JPH10232302A - 極薄有機質ブラックマトリックス - Google Patents

極薄有機質ブラックマトリックス

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JPH10232302A
JPH10232302A JP27974297A JP27974297A JPH10232302A JP H10232302 A JPH10232302 A JP H10232302A JP 27974297 A JP27974297 A JP 27974297A JP 27974297 A JP27974297 A JP 27974297A JP H10232302 A JPH10232302 A JP H10232302A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カーボンブラックを必要としない新規のブラッ
クマトリックスコーティング材の提供 【解決手段】(a)ポリイミド前駆体ビヒクル及びそれ
を溶かす溶媒又は溶媒混合物の組合せ;(b)上記
(a)の組合せに溶解し、そして紫外から赤外までの全
ての光の吸収能を有する光吸収染料又はその染料の混合
物、及び(c)実質的に黒色である非カーボンブラック
系の金属酸化物顔料又はその顔料の混合物と、ニュート
ン分散体とするための分散剤;から成り、最終焼成後の
塗布膜厚が1.0μmの時、その塗布膜が105Ω/□
より大きい表面抵抗と2.0以上の光学濃度を兼備する
フォトリソグラフィー法により画像形成可能なブラック
マトリックスコーティング材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、カラーフィルタ
ー製造用の有機質ブラックマトリックスとその製造方法
に関する。特に、極薄膜厚で高い電気絶縁性と高い光学
濃度を有する絶縁性ブラックマトリックスに関する。
【0002】
【従来の技術】多色液晶ディスプレイ類(LCD)は、
カラーフィルターを製造する際に着色画素の配列にブラ
ックマトリックスと呼ばれる薄膜光吸収フィルムを設け
て通常作成されている。その様なカラーフィルターの製
造プロセスは、スパッタリング法によるクロムを用いた
ブラックマトリックスを使用していた為に、LCDの量
産化の中で最も困難な工程の一つを有している。
【0003】スピンコート可能な有機ポリマーを主体と
したブラックマトリックスは、クロムを用いるよりも環
境上好ましく、製造が容易であり、そして有用なリソグ
ラフ法の製造利点を提供する。しかし、LCD用カラー
フィルター基板には少なくとも2種があるが、これに使
用される従来の有機ポリマーブラックマトリックス材料
は非常に高価か所望の性能に欠けるかである。即ち、極
薄膜厚に於いて十分な光学濃度と高い抵抗を兼備する有
機質ブラックマトリックスフォトレジストが実現されな
いことが、1)TFT(薄膜トランジスター型)−LC
Dと、2)STN(超ねじれ複屈折型ネマチック)−L
CDの進歩を阻害してきた。大面積LCD用のTFT又
はSTNカラー画素上に有機質ブラックマトリックスフ
ォトレジストを被覆し像形成する過程を簡略化した図
1、図1(a)、図1(b)、及び図1(c)で示した
(参照:Proceedings of the SI
D,Vol.32/3,201−206,1991)。
RGB(赤、緑、青)カラー画素11,12,13は、
TFT用にもSTN用にも使用することが出来る。その
様なカラーフィルターは、ITO(インジウムとスズの
酸化物)電極層2と信号線3を有している。通常はガラ
ス基板4に全て貼り付けられる。図1(b)は有機質ブ
ラックマトリックス5をリソグラフィー的に像形成する
ためのガラス基板4を通過するUV(紫外線)での露光
を示す。
【0004】それらのTFT方式とSTN方式で高い抵
抗(導通しない)は、ITO電極層2と信号線3の間の
電気的連結を避ける事が必須である。そうしないと、信
号線3(データ線と呼ぶことがある)との連結は、垂直
的なクロストークの原因になる。ブラックマトリックス
6の光学濃度(O.D.)はTFT式やSTN式ディス
プレイの光透過を阻止する為に2.0より高くなければ
ならない。そのようでなければ、表示しない部分からの
光の漏れは、コントラストを低下させ、反対側への光の
漏れを生じさせる。言い換えれば、カラーフィルターの
画素赤11、画素緑12、及び画素青13の(RGB)
画素間に形成された隔壁を通過する光の漏れを取り除き
LCDのコントラストを増大することが出来る。技術的
な目標は、極薄膜ブラックマトリックスとした時に紫外
から赤外のスペクトル全体に渡り、1%或いはそれ以下
の光透過に保つ事である。極薄膜ブラックマトリックス
とした時に2.0より高いO.D.を有する非導電性・
有機質ブラックマトリックスを製造する事は、不可能で
ないにせよ、かなり難しい事であった。2.0に等しい
か、それ以上のO.D.値は、例えば2μmの膜厚のブ
ラックマトリックスにする事で達成できるが、その膜厚
は多くの欠陥の発端となる。例えば、表示域の各画素内
のいわゆる逆チルトは2μmの段差で生ずる。逆チルト
は表示不良とコントラストの低下の原因になる。以上の
種々の欠点を克服することは、まさに1.0μm以下の
膜厚時に2.0より高いO.D.値を有する非導電性の
有機質ブラックマトリックスを供することである。
【0005】高いコストにも係わらず、スパッタリング
工程による複雑な製造と、潜在的な環境問題があり、そ
して所望としない高い反射率にも係わらず、たいていの
ブラックマトリックス材は、スピンコートの有機質ポリ
マーよりむしろスパッタリング法のクロムで成されてい
る。真空蒸発法や、ニッケル、アルミニウム、そしてク
ロムでさえ、それら金属の被覆法が発明されているが、
他の技術と材料はSTNやTFT用に商業上有用である
十分に薄い膜厚(1μm以下)と、十分に高い抵抗(少
なくとも105 Ω/□)の下で、高いコストと解像度を
与えるのに必要な十分に高いO.D.値(2.0より高
い)を満足させていないので、スパッタリング法による
クロムは依然として最も通常の技術と材料として残る。
【0006】例えば、ラザム(Latham)は米国特許第
4,822,718号明細書(1989年発行)に、ポ
リアミック酸と染料の組合せからなる可能性を持った有
機質ブラックマトリックス(顔料の分散に特徴づけられ
る)を開示した。それらの光吸収層の抵抗は3.0×1
15Ω/□位に高いものであった。
【0007】ヘスラー(Hessler)らはSIDダイジェ
スト(SID Digest)26:446(1995
年)の「顔料分散有機質ブラックマトリックス」の章
で、他で開示されている顔料分散有機質ブラックマトリ
ックス材中の赤と青の顔料混合物と同様にポリイミド組
成物中に保持された赤と青の染料のラザムの混合物は、
3μmより大きい膜厚で被覆しても所望とするO.D.
値(2.0より高い)に近づいてないと記載されてい
る。赤対青の顔料比の変更や、赤と青の顔料混合物に
紫、黄又は緑の顔料の少量添加では、その配合物の総合
的なO.D.値を改良しなかった。しかしアクリルポリ
マー中に分散させたカーボンブラックの顔料は、いくつ
かのサンプルで0.01%の光透過を達成した。400
〜700nmの全スペクトルに渡って1.5μmの膜厚
でスピンコートされたフイルムの平均2.8のO.D.
値を得ることは、分散剤の的確な選択で可能になった。
しかし、90kΩ/□の抵抗は満足するものではなかっ
た。
【0008】山中によるSIDダイジェスト(SID
Digest)23:789(1992年)の「TFT
配列上の積層ブラックマトリックス」の章で、カーボン
ブラックは改良されたアクリル系フォトポリマーと共に
用いても、クロストークの発生と抵抗の犠牲なしには2
μmより小さい膜厚で2.0より高いO.D.値を達成
できないと記載されている。山中はまた2μmの段差
(又は膜厚)は不都合であると述べている。それは非常
に大きいので逆チルトの結果になる。
【0009】田島らによる米国特許第5368976号
明細書には、顔料分散カラーフィルター用組成物の他の
例が開示されている。アルカリ溶解性ブロックコポリマ
ーは、バインダーとして感光性化合物及び顔料としてピ
グメントブラック1とピグメントブラック7を用いてい
るが、不当に大きい粒子サイズ(10μmで濾過)であ
った。ピグメントブラック1は実用の膜厚で必須条件と
なる2.0より高いO.D.値を与えない事は良く知ら
れた事であるが、ピグメントブラック7(単にカーボン
ブラックとして公知)は、山中らの説明ではヘスラーら
によって示される様に2.0μmより小さい膜厚時でも
2.0より高いO.D.値を与える。クロストークの兆
候は実際のSTNやTFTに応用してブラックマトリッ
クスが導電しすぎる時に起こり、粒径が(直径で)10
μmでは逆チルトを起こさせるフイルムに成る。
【0010】杉野屋らはSIDのプロセス(Proc.
of SID)32:201(1991年)の「STN
−LCDへの応用、ブラックマトリックス中の電着3色
フィルター上へのITO電極パターンの自己整合製造」
の章で、カーボンブラックから作成された有機質ブラッ
クマトリックスを有するSTN−LCDの別の欠点を示
した。それによれば、ディスプレイ上の緑のフィルター
は365nm、405nm及び435nmの入射光の1
%より小さい透過となる良好なシャッターであるが、赤
のフィルターはそうではなかった。365nmの入射光
で4%、405nmの入射光で6%の透過率である。青
のフィルターもまた更に悪く、405nmの入射光で3
5%、435nmの入射光で55%の透過率である。そ
れ故、400nmより低い光線に対してより、400n
mを越える光線に対しては別の研究法が必要であった。
この錯綜した研究法を使用する時(参照文の図13)、
ブラックマトリックス平均の透過率は、実質的にそのス
ペクトル全体に渡り1.0%より大きかった。それは1
0%に近かった。
【0011】従って、従来の染料に基づく有機質ブラッ
クマトリックスも、従来の顔料に基づく有機質ブラック
マトリックスも、STNとTFTの性能が不足する事な
しに1μmより小さい膜厚で2.0より高いO.D.値
を有効に与えることは出来ない。更に、染料に基づくブ
ラックマトリックスはITO電極と信号線の間の電気的
結合から生ずるクロストークを十分に回避するために必
要な抵抗を有しているけれども、105Ω/□を越える
抵抗に上げるために必要な顔料を分散した材料の一部分
を十分な染料混合物で置換する事は、画素と基材に対し
て2.0μm以上のフイルム厚が適用されなければ、
2.0より小さいO.D.値になると考えられる。90
×102Ω/□の低い抵抗であるカーボンブラック(ピ
グメントブラック7)だけでは、1.5μmの膜厚で
2.0に近いO.D.値となる。
【0012】カーボンブラック以外の染料及び顔料に基
づく有機質ブラックマトリックスの如何なる組み合わせ
も2.0μmを越える膜厚の必要なしには2.0を越え
る改良されたO.D.値を提供することは全く予測する
ことは出来ないし、そしてカーボンブラックは有効なS
TNとTFTへの適用に対して導電しすぎる。種々の有
機染料と対比してカーボンブラック顔料の抵抗の大きな
違いは、2.0を越えるO.D.値に効果的に増大させ
るために染料にいくらかのその様な顔料を添加すること
は、最終製品に成った時に単位体積当たりの抵抗を大き
く損う事と確信できる。その他の顔料はO.D.値が低
すぎて極薄ブラックマトリックス用には全く考えられな
い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本願発明の目的は、最
終焼成後の塗布膜厚が1μmの時、105Ω/□より大
きい表面抵抗を持ち、2.0より高いO.D.値を有す
る安定な有機質ブラックマトリックスを供給することに
ある。
【0014】本願発明は、ポリイミド−染料−顔料の組
成物の相乗的組成によって上記目的及び他の目的を達成
することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願発明は、下記
(a)、(b)及び(c): (a)ポリイミド前駆体ビヒクル及びそれを溶かす溶媒
又は溶媒混合物の組合せ、(b)上記(a)の組合せに
実質的に溶解し、そして紫外から赤外までの広いスペク
トルに渡って実質的に全ての光の吸収能を有する溶解性
の光吸収染料又はその染料の混合物、及び(c)実質的
に黒色である非カーボンブラック系の金属酸化物顔料又
はその顔料の混合物と、ニュートン分散体とするための
分散剤、から本質的に成り、最終焼成後の塗布膜厚が
1.0μmの時、その塗布膜が、105Ω/□より大き
い表面抵抗と2.0以上の光学濃度を兼備するフォトリ
ソグラフィー法により画像形成可能なブラックマトリッ
クスコーティング材である。
【0016】本発明のブラックマトリクス材は、生産コ
ストが安価であり、貯蔵寿命が長く使用に便利である。
そして、本発明のブラックマトリクス材を基板(及び/
又は)に塗布して、常法による最終硬化の後、得られる
極薄膜ブラックマトリクスは、高い光学濃度を有するば
かりでなく、優れた表面平滑性、高い強度と高解像度を
有すると共に耐久性に優れている。又、その極薄膜ブラ
ックマトリクスを製造する際、スパッタリング法による
クロムを使用しないので優れた環境安全性を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】その様なブラックマトリックス組
成物は好ましくは、バインダーとして4〜8重量%のポ
リイミド、9〜13重量%の着色剤(染料+顔料)、8
0〜85重量%の溶媒、及び0.3〜0.8重量%の分
散剤を含む。染料:顔料の重量比は、約1:15から約
3:15、好ましくは1:15から2:15の範囲であ
る。驚くべき事に、非カーボンブラック顔料を加えた有
機染料の組合せによるO.D.値は、1.0μmより小
さい(これより極薄という)のフイルム厚(例えば、
0.5〜1.0μmの範囲内)の時、その成分のO.
D.値の合計値より大きい。
【0018】(ポリイミド及び染料)本願発明のブラッ
クマトリックス組成物用のポリマービヒクルは、使用時
にポリイミド樹脂を形成する様に反応するポリイミド前
駆体を特徴的に含む。好ましくは、その前駆体は4,
4’−オキシジアニリン(ODA)とピロメリト酸二無
水物(PMDA)との反応、ODAとPMDA及び/又
は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン
酸二無水物(BTDA)との反応によって調製されたポ
リアミック酸からなる。それらの成分はジアミンと酸二
無水物が等モルに近い量比、好ましくは等モルの量比で
用いられることが特徴である。本願発明のポリイミドビ
ヒクルに特徴的に用いられるその他の適するポリアミッ
ク酸は、通常に用いられる成分であり、例えば下記の第
1表に記載されたものが挙げられる。本願のポリイミド
前駆体の意図するところから外れない限り、それらの前
駆体成分との混合物の中で、ポリビニルピロリドンの様
な水溶性ポリマーとノボラックの様なその他の通常用い
られる樹脂を含有する事が可能である。
【0019】
【表1】第1表 ジアミン類 ───────────────────────────────── p−フェニレンジアミン m−フェニレンジアミン 3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル 1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン 4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル ビス−4(−〔4−アミノフェノキシ〕フェニル)エーテル 4,4’−オキシジアニリン 4,4’−ジアミノジフェニルスルホン 2,2' −ビス(4−〔4−アミノフェノキシ〕フェニル)スルホン ────────────────────────────────
【0020】 酸二無水物類 ──────────────────────────────── 3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 ピロメリト酸二無水物 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 4,4’−オキシジフタル酸無水物 3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物 1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物 4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 ─────────────────────────────────
【0021】本願発明に用いられる染料成分は、赤外か
ら紫外まで幅広いスペクトルに渡って光線を効果的に吸
収できる溶解性有機質染料の組合せである。ポリイミド
の前駆体ビヒクルが溶解している溶媒に染料が溶解して
いる事が不可欠である。(溶媒については後で示す。)
本願発明の特に好ましい具体例の中で、オラソルブラウ
ン6RL(ソルベントブラウン44)〔Orasol brown 6
RL(Solvent brown 44)〕:オラソルブルーGN(ソルベ
ントブルー67)〔Orasol blue GN(Solvent blue 67)
〕が約1:3から1:5の重量比で本願発明の最も実
用的な構成成分になる。その様な混合物は、ブリューワ
ーサイエンス社(Brewer Science,Inc.)より商品名DA
RC−100で販売され入手することが出来る。
【0022】その他、青、赤、黄等の組合せ、米国特許
第4,822,718号明細書に記載の高い抵抗を有す
る黒色コーティング材を製造できる染料も使用すること
が出来る。
【0023】本願発明の好ましい具体例の中で、ポリイ
ミド成分の実質上の量(少なくとも50%)と共に全て
の染料成分は、本願に引例として記載されている米国特
許第4,822,718号明細書に記載の黒色コーティ
ング組成物に従って与えられる。
【0024】本願発明に用いられる非常に好ましい染料
は、ソルベントブラック3からソルベントブラック47
のカラーインデックスで規定される染料であり、例えば
ソルベントブラック35(ザポンブラックX50、BA
SF社製)〔Solvent Black35(Zapon Black X50,BAS
F〕、ソルベントブラック27(ザポンブラックX5
1、BASF社製)〔Solvent Black 27(Zapon Black X
51,BASF〕、ソルベントブラック3(ネプチューンブラ
ックX60、BASF社製)〔Solvent Black 3(Neptun
Black X60,BASF)〕、ソルベントブラック5(フレクソ
ブラックX12、BASF社製)〔Solvent Black 5(Fl
exo Black X12,BASF)〕、ソルベントブラック7(ネプ
チューンブラックNB X14、BASF社製)〔Solve
nt Black 7(Neptun Black NB X14,BASF)〕、ソルベント
ブラック46(ネプチューンAブラックX17、BAS
F社製)〔Solvent Black 46(Neptun A Black X17,BAS
F)〕、ソルベントブラック47(ネオピンブラックX5
8、BASF社製)〔SolventBlack 47(Neopin Black X
58,BASF〕、ソルベントブラック28(オラソルブラッ
クCN、チバガイギー社製)〔Solvent Black 28(Oraso
l Black CN,Ciba-Geigy)〕、ソルベントブラック29
(オラソルブラックRL、チバガイギー社製)〔Solven
t Black 29(Orasol Black RL,Ciba-Geigy)〕、及びソル
ベントブラック45(サビニルブラックRLS、サンド
社製)〔Solvent Black 45(Savinyl Black RLS,Sandoz
Corp)〕も含むものである。
【0025】(顔料とその分散体)本願発明の驚くべき
一つの点は、カーボンブラックを使用する事なしに極薄
膜厚時に2.0より高い光学濃度が得られる事である。
本願発明に用いられる顔料は高い表面積を有し、そして
レオロジー上の変化や凝集で曇りと光の散乱を生じ綿状
の固まりにする強い性向を有し実際は肉眼で見える粒子
であるが、この顔料がポリイミド/染料の溶液と混合さ
れ適切に分散されたとき、優れた塗膜表面平滑性が得ら
れる。
【0026】本願発明に用いられる顔料は、銅、マンガ
ン、クロム、鉄、マグネシウム、アルミニウム、スズ、
亜鉛、チタン、ニッケル、コバルト、及びそれらの混合
物の酸化物から選ばれた無機金属酸化物の混合物又は混
合金属酸化物である。それらの金属酸化物はいわゆるス
ピネル構造を形成する為に好ましい。それらは、本願の
染料と共に極薄膜厚時に2.0より高いO.D.値を達
成する予想外の相乗作用を与え、染料と顔料の組み合わ
せによる表面抵抗が実際のSTNとTFTに適用の為に
必要とする出発点となる105Ω/□を越える大きさに
なる。
【0027】適切な顔料は、バイエル社〔Bayer Cor
p.〕から販売されているファーストブラック100〔Fa
st Black 100〕の様なピグメントブラック22(カラー
インデックス(C.I.)77429)〔Pigment Blac
k 22(color index(C.I.)77429〕;日本の大日精化カラ
ー&ケミカルマニュファクチャー社〔Dainichiseika Co
lor & Chemical Manufacturing Co.,Ltd.of Japan〕か
ら販売されているダイピロキサイドTMブラック355
0と3551〔Daipyroxide TM Black 3550 and3551〕
の様なピグメントブラック26(C.I.77494)
〔Pigment Black26(C.I.77494)〕;ピグメントブラック
27〔Pigment Black 27(C.I.77502)〕;エンゲルハ
ルド社〔Engelhard Corporation〕からハーシャウ98
75Mプラス〔Harshaw 9875 M Plus〕として販売
されているピグメントブラック28(C.I.7742
8)〔Pigment Black 28(C.I.77428)〕;及びピグメン
トグリーン50(C.I.77377)〔Pigment Green 50(C.
I.77377)〕とピグメントブルー(C.I.77346)〔Pigmen
t Blue (C.I.77346)〕及びピグメントレッド(C.I.774
91)〔Pigment Red(C.I.77491)〕の単独及び混合物を
挙げることができる。77428から77494のカラ
ーインデックスで規定される顔料が好ましい。特に銅、
マンガン及び鉄の混合金属酸化物から成るピグメントブ
ラック26(C.I.77494)を用いる事が好まし
い。
【0028】100ナノメートル(nm)より小さい、
特に50nmより小さい1次粒子径の顔料として用いる
事は、本願発明の顔料分散系を製造する中で好ましい。
それら顔料粒子は分散安定性の向上の為にシリカ、アル
ミナ、又はジルコニアの無機層で被覆する事も出来る。
【0029】ポリイミド前駆体ビヒクル及び溶媒の系で
顔料のニュートン分散系を得る為に有効な分散剤が望ま
れる。カチオン性分散剤が好ましく、特に本願発明に用
いられる顔料に強力な親和力を持った化学基を有する高
分子量ブロックコポリマーの溶液から成るカチオン性分
散剤が好ましい。その様な特に好ましい分散剤の一つは
バイク−へミー社〔Byk-Chemie〕から商標名ディスパー
バイク−163〔Disperbyk-163〕で販売されている。
その他のカチオン性分散剤は、例えば商品名ディスパー
バイク−160、161、162、164及び166
〔Disperbyk-160,161,162,164 and 164〕を含む。アニ
オン性及び非イオン性の分散剤も適切である。その様な
分散剤のリストを下記の第2表に示す。
【0030】
【表2】第2表 分散剤 会社 イオン性 ディスパーバイク−160 バイク−ヘミー カチオン性 〔Disperbyk-160〕 〔Byk-Chemie〕 ディスパーバイク−161 バイク−ヘミー カチオン性 〔Disperbyk-161〕 〔Byk-Chemie〕 ディスパーバイク−162 バイク−ヘミー カチオン性 〔Disperbyk-162〕 〔Byk-Chemie〕 ディスパーバイク−163 バイク−ヘミー カチオン性 〔Disperbyk-163〕 〔Byk-Chemie〕 ディスパーバイク−164 バイク−ヘミー カチオン性 〔Disperbyk-164〕 〔Byk-Chemie〕 ディスパーバイク−166 バイク−ヘミー カチオン性 〔Disperbyk-166〕 〔Byk-Chemie〕 ラクチモン バイク−ヘミー アニオン性 〔Lactimon〕 〔Byk-Chemie〕 ビクメン バイク−ヘミー アニオン性 〔Bykumen〕 〔Byk-Chemie〕
【0031】
【表3】第2表続き 分散剤 会社 イオン性 デュマスパース535 ヒックソン アニオン性 〔Dumasperse535〕 〔Hickson〕 デュマスパース540 ヒックソン アニオン性 〔Dumasperse540〕 〔Hickson〕 デュマスパース545 ヒックソン アニオン性 〔Dumasperse545〕 〔Hickson〕 マヅスパース85B ピーピージ 非イオン性 〔Mazsperse85B〕 〔PPG〕 マヅスパースSF19 ピーピージ 非イオン性 〔MazsperseSF19〕 〔PPG〕 ヌオスパース657 ヒュールス 非イオン性 〔Nuosperse657〕 〔Huls〕 ヌオスパース700 ヒュール アニオン性 〔Nuosperse700〕 〔Hul〕 ソルスパース12000 ゼネカ アニオン性 〔Solsperse12000〕 〔Zeneca〕 ソルスパース27000 ゼネカ 非イオン性 〔Solsperse27000〕 〔Zeneca〕
【0032】分散は、適切なビーズ、例えば0.65ミ
リメートル(mm)径のイットリウム安定型酸化ジルコ
ニウムビーズを用いてアイガーミニ−100〔Eiger Mi
ni-100〕モーターミル中で行われる。顔料は、好ましく
は顔料に対して5重量%量の分散剤、ポリイミド前駆体
溶液(溶液中の固形分22.7%)、及び十分な量の溶
媒を含有するニュートニアン分散系で分散される。
【0033】(溶媒)ポリイミド前駆体ビヒクルと染料
化合物を溶解するのに有効な溶媒が選択される。ポリイ
ミド前駆体ビヒクル/染料の成分にとって、及び顔料分
散系にとって最も好ましい溶媒は、N−メチル−2−ピ
ロリドン(NMP)とシクロヘキサノンである。その他
の適切な溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMAc)、
N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)、ビス−2
−メチルエチルエーテル(diglyme )、テトラヒドロフ
ルフリルアルコール(THFA)、ジメチルスルフォキ
シド(DMSO)、キシレン、環状ケトン、アルコー
ル、エステル、エーテル及びこれらの混合物を包含する
ことが出来る。その様なポリマー/染料の溶液は、前に
述べたように有効な顔料分散系にとっても適するもので
ある。
【0034】本願発明のブラックマトリックスコーティ
ング材は、ポリイミド前駆体ビヒクル溶媒系が、N−メ
チル−2−ピロリドンとシクロヘキサノンの混合物であ
り、染料混合物がオラソルブラウン6RLとオラソルブ
ルーGNの1:3〜1:5の重量比の混合物であり、そ
して混合金属酸化物の顔料が、銅、マンガン、クロム、
鉄、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、スズ、チタ
ン、ニッケル、コバルト、又はこれらの混合物のスピネ
ル構造を有する酸化物からなる群より選ばれたものであ
る事が好ましい。
【0035】更にその好ましいブラックマトリックスコ
ーティング材は、4〜8重量%のポリイミド前駆体ビヒ
クル、80〜85重量%のポリイミド前駆体ビヒクル
(を溶解するため)の溶媒、9〜13重量%の染料と顔
料からなり、染料対顔料の重量比が1:15〜3:15
であり、顔料は銅、マンガン及び鉄の混合金属酸化物か
ら作られ、77494のカラーインデックスを有するピ
グメントブラック26であり、そしてピグメントブラッ
ク26に強い親和性を持った化学基を有する高分子量ブ
ロックコポリマーから成るカチオン性分散剤を0.3〜
0.8重量%含有する組成である。
【0036】非カーボンブラック系であって極薄膜に被
覆時に2.0より高い光学濃度を有するSTN又はTF
Tの画素作成に用いられる本願発明の有機質ブラックマ
トリックスコーティング材の製造方法は、下記(I)及
び(II): (I)ポリイミド前駆体ビヒクル、光吸収剤として高い
抵抗値を有する黒色被覆が形成可能で広いスペクトルの
光を吸収する有機質染料、及びそれらを溶解するための
溶媒、及び(II)上記染料と顔料が1:15〜3:1
5の重量比にあり、そして当該溶媒中で有効な分散剤と
共に、銅、マンガン及び鉄の混合金属酸化物で構成され
100nmより小さい粒子径で77428〜77494
のカラーインデックスを有するニュートン分散系の黒色
顔料、を混合する事を含むものである。
【0037】本願発明のブラックマトリックスコーティ
ング材は、基材に塗布して最終焼成を経た後に1.0μ
m以下、好ましくは0.5〜1.0μmの厚みのコーテ
ィング膜として得られ、これらの塗布膜は1.0μmの
膜厚で特性を測定した時に、105 Ω/□より大きい表
面抵抗と2.0以上の光学濃度を兼備するものである。
【0038】
【実施例】本発明を下記の実施例により更に詳細に説明
する。本発明の範囲は、下記の実施例により限定される
ことを意図していない。実施例1 プラスチック製ビーカーに11.6gのN−メチル−ピ
ロリドン(NMP)、82gのシクロヘキサノン、1.
5gのディスパーバイク−163〔disper-byk-163〕、
20gのDARCポリマー(NMP単独の溶媒中に2
2.9%の固形分のポリイミド前駆体)、及び30gの
ピグメントブラック26〔Pigment Black26〕を添加し
た。その混合物は均一になるまで約5分間、スパチラー
で撹拌した。その次にこの顔料スラリーは0.65mm
径のイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズを用い
て15分間、1000rpmで分散する為にアイガーM
−100ミル〔Eiger M-100 mill〕に添加した。
【0039】それからビーカーは20gのシクロヘキサ
ノンで洗浄し、洗液はミルへ加えた。粉砕スピードはゆ
っくりと3000rpmまで増加した。顔料はこのスピ
ードで2時間粉砕した。機械的撹拌装置を備えた別のプ
ラスチック製ビーカーに、32.4gのDARCポリマ
ー(NMP単独の溶媒中に22.9%の固形分)と60
gのDARC100を添加した。その混合物を10分間
撹拌した。2時間後、DARCポリマーとDARC10
0の混合物は1000rpmのミルに入れた。DARC
ポリマーはNMP中に48.1gのオキシジアニリンを
溶解し、そして51.8gのピロメリット酸二無水物を
添加し、40℃で5時間反応させる事によって合成し
た。ビーカーは50gのN−メチル−ピロリドンで洗浄
し、洗液は1000rpmで粉砕する為に添加した。そ
してミルは3000rpmで90分間運転した。その配
合物は次に0.2μmの目のフィルターを通して濾過し
た。得られた配合物を第3表ににまとめた。
【0040】
【表4】第3表 化学成分 重量(g) ─────────────────────────────────── N−メチル−ピロリドン 61.6g シクロヘキサノン 102g ディスパーバイク−163 1.5g(顔料の5重量%) 〔Disperbyk-163〕 DARCポリマー 52.4g(NMP単独溶媒中で22.9%) ピグメントブラック26 30g 〔Pigment Black 26〕 DARC100 60g ───────────────────────────────────
【0041】この配合物の最終焼成後(実施例2の使用
方法を参照)の塗膜は、1μmの膜厚で5.6×1011
Ω/□の抵抗と、2.4のO.D.値が観測された。図
3は、最終焼成後(実施例2の使用方法を参照)の1μ
m厚の塗膜のの透過スペクトルを示す図である。
【0042】第4表に最終焼成後(実施例2の使用方法
を参照)に1μmの膜厚で2.4のO.D.値(この
O.D.値は成分のO.D.値の和から計算されるO.
D.値より予測以上に高い。)と1011Ω/□の表面抵
抗とする為に重量%で記載されている好ましい組成を示
した。
【0043】
【表5】第4表 化学組成 重量% 最良の実施態様 ─────────────────────────────── ポリアミック酸 4%〜8% 5.7% 着色剤(染料+顔料) 9%〜13% 11.5% 分散剤 0.3%〜0.8% 0.8% 溶媒 80%〜85% 82.0% ─────────────────────────────── (注)ポリアミック酸:ポリイミド前駆体ビヒクル(化学量論的に等量のジアミ ンと酸二無水物との混合により取得)、 溶媒:ポリアミック酸と染料を溶解するための溶媒
【0044】実施例2 プラスチック製のビーカーに375gのNMP、375
gのシクロヘキサノン、及び薄いシリカ層で被覆された
表面と10〜20nmの1次粒子径を有する250gの
ピグメントブラック26(ダイピロキサイドTMブラッ
ク3551)〔Pigment Black 26(Daipyroxide TM Bla
ck 3551)〕を添加した。その混合物は、均一になるま
で5分間、スパチラーで撹拌した。その次にこの顔料ス
ラリーは5mm径の石英ビーズと共にボールミルへ添加
し、100〜200rpmのスピードで2週間の粉砕を
行った。この混合物は、その中に47.8gのNMPと
21.0gのシクロヘキサノンを添加しホモジナイザー
(日本精機(株)製)で5分間、7000rpmのスピ
ードで分散した。機械的撹拌装置を備えた別のガラス製
ビーカーに、67.4gのDARCポリマー(NMP単
独溶媒中に20重量%含有する)、54.8gのDAR
C100、69.8gのNMP、及び33.5gのシク
ロヘキサノンを添加した。その混合物は、ホモジナイザ
ーで7000rpmのスピードで5分間、分散した。ホ
モジナイザーに225.3gのポリマー/染料の混合物
と、175.7gの黒色顔料スラリーを添加した。その
次にホモジナイザーは、10000rpmで10分間の
運転を行った。その次に0.2μmの目のフィルターを
通じて濾過した。
【0045】得られた配合物は、室温で3週間、−20
℃の冷蔵庫内で3ヶ月の良好な保存安定性を有し、非常
に高い貯蔵安定性を示した。また、クロムを使用するブ
ラックマトリックス材に比べて安価である。
【0046】得られた配合物の、最終焼成後(実施例2
の使用方法を参照)の塗膜は、1μmの膜厚時に、2.
0のO.D.値(このO.D.値は成分のO.D.値の
和から計算されるO.D.値より予測以上に高い。)と
3.3×1011Ω/□の表面抵抗を示した。第5表に1
μmの膜厚で2.0より高いO.D.値と1011Ω/□
の表面抵抗とする為に重量%で記載されている好ましい
組成を示した。
【0047】
【表5】第5表 化学組成 重量% ────────── ────────── ポリアミック酸 4%〜8% 着色剤(染料+顔料) 6%〜10% 分散剤 0.1%〜0.4% 溶媒 85%〜90% ───────────────────── (注)ポリアミック酸:ポリイミド前駆体ビヒクル(化
学量論的に等量のジアミンと酸二無水物との混合により
取得)、 溶媒:ポリアミック酸と染料を溶解するための溶媒
【0048】(使用方法)フォトリソグラフィー法プロ
セスは、微細な解像度と広いβ−焼成域を得るために用
いられる。一次基板を洗浄した。シップレー(Shiple
y)の接着促進剤、APX−K1を3000rpmで3
0秒間かけて基材上にコートし、175℃で30秒間、
ホットプレート上で焼成した。ブラックマトリックス配
合物としたものを、APX−K1をコートした基材上に
750rpmで90秒間かけてコートを行い、100℃
で60秒間かけてホットプレート上でα−焼成して溶媒
を蒸発させた。その被覆物は、その次に通常用いられる
オーブンで120〜180℃で30分間かけてβ−焼成
した。ポリアミック酸はこのプロセスで30%〜50%
がイミド化した。ポジ型フォトレジストは5000rp
mで30秒間かけてコートし、100℃で30秒間かけ
てホットプレート上で温和な焼成を行い、露光と現像
(例えば、所定のパターンを有するマスクにより露光し
た後、アクカリ現像液によりポジ型ホトレジストの現像
及びブラックマトリックス膜のエッチング)を行った。
フォトレジストは、レジスト溶剤にて剥離した。ブラッ
クマトリックスは、その次に250℃で30分間かけて
オーブンで焼成して最終硬化させて、イミド化のプロセ
スを完結させた。複数色のカラーフィルターを必要とす
る場合、この工程を繰り返す事により処理することがで
きる。
【0049】(特性)図2は本願発明のブラックマトリ
ックスの製造プロセスのフロー図である。図3は実施例
1で得られた1μm厚のフイルムの透過スペクトルを示
す図である。その材料は、目標に合致する高い抵抗と光
学濃度を有するものである。図4は、解像度テスト用マ
スクを用いた場合のオーブンとホットプレートの両者を
比較するβ焼成プロセスによるリソグラフのデータを示
す。リソグラフからの結果は、広範な工程の自由度を持
っている事を示している。広範なβ焼成温度域によって
1μmの膜厚で3μmの鮮明な高解像度パターン形成が
可能である。
【0050】図5は、(実際に解像度テスト用マスクを
用いて形成したブラックマトリックスパターン。数値は
解像度を示す。)解像度ダガー示す。図6は、マスクを
使用し、パターンを形成後、レジスト材を除去して最終
硬化を行った後のブラックマトリックス材のSEM(走
査型電子顕微鏡)写真を示した。良好な切り立った側面
が画素パターン中に見られる。
【0051】図7は、硬化塗膜の表面粗さ特性の測定を
図示したものである。表面粗さ測定は、リソグラフの試
験サンプル中で解像度ダガーと近接した部分で行った。
その表面は均一で微小な凹凸を有していて、ブラックマ
トリックス材に使用するために十分に適するものであっ
た。1μm厚のフイルムの抵抗は、1011Ω/□のオー
ダーであり、このように光学濃度と電気的特性の両方の
バランスを持ち合わせている。
【0052】実施例1及び2の組成物は、室温で3週
間、−20℃の冷蔵庫内で3ヶ月の良好な保存安定性を
有し、非常に高い貯蔵安定性を示した。また、クロムを
使用するブラックマトリックス材に比べて安価である。
実施例1及び2の組成物はRGB画素に使用するのと同
じプロセスを使用して、スピンコート、像形成、現像を
行う事ができる。1μmの膜厚時に400〜700nm
の波長範囲で平均光学濃度が各々、2.0と2.4であ
る。
【0053】比較例1 実施例2と同様のシリカ層で被覆した250gのピグメ
ントブラック26と375gのNMP、375gのシク
ロヘキサノン、4.2gのディスパーバイク−163を
実施例2と同様に粉砕、混合し、ホモジナイザーで分散
した。別のガラス製ビーカーにDARC100(染料分
を9重量%含有)は添加せずに、溶媒、ポリアミック酸
が実施例2と同じになる様に、90gのDARCポリマ
ー(NMPを溶媒とし、20重量%のポリアミック酸を
含有)、74.3gのNMP、56gのシクロヘキサノ
ンをガラス製ビーカーに取り、ホモジナイザーで7000rp
m の回転スピードで5分間分散した。これに上記17
5.7gの黒色顔料スラリーを添加し、ホモジナイザー
で10000 rpm で10分間撹拌、分散し、次いで0.2μ
mの目のフィルターを通じて濾過した。
【0054】(特性)比較例1で得られたスラリ−を用
い実施例2と同様の手順で塗膜を形成した。1μmの膜
厚のO.D.値は1.6と実施例2より低い値を示し、
顔料の分散は不均一で、塗膜の肌荒れや曇りが著しく、
表面の凹凸も大きくブラックマトリックス材として不十
分なものであった。また、この材料は室温で保存した
際、1週間でゲル化を生じ、保存安定性も劣るものであ
った。
【0055】
【発明の効果】本願発明のブラックマトリックス組成物
は、極めて高い貯蔵安定性を有する。例えば、室温で3
週間又は−20℃の冷蔵庫で3ヶ月の優れた貯蔵寿命を
有する。又、(1)スピンコートによって基材に塗布す
ることが可能、(2)RGB画素を描き出すために用い
るのと同様の方法を用いる事により画像形成する事が可
能、(3)画素の場合と同様の現像方法を使って現像が
可能、(4)最終焼成した後の塗膜は、400〜700
nmの波長域で1μmの膜厚で少なくとも2.0のO.
D.値が得られる。その厚みの塗膜は表面抵抗が、10
5 Ω/□以上例えば1011Ω/□のオーダーにあり大変
に高い。そしてスパッタリング法によるクロムのブラッ
クマトリックスに比べて製造コストが低い。
【0056】STN及びTFT画素表示装置に用いる高
い抵抗(1011Ω/□以上)と、高い光学濃度(2.0
以上)を有する有機質ブラックマトリックス材は、(ポ
リイミド)/(染料)溶液と混合金属酸化物顔料分散体
を、染料:顔料の比で1:15〜3:15の重量比で組
み合わせて得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)、図1(b)、及び図1(c)は、
大面積LCD用の一般的STN又はTFT着色画素上へ
の有機質ブラックマトリックスフォトレジストの被覆と
像形成を示す。
【図2】本発明によるブラックマトリックスの製造工程
を示すフローである。
【図3】実施例1で得られた1μmの膜厚の硬化フイル
ムの透過スペクトルを示す図である。
【図4】対流型炉とホットプレートの両方を用いてβ−
焼成工程を行ったリソグラフのデータを示すものであ
る。
【図5】解像度ダガーの写真を示したものである。
【図6】レジスト材を除去して最終硬化を行った後のブ
ラックマトリックス材のSEM(走査型電子顕微鏡)写
真を示したものである。
【図7】硬化塗膜の表面粗さ特性の測定を示したもので
ある。
【符号の説明】
11──カラー画素赤、12──カラー画素緑、13─
─カラー画素青、2──ITO電極層、3──信号線、
4──ガラス基板、5──ブラックマトリックスフォト
レジスト、6──ブラックマトリックス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジョナサン ダブリュ.メイヨ アメリカ合衆国 ミズーリ州 65401,ロ ーラ,8010 カウンティロード 12402 (72)発明者 エディス ジー.ヘイス アメリカ合衆国 ミズーリ州 65401− 2908,ローラ,ブライアントロード 110 (72)発明者 テリー エル.ブリューワー アメリカ合衆国 ミズーリ州 65401,ロ ーラ,8440 カウンティロード 17971 (72)発明者 マイケル ディー.ストローダー アメリカ合衆国 ミズーリ州 65809,ス プリングフィールド,サウスウイロウウイ ックトレイル 3412 (72)発明者 柳本 晄 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目24番4号 (72)発明者 曽根 靖久 千葉県船橋市習志野1丁目5番17号,103 号 (72)発明者 渡部 淑胤 東京都江戸川区平井7丁目17番15号,607 号 (72)発明者 江間 希代巳 千葉県千葉市若葉区西都賀5丁目38番24号

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)、(b)及び(c): (a)ポリイミド前駆体ビヒクル及びそれを溶かす溶媒
    又は溶媒混合物の組合せ; (b)上記(a)の組合せに実質的に溶解し、〔削除:
    実質的に完全にビヒクル及び溶媒に溶解し、〕そして紫
    外から赤外までの広いスペクトルに渡って実質的に全て
    の光の吸収能を有する溶解性の光吸収染料又はその染料
    の混合物;及び (c)実質的に黒色である非カーボンブラック系の金属
    酸化物顔料又はその顔料の混合物と、ニュートン分散体
    とするための分散剤;から本質的に成り、最終焼成後の
    塗布膜厚が1.0μmの時、その塗布膜が105Ω/□
    より大きい表面抵抗と2.0以上の光学濃度を兼備する
    フォトリソグラフィー法により画像形成可能なブラック
    マトリックスコーティング材。
  2. 【請求項2】 ポリイミド前駆体ビヒクルを溶かす溶媒
    混合物が、N−メチル−2−ピロリドンとシクロヘキサ
    ノンの混合物であり;染料の混合物がオラソルブラウン
    6RLとオラソルブルーGNの1:3〜1:5の重量比
    の混合物であり;そして金属酸化物顔料が、銅、マンガ
    ン、クロム、鉄、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、
    スズ、チタン、ニッケル、コバルト、又はこれらの混合
    物のスピネル構造を有する酸化物からなる群より選ばれ
    たものである請求項1に記載のブラックマトリックスコ
    ーティング材。
  3. 【請求項3】 光吸収染料が、ソルベントブラック3か
    らソルベントブラック47のカラーインデックスで規定
    される染料である請求項1に記載のブラックマトリック
    スコーティング材。
  4. 【請求項4】 金属酸化物顔料が77428から774
    94のカラーインデックスで規定される顔料である請求
    項1に記載のブラックマトリックスコーティング材。
  5. 【請求項5】 ポリイミドビヒクルが、下記(i)及び
    (ii): (i)4,4’−オキシジアニリンとピロメリト酸二無
    水物、及び(ii)4,4’−オキシジアニリンと3,
    3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
    水物、の反応生成物からなる群より選ばれたものである
    請求項1に記載のブラックマトリックスコーティング
    材。
  6. 【請求項6】 4〜8重量%のポリイミド前駆体ビヒク
    ル、80〜85重量%のポリイミド前駆体ビヒクルのた
    めの溶媒、9〜13重量%の染料と顔料からなり、染料
    対顔料の重量比が1:15〜3:15であり、顔料は
    銅、マンガン及び鉄の混合金属酸化物から作られ、77
    494のカラーインデックスを有するピグメントブラッ
    ク26であり、そしてピグメントブラック26に強い親
    和性を持った化学基を有する高分子量ブロックコポリマ
    ーから成るカチオン性分散剤を0.3〜0.8重量%含
    有する組成である請求項2に記載のブラックマトリック
    スコーティング材。
  7. 【請求項7】 最終焼成後の塗布膜厚が1.0μmの
    時、その塗布膜が少なくとも1011Ω/□の表面抵抗を
    有する請求項6に記載のブラックマトリックスコーティ
    ング材。
  8. 【請求項8】 金属酸化物顔料の粒子径が100nmよ
    り小さい請求項1に記載のブラックマトリックスコーテ
    ィング材。
  9. 【請求項9】 金属酸化物顔料の表面がシリカ、アルミ
    ナ及びジルコニアから成る群より選ばれた物質で被覆さ
    れた請求項1に記載のブラックマトリックスコーティン
    グ材。
  10. 【請求項10】 下記(I)及び(II): (I)ポリイミド前駆体ビヒクル、光吸収剤として高い
    抵抗値を有する黒色被覆が形成可能で広いスペクトルの
    光を吸収する有機質染料、及びこれらを溶解する溶媒、
    及び(II)上記染料と顔料が1:15〜3:15の重
    量比にあり、そして当該溶媒中で有効な分散剤と共に、
    銅、マンガン及び鉄の混合金属酸化物で構成され100
    nmより小さい粒子径で77428〜77494のカラ
    ーインデックスを有するニュートン分散系の黒色顔料を
    混合する事を含む、非カーボンブラック系であって最終
    焼成後の塗布膜厚が1.0μmの時、その塗布膜が2.
    0より高い光学濃度を有するSTN又はTFTの画素作
    成に用いられる有機質ブラックマトリックスコーティン
    グ材の製造方法。
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