JP2007501395A - 角度位置を固定したX線源及びX線検出器を使用するin−situX線回折システム - Google Patents

角度位置を固定したX線源及びX線検出器を使用するin−situX線回折システム Download PDF

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Abstract

in−situ状態で、試料の既知の特性を測定するX線回折技術に関する。その技術は、実質的に発散するX線放射を放射するためのX線源を使用するステップを含み、発散X線放射を受けるとともに、試料に向けて発散X線放射の発散経路を向け直すことによって、平行なX線放射のビームを発生させるために前記固定されたX線源に対して配置されたコリメーティング光学素子を備えている。第1のX線検出器が試料からの回折放射を収集する。X線源及びX線検出器は、その動作中、試料の既知の特性についてのアプリオリな情報に従って、互いの相対位置、及び試料に対する少なくとも1つのディメンションが固定されている。第2のX線検出器は、特に本発明の晶相モニタリングの実施形態において、試料の既知の特性についてのアプリオリな情報に従って、第1のX線検出器に対して固定することができる。

Description

本発明は、X線回折装置及びその方法に関する。より詳細には、測定される試料の特性に従って予め定められた軸に沿って整列された固定式のX線源及びX線検出器を用いたX線回折技術に関する。
<政府の権益>
本発明は、米国エネルギー省からX−Ray Optical System, Inc.に与えられた契約番号DE−FG02−99ER82918による政府の支援の下に行われたものである。同政府は、本発明において特定の権利を有する。
X線解析(X−ray analysis)技術は、20世紀の科学技術において最も著しく進歩したものの1つである。X線回折(X−ray diffraction)、分光法、撮像法、及びその他のX線解析技術を用いることによって、全ての科学分野に実際に膨大な情報(knowlege;知識)の増加をもたらした。
実際に行われている表面解析の分野の1つは、試料に向けて照射されたX線の回折に基づいている。回折された放射を検出することができ、結晶構造及び結晶相、ならびに表面組織を含む様々な物理的特性をアルゴリズム的(algorithmically)に決定することができる。これら測定結果は、半導体、薬品、特殊金属及び被膜材、建築材料、その他の結晶構造の製造を含めて、広く様々に適用されるプロセスモニタリング(process monitoring)に用いることができる。
従来、この測定及び解析プロセスでは、試料に対して複数の位置からのX線による回折情報を、研究所環境下で検出する必要があった。従来のX線回折システムは、大きく、高価で、信頼性の問題を生じがちであった。その大きさ、費用、及び性能が、その用途を、これらラインから離れた「研究所」への設置に限定している。
市場には、この技術をリアルタイムのプロセスモニタリングに適用し、リアルタイムのプロセス制御を可能にしようとする強い気運がある。多くの製造環境では、リアルタイムでプロセスモニタリング及びフィードバックを行えば、検査を受けるために試料を研究所に移送する必要がなくなる。リアルタイムでプロセスモニタリングを行えば、研究所の結果を待っている間に不満足な製品が製造され続けることなしに、即座に修正対策を取ることが可能になる。
これらのタイプのリアルタイム測定では、より小さな、より信頼できる装置を必要とし、周囲の製造環境に適合した試料処理及び励起/検出技術を必要とするなど、研究所への設置では起こることのない、ある種の実際的な問題が生じる。たとえば、試料サンプル(以下、「試料」という)は、移動経路中に装置を連続的に通過して行く場合もある。この技術は、試料の移動と移動経路の両方に適合しなければならない。
「バイパス」構成(この場合、試料を製造ラインから近くの測定所へ迂回することができる)では、綿密な試料の下準備は実際的ではない。この測定技術は、試料を「そのままの状態で(as is)」余計な準備をすることなく取り扱うべきである。
装置は、周囲の製造設備に影響を与えずに製造環境中に装備できるように十分に小さくなければならない。一般に、システムは、殆どの従来のX線回折システムより小さく簡単で、しかも同様な性能特性を有していなければならない。
しかし、そのような測定環境は、研究所環境には存在しないことも多い幾つかの利点も提供する。たとえば、通常、調査対象の試料の特定のタイプが、対象とする特定の試料特性(たとえば、晶相(phase)又は組織(texture))同様に、分かっている。移動経路もまた分かっており、試料サンプリング及び処理技法も分かっている。
米国特許第6,285,506号明細書 米国特許第6,317,483号明細書 米国特許仮出願弁理士整理番号0444−070(P)、2003年7月22日出願 米国特許第5,192,869号明細書 米国特許第5,175,755号明細書 米国特許第5,497,008号明細書 米国特許第5,745,547号明細書 米国特許第5,570,408号明細書 米国特許第5,604,353号明細書 米国特許仮出願第60/398,968号(2002年7月26日出願、PCT出願PCT/US02/38803として本出願) 米国特許仮出願第60/398,965号(2002年7月26日出願、PCT出願PCT/US02/38493として本出願)
したがって、必要とされるのは、X線回折測定の利点をリアルタイムの製造環境中で発揮できる技術、方法、及びシステムであり、それらは、リアルタイムの製造環境が必要とする条件を満たすことができ、また、これら環境に関連するアプリオリ(a−priori)な情報のある部分を利用することができるものである。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、測定される試料の特性に従って予め定められた軸に沿って整列された固定式のX線源及びX線検出器を用いたX線回折装置及びその方法を提供することにある。
本発明は、in−situ状態(本来の場所での)で試料の既知の特性を測定するためのX線回折技術(装置、方法、及びプログラムプロダクト)に関し、従来技術の欠点が克服され、新たな利点がもたらされる。その技術は、実質的に発散X線放射を放射するためのX線源を使用するステップを有し、発散X線放射を受けるとともに、試料に向けて発散X線放射の発散経路を向け直すことによって、実質的に平行なX線放射のビームを発生させるために固定されたX線源に対して配置されたコリメーティング光学素子を備えている。第1のX線検出器が試料からの回折放射を収集する。X線源及びX線検出器は、その動作中、試料の既知の特性についてのアプリオリな情報(知識)に従って、互いの相対位置、及び試料に対する少なくとも1つのディメンションが固定されている。第2のX線検出器は、特に本発明の晶相モニタリングの実施形態において、試料の既知の特性についてのアプリオリな情報に従って、第1の検出器に対して固定することができる。X線検出器によって回折放射が収集される角度を限定するために、角度フィルタを第1及び/又は第2のX線検出器に取り付けることができる。固定式のX線源/X線検出器の対を、本発明の組織測定の実施形態に用いることができる。
これら技術のin−situ能力を向上させるために、コリメーティングキャピラリ光学素子と共に、小型低パワー線源を用いることができる。
対象とする試料の特性に関するアプリオリな情報(知識)によって、X線源及びX線検出器を互いに、かつ試料に対して固定することができ、それにより、スキャンを行う必要がなくなることによってシステムの設計が簡単になる。
本発明の主題は、添付の特許請求の範囲に詳細に示され、明確に記述されている。本発明の上記及びその他の目的、特徴、及び長所は、添付図面と併せて下記の詳細な説明から明らかである。
本発明は、調査対象の試料及びその移動経路についてのある種の既知で、アプリオリな情報に従って所定位置に固定された検出部を有する、「in−situ」製造環境中のX線システムを対象とする。本明細書で用いられる用語「in−situ」は、試料が、製造実施下にあることも含めて、その本来の環境下にある場所で、それに適用することを意味する。例としては、製造ラインに直接結合され、実質的に予測可能な状態で製造ライン中に存在している(移動している可能性がある)材料を解析する「インライン(in−line)」システム、製造ラインに近接して結合されてはいるが、測定前に最低限の試料準備をして製造ラインから取り外された試料を解析する「アトライン(at−line)」システム、実質的に予測可能な状態で試料が存在する場所に携行することができる「オンサイト(on−site)」システムなどがあるが、研究所環境に固定された「オフライン(off−line)」は、一般に除外される。本明細書で用語「製造」は、製造設備中での試料の実際の製造又は変質を意味し、天然状態の試料(すなわち、鉱山において)をその最初の変質が起きる時点で調査することも含んでいる。
本発明の「in−situ」適用では、試料120は、本発明のX線回折システムを最適化するためのアプリオリな情報が演繹されるようなある特性を有することが、一般に前提である。たとえば、ある種の結晶構造情報が既知である場合には、異なる2シータ角度で異なる2つのX線検出器を使用すると結晶相のモニタリングが可能になる。これは、下記で、「鉄鋼相」の例に関して、より詳細に説明する。他の例として、結晶方向の情報が既知の場合、ファイ角度が異なる2対のX線源/X線検出器を使用すると、結晶方向の変化により、表面及び組織のモニタリングが可能になる。図1A及び図1Bに示した構成は、晶相モニタリングのための、単一のX線源110、及び2シータ角度が2θ及び2θで固定された2つのX線検出器を示している。これは、後述する「組織検知」の例で、より詳細に説明する。
<本発明の晶相モニタリングの実施形態>
図1A及び図1Bは、X線源110と、シャッタ112と、発散X線114と、コリメーティング光学素子116と、平行光線118と、試料120と、回折光線121/122と、第1の角度フィルタ124と、第2の角度フィルタ126と、X線検出器128と、X線検出器130と、剛性支持構造115及びコンピュータ132とを備え、本発明による晶相モニタリングX線回折(XRD)システム100の正面及び上面透視図を示している。
X線源110とコリメーティング光学素子116は、平行光線118の形でX線照射を行う。本発明による例示的線源/光学素子の組合せの具体的な詳細を、図6A乃至図6Cに関して以下に説明する。X線源110は、小さな点から発散X線114を発生し、その小さな点から発散X線114を等方放射する点源でもよいし、比較的大きな面積でX線を発生し、発散X線114をある角度範囲でX線源110の各位置から放射する大面積線源でもよい。発散X線114は、X線管からアノードの電子衝撃の結果放射され、Oxford 5011 電子衝撃X線源などのX線源から発散X線114を定常的に放射することができる。
コリメーティング光学素子116は、利用できる回折パターンを発生させるに十分な平行状態の光線を生成することができる装置である。この平行光線は、また、試料の垂直方向の変位の影響を受けにくく、これはin−situ環境で動作しているときの著しい利点である。コリメーティング光学素子116は、吸収板を、隙間を空けて配列したソラースリットコリメータでもよい。ただし、ソラースリットは遮蔽方式であり、したがって、本来的に非効率なので、大きなX線源が必要になり得る。ピンホールコリメータも可能であるが、これもまた非効率な技術である。
他のコリメーティング光学素子、すなわち、広い角度の発散X線を受光し、その発散光線を平行光線に向け直すコリメーティング光学素子が好ましい。そのような光学素子には、たとえば、湾曲クリスタル光学素子(たとえば、特許文献1及び特許文献2参照のこと。そのどちらもその全体が参照により本明細書に組み込まれる。)、多層光学素子や多重キャピラリ光学素子がある。
したがって、コリメーティング光学素子116は、多重キャピラリ光学素子でもよく、それは、細い中空管の束で、発散X線114の一部をかなりの立体角に亘って集め移送し、その結果、管路内側の全反射を介して、普通なら真っ直ぐな経路から光子の方向を変え、集めた発散X線114を試料120に向かう平行光線118に平行化する。これにより、小さな低パワーのX線源の使用が可能になる。さらに、本明細書のシステムに用いるために最適化された光学素子/X線源の組合せを、図6A乃至図6Cに関して以下に説明する。
システム100は、所望するとき、平行光線118を完全に遮蔽するために、シャッタ112をさらに備えることができる。
角度フィルタは、X線検出器128及び130によって検出される回折放射をより精密に制御できるようにする。第1の角度フィルタ124及び第2の角度フィルタ126は、多重キャピラリ光学素子でよく(図7に関する以下の説明参照)、その多重キャピラリ光学素子は、全反射の臨界角から外れる放射の入射を排除し、臨界角内の放射を、それぞれX線検出器128及び130へ効率的に伝送する。本発明の強化型の実施形態では、角度フィルタの分解能は、モニタする回折ピークのピーク幅に従って決定される。角度フィルタの角度分解能をピーク幅に相関させることによって、ピークから最大パワーが検出器に与えられ、ピーク以外の領域からのバックグラウンドノイズを最低限に抑える。あるいは、ソラースリットが、角度フィルタ124及び126を備えてもよい。これらフィルタの1及び2次元の変形形態を用いることもできる。
X線検出器128及び130は、回折光線121及び122(それぞれが、調査する試料の特性についてのアプリオリな情報に従って選択されたそれぞれの2シータ角度に沿う)それぞれによって生成される回折パターンを収集し、それらX線検出器に対する回折X線の入射角の変化に従って変化する出力信号を生成し、コンピュータ132と通信する要素である。X線検出器128及び130は、シンチレーションディテクタ、すなわち、タリウム原子が加えられたヨウ化ナトリウムなどの固体材料を含む領域に面した光電子増倍管からなるX線検出器でもよい。あるいは、X線検出器130は半導体検出器でもよい。これらのタイプの「点」検出器が好ましい。他のX線検出器も当業者には周知である。
開示されているin−situX線回折システムで使用されているX線検出器は、全体システムを小型に設計するために、通常、寸法が小さい必要があり、また、X線源のKa線(Ka radiation)を選定するために、ある適度な分解能(<1kev)を有する必要がある。高エネルギー分解能(この場合、検出器を液体窒素で冷却する必要があり得る)は、通常必要ない。X線検出器は、高い計数能力を必要とし、その結果、弱いこともある回折光線を検出できる高い感度を必要とする。試料位置の変位に対する許容差を大きくするために、捕捉面積が大きい(大きな角度フィルタと組み合わせて)ことが望ましい。
本発明は、小型で安価な「点検出器」を使用する。捕捉面積25mm、エネルギー分解能約200evのX線検出器(組織測定に用いる)を備えている。鉄鋼相のモニタリングには、捕捉面積12×25mm、エネルギー分解能約1000evのガス比例計数検出器を使用することができる。
剛性支持構造115は、X線源とX線検出器とを互いに固定した位置(測定が行われている間)に支持し、システム全体を、下に横たわっている試料及び120に対する測定位置に配置する。システムは、試料に対して固定されていてもよく、試料の上に浮いていてもよく、試料が、固定されたシステムの下を移動してもよい。晶相のモニタリングに関しては、システムは、試料に対して回転することができる。組織のモニタリングに関しては、回転角度(φ)は固定されねばならない。ただし一般に、正確な測定を確保するために、試料とシステムとの間の少なくとも1つのディメンションが固定されなければならない。このディメンションは、通常はシステムと試料との間の距離である。
コンピュータ132は、標準的な解析ソフトウェアパッケージを内蔵し得るデータ取得装置である。コンピュータは、回折パターンに対するX線検出器128及び130の、それぞれ2シータ角度位置での応答から得られる試料120についての情報を解析し、解釈し、表示する。
図1Bに示す上面図は、X線源110と、X線検出器128及び同じファイ角度、φに沿って平行に整列したX線検出器130を示している。ただし、X線検出器は、シータ方向、ファイ方向(図2A及び図2Bに関して以下に説明する)、キー(chi)方向(すなわち、X線源/X線検出器の対によって形成される面)、又はこれらを組み合わせた方向に互いにずれることもあり得る。
作動では、X線システム100は、試料120のたとえば晶相の検出又はモニタリング、及び量的解析などが可能なin−situシステムを提供する。X線回折システム100は、移動している媒体(たとえば、試料120にコーティングを施した後に製造環境中を移動している亜鉛めっき鋼−以下の説明を参照)のin−situ晶相解析に特に適している。低パワーX線源110が発散X線114を放射し、そのX線はコリメーティング光学素子116によって平行化されて平行光線118になる。X線の平行光線118は、試料120に衝突し、試料120の結晶相によってブラッグの法則(nλ=2d sinθ、ただし、dは結晶相内の原子面間距離、nは整数、θは入射角、λは入射X線の波長)に従い回折し、それにより回折光線121及び122を生成する。回折光線中のX線の強度が、回折角度2θの関数として計測される。この例では、この回折パターンは試料120の結晶相及びその他の構造特性を同定し、モニタするのに用いることができる。
特定の晶相の回折角度が分かっている場合、回折パターン検出装置は、位置を固定して配置することができる。たとえば、角度フィルタ124及び126をそれぞれ有する2つのX線検出器128及び130は、本発明では、2つの異なる回折角度2θ及び2θそれぞれからのデータを取得するために備えられている。X線検出器130は、第2の角度フィルタ126によって導かれた角度2θからの所定のエネルギー窓内のX線放射強度を測定する。これにより、回折ピークがないと想定される領域からの「バックグラウンド」情報が得られ、他方、X線検出器128は、第1の角度フィルタ124によって導かれた、所望の晶相の回折ピークが現れると期待される領域、2θからの所定のエネルギー窓内のX線放射強度を測定する。アルゴリズムが実行され、X線検出器128及び130からコンピュータ132に入力された信号から比が得られ、所与の晶相の量が求められる。所与の晶相が存在しない場合、X線検出器128が受光した、対象とする領域の角度2θの回折光線122に関する計数が、X船検出器130が計測したバックグラウンドの計数と同様になり、1対1の比を得る。所与の晶相の量が増加すると、この比が1より大きくなり、その晶相が試料120中に存在する比率を正確に求めることができる。
本発明は、亜鉛めっき処理を受けた鋼材中の望ましくない晶相変化などの単一の材料晶相を調査する必要があり、その回折ピークの角度位置がかなりの程度正確に分かっている場合の用途に特に有用である。スキャン式、可動式いずれの検出器でもなく2つの固定式のX線検出器128及び130(任意選択の角度フィルタ124及び126を有する)を用いることによって、X線回折システムの検出器アセンブリの規模及び複雑さが大幅に低減する。これが、in−situで使用するために特に重要であるコストの削減及び信頼性の向上を共にもたらす。
コリメーティング光学素子116を備えることによって、低パワーX線源110を用いても、即座にフィードバックすることができる時間枠内で所望の測定を完了するのに十分な強度の平行光線118を生成する。結晶解析に使用する従来のX線回折システムでは、試料をスキャンすると共に、丹念な研磨及び試料の下準備を行う必要がしばしば生じる、Bragg−Brentanoと呼ばれる焦点方式が用いられる。本発明で用いる平行光線118は、試料の大掛かりな下準備、及び作動中のスキャンの必要性をなくす。スキャンカーブの形状を求め、検出器の最終的な角度位置を求めるために、スキャンを1度行う場合はある。その後、動作中は、スキャンを行う必要はない。さらに、動作中に試料をスキャンする必要がないと、複雑な試料制御システムが必要なくなることによって、インラインプロセス制御に使用することができる信頼性の高い小型のX線回折システム100が実現可能になる。コリメーティング光学素子116として高効率の多重キャピラリ又は湾曲光学素子を用いることによって、高強度の光線(短い計測時間)と、小型、低コスト、低パワーのX線源とが共に実現できることに留意されたい。
この好ましい実施形態では2つの固定式のX線検出器(1つはピーク位置、1つはバックグラウンド位置)を使用するが、他のX線検出器の構成も可能である。X線検出器を1つだけ回折ピーク位置に配置することができる(ピーク位置及びバックグラウンドノイズのレベルがある程度の精度で予測できることが前提である)。3個以上のX線検出器を回折周囲の複数位置に用いることができ、たとえば、バックグラウンドに2個、ピークの両側に沿って2個、ピークに1個、合計5個である(以下の図8に関する説明参照)。
図2A及び図2Bは、固定式のX線検出器の角度位置が、2シータ角度は同じであるが、ファイ方向には異なっている、図1A及び図1Bのものと同様なX線回折システムを示す図である。図2A及び図2Bは、X線源210と、シャッタ212と、発散X線214と、コリメーティング光学素子216と、平行光線218と、試料220と、回折光線221/222と、第1の角度フィルタ224(全体が見えない)と、第2の角度フィルタ226と、X線検出器228と、X線検出器230と、剛性支持構造215及びコンピュータ232を備える本発明によるX線回折(XRD)システム200を示している。
これらの構成要素は、図1A及び図1Bに関して以下に説明したものと同様でよく、単に角度位置を変えて配置しただけである。両X線検出器の位置は、使用目的、ならびに想定する使用目的についてアプリオリに分かっている情報のタイプ及び質に応じて、2シータ位置(図1A及び図1B)に沿って移動させ、ファイ位置(図2A及び図2B)に沿って移動させ、又は両方向の組合せ(図示せず)に沿って移動させることができる。
<鉄鋼相のモニタリングへの適用>
本発明を使用する一例として、製造下の鋼板のリアルタイムin−situ解析がある。溶融亜鉛めっき焼鈍鋼は、耐腐食性、塗装性、燐酸処理性、及び溶接性に優れ、したがって、これら特性をもつこの鋼材は自動車産業で極めて必要性が高い。引抜加工性及び耐パウダリング性などの優れたプレス成形性を有する亜鉛めっき焼鈍鋼板を製造するためには、亜鉛めっき焼鈍被膜のミクロ構造を制御することが重要である。被膜の特性は、溶融めっき処理及びめっき焼鈍中に鋼材基板上に形成される被膜層の組成及びミクロ構造による影響を大きく受ける。
溶融亜鉛めっき処理において、アルミニウムで修正された亜鉛浴槽が使用される。そのZn浴槽では、最初に、鋼材基板と亜鉛被膜との間にFe−Al−Zn反応が生じ、それがZn−Fe反応を妨害する。このステップは抑制(inhibition)と呼ばれる。Zn−Fe反応を開始するためには、その中間層を取り除く必要がある。中間層の厚さはZn浴槽中のアルミニウム含有量が多いほど厚くなる。先ず、Fe−Zn合金反応は、金属間ζ相の形成中に起こり、柱状ζ結晶が薄いFe−Al上に成長する。引き続くZn−Al反応中に、ζ相及び多角形結晶形態の別の金属間δ相の局部的形成が鋼材基板の表面上に始まり、次いで中間層全体に亘って広がる。最初の固体/液体反応ステップ(固体の鉄、Zn−Fe相、及び液体のZn)の後、引き続いて固体状態の反応が起き、ζ相がδ相に移行し、Γ相が成長する。Zn−Fe層の品質は、主に数個のパラメータによって影響を受ける。すなわち、鋼材基板、イオン含有量、及び被膜中のZn−Fe相の最適な分布である。その2つ目以降の2個のパラメータは、主として、めっき焼鈍炉中の温度と保持時間、Zn浴槽中のAl含有量、鋼材の成分、及び鋼材の表面状態によって決定付けられる。
適切に製造されなかった場合は、亜鉛めっき焼鈍鋼は、鋼材基板と亜鉛めっき焼鈍表面被膜との間のΓ相の形成によって、パウダリング又は剥離をおこすことがある。これは、鋼材表面から被膜が欠損する原因になり、それは、成形作業中に発生する。自動車産業の成形工程は、鋼材のグレードに対して高い基準を設けている。表面層での晶相の形成過程は複雑な過程であり、良好なグレードの鉄鋼を高い歩留まりで製造するのは、難しいことになり得る。それぞれの製鋼所は、その製品を出荷前に保証する必要がある。したがって、晶相を同定しモニタすることが可能なインラインモニタリングシステムは、連続鋼板亜鉛めっきラインに大いに利益をもたらすであろう。さらに、回折システムによる準量的解析が、亜鉛めっき鋼板を巻き上げているときに、形成傾向についての殆どリアルタイムの結果を与える。
被膜中の晶相の組成、又は鉄、亜鉛成分それぞれの量は、亜鉛めっき焼鈍鋼の極めて重要な要素であり、被膜の剥離に直接関係する。これが、被膜の合金化の程度と溶融亜鉛めっき焼鈍鋼板のプレス成形性との間に密接な関係を生じさせる。被膜の表面に厚いζ相が残ったときは、被膜の合金化の程度が低いことを示す。被膜表面の動摩擦が増加して、引抜性が不足し、鋼板に割れが生じることになる。逆に、合金化の程度が向上し、Γ相の厚さが増加すると、パウダリング現象が顕著になる。優れたプレス成形性を有する溶融亜鉛めっき焼鈍鋼板を製造するためには、残留ζ相及びΓ相を減らすように合金化の程度を制御しなければならない。
図1A,図1B及び図2A、図2Bのin−situ固定式のX線検出器システムを用いると、対象とする特定の晶相についてのアプリオリな知識、及び試料の位置に従ってX線源及びX線検知器を固定することにより、それらタイプの晶相が、リアルタイムにモニタできるようになる。
<本発明の組織検知実施形態>
図3A及び図3Bは、in−situ組織測定用に最適化された本発明の実施形態の概略等角正面図及び上面図である。この場合、X線源とX線検出器の対310/330及び311/328は、全体的にファイ円に沿い、試料320に対して所与のキー角度のそれぞれの位置に固定されている。
組織解析では、多結晶集合体中のクリスタリットの方位配列を求める。通常必要とされるのは、クリスタリットの方位分布全体を求めることである。このためには、通常、試料のキー及びファイの角度方向を体系的に変化させて、回折データを収集し、極点図を作成する必要がある。極点図は、キー及びファイ角度を様々に設定して特定の面(たとえば[111]面)の回折強度を測定することによって得られる。極点図は、対象とする晶相(この場合はアプリオリに分かっている)に関する回折パターンによって形成される強め合う干渉をうまく表示する。干渉ピークと呼ばれる各強め合う干渉点が、一定の2シータ角度を有する特定の円(ファイ角度を変化させる)上の特定の位置に生じ、異なる回折面は、異なる2シータ角度で回折ピークを生じる。全ての結晶粒が完全に互いに整列している理想的な場合は、回折ピークは複数の点として現れる。全ての結晶粒が、互いに不規則な向きをもつ最悪な場合は、回折ピークは、2θ角度一定の曲線に沿った連続した円として現れる。かなりの程度の結晶粒の面内不整列が薄膜内にある通常の場合には、回折ピークは複数の長く延びた点として現れる。
本発明によれば、固定式のX線源及びX線検出器を用いて、試料をキー又はファイ方向に回転することなく、この組織測定を行う。図3A及び図Bでは、X線源とX線検出器の対310/330は向かい合うファイ角度φ及びφで固定され、X線源とX線検出器の対311/328は、向かい合うファイ角度φ及びφで固定されている。
この構成は、晶相モニタ実施形態の図1A,図1B及び図2A、図2Bに多少類似しており、また、同じ構成要素(光線平行化素子、角度フィルタ)を用いてもよいが、この場合は、各X線検出器に対してX線源があり、それぞれの位置はファイ方向に沿って固定されている。ただし、それらはまた、キー及びシータ方向に沿っても固定され得る。
この構成の用途の1つとして、超伝導体テープの組織検知を行うことができ、その場合、回折ピークの位置はアプリオリに分かっており、X線源/X線検出器の対は、対象とする特定の組織の測定を行うのに必須な領域に固定されている。この適用については、共に譲渡された特許仮出願(特許文献3参照)に、より詳しく説明されており、その全体を参考により本明細書に組み込む。その出願では、組織測定値の連続曲線を求めるためにスキャンが提案されている。この場合、ピークの位置が妥当なある程度の精度で分かっていることを前提として、固定式のX線源/X線検出器の対、たとえばピークに対応する方向に1対、バックグラウンドにもう1対を、同様な測定を行うのに用いることができる。
<in−situ例>
上述した説明したように、本発明は、試料が天然状態にある、又は製造ラインに沿った製造状態にあるような特定のin−situ環境に対して特に適用性を有する。
図4は、製造ラインに直接結合されたin−situシステム400の「インライン」バージョンを示す図で、そのバージョンは、実質的に予測可能な状態(特に、上述したシータ、ファイ、及びキー角度に関し)で製造ライン中に存在(移動している可能性がある)している材料420の領域421を解析する。このタイプの環境は、上記で説明した鋼材の例に適用でき、その場合、製造中の鋼板が、移動経路430に沿って移動しており、また、上述したした組織測定の例に適用でき、その場合、超伝導テープが、in−situシステムを通過して移動する。システムは、並進速度とサンプリング継続時間の関数として、材料のある領域を介して回折データを収集することができるが、材料をとびとびの点で止めて各点で測定を行うこともできる。ただし、連続した移動中に、材料の或る領域に沿って連続的にデータをサンプリングすることが、工程のためには望ましい場合がある。
図5は、製造ラインに近接(「at」)した、in−situXRDシステム500の「アトライン」バージョンを示す図で、そのバージョンは、実質的に予測可能な状態(特に、上述したシータ、ファイ、及びキー角度に関し)で製造ライン中に存在(移動している可能性がある)している材料510の試料520を解析する。最小限の試料処理及び下準備が実施され(530)、試料は実質的に製造ライン中にあるまま、システム500による測定下に来る。
他の「in−situ」環境が、本発明によって考えられる。たとえば、試料が実質的に予測可能な状態にある現場(たとえば、試料の或る特性が関心事である鉱山や、或る既知の材料が探索されている科学捜査の現場)に携行することができる「オンサイト」システムである。
<低パワー線源/コリメーティング光学素子の組合せ例>
上述したように、in−situ解析能力を提供することができる可能性は、その環境における環境要件及び携行性要件を受容することができるX線源/X線検出器技術に大きく依存している。それに関しては、先に開示され、本発明の譲受人に譲渡された或る線源及び光学素子技術を、図6A乃至図6Cに関して以下で説明するように、in−situ環境での使用のために最適化することができる。
次に、図6Aを参照すると、通常の小型電子衝撃X線源600の基本的な要素が示されている。電子銃/フィラメント610が、電子612が熱的に放射されるような温度に加熱(電圧を加えることによって)される。これら放射された電子は、電位差によってターゲット材で覆われたアノード614へ加速され、そこでスポットサイズ618と呼ばれるアノードの所与の表面面積内に衝突する。加速された電子とターゲットの原子との衝突の結果、発散X線620がアノードから放射される。スポットサイズを制御するために、電磁焦点手段622を、フィラメント610とアノード614との間に配置することもできる。スポットサイズ2ミクロン以下のX線源が市販されている。ただし、スポットサイズが減少すると、X線の発生量も減少する。
図6Bを参照すると、高強度小直径のX線ビームを発生するためには、小スポットのX線源600と、それが連携する一体の多重キャピラリコリメーティング光学素子644との両方が必要である。この2つの構成要素は、通常、焦点距離として知られる距離fだけ離れている。光学素子644は、一体に融着され、X線源600から発射される発散X線放射620が効率的に捕捉できる構成に形作られた複数の中空ガラスキャピラリ648を備える。この例では、捕捉されたX線は、この光学素子によって実質的に平行なビーム650の形に整えられる。光学素子入力端654に位置するチャネル開口652は、大雑把にX線源に向けられている。個々のチャネルそれぞれを実質的に線源に向けることができることが、幾つかの理由で著しく重要である。すなわち、1)それにより、光学素子の入力部直径を十分に小さくすることが可能になり、ひいては、光学素子の出力部直径を小さくすることを可能にし、また、2)光学素子から線源への焦点距離が短い場合にX線の効率的な捕捉を可能にする。光学素子入力端654での個々のチャネル開口652の直径は、光学素子出力端656でのチャネル直径より小さくなり得る。
このタイプの光学素子は、普通ならX線源から出力部への発散するX線を平行ビーム650に向きを変える。これにより、最大の効率が確保されるだけではなく、上述したX線回折システムで調査中の試料の変位をある程度許容する。
図6Cは、本発明の回折システムに特に適合するX線源/光学素子アセンブリの一実施形態の側面断面図である。X線源/光学素子アセンブリは、図6A及び図6Cに関して上述したものと同様な、X線源600’及び出力光学素子644’を備えている。光学素子644’は、真空X線管2105のX線伝播窓2107と整列されている。X線管2105には、高電圧アノード2125に対向する電子銃/フィラメント2115が収納されている。電圧が印加されると、電子銃2115は、電子流2120の形で電子を放射する(上述したとおり)。HVアノード2125は、電子流が衝突してX線放射2130を発生する線源スポットに関するターゲットとして働き、X線放射2130は窓2107を通って伝播し、光学素子644’によって収集される。
アノード2125は、誘電体ディスク2160を介して基礎板1265’から電気的に絶縁されている伝導体板2155を備える基部アセンブリに物理的かつ電気的に連結されてもよい。高電圧リード2170を伝導体板2155に接続して、アノード2125に所望のパワーレベルを供給する。電子銃2115と、アノード2125と、基部アセンブリ2150及び高電圧リード2170は、全体が筐体2710内に収まる封入剤2175で覆うことができる(ただし、誘電体ディスク2160は、アセンブリから余分な熱を取り去るように働き、ある実施形態では、特別な冷却封入剤を必要としない。)。筐体2710は、X線管2105のX線伝播窓2107に整列する開口2712を備えている。動作中、X線放射2130は光学素子644’によって収集され、この例では、実質的に平行なビーム650に向きを変えられる。
制御システムもまた、X線源アセンブリ600’内に実装することができる。この制御システムは、たとえば、筐体2710内に組み込まれているところが示されているプロセッサ2715、ならびにプロセッサ2715に結合された1つ又は複数のセンサ及び1つ又は複数のアクチュエータ(センサ/アクチュエータ2720及びアクチュエータ2730など)を備えている。X線源アセンブリ600’内のこの制御システムは、光学素子644’に対するX線2130の整列性を維持するために、たとえば、アノードのパワーレベルの変化に伴うHVアノード2125及び基部アセンブリ2150の熱膨張を補償する機能を備えている。これにより、X線源アセンブリ600’は、アノード作動レベルの範囲内で、スポットサイズを安定した強度に維持することができる。
この平行ビームの生成と伝播は、共に譲渡された、米国特許(特許文献4〜9参照)、及び米国特許仮出願(特許文献10、11参照)に開示されているような多重キャピラリコリメーティング光学素子及び光学素子/線源の組合せによる影響を受け得る。全てのこれら特許及び仮出願は、参考により全体として本明細書に組み込まれる。
<角度フィルタ技術>
図7は、多数の小さなガラスキャピラリから製作された、本発明に役立つ典型的な多重キャピラリ角度フィルタ700を示す図である。ガラス中のX線の屈折率は、1より僅かに小さいので、X線702が、滑らかなガラス表面に小さな入射角で入射するとき、全反射が起きる。全反射の臨界角は、X線エネルギーに反比例し、30keVのX線に対しては約1ミリラジアン(約0.05度)である。臨界角より小さな角度で入射したX線は、その後、中空のガラスキャピラリを通って伝播704することができる。
X線検出器に到達する臨界エネルギーの角度を制限することによって、好ましくない角度への分散を制御することができ、したがって、エネルギーが検出される試料の領域を制御することができる。上述したように、対象とするピーク幅に従って角度フィルタの臨界角及びその他の設計パラメータを管理することは、ピークから最大のエネルギーが確実に収集できるようにし、また、ピークを外れた領域から受け取るノイズの量を制限するために、本発明にとって有用である。角度フィルタは、試料の対象とする領域に向けられるべきである。
ソラースリット、多重チャネル板などを含む、他のタイプの角度フィルタもあり得る。1又は2次元の代替形態も用いることができる。
<スキャン曲線及び固定式のX線源/X線検出器位置の導出>
図8は、代表的対象試料に対して、線源及び検出器を2シータ方向にスキャンして導出(たとえば研究室で)した回折曲線の例を示す図である。2シータ位置が示されているが、一般に、回折解析を実施することによって同様な曲線が導き出され、そこから固定式のX線検出器の位置を導き出すことができる。この曲線を導出した上で、本発明に従えば、固定式のX線源及び/又はX線検出器は、図に示した、角度位置800、810、及び820に配置することができる。原理的には、ピーク800位置にただ1つの「ピーク」検出器だけを必要とすればよいが、しかし、曲線中の他の点(たとえば、最大値の半分の高さの全幅位置810)及び/又はバックグラウンド位置820にも検出器を配置することができれば、より信頼性の高い結果が得られる。本発明の好ましい一実施形態では、ピーク検出器は1つだけ使用され、バックグランド検出器も、ピークの回折角度の近くに(全体的に同じタイプの回折状態が収集されていることを保障するため)、しかし、ピークとノイズとの区別がつく測定を確保するのに十分なだけノイズ領域に入って、1つだけ使用され、それによって、ピークの大きさの正確な測定値を得る。しかし、X線検出器を3個使用することもでき(ピーク、ピークの半分、及びノイズ)、また、5個のX線検出器(ピーク、ピークの半分の両側、及び両側のノイズ)、より多くのX線検出器、あるいは、X線検出器又はX線源/X線検出器のいかなる所望の組合せも使用することができる。
本発明は、また、上述したようにX線検出器を固定位置で使用して、リアルタイムに回折ピークの様子を収集することによって、in−situ歪及び応力測定などの他の用途に使用することができる。高精度の測定用の高品質のデータを得るために、上述したX線検出器について、線形検出器又はエリア検出器までをも用いることができる。
本発明のプロセス部分は、たとえば、コンピュータが使用可能な媒体をもつ製品に含めることができる(たとえば、1つ又は複数のコンピュータプログラムプロダクト)。媒体はその中に、たとえば、本発明の能力を実現し容易に発揮するためのコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段を組み込んでいる。その製品は、コンピュータシステムの一部として含めることもできるし、別途販売することもできる。
さらに、機械によって読取ることができる少なくとも1つのプログラム記憶装置を提供することができ、その記憶装置には、本発明の能力を発揮するためにその機械によって実行可能な少なくとも1つの指令プログラムが組み込まれている。
本明細書に示された流れ図は、単なる例である。これら図又はそれに記載されたステップ(又は作動)に対して、本発明の精神から逸脱することなく多数の変形形態があり得る。たとえば、ステップを異なる順序で実施し、あるいは、ステップを付け加え、省略し、又は変更することができる。これらの変形形態の全ては、特許請求された本発明の一部とみなされる。
本明細書に、好ましい実施形態を詳細に示し、記載してきたが、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更、追加、削除などを行うことができ、したがって、それらは、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲内にあるものとみなされることは当業者にとって明らかであろう。
本発明による、晶相をモニタする、1つのX線源及び2つの異なる「2θ」方向位置に固定された2つのX線検出器を有するX線回折システムの正面透視図である。 本発明による、晶相をモニタする、1つのX線源及び2つの異なる「2θ」方向位置に固定された2つのX線検出器を有するX線回折システムの上面透視図である。 本発明の他の実施態様による、他のモニタを行う、1つのX線源及び2つの異なる「φ」方向位置に固定された2つのX線検出器を有するX線回折システムの透視図である。 本発明の他の実施態様による、他のモニタを行う、1つのX線源及び2つの異なる「φ」方向位置に固定された2つのX線検出器を有するX線回折システムの上面図である。 本発明の他の実施態様による、組織測定を行う、2つの異なる「φ」方向位置に固定された2つのX線源及び2つのX線検出器を有するX線回折システムの正面等角図である。 本発明の他の実施態様による、組織測定を行う、2つの異なる「φ」方向位置に固定された2つのX線源及び2つのX線検出器を有するX線回折システムの上面等角図である。 製造状態で移動する試料をモニタする、固定式のX線検出器を有するin−situX線回折システムを示す図である。 製造迂回経路中の試料を計測する、固定式のX線検出器を有するin−situX線回折システムを示す図である。 本発明のX線回折システム用に最適化された電子衝撃X線源の図である。 本発明のX線回折システム用に最適化された多重キャピラリコリメーティング光学素子の図である。 本発明のX線回折システム用に最適化されたX線源/光学素子の組合せの図である。 本発明の他の実施態様による、固定式のX線検出器と組み合わせて使用される角度フィルタの図である。 本発明による、典型的な「2θ」角度によるスキャン曲線、及び固定式のX線検出器の候補方向を示す図である。

Claims (22)

  1. 試料サンプルの既知の特性をin−situ状態で測定するためのX線回折装置であって、
    実質的に発散X線放射を発するためのX線源と、
    前記発散X線放射を受けるとともに、前記試料サンプルに向けて前記発散X線放射の発散経路を向け直すことによって、実質的に平行なX線放射のビームを発生させるために前記固定されたX線源に対して配置されたコリメーティング光学素子と、
    前記試料サンプルから回折された放射を収集するための第1のX線検出器と
    を備え、前記X線源及び前記第1のX線検出器が、動作中に、前記試料サンプルの既知の特性についてのアプリオリな情報に従って、互いの相対位置及び前記試料サンプルに対する少なくとも1つのディメンションが固定されていることを特徴とするX線回折装置。
  2. 前記試料サンプルの既知の特性についての前記アプリオリな情報に従って、前記第1のX線検出器に対して固定された第2のX線検出器をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のX線回折装置。
  3. 前記第1及び第2のX線検出器によって前記回折放射が収集される角度を限定するために、前記第1及び/又は第2のX線検出器に取り付けられた少なくとも1つの角度フィルタをさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載のX線回折装置。
  4. 前記第1のX線検出器は、前記アプリオリな情報に従って決定された、回折ピークを測定できる位置に固定されていることを特徴とする請求項2に記載のX線回折装置。
  5. 前記第2のX線検出器は、前記アプリオリな情報に従って決定された、回折ピークから外れたところを測定できる位置に固定されていることを特徴とする請求項4に記載のX線回折装置。
  6. 前記第2のX線検出器は、回折ピークから外れた実質的にノイズを測定できる位置に固定されていることを特徴とする請求項5に記載のX線回折装置。
  7. 前記試料サンプルをさらに備え、該試料サンプルは晶相をモニタする必要があり、該晶相をモニタするようになされていることを特徴とする請求項2に記載のX線回折装置。
  8. 前記試料サンプルは、製造ライン中にあり、前記X線源及び前記X線検出器を通過して移動することを特徴とする請求項7に記載のX線回折装置。
  9. 前記第2のX線検出器に対して固定された第2のX線源をさらに備え、前記第1のX線源と前記第1のX線検出器とが対として機能し、前記第2のX線源と前記第2のX線検出器とが対として機能することを特徴とする請求項2に記載のX線回折装置。
  10. 前記試料サンプルをさらに備え、該試料サンプルは、組織をモニタする必要があり、該組織をモニタするようになされていることを特徴とする請求項9に記載のX線回折装置。
  11. 前記試料サンプルが製造ライン中にあり、前記X線源及び前記X線検出器を通過して移動することを特徴とする請求項10に記載のX線回折装置。
  12. 試料サンプルの既知の特性をin−situ状態で測定するためのX線回折方法であって、
    X線源によって、実質的に発散X線放射を発するステップと、
    コリメーティング光学素子によって、前記発散X線放射を受けるとともに、前記試料サンプルに向けて前記発散X線放射の発散経路を向け直すことによって、実質的に平行なX線放射のビームを発生するステップと、
    第1のX線検出器によって、試料サンプルから回折した放射を収集するステップと
    を有し、
    前記X線源及び前記第1のX線検出器は、動作中、前記試料サンプルの既知の特性についてのアプリオリな情報に従って、互いの相対位置及び前記試料サンプルに対する少なくとも1つのディメンションが固定されていることを特徴とするX線回折方法。
  13. 前記試料サンプルの既知の特性についての前記アプリオリな情報に従って、前記第1のX線検出器に対して固定された第2のX線検出器によって、前記試料サンプルから回折する放射を収集するステップをさらに有することを特徴とする請求項12に記載のX線回折方法。
  14. 前記第1及び第2のX線検出器によって前記回折放射が収集される角度を限定するために、前記第1及び/又は第2のX線検出器に取り付けられた少なくとも1つの角度フィルタを使用するステップをさらに有することを特徴とする請求項13に記載のX線回折方法。
  15. 前記第1のX線検出器は、前記アプリオリな情報に従って決定された、回折ピークを測定できる位置に固定されることを特徴とする請求項13に記載のX線回折方法。
  16. 前記第2のX線検出器は、前記アプリオリな情報に従って決定された、回折ピークから外れたところを測定できる位置に固定されることを特徴とする請求項15に記載のX線回折方法。
  17. 前記第2のX線検出器は、回折ピークから外れた実質的にノイズを測定できる位置に固定されることを特徴とする請求項16に記載のX線回折方法。
  18. 前記試料サンプルは、晶相をモニタする必要があり、該晶相をモニタするステップをさらに有することを特徴とする請求項13に記載のX線回折方法。
  19. 前記試料サンプルを、前記X線源及び前記X線検出器を通過して、製造ライン中を移動させるステップをさらに有することを特徴とする請求項18に記載のX線回折方法。
  20. 前記第2のX線検出器に対して固定された第2のX線源によって、実質的にX線放射を放射するステップをさらに有し、前記第1のX線源と前記第1のX線検出器とが対として機能し、前記第2のX線源と前記第2のX線検出器とが対として機能することを特徴とする請求項13に記載のX線回折方法。
  21. 前記試料サンプルは、組織をモニタする必要があり、該組織をモニタするステップをさらに有することを特徴とする請求項20に記載のX線回折方法。
  22. 前記試料サンプルを、前記X線源及び前記X線検出器を通過して、製造ライン中を移動させるステップをさらに有することを特徴とする請求項21に記載のX線回折方法。
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