JP3743027B2 - 顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物、その製造方法およびカラーフィルター - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は無水マレイン酸、無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られるポリイミド前駆体溶液と、顔料とからなる顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物に関するものであり、さらにその組成物を用い製造された光学素子の遮光膜、光ファイバーの被覆膜、液晶デイスプレイや撮像素子などに用いられるカラーフィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族あるいは脂肪族のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応せしめて得られるポリイミド前駆体溶液に顔料を分散させた組成物およびその用途に関するものとしては液晶デイスプレイや撮像素子などに用いられる耐光性、耐熱性、耐薬品性等に優れたカラーフィルター用ポリイミド前駆体と顔料からなる組成物、およびそれを用いて形成されたカラーフィルターが知られている(特開昭60−184202号公報、特開昭60−184203号公報、特開昭61−180203号公報)等。
【0003】
ポリイミド前駆体溶液に顔料を分散させた組成物は特にフォトリソグラフィ法でのカラーフィルター作製に有用であり、例えば特開昭60−247603号公報や特開昭61−77804号公報に示されるごとく、ポジ型フォトレジストを用いるパターン加工技術が知られており、パターン精度が良く、耐光性、耐熱性、耐薬品性等に優れたカラーフィルターを得ることができる。
【0004】
フォトリソグラフィ法、印刷法さらには公知のその他の方法ともガラス基板上に顔料分散ポリイミド前駆体組成物で着色塗膜を形成するが、この場合ポリイミド前駆体溶液に微粉砕した顔料を均一に分散させることが、塗布膜の平坦性、画素のコントラストなどカラーフィルタの性能上特に重要である。
【0005】
従来、知られているN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系極性溶剤使用のポリイミド前駆体溶液組成物は微細顔料の分散性が不十分であり、また顔料分散ポリイミド前駆体溶液組成物中の顔料の凝集が生じやすく、さらにはポリイミド前駆体であるポリアミック酸の溶液は加水分解やゲル化を避けるため、冷凍庫保存が必要である等の課題を有していた。
【0006】
またポリイミド前駆体を感光性として、この溶液に顔料を分散させて感光性顔料分散ポリイミド前駆体溶液組成物を得ることは難しかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特にカラーフィルター作製において顔料分散ポリイミド前駆体溶液のごときパターニング性や、得られるカラーフィルターの耐光性、耐熱性、耐薬品性を有しつつ、かつ顔料分散性と保存安定性に優れた新規な顔料分散熱硬化性樹脂組成物を得ることにあり、この組成物からコントラスト比の高いカラーフィルターを提供することにある。さらには感光性顔料分散ポリイミド前駆体溶液組成物を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は以下の構成により達成される。
【0009】
(1)無水マレイン酸および/または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られるマレイン酸アミドおよび/またはナジック酸アミド構造を含有するポリイミド前駆体オリゴマーと顔料とを含有する顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物。
【0010】
(2)無水マレイン酸および/または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られる無水マレイン酸アミドおよび/またはナジック酸アミド構造を有するポリイミド前駆体オリゴマーの溶液中で顔料を分散する工程を含むことを特徴とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の製造方法。
【0011】
(3)ラクトン類を主溶剤とし分散された顔料を主成分とする顔料分散液に、無水マレイン酸および/または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られる無水マレイン酸アミドおよび/またはナジック酸アミド構造を有するポリイミド前駆体オリゴマーの溶液を添加する工程を含むことを特徴とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の製造方法。
【0012】
(4)前記記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物から得られた硬化膜を有することを特徴とするカラーフィルター。
【0013】
本発明者等は無水マレイン酸および/または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られるポリイミド前駆体が耐熱性と透明性を兼ね備えた被膜を与え、かつ有機アルカリあるいは無機アルカリ、さらには水で現像した場合にも良好な現像性を有することに注目し、種々の該ポリイミド前駆体溶液を調製して顔料分散熱硬化性樹脂組成物を作製しカラーフィルターへの適用を検討した結果、本発明に到達したものである。また、無水マレイン酸および/または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られるポリイミド前駆体において、特にポリアミンイミド前駆体が顔料分散安定性と現像性の良好な顔料分散熱硬化性樹脂組成物となることを見出したものである。
【0014】
ここでポリアミンイミド前駆体とは、加熱硬化により主鎖にアミン結合とイミド結合を有するポリマーを形成する前駆体を意味している。
【0015】
ポリアミンイミドとしては例えばModern Plastics(March 1982),page16 に記載されるごときビスマレイミド系のポリイミドが知られているが、本発明者等は特にビスマレイミド系ポリイミドの前駆体に限定されず、加熱硬化により主鎖にアミン結合とイミド結合を有するポリマーを形成する前駆体を幅広く検討し本発明に到達したものである。
【0016】
本発明において好ましく使用されるポリアミンイミド前駆体は、無水マレイン酸と、分子内に1級アミノ基または2級アミノ基を少なくとも2個以上有する化合物、好ましくは芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミンのうち少なくとも一種を有機溶剤中で反応せしめて得られるものである。該ポリアミンイミド前駆体においては、アミノ基の少なくとも一部がポリアミンイミド前駆体溶液調製時あるいは着色膜形成時にマレイン酸化合物の二重結合とマイケル付加反応を生じるものである。
【0017】
無水マレイン酸とジアミンの使用比率は等モルでも良いが、無水マレイン酸の使用比を大きくし、ジアミンの種類を選択することにより、末端にマレイン酸アミド構造を有するポリアミンイミド前駆体を得ることができ、熱硬化三次元化型とすることができる。またジアミンの使用比を大きくし、末端ジアミンのポリアミンイミド前駆体を得て、これに無水ナジック酸を付加反応させ末端にナジック酸アミド構造を有するポリアミンイミド前駆体を得ることができ、同様に熱硬化三次元化型とすることができる。
【0018】
ナジック酸末端ポリイミドに関してはPlastic Digest & Plocessing,No.11(1972),page5 に記載されるごとき通常のポリイミド末端をナジック酸無水物で封鎖したポリマが知られているが、本発明者等は特に該ポリイミドの前駆体に限定されず、加熱硬化により主鎖にアミン結合とイミド結合を有するポリマーを形成する前駆体を幅広く検討し本発明に到達したものである。
【0019】
これらのポリアミンイミド前駆体の主鎖あるいは末端のアミン結合あるいはアミノ基の活性水素にグリシジルアクリレートあるいグリシジルメタアクリレートのような分子内にグリシジル基とアクリロイル基あるいはメタアクリロイル基(以下、(メタ)アクリロイル基と略称する)を有する化合物、あるいは多価アクリレートを付加反応させて光反応性二重結合基を導入し、必要に応じてアクリルモノマー、および、光重合開始剤および/または増感剤を配して光硬化型のポリアミンイミド前駆体を得ることができ、この顔料分散ポリアミンイミド前駆体溶液組成物を感光性顔料分散熱硬化性樹脂組成物として使用することができる。光反応性二重結合基としては、3−(メタアクリロイルオキシ)−2−(ヒドロキシ)プロピルアミノ基であることが好ましい。
【0020】
但し、本発明はポリアミンイミド前駆体と顔料からなる顔料分散熱硬化性樹脂組成物に限定されるものではなく、広く無水マレイン酸および/または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られるポリイミド前駆体と顔料からなる顔料分散熱硬化性樹脂組成物に適用されるものである。
【0021】
本発明において使用される酸成分は無水マレイン酸および/または無水ナジック酸(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物ともいう)を必須成分とするものであるが、必要に応じて公知の4価カルボン酸の二無水物が広く併用できる。具体的にはピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物もしくはこれらの混合物等を挙げることができるがこれらに限定されるものでは無い。
【0022】
本発明において使用される多価アミン化合物としては公知の多価アミン化合物が広く使用できるが、特に分子内に1級アミノ基または2級アミノ基を少なくとも2個以上有する化合物が好ましく使用され、具体的には4,4´(または3,3´)−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4´(または3,3´)−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4´(または3,3´)−ジアミノジフェニルサルファイド、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、4,4´(または3,3´)−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、メタキシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノルボルナンジアミン、イソフォロンジアミン等、公知の脂肪族、芳香族、脂環族のジアミン、トリアミンが単独あるいは併用して使用できる。さらには両末端がアミノ基であるポリアミド酸、両末端がアミノ基であるポリアミドアミド酸、両末端がアミノ基である脂肪族ポリイミド、両末端がアミノ基であるポリアミドイミド等のオリゴマーまたはポリマーも使用することができる。
【0023】
本発明の無水マレイン酸および/または無水ナジック酸と多価アミン化合物の反応に使用される有機溶剤は特に限定されるものではないが、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルフォルムアミド等の極性溶剤、好ましくはγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンと、分子内に少なくとも一個の水酸基と少なくとも一個のエーテル結合を含有する沸点100〜300℃の液体の混合溶剤が好ましく使用される。特に分子内に少なくとも一個の水酸基と少なくとも一個のエーテル結合を含有する沸点100〜300℃の溶剤の使用は塗布性の良好な組成物を得るために好ましいとともに、得られるポリイミド前駆体溶液への顔料分散を改良するものである。この様な有機溶剤成分としては、例えば3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、プロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、トリプロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、プロピレングリコ−ル−モノ−3級−ブチルエ−テル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビト−ル、エチルカルビト−ル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0024】
本発明の顔料分散液は顔料分散ポリイミド前駆体溶液を経て、主としてカラーフィルター用の着色塗膜を形成するために用いられるので、本発明に使用される顔料としては、透明性が高く、耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れたものが好ましい。代表的な顔料の具体例をカラーインデックス(CI)ナンバーで示すと、黄色顔料の例としてはピグメントイエロー20、24、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、153、154、166、173等が挙げられるがこれらに限定されない。オレンジ色顔料の例としてはピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65等が挙げられるがこれらに限定されない。赤色顔料の例としてはピグメントレッド9、97、122、123、144、149、166、168、177、180、192、215、216、224等が挙げられるがこれらに限定されない。紫色顔料の例としてはピグメントバイオレット19、23、29、32、33、36、37、38等が挙げられるがこれらに限定されない。青色顔料の例としてはピグメントブルー15(15:3、15:4、15:6、など)、21、22、60、64、等が挙げられるがこれらに限定されない。緑色顔料の例としてはピグメントグリーン7、10、36、47等が挙げられるがこれらに限定されない。黒色顔料の例としてはピグメントブラック7等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
上記顔料は実用的には数色組み合わせて調色され使用されるものである。
【0026】
これらの原料は必要に応じてロジン処理、酸性基処理、塩基性基本処理などの表面処理がなされているものである。
【0027】
本発明の顔料分散ポリイミド前駆体溶液を作製するには、顔料とポリイミド前駆体溶液を直接混合分散させても良いが、あらかじめ顔料をγ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンのごとくポリイミド前駆体溶液と相溶する有機溶剤中で分散させておき、これにポリイミド前駆体溶液を混合せしめても良い。γ−ブチロラクトン等のラクトン類は特に顔料の分散性が良好である。また顔料の分散に際してはアルカリ金属を含まない界面活性剤や高分子系の分散剤が好ましく使用され、特にポリアミック酸オリゴマー(繰り返し数2〜10程度)等が有効に使用できる。これら分散剤の使用は通常、顔料100重量部に対して1〜20重量部の範囲から選ばれるが、これに限定されない。
【0028】
本発明のポリイミド前駆体溶液の良好な顔料分散性はポリイミド前駆体が主としてオリゴマーからなり、化学構造および溶剤選択の幅が大きいことから種々の変性が可能なことに起因しているものである。
【0029】
本発明のポリイミド前駆体溶液において、特にポリアミンイミド前駆体溶液はそのアミン結合に起因して顔料の分散安定性が良好である。
【0030】
顔料分散ポリイミド前駆体溶液を主成分とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物における顔料の添加量はポリイミド前駆体100重量部に対して1〜300重量部の範囲が好ましく、さらには25〜200重量部が好ましく、特に形成する塗布膜の着色度、物性のバランスの点で特に50〜150重量部が好ましい。
【0031】
本発明の顔料分散ポリイミド前駆体溶液にベンゾイントシレート、トリ(ニトロベンジル)フォスフェート、トリアニソインフォスフェート、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等の公知の光酸発生剤、ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、ジ(メトキシベンジル)ヘキサメチレンジカルバメート等の公知の光塩基発生剤またはアクリルモノマーと公知の光重合開始剤、増感剤等を加えて感光性の顔料分散ポリイミド前駆体溶液を得ることができる。特に感光性顔料分散ポリイミド前駆体溶液のポリイミド前駆体構造としてはポリアミンイミド前駆体にグリシジルメタアクリレートを反応せしめた化合物が感度において優れている。
【0032】
また、本発明の顔料分散ポリイミド前駆体溶液に公知の界面活性剤、消泡剤等を添加することができ、また公知のポリイミド前駆体溶液を混合して使用することもできる。
【0033】
本発明の顔料分散ポリイミド前駆体溶液を主成分とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物は光学素子の遮光膜、光ファイバーの被覆膜、液晶表示素子のカラーフィルターなどに用いられる。
【0034】
本発明の顔料分散ポリイミド前駆体溶液を主成分とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の代表的な用途であるカラーフィルターを例に使用方法の一例を示す。
【0035】
透明基板上に顔料分散ポリイミド前駆体溶液で例えばG(グリーン)の着色塗膜を形成する。塗布はスピンナー、スプレー塗布、デイップコーテイング、ロールコーテイング、ダイコーテイング等の方法が適用される。乾燥はオーブン、ホットプレートまたは赤外線を使用し50〜180℃の範囲で数時間〜数秒行なわれ、硬化があまり進行しない範囲が好ましい。この上にパターン形成用のフォトレジストを塗布し、フォトレジスト層を形成する。続いて露光装置を用いてフォトレジスト層被膜上にマスクを置き、化学線を照射して露光する。ポジ型フォトレジストを使用した場合には該ポジ型フォトレジストの現像液でフォトレジスト層の現像、ポリイミド前駆体着色塗膜のエッチングを同時に行う。エッチング後、不要となったフォトレジスト層を通常はアセトン、セロソルブ、またはプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート系の溶剤で剥離除去する。ポリイミド前駆体着色塗膜を熱処理し、G(グリーン)の着色塗膜のパターン加工を終える。熱処理温度は最終的に180〜400℃、好ましくは180〜350℃であり、温度に応じて5時間〜5分が適用される。
【0036】
以上の工程をR(レッド)、B(ブルー)の画素および必要に応じてBK(ブラック)(ブラックマスク)について繰り返すと、カラーフィルターが作製できる。
【0037】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0038】
調製例1
4,4´−ジアミノジフェニルエーテル40.04g(0.2モル)をN−メチル−2−ピロリドン47gと3−メチル−3−メトキシブタノ−ル45gの混合液に加え、50℃で1時間加熱攪拌して溶解させた。この溶液に無水マレイン酸19.61g(0.2モル)をγブチロラクトン46.4gに溶解した溶液を30分間で滴下した後、105℃で2時間加熱攪拌して30.0重量%のポリアミンイミド前駆体溶液を得た。この溶液の粘度は132センチポイズ(25℃)であった。
【0039】
調製例2
4,4´−ジアミノジフェニルエーテル100.1g(0.5モル)をγブチロラクトン400.0gおよび3−メチル−3−メトキシブタノ−ル392.5gの混合液に加え、50℃で1時間加熱攪拌して溶解させた。この溶液に無水ナジック酸164.06g(1.0モル)を添加して50℃で1時間加熱攪拌して溶解させ25.0重量%のポリナジックイミド前駆体溶液を得た。この溶液の粘度は25.8センチポイズ(25℃)であった。
【0040】
調製例3
4,4´−ジアミノジフェニルエーテル10.01g(0.05モル)をN−メチル−2−ピロリドン22.9gに溶解し、50℃で2時間攪拌した後、無水マレイン酸9.81g(0.1モル)をN−メチル−2−ピロリドン22.9gに溶解した溶液を30分間で滴下した。さらに無水ナジック酸16.4g(0.1モル)をγブチロラクトン38.3gに溶解した溶液を添加し、次いでメタキシリレンジアミン13.6g(0.1モル)をN−メチル−2−ピロリドン31.7gに溶解した溶液を30分間で滴下した後、50℃で1時間攪拌し、30.0重量%のポリアミンナジックイミド前駆体溶液を得た。
【0041】
この溶液にハイドロキノンモノメチルエーテル0.032gを添加して、75℃攪拌下にグリシジルメタアクリレート14.2g(0.1モル)を3−メチル−3−メトキシブタノ−ル33.1gに溶解した溶液を30分間で滴下した後、75℃でさらに2時間攪拌して、メタアクリロイル基導入のポリアミンナジックイミド前駆体溶液とした。
【0042】
調製例4
3,3´−ジアミノジフェニルスルフォン94.95g(0.3825モル)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン5.59g(0.025モル)、1,2−ジアミノアントラキノン21.44g(0.09モル)をγブチロラクトン1513gに加え、50℃で2時間攪拌した後、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物145.0g(0.45モル)を約30分で添加し、顔料分散剤として使用する15重量%のオリゴアミド酸溶液を得た。
【0043】
調製例5
4,4´−ジアミノジフェニルエーテル150.15g(0.75モル)、3,3´−ジアミノジフェニルスルフォン49.6g(0.20モル)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン11.18g(0.05モル)をγブチロラクトン2333gに加え、60℃で2時間攪拌した後、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物157.89g(0.49モル)およびピロメリット酸二無水物109.0g(0.50モル)を約30分で添加した。さらに65℃で3時間、加熱攪拌して17重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0044】
調製例6
ピグメントレッド177(チバガイギー(株)製クロモフタールレッドA3B)5.0gとピグメントイエロー83の1.5gをγ−ブチロラクトン60gおよび3−メチル−3−メトキシブタノ−ル30gの混合液に加え、調製例4で合成したオリゴアミド酸2gを顔料分散剤として、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて、7000rpmで30分間分散後、ガラスビーズを濾過・除去して、顔料分散液を得た。
【0045】
調製例7
ピグメントレッド177の4.17g(チバガイギー(株)製クロモフタールレッドA3B)、ピグメントイエロー83 1.23gをγ−ブチロラクトン90gに加え、調製例4で合成したオリゴアミド酸2gを顔料分散剤として、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて、7000rpmで30分間分散後、ガラスビーズを濾過・除去して、顔料分散液を得た。
【0046】
実施例1
調製例7で得た顔料分散液140gを室温で攪拌しながら、これに調製例1で得たポリアミンイミド前駆体溶液30gを10分間で添加し、本発明の着色顔料分散ポリアミンイミド前駆体溶液を得た。本分散液をガラス基板上に加熱後ポリアミンイミドとなった際の膜厚みが1.0μmとなるようにスピンナーで塗布、120℃で20分間乾燥し、冷却後、この上にポジ型フォトレジスト(東京応化(株)製OFPR−800)を乾燥後の膜厚みが1.0μmとなるようにスピンナーで塗布、90℃で10分間乾燥した。キャノン(株)製紫外線露光機PLA−501Fを用いて、クロム製のフォトマスクを介して150mJ/cm2 (365nmの紫外線強度)露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミンイミド前駆体着色塗膜のエッチングを同時に行なった。エッチング後、不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離した。このようにして得られたパターン状にエッチングされたポリアミンイミド前駆体着色塗膜を260℃で30分間熱処理して、ポリアミンイミドに転換した。
【0047】
このようにして得られた着色塗膜のコントラストは1120であり、この塗膜を顕微鏡下1000倍で観察したところ、顔料の凝集は認められず、一様に分散していた。
【0048】
またこの顔料分散ポリアミンイミド前駆体組成物を25℃で1月間放置したが、安定な顔料分散状態を保っていることがわかった。
【0049】
ここでコントラストの測定法としては、
バックライト(明拓システム)上で色彩輝度計(トプコンBM−5A)にて2度視野で試料の平行ニコル状態、すなわち試料を挟んだ位置にある偏光板の偏光軸が平行配置にある場合の輝度(I平行)と直交ニコル状態での輝度(I直交)を測定し、平行ニコル状態での輝度と直交ニコル状態での輝度との比(I平行/I直交)をコントラストとした。
【0050】
以下の実施例でも同様である。
【0051】
比較例1
3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147gをN−メチル−2−ピロリドン775gとともに仕込み、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル95.1gおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン6.2gを添加し、60℃で3時間反応させ、粘度730ポイズのポリイミド前駆体溶液を得た。
【0052】
調製例7で得た顔料分散液140gを室温で攪拌しながら、これに上記のポリイミド前駆体溶液50gを10分間で添加し、着色顔料分散ポリイミド前駆体溶液を得た。実施例1と全く同様にして、本分散液からポリイミドの着色塗膜を得た。このようにして得られた着色塗膜のコントラストは250であり、この塗膜を顕微鏡下1000倍で観察したところ、顔料の凝集が認められた。
【0053】
またこの顔料分散ポリイミド前駆体組成物を25℃で1月間放置したところ、組成物の分離が生じていた。
【0054】
実施例2
調製例6で得られた顔料分散液140gを室温で攪拌しながら、これに調製例2で得たポリナジックイミド前駆体溶液40gを10分間で添加した後、調製例5で得たポリアミド酸溶液10gを5分間で添加し、本発明の着色顔料分散ポリナジックイミド前駆体溶液を得た。本分散液をガラス基板上に加熱後ポリナジックイミドとなった際の膜厚みが1.0μmとなるようにスピンナーで塗布、100℃で20分間乾燥した。本分散液から実施例1と全く同様にしてポリナジックイミドの着色塗膜を得た。このようにして得られた着色塗膜のコントラストは1030であり、この塗膜を顕微鏡下1000倍で観察したところ、顔料の凝集は認められず、一様に分散していた。
【0055】
実施例3
ピグメントグリーン7 24.75g、ピグメントイエロー83 3.75gを調製例1で得たポリアミンイミド前駆体溶液145gに加え、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて、7000rpmで30分間分散後、ガラスビーズを濾過・除去して、顔料分散ポリアミンイミド前駆体溶液を得た。本分散液から実施例1と全く同様にしてポリナジックイミドの着色塗膜を得た。このようにして得られた着色塗膜のコントラストは615であり、この塗膜を顕微鏡下1000倍で観察したところ、顔料の凝集は認められず、一様に分散していた。
【0056】
実施例4
ピグメントブルー15 30.0gを調製例1で得たポリアミンイミド前駆体溶液137gに加え、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて、7000rpmで30分間分散後、ガラスビーズを濾過・除去して、顔料分散ポリアミンイミド前駆体溶液を得た。本分散液から実施例1と全く同様にしてポリナジックイミドの着色塗膜を得た。このようにして得られた着色塗膜のコントラストは615であり、この塗膜を顕微鏡下1000倍で観察したところ、顔料の凝集は認められず、一様に分散していた。
【0057】
実施例5
調製例3で得たメタアクリロイル基導入のポリアミンナジックイミド前駆体溶液100gにアクリルモノマーとして2,2,4,4,6,6,−ヘキサキス(メタアクリロキシエチレンオキシ)−1,3,5,2,4,6,−トリアザトリフォスフォリン15gと、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1 1.0g、増感剤として4,4´−ジ(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン 1g、基板接着性改良剤としてγアミノプロピル−メチル−ジエトキシシラン 1gを添加、混合・溶解し感光性のポリアミンナジックイミド前駆体溶液とした。
【0058】
調製例7で得られた顔料分散液140gを室温で攪拌しながら、これに上記の調製で得た感光性のポリアミンナジックイミド前駆体溶液20gを10分間で添加し、本発明の着色顔料分散ポリアミンナジックイミド前駆体溶液を得た。本分散液をガラス基板上に加熱後ポリアミンナジックイミドとなった際の膜厚みが1.0μmとなるようにスピンナーで塗布、130℃で20分間乾燥、冷却後、キャノン(株)製紫外線露光機PLA−501Fを用いて、クロム製のフォトマスクを介して250mJ/cm2 (365nmの紫外線強度)露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.5%の水溶液からなる現像液に浸漬し、ポリアミンナジックイミド前駆体着色塗膜の未露光部のエッチングを行なった。このようにして得られたパターン状にエッチングされたポリナジックアミンイミド前駆体着色塗膜を260℃で30分間熱処理して、ポリアミンナジックイミドに転換した。
【0059】
このようにして得られた着色塗膜のコントラストは520であり、この塗膜を顕微鏡下1000倍で観察したところ、顔料の凝集は認められず、一様に分散していた。
【0060】
実施例6
実施例4においてピグメントブルー15 30.0gの代わりにカーボンブラック 35gを使用して、同様の操作で遮光材(BL)分散の着色塗膜を得た。
実施例7
添付のカラーフィルタ製造プロセス概念図に示されるごとく、洗浄した1mm厚みのガラス基板上に公知の技術でクロムメッキ・フォトリソ・エッチングでパターニングを行ないブラックマスクとなる0.1μm厚みのクロムパターンを形成せしめた。このクロムパターン形成ガラス基板上に、実施例1に示される手法で、添付図Rで示される画素を形成させた。
【0061】
この上に実施例3と同様操作でGで示される画素を形成させた。さらにこの上に実施例4と同様操作でBで示される画素を形成させた。この上に1μm厚みのポリイミドシロキサン系の透明保護膜層を形成せしめた後、公知の技術でITO層を形成せしめてカラーフィルタを得た。
【0062】
【発明の効果】
本発明の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物は顔料の分散性と安定性に優れ、この組成物から耐熱性、耐光性、耐薬品性とコントラスト比の良好なカラーフィルターを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラーフィルタの製造プロセス概念図を表すものである。
Claims (9)
- 無水マレイン酸および/または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られるマレイン酸アミドおよび/またはナジック酸アミド構造を含有するポリイミド前駆体オリゴマーと顔料とを含有する顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物。
- ポリイミド前駆体が分子中に光反応性二重結合基を有していることを特徴とする請求項1記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物。
- 光反応性二重結合基が3−(メタアクリロイルオキシ)−2−(ヒドロキシ)プロピルアミノ基であることを特徴とする請求項2記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物。
- 顔料分散ポリイミド前駆体溶液がアクリルモノマー、および、光重合開始剤および/または増感剤を含有することを特徴とする請求項1記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物。
- R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)またはBL(ブラック)に着色されていることを特徴とする請求項1記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物。
- 無水マレイン酸および/または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られる無水マレイン酸アミドおよび/またはナジック酸アミド構造を有するポリイミド前駆体オリゴマーの溶液中で顔料を分散する工程を含むことを特徴とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の製造方法。
- ラクトン類を主溶剤とし分散された顔料を主成分とする顔料分散液に、無水マレイン酸および/または無水ナジック酸と多価アミン化合物を反応せしめて得られる無水マレイン酸アミドおよび/またはナジック酸アミド構造を有するポリイミド前駆体オリゴマーの溶液を添加する工程を含むことを特徴とする顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の製造方法。
- 顔料がポリアミック酸オリゴマーを分散剤として分散されたものであることを特徴とする請求項7記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物の製造方法。
- 透明基板上に請求項1〜5のいずれかに記載の顔料分散熱硬化性樹脂溶液組成物から得られた硬化膜を有することを特徴とするカラーフィルター。
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