JPH06347247A - めっき層合金相厚さの測定方法 - Google Patents

めっき層合金相厚さの測定方法

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JPH06347247A
JPH06347247A JP5138027A JP13802793A JPH06347247A JP H06347247 A JPH06347247 A JP H06347247A JP 5138027 A JP5138027 A JP 5138027A JP 13802793 A JP13802793 A JP 13802793A JP H06347247 A JPH06347247 A JP H06347247A
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JP
Japan
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thickness
phase
alloy
alloy phase
ray
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JP5138027A
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English (en)
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Shigeyuki Mori
茂之 森
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 母材表面のめっき層側に母材及びめっき材を
構成する元素によって形成された複数層の合金相を有す
る合金化めっき金属板にX線を照射し、得られる回折線
強度を用いて各合金相厚さを測定する方法において、試
験材の各合金相及び母材の所定の結晶面間隔に対応する
回折X線強度測定値と、予め求めておいた試験材と同一
構造の基準材についての各合金相及び母材の試験材と同
一の結晶面間隔に対応する回折X線強度測定値と、回折
X線の理論強度式とを用い、試験材の各合金相厚さを求
めるめっき層合金相厚さの測定方法。 【効果】 少ない基準材を用いて従来に比べより少ない
費用と時間で分析の準備ができ、かつ正確に金属板表面
のめっき層を構成する各合金相の厚さを求めることがで
き、表面に合金化めっき層を有する金属板を製造する工
程において、オンラインで迅速に分析を行う方法を提供
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はめっき層合金相厚さの測
定方法に関し、より詳細には合金化溶融亜鉛めっき鋼板
等、母材表面に複数層の合金相を有する金属板の各合金
相の厚さを求めるめっき層合金相厚さの測定方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛
めっき鋼板をめっき後に加熱して母材である鋼板のFe
とめっき層のZnを相互拡散させ、めっき層を合金化さ
せたものである。この合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶
融亜鉛めっき鋼板に比べて溶接性、塗膜密着性、塗装後
の耐食性に優れ、自動車、家電製品、建材などの分野で
その需要が拡大してきている。
【0003】図1は前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめ
っき層を構成する合金相の一例を示した断面図であり、
図中、11は母材の鋼板である。鋼板11の表面の前記
めっき層を構成する合金相は、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の熱処理の仕方等により異なるが、例えば図1に示し
たようにζ相14(FeZn13)、δ1 相13(FeZ
10)及びΓ相12(Fe3 Zn10)からなる合金相等
により構成される。
【0004】前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の溶解性、
パウダリング性、塗膜密着性、塗装後の耐食性等の物性
は、めっき層中に形成されるζ相14、δ1 相13、Γ
相12等の合金相の厚さにより異なるため、前記合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際には、製造された合金
化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を構成する合金相の厚
さを迅速かつ正確に知り、製造工程に反映させる必要が
ある。
【0005】ところで、結晶に平行性の良いX線を照射
した場合に起こる回折現象を利用して試料中の結晶相の
同定等を行う、いわゆるX線回折法と呼ばれる分析方法
がある。このX線回折法は本来構造解析の手段である
が、例えば前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層中
の個々の合金相により回折されたX線強度は、前記めっ
き層中の各合金相の厚さと相関があるため、基本的には
めっき層中の各合金相に対応する特定の回折X線強度を
測定することにより、前記合金相の厚さを知ることがで
きる。
【0006】図2は平行ビーム光学系X線回折装置を模
式的に示した概念図であり、図中SはCr管球、S1
びS2 は開き角1.2°のソーラースリット、Fは厚さ
20μmのバナジウムフィルタ、21は合金化溶融亜鉛
めっき鋼板、22は計数管をそれぞれ示している。前述
したように、試料である合金化溶融亜鉛めっき鋼板21
に平行性のよいX線を照射すると、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板21のめっき層を構成するζ相14、δ1 相1
3、Γ相12等の合金相の結晶面及び鋼板11の結晶面
で弾性散乱されたX線は、入射X線に対して合金相及び
結晶面に固有の方向2θでのみ回折線が観測される。こ
の2θは結晶面間隔d及び管球ターゲットの種類により
次の数1式で与えられる。
【0007】
【数01】
【0008】ここでλは、例えば図2においてCr管球
Sより発生する特性X線の波長である。
【0009】図3は前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板のX
線回折を行った際のX線回折パターンを示したグラフで
ある。前記めっき層を構成する各合金相に対応する回折
線として、ζ相の(160)面に対応する2θが13
0.6°(d=1.260Å)の回折線、δ1 相の(5
54)面に対応する127.0°(d=1.279Å)
の回折線、Γ相の(633)面に対応する139.0
(d=1.222Å)の回折線、鋼板(α−Fe)の
(211)面に対応する156°(d=1.170Å)
の回折線等が観測される。
【0010】但し、前記特定の合金相に対応する回折X
線の強度は、前記合金相の厚さと相関があるのみなら
ず、前記合金相より表面側に存在する合金相(以下、表
層側合金相と記す)の厚さや調質圧延圧下率との相関も
あるため、単純に前記特定の回折X線強度より前記各合
金相の厚さを求めることはできない。
【0011】前記特定の回折X線強度を用いて各合金相
の厚さを求める方法として、前記各合金相の回折X線強
度及び調質圧延圧下率による重回帰で求める方法(CA
MP−ISIJ,(1990),p591)と表層側
合金相の厚さ及び調質圧延圧下率の各値毎に、前記合金
相の厚さと回折X線強度との関係を示す曲線(検量線)
を求めておき、その検量線より各合金相の厚さを求める
方法とがある。
【0012】またX線回折法を使用せずに前記めっき層
を構成する各合金相の厚さを求める他の方法として、定
電流電解法が挙げられる。前記定電流電解法は、下記の
表1に示したような一定の条件で試験材を定電流電解
し、その測定結果を基にして各合金相の厚さを求めるも
のである。
【0013】
【表1】
【0014】図4は前記測定により得られた試料電位と
電解時間との関係を示したグラフであり、各合金相に対
応する電位での電解時間から下記の数2式を用いて各合
金相の厚さを求めることができる(CAMP−ISI
J,(1992),p1739)。
【0015】
【数02】
【0016】前記定電流電解法は、各合金相厚さをより
正確に求めることができる点で優れているが、分析に長
時間を要するため、迅速な測定が求められる場合には適
さず、前記したX線回折法のような他の迅速な分析法の
実用化検討の際、基準値を与える分析法として用いられ
ている。
【0017】前記した各合金相の回折X線強度及び調質
圧延圧下率による重回帰で各合金層の厚さを求める方法
では、めっき層を構成する各合金相に対応する回折線と
して、前記したζ相の(160)面に対応するd=1.
260Å又は(550)面に対応するd=1.239Å
の回折線、δ1 相の(554)面に対応するd=1.2
79Åの回折線、Γ相の(633)面に対応するd=
1.222Åの回折線の3本の回折線が使用されてい
た。そして、これらの回折線強度の他に、図3中に示さ
れているバックグランドの強度、調質圧延圧下率を変数
とし、重回帰により各合金相の厚さに関する回帰式を
得、この回帰式(検量線)から各合金相の厚さを算出し
ていた(CAMP−ISIJ,(1990),p59
1、以下、重回帰法と記す)。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記重回帰法
では、回帰式を得るために生産ラインで製造した各種製
品の中から30点以上の基準材を偏りなく採取する必要
がある。基準材の採取は製品の歩留りを低下させるう
え、前記基準材のめっき層中の各合金相の厚さの基準値
を得るために用いる定電流電解の実施には多大の時間を
要する。従って、重回帰法により各合金相の厚さに関す
る回帰式を得るためには相当の費用及び時間を要すると
いう課題があった。
【0019】また、前記各合金相の厚さを算出するため
の回帰式は、測定データの統計処理により得られたもの
で、物理的根拠を有していないため、基準材と系列の異
なる試験材に適用すると算出される各合金相の厚さの誤
差が大きくなるという課題があった。
【0020】さらに、表層側合金相の厚さ及び調質圧延
圧下率の各値毎に、前記合金相の厚さと回折X線強度と
の関係を示す曲線(検量線)を求めておき、その検量線
より各合金相の厚さを求める方法では、前記表層側合金
相の厚さ及び調質圧延圧下率の各値毎に前記検量線を用
意して使い分けなければならないために実用的でなく、
表層側合金相の厚さが未知の場合は、どのような検量線
を用いてよいかわからないという課題があった。
【0021】本発明は上記した課題に鑑みなされたもの
であり、基準材を少なくでき、基準材と系列の異なる試
験材にも適用することができ、表層側合金層の厚さ及び
例えば調質圧延圧下の製造パラメータが不明の場合にも
適用できるめっき層合金相厚さの測定方法を提供するこ
とを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係るめっき層合金相厚さの測定方法は、母材
表面のめっき層側に母材及びめっき材を構成する元素に
よって形成された複数層の合金相を有する合金化めっき
金属板にX線を照射し、得られる回折線強度を用いて各
合金相の厚さを測定するめっき層合金相厚さの測定方法
において、試験材の前記各合金相及び前記母材の所定の
結晶面間隔に対応する回折X線強度測定値と、予め求め
ておいた前記試験材と同一構造の基準材についての各合
金相及び母材の前記試験材と同一の結晶面間隔に対応す
る回折X線強度測定値と、回折X線の理論強度式とを用
い、前記試験材の前記各合金相の厚さを求めることを特
徴としている。
【0023】まず、回折X線の理論強度式の導出につい
て説明する。複数の層から構成される媒質中を平行X線
が通過する際に、前記平行X線が質量厚さtX の媒質X
を通過した場合のX線の吸収・散乱による強度の減衰に
ついては、基本的にランバートの法則を適用することが
でき、入射表面でのX線強度をIX0、透過後のX線強度
をIX 、質量吸収係数をμX とすると、下記の数3式が
適用できる。
【0024】
【数03】
【0025】この数3式を応用することにより、各合金
相の厚さとX線回折強度との関係を示す理論式を導出す
ることができる。以下の説明で用いる記号の意味は表2
に示した通りである。
【0026】
【表2】
【0027】表面第1層にθの角度でyの深さまで入射
し、入射経路と試料面の法線とを含む面内で試料表面と
θの角度をなす方向に回折されたX線は、2y/sin
θの距離だけ結晶中を通過したことになり、表面第1層
の質量厚さがtの場合、第1層の合金相によるX線回折
強度は、表面から深さtまでの間で回折されたX線強度
の総和となる。すなわち数3式を表面第1層での回折効
率を考慮の上、0〜tで積分すればよい。
【0028】また表面第1層より下に存在する合金相に
より回折されたX線は、回折前及び回折後に表層側合金
相を通過するので、前記表層側合金相による吸収・散乱
を受けてその強度が減衰する。
【0029】図1に示したように、めっき層を構成する
各合金相の境界面が平らで、かつ厚みむらもないと仮定
し、前記した結晶相を通過する際に受ける吸収・散乱を
考慮し、表面第1層の合金相をζ相、第2層をδ1 相、
第3層をΓ相、第4層を鋼板(α−Fe相)とすると、
各合金相のバックグランドを差し引いた正味の回折強度
は以下の数4式〜数7式になる。
【0030】
【数04】
【0031】
【数05】
【0032】
【数06】
【0033】
【数07】
【0034】上記した数4式〜数7式において、θ
(ζ)≒θ(δ1 )≒θ(Γ)≒θ(α−Fe)=θの
ときは、前記数4式〜数7式は容易に解け、各合金相の
厚さは以下の数8式〜数10式で示す結果となる。
【0035】
【数08】
【0036】
【数09】
【0037】
【数10】
【0038】ただし、未知の回折効率Kを消去するため
に、各合金相の質量厚さ(T(ζ)、T(δ1 )、T
(Γ))が既知の基準材の回折線強度の値で規格化した
値Rを導入した。すなわち、Rは下記の数11式で表さ
れる。また、定数k(ζ)、k(δ1 )、k(Γ)は以
下の数12式〜数14式で表される。
【0039】
【数11】
【0040】
【数12】
【0041】
【数13】
【0042】
【数14】
【0043】ζ相、δ1 相、Γ相及び鋼板の回折線とし
ては、お互いが近接していれば任意の組み合わせが可能
であるが、着目合金相の特定の回折線と他の回折線との
重なりが小さい回折線を用いるのが望ましい。合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の場合は、ζ相の(160)面、δ1
相の(554)面、Γ相の(633)面及びα−Fe相
(211)面に対応する回折線が好ましい。
【0044】X線源としてCr管球を使用した場合、ζ
相の(160)面に対応する2θは130.6°、δ1
相の(554)面に対応する2θは127.0°、Γ相
の(633)面に対応する2θは139.0°であるこ
とから、2θ=130°とする。さらに、CrKα線に
対する質量吸収係数は、μ(ζ)=165cm2 /g、
μ(δ1 )=163cm2 /g、μ(Γ)=155cm
2 /gであるから、数12式〜数14式に基準材の各合
金相の質量厚さTを代入するとkが求まり、このk及び
試験材と基準材との強度比を数8式〜数10式に代入す
ることにより、試験材の各合金相の質量厚さtを求める
ことができる。
【0045】なお、前記質量吸収係数μはζ、δ1 、Γ
の各合金相の鉄含有率の幅が狭く、かつ平均鉄含有率が
7、10、30wt%であることから、CrのKα線に
対する鉄及び亜鉛の既知の質量吸収係数μ(Fe)、μ
(Zn)を用いて、以下の数15式〜数17式により算
出される。
【0046】
【数15】
【0047】
【数16】
【0048】
【数17】
【0049】このように、母材である金属板表面のめっ
き層側に母材及びめっき材を構成する元素によって形成
された複数層の合金相を有する合金化めっき金属板にお
いて、前記合金化めっき金属板の試験材にX線を照射し
て得られる各合金相の所定の面間隔に対する回折線の強
度と、前記合金化めっき金属板の基準材にX線を照射し
て得られる前記試験材の結晶面間隔と同一の結晶面間隔
に対応する回折線の強度との比を用い、これをX線回折
の理論強度式から導出した各合金相の厚さを求める式に
代入することにより、前記各合金相の厚さを測定するこ
とができる。
【0050】本発明に係るめっき層合金相厚さの測定方
法を適用することができる対象については、前記母材と
なる金属板は鋼板に限られず、また前記めっき材も亜鉛
に限られず、例えば鋼板にすず又はアルミめっきした後
に熱処理した板材、アルミ板に亜鉛めっきした後に熱処
理した板材等の表面に金属板と異なる金属の合金化溶融
めっき層を有する金属板についても適用することができ
る。
【0051】また、本発明に用いられる基準材は、試験
材と近似していること(特に回折効率Kが近似している
こと)が望ましいが、前記基準材の各合金相の厚さや結
晶性等が試験材と大幅に異ならない限り、基準材として
用いることができる。
【0052】
【作用】上記方法によれば、例えば前記合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を例にとると、前記基準材の定電流電解法に
よる分析から基準材のめっき層を構成するζ相、δ1
相、Γ相の質量厚さT(ζ)、T(δ1 )、T(Γ)が
求められ、数12式〜数14式にこれらの値を代入する
ことにより、定数k(ζ)、k(δ1 )、k(Γ)が求
められる。さらに、試験材及び基準材のζ相の(16
0)面の回折強度の比としてR(ζ)が求められ、同様
にしてδ1 相の(554)面についての回折強度の比R
(δ1 )、Γ相の(633)面についての回折強度の比
R(Γ)及びα−Fe相(211)面についての回折強
度の比R(Fe)が求められる。この求められたk
(ζ)、k(δ1 )、k(Γ)、R(ζ)、R(δ
1 )、R(Γ)、R(Fe)を数8式〜数10式に代入
することにより、各合金相の質量厚さt(ζ)、t(δ
1 )、t(Γ)が求められる。
【0053】本発明に用いられる基準材は、前記試験材
と近似していること(特に回折効率Kが近似しているこ
と)が望ましいが、従来の重回帰法と異なり、本発明で
は物理的な根拠を有するX線の理論強度式を用いるた
め、前記基準材の各合金相の厚さや結晶性等が試験材と
大幅に異ならない限り、基準材として用いることができ
る。従って、試験材の種類毎に試験材と近似した基準材
を用意する必要がなく、従来の方法に比較して、基準材
の数を少なくすることができる。
【0054】
【実施例】以下、本発明に係るめっき層合金相厚さの測
定方法の実施例及び比較例を説明する。本実施例では、
図2に示した平行光学系のX線回折測定装置を用い、下
記の表3に示す条件で60個の合金化溶融亜鉛めっき鋼
板試験材及び2個の合金化溶融亜鉛めっき鋼板基準材に
ついて回折X線強度の測定を行った。
【0055】また下記の表4及び表5には、用いた基準
材の各合金相の質量厚さ(g/cm 2 )と目付量(各合
金相の厚さの和、(g/cm2 ))の範囲及び試験材の
各合金相の質量厚さ(g/cm2 )、目付量(g/cm
2 )及び調質圧延圧下率の範囲を示している。この値は
実施例のX線回折分析より求められる値と比較するため
にX線回折測定後に定電流電解法により求めた。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】前記回折X線強度の基準材についての測定
値と各試験材についての測定値とを上記した理論式に代
入し、ζ相、δ1 相、Γ相の各合金相の厚さを求めた。
【0060】図5〜7は、前記実施例により得られたζ
相、δ1 相及びΓ相のそれぞれの厚さについて、定電流
電解法により得られた値と実施例の方法による値とを比
較したグラフである。これらの測定値についての正確度
σd は下記する数18式により求めた。
【0061】
【数18】
【0062】次に、比較例として[従来の技術]の欄で
説明した従来の方法である重回帰法により、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板のめっき層を構成する各合金相の厚さを
求めた。
【0063】回折X線強度の測定条件、用いた試験材は
上記実施例の場合と同様である。また基準材について
は、表4に示した2種類の基準材の他、28種類の合金
化溶融亜鉛めっき鋼板基準材を加え、表6に示すように
合計30種類の基準材を用いた。用いた重回帰式は、下
記の数19式〜数21式のとおりであった。重回帰式中
の係数a〜fは、基準材中各合金相の厚さ及び回折X線
強度を重回帰して求めた。
【0064】
【表6】
【0065】
【数19】
【0066】
【数20】
【0067】
【数21】
【0068】なお、バックグランドの強度の算出は、各
合金相の回折線が見られない回折角90.0°、15
0.0°でのX線強度を、各合金相の回折線位置へ内挿
又は外挿することにより求めた。
【0069】図8〜図10は比較例により求めたζ相、
δ1 相、Γ相の厚さと定電流電解法により求めた前記各
合金相の厚さとの関係を示したグラフである。
【0070】以下、各合金相の厚さの測定結果につい
て、実施例における結果と比較例における結果とを比較
する。
【0071】まず、ζ相について検討してみると、実施
例(図5)においては、ζ相の厚さが1〜10g/m2
の範囲でζ相厚さ分析の正確度σd は0.6g/m2
1点の基準材を用いただけで良好であったのに対し、比
較例(図8)では0.9g/m2 と実施例に比較しては
るかに多くの基準材を用いたにも拘らず悪かった。一方
ζ相の厚さが10〜50g/m2 の範囲では、実施例に
おけるζ相厚さ分析の正確度σd が2.9g/m2 に対
し比較例では3.1g/m2 と大きな差はなかったが、
実施例に比較してはるかに多くの基準材を用いている点
で比較例のものは効率的でない。
【0072】同様にδ1 相についても、δ1 相の厚さが
10〜30g/m2 の範囲で、実施例(図6)では2.
0g/m2 であるのに対し、比較例(図9)では3.0
g/m2 であり、またδ1 相の厚さが30〜100g/
2 の範囲でも実施例が3.5g/m2 であるのに対
し、比較例では4.6g/m2 であり、いずれも比較例
では実施例に比べて基準材の数がはるかに多いにも拘ら
ず、その正確度σd の値が悪かった。
【0073】さらにΓ相についても、Γ相の厚さが0.
5〜2g/m2 の範囲で、実施例(図7)では0.2g
/m2 であるのに対し、比較例(図10)では0.5g
/m2 であり、Γ相の厚さが2〜10の範囲でも実施例
が1.0g/m2 であるのに対し、比較例では2.0g
/m2 であり、いずれも比較例では実施例に比べて基準
材の数がはるかに多いにも拘らず、その正確度σd の値
が悪かった。
【0074】以上のことから明らかなように、上記実施
例によれば、各合金相につき厚さの薄い範囲で1点、厚
さの厚い範囲で1点の合計2点の基準材を用意するだけ
で、通常のX線回折測定法により得られた値を用い、従
来の重回帰法に比べてより少ない費用及び時間で分析の
準備ができ、かつ正確に合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめ
っき層を構成する各合金相の厚さを求めることができ
る。
【0075】本発明に係るめっき層合金相厚さの測定方
法は、特に合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する現場に
おいて、前記各合金相の厚さをオンラインで分析する場
合に有用である。そこで、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造現場でのめっき層中合金相厚さの測定方法の実施例
について以下に説明する。
【0076】図11は合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造
現場に用いられるX線回折測定装置を示す概念図であ
り、図中、50は測定ヘッド部である。
【0077】この測定ヘッド部50には、合金化溶融亜
鉛めっき鋼板58に所定の入射角αになるようにX線が
放射されるCrターゲットX線管57が配設され、この
X線管57により放射され、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
により回折されたX線に対して前記しためっき層を構成
する各合金相に対応する角度やバックグランドに対応す
る角度に対し、それぞれ個別に計数管が設置され、同時
にこれらの回折X線強度を測定することができるように
構成されている。設置されている計数管は、低角度側バ
ックグランドX線強度計数管51、δ1 相の(554)
面での回折X線を捕えるX線強度計数管52、ζ相の
(160)面での回折X線を捕えるX線強度計数管5
3、Γ相の(633)面での回折X線を捕えるX線強度
計数管54、高角度側バックグランドX線強度計数管5
5、α−Fe(211)面での回折X線を捕えるX線強
度計数管56の合計6個である。また、S1 及びS2
ソーラースリット、FはKβフィルタである。
【0078】また、この測定ヘッドは図示しないX線発
生装置とX線管を冷却するための冷却水送水装置が接続
され、さらに演算処理装置が接続され、各計数管でカウ
ントされた値をもとに自動的にバックグランドが差し引
かれ、基準材との相対強度Rが算出され、各合金相の厚
さが算出される。
【0079】前記方法により得られた各合金相の厚さに
関する情報を速やかに製造現場にフィードバックするこ
とにより、より歩留り良く、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
を製造することが可能となる。
【0080】なお、上記実施例においては、厚さを質量
厚さとして説明したが、質量厚さと厚さとの間には下記
の数22式に示す関係があり、厚さは質量厚さから容易
に求めることができる。
【0081】
【数22】
【0082】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係るめっき
層合金相厚さの測定方法によれば、母材表面のめっき層
側に母材及びめっき材を構成する元素によって形成され
た複数層の合金相を有する合金化めっき金属板にX線を
照射し、得られる回折線強度を用いて各合金相の厚さを
測定するめっき層合金相厚さの測定方法において、試験
材の前記各合金相及び前記母材の所定の結晶面間隔に対
応する回折X線強度測定値と、予め求めておいた前記試
験材と同一構造の基準材についての各合金相及び母材の
前記試験材と同一の結晶面間隔に対応する回折X線強度
測定値と、回折X線の理論強度式とを用い、前記試験材
の前記各合金相の厚さを求めるので、前記基準材が少な
い場合でも従来に比べ、少ない費用及び時間で分析の準
備ができ、かつ正確に前記金属板表面のめっき層を構成
する前記各合金相の厚さを求めることができる。
【0083】また、本発明に係るめっき層合金相厚さの
測定方法は、表面に前記合金化めっき層を有する金属板
を製造する工程において、オンラインで迅速に分析を行
う方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を構成す
る合金相の一例を示した断面図である。
【図2】平行ビーム光学系X線回折装置を模式的に示し
た概念図である。
【図3】合金化溶融亜鉛めっき鋼板のX線回折を行った
際のX線回折パターンを示したグラフである。
【図4】定電流測定法より得られた試料電位と電解時間
との関係を示したグラフである。
【図5】実施例により得られたζ相の厚さの値と定電流
電解法により得られたζ相の厚さの値との関係を示した
グラフである。
【図6】実施例により得られたδ1 相の厚さの値と定電
流電解法により得られたδ1 相の厚さの値との関係を示
したグラフである。
【図7】実施例により得られたΓ相の厚さの値と定電流
電解法により得られたΓ相の厚さの値との関係を示した
グラフである。
【図8】比較例により得られたζ相の厚さの値と定電流
電解法により得られたζ相の厚さの値との関係を示した
グラフである。
【図9】比較例により得られたδ1 相の厚さの値と定電
流電解法により得られたδ1 相の厚さの値との関係を示
したグラフである。
【図10】比較例により得られたΓ相の厚さの値と定電
流電解法により得られたΓ相の厚さの値との関係を示し
たグラフである。
【図11】オンラインで合金化溶融亜鉛めっき鋼板のX
線回折を行う際のX線回折装置の測定系を模式的に示し
た概念図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材表面のめっき層側に母材及びめっき
    材を構成する元素によって形成された複数層の合金相を
    有する合金化めっき金属板にX線を照射し、得られる回
    折線強度を用いて各合金相の厚さを測定するめっき層合
    金相厚さの測定方法において、試験材の前記各合金相及
    び前記母材の所定の結晶面間隔に対応する回折X線強度
    測定値と、予め求めておいた前記試験材と同一構造の基
    準材についての各合金相及び母材の前記試験材と同一の
    結晶面間隔に対応する回折X線強度測定値と、回折X線
    の理論強度式とを用い、前記試験材の前記各合金相の厚
    さを求めることを特徴とするめっき層合金相厚さの測定
    方法。
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