JP4449306B2 - カラーフィルター用着色組成物、およびそれを使用したカラーフィルター、液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルター用着色組成物、および、それを使用したカラーフィルター、液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置をカラー化するために、3原色であるR(赤)、G(緑)、B(青)もしくはY(黄)、M(マゼンダ)、C(シアン)の画素を、ライン状またはモザイク状に配置したカラーフィルターが用いられている。現在カラーフィルターの製法は顔料分散法が主流となっている。顔料分散法には、感光アクリル法、非感光ポリイミド法などがある。現在広く普及しているTFT(薄膜トランジスター)カラー液晶ディスプレイは、カラーフィルターが形成された透明ガラス基板とTFTが形成された透明ガラス基板の間に液晶を封入したパネルと、バックライトと称される光源から構成される。バックライトから発する光が液晶パネルを通る際、その透過率を液晶への印可電圧により制御することによって画像が表示される。各画素の顔料はバックライトと液晶表示素子の光線透過特性に合うように選択される。例えばR、G画素は2種類以上の顔料を一定の割合で調色して用いられることが多い。R画素の場合は赤顔料に加え、黄顔料、橙顔料を1種類以上選び、一定の割合で調色して用いられる。同様に、G画素も緑顔料に加え、黄顔料、橙顔料を1種類以上選び、一定の割合で調色して用いられる。一般に黄顔料は分散性に問題があるとされており、分散性不良で画素内に残った比較的大きな顔料凝集粒子が偏光を散乱して消偏させ、液晶表示装置のコントラストを低下させることがあった。これに対して、特開平8−295808号公報、特開平8−295809号公報では、黄顔料を微細化することによって、これを添加したR画素、G画素用着色組成物の分散性を改良できることが指摘されている。
また、特開平9−197118号公報では、黄顔料の粒子径とR画素のコントラストの関係について検討され、黄顔料が微細であるほど分散性が良好でコントラストが大きいことが示されている。上記の例では、黄顔料が微細であるほどG画素やR画素の分散性が良好でコントラストが高いことを示しているが、本発明者らは黄顔料の微細化の効果について詳細に調べ、黄顔料の微細化に対して画素のコントラストが単調に改善されるわけではなく、すなわち、黄顔料の微細化に対して画素のコントラストの改善に飽和点があることを見出した。黄顔料の微細化は多大なエネルギーと時間を要するため、必要以上の微細化は好ましくない。微細化を進めすぎると再凝集力の増大でかえってコントラストが低下する場合もある。
【0003】
また、TEMで観察した顔料の粒子サイズと画素のコントラストとの関係にはっきりした相関が見出されず、同じ粒子サイズのように見える顔料間でもコントラストがかわることがわかった。
【0004】
本発明者らは、顔料の微細化と画素のコントラストとの関係について詳細に検討した結果、顔料の比表面積とコントラストとの間にはっきりした相関があることがわかり、ある範囲の比表面積を持つ顔料を用いることにより画素のコントラストを高くすることができることを発見した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、その目的とするところは、分散性に優れた黄顔料を含む着色組成物を提供し、コントラストが高く表示性能に優れたカラーフィルターを作成することにある。さらに、コントラストが大きいカラーフィルターを用いて、表示性能に優れた液晶表示装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、
少なくとも顔料と、ポリマーと、溶剤とから構成されるカラーフィルター用着色組成物において、該顔料成分中の黄顔料の含有量が35重量%以上であり、かつ、該黄顔料の比表面積が70〜120m2/gであり、かつ、該黄顔料が少なくともピグメントイエローPY−129を含有することを特徴とするカラーフィルター用着色組成物により達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明における黄顔料は、黄顔料を含んでいればいずれの色の画素にも適用できるが、黄顔料の含有量の高いG画素用着色組成物、R画素用着色組成物または、Y画素用着色組成物に対して有効であり、特に黄顔料の添加量が多くなるG画素で効果が大きい。G画素には主に緑顔料と黄顔料が用いられて調色され、バックライトの光線透過特性に合うように緑顔料と黄顔料の組成比を変えて調色される。G画素の色特性は、色度yが大きいほど色が濃くなり、色再現性が高くなる。また、色度xは黄顔料の含有量によって変化し、xが大きいほど黄色味が大きくなり、xが小さいほど黄色味が小さくなる。液晶表示装置において、R画素、G画素、B画素を同時に点灯させて白表示した時の色度(ホワイトバランス)は重要であり、各画素においても、それぞれ目的とする色度範囲に合わせる必要がある。
【0008】
例えば、モニター用途やテレビ用途の液晶表示装置に用いるカラーフィルターのG画素は、該色度yがC光源で0.570以上である必要があり、さらに該色度xも、例えば、yが0.580の時、xは0.270以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.270〜0.340の範囲、最も好ましくは0.272〜0.320の範囲である。また、明度を表すY値も53以上であることが好ましく、さらに好ましくは53.5以上であり、最も好ましくは54.0以上である。したがって本発明のG画素において目的の色特性を達成するためには、黄顔料は全顔料成分中の35重量%以上添加されることが好ましく、さらに好ましくは35〜60重量%であり、最も好ましくは35〜55重量%である。含有量が35重量%未満だと目的とするG画素の色特性を達成することができず、カラーフィルターの表示品位、さらには液晶表示装置の表示品位を低下させてしまうことになる。
【0009】
本発明の黄顔料は比表面積が70m2/g以上であることが重要である。該比表面積が70m2/g未満であると、該黄顔料を採用した着色膜のコントラストが800以上にならず、カラーフィルターの性能として不満足なものとなる。ここでコントラストとは、2枚の偏光板の偏光方向を平行にして被測定物を挟み込んだときの透過光強度を2枚の偏光板の偏光方向を垂直にして被測定物を挟み込んだときの透過光強度で除したものであり、消偏性とも呼ばれる。全顔料中の黄顔料の含有量は着色膜のコントラストに大きく影響する。黄顔料の含有量が多いほど、コントラストは低下する傾向になるが、該黄顔料の比表面積を大きくすることによるコントラスト向上の効果は大きくなる。本発明においては全顔料中の黄顔料の含有量が35重量%になると、比表面積の効果が顕著に現れる。一方、黄顔料の含有量が35重量%未満では黄顔料の比表面積の差は着色膜のコントラストにあまり影響を与えない。また、黄顔料の含有量がさらに多くなると効果はより大きく現れる。
【0010】
全顔料中の黄顔料の含有量が35以上40重量%未満の範囲では、比表面積は70m2/g以上であることが重要である。コントラストは1000以上であることがより好ましいので、比表面積は74m2/g以上であることがさらに好ましく、78m2/g以上であることが最も好ましい。また、全顔料中の黄顔料の量比が40重量%以上では、35以上40重量%未満の範囲にある場合に比べて黄顔料の性能がより顕著に反映される傾向があるので、比表面積は72m2/g以上であることが好ましい。さらには比表面積は76m2/g以上であることが好ましく、80m2/g以上であることが最も好ましい。
【0011】
一方で、比表面積が大きくなりすぎると分散性が悪化し、顔料の再凝集による分散液の安定性の悪化、コントラストの低下などの弊害が起こる。比表面積が120m2/gを越えると特に分散性が低下する。また、顔料の微細化には多大なエネルギーと時間を要するということもあるので、必要以上の微細化は好ましくない。したがって本発明の黄顔料の比表面積は120m2/g以下であることが重要である。
【0012】
上記黄顔料の微細化は黄顔料の合成条件制御や合成後のソルトミリングなどの方法により行うことができる。ソルトミリングについて具体的に説明する。有機顔料と水溶性の無機塩(A)の混合物に潤滑剤として少量の水溶性の有機溶剤(B)を加え、ニーダー等で強く練り込んだ後、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で撹拌しスラリー状とする。次に、このスラリーを濾過、水洗して必要により乾燥することにより、微細化された顔料が得られる。また、ソルトミリング時に上記有機溶剤(B)に少なくとも一部可溶な樹脂(C)を併用することにより、さらに微細でかつ乾燥時の顔料の凝集の少ない処理顔料が得られる。ここで用いられる無機塩(A)は水溶性であれば特に限定されないが、コストの点から食塩(塩化ナトリウム)を用いるのが好ましい。無機塩と顔料の混合比については、顔料に対する無機塩の量比が多いほど微細化効率が高いが、1回の顔料の処理量が少なくなる。従って、処理効率と生産効率の両面から量比を決定する必要があるが、顔料に対して無機塩を重量比で1倍〜10倍用いるのが好ましい。
【0013】
有機溶剤(B)は、水溶性でかつ無機塩(A)を溶解しないものであれば特に限定されないが、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルグリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等が用いられる。
【0014】
樹脂(C)は、好ましくは室温で固体で、非水溶性で、かつソルトミリング時の潤滑剤に用いる水溶性有機溶剤(B)に少なくとも1部可溶である必要があり、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が用いられる。天然樹脂としてはロジンが代表的であり、変性天然樹脂としては、ロジン誘導体、繊維素誘導体、ゴム誘導体、タンパク誘導体およびそれらのオリゴマーが挙げられる。合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。天然樹脂で変性された合成樹脂としては、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
【0015】
本発明で用いられる黄顔料は、該黄顔料を用いた着色膜の色特性がより高色純度で高透過な特性となるような顔料であり、かつ耐熱性、耐光性に優れた顔料であることが望ましく、少なくとも、キノフタロン系顔料ならびに、イソインドリン系顔料、ニッケルアゾ錯体系顔料、およびメチン・アゾメチン系顔料よりなる群から選ばれる1種類以上の黄顔料からなる必要がある。
【0016】
具体的な例として、キノフタロン系顔料としてはピグメントイエロー(PY−)138などが上げられる。イソインドリン系顔料としてはピグメントイエロー(PY−)139、185が上げられる。イソインドリノン系顔料としてはピグメントイエロー(PY−)109、110、173などが上げられる。ニッケルアゾ錯体系顔料としてはピグメントイエロー(PY−)150、153などが上げられる。メチン・アゾメチン系顔料としてはピグメントイエロー(PY−)117、129が上げられる。
【0017】
この中でも、ピグメントイエロー(PY−)138はより高色純度で高透過の着色膜を形成することができ、さらに、着色膜の複屈折率(△n)を低減させる効果も有る。特に、複屈折性の高いポリイミドを着色膜の樹脂に用いた場合の黄顔料としてより好ましく用いることができる。
【0018】
本発明においては、色特性を損なわない範囲で他の黄顔料を添加しても良い。
代表的な他の黄顔料の例としては、上記黄顔料以外に、ピグメントイエロー(PY−)12、13、17、20、24、83、86、93、94、95、125、137、147、148、154、166などが挙げられる。本発明ではこれらに限定されずに種々の顔料を使用することができる。上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性基処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。
【0019】
ピグメントイエロー(PY−)138にピグメントイエロー(PY−)17、83、129、139、150、185を少量添加すると、同じ色度の着色膜を膜厚を薄くして形成することができる。色特性、耐熱性、耐光性の点から、ピグメントイエロー(PY)−129、150、185を添加するのが好ましく、さらには、ピグメントイエロー(PY)−150を添加するのがより好ましい。また、ピグメントイエロー(PY)−150等を添加することにより、着色組成物の粘度安定性が良くなる。
【0020】
これらの黄顔料の添加量が多すぎると色特性の低下、さらにピグメントイエロー(PY−)138の添加量が減少することにより、着色膜の複屈折率(△n)が大きくなる。したがって、ピグメントイエローPY−150などの黄顔料を添加する場合、その添加量は全顔料中の1〜25重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%であり、最も好ましくは1〜15重量%である。
【0021】
G画素にピグメントイエロー(PY−)138を用いる場合、緑顔料として、ピグメントグリーン(PG−)7、10、36、47を用いることができるが、色特性の点からピグメントグリーン(PG−)36が好ましく用いられる。G画素の色特性をバックライトと液晶表示素子の光線透過特性に合うようにするためには、ピグメントグリーン(PG−36)とピグメントイエロー(PY−)138の含有比を調整して調色することが重要である。この場合、ピグメントイエロー(PY−)138の含有量は全顔料中の35重量%以上、好ましくは35〜60重量%、さらに好ましくは35〜50重量%である。
【0022】
さらに顔料の第三成分としてピグメントイエロー(PY−)150を添加すると、同じ色度の着色膜を膜厚を薄くして形成することができ、また、該緑色着色組成物の粘度安定性を向上させることができる。この場合、ピグメントイエロー(PY−)150の含有量は全顔料中の1〜25重量%の範囲で添加するのが好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%の範囲であり、最も好ましくは1〜15重量%の範囲である。
【0023】
さらに、G画素を緑顔料と黄顔料で調色する場合、緑顔料の比表面積を黄顔料の比表面積よりも小さく設定することにより、G画素のコントラストを高くでき好ましい。これについての詳細なメカニズムは明らかではないが、緑顔料が黄顔料の分散助剤として作用すると考えられ、緑顔料の比表面積が小さい方がより効果的に黄顔料を微分散化することができると推定される。この時の緑顔料の比表面積は56m2/g以下が好ましく、50m2/g以下がより好ましく、更に好ましくは45m2/g以下である。又、緑顔料の比表面積は33m2/g以上であることが好ましい。
【0024】
本発明の黄顔料はR画素にも用いることができ、この時用いることのできる赤顔料の具体例としては、ピグメントレッド(PR−)9、48、97、122、123、144、149、166、168、177、180、190、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254などが挙げられる。本発明ではこれらに限定されずに種々の顔料を使用することができる。色特性の点から、ピグメントレッド(PR−)177、254が好ましく用いられる。上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性基処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。
【0025】
本発明で使用する樹脂は顔料を分散保持するためのものであり、通常、カラーフィルター用着色組成物に使用される樹脂であれば特に限定されず、どのようなものも使用が可能である。例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリアミドなど種々の樹脂を用いることができる。
特に、アルカリ水溶液に溶解する樹脂は現像あるいはエッジング工程で設備を簡略化できるので望ましい。アルカリ水溶液に溶解する樹脂のなかでは、カルボキシル基を有する樹脂が好ましく使用され、具体的にはアクリル樹脂、ポリイミドが耐溶剤性の点で好ましい。ポリイミドの場合、ポリイミドの前駆体類が顔料の分散剤として機能するので一層好ましい。また、カラーフィルターの耐熱性の面からも、ポリイミドの使用が好ましい。
【0026】
本発明におけるポリイミドとは、その前駆体であり、一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリアミド酸を加熱あるいは適当な触媒により、イミド環や、その他の環状構造を形成したポリマーである。ポリイミド前駆体としてはポリアミド酸の他に、そのエステル化合物も通常用いられる。
【0027】
ここでポリマーは重量平均分子量が5000以上の重合体をいう。分子量の調節は酸成分またはジアミン成分のいずれかを過剰にするか、単官能性の酸またはアミン成分を添加することにより実施される。単官能性の酸またはアミン成分の例として、モノカルボン酸、カルボン酸二無水物、モノアミンが使用される。具体例として、安息香酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水マレイン酸、アニリンなどがあげられるが、これらに限定されない。
【0028】
【化1】
【0029】
上記一般式(1)において、R1 がテトラカルボン酸残基を表し、R2 がジアミン残基を表す。酸二無水物の例としては、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルトリフルフォロプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3″,4,4″−パラタ−フェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3″,4,4″−メタタ−フェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
ジアミンの例としては、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−(または4,4´)ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルサルファイド、2,5−ジアミノトルエン、o−トリジン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン1,3−(または1,4)ジアミノシクロヘキサン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシル、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテルなどが挙げられ、これらに限定されない。
【0031】
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲でジアミン成分として、シロキサン構造を有するビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンを共重合してもよい。シロキサンジアミンは通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下する。本発明はこれらに限定されずにシロキサンジアミンを1種または2種以上用いられる。
【0032】
これらのポリアミド酸は公知の方法すなわち、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを選択的に組み合わせ、溶媒中で反応させることにより合成される。通常ポリアミド酸合成の溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒、また、ラクトン系極性溶媒を混合して使用することもできる。ラクトン類以外の溶媒としては上記アミド系極性溶媒の他にメチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどを挙げることができる。
【0033】
ラクトン類とは脂肪族環状エステルで炭素数3〜12の化合物をいう。具体的な例として、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられるがこれらに限定されない。とくにポリアミック酸の溶解性の点で、γ−ブチロラクトンが好ましい。
【0034】
本発明のカラーフィルターの着色層を形成するのに用いる着色ペーストにおいて、ポリアミド酸と顔料(もしくは遮光剤)は、通常、重量比で1:9〜9:1、好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3の範囲で混合して用いられる。ポリアミック酸の量が少なすぎると、着色被膜と基板との接着性が不良となり、逆に顔料の量が少なすぎると着色度が問題となる。また、該ペーストにおいては、塗工性、乾燥性などの観点から、ポリアミック酸、顔料をあわせた固形分濃度は、2〜30%、好ましくは3〜25%、さらに好ましくは5〜20%の範囲で使用する。
【0035】
これらの顔料はポリアミド酸溶液と混合することにより、着色液を得る。この場合、顔料はポリアミド酸溶液中で分散しても良く、あるいは顔料をあらかじめ溶媒で分散後、ポリアミド酸溶液と混合しても良い。これら製造方法の選択については、顔料の種類により、適宜、適当なものを選ぶことが好ましい。また、顔料の分散方法は特に限定されず、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなど、種々の方法がとりうる。
【0036】
上記着色ペーストに用いられる溶媒に特に制限はない。水および一般的な有機溶媒を用いることができる。画素のマトリクスの成分としてポリイミドを用いる場合、着色ペーストに用いられる溶媒はポリアミド酸を溶解する溶媒であることが望ましい。ポリアミド酸を溶解する溶媒としては、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などの極性有機溶媒が挙げられる。また、通常、単独ではポリアミド酸を溶解しない、エタノール、ブタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブなどのセルソルブ類、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのプロピレングリコール誘導体類等の有機溶剤をポリアミド酸を溶解する溶媒と混合して用いることができる。
【0037】
本発明のペーストには、塗布性、着色被膜の乾燥性の改良、あるいは、顔料(もしくは遮光剤)の分散性を良好にする目的で、本発明のペーストに界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の添加量は通常、顔料の0.001〜10重量%、好ましくは、0.01〜1重量%である。添加量が少なすぎると塗布性、着色被膜の乾燥性の改良、あるいは顔料の分散性の改良の効果がなく、多すぎると逆に塗布性が不良となったり、顔料の凝集が起こる。界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエ−テル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤などが挙げられる。本発明ではこれらに限定されずに、界面活性剤が1種または2種以上用いることができる。界面活性剤の添加は、顔料の分散工程中またはその工程前後のどの時点でも行うことができる。しかし、添加の時点により顔料の分散性が変わる場合があるので、注意を要する。
【0038】
次に本発明のカラーフィルターの製造使用方法の一例について説明する。基板上にポリイミド前駆体と顔料から構成されてなる着色液で着色塗膜を形成する。
基板としては通常、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどが用いられるが、これらに限定されない。塗布はスピンナー、スプレー塗布、浸漬、ロールコーティング、バーコーティング、ダイコーティングなどの方法が用いられる。乾燥は、オーブン、ホットプレート、赤外線を使用し、50〜180℃の範囲で数秒〜数時間行なうのが好ましい。この上にパターン形成用のフォトレジストを塗布し、フォトレジスト層を形成する。続いて露光装置を用い、該フォトレジスト層被膜上にマスクを置き、化学線を照射し、露光する。
化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線が例としてあげられるが、紫外線、可視光線が好ましい。ポジ型フォトレジストを用いた場合には露光後、該ポジ型フォトレジストの現像液で、フォトレジスト層の現像、ポリイミド前駆体の着色塗膜のエッチングを同時に行う。エッチング後不要となった該フォトレジスト層を剥離する。通常、剥離はアセトン、セロソルブ系などの溶剤が使用される。ポリイミド前駆体の着色塗膜を熱処理し、着色塗膜のパターン加工を終える。
熱処理は温度を選び、段階的に昇温するかある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分〜5時間実施する。この熱処理の最高温度は、180〜400℃、好ましくは、180〜350℃で行うのがよい。例えば、130℃、200℃、300℃で各々30分熱処理する。また、室温から300℃まで2時間かけて直線的に昇温してもよい。
【0039】
以上の工程を赤、緑、青の3色の着色組成物、または、黄、シアン、マゼンダおよび必要に応じてブラックマトリクス(黒)について繰り返す。必要に応じてアクリルポリマー、ポリシロキサン、ポリイミドなどからなるオーバーコート膜を形成し、ITOなどの金属酸化膜をスパッタすることにより、カラーフィルターが作成できる。
【0040】
本発明の液晶表示装置においては、本発明のカラーフィルターを使用することが好ましい。本発明のカラーフィルターは液晶を挟み込む透明基板のどちら側に形成されても良い。すなわち、カラーフィルターをTFTなどの能動素子が形成された基板側に作成する構成(カラーフィルター・オン・アレイ:COA)にも採用することができる。また、バックライトを備えた透過型液晶表示装置だけでなく、外光を反射して使用する反射型液晶表示装置にも採用することができる。
【0041】
本発明の液晶表示装置の製造使用方法の一例について説明する。ガラス上にTFTアレイを形成した基板を洗浄した後、配向膜を塗布、加熱する。その後、直径5.5μmの球状スペーサーを散布し、前記カラーフィルター基板と重ね合わせ、オーブン中で加圧しながら160℃で90分間加熱して、シール剤を硬化させた。このセルに液晶注入を行った後、紫外線硬化樹脂により液晶注入口を封口した。次に、偏光板をセルの2枚のガラス基板の外側に貼り付け、さらに、得られたセルをモジュール化して、液晶表示装置を完成させた。
【0042】
本発明の液晶表示装置は、パソコン、ワードプロセッサー、エンジニアリング・ワークステーション、ナビゲーションシステム、テレビ、ビデオなどの表示に用いられ、光変調素子としても利用可能である。
【0043】
本発明の液晶表示装置においては、色特性が良く、コントラストの高い表示を行うことが可能となる。特に、モニター用またはテレビ用の液晶表示装置では、コントラストは400以上であることが好ましい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。また、実施例における測定法は以下の通りである。
【0045】
<比表面積>日本ベル(株)製、高精度全自動ガス吸着装置“BELSORP 36”を用い、100℃で脱気前処理の後、N2、77Kの吸着等温線を測定した。該等温線にBET多分子層吸着理論を適用して比表面積を求めた。
【0046】
<粘度、降伏値>東機産業(株)製、R500型粘度計により測定した。粘度はずり応力(s)とずり速度(D)の比から、また、降伏値(Sc)はCassonプロット(式(1))より求めた。
√s = √Sc + √ηcD (1)
なお、ここでηcはCasson粘度を表す。
【0047】
<色度>大塚電子(株)製、“MCPD2000”にて測定した。
【0048】
<膜厚>東京精密(株)製、“サーフコム1500A”にて測定した。
【0049】
<複屈折率(△n)>屈折率nTE、nTMは、メトリコン製 プリズムカプラ測
定装置“PC−2000”で、540nmで測定し、これから複屈折率(△n)を計算した。
nTE:薄膜のTE方向(膜面と平行な方向)の屈折率
nTM:薄膜のTM方向(膜面と垂直な方向)の屈折率
複屈折率Δn=nTE−nTM
実施例におけるポリアミド酸の原料および溶媒は以下の通りである。
BTDA:3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
DAE:ジアミノジフェニルエ−テル
DDS:3,3´−ジアミノジフェニルスルホン
SiDA:ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン
MA:無水マレイン酸
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
γ−BL:γ−ブチロラクトン
MMB:3−メチル−3−メトキシブタノール。
【0050】
A.ポリアミド酸溶液の合成
参考例1
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、DAE 150.0g(0.75mol)、DDS 49.6g(0.20mol)、SiDA 12.4g(0.05mol)をγ−BL 2730gと共に仕込み、BTDA 161.0g(0.50mol)、PMDA 106.8g(0.49mol)を添加し、60℃で5時間反応させた後、
MA1.96g(0.02mol)を添加し、さらに60℃で1時間反応させた後、粘度15ポアズ(25℃)の15%ポリアミド酸溶液(PI−1)を得た。
【0051】
B.ピグメントイエローPY−138のソルトミリングによる微細化
参考例2
PY−138(A)(比表面積:64m2/g) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂 107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで1時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−138(B)を得た。
得られたPY−138(B)の比表面積は72m2/gであった。
【0052】
参考例3
PY−138(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで3時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−138(C)を得た。得られたPY−138(C)の比表面積は77m2/gであった。
【0053】
参考例4
PY−138(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで5時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−138(D)を得た。得られたPY−138(D)の比表面積は85m2/gであった。
【0054】
参考例5
PY−138(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで8時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−138(E)を得た。得られたPY−138(E)の比表面積は107m2/gであった。
【0055】
参考例6
PY−138(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで12時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−138(F)を得た。得られたPY−138(F)の比表面積は126m2/gであった。
【0056】
C.ピグメントイエローPY−150のソルトミリングによる微細化
参考例7
PY−150(A)(比表面積:67m2/g) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂 107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで1時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−150(B)を得た。
得られたPY−150(B)の比表面積は72m2/gであった。
【0057】
参考例8
PY−150(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで3時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−150(C)を得た。得られたPY−150(C)の比表面積は78m2/gであった。
【0058】
参考例9
PY−150(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで5時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−150(D)を得た。得られたPY−150(D)の比表面積は84m2/gであった。
【0059】
参考例10
PY−150(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで8時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−150(E)を得た。得られたPY−150(E)の比表面積は90m2/gであった。
【0060】
D.ピグメントイエローPY−129のソルトミリングによる微細化
参考例11
PY−129(A)(比表面積:65m2/g) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂 107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで1時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−129(B)を得た。
得られたPY−129(B)の比表面積は73m2/gであった。
【0061】
参考例12
PY−129(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで3時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−129(C)を得た。得られたPY−129(C)の比表面積は79m2/gであった。
【0062】
参考例13
PY−129(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで5時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−129(D)を得た。得られたPY−129(D)の比表面積は87m2/gであった。
【0063】
参考例14
PY−129(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで8時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−129(E)を得た。得られたPY−129(E)の比表面積は105m2/gであった。
【0064】
E.ピグメントイエローPY−139のソルトミリングによる微細化
参考例15
PY−139(A)(比表面積:63m2/g) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂 107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで1時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−139(B)を得た。
得られたPY−139(B)の比表面積は73m2/gであった。
【0065】
参考例16
PY−139(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで3時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−139(C)を得た。得られたPY−139(C)の比表面積は80m2/gであった。
【0066】
参考例17
PY−139(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで5時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−139(D)を得た。得られたPY−139(D)の比表面積は88m2/gであった。
【0067】
参考例18
PY−139(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで8時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−139(E)を得た。得られたPY−139(E)の比表面積は106m2/gであった。
【0068】
F.ピグメントイエローPY−110のソルトミリングによる微細化
参考例19
PY−110(A)(比表面積:64m2/g) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂 107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで1時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−110(B)を得た。
得られたPY−110(B)の比表面積は74m2/gであった。
【0069】
参考例20
PY−110(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで3時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−110(C)を得た。得られたPY−110(C)の比表面積は79m2/gであった。
【0070】
参考例21
PY−110(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで5時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−110(D)を得た。得られたPY−110(D)の比表面積は87m2/gであった。
【0071】
参考例22
PY−110(A) 250.0g、塩化ナトリウム 700g、ロジン変性マレイン酸樹脂107g、およびポリエチレングリコール 160gを仕込み、3本ロールミルで8時間混練した。次に、この混合物を約3Lの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコールを除き、60℃の熱風オーブンで24時間真空乾燥して処理顔料PY−110(E)を得た。得られたPY−110(E)の比表面積は103m2/gであった。
【0072】
G.緑色着色膜の形成と評価
参考例23〜27
PG−36(比表面積:33m2/g) 44.0g、PY−138(B)〜(F) 36.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD1〜5)を得た。
分散液(GD1〜5)112.5gに、ポリアミド酸溶液(PI−1) 67.5gをγ−BL 86.7g、MMB 33.3gで希釈した溶液を添加混合し、顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色組成物(GP1〜5)を調整した。
【0073】
緑色着色組成物(GP1〜5)を、膜硬化後の色度y=0.580となるように、透明基板上にスピナー塗布し、120℃で20分間オーブンを用いて空気中で乾燥した後、280℃で40分間オーブンを用いて空気中で膜硬化を行い、緑色着色膜を形成した。
参考例28
PG−36(比表面積:33m2/g) 56.0g、PY−138(A) 24.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD6)を得た。
参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP6)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0074】
参考例29
PG−36(比表面積:33m2/g) 44.0g、PY−138(A) 36.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD7)を得た。参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP7)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0075】
参考例30〜32
PG−36(比表面積:33m2/g) 64.0g、PY−138(A)、(B)、(D) 16.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD8〜10)を得た。参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP8〜10)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0076】
以上、参考例23〜32のペースト(GP1〜10)の粘度、降伏値、冷凍(−25℃)3ヶ月での粘度上昇率を表1に示す。また、形成した緑色着色膜の色度、膜厚、コントラスト、複屈折率を表2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
PY−138の微細化を進めていくと、PY−138の含有量が30重量%では比表面積が77m2/g以上になるとコントラストは1000以上となり特に良好であった。また、比表面積が77m2/g以上ではコントラストの向上幅が小さくなり、比表面積が120m2/g以上になると逆にコントラストが低下し、着色組成物の粘度安定性も悪くなった。PY−138の含有量が40重量%になると、黄顔料の比率が大きくなり、コントラストは小さくなる傾向があるが、黄顔料の比表面積の効果がより顕著に現れた。比表面積が85m2/g以上になるとコントラストは1000以上となり特に良好であった。また、比表面積が85m2/g以上ではコントラストの向上幅が小さくなり、比表面積が120m2/g以上になると逆にコントラストが低下し、着色組成物の粘度安定性も悪くなった。PY−138の含有量が20重量%だと、緑色着色膜の黄色味が小さく、目標とする色度を達成することができなかった。また、黄顔料の比表面積の効果も小さかった。
【0080】
参考例33〜36
PG−36(比表面積:33m2/g) 52.0g、PY−150(B)〜(E) 28.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD11〜14)を得た。
【0081】
参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP11〜14)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0082】
参考例37
PG−36(比表面積:56m2/g) 52.0g、PY−150(B) 28.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD15)を得た。
【0083】
参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP15)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0084】
参考例38
PG−36(比表面積:33m2/g) 52.0g、PY−150(A) 28.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD16)を得た。参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP16)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0085】
以上、参考例33〜38のペースト(GP11〜16)から形成した緑色着色膜の色度、コントラストを表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】
PY−150についてもPY−138の場合と同様に、顔料を微細化していくとコントラストが向上し、比表面積が84m2/g以上になるとコントラストは1000以上となり特に良好であった。また、比表面積が84m2/g以上ではコントラストの向上幅が小さくなった。
【0088】
参考例39〜42
PG−36(比表面積:33m2/g) 44.0g、PY−138(B)〜(E) 28.0g、PY−150(B)〜(E) 8.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD17〜20)を得た。参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP17〜20)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0089】
参考例43〜46
PG−36(比表面積:33m2/g) 44.0g、PY−138(B)〜(E) 20.0g、PY−150(B)〜(E) 16.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD21〜24)を得た。
【0090】
参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP21〜24)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0091】
参考例47
PG−36(比表面積:56m2/g) 44.0g、PY−138(B) 20.0g、PY−150(B) 16.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD25)を得た。
【0092】
参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP25)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0093】
参考例48
PG−36(比表面積:33m2/g) 44.0g、PY−138(A) 28.0g、PY−150(A) 8.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD26)を得た。
【0094】
参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP26)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0095】
参考例49
PG−36(比表面積:33m2/g) 44.0g、PY−138(A) 20.0g、PY−150(A) 16.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD27)を得た。参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP27)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0096】
以上、参考例39〜49のペースト(GP17〜27)の粘度、降伏値、冷凍(−25℃)3ヶ月での粘度上昇率を表4に示す。また、形成した緑色着色膜の色度、膜厚、コントラスト、複屈折率を表5に示す。
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】
黄顔料にPY−138とPY−150を用いた場合においても、顔料を微細化していくとコントラストが向上し、比表面積が80m2/g以上になるとコントラストは1000以上となり特に良好であった。また、比表面積が80m2/g以上ではコントラストの向上幅が小さくなった。また、参考例23〜25に比べて、PY−150を加えることにより同じ色度での膜厚を薄くすることができ、さらに、着色組成物の粘度安定性も向上した。しかし、PY−150を添加して色度をあわせると、PY−138の含有量が減少するため、着色膜の複屈折率が大きくなった。
【0100】
実施例1〜4
PG−36(比表面積:33m2/g) 48.0g、PY−138(B)〜(E) 28.0g、PY−129(B)〜(E) 4.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD28〜31)を得た。実施例1と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP28〜31)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0101】
比較例1
PG−36(比表面積:33m2/g) 48.0g、PY−138(A) 28.0g、PY−129(A) 4.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD32)を得た。参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP32)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0102】
以上、実施例1〜4、比較例1のペースト(GP28〜32)から形成した緑色着色膜の色度、コントラストを表6に示す。
【0103】
【表6】
【0104】
黄顔料にPY−138とPY−129を用いた場合においても、顔料を微細化していくとコントラストが向上し、比表面積が80m2/g以上になるとコントラストは1000以上となり特に良好であった。また、比表面積が80m2/g以上ではコントラストの向上幅が小さくなった。
【0105】
参考例50〜53
PG−36(比表面積:33m2/g) 52.0g、PY−138(B)〜(E) 26.4g、PY−139(B)〜(E)1.6gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD33〜36)を得た。参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP33〜36)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0106】
参考例54
PG−36(比表面積:33m2/g) 52.0g、PY−138(A) 26.4g、PY−139(A) 1.6gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD37)を得た。参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP37)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0107】
以上、参考例50〜54のペースト(GP33〜37)から形成した緑色着色膜の色度、コントラストを表7に示す。
【0108】
【表7】
【0109】
黄顔料にPY−138とPY−139を用いた場合においても、顔料を微細化していくとコントラストが向上し、比表面積が80m2/g以上になるとコントラストは1000以上となり特に良好であった。また、比表面積が80m2/g以上ではコントラストの向上幅が小さくなった。
【0110】
参考例55〜58
PG−36(比表面積:33m2/g) 52.0g、PY−138(B)〜(E) 26.4g、PY−110(B)〜(E) 1.6gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD38〜41)を得た。参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP38〜41)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0111】
参考例59
PG−36(比表面積:33m2/g) 52.0g、PY−138(A) 26.4g、PY−110(A) 1.6gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液(GD42)を得た。参考例23と同様にして顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色ペースト(GP42)を調整し、緑色着色膜を形成した。
【0112】
以上、参考例55〜59のペースト(GP38〜42)から形成した緑色着色膜の色度、コントラストを表8に示す。
【0113】
【表8】
【0114】
黄顔料にPY−138とPY−110を用いた場合においても、顔料を微細化していくとコントラストが向上し、比表面積が80m2/g以上になるとコントラストは1000以上となり特に良好であった。また、比表面積が80m2/g以上ではコントラストの向上幅が小さくなった。
【0115】
H.カラーフィルターの作成と液晶表示装置の作成
参考例60
膜厚1.0μmの樹脂ブラックマトリクスのパターンを形成した無アルカリガラス基板(厚さ0.7mm)上に下記の緑色着色組成物をスピンコートし、50℃で10分間、90℃で10分間、110℃で20分間オーブンを用いて空気中で加熱乾燥して、膜厚1.5μmのポリイミド前駆体着色膜を得た。
PG−36(比表面積:33m2/g) 56.0g、PY−138(C) 24.0gとγ−BL 920.0gをジルコニアビ−ズ 1500gとともに仕込み、ミル型分散機を用い、4200rpmで3時間分散し、8%分散液を得た。この分散液112.5gに、ポリアミド酸溶液(PI−1) 67.5gをγ−BL 86.7g、MMB 33.3gで希釈した溶液を添加混合し、顔料/ポリマー比:47/53の緑色着色組成物を調整した。
【0116】
この膜上にポジ型フォトレジスト(東京応化社製OFPR−800)を塗布し、80℃で20分間加熱乾燥して1.1μmのレジスト膜を得た。キャノン(株)製紫外線露光機PLA−501Fを用い、クロム製のフォトマスクを介して、波長365nmでの強度が50mJ/cm2の紫外線を照射した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38wt%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストおよびポリイミド前駆体着色膜の現像を同時に行った。エッジング後、不要となったフォトレジスト層をメチルセルソルブアセテートで剥離した。さらに、このようにして得られたポリイミド前駆体着色膜を窒素雰囲気中で300℃で30分間熱処理し、膜厚1.2μmの緑着色膜のパターンを得た。
その後、同様にして、青色着色組成物、赤色着色組成物のそれぞれ、膜厚1.2μmパターンを形成した。
【0117】
トリメリット酸65.05gをγ−ブチルラクトン 280gに溶解した後に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 74.95gを添加し、120℃で2時間加熱した。
得られた溶液20gにビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル7g、ジエチレングリコールジメチルエーテル 15gを加えて、室温(約23℃)で2時間撹拌した。得られた樹脂溶液組成物を前記カラーフィルターにスピンコートし、100℃で5分、260℃で30分加熱することにより、膜厚1.0μmのオーバーコートとした。次に、スパッタリング法により、オーバーコート上にITOを製膜したところ、膜厚が1400オングストロームで、表面抵抗が15Ω/□のITOが得られた。以上の操作で赤、緑、青の3原色を有し、オーバーコート、ITO付きのカラーフィルターを得た。
【0118】
さらに、透明電極層を作成したカラーフィルターを中性洗剤で洗浄した後、ポリイミド樹脂からなる配向膜を印刷法により塗布し、ホットプレートで250℃、10分間加熱した。膜厚は0.07μmであった。この後、カラーフィルター基板をラビング処理し、シール剤をディスペンス法により塗布、ホットプレートで90℃、10分間加熱した。
【0119】
一方、ガラス上にTFTアレイを形成した基板も同様に洗浄した後、配向膜を塗布、加熱する。その後、直径5.5μmの球状スペーサーを散布し、前記カラーフィルター基板と重ね合わせ、オーブン中で加圧しながら160℃で90分間加熱して、シール剤を硬化させた。このセルに液晶注入を行った後、紫外線硬化樹脂により液晶注入口を封口した。次に、偏光板をセルの2枚のガラス基板の外側に貼り付け、さらに、得られたセルをモジュール化して、液晶表示装置を完成させた。得られた液晶表示装置は色特性も良く、コントラストの高い表示特性を得ることができた。この時の液晶表示装置のコントラストは420であった。
【0120】
参考例61
緑色着色組成物(GP3)を用いた以外は、参考例60と同様の操作を行い、液晶表示装置を完成させた。得られた液晶表示装置は色特性も良く、コントラストの高い表示特性を得ることができた。この時の液晶表示装置のコントラストは410であった。
【0121】
参考例62
緑色着色組成物(GP14)を用いた以外は、参考例60と同様の操作を行い、液晶表示装置を完成させた。得られた液晶表示装置は色特性も良く、コントラストの高い表示特性を得ることができた。この時の液晶表示装置のコントラストは410であった。
【0122】
参考例63
緑色着色組成物(GP21)を用いた以外は、参考例60と同様の操作を行い、液晶表示装置を完成させた。得られた液晶表示装置は色特性も良く、コントラストの高い表示特性を得ることができた。この時の液晶表示装置のコントラストは410であった。
【0123】
参考例64
緑色着色組成物(GP7)を用いた以外は、参考例60と同様の操作を行い、液晶表示装置を完成させた。得られた液晶表示装置は色特性は良いが、コントラストの低い表示特性であった。この時の液晶表示装置のコントラストは280であった。
【0124】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成したので、黄顔料の比表面積を70m2/g以上にすることで、コントラストの高い着色膜を得ることができる。その結果、コントラストの高いカラーフィルターを得ることができ、表示特性の良好な液晶表示装置を得ることができる。また、黄顔料の比表面積の効果は、全顔料成分中の黄顔料の含有量が35重量%以上で顕著に現れる。
Claims (7)
- 少なくとも顔料と、ポリマーと、溶剤とから構成されるカラーフィルター用着色組成物において、該顔料成分中の黄顔料の含有量が35重量%以上であり、かつ、該黄顔料の比表面積が70〜120m2/gであり、かつ、該黄顔料が少なくともピグメントイエローPY−129を含有することを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
- ポリマーがカルボキシル基を有する樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター用着色組成物。
- ポリマーがポリアミド酸であることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルター用着色組成物。
- 任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなる画素を有するカラーフィルターにおいて、該着色層の少なくとも一色が請求項1から3のいずれかに記載のカラーフィルター用着色組成物を塗工してなる着色被膜であることを特徴とするカラーフィルター。
- 着色層を構成する画素のうちの緑画素は、C光源における色度yが0.570以上であり、かつ、該色度yが0.580の時の色度xが0.270〜0.340の範囲であり、かつ、明度Y値が53以上であることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルター。
- 色度yが0.580の時のコントラストが800以上であることを特徴とする請求項5に記載のカラーフィルター。
- 請求項5〜6のいずれかに記載のカラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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