JP5186857B2 - 黒色樹脂組成物、樹脂ブラックマトリクス、およびカラーフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、黒色樹脂組成物、およびそれを用いた樹脂ブラックマトリクス、ならびに、その樹脂ブラックマトリクスを用いた液晶表示装置用カラーフィルターに関するものである。
液晶表示装置は、液晶の電気光学応答を用いることにより、画像や文字の表示や、情報処理を行うものであり、具体的には、パソコン、モニター、液晶テレビなどといった大画面用途、また、近年は携帯電話、携帯端末、カーナビといった中型・小型用途としても数多く使用されている。
このような液晶表示装置は、通常、2枚の基板間に液晶層が挟み込まれた構造をとっており、液晶層が外部印加に伴って示す電気光学応答を利用することにより明暗を表現できる。色選択性を有する画素からなるカラーフィルターなどを用いることによりカラー表示も可能である。
従来より、ブラックマトリクス材料として、クロム系材料を用いた金属薄膜が用いられていたが、近年、コストや環境汚染の面から樹脂と遮光剤からなる樹脂ブラックマトリクスが用いられている。樹脂ブラックマトリクスは、樹脂とカーボンブラック等の遮光剤を含有する黒色樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して黒色被膜を形成し、これをフォトリソグラフィー法により格子状に微細パターン化して得られる。例えば、特許文献1には、非感光ポリイミド樹脂にカーボンブラックを分散した樹脂ブラックマトリクスが記載されている。
近年、液晶表示装置の小型化、および表示するコンテンツが文字から画像へと多様化したことにより、カラーフィルターの高性能化、高精細化が要求され、樹脂ブラックマトリクスに対しては、高遮光性(OD値)および薄膜化、そして細線加工の要求が高まっている。その結果、OD値としては4.0以上を膜厚1.0μmで達成することが要求され、画素幅については従来の数10μmに対して、10μm以下、更には5μm以下と細線に加工することが要求されている。
高OD値化および薄膜化の要求に対しては、遮光度の高い遮光剤としてチタン酸窒化物を用いるとともに遮光剤の体積比率を増加させることが知られている(特許文献2)が、樹脂ブラックマトリクス中の樹脂比率を減少させるとブラックマトリクスとガラスとの密着性が低下し、ブラックマトリクスが剥がれるといった問題が生じる。ブラックマトリクスが剥がれる原因としては、熱硬化等を経て画素形成した後のブラックマトリクスとガラスとの密着性不足以外に、フォトリソ加工する際の熱硬化されていない乾燥塗膜とガラスとの密着性不足が挙げられる。ガラスとブラックマトリクスの密着性を向上させるには、樹脂組成物中の不純物を低減させる(特許文献3)方法が知られているが、その改善効果は不十分であり、5μmといった細線に加工した場合には、乾燥塗膜の密着性が不十分なため、画素が欠落するといった問題が生じていた。一方、シロキサン構造を有する樹脂を増量することで密着性を向上させる技術が知られている(特許文献4、5)が、ブラックマトリクス形成後の密着性は向上するも、フォトリソ加工する際の乾燥塗膜の密着性としては強すぎるため、現像できずに残膜するといった問題があった。
ブラックマトリクスを細線に加工する際の問題としては、上述の画素剥がれ以外に画素形状不良の問題がある。従来の技術を用いてブラックマトリクスを形成すると画素のテーパー角が45°以下となるが、この状態で画素の底部が5μmとなるように形成すると、画素上部は2μm以下となり、次工程での着色層形成が非常に困難となる。よって、ブラックマトリクスの画素形状としてはより垂直に切り立った形状が好ましく、より好ましくは直線性に優れたものが求められている。
一方、スルホニル基を有するジアミンや、イミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するジアミンから誘導された樹脂は顔料との相互作用が強いため、顔料分散安定剤として有用であることが知られている(特許文献6、7)。
特許第3196638号公報(第1頁、第9〜11頁、表1) 特開2000−143985号公報 特開2004−4651号公報 特開平3−168258号公報 特開平9―184912号公報 特開平9―20865号公報 特開平10―120964号公報
本発明は 、かかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、その目的とするところは、樹脂ブラックマトリクスを細線に加工した場合でも、画素が剥落することなく、形状の良好な画素を加工精度も良く形成することが可能な黒色樹脂組成物を提供するとともに、そのような黒色樹脂組成物を用いた樹脂ブラックマトリクス、さらにはカラーフィルターを提供することにある。
かかる本発明の目的は以下の構成により達成される。
(1) 少なくとも1種類のポリイミド前駆体、溶媒および遮光剤を含有する黒色樹脂組成物において、該ポリイミド前駆体のうちの少なくとも1種がイミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するポリイミド前駆体であって、かつ該少なくとも1種類のポリイミド前駆体の全てをイミド化してポリイミド樹脂としたときの該ポリイミド樹脂全体に対するイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度C(mol/g)が1.5×10−4mol/g以上5.0×10−4mol/g以下であることを特徴とする黒色樹脂組成物。
(2) 前記のポリイミド前駆体のうち、イミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するポリイミド前駆体のイミド閉環率が10%以下であることを特徴とする(1)に記載の黒色樹脂組成物。
(3) 前記のポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)が200℃以上300℃以下であることを特徴とする(1)または2に記載の黒色樹脂組成物。
(4) 前記遮光剤として黒色顔料、青色顔料、紫色顔料から選ばれる1種以上の顔料を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の黒色樹脂組成物。
(5) 前記黒色顔料がチタン化合物粒子および/またはカーボンブラックであることを特徴とする(4)に記載の黒色樹脂組成物。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の黒色樹脂組成物を用いて塗膜を形成した場合の光学濃度(OD値)が、膜厚1μmあたり3.0以上であることを特徴とする樹脂ブラックマトリクス。
(7) (6)に記載の樹脂ブラックマトリクスを具備することを特徴とするカラーフィルター。
本発明の黒色樹脂組成物を用いることにより、高遮光性、高密着性を有し、細線加工性にも優れた樹脂ブラックマトリクスが得られるという効果が得られる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の黒色樹脂組成物は、少なくとも1種類のポリイミド前駆体、溶媒、遮光剤を含有する。
本発明におけるポリイミド前駆体は、一般に酸無水酸物基を有する化合物とジアミン化合物を40〜100℃下において付加重合反応せしめて得られ、通常下記一般式(1)で表される構造単位の繰り返し単位であらわされる。該ポリイミド前駆体の構造は、下記一般式(2)で示されるアミック酸構造と、該アミック酸構造が一部イミド閉環してなる下記一般式(3)および全てイミド閉環してなる下記一般式(4)で示されるイミド構造の両構造を有するポリイミド前駆体である。
Figure 0005186857
Figure 0005186857
Figure 0005186857
Figure 0005186857
ここで、上記一般式(1)〜(4)において、Rは炭素数2〜22の4価の有機基、Rは炭素数1〜22の2価の有機基、nは1または2である。
本発明におけるジアミン化合物としては、フォトリソ加工する際の乾燥塗膜と基板との密着性を向上させるため、イミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するジアミン化合物を使用することが重要である。ここでイミノ基とはN置換体も含み、その際の置換基は炭素数20個以下の有機基とすることができ、またイミノカルボニル基の有機基とすることができる。イミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するジアミンの例として、4,4´−ジアミノジフェニルアミン、3,4´−ジアミノジフェニルアミン、3,3´−ジアミノジフェニルアミン、2,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4´−ジアミノジベンジルアミン、2,2´−ジアミノジベンジルアミン、3,4´−ジアミノジベンジルアミン、3,3´−ジアミノジベンジルアミン、N,N´−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェニル)エチレンジアミン、3,3´−ジアミノジプロピルアミン、4,4´−ジアミノベンズアニリド、3,4´−ジアミノベンズアニリド、3,3´−ジアミノベンズアニリド、4,3´−ジアミノベンズアニリド、2,4’−ジアミノベンズアニリド、N,N´−p−フェニレンビス−p−アミノベンズアミド、N,N´−p−フェニレンビス−m−アミノベンズアミド、N,N´−m−フェニレンビス−p−アミノベンズアミド、N,N´−m−フェニレンビス−m−アミノベンズアミド、N,N´−ジメチル−N,N´−p−フェニレンビス−p−アミノベンズアミド、N,N´−ジメチル−N,N´−p−フェニレンビス−m−アミノベンズアミド、N,N´−ジフェニル−N,N´−p−フェニレンビス−p−アミノベンズアミド、N,N´−ジフェニル−N,N´−p−フェニレンビス−m−アミノベンズアミド、などがあげられるが、イミノ基および/またはイミノカルボニル基を有していればこれらに限定されない。
また、ポリイミド前駆体をイミド化して得られるブラックマトリクス用樹脂としては耐熱性および絶縁性が要求されることから、一般に芳香族系のジアミン及び/または酸二無水物が好ましく用いられる。よって、イミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するジアミンを必須成分とするが、イミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するジアミンと公知の芳香族ジアミンを組み合わせて使用することができる。また、イミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するジアミンからなるポリイミド前駆体とイミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するジアミンを必ずしも必須としない公知のジアミンからなるポリイミド前駆体を混合してもよい。
芳香族系ジアミンの例としては以下の通りであり、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等のうちの1種または2種以上を併用して使用することができる。さらに好ましくは、ジアミン成分の少なくとも一部がパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンから選ばれた1種または2種以上の混合物であることが好ましい。
一方、本発明における芳香族テトラカルボン酸の例としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。さらに好ましくは、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、またはピロメリット酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のテトラカルボン酸二無水物を用いると、短波長領域での透明性が良好なポリイミドに変換しうるポリイミド前駆体組成物を得ることができる。その具体的な例としては、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などが好ましく挙げられる。これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物の1種または2種以上を併用して使用することができる。
さらに、必要に応じて、末端封止剤として、無水マレイン酸や無水フタル酸などの酸無水物を添加しても何ら差し支えない。また、ガラス板、シリコンウエハーなどの無機物との接着性を向上させる目的で、芳香族系化合物以外に、Si系酸無水物および/またはジアミンが好ましく用いられる。特に、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンに代表されるシロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下したり、フォトリソ加工する際の乾燥塗膜としての基板との密着性が強くなりすぎ、アルカリ現像できずに基板上に残膜するといった問題が生じる。
また、低複屈折性などの光学特性を改良するために酸二無水物および/またはジアミンの一部に脂環式化合物を用いることは本発明を何ら妨げるものではない。脂環式化合物は公知のものでよい。具体例としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エンド−3−エンド−5−エクソ−6−エクソ−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エクソ−3−エクソ−5−エクソ−6−エクソ−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、デカハイドロ−ジメタノナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス[2−(3−アミノプロポキシ)エチル]エーテル、1,4−ブタンジオール−ビス(3−アミノプロピル)エ−テル、3、9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ−5,5−ウンデカン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、トリエチレングリコール−ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリエチレングリコール−ビス(3−アミノプロピル)エーテル、3、9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ−5,5−ウンデカン、1,4−ブタンジオール−ビス(3−アミノプロピル)エ−テル等が用いられる。
ポリイミド前駆体の合成は、極性有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより行うのが一般的である。この時、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの混合比により得られるポリアミック酸の重合度を調節することができる。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒が使用されるほか、遮光剤である顔料の分散効果を高めるため、ラクトン類が主成分もしくはラクトン類単独からなる溶媒も好ましい。ここでラクトン類を主成分とする溶媒とは、混合溶媒であって該混合溶媒中のラクトン類溶媒の合計量の全溶媒中に占める重量比が最大である溶媒をいう。ラクトン類とは脂肪族環状エステルで炭素数3〜12の化合物をいう。具体的な例として、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられるがこれらに限定されない。とくにポリイミド前駆体の溶解性の点で、γ−ブチロラクトンが好ましい。また、ラクトン類以外の溶媒としては上記アミド系極性溶媒の他に例えば3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテ−ト、プロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、プロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テルアセテ−ト、ジプロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、トリプロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、プロピレングリコ−ル−モノ−3級−ブチルエ−テル、イソブチルアルコ−ル、イソアミルアルコ−ル、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテ−ト、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテ−ト、メチルカルビト−ル、メチルカルビト−ルアセテ−ト、エチルカルビト−ル、エチルカルビト−ルアセテ−ト等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明においては、前記少なくとも1種類のポリイミド前駆体の全てをイミド化して得られるポリイミド樹脂全体に対するイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度が重要となる。
濃度C(mol/g)は、下記式(5)によって算出され、その範囲としては1.5×10−4mol/g以上5.0×10−4mol/g以下が好ましい。濃度が低すぎると、乾燥塗膜と基板との密着性を向上させる効果が得られず、一方、濃度が高すぎると、アルカリ現像後にガラス基板上に残膜するといった問題が生じる。
Figure 0005186857
(ここで、nは各ポリイミド樹脂の繰り返し単位に含まれるイミノ基および/またはイミノカルボニル基の個数、Mは各ポリイミド樹脂の繰り返し単位における分子量、Wは各ポリイミド樹脂の繰り返し単位の重量分率を表し、iは各ポリイミド樹脂の繰り返し単位の種類を表す。)
本発明での、各ポリイミド樹脂の繰り返し単位に含まれるイミノ基および/またはイミノカルボニル基の個数nとは、各ポリイミド前駆体をイミド化して得られる上記一般式(4)の括弧内の構造式Rに含まれるイミノ基および/またはイミノカルボニル基のポリイミド樹脂全体におけるモル数である。本発明のポリイミド前駆体において、複数の異なったジアミンから構成されたポリイミド前駆体が使用されるが、その場合の各ポリイミド樹脂の繰り返し単位に含まれるイミノ基および/またはイミノカルボニル基のモル数nは、全ジアミンに占めるイミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するジアミンのモル比率より求められる。
本発明のポリイミド前駆体において、イミド閉環率とは、H−NMR法によるアミド残基の測定により求められるイミド閉環率Xをいう。イミド閉環率は、上記一般式(2)および(3)の定量比率から下記式(6)によって算出される。
Figure 0005186857
(式(6)中、xは一般式(2)におけるアミド残基の定量比率、xは一般式(3)におけるアミド残基の定量比率を示す。)
なお、上記一般式(4)の構造は、アミドプロトンが存在しないためH−NMR法においては、含有率は測定できないが、上記一般式(2)および一般式(3)の比率によって確率的に上記一般式(4)の構造が存在すると考えて良く、本発明でのイミド閉環率として式(6)によって定義されたイミド閉環率X(%)を使用する。
本発明において、かかるポリイミド前駆体のイミド閉環率の定量方法として、H−NMR法を用いる。具体的には、前記式(6)におけるアミド残基の定量値をH−NMRにおけるアミド水素のピーク面積値として、前記一般式(2)および一般式(3)で示された構造を定量する。アミド水素のピークの分離が良くない場合には、スペクトルでのピーク分割を行ってから、前期一般式(2)および一般式(3)で示された構造を定量化すればよい。H−NMR法を用いてポリイミド前駆体のイミド閉環率を液体状態で測定することによって、簡便で精度良くイミド閉環率を定量することができる。H−NMR測定の測定条件は、公知のものを適用することができる。
液体状態で供される被測定物の調整方法として、通常ポリイミド前駆体濃度5〜50%で供されるポリイミド前駆体溶液をポリイミド前駆体の溶解性を損なわない1種以上の重水素化溶媒で希釈する方法が用いられる。希釈溶媒としては、ジメチルスルホキシド重水素化物またはジメチルホルムアミド重水素化物が挙げられる。液体状態で供される被測定物中のポリイミド前駆体の濃度は、重量濃度として10g/L以上500g/L以下が好ましい。また、該ポリイミド前駆体溶液を希釈するために用いる該重水素化物は、十分に脱水処理されているものが好ましく用いられる。脱水処理が不十分な場合、水分子の存在によりアミドピークの分解能が低下し、該イミド閉環率の算出において定量性を欠く恐れがある。液体状態で供される被測定物の水分率としては0.01%以上0.5%以下が好ましく、主にポリイミド前駆体に由来する水分は許容される。さらに本発明において、複数のジアミンからなるポリイミド前駆体の場合、その単量体として最も含有量の多いジアミンのアミド水素を定量する方法が好ましい
本発明においてはイミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するジアミンから誘導されたポリイミド前駆体を使用するが、そのイミド閉環率としては10%以下が好ましく、5%以上10%以下で有ることが更に好ましい。イミド閉環率が高いと、ポリアミック酸主鎖が剛直となりイミノ基および/またはイミノカルボニル基の基板への相互作用が抑制され、乾燥塗膜とした際の基板との密着性が低下する。また、更には、アルカリ現像液への溶解性が悪くなるため、ブラックマトリクスの直線性及び形状が不良となる問題が生じる。
本発明の黒色樹脂組成物で用いるポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、200℃以上300℃以下であることが好ましく、更には220℃以上280℃以下であることが好ましい。樹脂ブラックマトリクスと基板との密着性を向上させるためには、樹脂ブラックマトリクスを熱処理する際の温度を樹脂のTgより高くすることが有効であるため、樹脂のTgを低く設計することが好ましい。また、一般にガラス転移温度の高いポリイミド樹脂に転換されるポリイミド前駆体は、その前駆体においても分子間の凝集力が強いため、顔料分散時に使用する有機溶媒への溶解性が低いという問題やパターン加工の際の現像に使用するアルカリ性現像液への溶解性が低いという問題がある。但し、耐熱性の問題もあるため、Tgは200℃以上が好ましい。
本発明の黒色樹脂組成物に用いられる溶媒としては特に限定はなく、分散する顔料の分散安定性および添加する樹脂等の溶解性に併せて、水および有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、(ポリ)アルキレングリコールエーテル系溶剤、あるいは、脂肪族エステル類、あるいは、脂肪族アルコール類、ケトン類、アミド系極性溶媒、ラクトン系極性溶媒を用いることができ、これらの単独、あるいは2種類以上の混合溶媒も好ましく用いることができる。またこれら以外の溶剤との混合も好ましく用いられる。
本発明に用いられる遮光剤としては特に限定はなく、黒色有機顔料、混色有機顔料、および無機顔料等から用いることができる。黒色有機顔料としては、カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック等が、混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、マゼンダ、シアン等から選ばれる少なくとも2種類以上の顔料を混合して疑似黒色化されたものが、無機顔料としては、グラファイト、およびチタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属微粒子、金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属窒化物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
遮光性に優れた遮光剤を用いることで、ブラックマトリクスを薄膜に形成することが可能となり、細線加工が容易となるため好ましく、チタン化合物粒子、カーボンブラック、樹脂被覆カーボンブラック等が好ましく用いられ、より好ましくはチタン化合物粒子が用いられる。ここで、チタン化合物粒子とは、TiO、Ti2n−1(1≦n≦20)で表せるチタン酸化物、チタン窒化物、TiN(0<x<2.0,0.1<y<2.0)で表せるチタン酸窒化物、およびチタン炭化物のうち少なくとも1種以上からなるものをいう。チタン酸窒化物は一般にTiNxOy(ただし、0<x<2.0、0.1<y<2.0)の組成からなり、以下の方法で製造されるが、特にこれらに限定されるものではない。
(1)二酸化チタンまたは水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)。
(2)二酸化チタンまたは水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)。
本発明の樹脂ブラックマトリクスにおけるチタン酸窒化物の平均粒子径は、20〜300nmの範囲にあることが望ましい。チタン酸窒化物の粒子径が300nmよりも大きいと、樹脂ブラックマトリクスのOD値が低下するとともに、平坦性が低下する。一方、チタン酸窒化物の平均粒子径が20nmより小さいとチタン酸窒化物の分散安定性が悪くなる傾向にあるが、分散安定性が良好で有れば同様に有用である。
また、チタン酸窒化物は製造方法に由来するNa、K、Mg、Ca等のアルカリ金属を多量含んでいる場合があり、樹脂ブラックマトリクスとガラスとの密着強度を低下させる要因となる。そこで、本発明の遮光剤としてチタン酸窒化物を使用する場合には、黒色樹脂組成物中のK、Na等のアルカリ金属を除去するのが好ましく、その除去方法としてはイオン交換樹脂を用いたイオン交換や純水洗浄などが挙げられる。
本発明での黒色樹脂組成物においては、ガラス板、シリコンウエハーなどの無機物との接着性を向上させる目的で密着性改良剤を加えることができる。密着性改良剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤を使用することができる。また着色樹脂組成物の塗布性および着色膜の表面の均一性を良好にする目的で、あるいは、顔料の分散性を良好にする目的で、本発明の着色樹脂組成物に界面活性剤を添加することができる。
本発明での黒色樹脂組成物では、分散機を用いて樹脂溶液中に直接顔料を分散させる方法や、分散機を用いて水または有機溶媒中に顔料を分散して顔料分散液を作製し、その後樹脂溶液と混合する方法などにより製造される。顔料の分散方法には特に限定はなく、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなど、種々の方法をとりうるが、分散効率と微分散化からビーズミルが好ましい。ビーズミルとしては、コボールミル、バスケットミル、ピンミル、ダイノーミルなどを用いることができる。ビーズミルのビーズとしては、チタニアビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズなどを用いるのが好ましい。
本発明での黒色樹脂組成物において、ポリイミド前駆体と遮光剤は、通常、重量比で10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30の範囲で混合して用いられる。ポリイミド前駆体の量が少なすぎると、形成したブラックマトリクスと基板との接着性が不良となる恐れがあり、逆に遮光剤の量が少なすぎると所望のOD値のブラックマトリクスを得ることができない。
本発明の黒色樹脂組成物から得られた樹脂ブラックマトリクスの光学濃度(optical density、OD値)は、波長380〜700nmの可視光域において膜厚1.0μmあたり3.0以上、好ましくは4.0以上である。
また、本発明の黒色樹脂組成物においてポリイミド前駆体と遮光剤をあわせた固形分濃度としては、塗工性・乾燥性の観点から2%以上30%以下が好ましく、更には5%以上20%以下であることが好ましい。
ガラスと樹脂ブラックマトリクスの密着強度は、高温、高圧、高湿処理後も処理前と同様に高いことが好ましい。本発明において、121℃、2気圧、100%RHにおいて、3時間処理した樹脂ブラックマトリクスにおいて、ガラスとの接触面積が5mm2 のときの密着強度は2.0MPa以上である。ガラスとの密着強度が2.0MPaよりも小さいと、樹脂ブラックマトリクスがガラスから剥がれるという問題が生じる。
本発明の樹脂ブラックマトリクスの製法を以下に示す。
黒色樹脂組成物を基板上に塗布する方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法で基板に塗布する方法、基板を溶液中に浸漬する方法、溶液を基板に噴霧するなど種々の方法を用いることができる。基板としては特に限定されるものでなく、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどの無機ガラス類、有機プラスチックのフィルムまたはシートなどが好ましく用いられる。なお、基板上に塗布する場合、シランカップリング剤、アルミニウムキレート剤、チタニウムキレート剤などの接着助剤で基板表面を処理しておくと、ブラックマトリクス被膜と基板との接着力を向上させることができる。
黒色樹脂脂組成物を前記のような方法で透明基板に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより加熱乾燥および硬化を行い、ポリイミド前駆体の乾燥被膜を形成する。被膜を形成する際の乾燥ムラや搬送ムラを抑制するため、塗液を塗布した基板を加熱装置を備えた減圧乾燥機で減圧乾燥した後、加熱硬化することが好ましい。減圧乾燥条件としては、例えば、装置能力としては絶対圧力条件として20Torr以下が好ましく、より好ましくは5Torr以下、さらに好ましくは2Torr以下である。20Torr以上で減圧乾燥を行った場合は、減圧乾燥に要する時間が長くかかり、かつ、ある温度条件下での溶剤蒸気圧との関係(平衡蒸気圧)で決まるが、減圧乾燥時に生じる欠点の発生を抑えることが難しい。突沸を避けるため、ある温度条件下での溶剤平衡蒸気圧近傍にチャンバー内が到達するまでの時間t1を、1<t1<120secの有限値に決定し、運転する。また、ほぼ1Torrまでの到達所要時間を約60secに設定することが好ましく、減圧乾燥を迅速に、かつむらなく達成することができる。温度条件は30℃以上から180℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上から150℃以下、さらに好ましくは50℃以上から120℃以下が好ましい。30℃未満の場合は減圧乾燥に要する時間が長くかかり、180℃以上の場合は温度ムラが減圧乾燥時でも発生し、減圧乾燥時でも温度ムラによる欠点が生じる。但し、塗膜に若干の溶媒が保持された状態で加熱硬化を行うことで、乾燥皮膜と基板との密着性が向上するため、加熱硬化時にムラが発生しない程度に真空乾燥条件を弱くする事が好ましい。加熱硬化条件は、使用する樹脂、溶媒、塗布量により異なるが、通常50〜400℃で、1〜300分加熱することが好ましい。
こうして得られた塗布膜は、通常、フォトリソグラフィーなどの方法を用いてパターン加工される。すなわち、樹脂が非感光性の樹脂である場合には、その上にフォトレジストの被膜を形成した後に、また、樹脂が感光性の樹脂である場合は、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に露光現像を行い所望のパターンにする。その後、必要に応じて、フォトレジストまたは酸素遮断膜を除去した後、加熱し硬化させることで樹脂ブラックマトリクスが得られる。熱硬化条件は、樹脂により異なるが、前駆体からポリイミド系樹脂を得る場合には、通常、200〜350℃で1〜60分加熱するのが一般的である。
樹脂ブラックマトリクスの膜厚としては、ブラックマトリクスとして使用可能な範囲であれば特に限定されない。
本発明においては、前述の樹脂ブラックマトリクスを使用して液晶表示用カラーフィルターを製造することができる。本発明の樹脂ブラックマトリクスを液晶表示用カラーフィルターに用いる場合、通常の製造工程としては、例えば特公平2−1311号公報に示されているように、まず透明基板上にブラックマトリクス、次いで赤(R)、緑(G)、青(B)の色選択性を有する画素を形成させ、この上に必要に応じてオーバーコート膜形成させるものである。なお、画素の具体的な材質としては、任意の光のみを透過するように膜厚制御された無機膜や、染色、染料分散あるいは顔料分散された着色樹脂膜などがある。また、画素の形成順は必要に応じて任意に変更可能である。オーバーコート膜の材質としては、エポキシ膜、アクリルエポキシ膜、アクリル膜、シロキサンポリマ系の膜、ポリイミド膜、ケイ素含有ポリイミド膜、ポリイミドシロキサン膜等が挙げられる。さらに、必要に応じて、3原色の着色層を形成または、3原色の着色層の上にオーバーコート膜を形成後に透明導電膜を形成することができる。透明導電膜としてはITOなどの酸化物薄膜が採用され、通常0.1μm程度のITO膜がスパッタリング法や真空蒸着法などで作成される。
本発明のカラーフィルターの画素に用いられる顔料には特に制限はないが、耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れた物が望ましい。代表的な顔料の具体的な例をカラーインデックス(CI)ナンバーで示すと、次のようなものが好ましく使用されるが、いずれもこれらに限定されるものではない。
赤色顔料の例としては、ピグメントレッド(以下PRと略す)9、PR48、PR97、PR122、PR123、PR144、PR149、PR166、PR168、PR177、PR179、PR180、PR190、PR192、PR209、PR215、PR216、PR217、PR220、PR223、PR224、PR226、PR227、PR228、PR240、PR254などが使用される。
オレンジ色顔料の例としては、ピグメントオレンジ(以下POと略す)13、PO31、PO36、PO38、PO40、PO42、PO43、PO51、PO55、PO59、PO61、PO64、PO65、PO71などが使用される。
黄色顔料の例としては、ピグメントイエロー(以下PYと略す)PY12、PY13、PY14、PY17、PY20、PY24、PY83、PY86、PY93、PY94、PY95、PY109、PY110、PY117、PY125、PY129、PY137、PY138、PY139、PY147、PY148、PY150、PY153、PY154、PY166、PY168、PY173、PY180、PY185などが使用される。
また、紫色顔料の例としては、ピグメントバイオレット(以下PVと略す)19、PV23、PV29、PV30、PV32、PV36、PV37、PV38、PV40、PV50などが使用される。
また、青色顔料の例としては、ピグメントブルー(以下PBと略す)15、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB22、PB60、PB64などが使用される。
また、緑色顔料の例としては、ピグメントグリーン(以下PGと略す)7、PG10、PG36、などが使用される。
これらの顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理などの表面処理がされていてもかまわず、分散剤として顔料誘導体を添加することもできる。
本発明のカラーフィルターの画素に用いられるマトリクス樹脂には特に制限無いが、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミドなどを使用することができる。製造プロセスの簡便さや、耐熱性、耐光性などの面から画素としては顔料分散された樹脂膜を用いることが好ましい。パターン形成の容易さの点からは顔料分散された感光性のアクリル樹脂を用いることが好ましい。しかし、耐熱性、耐薬品性の面からは、顔料分散されたポリイミド膜を用いることが好ましい。
本発明の液晶表示装置用基板カラーフィルターでは、画素間にブラックマトリクスが配置される。また、画素の額縁部にもブラックマトリクスが配置される。ブラックマトリクスの配置により、液晶表示装置のコントラストを向上させることができることに加え、光による液晶表示装置の駆動素子の誤作動を防止することができる。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルター上に固定されたスペーサーを形成してもよい。固定されたスペーサーとは、特開平4−318816号公報に示されるように液晶表示装置用基板の特定の場所に固定され、液晶表示装置を作製した際に対向基板と接するものである。これにより対向基板との間に、一定のギャップが保持され、このギャップ間に液晶が注入される。固定されたスペーサーを配することにより、液晶表示装置の製造工程において球状スペーサーを散布する行程や、シール剤内にロッド状のスペーサーを混練りする工程を省略することができる。
固定されたスペーサーの形成は、フォトリソグラフィーや印刷、電着などの方法でよって行われる。スペーサーを容易に設計通りの位置に形成できるので、フォトリソグラフィーによって形成することが好ましい。また、該スペーサーはR、G、B画素の作製と同時に積層構造で形成してもR、G、B画素作製後に形成しても良い。
本発明においては、オーバーコート膜を形成してなるカラーフィルターであることがより好ましい。オーバーコート膜の形成は樹脂ブラックマトリクス形成後、あるいは画素形成後、あるいは固定されたスペーサー配置後のいずれであっても良い。
加熱硬化後の該オーバーコートの厚みは、凹凸のある基板上に塗布された場合、オーバーコート剤のレベリング性により、凹部(周囲より低い部分)では厚く、凸部(周囲より高い部分)では薄くなる傾向がある。本発明においてのオーバーコートの厚みには、特に制限がないが、0.01〜5μm、好ましくは0.03〜4μm、さらに好ましくは0.04〜3μmである。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
また、実施例中で使用されるポリアミック酸、および顔料分散液は次の方法で製造されたものとする。
A.ポリアミック酸の製法
4,4′−ジアミノベンズアニリド(0.475モル当量)、3,3′−ジアミノジフェニルスルフォン(0.475モル当量)、およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(0.05モル当量)をN−メチル−2−ピロリドン1700gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(0.98モル当量)を添加し、70℃で3時間反応させた。無水フタル酸(0.04モル当量)を添加し、更に70℃で1時間反応させ、ポリアミック酸A−1(ポリマー濃度17重量%、イミド閉環率13%、繰り返し単位の分子量532)溶液を得た。ここで、ポリアミック酸A−1の繰り返し単位の分子量は下記要領にて計算されたものである。
繰り返し分子量=2×(227×0.475+248×0.475+249×0.05+294×0.98)/(0.475+0.475+0.05+0.98)=532
また、ポリアミック酸A−1をイミド化して得られるポリイミド樹脂の繰り返し単位の分子量Mは496となり、該ポリイミド樹脂の繰り返し単位に含まれるイミノ基および/またはイミノカルボニル基のモル数nは0.475モルである。
ポリアミック酸A−1と同様に反応温度のみを60度に変更して反応させ、ポリアミック酸A−2(ポリマー濃度17重量%、イミド閉環率9%、繰り返し単位の分子量532)溶液を得た。ここで、ポリアミック酸A−2をイミド化して得られるポリイミド樹脂の繰り返し単位の分子量Mは496となり、該ポリイミド樹脂の繰り返し単位に含まれるイミノ基および/またはイミノカルボニル基のモル数nは0.475モルである。
4,4′−ジアミノフェニルエーテル(0.30モル当量)、パラフェニレンジアミン(0.65モル当量)、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(0.05モル当量)をγ−ブチロラクトン850g、N−メチル−2−ピロリドン850gと共に仕込み、3,3′,4,4′−オキシジフタルカルボン酸二無水物(0.9975モル当量)を添加し、80℃で3時間反応させた。無水マレイン酸(0.02モル当量)を添加し、更に80℃で1時間反応させ、ポリアミック酸A−3(ポリマー濃度20重量%、繰り返し単位の分子量453)溶液を得た。ここで、ポリアミック酸A−3をイミド化して得られるポリイミド樹脂の繰り返し単位の分子量Mは417となる。
フルオレンジアミン(0.95モル当量)、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(0.05モル当量)をγ−ブチロラクトン1700gと共に仕込み、3,3′,4,4′−オキシジフタルカルボン酸二無水物(0.99モル当量)を添加し、70℃で3時間反応させた。無水マレイン酸(0.02モル当量)を添加し、更に70℃で1時間反応させ、ポリアミック酸A−4(ポリマー濃度15重量%、繰り返し単位の分子量654)溶液を得た。ここで、ポリアミック酸A−4をイミド化して得られるポリイミド樹脂の繰り返し単位の分子量Mは618となる。
4,4′−ジアミノフェニルエーテル(0.95モル当量)、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(0.05モル当量)をγ−ブチロラクトン1700g(100%)と共に仕込み、ピロメリット酸二無水物(0.49モル当量)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(0.50モル当量)を添加し、80℃で3時間反応させた。無水マレイン酸(0.02モル当量)を添加し、更に80℃で1時間反応させ、ポリアミック酸A−5(ポリマー濃度20重量%、繰り返し単位の分子量473)溶液を得た。ここで、ポリアミック酸A−5をイミド化して得られるポリイミド樹脂の繰り返し単位の分子量Mは437となる。
作製したポリアミック酸についてイミド化率を下記の方法で測定し、結果を表1に示す。
[イミド閉環率]
(1)H−NMR測定溶液作成:N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンを溶媒とする重量濃度約20%のポリイミド前駆体溶液1重量部を、モレキュラーシーブスを用いて十分に脱水したジメチルホルムアミド重水素化物(d7体)またはジメチルスルホキシド重水素化物(d6体)4重量部で希釈した。得られた希釈液を、直径約5mmのNMR用ガラス製サンプル管に適量充填した。
(2)H−NMR測定:日本電子(株)製JNM−GX−270(観測周波数270MHz)を用いて以下の条件で測定した。観測核:H、観測範囲:6000Hz、測定法:Hシングルパルス、パルス幅:4.7μsec、観測繰り返し時間:PD=12sec,ACQTM=2.730sec、温度:室温、内部標準:テトラメチルシラン、試料回転速度:15Hz。
Figure 0005186857
(表1中、BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物、PMDA:ピロメリット酸二無水物、BTDA:ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、DABA:4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3‘−DDS:3,3′−ジアミノジフェニルスルフォン、PDA:パラフェニレンジアミン、4,4’−DAE:4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、FDA:9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、SiDA:ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、Ph:無水フタル酸、MA:無水マレイン酸、をそれぞれ表す。)
B―1.チタン酸窒化物の作製
平均一次粒径が40nmの二酸化チタン粉末(4.0kg)を反応炉に投入した後、アンモニアガスを炉内線速度3cm/secで流し、炉内温度750℃で6時間の反応を行い、チタン酸窒化物B(3.2kg)を得た。
B−2.チタン酸窒化物分散液の作製
チタン酸窒化物B(225g)に、ポリアミック酸溶液A−3(125g)、γ−ブチロラクトン(88g)、N−メチル−2ピロリドン(449g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(113g)をタンクに仕込み、ホモミキサー(特殊機化製)で1時間撹拌し、予備分散液Bを得た。その後、0.40mmφジルコニアビーズ(東レ(株)製、トレセラムビーズ)を85%充填したダイノーミルKDL(シンマルエンタープライゼス製)に予備分散液Bを供給し、回転速度11m/sで2時間分散を行い、固形分濃度25重量%、チタン酸窒化物/ポリマー(重量比)=90/10のチタン酸窒化物分散液Bを得た。
C.カーボンブラック分散液の作製
カーボンブラック(“MA100” 三菱化成製、73g)に、ポリアミック酸溶液A−3(336g)、γ−ブチロラクトン(246g)、N−メチル−2ピロリドン(216g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(129g)をタンクに仕込み、ホモミキサー(特殊機化製)で1時間撹拌し、予備分散液Cを得た。その後、0.40mmφジルコニアビーズ(東レ(株)製、トレセラムビーズ)を85%充填したダイノーミルKDL(シンマルエンタープライゼス製)に予備分散液Cを供給し、回転速度11m/sで2時間分散を行い、固形分濃度14重量%、チタン酸窒化物/ポリマー(重量比)=52/48のカーボンブラック分散液Cを得た。
D.窒化チタン分散液の作製
チタン酸窒化物Bの代わりに窒化チタン(和光純薬工業(株)製、窒化チタン50nm)を用いた以外は作製例B−2と同様にして、窒化チタン分散液Dを得た。
E.顔料分散液の作製
緑顔料(Pigment Green 36);44g、黄顔料(Pigment Yellow 138);19g、ポリアミック酸A−5;47g、γ−ブチロラクトン;890gをタンクに仕込み、ホモミキサー(特殊機化製)で1時間撹拌し、G顔料分散液E−1を得た。その後、0.40mmφジルコニアビーズ(東レ(株)製、トレセラムビーズ)を85%充填したダイノーミルKDL(シンマルエンタープライゼス製)に予備分散液E−1を供給し、回転速度11m/sで3時間分散を行い、固形分濃度7重量%、顔料/ポリマー(重量比)=90/10のG分散液E−1を得た。G分散液E−1をポリアミック酸A−5及び溶媒で希釈し、緑ペーストを作成した。
同様に緑顔料および黄顔料の代わりに赤顔料(Pigment Red 254);63gを仕込み、固形分濃度7重量%、顔料/ポリマー(重量比)=90/10のR顔料分散液E−2を得た。更に、ポリアミック酸A−5及び溶媒で希釈し、赤ペーストを作成した。
同様に緑顔料および黄顔料の変わりに青顔料(Pigment Red 15:6);63gを仕込み、固形分濃度7重量%、顔料/ポリマー(重量比)=90/10のB顔料分散液E−3を得た。更に、ポリアミック酸A−5及び溶媒で希釈し、青ペーストを作成した。
実施例1
チタン酸窒化物分散液B(311g)に、ポリアミック酸A−1(88g)、ポリアミック酸A−3(36g)、γ−ブチロラクトン(174g)、N−メチル−2−ピロリドン(288g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(100g)を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/ポリマー(重量比)=70/30の黒色樹脂組成物F−1を得た。ここで、ポリイミド樹脂1gあたりのイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度Cは下記の通りに計算される。
=0.5×(0.475/496)+0.5×(0/417)=4.8×10―4(mol/g)
この黒色樹脂組成物F−1を無アルカリガラス(コーニング製“1737材”)基板上にカーテンフローコーターで塗布し、80℃、10−1Torrで2分真空乾燥した。この際、30秒で溶剤平衡蒸気圧近傍である約1Torrに到達し、その90秒後に平衡状態を脱した直後に基板を取り出した。この後、140℃で20分間セミキュアし、ポジ型フォトレジスト(シプレー社製“SRC−100”)をリバースロールコーターで塗布、ホットプレートで120℃、5分間プリベークし、大日本スクリーン(株)製露光機“XG−5000”を用い、フォトマスクを介して露光し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いてポジ型レジストの現像およびポリイミド前駆体のエッチングを同時に行なった後、ポジ型レジストをメチルセルソルブアセテートで剥離した。さらに、300℃で30分間キュアした。このようにして、厚み1.00μmでのブラックマトリクスF−1を作成した。
実施例2
窒化チタン分散液Dを用いた以外は実施例1と同様に、全固形分濃度10重量%、顔料/ポリマー(重量比)=70/30の黒色樹脂組成物F−2を得た。ここで、ポリイミド樹脂1gあたりのイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度Cは4.8×10―4(mol/g)である。
ブラックマトリクスの厚みを0.80μmとした以外は実施例1と同様に、黒色樹脂組成物F−2を用いてブラックマトリクスF−2を作成した。
実施例3
チタン酸窒化物分散液B(311g)に、ポリアミック酸A−2(71g)、ポリアミック酸A−3(51g)、γ−ブチロラクトン(162g)、N−メチル−2−ピロリドン(306g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(100g)を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/ポリマー(重量比)=70/30の黒色樹脂組成物F−3を得た。ここで、ポリイミド樹脂1gあたりのイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度Cは3.8×10―4(mol/g)である。
実施例1と同様に、黒色樹脂組成物F−3を用いてブラックマトリクスF−3を作成した。
実施例4
チタン酸窒化物分散液B(311g)に、ポリアミック酸A−2(36g)、ポリアミック酸A−3(81g)、γ−ブチロラクトン(150g)、N−メチル−2−ピロリドン(323g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(100g)を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/ポリマー(重量比)=70/30の黒色樹脂組成物F−4を得た。ここで、ポリイミド樹脂1gあたりのイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度Cは1.9×10―4(mol/g)である。
実施例1と同様に、黒色樹脂組成物F−4を用いてブラックマトリクスF−4を作成した。
実施例5
実施例4と同様に、黒色樹脂組成物F−4を用いて、真空乾燥条件のみを変更してブラックマトリクスF−5を作成した。真空乾燥条件としては、80℃、10−1Torrで4分真空乾燥を行った。この際、30秒で溶剤平衡蒸気圧近傍である約1Torrに到達し、90秒間平衡状態を保った後、10−1Torrに到達した。
実施例6
カーボンブラック分散液C(440g)に、ポリアミック酸A−2(85g)、ポリアミック酸A−3(20g)、γ−ブチロラクトン(54g)、N−メチル−2−ピロリドン(320g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(100g)を添加し、全固形分濃度8重量%、顔料/ポリマー(重量比)=40/60の黒色樹脂組成物F−6を得た。ここで、ポリイミド樹脂1gあたりのイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度Cは2.9×10―4(mol/g)である。
実施例1と同様に、黒色樹脂組成物F−6を用いてブラックマトリクスを作成F−6を作成した。
実施例7
チタン酸窒化物分散液B(311g)に、ポリアミック酸A−2(60g)、ポリアミック酸A−4(80g)、γ−ブチロラクトン(114g)、N−メチル−2−ピロリドン(335g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(100g)を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/ポリマー(重量比)=70/30の黒色樹脂組成物F−7を得た。ここで、ポリイミド樹脂1gあたりのイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度Cは3.3×10―4(mol/g)である。
実施例1と同様に、黒色樹脂組成物F−7を用いてブラックマトリクスF−7を作成した。
比較例1
チタン酸窒化物分散液B(311g)に、ポリアミック酸A−3(111g)、γ−ブチロラクトン(138g)、N−メチル−2−ピロリドン(340g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(100g)を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/ポリマー(重量比)=70/30の黒色樹脂組成物F−8を得た。ここで、ポリイミド樹脂1gあたりのイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度Cは0.0(mol/g)である。
実施例1と同様に、黒色樹脂組成物F−8を用いてブラックマトリクスF−8を作成した。
比較例2
チタン酸窒化物分散液B(311g)に、ポリアミック酸A−2(18g)、ポリアミック酸A−3(96g)、γ−ブチロラクトン(144g)、N−メチル−2−ピロリドン(332g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(100g)を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/ポリマー(重量比)=70/30の黒色樹脂組成物F−9を得た。ここで、ポリイミド樹脂1gあたりのイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度Cは1.0×10―4(mol/g)である。
実施例1と同様に、黒色樹脂組成物F−9を用いてブラックマトリクスF−9を作成した。
比較例3
チタン酸窒化物分散液B(311g)に、ポリアミック酸A−2(131g)、γ−ブチロラクトン(182g)、N−メチル−2−ピロリドン(276g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(100g)を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/ポリマー(重量比)=70/30の黒色樹脂組成物F−10を得た。ここで、ポリイミド樹脂1gあたりのイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度Cは7.1×10―4(mol/g)である。
実施例1と同様に、黒色樹脂組成物F−10を用いてブラックマトリクスF−10を作成した。
Figure 0005186857
得られたブラックマトリクスについて、パターン形状、パターン剥がれ・欠けの有無、残さ、塗膜の密着強度、OD値、およびガラス転移温度Tgについて下記の方法で評価を行った。結果を表3に示す。
[パターン形状]
実施例1に記載の方法において、線状遮光部分の線幅が異なる(10μm、5μm、4μm)フォトマスクを用いて各マスク設計線幅と同一線幅となるような加工条件にてブラックマトリクスを形成し、各線幅における、テーパー形状及び直線性について目視にて評価を行った。また、判定は、○:直線性良好、×:直線性不良 とした。
[パターン欠け・剥がれの有無]
上記方法と同様に、線幅の異なるブラックマトリクスを形成し、各線幅に於いてパターンの剥がれや欠けが発生していないか目視で判定を行った。また、判定は、○:欠け・剥がれ無し、×:欠け剥がれ有り とした。
[残さ]
上記方法と同様に、線幅の異なるブラックマトリクスを形成し、各線幅に於いて残さはガラス上に顔料の残さが残っているかどうかを目視で判定した。また、判定は、○:ガラス上に残さ無し、×:ガラス上に残さ有り とした。
[OD値]
顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて下記の関係式より求めたものである。
OD値 = log10 (I0 /I)
ここで、I0 は入射光強度、Iは透過光強度である。なお、OD値は膜厚に比例するので 、遮光性の大きさを本発明では1.0μmあたりのOD値として示している。
[密着強度]
密着強度は以下のように求めたものである。無アルカリガラス上に膜厚1.0 μmの樹脂ブラックマトリクスを形成させ、さらにブラックマトリクス上に膜厚7μmのシール剤を形成させ、カバーガラスを上から被せ、樹脂ブラックマトリクスとシール剤、シール剤とカバーガラスを十分に密着させた後、作製したサンプルをテンシロン(ORIENTEC製、RTM−100)を用いて、10mm/minの速さで引っ張り試験を行い、樹脂ブラックマトリクスとガラスが破断したときの破断強度と破断面積から以下の式により求めたものである。
密着強度(MPa)=破断強度(kgf)*9.8/破断面積(m
なお、密着強度は破断面積が大きくなるほど小さくなる傾向があるため、本発明の密着強度は、破断面積5mm のときの値とした。
[ガラス転移温度Tg]
塗膜のガラス転移温度は以下のように求めたものである。ガラス板からブラックマトリクスを5mg削り取り、開放系にて温度変調DSC曲線を測定(TA Instruments社製 DSC2920、平均昇温速度2℃/min)し、可逆成分の曲線からガラス転移温度を読みとった。
Figure 0005186857
実施例3で線幅4μmとなるよう加工した樹脂ブラックマトリクス上に赤色ペーストを塗布し、プリベークを行い、ポリイミド前駆体赤色着色膜を形成した。ポジ型フォトレジストを用い、前記と同様な手段により、赤色画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。同様に緑色ペーストを塗布し、緑画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。引き続き、青色ペーストを塗布し、青画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。
(オーバーコートの作製)
ビニルトリメトキシシラン:562.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:700g、水:204.98gおよびシュウ酸:0.05gを混合した溶液を加熱することで加水分解反応を進行させた後、セロキサイド2021P:90g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:210g、およびアルミニウムトリス:0.6gを加えて、熱硬化性樹脂溶液を得た。この熱硬化性樹脂溶液を前記カラーフィルターにスピンコートし、100℃で5分、260℃で30分加熱することにより、厚さ1.0μmのオーバーコートとした。
このようにして、得られたカラーフィルターについてオーバーコート層を含む額縁の樹脂ブラックマトリクスの厚み1.0μmのときのOD値は3.6と高く、密着強度は9.6MPaと高かった。また、顕微鏡で観察したところ得られたカラーフィルターはブラックマトリクスの欠落もなく、形状不良に起因するムラもなかった。

Claims (7)

  1. 少なくとも1種類のポリイミド前駆体、溶媒および遮光剤を含有する黒色樹脂組成物において、該ポリイミド前駆体のうちの少なくとも1種がイミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するポリイミド前駆体であって、かつ該少なくとも1種類のポリイミド前駆体の全てをイミド化してポリイミド樹脂としたときの該ポリイミド樹脂全体に対するイミノ基および/またはイミノカルボニル基の濃度C(mol/g)が1.5×10−4mol/g以上5.0×10−4mol/g以下であることを特徴とする黒色樹脂組成物。
  2. 前記のポリイミド前駆体のうち、イミノ基および/またはイミノカルボニル基を有するポリイミド前駆体のイミド閉環率が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の黒色樹脂組成物。
  3. 前記のポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)が200℃以上300℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の黒色樹脂組成物。
  4. 前記遮光剤として黒色顔料、青色顔料、紫色顔料から選ばれる1種以上の顔料を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の黒色樹脂組成物。
  5. 前記黒色顔料がチタン化合物粒子および/またはカーボンブラックであることを特徴とする請求項4に記載の黒色樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の黒色樹脂組成物を用いて塗膜を形成した場合の光学濃度(OD値)が、膜厚1μmあたり3.0以上であることを特徴とする樹脂ブラックマトリクス。
  7. 請求項6に記載の樹脂ブラックマトリクスを具備することを特徴とするカラーフィルター。
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