JPH0933455A - 合金化めっき層の合金化度測定方法 - Google Patents

合金化めっき層の合金化度測定方法

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JPH0933455A
JPH0933455A JP17832695A JP17832695A JPH0933455A JP H0933455 A JPH0933455 A JP H0933455A JP 17832695 A JP17832695 A JP 17832695A JP 17832695 A JP17832695 A JP 17832695A JP H0933455 A JPH0933455 A JP H0933455A
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JP
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alloying
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diffraction
plating layer
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JP17832695A
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Inventor
Shigeyuki Mori
茂之 森
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】母材表面のめっき層側に形成された複数層の合
金相を有する合金化めっき金属板にX線を照射し、得ら
れる回折線強度を用いて合金化めっき層の合金化度を測
定するに際し、試験材(例えば、合金化溶融亜鉛めっき
鋼板58)の前記各合金相及び前記母材の所定の結晶面
間隔に対応する回折X線強度測定値(X線強度計数管5
1〜56で測定される)と、予め求めておいた前記試験
材と同一めっき層構造の基準材についての前記所定の結
晶面間隔に対応する回折X線強度測定値と、回折X線の
理論強度式とを用い、試験材の合金化度を求める。 【効果】従来に比べ基準材を少なくすることが可能で、
分析の準備に要する費用及び時間を減少させることがで
き、かつ正確に合金化度を求めることができる。また、
この方法は、オンラインで迅速に分析を行う方法として
好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合金化めっき層の合金化
度測定方法に関し、より詳細には合金化溶融亜鉛めっき
鋼板等、母材表面に複数層の合金相を有する金属板の製
造時に必要なオンライン分析に用いられる合金化めっき
層の合金化度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合金化めっき金属板、例えば合金化溶融
亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板をめっき後に加
熱して母材である鋼板のFeとめっき層のZnを相互拡
散させ、めっき層を合金化させたものである。この合金
化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板に比べて
溶接性、塗膜密着性、塗装後の耐食性に優れ、自動車、
家電製品、建材などの分野でその需要が拡大してきてい
る。
【0003】図1は前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめ
っき層を構成する合金相の一例を示す断面図である。鋼
板11の表面に形成されためっき層を構成する合金相
は、溶融亜鉛めっき鋼板の熱処理の仕方等により異なる
が、例えば図1に示したように、ζ相14(FeZ
13)、δ1 相13(FeZn10)、Γ相12(Fe3
Zn10)の合金相により構成される。
【0004】合金化溶融亜鉛めっき鋼板の溶接性、パウ
ダリング性、塗膜密着性、塗装後の耐食性等の物性は、
めっき層の合金化度、すなわちめっき層中における母材
金属の含有率により異なるため、前記合金化溶融亜鉛め
っき鋼板を製造する際には、製造された合金化溶融亜鉛
めっき鋼板のめっき層の合金化度を迅速かつ正確に知
り、製造工程に反映させる必要がある。
【0005】ところで、結晶に平行性の良いX線を照射
した場合に起こる回折現象を利用して試料中の結晶相の
同定等を行う、いわゆるX線回折法と呼ばれる分析方法
がある。このX線回折法は本来構造解析の手段である
が、例えば前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を
構成する個々の合金相により回折されたX線強度は、前
記めっき層中の各合金相の厚さと相関があるため、基本
的にはめっき層中の各合金相に対応する特定の回折X線
強度を測定することによりそれぞれの合金相の厚さを知
ることができ、これらの厚さから合金化度を算出するこ
とができる。
【0006】図2は平行ビーム光学系X線回折装置の概
念図である。図中のSはCr管球、S1 及びS2 は開き
角1.2°のソーラースリット、Fは厚さ20μmのバ
ナジウムフィルタ、21は合金化溶融亜鉛めっき鋼板、
22は計数管をそれぞれ示している。前述したように、
試料である合金化溶融亜鉛めっき鋼板21に平行性のよ
いX線を照射すると、合金化溶融亜鉛めっき鋼板21の
めっき層を構成する合金相であるζ相14、δ1 相1
3、Γ相12の結晶面及び鋼板11の結晶面で弾性散乱
されたX線は、入射X線に対して合金相及び結晶面に固
有の方向2θでのみ観測される。この2θは結晶面間隔
d及び管球ターゲットの種類により次の数1式で与えら
れる。
【0007】
【数1】
【0008】ここでλは、例えば図2においてCr管球
Sから発生する特性X線の波長である。
【0009】図3は前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板につ
いてX線回折を行った際のX線回折パターンを示したグ
ラフである。めっき層を構成する各合金相に対応する回
折線として、ζ相の(160)面に対応する2θが13
0.6°(d=1.260A)の回折線、δ1 相の(5
54)面に対応する127.0°(d=1.279A)
の回折線、Γ相の(633)面に対応する139.0゜
(d=1.222A)の回折線、鋼板(α−Fe)の
(211)面に対応する156.0°(d=1.170
A)の回折線等が観測される。
【0010】但し、前記特定の合金相に対応する回折X
線の強度は、その合金相の厚さと相関があるのみなら
ず、その合金相より表面側に存在する合金相(以下、表
層側合金相と記す)の厚さや調質圧延圧下率との相関も
あるため、単純に前記特定の回折X線強度の測定値から
各合金相の厚さを求め、合金化度を算出することはでき
ない。
【0011】特定の回折X線強度を用いて合金化度を求
める方法として、前記した合金相Γの回折X線強度とバ
ックグランド強度との比から合金化度を求める方法があ
る。
【0012】この方法は、Γ相の(633)面に対応す
るd=1.222Aの回折線強度と図3中に示されてい
るバックグランド強度との比を変数とし、所定範囲のめ
っき付着量毎に重回帰により合金化度と回折X線強度比
との関係を示す曲線(検量線)を得、この曲線から合金
化度を算出する方法である(川崎製鉄技報、18(19
86)、p.31)。
【0013】また、本発明者は、前記のΓ相の(63
3)面に対応するd=1.222Aの回折線強度とζ相
の(160)面に対応するd=1.260Aの回折線強
度との比を変数とし、所定範囲のめっき付着量毎に重回
帰により検量線を得、この検量線から合金化度を算出す
る方法を提案した(特開平5ー45305号公報)。な
お、この方法および前記のΓ相の(633)面に対応す
るd=1.222Aの回折線強度とバックグランド強度
との比を用いる方法を、以下、重回帰法と呼ぶ。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記の重回帰法は、合
金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造に必要なオンライン分析
への適用が可能であり、しかも、前記の本発明者が提案
した方法によれば、実用的な合金化度域において、非常
に良好な正確度σd でめっき層の合金化度を測定するこ
とができる。
【0015】しかしながら、前記重回帰法では、検量線
を得るために生産ラインで製造した各種製品の中から数
十点の基準材を偏りなく採取する必要があり、基準材の
採取は製品の歩留りを低下させるうえ、前記基準材の合
金化度の基準値を得るために行う「皮膜溶解−溶液分析
(化学分析)」の実施には多大の時間を要する。そのた
め、検量線を得るという分析の準備に多大の費用及び時
間を要するという問題があった。
【0016】また、前記合金化度を算出するための回帰
式は測定データの統計処理により得られたもので、物理
的根拠を有していないため、めっき層を構成する各合金
相の厚さや結晶性・配向等が基準材と異なる試験材に適
用すると算出される合金化度の誤差が大きくなるという
欠点がある。
【0017】さらに、正確な合金化度を得るためには、
めっき付着量のみならず、亜鉛めっき浴中のアルミニウ
ム濃度、合金化炉の温度、合金化炉の加熱様式、めっき
鋼板の通板速度、調質圧延圧下率等の製造パラメータ毎
に前記の合金化度と回折X線強度比との関係を示す検量
線を求めておかなければならないため、実用的ではな
く、めっき付着量が未知の場合はどの検量線を用いてよ
いかわからないという問題もあった。
【0018】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
ので、基準材を少なくして分析の準備に要する費用と時
間を削減することができ、めっき層を構成する各合金相
の厚さや結晶性・配向等が基準材と異なる試験材にも適
用でき、合金化めっき鋼板の製造パラメータ毎に検量線
を使い分けなくても適用でき、かつ、良好な正確度を有
する、オンライン分析に適用可能なめっき層の合金化度
測定方法を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の要旨は、下記の合金化めっき層の合金化度測
定方法にある。
【0020】母材表面のめっき層側に母材及びめっき層
を構成する元素によって形成された複数層の合金相を有
する合金化めっき金属板にX線を照射し、得られる回折
線強度を用いて合金化度を測定する合金化めっき層の合
金化度測定方法において、試験材の前記各合金相及び前
記母材の所定の結晶面間隔に対応する回折X線強度測定
値と、予め求めておいた前記試験材と同一めっき層構造
の基準材についての各合金相及び母材の前記試験材と同
一の結晶面間隔に対応する回折X線強度測定値と、回折
X線の理論強度式とを用い、前記試験材の前記合金化度
を求めることを特徴とする合金化めっき層の合金化度測
定方法。
【0021】本発明方法で用いる回折X線の理論強度式
とは、以下の数2式〜数5式である。これらの理論強度
式は、本発明者が先に提案した「めっき層合金相厚さの
測定方法」(特開平6−347247号公報)で導出し
た理論強度式と同じもので、めっき層を構成する各合金
相について、深さxの薄層による回折強度を、光の吸収
に関するランバートの法則を適用し、深さ0〜t(tは
各合金相の質量厚さ)で積分することにより得られる。
なお、これらの式中の記号の意味は表1に示したとおり
である。また、回折X線の理論強度は、いずれも各合金
相のバックグランドを差し引いた正味の回折強度であ
る。
【0022】
【数2】
【0023】
【数3】
【0024】
【数4】
【0025】
【数5】
【0026】
【表1】
【0027】合金相ζ、δ1 及びΓ、ならびに母材であ
るα−Feの回折角が近似している場合、すなわち、θ
(ζ)≒θ(δ1 )≒θ(Γ)≒θ(α−Fe)=θの
ときは、前記の数2式〜数5式から、各合金層の質量厚
さを表す数6式〜数8式が得られる。
【0028】
【数6】
【0029】
【数7】
【0030】
【数8】
【0031】但し、R(R(ζ)、R(δ1 )、R
(Γ)及びR(Fe))は下記の数9式で表される相対
X線強度(以下、回折強度比という)で、回折効率K
(K(ζ)、K(δ1 )、K(Γ)及びK(Fe))を
消去するために、各合金層の質量厚さT(T(ζ)、T
(δ1 )及びT(Γ))が既知である基準材の回折X線
強度で規格化した値である。また、定数k(ζ)、k
(δ1 )及びk(Γ)は以下の数10式〜数12式で表
される。
【0032】
【数9】
【0033】
【数10】
【0034】
【数11】
【0035】
【数12】
【0036】X線源としてCr管球を使用した場合、前
記の図3で観測されるζ相の(160)面に対応する2
θは130.6°、δ1 相の(554)面に対応する2
θは127.0°、Γ相の(633)面に対応する2θ
は139.0°であることから、2θ=130°とす
る。さらに、CrKα線に対する質量吸収係数μは、μ
(ζ)=165cm2 /g、μ(δ1 )=163cm2
/g、μ(Γ)=155cm2 /gであるから、数10
式〜数12式に基準材の各合金相の質量厚さT(T
(ζ)、T(δ1 )及びT(Γ))を代入すると定数k
(k(ζ)、k(δ1)及びk(Γ))が求まり、この
k及び回折強度比R(R(ζ)、R(δ1 )、R(Γ)
及びR(Fe))を数6式〜数8式に代入することによ
り、試験材の各合金相の質量厚さt(t(ζ)、t(δ
1 )及びt(Γ))を求めることができる。
【0037】めっき層の合金化度は、ζ相、δ1 相及び
Γ相の鉄含有率の許容幅が狭く、かつ鉄含有率の平均的
な値がそれぞれ7、10及び30wt%であることか
ら、前記の各合金相の質量厚さtを用いて下記の数13
式により求めることができる。
【0038】
【数13】
【0039】このように、母材金属板表面のめっき層側
に母材及びめっき層を構成する元素によって形成された
複数層の合金相を有する合金化めっき金属板の試験材に
X線を照射して得られる各合金相の所定の面間隔に対す
る回折線の強度と、この合金化めっき金属板の基準材に
X線を照射して得られる前記試験材の結晶面間隔と同一
の結晶面間隔に対応する回折線の強度との比をX線回折
の理論強度式から導出した各合金相の厚さを表す式に代
入することにより、前記各合金相の厚さを求め、このよ
うにして求めた各合金相の厚さから合金化度を求めるこ
とができる。
【0040】本発明方法を適用することができる対象
は、上記の例(鋼板に溶融亜鉛めっきを施した板材)に
限定されない。すなわち、母材となる金属板は鋼板に限
られず、また、めっき材も亜鉛に限られず、例えば鋼板
にすずめっきまたはアルミニウムめっきした後に熱処理
を施した板材、アルミニウム板に亜鉛めっきした後に熱
処理を施した板材等、任意の母材金属板と、その表面に
形成された母材金属とは異なる金属と母材金属との合金
化めっき層からなる金属板に対しても、めっき層が結晶
構造を有している限り、本発明方法を適用することがで
きる。
【0041】本発明方法で用いられる基準材は、試験材
と近似していることが望ましいが、めっき層を構成する
各合金相の厚さや結晶性・配向等が基準材と試験材とで
大幅に異ならない限り、基準材として用いることができ
る。
【0042】
【作用】上記本発明方法により合金化めっき層の合金化
度を測定するに際しては、例えば前記の合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を例にとると、基準材を定電流電解して各合
金相に対応する電位での電解時間から各合金相の質量厚
さを求める定電流電解法により、予め基準材のめっき層
を構成するζ相、δ1 相及びΓ相の質量厚さT
((ζ)、T(δ1 )及びT(Γ))を求めておく。
【0043】これら基準材のめっき層を構成する各合金
相の質量厚さTを数10式〜数12式に代入することに
より、定数k(k(ζ)、k(δ1 )及びk(Γ))が
求められ、一方、基準材及び試験材の回折X線強度の測
定値から、ζ相の(160)面、δ1 相の(554)
面、Γ相の(633)面及びα−Fe相(211)面に
ついての回折強度比R(ζ)、R(δ1 )、R(Γ)及
びR(Fe)が求められる。
【0044】このようにして得られたk(ζ)、k(δ
1 )及びk(Γ)、ならびにR(ζ)、R(δ1 )、R
(Γ)及びR(Fe)を数6式〜数8式に代入すること
により、試験材のめっき層を構成する各合金相の質量厚
さt(ζ)、t(δ1 )及びt(Γ)が求められ、これ
らの値を数13式に代入することにより合金化度が求め
られる。
【0045】本発明方法で用いられる基準材は、前述の
ように試験材と近似していることが望ましいが、前記の
重回帰法と異なり、本発明方法では合金化度の算出過程
で物理的な根拠を有する回折X線の理論強度式を用いる
ので、試験材の種類が変わっても各合金相の厚さや結晶
性・配向等が基準材と試験材とで大幅に異ならない限
り、同一の基準材を小数用意すればよい。従って、試験
材の種類毎に試験材と近似する数多くの基準材を用意す
る必要がなく、前記の重回帰法に比較して基準材の数を
大幅に減少させることができる。
【0046】
【実施例】合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、本発明
方法によりめっき層の合金化度を測定し、正確度を算出
して、重回帰法により求めた合金化度の正確度と比較し
た。なお、正確度とは下記の数14式で表されるもの
で、同式中の「X線分析値」は本発明方法または重回帰
法により得られた合金化度であり、「化学分析値」は後
述の化学分析により得られた合金化度(基準値)であ
る。
【0047】
【数14】
【0048】本発明方法を実施するに際しては、前記の
図2に示した平行ビーム光学系X線回折装置を用い、表
2に示す条件で30個の合金化溶融亜鉛めっき鋼板試験
材及び2個の合金化溶融亜鉛めっき鋼板基準材について
回折X線強度を測定した。
【0049】表3に、用いた基準材につき、各合金相の
質量厚さ(g/cm2 )と付着量(各合金相の質量厚さ
の和、g/cm2 )を示す。これらの値は、回折X線強
度の測定後に前記の「皮膜溶解−溶液分析(化学分
析)」により求めたものである。
【0050】また、表4には、用いた試験材の合金化
度、付着量及び製造パラメータ(調質圧延圧下率、めっ
き浴中のAl濃度及び合金化炉の温度)の範囲を示し
た。これらの値は、回折X線強度を測定した後、めっき
層を塩酸で溶解し、溶液中の亜鉛及び鉄の濃度をICP
発光分光分析により求めた(以下、化学分析による合金
化度という)。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】本発明方法では、前記の基準材及び試験材
についての回折X線強度の測定値から、試験材の各合金
相に対応する回折強度比Rを求め、前記の理論強度式
(数2式〜数5式)から得られた数6式〜数8式に代入
してζ相、δ1 相及びΓ相の質量厚さを求め、これら各
合金相の質量厚さを数13式に代入することにより各試
験材のめっき層の合金化度を求めた。なお、正確度σd
は、前記の数14式により求めた。
【0055】重回帰法により合金化度を求めるに際し、
供試材としては、表5に示す30個の合金化溶融亜鉛め
っき鋼板試験材を用いた。回折X線強度の測定条件は本
発明方法の場合と同様である。
【0056】
【表5】
【0057】用いた重回帰式は、下記の数15式、数1
6式のとおりであった。これらの重回帰式中の係数a〜
gは、供試材の合金化度(化学分析値)を回折X線強度
比で重回帰して求めた。すなわち、供試材を基準材とし
ても用いた。なお、バックグランド強度の算出は、各合
金相の回折線が見られない回折角90.0°及び15
0.0°でのX線強度を、各合金相の回折線位置へ内挿
または外挿することにより求めた。
【0058】
【数15】
【0059】
【数16】
【0060】測定結果を図4〜図6に示す。
【0061】図4は本発明例で、本発明方法により求め
た合金化度と化学分析により求めた合金化度とを比較し
たグラフである。また、図5は数15式により求めた合
金化度と化学分析により求めた合金化度との関係を示し
たグラフ(比較例)、図6は数16式により求めた合金
化度と化学分析により求めた合金化度との関係を示した
グラフ(比較例)である。
【0062】これらの図からも明らかなように、本発明
方法は、2個の基準材を用いただけで、付着量及び製造
パラメータ毎に検量線を使い分けなくても、重回帰法に
比べてばらつきが少なかった。付着量が30〜100g
/m2 、合金化度が7〜12%の範囲で合金化度分析の
正確度σd を求めたところ、0.6%と良好であった。
これに対し、図5に示した比較例では0.9%、図6に
示した比較例では0.8%と、実施例の2個に比較して
はるかに多い30個の基準材を用いたにもかかわらず悪
かった。
【0063】上記のように、本発明方法によれば、基準
材として目付量の小さい1個、及び目付量の大きい1個
の合計2個を用意するだけでよく、通常のX線回折法に
より得られた回折強度を用い、従来の重回帰法に比べて
より少ない費用及び時間で分析の準備ができ、かつ合金
化度を正確に求めることができる。
【0064】本発明方法は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
を製造する際のめっき層の合金化度をオンラインで分析
する場合に特に有用である。
【0065】以下に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造
現場で本発明方法を実施する際に用いられるX線回折装
置について説明する。
【0066】図7はオンラインで合金化溶融亜鉛めっき
鋼板のX線回折を行う際に用いられるX線回折装置の測
定ヘッド部を模式的に示した図である。測定ヘッド部5
0には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板58に所定の入射角
αになるようにX線を放射するCrターゲットX線管5
7が配設され、このX線管57により放射され、合金化
溶融亜鉛めっき鋼板により回折されたX線を測定する計
数管が、母材及びめっき層を構成する各合金相に対応す
る角度で、それぞれ個別に設置され、これらの回折X線
強度を同時に測定することができるように構成されてい
る。なお、バックグランド強度測定用の計数管も同様に
別に設けられている。
【0067】これら設置されている計数管は、低角度側
バックグランドX線強度計数管51、δ1 相の(55
4)面での回折X線を捕えるX線強度計数管52、ζ相
の(160)面での回折X線を捕えるX線強度計数管5
3、Γ相の(633)面での回折X線を捕えるX線強度
計数管54、高角度側バックグランドX線強度計数管5
5、α−Fe(211)面での回折X線を捕えるX線強
度計数管56の合計6個である。S1 及びS2 はソーラ
ースリット、FはKβフィルタである。
【0068】この測定ヘッドには、図示しないX線発生
装置とX線管を冷却するための冷却水送水装置が接続さ
れている。さらに、演算処理装置が接続されており、前
記の各計数管でカウントされた各合金相及び母材の回折
X線強度からバックグランド強度が自動的に差し引か
れ、回折強度比Rが算出され、合金化度が算出される。
【0069】このX線回折装置を用い、本発明方法によ
り合金化度を測定すれば、その結果を速やかに合金化制
御系にフィードバックすることが可能になるので、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板をより高い歩留で製造することが
できる。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように、試験材のめっき層
を構成する各合金相及び母材の所定の結晶面間隔に対応
する回折X線強度測定値と、予め求めておいた前記試験
材と同一めっき層構造の基準材についての各合金相及び
母材の前記試験材と同一の結晶面間隔に対応する回折X
線強度測定値と、回折X線の理論強度式とを用いて前記
試験材の各合金相の厚さを求め、これらの厚さから合金
化度を求める本発明方法によれば、従来に比べ基準材を
少なくすることが可能で、分析の準備に要する費用及び
時間を減少させることができ、かつ正確に合金化度を求
めることができる。また、この方法は、表面に合金化め
っき層を有する金属板を製造する工程において、オンラ
インで迅速に分析を行う方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を構成す
る合金相の一例を示した断面図である。
【図2】平行ビーム光学系X線回折装置の概念図であ
る。
【図3】合金化溶融亜鉛めっき鋼板のX線回折パターン
の一例を示したグラフである。
【図4】本発明方法により求めた合金化度と化学分析に
より求めた合金化度とを比較したグラフである。
【図5】数15式により求めた合金化度と化学分析によ
り求めた合金化度との関係を示したグラフである。
【図6】数16式により求めた合金化度と化学分析によ
り求めた合金化度との関係を示したグラフである。
【図7】オンラインで合金化溶融亜鉛めっき鋼板のX線
回折を行う際に用いられるX線回折装置の測定ヘッド部
を模式的に示した図である。
【符号の説明】
11:鋼板、12:Γ相、13:δ1 相、14:ζ相、
21:合金化溶融亜鉛めっき鋼板、22:計数管、S:
Cr管球、S1 、S2 :ソーラースリット、F:バナジ
ウムフィルタ、50:測定ヘッド部、51:低角度側バ
ックグランドX線強度計数管、52,53,54,5
6:回折X線強度計数管、55:高角度側バックグラン
ドX線強度計数管、57:CrターゲットX線管、5
8:合金化溶融亜鉛めっき鋼板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】母材表面のめっき層側に母材及びめっき層
    を構成する元素によって形成された複数層の合金相を有
    する合金化めっき金属板にX線を照射し、得られる回折
    線強度を用いて合金化度を測定する合金化めっき層の合
    金化度測定方法において、試験材の前記各合金相及び前
    記母材の所定の結晶面間隔に対応する回折X線強度測定
    値と、予め求めておいた前記試験材と同一めっき層構造
    の基準材についての各合金相及び母材の前記試験材と同
    一の結晶面間隔に対応する回折X線強度測定値と、回折
    X線の理論強度式とを用い、前記試験材の前記合金化度
    を求めることを特徴とする合金化めっき層の合金化度測
    定方法。
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