JPH09159428A - Zn−Mg系めっき鋼板のMg付着量及び表層Zn付着量の測定方法 - Google Patents

Zn−Mg系めっき鋼板のMg付着量及び表層Zn付着量の測定方法

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JPH09159428A
JPH09159428A JP7344968A JP34496895A JPH09159428A JP H09159428 A JPH09159428 A JP H09159428A JP 7344968 A JP7344968 A JP 7344968A JP 34496895 A JP34496895 A JP 34496895A JP H09159428 A JPH09159428 A JP H09159428A
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JP7344968A
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Fukio Yoshizaki
布貴男 吉崎
Minoru Saito
実 斎藤
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 表層Znによる吸収の影響を補正し、Zn−
Mg系めっき層のMg付着量及び表層Zn層の付着量を
測定する。 【構成】 表層Zn層及びMgZn2 を含むZn−Mg
層の多層構造をもつZn−Mg系めっき鋼板のMg付着
量及び表層Zn付着量を測定する際、Zn−Mg層に含
まれているMgの付着量及び表層Zn層の付着量と回折
X線強度との関係式を予め2種類作成し、X線管球の波
長及び/又はMgZn2 相の面指数を変えて2種類の回
折X線強度を測定し、前記関係式に従って2種類の付着
量を未知数とする連立方程式として演算することによ
り、Mgの付着量と表層Zn層の付着量を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Zn−Mg系めっき鋼
板のめっき層中のMg付着量及び表層Zn付着量を迅速
に非破壊で測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合金めっき鋼板の品質特性は、めっき付
着量や合金成分の付着量変化に応じて広範囲に変化す
る、そのため、合金めっき鋼板の製造に際し、めっき付
着量や合金成分の付着量等を最適範囲に管理することが
必要となる。従来から製造されているZn系合金めっき
鋼板としては、電気めっき法によるZn−Ni系合金め
っき鋼板,溶融めっき法による合金化Znめっき鋼板等
がある。これらの合金めっき鋼板のめっき付着量や合金
元素付着量の測定には、迅速性,安定性,簡便性等を考
慮して蛍光X線分析法が採用されている。たとえば、特
開昭56−36045号公報ではZn−Ni系合金めっ
き鋼板のめっき付着量及び合金元素付着量を、特開昭5
6−92436号公報では合金化溶融Znめっき鋼板の
めっき付着量及び合金元素付着量を蛍光X線分析法で測
定している。これらの測定法では、めっき鋼板に一次X
線を照射した際に発生する各合金成分の蛍光X線強度を
測定し、測定結果に基づき合金めっきの付着量及び合金
元素付着量を算出している。
【0003】ところで、Zn系めっき鋼板の低価格下,
高耐食化に対する要求に伴って、低付着量で高耐食性を
もつZn系合金めっき鋼板が開発されている。その一つ
として、蒸着法を用いたZn−Mg系めっき鋼板があ
る。Zn−Mg系めっき鋼板は、それぞれの元素を順次
蒸着させ、或いは複数の元素を同時蒸着する方法で製造
される。更に、蒸着後に加熱合金化する方法も採用され
ている。Zn−Mg系めっき鋼板のめっき層構成として
は、単層構造の外に積層構造も検討されており、めっき
層表層に純Znめっきを含め0.5重量%以下のMgを
含むZn層(以下、表層Zn層という)を形成した積層
構造のZn−Mg系めっき鋼板が開発されている。Zn
−Mg系めっきにおいては、従来から製造されている合
金めっき鋼板と同様に、Zn付着量及びMg付着量にめ
っき鋼板の品質特性が依存している。更に、表層Zn層
を形成した場合には、表層Zn層によっても品質特性が
影響される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、めっき
層全体に含まれるZn付着量がZnの蛍光X線強度と対
応関係にあることを見い出し、特願平7−125673
号として、Zn付着量の測定方法を紹介した。この方法
によるとき、めっき層の層構造に拘らずZn付着量を測
定できる。しかし、めっき層中のMg付着量は、Znに
対するMgKα線の質量吸収係数が大きいため、蛍光X
線分析法の単純な適用では測定できない。一次X線の照
射によってめっき層内部で発生したMgKα線は、めっ
き層を通過する際に、めっき層を構成するZnにより著
しい吸収を受けて減衰する。そのため、外部で検出され
るMgKα線の強度は、Mg濃度分布等のめっき層の構
造によって変化する。その結果、Mgの蛍光X線強度に
基づいてMg付着量を測定することは困難であり、また
測定精度の信頼性の低いものとなる。
【0005】更に表層Zn層を形成した積層構造をもつ
Zn−Mg系めっき鋼板では、品質特性に影響を及ぼす
表層Zn層の付着量も測定する必要がある。しかし、Z
nは表層Zn層だけではなく表層以外のめっき層部分に
も含まれているため、Znの蛍光X線が表層以外のめっ
き層部分からも発生し、表層Zn層に起因する強度を検
出することができなかった。ところで、合金化溶融Zn
めっき鋼板上にFe−Zn電気めっきを施したような上
層と下層に同じ元素(Zn,Fe)を含む複層めっき鋼
板について、上層のめっき付着量を測定するX線回折法
が特開平5−71936号公報で紹介されている。この
X線回折法では、上層めっきを施す前後で下層めっき層
からの回折X線強度を測定している。そして、上層めっ
き層による回折X線の吸収に起因した強度低下に基づい
て上層の付着量を算出している。しかし、このX線回折
法は、上層が下層の一部又は全部と反応層を形成する場
合には測定精度が悪くなる。
【0006】他方、表層Zn層を形成したZn−Mg系
めっき鋼板は、真空を破ることなく、連続的にZn及び
Mgを種々の順序で逐次又は同時に蒸着し、最後にZn
を蒸着した後、必要に応じて加熱拡散処理を施すことに
よって製造している。そして、最後に蒸着したZn層の
一部をすでに形成されているめっき層の一部又は全部と
反応させることによってZn−Mg層を生成し、Zn−
Mg層の形成に消費されなかったZnから0.5重量%
以下のMgを含む表層Zn層が形成されるように調整し
ている。そのため、X線回折法で求められたZn−Mg
系めっき鋼板の表層Zn層の付着量は、Zn−Mg系合
金層が形成されているために測定精度が悪くなってい
る。仮に、反応層を形成しない場合においても、Zn−
Mg系めっき鋼板は、真空を破ることなく連続的な蒸着
によって製造されているため、最後のZn蒸着工程の前
にすでに形成されているめっき層の回折X線強度を真空
中で測定する必要がある。その結果、測定装置としても
特殊な工夫が要求される。
【0007】このように、Mg付着量,表層Zn層の付
着量は、Mgの蛍光X線強度を用いる蛍光X線分析法,
或いは最後のZn蒸着工程の前後にめっき層の回折強度
を測定するX線回折法で測定することは困難である。そ
のため、従来では、スポット的にサンプリングした試料
の化学分析によりMg付着量を測定している。また、表
層Zn層の測定には、同じくスポット的にサンプリング
した試料を断面研磨し、光学顕微鏡又は走査型電子顕微
鏡でめっき層断面を観察し、表層Zn層の厚さの測定結
果から付着量を見積もっていた。しかし、何れも破壊分
析であるため、測定に多大の時間がかかっていた。本発
明は、このような問題を解消すべく案出されたものであ
り、異なる条件下で測定したMgとZnの金属間化合物
の複数のX線回折強度を予め作成している複数の関係式
に代入して演算することにより、Zn−Mg系めっき鋼
板のめっき層中のMg付着量及び表層Zn層の付着量を
迅速に且つ非破壊で測定することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、その目的を達
成するため、表層Zn層及びMgZn2 を含むZn−M
g層の多層構造をもつZn−Mg系めっき鋼板のMg付
着量及び表層Zn付着量を測定する際、Zn−Mg層に
含まれているMgの付着量及び表層Zn層の付着量と回
折X線強度との関係式を予め2種類作成し、X線管球の
波長及び/又はMgZn2 相の面指数を変えて2種類の
回折X線強度を測定し、前記関係式に従って2種類の付
着量を未知数とする連立方程式として演算することによ
り、Mgの付着量と表層Zn層の付着量を算出すること
を特徴とする。合金化が進行してめっき層にMg2 Zn
11が生成したZn−Mg層の多層構造をもつZn−Mg
系めっき鋼板では、表層Zn層とMgZn2 ,Mg2
11を含むZn−Mg層の多層構造をもつZn−Mg系
めっき鋼板のMg付着量及び表層Zn付着量を測定する
際、Zn−Mg層中に含まれるMg付着量及び表層Zn
層の付着量と回折X線強度との関係式を予め4種類作成
し、X線管球の波長及び/又はMgZn2 相の面指数を
変えて2種類の回折X線強度を測定し、更にX線管球の
波長及び/又はMg2 Zn11相の面指数を変えて2種類
の回折X線強度を測定し、前記関係式に従って4種類の
付着量を未知数とする連立方程式として演算することに
より、表層Zn層の付着量及びZn−Mg層中のMgの
付着量を算出する。
【0009】Zn,Mgを逐次又は同時に蒸着して形成
されたZn−Mg系めっき層、及び蒸着後に必要に応じ
て加熱拡散処理されたZn−Mg系めっき層は、図1に
(a)〜(c)として示す3種類の積層構造が一般的で
あり、MgZn2 を含むZn−Mg層1の上にZ層が形
成されている。ZnとMgとの間の拡散反応が進行する
と、たとえば図1(b)の層構成では図1(d)に示す
ように、Mg2 Zn11を含むZn−Mg層2が表層Zn
層とZn−Mg層1との間に形成される。Zn−Mg層
1とZn層が形成されている場合を例にとって説明す
る。一般に、X線回折法では、試料に選択配向があると
特定のピーク強度に強弱が現れる。そのため、定量分析
する場合、量のパラメータになる回折X線強度に選択配
向の影響が現れないように試料を調整する必要がある。
蒸着めっきでは、基板温度等の製造条件に応じためっき
層の結晶配向の変化がしばしば観察されることから、Z
n−Mg系めっき鋼板のめっき層の回折X線強度も製造
条件の影響を受けているものと考えることが妥当であ
る。
【0010】そこで、めっき付着量,Mg付着量及び表
層Zn層の付着量をほぼ統一し、種々の蒸着条件及び拡
散加熱条件下で製造した試料についてX線回折図形を比
較した。一例として、Zn,Mgの順に蒸着することに
より作成した表層Zn層が形成されていないZn−Mg
系めっき鋼板(図1c)について、蒸着時の鋼板温度が
異なる場合の代表的なX線回折図形を図2に示す。図2
にみられるように、めっき層に由来するZn,MgZn
2 及び下地鋼に由来するFeの回折ピークが観察され
る。Znは、蒸着時の鋼板温度の相違に応じて結晶配向
を大きく変化させていた。他方、MgZn2 は、結晶配
向の鋼板温度による変化が検出されず、JCPDSカー
ド(No.34−457)との比較において極めてラン
ダム配向に近い状態であると推察される。すなわち、Z
nとMgとの拡散反応により形成されるMgZn2
は、先に蒸着されたZnの結晶配向に拘らず、極めてラ
ンダム配向に近い状態にあることが判る。
【0011】したがって、MgZn2 相の回折X線強度
は、MgZn2 量の絶対量、ひいてはZn−Mg層1に
含まれているMg付着量の測定に使用できる可能性があ
る。また、Zn中にMgがほとんど固溶しないことか
ら、Zn−Mg層1に含まれるMg付着量は、めっき層
全体に含まれるMg付着量として扱える。このような前
提に立って、表層Zn層が形成されていない試料(図1
c)について、MgZn2 相の全ての回折ピークの回折
強度をMg付着量との関係で整理した。MgZn2 相の
回折ピークのうち、多くのものは、その回折X線強度が
Mg付着量に対して強い相関関係があり、単調に変化す
ることが判った。これは、前述したようにMgZn2
が極めてランダム配向に近い状態であることを裏付け
る。すなわち、波長λのX線管球を使用した場合のMg
Zn2 (hkl)の回折強度 は、測定誤差の範囲内ではMgの付着量WMgのみで整理
でき、次式(1)で表される。実際、CuX線管球を使
用して検出したMgZn2 (201)回折強度は、図3
に示すようにMg付着量との間に極めて相関性の高い関
係にあった。
【0012】他方、表層Zn層が形成されているZn−
Mg系めっき層(図1のa及びb)では、X線管球から
の入射X線及びMgZn2 相からの回折X線は、表層Z
n層で吸収される。このときの吸収量 は、表層Zn層の付着量をWZnとして次式(2)で表さ
れる。なお、式(2)において、μ(λ)は表層Zn層
に対する波長λのX線の質量吸収係数,αはX線の入射
角, はブラッグ角である。ただし、質量吸収係数μ(λ)と
しては、Zn中にMgがほとんど固溶しないことから純
Znに対する質量吸収係数を使用することができる。 すなわち、表層Zn層が形成された場合のMgZn2
の回折強度は、Mg付着量WMg及び表層Zn層の付着量
Znに依存しており、次式(3)で表される。
【0013】以上のことから、回折強度は、図4に模式
的に示すようにMg付着量の増加に応じて増加し、表層
Zn層の付着量の増加に応じて減少するものといえる。
すなわち、Mg付着量及び表層Zn層の付着量は、回折
強度の一つの測定値だけで一義的に決定することができ
ず、Mg付着量及び表層Zn層の付着量を満足する解曲
線が1本決定されたことに過ぎない。したがって、更に
一つの測定値からもう1本の解曲線を決定するとき、2
本の解曲線の交点としてMg付着量及び表層Zn層付着
量を決定できることが判る。たとえば、CuX線管球及
びCrX線管球を使用して測定すると、表層Zn層に由
来する吸収量に違いが生じ、2本の解曲線を決定でき
る。式(3)から明らかなようにX線管球の波長λ又は
MgZn2 相の結晶面指数(hkl)が異なると が異なるので、二つの独立した強度式が得られる。した
がって、2種類のX線管球を使用する他に次の方法によ
り、2本の解曲線、換言すれば二つの測定値を得ること
ができる。 (1)異なる波長のX線管球を使用し、同じ面指数の回
折強度を測定する方法 (2)同じ波長のX線管球を使用し、異なる面指数の回
折強度を測定する方法 (3)異なる波長のX線管球を使用し、異なる面指数の
回折強度を測定する方法
【0014】測定対象とするMgZn2 相の面指数,X
線管球,X線回折の光学系等については、特に制約され
るものではないが、測定精度を高める上から感度(図3
では曲線の傾き)の高い方が好ましい。このようにして
得られた二つの強度式をMg付着量WMg及び表層Zn層
付着量WZnを未知数とする連立方程式として扱い、演算
することによって、Mg付着量WMg及び表層Zn層付着
量WZnが求められる。なお、表層Zn層が形成されてい
ないZn−Mg系めっき鋼板(図1c)については、連
立方程式を解くことにより表層Zn層付着量=0を求め
ることができるが、連立方程式を解くまでもなく、図3
のような1本の検量線でMg付着量の測定が可能であ
る。Zn−Mg層1及びZn−Mg層2が共存している
めっき層でも、同様な方法によってMg付着量WMg及び
表層Zn層付着量WZnを測定できる。このときの未知数
は、最大の場合でZn−Mg層1に含まれているMg付
着量,その上下に成長したそれぞれのZn−Mg層2に
含まれている二つのMg付着量,表層Zn層の付着量の
合計4つである。したがって、4つの回折強度式を使用
することにより、Mg付着量及び表層Zn層の付着量が
求められる。
【0015】具体的には、MgZn2 相について2つ,
更にX線管球の波長及び/又はMg2 Zn11相の面指数
を変えてMg2 Zn11相に付いて二つの回折X線強度を
測定し、合計4つの測定値を得る。他方、これら4つの
付着量と回折X線強度との関係式を4つ用意しておき、
4つの付着量を4つの未知数とする連立方程式を立てて
演算することにより、それぞれの付着量が求められる。
Zn−Mg層1の上下何れか一方にZn−Mg層2が成
長しためっき層でも、同様な方法で測定できる。この場
合には、Zn−Mg層2に含まれるMg付着量の何れか
一方がゼロとなる演算結果が得られる。図1(c)の層
構造をもつめっき層について、Zn−Mg層1をZn−
Mg層2に置き換えたときのMg2 Zn11(410)回
折強度とMg付着量との関係を図5に示す。この場合に
も、回折強度は、Mg付着量のみで整理でき、次式
(4)で表される。
【0016】本発明では、以上に説明したようにX線回
折法を使用することにより、それぞれのZn−Mg層に
含まれているMg付着量及び表層Zn層の付着量が求め
られる。しかも、迅速,簡便なX線回折法を使用してい
るため、Zn−Mg系めっき鋼板の連続製造ラインにお
けるオンライン測定装置への適用も容易である。なお、
オンライン測定装置として使用する場合、X線回折にお
ける二つの基本光学系である集中ビーム光学系と平行ビ
ーム光学系のうち、バタツキ等のパスライン変動による
鋼板−検出器間の距離変動に起因した測定誤差を少なく
する上で平行ビーム光学系を使用することが好ましい。
【0017】
【実施例】被測定材料として、連続蒸着めっきラインの
パイロットプラントを用いて製造したZn−Mg系めっ
き鋼板を使用した。このZn−Mg系めっき鋼板は、脱
脂済の板厚0.7mm,板幅300mmの冷延鋼板にZ
n→Mg又はZn→Mg→Znの順で逐次蒸着した後、
必要に応じて加熱拡散処理を施すことにより製造した。
このとき、Zn,Mgの蒸着速度,通板速度及び加熱拡
散条件を調整することによって、Znめっきの付着量,
Mg付着量,表層Zn層の付着量を種々変化させた各種
Zn−Mg系めっき鋼板を用意した。各めっき鋼板から
X線回折強度測定用の試料をサンプリングし、ライン長
手方向の近傍から化学分析用の試料をサンプリングし
た。
【0018】X線回折強度測定では、X線管球にCr及
びCuを用いて、X線回折装置(理学電機株式会社製
RINT1200)を使用し、管電圧40kV,管電流
40mAの条件下で集中ビーム光学系によりX線回折を
行った。そして、MgZn2相(201)面(d〜0.
218nm)及びMg2 Zn11相(410)面(d〜
0.207nm)の回折X線強度を測定することにより
合計4つの測定値を得た。測定は、一定の回折角度2θ
ごとに一定時間の間、回折強度を測定するステップ・ス
キャン方式で行い、2θステップ間隔を0.02度,計
数時間をCr管球では10秒,Cu管球では1秒に設定
し、ピークトップ位置での回折X線強度を測定した。他
方、MgZn2 相について関数 を、Mg2 Zn11相について関数 を予め決定しておいた。そして、それぞれのZn−Mg
層1,2に含まれるMg付着量及び表層Zn層の付着量
を未知数とする連立方程式を解くことにより、Mg付着
量WMg及び表層Zn層の付着量WZnを算出した。
【0019】X線回折強度を測定した試料の断面を研磨
し、走査型電子顕微鏡でめっき層の断面構造を観察し
た。そして、表層Zn層の厚みを測定し、バルクZnの
密度(7.13g/cm3 )を乗じることによって付着
量を算出した。他方、化学分析用試料のめっき層をHC
l溶液に溶解し、溶液のICP発光分光分析法によって
めっき層に含まれているMg付着量を分析した。X線回
折法と化学分析法によりそれぞれ測定したMg付着量
(3つのZn−Mg層に含まれるMg付着量の合計)を
図6に比較し、X線回折法と断面観察法によりそれぞれ
測定した表層Zn層の付着量を図7に比較する。図6,
図7から明らかなように、X線回折法で測定したMg付
着量と化学分析法で測定したMg付着量、X線回折法で
測定した表層Zn層の付着量と断面観察法で測定した表
層Zn層の付着量とは、何れも高い相関関係を示してい
る。すなわち、本発明に従ったX線回折によるとき、M
g付着量及び表層Zn層の付着量が高精度で求められる
ことが確認された。なお、図7において表層Zn層の付
着量は、断面観察結果の方が大きめに測定されている。
これは、断面観察によって測定された表層Zn層の厚さ
にバルクZnの密度を一律に乗じた結果であり、蒸着め
っき法で形成されためっき層では結晶粒間にある隙間等
に起因して密度がバルクより小さくなっていることに原
因があるものと推察される。
【0020】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の測定法
においては、X線回折法を用いて二つ以上の回折強度を
測定し、予め作成しておいたMg付着量及び表層Zn層
の付着量と回折X線強度との二つ以上の関係式をMg付
着量及び表層Zn層の付着量を未知数とする連立方程式
とみなし、この連立方程式からMg付着量及び表層Zn
層の付着量を演算している。これにより、表層Zn層に
よる回折X線の吸収量が補正され、高精度でMg付着量
及び表層Zn層の付着量が求められる。この方法は、迅
速且つ簡便であることから、Zn−Mg系めっき鋼板の
連続製造ラインにオンライン測定装置として組み込むこ
とができ、蒸着条件,鋼帯温度条件等の操業管理に使用
され、目標とする複層構造をもつZn−Mg系めっき鋼
板の製造に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Zn−Mg系めっき鋼板のめっき層構造を示
す数例
【図2】 バッチ式蒸着装置を用いて蒸着めっきした図
1(c)の層構成をもつZn−Mg系めっき鋼板を作製
したとき、鋼板温度に応じて回折X線強度が異なること
を示したグラフ
【図3】 図1(c)の層構成をもつZn−Mg系めっ
き層について、CuX線管球を使用して測定したMgZ
2 (201)回折X線強度とMg付着量との関係を示
したグラフ
【図4】 MgZn2 相の回折X線強度とMg付着量及
び表層Zn層付着量との関係を示したグラフ
【図5】 MgZn2 をMg2 Zn11に置き換えたZn
−Mg系めっき鋼板に付いて、CuX線管球を使用して
測定したMg2 Zn11(410)回折X線強度とMg付
着量との関係を示したグラフ
【図6】 実施例において求められたMg付着量のX線
分析値が化学分析値に高い一致性をもっていることを示
すグラフ
【図7】 実施例において求められた表層Zn付着量の
X線分析値が化学分析値に高い一致性をもっていること
を示すグラフ
【手続補正書】
【提出日】平成8年1月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】具体的には、MgZn相について2つ,
更にX線管球の波長及び/又はMgZn11相の面指
数を変えてMgZn11相に付いて二つの回折X線強
度を測定し、合計4つの測定値を得る。他方、これら4
つの付着量と回折X線強度との関係式を4つ用意してお
き、4つの付着量を4つの未知数とする連立方程式を立
てて演算することにより、それぞれの付着量が求められ
る。Zn−Mg層1の上下何れか一方にZn−Mg層2
が成長しためっき層でも、同様な方法で測定できる。こ
の場合には、Zn−Mg層2に含まれるMg付着量の何
れか一方がゼロとなる演算結果が得られる。図1(c)
の層構造をもつめっき層について、Zn−Mg層1をZ
n−Mg層2に置き換えたときのMgZn11(41
0)回折強度とMg付着量との関係を図5に示す。この
場合にも、回折強度は、Mg付着量のみで整理でき、次
式(4)で表される。 Iλ,Mg2Zn11(hk1)=gλ,Mg2Zn11(hk1)(WMg ) ・・・・(4)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】X線回折強度測定では、X線管球にCr及
びCuを用いて、X線回折装置(理学電機株式会社製
RINT1200)を使用し、管電圧40kV,管電流
40mAの条件下で集中ビーム光学系によりX線回折を
行った。そして、MgZn相(201)面(d〜0.
218nm)及びMgZn11相(410)面(d〜
0.207nm)の回折X線強度を測定することにより
合計4つの測定値を得た。測定は、一定の回折角度2θ
ごとに一定時間の間、回折強度を測定するステップ・ス
キャン方式で行い、2θステップ間隔を0.02度,計
数時間をCr管球では10秒,Cu管球では1秒に設定
し、ピークトップ位置での回折X線強度を測定した。他
方、MgZn相について関数 fCrKa,MgZn2(201)(WMg),f
CuKa,MgZn2(201)(WMg) を、MgZn11相について関数 fCrKa,Mg2Zn11(410)(WMg),f
CuKa,Mg2Zn11(410)(WMg) を予め決定しておいた。そして、それぞれのZn−Mg
層1,2に含まれるMg付着量及び表層Zn層の付着量
を未知数とする連立方程式を解くことにより、Mg付着
量WMg及び表層Zn層の付着量WZnを算出した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表層Zn層及びMgZn2 を含むZn−
    Mg層の多層構造をもつZn−Mg系めっき鋼板のMg
    付着量及び表層Zn付着量を測定する際、Zn−Mg層
    に含まれているMgの付着量及び表層Zn層の付着量と
    回折X線強度との関係式を予め2種類作成し、X線管球
    の波長及び/又はMgZn2 相の面指数を変えて2種類
    の回折X線強度を測定し、前記関係式に従って2種類の
    付着量を未知数とする連立方程式として演算することに
    より、Mgの付着量と表層Zn層の付着量を算出するこ
    とを特徴とするZn−Mg系めっき鋼板のMg付着量及
    び表層Zn付着量の測定方法。
  2. 【請求項2】 表層Zn層とMgZn2 ,Mg2 Zn11
    を含むZn−Mg層の多層構造をもつZn−Mg系めっ
    き鋼板のMg付着量及び表層Zn付着量を測定する際、
    Zn−Mg層中に含まれるMg付着量及び表層Zn層の
    付着量と回折X線強度との関係式を予め4種類作成し、
    X線管球の波長及び/又はMgZn2相の面指数を変え
    て2種類の回折X線強度を測定し、更にX線管球の波長
    及び/又はMg2 Zn11相の面指数を変えて2種類の回
    折X線強度を測定し、前記関係式に従って4種類の付着
    量を未知数とする連立方程式として演算することによ
    り、表層Zn層の付着量及びZn−Mg層中のMgの付
    着量を算出することを特徴とするZn−Mg系めっき鋼
    板のMg付着量及び表層Zn付着量の測定方法。
JP7344968A 1995-12-06 1995-12-06 Zn−Mg系めっき鋼板のMg付着量及び表層Zn付着量の測定方法 Withdrawn JPH09159428A (ja)

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