明の顔料分散ポリイミド前駆体溶液を
主成分とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物は光学素
子の遮光膜、光ファイバーの被覆膜、液晶表示素子のカ
ラーフィルターなどに用いられる。
【0034】本発明の顔料分散ポリイミド前駆体溶液を
主成分とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の代表的
な用途であるカラーフィルターを例に使用方法の一例を
示す。
【0035】透明基板上に顔料分散ポリイミド前駆体溶
液で例えばG(グリーン)の着色塗膜を形成する。塗布
はスピンナー、スプレー塗布、デイップコーテイング、
ロールコーテイング、ダイコーテイング等の方法が適用
される。乾燥はオーブン、ホットプレートまたは赤外線
を使用し50〜180℃の範囲で数時間〜数秒行なわ
れ、硬化があまり進行しない範囲が好ましい。この上に
パターン形成用のフォトレジストを塗布し、フォトレジ
スト層を形成する。続いて露光装置を用いてフォトレジ
スト層被膜上にマスクを置き、化学線を照射して露光す
る。ポジ型フォトレジストを使用した場合には該ポジ型
フォトレジストの現像液でフォトレジスト層の現像、ポ
リイミド前駆体着色塗膜のエッチングを同時に行う。エ
ッチング後、不要となったフォトレジスト層を通常はア
セトン、セロソルブ、またはプロピレングリコールアル
キルエーテルアセテート系の溶剤で剥離除去する。ポリ
イミド前駆体着色塗膜を熱処理し、G(グリーン)の着
色塗膜のパターン加工を終える。熱処理温度は最終的に
180〜400℃、好ましくは180〜350℃であ
り、温度に応じて5時間〜5分が適用される。
【0036】以上の工程をR(レッド)、B(ブルー)
の画素および必要に応じてBK(ブラック)(ブラック
マスク)について繰り返すと、カラーフィルターが作製
できる。
【0037】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0038】調製例1 4,4´−ジアミノジフェニルエーテル40.04g
(0.2モル)をN−メチル−2−ピロリドン47gと
3−メチル−3−メトキシブタノ−ル45gの混合液に
加え、50℃で1時間加熱攪拌して溶解させた。この溶
液に無水マレイン酸19.61g(0.2モル)をγブ
チロラクトン46.4gに溶解した溶液を30分間で滴
下した後、105℃で2時間加熱攪拌して30.0重量
%のポリアミンイミド前駆体溶液を得た。この溶液の粘
度は132センチポイズ(25℃)であった。
【0039】調製例2 4,4´−ジアミノジフェニルエーテル100.1g
(0.5モル)をγブチロラクトン400.0gおよび
3−メチル−3−メトキシブタノ−ル392.5gの混
合液に加え、50℃で1時間加熱攪拌して溶解させた。
この溶液に無水ナジック酸164.06g(1.0モ
ル)を添加して50℃で1時間加熱攪拌して溶解させ2
5.0重量%のポリナジックイミド前駆体溶液を得た。
この溶液の粘度は25.8センチポイズ(25℃)であ
った。
【0040】調製例3 4,4´−ジアミノジフェニルエーテル10.01g
(0.05モル)をN−メチル−2−ピロリドン22.
9gに溶解し、50℃で2時間攪拌した後、無水マレイ
ン酸9.81g(0.1モル)をN−メチル−2−ピロ
リドン22.9gに溶解した溶液を30分間で滴下し
た。さらに無水ナジック酸16.4g(0.1モル)を
γブチロラクトン38.3gに溶解した溶液を添加し、
次いでメタキシリレンジアミン13.6g(0.1モ
ル)をN−メチル−2−ピロリドン31.7gに溶解し
た溶液を30分間で滴下した後、50℃で1時間攪拌
し、30.0重量%のポリアミンナジックイミド前駆体
溶液を得た。
【0041】この溶液にハイドロキノンモノメチルエー
テル0.032gを添加して、75℃攪拌下にグリシジ
ルメタアクリレート14.2g(0.1モル)を3−メ
チル−3−メトキシブタノ−ル33.1gに溶解した溶
液を30分間で滴下した後、75℃でさらに2時間攪拌
して、メタアクリロイル基導入のポリアミンナジックイ
ミド前駆体溶液とした。
【0042】調製例4 3,3´−ジアミノジフェニルスルフォン94.95g
(0.3825モル)、ビス−3−(アミノプロピル)
テトラメチルシロキサン5.59g(0.025モ
ル)、1,2−ジアミノアントラキノン21.44g
(0.09モル)をγブチロラクトン1513gに加
え、50℃で2時間攪拌した後、3,3´,4,4´−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物145.0g
(0.45モル)を約30分で添加し、顔料分散剤とし
て使用する15重量%のオリゴアミド酸溶液を得た。
【0043】調製例5 4,4´−ジアミノジフェニルエーテル150.15g
(0.75モル)、3,3´−ジアミノジフェニルスル
フォン49.6g(0.20モル)、ビス−3−(アミ
ノプロピル)テトラメチルシロキサン11.18g
(0.05モル)をγブチロラクトン2333gに加
え、60℃で2時間攪拌した後、3,3´,4,4´−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物157.89
g(0.49モル)およびピロメリット酸二無水物10
9.0g(0.50モル)を約30分で添加した。さら
に65℃で3時間、加熱攪拌して17重量%のポリアミ
ド酸溶液を得た。
【0044】調製例6 ピグメントレッド177(チバガイギー(株)製クロモ
フタールレッドA3B)5.0gとピグメントイエロー
83の1.5gをγ−ブチロラクトン60gおよび3−
メチル−3−メトキシブタノ−ル30gの混合液に加
え、調製例4で合成したオリゴアミド酸2gを顔料分散
剤として、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザー
を用いて、7000rpmで30分間分散後、ガラスビ
ーズを濾過・除去して、顔料分散液を得た。
【0045】調製例7 ピグメントレッド177の4.17g(チバガイギー
(株)製クロモフタールレッドA3B)、ピグメントイ
エロー83 1.23gをγ−ブチロラクトン90gに
加え、調製例4で合成したオリゴアミド酸2gを顔料分
散剤として、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザ
ーを用いて、7000rpmで30分間分散後、ガラス
ビーズを濾過・除去して、顔料分散液を得た。
【0046】実施例1 調製例7で得た顔料分散液140gを室温で攪拌しなが
ら、これに調製例1で得たポリアミンイミド前駆体溶液
30gを10分間で添加し、本発明の着色顔料分散ポリ
アミンイミド前駆体溶液を得た。本分散液をガラス基板
上に加熱後ポリアミンイミドとなった際の膜厚みが1.
0μmとなるようにスピンナーで塗布、120℃で20
分間乾燥し、冷却後、この上にポジ型フォトレジスト
(東京応化(株)製OFPR−800)を乾燥後の膜厚
みが1.0μmとなるようにスピンナーで塗布、90℃
で10分間乾燥した。キャノン(株)製紫外線露光機P
LA−501Fを用いて、クロム製のフォトマスクを介
して150mJ/cm2 (365nmの紫外線強度)露
光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオ
キサイドの2.38%の水溶液からなる現像液に浸漬
し、フォトレジストの現像、ポリアミンイミド前駆体着
色塗膜のエッチングを同時に行なった。エッチング後、
不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離した。
このようにして得られたパターン状にエッチングされた
ポリアミンイミド前駆体着色塗膜を260℃で30分間
熱処理して、ポリアミンイミドに転換した。
【0047】このようにして得られた着色塗膜のコント
ラストは1120であり、この塗膜を顕微鏡下1000
倍で観察したところ、顔料の凝集は認められず、一様に
分散していた。
【0048】またこの顔料分散ポリアミンイミド前駆体
組成物を25℃で1月間放置したが、安定な顔料分散状
態を保っていることがわかった。
【0049】ここでコントラストの測定法としては、バ
ックライト(明拓システム)上で色彩輝度計(トプコン
BM−5A)にて2度視野で試料の平行ニコル状態、す
なわち試料を挟んだ位置にある偏光板の偏光軸が平行配
置にある場合の輝度(I平行)と直交ニコル状態での輝
度(I直交)を測定し、平行ニコル状態での輝度と直交
ニコル状態での輝度との比(I平行/I直交)をコント
ラストとした。
【0050】以下の実施例でも同様である。
【0051】比較例1 3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物147gをN−メチル−2−ピロリドン775gと
ともに仕込み、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル
95.1gおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメ
チルジシロキサン6.2gを添加し、60℃で3時間反
応させ、粘度730ポイズのポリイミド前駆体溶液を得
た。
【0052】調製例7で得た顔料分散液140gを室温
で攪拌しながら、これに上記のポリイミド前駆体溶液5
0gを10分間で添加し、着色顔料分散ポリイミド前駆
体溶液を得た。実施例1と全く同様にして、本分散液か
らポリイミドの着色塗膜を得た。このようにして得られ
た着色塗膜のコントラストは250であり、この塗膜を
顕微鏡下1000倍で観察したところ、顔料の凝集が認
められた。
【0053】またこの顔料分散ポリイミド前駆体組成物
を25℃で1月間放置したところ、組成物の分離が生じ
ていた。
【0054】実施例2 調製例6で得られた顔料分散液140gを室温で攪拌し
ながら、これに調製例2で得たポリナジックイミド前駆
体溶液40gを10分間で添加した後、調製例5で得た
ポリアミド酸溶液10gを5分間で添加し、本発明の着
色顔料分散ポリナジックイミド前駆体溶液を得た。本分
散液をガラス基板上に加熱後ポリナジックイミドとなっ
た際の膜厚みが1.0μmとなるようにスピンナーで塗
布、100℃で20分間乾燥した。本分散液から実施例
1と全く同様にしてポリナジックイミドの着色塗膜を得
た。このようにして得られた着色塗膜のコントラストは
1030であり、この塗膜を顕微鏡下1000倍で観察
したところ、顔料の凝集は認められず、一様に分散して
いた。
【0055】実施例3 ピグメントグリーン7 24.75g、ピグメントイエ
ロー83 3.75gを調製例1で得たポリアミンイミ
ド前駆体溶液145gに加え、ガラスビーズ90gとと
もにホモジナイザーを用いて、7000rpmで30分
間分散後、ガラスビーズを濾過・除去して、顔料分散ポ
リアミンイミド前駆体溶液を得た。本分散液から実施例
1と全く同様にしてポリナジックイミドの着色塗膜を得
た。このようにして得られた着色塗膜のコントラストは
615であり、この塗膜を顕微鏡下1000倍で観察し
たところ、顔料の凝集は認められず、一様に分散してい
た。
【0056】実施例4 ピグメントブルー15 30.0gを調製例1で得たポ
リアミンイミド前駆体溶液137gに加え、ガラスビー
ズ90gとともにホモジナイザーを用いて、7000r
pmで30分間分散後、ガラスビーズを濾過・除去し
て、顔料分散ポリアミンイミド前駆体溶液を得た。本分
散液から実施例1と全く同様にしてポリナジックイミド
の着色塗膜を得た。このようにして得られた着色塗膜の
コントラストは615であり、この塗膜を顕微鏡下10
00倍で観察したところ、顔料の凝集は認められず、一
様に分散していた。
【0057】実施例5 調製例3で得たメタアクリロイル基導入のポリアミンナ
ジックイミド前駆体溶液100gにアクリルモノマーと
して2,2,4,4,6,6,−ヘキサキス(メタアク
リロキシエチレンオキシ)−1,3,5,2,4,6,
−トリアザトリフォスフォリン15gと、光重合開始剤
として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニ
ル]−2−モルフォリノプロパノン−1 1.0g、増
感剤として4,4´−ジ(N,N−ジメチルアミノ)ベ
ンゾフェノン 1g、基板接着性改良剤としてγアミノ
プロピル−メチル−ジエトキシシラン 1gを添加、混
合・溶解し感光性のポリアミンナジックイミド前駆体溶
液とした。
【0058】調製例7で得られた顔料分散液140gを
室温で攪拌しながら、これに上記の調製で得た感光性の
ポリアミンナジックイミド前駆体溶液20gを10分間
で添加し、本発明の着色顔料分散ポリアミンナジックイ
ミド前駆体溶液を得た。本分散液をガラス基板上に加熱
後ポリアミンナジックイミドとなった際の膜厚みが1.
0μmとなるようにスピンナーで塗布、130℃で20
分間乾燥、冷却後、キャノン(株)製紫外線露光機PL
A−501Fを用いて、クロム製のフォトマスクを介し
て250mJ/cm2 (365nmの紫外線強度)露光
した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキ
サイドの1.5%の水溶液からなる現像液に浸漬し、ポ
リアミンナジックイミド前駆体着色塗膜の未露光部のエ
ッチングを行なった。このようにして得られたパターン
状にエッチングされたポリナジックアミンイミド前駆体
着色塗膜を260℃で30分間熱処理して、ポリアミン
ナジックイミドに転換した。
【0059】このようにして得られた着色塗膜のコント
ラストは520であり、この塗膜を顕微鏡下1000倍
で観察したところ、顔料の凝集は認められず、一様に分
散していた。
【0060】実施例6 実施例4においてピグメントブルー15 30.0gの
代わりにカーボンブラック 35gを使用して、同様の
操作で遮光材(BL)分散の着色塗膜を得た。 実施例7 添付のカラーフィルタ製造プロセス概念図に示されるご
とく、洗浄した1mm厚みのガラス基板上に公知の技術
でクロムメッキ・フォトリソ・エッチングでパターニン
グを行ないブラックマスクとなる0.1μm厚みのクロ
ムパターンを形成せしめた。このクロムパターン形成ガ
ラス基板上に、実施例1に示される手法で、添付図Rで
示される画素を形成させた。
【0061】この上に実施例3と同様操作でGで示され
る画素を形成させた。さらにこの上に実施例4と同様操
作でBで示される画素を形成させた。この上に1μm厚
みのポリイミドシロキサン系の透明保護膜層を形成せし
めた後、公知の技術でITO層を形成せしめてカラーフ
ィルタを得た。
【0062】
【発明の効果】本発明の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成
物は顔料の分散性と安定性に優れ、この組成物から耐熱
性、耐光性、耐薬品性とコントラスト比の良好なカラー
フィルターを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラーフィルタの製造プロセス概念図を表すも
のである。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無水マレイン酸および/または無水ナジッ
    ク酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られるポリイ
    ミド前駆体と顔料とを含有する顔料分散熱硬化性樹脂溶
    液組成物。
  2. 【請求項2】ポリイミド前駆体が無水マレイン酸と、分
    子内に1級アミノ基または2級アミノ基を少なくとも2
    個以上有する化合物を反応せしめて得られるポリアミン
    イミド前駆体であることを特徴とする請求項1記載の顔
    料分散熱硬化性樹脂溶液組成物。
  3. 【請求項3】ポリイミド前駆体がナジック酸アミド構造
    を含有することを特徴とする請求項1記載の顔料分散熱
    硬化性樹脂溶液組成物。
  4. 【請求項4】ポリイミド前駆体がマレイン酸アミド構造
    を含有することを特徴とする請求項1記載の顔料分散熱
    硬化性樹脂溶液組成物。
  5. 【請求項5】ポリイミド前駆体が分子中に光反応性二重
    結合基を有していることを特徴とする請求項1記載の顔
    料分散熱硬化性樹脂溶液組成物。
  6. 【請求項6】光反応性二重結合基が3−(メタアクリロ
    イルオキシ)−2−(ヒドロキシ)プロピルアミノ基で
    あることを特徴とする請求項5記載の顔料分散熱硬化性
    樹脂溶液組成物。
  7. 【請求項7】顔料分散ポリイミド前駆体溶液がアクリル
    モノマー、および、光重合開始剤および/または増感剤
    を含有することを特徴とする請求項1記載の顔料分散熱
    硬化性樹脂溶液組成物。
  8. 【請求項8】R(レッド)、G(グリーン)、B(ブル
    ー)またはBL(ブラック)に着色されていることを特
    徴とする請求項1記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成
    物。
  9. 【請求項9】無水マレイン酸および/または無水ナジッ
    ク酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られるポリイ
    ミド前駆体の溶液中で顔料を分散する工程を含むことを
    特徴とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の製造方
    法。
  10. 【請求項10】ラクトン類を主溶剤とし分散された顔料
    を主成分とする顔料分散液に、無水マレイン酸および/
    または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめ
    て得られるポリイミド前駆体の溶液を添加する工程を含
    むことを特徴とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の
    製造方法。
  11. 【請求項11】顔料がポリアミック酸オリゴマーを分散
    剤として分散されたものであることを特徴とする請求項
    10記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の製造方
    法。
  12. 【請求項12】透明基板上に請求項1〜8のいずれかに
    記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物から得られた硬
    化膜を有することを特徴とするカラーフィルター。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10312059A (ja) * 1997-05-14 1998-11-24 Toray Ind Inc 高解像度感光性ポリイミド前駆体組成物
CN1320060C (zh) * 2004-04-01 2007-06-06 中国科学院化学研究所 一种短纤维增强聚酰亚胺复合材料及制备方法和用途
CN104403313A (zh) * 2014-11-18 2015-03-11 上海聿衡新材料科技有限公司 聚酰亚胺复合材料及其制备方法
JP2016050305A (ja) * 2014-08-29 2016-04-11 ザ・ボーイング・カンパニーTheBoeing Company 二官能性および混合官能性エンドキャップを有するポリイミドのナノ修飾された主鎖
JP2018162340A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 東レ株式会社 着色樹脂組成物、カラーフィルタ基板および液晶表示装置

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