JP2009051891A - 着色樹脂組成物およびカラーフィルター - Google Patents

着色樹脂組成物およびカラーフィルター Download PDF

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Abstract

【課題】カラーフィルター製造工程における着色剤の昇華または分解、ITOスパッタによる着色層のしわ発生を抑制し、さらに顔料の分散性および現像特性に優れたカラーフィルターを製造できる着色樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリイミド前駆体混合物、溶媒、および顔料を含有する着色樹脂組成物において、該ポリイミド前駆体混合物が、少なくとも3成分以上のポリイミド前駆体の混合物であって、該ポリイミド前駆体混合物が、イミド化後に単一のガラス転移温度を有し、かつ該ガラス転移温度が270℃以上であることを特徴とする着色樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリイミド前駆体混合物、溶媒、および顔料からなる着色樹脂組成物に関するものであり、さらにその着色樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置に用いられるカラーフィルターに関するものである。
ポリイミド樹脂は、耐熱性、電気絶縁性、強靭性および耐薬品性に優れているため、電子材料として広く使用されており、一般には、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとをN−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒中において付加重合させて得られるポリイミド前駆体をイミド閉環させて用いられる。特に、電子材料用途では、ポリイミド前駆体をN−メチル−2−ピロリドンまたはγ−ブチロラクトンなどの極性溶媒に均一に溶解させた溶液あるいはポリイミド前駆体と顔料、フィラー等を極性溶媒に均一に溶解または分散させた溶液をシリコンウエハーやガラス基板に塗布し、100〜150℃で溶媒乾燥を施した後に、フォトリソグラフィー法によるパターン加工を経て、250〜300℃以上の高温によってイミド化を完結させてポリイミド化して各用途に供される。
カラー液晶表示装置用のカラーフィルターにおいては、透明基板に複数の異なる着色画素(例えば、赤、緑、青の光の3原色)を規則正しく配置する。カラーフィルターの製造方法としては、透明基板に感光性着色組成物を塗布しフォトリソグラフィー技術によってパターン加工し着色画素を形成する方法と、透明基板に非感光性着色樹脂組成物と感光性ポジ型レジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術によってパターン加工し着色画素を形成する方法が一般的に用いられている。ポリイミド前駆体を着色画素の主成分とするカラーフィルターの場合には、ポリイミド前駆体溶液に顔料を分散させた非感光性着色組成物を用いる手法が一般的である。
芳香族あるいは脂肪族のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応して得られるポリイミド前駆体溶液に顔料を分散させた組成物およびその用途に関するものとしては液晶ディスプレイや撮像素子などに用いられる耐光性、耐熱性、耐薬品性等に優れたカラーフィルター用のポリイミド前駆体と顔料からなる組成物、およびそれを用いて形成されたカラーフィルターが知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
なお、特許文献2においては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンからなるポリイミド前駆体を用いたカラーフィルター用着色樹脂組成物、特許文献4においては、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物とジアミンからなるポリイミド前駆体を用いたカラーフィルター用着色樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献5においては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物とジアミンからなるポリイミド前駆体により流動性、耐熱性、透過性に優れたカラーフィルター用の着色樹脂組成物が知られている。
さらに、特許文献6においては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体と3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体と4,4’−オキシジフタル酸二無水物とジアミンとからなる3成分のポリイミド前駆体を混合使用することが開示されている。
しかし、これらいずれの特許文献においても、本発明者らにより発見されたポリイミド前駆体の特定組成のブレンドにより、単一の高いガラス転移温度を有するポリイミド樹脂に転化されること、さらに特定組成のポリイミド前駆体混合物は、顔料分散時に使用する有機溶媒への溶解性やパターン加工の際の現像に使用するアルカリ性現像液への溶解性が良好となり、高精細・微細なパターン形成の安定的な製造が可能なカラーフィルター用着色樹脂組成物となることについての記載や示唆は全くない。
非感光性ポリイミド前駆体を使用した着色樹脂組成物には、パターン加工後の250〜300℃以上の高温化でのイミド化工程において、着色剤である顔料が昇華または分解し、カラーフィルター製造工程での発塵の原因となりカラーフィルター製造の歩留まりが低下したり、カラーフィルター膜表面に析出しカラーフィルターのコントラストを低下させて、カラーフィルターの性能及び品質を著しく低下させたりするという問題があり、使用できる顔料やその使用量に制限があった。
このような問題に対して、ガラス転移温度270℃以上のポリイミド樹脂を使用することが知られている(特許文献7)。さらに、ガラス転移温度270℃以上のポリイミド樹脂においては、カラーフィルターのITO成膜工程でのITOスパッタによる着色被膜のダメージを抑制する効果も同様に知られている(特許文献7)。
しかし、一般にガラス転移温度の高いポリイミド樹脂に転換されるポリイミド前駆体は、その前駆体においても分子間の凝集力が強いため、顔料分散時に使用する有機溶媒への溶解性が低いという問題やパターン加工時の現像に使用するアルカリ性現像液への溶解性が低いという問題があり、特に、パターン加工時に、近年、カラー携帯電話に代表されるモバイル用途での液晶表示装置に使用されるカラーフィルター製造の際に問題が生じる。
カラー携帯電話に代表されるモバイル用途では、液晶表示装置の高性能化に伴ってカラーフィルターの高精細化が要求されており、開口部のピッチ幅を狭めることが行われている。さらに、カラー携帯電話向けの液晶表示装置の主流である半透過型液晶表示装置においては、カラーフィルターの一画素内の開口部に透過用領域と反射用領域を備え、さらに反射と透過の色度の合わせ込みのため、反射用領域の着色画素に数〜数+μmという小径の微細なホール加工を行ない色材層の無い領域を形成することが知られている(非特許文献1)。
このような高性能化に伴って狭い画素ピッチ間で微細なホール加工を高精度で行う必要があり、該ホールの加工面積に製造ばらつきがあったり、ホール内に着色樹脂組成物の残渣があった場合には、液晶表示装置の反射色表示において色がばらついたり、設計の色が表示できないという問題が生じる。
特に半透過型のホール加工を要するカラーフィルターでは、ガラス転移温度の高いポリイミド樹脂に転換されるポリイミド前駆体の使用は、パターン加工時の現像に使用するアルカリ性現像液への溶解性が低いため、該ホール加工のパターニング精度が悪く、該ホールの加工面積の製造バラツキが大きく、また該ホール内の着色樹脂組成物の残渣により、反射表示において設計通りの色が表示できないといった問題が生じる。
特開昭60−184202号公報 特開昭60−184203号公報 特開昭61−180203号公報 特開平2−130528号公報 特開平10−170714号公報 特開平2000−136253号公報 特開平2000−275423号公報 久保田著「高色再現性LCD用カラーフィルター」月間ディスプレイ、2003年6月発行、p74〜79
本発明の目的は、カラーフィルター製造工程における着色剤の昇華または分解、ITOスパッタによる着色層のしわ等の不具合の発生がなく、さらに顔料の分散性およびパターン加工性に優れた着色樹脂組成物を提供することにあり、本発明の着色樹脂組成物により高生産性でかつ高品位なカラーフィルターを製造し、表示品位の高い液晶表示装置に最適なカラーフィルターを提供することにある。
かかる本発明の目的は以下の構成により達成される。
(1)ポリイミド前駆体混合物、溶媒、および顔料を含有する着色樹脂組成物において、該ポリイミド前駆体混合物が、少なくとも3成分以上のポリイミド前駆体の混合物であって、該ポリイミド前駆体混合物が、イミド化後に単一のガラス転移温度を有し、かつ該ガラス転移温度が270℃以上であることを特徴とする着色樹脂組成物。
(2)ポリイミド前駆体混合物が、少なくとも下記(A)、(B)、(C)のポリイミド前駆体の混合物であることを特徴とする(1)に記載の着色樹脂組成物。
(A)酸二無水物とジアミンを反応させてなるポリイミド前駆体であって、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体。
(B)酸二無水物とジアミンを反応させてなるポリイミド前駆体であって、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体。
(C)酸二無水物とジアミンを反応させてなるポリイミド前駆体であって、4,4’−オキシジフタル酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体。
本発明の着色樹脂組成物により、着色剤の昇華または分解、ITOスパッタによる着色層のしわ発生が抑制でき、ポリイミド前駆体の有機溶媒への溶解性やパターン加工時のアルカリ性現像液への溶解性が向上し、高精細・微細パターンのカラーフィルターを高品位で製造できる着色樹脂組成物を提供することが可能になった。
本発明者らは、ポリイミド前駆体のポリマーブレンドにより、ポリイミド前駆体混合物のイミド化後に得られるポリイミド樹脂のガラス転移温度とポリイミド前駆体混合物の有機溶媒およびアルカリ性現像液への溶解性を両立させることを鋭意検討した結果、特定の酸無水物からなる3成分以上のポリイミド前駆体をブレンドして得られるポリイミド前駆体混合物が特定組成において、成分ポリイミド前駆体のイミド化後のガラス転移温度の重量分率の加重平均で予測されるガラス転移温度よりも約20℃も高い単一のガラス転移温度を有するポリイミド樹脂に転換されるという従来の知見では予想すらできない現象を発見した。
さらに、このポリイミド前駆体混合物は、イミド化後は高いガラス転移温度を有するポリイミド樹脂に転換されるものの、ポリイミド前駆体混合物としては、顔料分散時に使用する有機溶媒への溶解性やパターン加工時の現像に使用するアルカリ性現像液への溶解性が良好であることを見いだした。
単独のポリイミド前駆体は、イミド化後のガラス転移温度が低い場合は顔料分散時に使用する有機溶媒への溶解性やパターン加工時の現像に使用するアルカリ性現像液への溶解性が良好であるものの顔料の昇華や分解の抑制に効果が少ない。また、逆にガラス転移温度が高いポリイミド前駆体は、顔料の昇華や分解およびITO成膜時のしわ等の不具合発生に効果はあるものの、ポリイミド前駆体として、ガラス転移温度が高いために分子間の凝集力が強く、有機溶媒への溶解性やアルカリ性現像液への溶解性が低い。この様な単独では使用困難なポリイミド前駆体の両方の場合においても、特定の酸無水物からなる3成分以上のポリイミド前駆体をブレンドして得られるポリイミド前駆体混合物は、イミド化後にガラス転移温度が高いポリイミド樹脂に転換され、かつ有機溶媒やアルカリ性現像液への溶解性が良好であることを見いだすに至り、顔料の昇華や分解およびITO成膜時のしわ等のない高品位なカラーフィルターの製造および高精細・微細なパターン形成の安定的な製造が可能なカラーフィルター用着色樹脂組成物を見いだすに至った。
以下、本発明を更に詳細に説明する。本発明でのポリイミド前駆体は、酸二無水物とジアミンを反応せしめて得られる直鎖状のポリマーであって、通常次一般式(1)で表されるポリイミド前駆体である。
Figure 2009051891
ここでR1 は炭素数2〜22の4価の有機基、R2 炭素数1〜22の2価の有機基、nは1または2で、重量平均分子量が2000以上の重合体である。耐熱性および絶縁性を要求されることから、一般に芳香族系の酸二無水物および/またはジアミンが好ましく用いられる。
本発明におけるポリイミド前駆体混合物は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体(A)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体(B)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体(C)の少なくとも(A)および(B)および(C)を含有する3成分以上からなるポリイミド前駆体混合物であるが、酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物ならびに公知の芳香族テトラカルボン酸二無水物を2種以上組み合わせて使用することができる。また、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物以外の公知の酸二無水物からなるポリイミド前駆体を混合してもよい。本発明での芳香族テトラカルボン酸として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物の他に、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のテトラカルボン酸二無水物を用いると、短波長領域での透明性が良好なポリイミドに変換しうるポリイミド前駆体組成物を得ることができる。その具体的な例としては、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などが好ましく挙げられる。これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物の1種または2種以上を併用して使用することができる。
また、芳香族系ジアミンの例として、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンのうちの1種または2種以上を併用して使用することができる。さらに好ましくは、ジアミン成分の少なくとも一部がパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンのうちの1種または2種以上であることが好ましい。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体(A)のジアミンとしては、少なくとも3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンのうちの1種または2種以上であることがより好ましい。特に好ましくは、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンである。
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体(B)のジアミンとしては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンのうちの1種または2種以上であることがより好ましい。特に好ましくは、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンである。
4,4’−オキシジフタル酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体(C)のジアミンとしては、少なくともパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンのうちの1種または2種以上であることがより好ましい。特に好ましくは、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンである。
特に、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンに代表されるシロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下する。
さらに、必要に応じて、末端封止剤として、無水マレイン酸や無水フタル酸などの酸無水物を添加しても何ら差し支えない。また、ガラス板、シリコンウエハーなどの無機物との接着性を向上させる目的で、芳香族系化合物以外に、Si系酸無水物が好ましく用いられる。
また、低複屈折性などの光学特性を改良するために酸二無水物および/またはジアミンの一部に脂環式化合物を用いることは本発明を何ら妨げるものではない。脂環式化合物は公知のものでよい。具体例としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エンド−3−エンド−5−エクソ−6−エクソ−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エクソ−3−エクソ−5−エクソ−6−エクソ−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、デカハイドロ−ジメタノナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス[2−(3−アミノプロポキシ)エチル]エーテル、1,4−ブタンジオール−ビス(3−アミノプロピル)エ−テル、3、9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ−5,5−ウンデカン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、トリエチレングリコール−ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリエチレングリコール−ビス(3−アミノプロピル)エーテル、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ−5,5−ウンデカン、1,4−ブタンジオール−ビス(3−アミノプロピル)エ−テル等が用いられる。
ポリイミド前駆体の合成は、極性有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより行うのが一般的である。この時、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの混合比により得られるポリイミド前駆体の重合度を調節することができる。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒が使用されるほか、着色剤である顔料の分散効果を高めるため、ラクトン類が主成分もしくはラクトン類単独からなる溶媒も好ましい。ここでラクトン類を主成分とする溶媒とは、混合溶媒であって該混合溶媒中のラクトン類溶媒の合計量の全溶媒中に占める重量比が最大である溶媒をいう。ラクトン類とは脂肪族環状エステルで炭素数3〜12の化合物をいう。具体的な例として、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられるがこれらに限定されない。とくにポリイミド前駆体の溶解性の点で、γ−ブチロラクトンが好ましい。また、ラクトン類以外の溶媒としては上記アミド系極性溶媒の他に例えば3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテ−ト、プロピレングリコール−モノ−メチルエーテル、プロピレングリコール−モノ−メチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール−モノ−メチルエーテル、トリプロピレングリコール−モノ−メチルエーテル、プロピレングリコール−モノ−3級ブチルエーテル、イソブチルアルコール、イソアミルアルコール、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトール、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明のポリイミド前駆体およびその混合物のイミド化後のガラス転移温度とは、DSC(示差走査熱量計)で測定されたガラス転移温度の中心温度のことである。特に、DSC(示差走査熱量計)としては、ティー・エイ・インスツルメント社(米国)製の温度変調示差走査熱量計のような、温度変調DSC法であることが好ましい。温度変調DSC法とは、リニアー昇温の上にサイン波状の温度変調を加えて昇温する測定方法であり、この方法によるとガラス転移などの可逆成分と脱水、硬化、結晶化などの不可逆成分とに分離することができ、特に可逆成分であるガラス転移温度を高感度で検出することが可能であり、特に好ましく用いられるが、通常のリニアー昇温のみによるDSC法であっても構わない。DSCによるガラス転移温度は、DSC曲線上で一般に階段関数的な変化として観測されるが、本発明においては、昇温によりガラス転移温度開始時に見られる階段関数的な変化の開始点(ガラス転移開始温度)とその終了点である階段関数的な変化の終了点(ガラス転移終了温度)から作図により階段関数的な変化の中心温度を求めたガラス転移中心温度をガラス転移温度とする。なお、ポリイミド前駆体のイミド化は、極性溶媒中で合成したポリイミド前駆体溶液およびその混合物をガラス基板やシリコンウエハー上にスピナー塗布後、100〜150℃で溶媒乾燥を施した後、250〜300℃以上の高温下でイミド化を完結させた後、基板上からポリイミド膜部分を削り取り、DSC測定試料として用いる。
本発明でのポリイミド前駆体混合物は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体(A)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体(B)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体(C)の少なくとも(A)および(B)および(C)を含有することを特徴とする3成分以上からなるポリイミド前駆体混合物であって、イミド化後のガラス転移温度が270℃以上であることが好ましく、270℃未満では、顔料の昇華や分解物の表面析出を抑制する効果が不足し、ITOスパッタ時の着色画素でのしわなどの不良が発生するので好ましくない。ポリイミド混合物のガラス転移温度は、270℃以上であることが好ましいが、ガラス転移温度が高くなりすぎると、前駆体混合物の有機溶媒やアルカリ性現像液への溶解性が低下するので注意を要する場合がある。
ポリイミド前駆体混合物中のポリイミド前駆体(A)、(B)、(C)の重量組成については、ポリイミド前駆体混合物の全重量を1としたとき、ポリイミド前駆体(A)の重量分率が、0.2以上であることが好ましい。ポリイミド前駆体(A)の重量分率が、0.2未満の場合、アルカリ性現像液への溶解性が著しく低下するため、パターン形成が不十分となり、パターン精度が悪化したり、本来、現像により基板より除去し、露出させなければならない面に残膜や残渣として着色皮膜が残るので好ましくない。
本発明で用いられる顔料には特に制限はないが、耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れた物が望ましい。代表的な顔料の具体的な例をカラーインデックス(CI)ナンバーで示す。赤色顔料の例としては、ピグメントレッド(PR)2、3、22、38、149、166、168、177,206、207、209、224、242、254、ピグメントオレンジ(PO)5、13、17、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、ピグメントイエロー(PY)12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150,153、154、166、173、185、ピグメントグリーン(PG)7、10、36、47、ピグメントブルー(PB)15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、21、22、60、64、ピグメントバイオレット(PV)19、23、29、32、33、36、37、38、40、50などが挙げられる。本発明ではこれらに限定されずに種々の顔料を使用することができる。これらの顔料は1種類のみで使用しても良く、2種類以上で組み合わせて使用しても良い。上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用してもよい。
なお、PR(ピグメントレッド)、PY(ピグメントイエロー)、PG(ピグメントグリーン)、PV(ピグメントバイオレット)、PO(ピグメントオレンジ)等は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)の記号であり、正式には頭にC.I.を付するものである(例えば、C.I.PR254など)。これは顔料や染色の標準を規定したものであり、それぞれの記号は特定の標準となる顔料とその色を指定するものである。なお、以下の本発明の説明においては、原則として、前記C.I.の表記は省略する(例えば、C.I.PR254ならば、PR254)。
本発明では、一般に250〜300℃以上の高温で行われるポリイミド前駆体のイミド化工程での耐熱性に問題のある赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料に対して特に効果的である。
このような顔料として、赤色顔料としては、特にアントラキノン系および/またはジケトピロロピロール系の赤色顔料であるカラーインデックスPR177やPR254を好適に用いることができ、黄色顔料としては、キノフタロン系、アゾ系、イソインドリン系顔料、ニッケルアゾ錯体系、およびメチン・アゾメチン系黄色顔料で、黄色顔料のカラーインデックスPY17、PY83、PY129、PY138、PY139、PY150、PY185を好ましく用いることができる。さらに、紫色顔料としては、ジオキサジンバイオレット系紫色顔料で、カラーインデックスPV23を好適に用いることができる。
本発明での着色樹脂組成において、ポリイミド前駆体と顔料は、通常、重量比で10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30の範囲で混合して用いられる。樹脂の量が少なすぎると、着色樹脂組成物の被膜と基板との接着性が不良となる恐れがあり、逆に顔料の量が少なすぎると着色度が問題となる恐れがある。
本発明の着色樹脂組成物は、ポリイミド前駆体混合物、溶媒、顔料を含有する。本発明で用いられる溶媒としては特に制限はなく、一般的な有機溶媒を用いることができるが、ポリイミド前駆体を溶解する溶媒であることが望ましい。ポリイミド前駆体を溶解する溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などの極性有機溶媒が挙げられる。また、通常、単独ではポリイミド前駆体を溶解しない、エタノール、ブタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのプロピレングリコール誘導体類等の有機溶媒をポリイミド前駆体を溶解する溶媒と混合して用いることができる。通常、単独ではポリイミド前駆体を溶解しない溶媒としては、3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテ−ト、プロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、プロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テルアセテ−ト、ジプロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、トリプロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、プロピレングリコ−ル−モノ−3級−ブチルエ−テル、イソブチルアルコ−ル、イソアミルアルコ−ル、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテ−ト、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテ−ト、メチルカルビト−ル、メチルカルビト−ルアセテ−ト、エチルカルビト−ル、エチルカルビト−ルアセテ−ト等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、溶剤の使用量は特に限定されないが、樹脂の溶解に十分な量でありかつ適度な粘度を有する量であることが望ましい。
本発明での着色樹脂組成物では、分散機を用いて樹脂溶液中に直接顔料を分散させる方法や、分散機を用いて水または有機溶媒中に顔料を分散して顔料分散液を作製し、その後樹脂溶液と混合する方法などにより製造される。顔料の分散方法には特に限定はなく、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなど、種々の方法をとりうるが、分散効率と微分散化からビーズミルが好ましい。ビーズミルとしては、コボールミル、バスケットミル、ピンミル、ダイノーミルなどを用いることができる。ビーズミルのビーズとしては、チタニアビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズなどを用いるのが好ましい。
本発明での着色樹脂組成物においては、ガラス板、シリコンウエハーなどの無機物との接着性を向上させる目的で密着性改良剤を加えることができる。密着性改良剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤を使用することができる。また着色樹脂組成物の塗布性および着色膜の表面の均一性を良好にする目的で、あるいは、顔料の分散性を良好にする目的で、本発明の着色樹脂組成物に界面活性剤を添加することができる。
本発明での着色樹脂脂組成物は、基板上に、ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法などによって塗布し、この後、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥および硬化を行う。加熱条件は、使用する樹脂、溶媒、塗布量により異なるが、通常50〜400℃で、1〜300分加熱することが好ましい。さらに加熱乾燥および硬化は、常圧から減圧下で行うことが好ましいが、工程時間の短縮から減圧下でホットプレートを使用することがより好ましい。こうして得られた被膜は、通常、フォトリソグラフィーなどの方法を用いてパターン加工される。フォトレジストの被膜を形成した後に、露光現像を行い所望のパターンにする。その後、必要に応じて、フォトレジストを除去した後、加熱し硬化させる。熱硬化条件は、200〜350℃で1〜60分間加熱するのが一般的である。
本発明においては、この着色樹脂組成物を使用して液晶表示用カラーフィルターを製造することができる。
本発明のカラーフィルターにおいては、樹脂ブラックマトリックスおよび3原色の着色層を形成後、色材料の上に保護膜層を形成するのが好ましい。保護膜層の材質としては、エポキシ膜、アクリルエポキシ膜、アクリル膜、シロキサンポリマ系の膜、ポリイミド膜、ケイ素含有ポリイミド膜、ポリイミドシロキサン膜等が挙げられる。
さらに、必要に応じて、3原色の着色層を形成または、3原色の着色層の上に保護膜を形成後に透明導電膜を形成することができる。透明導電膜としてはITOなどの酸化物薄膜が採用され、通常0.1μm程度のITO膜がスパッタリング法や真空蒸着法などで作成される。
次に、本発明のカラーフィルター作製方法の一例について述べる。無アルカリガラスの上に公知の方法、例えば非感光性のポリイミド前駆体とカーボンブラックやチタン酸窒化物などの遮光材を含む黒色樹脂組成物を用いて、樹脂ブラックマトリックスを形成する方法や感光性樹脂組成物中に遮光材を分散させてなる樹脂ブラックマトリックス等を用いた方法あるいはCr、Al、Niなどの金属薄膜(厚さ約0.1〜0.2μm)で作成しても構わない。ブラックマトリックスの開口部を埋めるように赤色着色層を形成する。同様にして、緑色着色層をブラックマトリックスの開口部に、次いで、青色着色層をブラックマトリックスの開口部に形成する。次に、必要に応じて保護膜を形成後、透明導電膜を積層することにより、本発明のカラーフィルターが完成する。
なお、本発明でのカラーフィルターにおいては、カラーフィルター上に固定されたスペーサーを形成してもよい。固定されたスペーサーとは、特開平4−318816号公報に示されるように液晶表示装置用基板の特定の場所に固定され、液晶表示装置を作製した際に対向基板と接するものである。これにより対向基板との間に、一定のギャップが保持され、このギャップ間に液晶が注入される。固定されたスペーサーを配することにより、液晶表示装置の製造工程において球状スペーサーを散布する工程や、シール剤内にロッド状のスペーサーを混練りする工程を省略することができる。固定されたスペーサーの形成は、フォトリソグラフィーや印刷、電着などの方法によって行われるが、スペーサーを容易に設計通りの位置に形成できるので、フォトリソグラフィーによって形成することが好ましい。また、該スペーサーはR、G、B画素の作製時に積層構造で形成してもR、G、B画素作製後に形成しても良く、保護膜の形成前後、透明電極形成前後のいずれであっても良い。
次に、このカラーフィルターを用いて作成した液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルターと電極基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびカラーフィルター側に固定スペーサーを形成しない場合においては、セルギャップ保持のための球状スペーサーを散布するか、もしくは電極基板側に予め固定スペーサーを形成し、スペーサーを介して対向させて貼りあわせる。なお、電極基板上には、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することにより液晶表示装置が完成する。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例に記した各種のサンプル作成、測定は次の方法によるものである。
〔ポリイミドのガラス転移温度測定〕
(1)測定装置:ティー・エイ・インスツルメント社(米国)製DSC2920を使用し温度変調DSC法によりガラス転移温度を測定した。
(2)測定温度範囲:約0〜420℃
(3)温度較正 :純水、インジウム、高純度スズの融点
(4)昇温速度 :2℃/分
(5)温度変調振幅:±1℃
(6)温度変調周期:60秒
(7)試料重量 :約5mg
(8)試料調整条件:ガラス基板上にポリイミド前駆体溶液またはポリイミド前駆体溶液混合物をスピナーで塗布し、熱風オーブンを使用して100℃/10minで溶媒乾燥後、さらに280℃/30min加熱処理してイミド化を完結させた後、ガラス基板より削り取り試料とした。
〔ポリイミド前駆体溶液の合成〕
(合成例1)
γ−ブチロラクトン(3331.7g)とN−メチル−2−ピロリドン(833.5g)の混合溶媒中で、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(403.4g)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン(26.3g)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(611.4g)を添加し、70℃で2.5時間反応させポリイミド前駆体溶液A1(ポリマー重量濃度20重量%)を得た。ポリイミド前駆体(A1)溶液から得られたポリイミド(PI−A1)を〔ポリイミドのガラス転移温度測定〕に記述した方法で測定した結果、ガラス転移温度は、247℃であった。
(合成例2)
γ−ブチロラクトン(3477.5g)とN−メチル−2−ピロリドン(687.7g)の混合溶媒中で、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(231.4g)、ジアミノベンズアニリド(211.8g)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン(24.4g) 、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(566.0g)を添加し、60℃で3時間反応させた。無水マレイン酸(7.7g)を添加し、さらに60℃で2時間反応させポリイミド前駆体(A2)溶液(ポリマー重量濃度20重量%)を得た。さらに(合成例1)と同様にして、ポリイミド前駆体A2から得られたポリイミド(PI−A2)のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は、282℃であった。
(合成例3)
γ−ブチロラクトン(4165.2g)中で4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(324.3g)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(107.2g)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(26.8g)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(347.9g)およびピロメリット酸二無水物(230.8g)を添加し、60℃で3時間反応させた後、無水マレイン酸(4.2g)を添加し、更に60℃で1時間反応させポリイミド前駆体(B)溶液(ポリマー重量濃度20%)を得た。さらに(合成例1)と同様にして、ポリイミド前駆体Bから得られたポリイミド(PI−B)のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は、281℃であった。
(合成例4)
γ−ブチロラクトン(4165.2g)中で9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(528.1g)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン(19.8g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(490.1)を70℃、3時間反応させた後、無水マレイン酸(3.1g)を添加し、更に70℃、2時間反応させることによってポリイミド前駆体(C1)溶液(ポリマー濃度20重量%)を得た。さらに(合成例1)と同様にして、ポリイミド前駆体C1から得られたポリイミド(PI−C1)のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は、360℃であった。
(合成例5)
γ−ブチロラクトン(2082.6g)とN−メチル−2−ピロリドン(2082.6g)の混合溶媒中で、パラフェニレンジアミン(161.7g)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(138.2g)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン(28.6g)、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物(711.7g)を80℃、3時間反応させた後、無水マレイン酸(1.1g)を添加し、更に80℃、1.5時間反応させることにより、ポリイミド前駆体(C2)溶液(ポリマー濃度20重量%)を得た。さらに(合成例1)と同様にして、ポリイミド前駆体C2から得られたポリイミド(PI−C2)のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は、262℃であった。
表1に(合成例1〜5)でのモノマ組成および得られたポリイミドのガラス転移温度について示す。
Figure 2009051891
(表1中、BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、BTDA:3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、PMDA:無水ピロメリット酸、ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−DAE:4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、DABA:4,4’−ジアミノベンズアニリド、FDA:9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、PDA:パラフェニレンジアミン、SiDA:ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、MA:無水マレイン酸、Tg:ガラス転移温度をそれぞれ表す。)。
(参考例)
(樹脂ブラックマトリックスの作成)
カーボンブラック「三菱化学製MA100」(680g)に、合成例5で合成したポリイミド前駆体溶液C2(600g)、γ−ブチロラクトン(824g)、N−メチル−2−ピロリドン(736g)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート(360g)を混合し予備分散液を作製した。0.4mmφ−ジルコニアビーズを85%充填したダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製)に、予備分散液を投入し、ディスク周速7m/sで4h/kg分散を行うことで全固形分濃度25重量%、カーボンブラック/ポリイミド前駆体(重量比)=85/15のカーボンブラック分散液を得た。さらにこのカーボンブラック分散液(2752g)に、ポリイミド前駆体溶液C2(1060g)、γ−ブチロラクトン(1012g)、N−メチル−2−ピロリドン(4122g)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート(1056g)を添加し、全固形分濃度9重量%、カーボンブラック/ポリマー(重量比)=65/35の黒色樹脂組成物BK−1を得た。無アルカリガラス基板(コーニング製1737材)に上記黒色樹脂組成物BK−1をカーテンフローコーターで塗布し、ホットプレートで130℃、10分間乾燥し、黒色の樹脂塗膜を形成した。ポジ型フォトレジスト(シプレー社製SRC−100)をリバースロールコーターで塗布、ホットプレートで110℃、5分間プリベークし、大日本スクリーン(株)製露光機XG−5000を用い、着色画素開口部幅80μm、開口部間の線状遮光部分の線幅12μmのフォトマスクを介して、100mJ/cmの紫外線を照射して露光した後、2.25%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、フォトレジストの現像と樹脂塗膜のエッチングを同時に行い、パターンを形成、メチルセロソルブアセテートでレジスト剥離し、ホットプレートで290℃、10分間加熱することでイミド化させ、樹脂ブラックマトリックスを形成した。
実施例1
(着色樹脂組成物の調製)
PR254(308g)、PR177(76g)に、表1に記載のポリイミド前駆体溶液A1、B、C1を使用し、表2に記載のポリイミド前駆体混合比となるように調製したポリイミド前駆体混合溶液(564g)、γ−ブチロラクトン(3972g)、3−メチル−3−メトキシブタノール(1480g)を混合し赤色予備分散液を作製した。0.4mmφ−ジルコニアビーズを85%充填したダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製)に、赤色予備分散液を投入し、ディスク周速10m/sで2.5h/kg分散を行うことで全固形分濃度7.8重量%、顔料/ポリマー(重量比)=77/23の赤色分散液を得た。さらにこの赤色分散液(5333g)に、前述のポリイミド前駆体混合溶液(1930g)、γ−ブチロラクトン(2410g)、3−メチル−3−メトキシブタノール(327g)を添加し、全固形分濃度8重量%、顔料/ポリイミド前駆体混合物(重量比)=40/60の赤色樹脂組成物R−1を得た。
(着色画素の作成)
参考例で作成した樹脂ブラックマトリックス基板上に赤色樹脂組成物R−1をカーテンフローコーターで塗布し、ホットプレートで130℃、10分乾燥、上記赤色の樹脂塗膜を形成した。この後、樹脂ブラックマトリックス形成と同様に、ポジ型フォトレジストをリバースロールコーターで塗布、ホットプレートで100℃、5分間プリベークした。その後樹脂ブラックマトリックス形成と同じ露光機を用い、反射用領域中に透明領域が形成されたフォトマスク(赤画素領域:240×80μmにおいて反射用領域120×80μm中に大きさ29μmφ×3ヶ所の略円形の透明領域のあるフォトマスク)を介して100mJ/cmの紫外線を照射して露光した後、2.25%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、フォトレジストの現像と樹脂塗膜のエッチングを同時に行い、パターンを形成、メチルセロソルブアセテートでレジスト剥離し、ホットプレートで280℃、10分加熱することでイミド化させ、ホール・パターンを有する赤色画素を形成した。イミド化におけるホットプレートでの280℃/10分の加熱処理においても、赤色顔料PR254および赤色顔料PR177のいずれの昇華物および分解物も発生せず、表面品位の良好なパターンを得ることができた。さらに、ホールエッジ部分の形状も良好で反射領域のホールは29.2±1.6μmと良好なパターン精度で加工ができ、ホール内にも赤色樹脂組成物の残渣はなく、品位の良好なパターンであった。
実施例2〜6
実施例1のポリイミド前駆体混合溶液の代わりにそれぞれ、表2に記載のポリイミド前駆体混合比のポリイミド前駆体混合溶液を使用して、実施例1と全く同様にして、赤色樹脂組成物を得た。実施例1と全く同様に得られた赤色樹脂組成物を使用して、赤色画素を形成したところ、いずれの場合においても、ホットプレートでの280℃/10分の加熱処理においても、赤色顔料PR254および赤色顔料PR177のいずれの昇華物および分解物も発生せず、表面品位の良好なパターンを得ることができた。ホールエッジ部分の形状も良好で反射領域のホールは表2に示すように良好なパターン精度で加工ができ、ホール内にも赤色樹脂組成物の残渣はなく、品位の良好なパターンであった。
実施例7〜9
表2に記載のポリイミド前駆体混合比のポリイミド混合溶液を使用した他は、実施例1と全く同様にして、それぞれ赤色樹脂組成物を得た。さらに実施例1と全く同様に得られた赤色樹脂組成物を使用して、赤色画素を形成したところ、いずれの場合においても、ホットプレートでの280℃/10分の加熱処理においては、赤色顔料PR254および赤色顔料PR177のいずれの昇華物および分解物も発生しなかった。アルカリ現像時の溶解性がやや低いため、ホール部のエッジ形状は良好であったものの、パターン精度は、表2に示す通りホール径が設計値29μmφに比べ、やや小さく加工精度のばらつきも大きかった。
比較例1〜2
表2に記載のポリイミド前駆体混合比のポリイミド混合溶液を使用した他は、実施例1と全く同様にして、それぞれ赤色樹脂組成物を得た。さらに実施例1と全く同様に得られた赤色樹脂組成物を使用して、赤色画素を形成したところ、いずれの場合においても、赤色顔料の昇華物および分解物の炉内への付着が確認され、さらに赤色画素表面にも、赤色顔料PR254および赤色顔料PR177の析出物が確認された。ホールエッジ部分の形状は、良好で反射領域のホールは表2に示すようにホール径が設計値29μmφに比べ、やや大きくまたパターン精度のばらつきも実施例1〜9に比べて大きかった。
実施例10
実施例1でのPR254(308g)、PR177(76g)の代わりにPG36(250g)、PY138(134g)を使用した以外は、実施例1と同様にして、表2に記載したポリイミド前駆体混合比のポリイミド前駆体溶液を使用して緑色樹脂組成物を調製した。次に、実施例1で作成した赤色画素を有する樹脂ブラックマトリックス基板上に得られた緑色樹脂組成物をカーテンフローコーターで塗布し、ホットプレートで130℃、10分乾燥、上記緑色の樹脂塗膜を形成した。この後、樹脂ブラックマトリックス形成と同様に、ポジ型フォトレジストをリバースロールコーターで塗布、ホットプレートで100℃、5分間プリベークした。その後ブラックペーストの場合と同じ露光機を用い、反射用領域中に透明領域が形成されたフォトマスク(緑色画素:240×80μmにおいて反射用領域120×80μm中に大きさ29μmφ×5ヶの略円形の透明領域のあるフォトマスク)を介して100mJ/cmの紫外線を照射して露光した後、2.25%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、フォトレジストの現像と樹脂塗膜のエッチングを同時に行い、パターンを形成、メチルセロソルブアセテートでレジスト剥離し、ホットプレートで280℃、10分加熱することでイミド化させ、緑色画素を形成した。イミド化におけるホットプレートでの280℃/10分の加熱処理においても、黄色顔料PY138の昇華物および分解物も発生せず、表面品位の良好なパターンを得ることができた。さらに、ホールエッジ部分の形状も良好で反射領域のホールは28.8±1.4μmと良好なパターン精度で加工ができ、ホール内にも緑色樹脂組成物の残渣はなく、品位の良好なパターンであった。
表2に実施例1〜10および比較例1〜2でのポリイミド前駆体混合比およびポリイミド前駆体混合物のイミド化後のガラス転移温度、パターン加工性、顔料の昇華/分解の有無について示す。
Figure 2009051891
表2に示した実施例1〜10においては、ポリイミド前駆体混合物のイミド化後のガラス転移温度が、270℃以上であり、顔料の昇華物および分解物は発生せず、表面品位の良好なパターンが得られた。一方、比較例1〜2でのガラス転移温度270℃未満の場合には、顔料の昇華物および分解物が発生し、表面品位の劣るパターンが得られた。
実施例11〜14
表3に記載のポリイミド前駆体混合比のポリイミド混合溶液を使用した他は、実施例10と全く同様にして、それぞれ緑色樹脂組成物を得た。さらに実施例10と全く同様に得られた緑色樹脂組成物を使用して、緑色画素を形成したところ、いずれの場合においても、ホットプレートでの280℃/10分の加熱処理においても、黄色顔料PY138の昇華物も発生せず、表面品位の良好なパターンを得ることができた。さらに、ホールエッジ部分の形状も良好で反射領域のホールは、表3に示した通り良好なパターン精度で加工ができ、ホール内にも緑色樹脂組成物の残渣はなく、品位の良好なパターンであった。
実施例15〜17
表3に記載のポリイミド前駆体混合比のポリイミド混合溶液を使用した他は、実施例10と全く同様にして、それぞれ緑色樹脂組成物を得た。さらに実施例10と全く同様に得られた緑色樹脂組成物を使用して、緑色画素を形成したところ、いずれの場合においても、ホットプレートでの280℃/10分の加熱処理において、黄色顔料PY138の昇華物も発生しなかったものの、現像時の溶解がやや低いため、ホール部のエッジ形状は良好であるものの、ホール径が設計値29μmφに比べやや小さめであり、パターン精度も実施例11〜14に比べややばらつきが大きかった。
表3に実施例11〜17でのポリイミド前駆体混合比およびポリイミド前駆体混合物のイミド化後のガラス転移温度、パターン加工性、顔料の昇華/分解の有無について示す。
Figure 2009051891
表3に示した実施例11〜17においては、ガラス転移温度がいずれも270℃以上であり、顔料の昇華物や分解物が発生せず、表面品位の良好なパターンが得られた。また、実施例11〜14でのポリイミド前駆体A2の混合比が、0.2以上の場合は、ホール部エッジ形状、ホール加工精度の良好な着色パターンを得ることができた。一方、実施例15〜17でのポリイミド前駆体A2の混合比が、0.2未満の場合においては、現像性が実施例11〜14に比べ、やや低いために、ホール径が設計値29μmφに比べやや小さめであり、パターン精度も実施例11〜14に比べややばらつきが大きかった。
実施例18〜21
実施例1でのPR254(308g)、PR177(76g)の代わりにPB15:6(307g)、PV23(77g)を使用した以外は、実施例1と同様にして、表4に記載したポリイミド前駆体混合比のポリイミド前駆体溶液を使用して青色樹脂組成物を調製した。次に、実施例10で作成した赤色画素および緑色画素を有する樹脂ブラックマトリックス基板上に得られた青色樹脂組成物をカーテンフローコーターで塗布し、ホットプレートで130℃、10分乾燥、上記緑色の樹脂塗膜を形成した。この後、樹脂ブラックマトリックス形成と同様に、ポジ型フォトレジストをリバースロールコーターで塗布、ホットプレートで100℃、5分間プリベークした。その後ブラックペーストの場合と同じ露光機を用い、反射用領域中に透明領域が形成されたフォトマスク(青色画素:240×80μmにおいて反射用領域120×80μm中に大きさ29μmφ×2ヶの略円形の透明領域のあるフォトマスク)を介して100mJ/cmの紫外線を照射して露光した後、2.25%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、フォトレジストの現像と樹脂塗膜のエッチングを同時に行い、パターンを形成、メチルセロソルブアセテートでレジスト剥離し、ホットプレートで280℃、10分加熱することでイミド化させ、青色画素を形成した。イミド化におけるホットプレートでの280℃/10分の加熱処理においても、紫色顔料PV23の昇華物および分解物も発生せず、表面品位の良好なパターンを得ることができた。さらに、ホールエッジ部分の形状も良好で反射領域のホールは29.5±1.9μmと良好なパターン精度で加工ができ、ホール内にも青色樹脂組成物の残渣はなく、品位の良好なパターンであった。
実施例22〜25
表4に記載のポリイミド前駆体混合比のポリイミド混合溶液を使用した他は、実施例18〜21と全く同様にして、それぞれ青色樹脂組成物を得た。さらに実施例18〜21と全く同様に得られた青色樹脂組成物を使用して、青色画素を形成したところ、いずれの場合においても、ホットプレートでの280℃/10分の加熱処理において、紫色顔料PV23の昇華物および分解物も発生しなかったものの、現像時の溶解性がやや低いため、パターン精度も表4に示す通り、設計値29μmφに比べやや小さめであり、パターン精度も実施例18〜21に比べややバラツキが大きかった。
表4に実施例18〜25でのポリイミド前駆体混合比およびポリイミド前駆体混合物のイミド化後のガラス転移温度、パターン加工性、顔料の昇華/分解の有無について示す。
Figure 2009051891
表4に示した実施例18〜25においては、ガラス転移温度がいずれも270℃以上であり、顔料の昇華物や分解物が発生せず、表面品位の良好なパターンが得られた。特に、実施例18〜21でのポリイミド前駆体A2の混合比が、0.2以上の場合は、ホール部エッジ形状、ホール加工精度の良好な着色パターンを得ることができた。一方、実施例22〜25でのポリイミド前駆体A2の混合比が、0.2未満の場合においては、現像性が実施例18〜21に比べ、やや低いために、ホール径が設計値29μmφに比べやや小さめであり、パターン精度も実施例18〜21に比べややばらつきが大きかった。
実施例26
(保護膜および透明導電膜の作成)
実施例12でえられたカラーフィルター基板にγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの加水分解物と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物とを反応させることにより得られる硬化性組成物の溶液を、基板にスピンコートし260℃で10分間熱処理し、画素外領域で膜厚1.0μmのオーバーコート層を形成した。さらに、透明導電膜として、約0.1μmのITO膜をスパッタリング法により成膜した。ITO成膜後に着色画素部分にしわなど不良は発生しなかった。
(カラー液晶表示装置の作製)
カラーフィルター基板を中性洗剤で洗浄した後、ポリイミド樹脂からなる配向膜を印刷法により塗布し、ホットプレートで200℃、10分間焼成した。膜厚は70nmであった。この後、カラーフィルターをラビング処理し、シール剤をディスペンス法によりブラックマトリックス上に塗布、ホットプレートで90℃、10分間焼成した。
一方、コーニング製ガラス基板1737材にTFTアレイを形成した基板も同様に洗浄した後、配向膜を塗布、焼成する。その後、スペーサーを散布し、前記カラーフィルター基板と重ね合わせ、オーブン中で加圧しながら160℃で90分間焼成、樹脂を硬化し、個々のパネルに割断する。このパネルを150℃、10−3torrで真空アニールした後、一度窒素雰囲気下で常圧に戻し、再度真空雰囲気において液晶注入した。液晶注入はパネルをチャンバーに入れて室温で10−3torrまで減圧した後、液晶注入孔を液晶槽に漬け、窒素を用いて常圧に戻して行った。液晶注入後、UV硬化樹脂を用いて液晶注入孔を封孔した。このパネルをNI転移点以上の温度に加熱して液晶を再配向させた。
次に、偏光板をパネルの2枚のガラス基板に貼り付け、オートクレーブ中で温度50℃、圧力5kgf/cmの条件で処理して、パネルを完成させた。このパネルを顕微鏡観察したところ、配向不良などによる光漏れなどは見られず、良好な表示品位の液晶表示装置が得られた。
図1は、本発明の実施例1〜9および比較例1〜2のポリイミド前駆体混合物の重量組成比をプロットした三角組成図である。 図2は、本発明の実施例11〜17のポリイミド前駆体混合物の重量組成比をプロットした三角組成図である。 図3は、本発明の実施例18〜25のポリイミド混合物の重量組成比をプロットした三角組成図である。

Claims (9)

  1. ポリイミド前駆体混合物、溶媒、および顔料を含有する着色樹脂組成物において、該ポリイミド前駆体混合物が、少なくとも3成分以上のポリイミド前駆体の混合物であって、該ポリイミド前駆体混合物が、イミド化後に単一のガラス転移温度を有し、かつ該ガラス転移温度が270℃以上であることを特徴とする着色樹脂組成物。
  2. ポリイミド前駆体混合物が、少なくとも下記(A)、(B)、(C)のポリイミド前駆体の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の着色樹脂組成物。
    (A)酸二無水物とジアミンを反応させてなるポリイミド前駆体であって、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体。
    (B)酸二無水物とジアミンを反応させてなるポリイミド前駆体であって、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体。
    (C)酸二無水物とジアミンを反応させてなるポリイミド前駆体であって、4,4’−オキシジフタル酸二無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体。
  3. ポリイミド前駆体混合物の全重量を1としたとき、ポリイミド前駆体(A)の該ポリイミド前駆体混合物中での重量分率が、0.2以上であることを特徴とする請求項2に記載の着色樹脂組成物。
  4. ジアミン成分が、少なくともパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンのうちの1種または2種以上であることを特徴とする請求項2〜3いずれか記載の着色樹脂組成物。
  5. ポリイミド前駆体(A)のジアミン成分が、少なくとも4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンのうちの1種または2種以上であることを特徴とする請求項2〜4いずれか記載の着色樹脂組成物。
  6. ポリイミド前駆体(B)のジアミン成分が、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンのうちの1種または2種以上であることを特徴とする請求項2〜5いずれか記載の着色樹脂組成物。
  7. ポリイミド前駆体(C)のジアミン成分が、少なくともパラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンのうちの1種または2種以上であることを特徴とする請求項2〜6いずれか記載の着色樹脂組成物。
  8. 複数色の各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなる画素を有するカラーフィルターにおいて、該着色層に請求項1〜7いずれか記載の着色樹脂組成物を用いたことを特徴とするカラーフィルター。
  9. 透過用領域と反射用領域を含むカラーフィルターであって、少なくとも一色の画素において、透過用領域と反射用領域が同一色材料からなり、反射用領域に色材層の無い領域を形成することを特徴とする請求項8記載のカラーフィルター。
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