JPH09324018A - アクリル系重合体、その製造方法、生分解性ビルダー、洗剤組成物及び分散剤 - Google Patents

アクリル系重合体、その製造方法、生分解性ビルダー、洗剤組成物及び分散剤

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JPH09324018A
JPH09324018A JP8201949A JP20194996A JPH09324018A JP H09324018 A JPH09324018 A JP H09324018A JP 8201949 A JP8201949 A JP 8201949A JP 20194996 A JP20194996 A JP 20194996A JP H09324018 A JPH09324018 A JP H09324018A
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acrylic polymer
polymer
acrylic
acid
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JP8201949A
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Shigeru Matsuo
松尾  茂
Seiji Takahashi
誠二 高橋
Shinji Ito
真治 伊藤
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11DDETERGENT COMPOSITIONS; USE OF SINGLE SUBSTANCES AS DETERGENTS; SOAP OR SOAP-MAKING; RESIN SOAPS; RECOVERY OF GLYCEROL
    • C11D3/00Other compounding ingredients of detergent compositions covered in group C11D1/00
    • C11D3/16Organic compounds
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    • C11D3/3746Macromolecular compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • C11D3/3757(Co)polymerised carboxylic acids, -anhydrides, -esters in solid and liquid compositions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/38Polymerisation using regulators, e.g. chain terminating agents, e.g. telomerisation
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F20/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride, ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F20/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms, Derivatives thereof
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    • C08F20/12Esters of monohydric alcohols or phenols

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色がなく、キレート能、生分解性を有する
アクリル系重合体、これからなるビルダ−、該ビルダー
と界面活性成分からなる洗剤組成物、該重合体の塩から
なる分散剤及びこれらの効率よい製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】末端基として一般式(I) 【化1】 (式中、R1 は水素原子又はメチル基を示す。X1 は水
素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウム基を示
す。)で示される基を有する、数平均分子量が300〜
100,000のアクリル系重合体。これからなるビル
ダ−、該ビルダーと界面活性成分からなる洗剤組成物、
該重合体の塩からなる分散剤。また、上記の末端基に対
応する過カルボン酸を開始剤として、アクリル系モノマ
ーを重合させることを特徴とする製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なアクリル系重
合体又はオリゴマー、その製造方法、該アクリル系重合
体又はオリゴマーを主成分とする生分解性ビルダー、該
生分解性ビルダーを含有する洗剤組成物及び分散剤に関
する。さらに詳しくは、本発明は、特殊な末端基を有す
る新規なアクリル系重合体、その製造方法、それを主成
分とする生分解性の洗剤用ビルダー、該ビルダーを含有
する洗剤組成物及び該アクリル系重合体をアルカリで中
和してなる分散剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、界面活性剤を主成分とする洗剤に
おいては、該界面活性剤の補助成分としてビルダーを配
合することにより、洗浄性能を高めることが行われてい
る。このビルダーとしては、水に添加した際にアルカリ
性を示す無機化合物や不飽和脂肪族カルボン酸の重合体
などが知られている。前者の例としては、ナトリウムや
カリウムの炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、ポリリン酸
塩、ケイ酸塩あるいはゼオライトなどが挙げられ、後者
の例としては、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ
イタコン酸などが挙げられる。
【0003】これらのビルダーの中では、効果、経済性
及び作業性などの面から、リン酸塩、ポリリン酸塩及び
ゼオライトが多量に使用されている。しかしながら、リ
ン酸塩やポリリン酸塩は、湖沼や河川の富栄養化の原因
となり、また、ゼオライトは堆積するなどの地球環境保
護の点で種々の問題を有している。したがって、少なく
とも従来同様にビルダーとしての性能(特に、キレート
能力)に優れたものであることは勿論、上記地球環境保
護上重要な生分解性を有して長期間残存することのな
い、いわゆる環境にやさしい、しかも経済的に有利なビ
ルダーの開発が望まれている。そこで、キレート能力と
生分解性を有するビルダー用重合体として、そのもの自
体ではキレート能力は殆どないが、生分解可能な程度の
低分子量を有する成分をある程度以上含有する水溶性オ
リゴマーの主鎖同士をポリエチレングリコール、クエン
酸、酒石酸等の架橋剤により、生分解可能なエステル基
又はアミド基を介して結合し、分子量を増大させ、その
架橋重合体としてはキレート能力も持たせようとした親
水性架橋重合体が特開平5−239127号公報に開示
されている。
【0004】しかしながら、低分子量とはいえ直鎖状の
ポリアクリル酸自体が生分解されにくく、また、生分解
しない高分子量のポリアクリル酸を少なからず含有する
ことから、この親水性架橋重合体の生分解性は十分なも
のではない。さらに、オリゴマーを重合する工程と架橋
する工程の2段階となり、また前記特定の架橋剤も必要
であることから、より簡単な工程で製造できるキレート
能力と生分解性を有するビルダー用重合体及びその製造
方法が期待されている。
【0005】上記の従来のビルダー中、ポリアクリル酸
等アクリル系重合体はその重合のし易さ、多価カルボン
酸による高キレート性能等の点で注目されている。該ア
クリル系重合体の製造時、通常、重合開始剤(触媒)と
して過酸化水素が使用されてきたが、該過酸化水素は前
記重合後に触媒残渣としてほとんど残留しないと言う点
で好ましい。しかし、アクリル系モノマーを通常の塩基
で中和して過酸化水素を重合開始剤とした場合、その効
率が低く、その対策として鉄、コバルト等の金属やアミ
ン等を添加する方法が提案されているものの、重合体が
着色するという問題があり、従って用途が限定されてい
る。また、通常の塩基で中和して過酸化水素を重合開始
剤とした場合、上記アクリル系オリゴマーを合成するに
は、多量の過酸化水素が開始剤として必要であり、改良
すべき問題点とされてきた。
【0006】また、無機顔料分散剤の分野では、ポリア
クリル酸ソーダ等が分散スラリー液の粘度低下、粘度安
定性の向上のために用いられているが、上述と同様にポ
リアクリル酸に生分解性がないことから、上記ビルダー
同様、生分解性を有して長期間残存することがなく、し
かも経済的に有利な分散剤の開発が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、着色がなく、キレート能力に優れ、かつ生分
解性を有する経済的に有利なアクリル系重合体、このも
のを効率よく製造する方法、並びに環境汚染又は破壊を
抑えた該重合体からなるビルダー、洗浄能力に優れた該
ビルダー成分と界面活性剤成分を含む洗剤組成物及び無
機顔料等の分散剤を提供することを目的とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の末端基を
有するアクリル系重合体(以下、そのオリゴマーを含め
てアクリル系重合体とよぶ。)を得ることに成功した。
該重合体は無色でキレート能力に優れ、かつ生分解性を
有し、しかも簡単なプロセスで効率よく製造することが
でき、経済的にも有利であり、ビルダーとして界面活性
剤に添加すれば有益な洗剤用組成物が得られることや該
重合体のアルカリ塩は無機顔料等の分散剤として有用で
あることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完
成したものである。
【0009】すなわち、本発明は、以下の通りである。 (1)末端基として一般式(I)
【0010】
【化3】
【0011】(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示
す。X1 は水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウ
ム基を示す。)で示される基を分子中に少なくとも1個
有する、数平均分子量が300〜100,000のアク
リル系重合体。 (2)分子鎖に複数のエステル結合を有する上記(1)
に記載のアクリル系重合体。 (3)加水分解後の数平均分子量が100〜10,00
0である上記(1)又は(2)に記載のアクリル系重合
体。 (4)一般式(I)で示される末端基が HOOC−CH
=CH−COO− である上記(1)〜(3)いずれか
に記載のアクリル系重合体。 (5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアクリル
系重合体を主成分とする生分解性ビルダー。 (6)一般式(II)
【0012】
【化4】
【0013】(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示
す。X1 は水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウ
ム基を示す。)で示される過カルボン酸を開始剤とし
て、アクリル系モノマーを重合させることを特徴とする
アクリル系重合体の製造方法。 (7) HOOC−CH=CH−COO−OH で示さ
れる過カルボン酸を開始剤として、アクリル系モノマー
を重合させることを特徴とするアクリル系重合体の製造
方法。 (8)無水マレイン酸と過酸化水素の反応物の存在下
に、アクリル系モノマーを重合させることを特徴とする
アクリル系重合体の製造方法。 (9)洗剤組成物中に上記(5)に記載の生分解性ビル
ダーの少なくとも1種を1〜40重量%、界面活性剤を
1〜40重量%及び酵素、漂白剤又は無機系ビルダーか
らなる残部を20〜80重量%含有することを特徴とす
る洗剤組成物。 (10)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアクリル
系重合体をアルカリで中和したものからなる分散剤。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のアクリル系重合体はアク
リル酸等アクリル系モノマーを重合してなるものであ
り、しかも該重合体の分子末端には、末端基として、特
定の一般式(I)
【0015】
【化5】
【0016】(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示
す。X1 は水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウ
ム基を示す。)で示される基を分子中に少なくとも1個
有する、数平均分子量が300〜100,000のアク
リル系重合体である。なお、このアクリル系重合体は、
下記を主たる構成単位とするものである。
【化6】 このような、末端基として特定の残基を有し、しかも数
平均分子量が比較的低いアクリル系重合体は従来存在せ
ず、本発明において初めて開示された物質であるが、こ
の物質の特徴は水溶性であり、特に生分解性が高いとい
う特異な性質を持つ他、通常の多価カルボン酸系重合体
同様に多価金属を捕獲するキレート形成性能が高く、有
害金属除去剤等種々の用途、特に地球環境破壊をもたら
さない洗剤成分としての用途が考えられるに至った。
【0017】従来のアクリル系重合体は通常、高分子量
化するほどキレート形成能が高くなるが、生分解性は低
下する。しかし、本発明に係る特定のアクリル系重合体
は、分子末端又は分岐末端に特殊のエステル結合を有す
るものであり、この分子構造の特殊性から前記生分解性
の低下は見られないことに大きい特徴を有する。これら
の点から、数平均分子量は300〜100,000が最
適であり、300未満ではキレート性能の実用性に問題
が生じ、100,000を超えると生分解性に問題が生
じ、共に本発明の課題を解決することができなくなる。
【0018】上記の末端基としての特定残基の量は、 1
H−NMRにより把握することができ、重合体の主鎖の
プロトン、具体的には、
【0019】
【化7】
【0020】の下線で示したプロトンに由来するピーク
面積aに対する末端基の−CH=CH−のプロトンに由
来するピーク面積bの比率〔(b/a)×100
(%)〕が、好ましくは0.1%以上、より好ましくは
0.2〜5.0%の範囲である。0.1%未満では、上
記の末端基を有するとしても重合体の主鎖に対する比率
が小さい、つまりエステル解裂後の分子量が高すぎるた
め、所望の生分解性が得られない場合がある。
【0021】末端基がマレイン酸残基の場合は、重合体
の上記のプロトンに由来する1.0〜3.6ppmのピ
ーク面積aに対する末端マレイン酸残基の−CH=CH
−のプロトンに由来する6.3〜6.6ppmのピーク
面積b(但し、未反応のマレイン酸のピーク面積を除
く。)の比率〔(b/a)×100(%)〕として算出
することができる。また、本発明のアクリル系重合体の
好ましい態様としては、該重合体を後述する条件で加水
分解したものの数平均分子量が100〜10,000と
なるものである。これは後述する製造方法を採用するこ
とにより、数平均分子量が100〜10,000の低分
子量のアクリル系重合体がエステル結合を介してつなが
った例えば、以下の一般式(III) に示すような構造を有
するものであり、このエステル結合した箇所が生分解性
の向上に役立っていると考える。このエステル結合の存
在は、 1H−NMRにより、−COO−CH2 −のプロ
トンに由来する4.4〜4.7ppmのピーク面積から
把握することができる。
【0022】さらに、本発明のアクリル系重合体は、通
常、末端基として、−OHを有する。これは 1H−NM
Rにより−CH2 OH又は−CH(OH)COOHとし
て把握できる。この末端OH基の量は、−C2 OHの
下線部のプロトンに由来する3.80〜3.90ppm
のピーク面積と−C(OH)COOHの下線部のプロ
トンに由来する3.94〜4.10ppmのピーク面積
との和をcとすると、前記の重合体の末端基の−CH=
CH−のプロトンに由来するピーク面積bとの比率
〔(c/b)×100(%)〕が、好ましくは、50%
以上、より好ましくは、100〜300%の範囲であ
る。
【0023】50%未満では、特定の末端基から成長す
る重合体において、末端の数が少ない、つまり、エステ
ル結合を介してつながる低分子量のアクリル系重合体の
数が少なく、所望の生分解性が得られない場合がある。
【0024】
【化8】
【0025】本発明の好ましい態様としては、加水分解
後の数平均分子量が100〜10,000、より好まし
くは100〜5,000、特に好ましくは100〜2,
500であるアクリル系重合体である。数平均分子量が
10,000を超えると生分解性の低下が見られる場合
がある。また、本発明のより好ましい態様としては、末
端基が HOOC−CH=CH−COO− であるアク
リル系重合体であり、このものの生分解性は高い。
【0026】本発明に係るアクリル系モノマーとして
は、本発明の末端基となり得るものでは無水マレイン
酸、マレイン酸、フマル酸等が、これらと共重合させる
ものではアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が好
適に使用される。本発明のアクリル系重合体は、本発明
の末端基となり得るアクリル系モノマー、無水マレイン
酸等では、それらの単独重合体であってもよいし、アク
リル酸、メタクリル酸等と組み合わせて、二種類以上の
アクリル系モノマーからなる重合体であってもよい。二
種類以上を組み合わせて出来た重合体の場合、その割合
は製造時に供給されるモノマー量等により、任意に選択
することができる。
【0027】好ましい本発明のアクリル系重合体として
は、キレート能力及び生分解性の面や過カルボン酸の生
成率、分子量の制御等の製造する面からみて、製造時に
供給されるモノマー量として、無水マレイン酸又はマレ
イン酸を25〜75mol%、アクリル酸、メタクリル
酸を25〜75mol%とする組み合わせである。さら
に好ましくは、無水マレイン酸を25〜75mol%と
アクリル酸を25〜75mol%とする組み合わせであ
る。
【0028】本発明のアクリル系重合体は、上記のアク
リル系モノマーから構成されるものの他に、一般式(IV)
【0029】
【化9】
【0030】(式中、R4 は、水素原子、メチル基、−
OH又は−COOX1 を示す。Y及びZは、それぞれ水
素原子、塩素原子、−COOX1 、−SO3 X、−O
H、−OCOR''、−COR''、−CONH2 、−CO
OOH又は−CHOを示す。X1は水素原子、アルカリ
金属原子又はアンモニウム基を示し、アルカリ金属原子
としては、ナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられ
る。また、R''は炭素数1〜12のアルキル基を示
す。)で示される重合性不飽和化合物に基づく構造単位
を連鎖中又は末端に含むものであってもよい。
【0031】上記の重合性不飽和化合物としては、例え
ば、イタコン酸、クロトン酸、α-ヒドロキシアクリル
酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトル
エンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニ
ウム塩、炭素数1〜12のアルコ−ルのエステルの他、
アクリルアミド、無水イタコン酸、アクロレイン等を挙
げることができる。これらの重合性不飽和化合物はアク
リル系重合体の上記アクリル系モノマー50〜99モル
%に対して、1〜50モル%の範囲で選ぶことができ
る。
【0032】本発明のアクリル系重合体の製造方法は、
一般式(II)
【0033】
【化10】
【0034】(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示
す。X1 は水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウ
ム基を示す。)で示される過カルボン酸を重合開始剤と
してアクリル系モノマーを重合させることを特徴とする
製造方法である。この過カルボン酸は、該過カルボン酸
が得られるアクリル系モノマーと過酸化水素を反応させ
て生成されるのが好ましく、過酸化水素としては、通
常、25〜75重量%過酸化水素水、好ましくは30〜
70重量%過酸化水素水が用いられる。
【0035】上記過カルボン酸は、酸無水物と過酸化水
素の反応で得る方法が好ましく、無水マレイン酸を用い
た場合は、過酸化水素が無水マレイン酸を開環し、重合
開始剤として機能しているものと考えられ、次のような
過程、即ち開環して形成された過カルボン酸(V) とアク
リル系モノマーの反応により、本発明に係る、分子末端
又は側鎖末端に式(VI)の基を有するアクリル系重合体が
生成するものと推測される。
【0036】
【化11】
【0037】また、アクリル系モノマーと過酸化水素と
の反応物の存在下、上記の無水マレイン酸と過酸化水素
を反応させ、上記アクリル系モノマーを重合させて製造
することもできる。この場合は、上記特定の末端基を分
子末端又は側鎖末端に有するアクリル系重合体及び該末
端基を有しないアクリル系重合体の混合物が得られる。
【0038】因みに、上記特定の酸無水物についてのこ
の反応は、次のような過程を経て、末端基を有するアク
リル系重合体(VI)と該末端基を有しないアクリル系重合
体(VII) の混合物が生成するものと考えられる。
【0039】
【化12】
【0040】無水マレイン酸と過酸化水素の反応は、濃
度は20〜80重量%、温度は20〜60℃、時間は1
分〜5時間が好適である。本発明に係るアクリル系重合
体の数平均分子量は300〜100,000である。こ
の数平均分子量は過酸化水素使用、酸無水物と過酸化水
素を予め反応させることなどの反応条件により自ずと定
まるものであり、この範囲、好ましくは1,000〜2
5,000をとることにより、本発明に係る生分解性等
の特性が発揮される。
【0041】上記重合方法においては、無水マレイン酸
と過酸化水素の反応物である過マレイン酸は、アクリル
系モノマーの重合開始剤として使用され、従来方法に比
較して、H2 2 が効率よく使用され、生成重合体中に
ほとんど残留しないことが可能になった。また、これら
の方法により、着色のない、アクリル系重合体、特に低
分子量のオリゴマーの合成が容易になった。また、数平
均分子量は300〜100,000という程度のもので
あり、生分解性に影響のあるほどの高分子量体はでき
ず、生分解性ビルダーとして好適である。アクリル系重
合体は上述の種々の方法で製造することができるが、該
重合体を単離した後、又は単離せず、重合に使用した重
合開始剤、重合触媒の残分、分解物等が混在した状態で
本発明の生分解性ビルダーとして供給することができ
る。
【0042】さらに、アクリル系重合体は、上記のアク
リル系モノマー(酸無水物を含む)の他に一般式(VII
I)
【0043】
【化13】
【0044】(式中、R4 、Y及びZは上記と同じであ
る。)で表される重合性不飽和化合物を加え、重合開始
剤として無水マレイン酸と過酸化水素を用い、過カルボ
ン酸を生成させて、前述したアクリル系重合体の製造方
法と同様にして重合することにより、所望のアクリル系
重合体が得られる。上記一般式(VIII)で表される重合
性不飽和化合物としては、前述のものと同様である。
【0045】上記のように過酸化水素で無水マレイン酸
を開環し、過マレイン酸を生成させ、それを重合開始剤
として、それとアクリル系モノマー及び重合性不飽和化
合物を反応させてもよいし、また、アクリル系モノマー
及び重合性不飽和化合物と過酸化水素との反応物の存在
下、上記の無水マレイン酸と過酸化水素を反応させ、ア
クリル系モノマーを重合させて製造することもできる。
この場合は、上記特定の末端基を分子末端又は側鎖末端
に有するアクリル系重合体及び重合性不飽和化合物から
なる構造単位も有するアクリル系重合体と該末端基を有
しないアクリル系重合体及び重合性不飽和化合物からな
る構造単位を有するアクリル系重合体の混合物が生成す
るものと考える。
【0046】以上のようにして得られたアクリル系重合
体を主成分とする本発明の生分解性ビルダーは、キレー
ト能力に優れるとともに、生分解性を有し、洗浄剤ビル
ダーとして好適に用いられ、また、界面活性剤との併用
により、生分解性を有する洗剤組成物を得ることができ
る。
【0047】本発明に係る洗剤組成物は、上記本発明に
係るアクリル系ポリマーをビルダーとし、これに界面活
性成分を配合することにより、洗浄機能に優れ、使用後
に生分解性を有する洗剤組成物が得られる。使用される
界面活性成分としては、例えば陰イオン性界面活性剤,
陽イオン性界面活性剤,非イオン性界面活性剤,両性界
面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。
【0048】上記ビルダーと界面活性剤の配合割合は洗
剤組成物中、両者共1〜40重量%配合されることが好
ましく、残部の20〜80重量%は酵素、漂白剤、無機
系ビルダー(ゼオライト、炭酸ナトリウム等)その他が
適宜配合される。本発明において使用される陰イオン性
界面活性剤としては、例えば脂肪酸石ケン,アルキルエ
ーテルカルボン酸塩,N−アシルアミノ酸塩,アルキル
ベンゼンスルホン酸塩,アルキルナフタレンスルホン酸
塩,ジアルキルスルホコハク酸エステル塩,α−オレフ
ィンスルホン酸塩,高級アルコール硫酸エステル塩,ア
ルキルエーテル硫酸塩,ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル硫酸塩,脂肪酸アルキロールアミドの硫
酸エステル塩,アルキルエーテルリン酸エステル塩,ア
ルキルリン酸エステル塩などが挙げられる。
【0049】陽イオン性界面活性剤としては、例えば脂
肪族アミン塩,脂肪族四級アンモニウム塩,ベンザルコ
ニウム塩,塩化ベンゼトニウム,ピリジニウム塩,イミ
ダゾリニウム塩などが挙げられる。また、非イオン性界
面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキル
エーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック
ポリマー,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンア
ルキルエーテル,ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸
エステル,ポリオキシエチレンヒマシ油,ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン
ソルビトール脂肪酸エステル,ポリエチレングリコール
脂肪酸エステル,脂肪酸モノグリセリド,ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,脂肪酸
アルカノールアミド,ポリオキシエチレン脂肪酸アミ
ド,ポリオキシエチレンアルキルアミン,アルキルアミ
ンオキシドなどが例示できる。両性界面活性剤として
は、例えばカルボキシベタイン型化合物,アミノカルボ
ン酸塩,イミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
【0050】また、本発明のアクリル系重合体を常法に
よりアルカリで中和したものは、アクリル系モノマーを
主鎖とする数平均分子量が300〜100,000の重
合体であり、カルボキシル基を有することから親水性が
あり、また上述のような構造から生分解性もあり、紙コ
ーティングに用いられる炭酸カルシウム、クレイ等の無
機顔料の分散剤として極めて有用である。本発明のアク
リル系重合体を中和するには、NaOH、KOH等の水
溶液を用いるとよい。
【0051】この分散剤を使用する際は、これのみでも
よいが、他の配合剤としてポリビニルアルコール等を本
発明の効果を損なわない範囲で併用してもよい。この分
散剤を炭酸カルシウム、クレイ等の無機顔料100重量
部に対して、0.05〜2.0重量部の割合で添加して
水中に分散することにより、それらの混合液を低粘度で
しかも高流動性にすることができる。
【0052】また、本発明のアクリル系重合体は、キレ
ート能を有することから、冷却水系、ボイラー水系等の
装置におけるスケール防止剤としても有用である。ま
た、本発明のアクリル系重合体は、生分解性が良好であ
ることから、排水が外界に出ても環境への影響も少な
い。
【0053】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
するが、本発明は、これらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、重合体の数平均分子量,構造単
位の含有量,Caイオンキレート能力,生分解率,洗浄
力及び分散作用は、以下の方法により求めた。 (1)数平均分子量 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
により、ポリアクリル酸を標準物質として測定した。測
定条件としては、ウォーターズ社製ALC/GPC 1
50C装置(検出器:内蔵示差屈折計、カラム:ASA
HIPAK(GSM−700+GS310)を用いて、
移動相はアセトニトリル/50mM酢酸ナトリウム=3
/7、カラム温度は40℃、流速は0.7ml/mi
n、注入量は200μlとした。 (2)加水分解後の数平均分子量 試料0.5g、ナトリウムメトキシド1.5g、メタノ
ール5ml、水10mlを100mlのフラスコに入
れ、90℃で8時間加熱した。反応終了後、凍結乾燥を
行い、得られた加水分解物の数平均分子量を上記のGP
C法により測定した。
【0054】(3) 1H−NMRによる分子構造1 H−NMRにより、末端マレイン酸残基等の量、末端
−OH基の量及びエステル結合の有無を測定した。この
測定は、日本電子製JNM−EX90装置を用いて、重
メタノールの溶媒で重合体濃度5%未満とした溶液を直
径5mmφの試験管に入れ、室温、90MHz、NON
モードにて、32回の積算により行った(図1)。また
一方、日本電子製GSX−400装置を用いて、重水の
溶媒で重合体濃度5%未満とした溶液を直径5mmφの
試験管に入れ、室温、400MHz、SGNONモード
にて、32回の積算により行った(図3)。
【0055】(4)Caイオンキレート能(Ca++捕捉
能) 50ミリリットルのビーカーに、重合体10mgを入
れ、さらに塩化カルシウム0.001モル/リットルと
塩化カリウム0.08モル/リットルとを含有する水溶
液50ミリリットルを入れ、25℃の恒温槽中で混合
し、水溶液中の二価のCaイオン濃度をイオンメーター
により測定した。これを重合体1gによって捕捉される
CaCO3 に換算し、Ca++捕捉能(mg・CaCO3
/g)として表した。
【0056】(5)生分解率 生物化学的酸素要求量(BOD)は、JIS規格K01
02−1989に準じて25℃で30日間攪拌させた際
に消費される溶存酸素の量から求め、次式に従って生分
解率を算出した。 生分解率(%)=(BOD/TOD)×100 BOD:試料の生物化学的酸素要求量 TOD:試料の理論的酸素要求量
【0057】(6)洗浄力 下記の有機汚垢成分と焼成粘土およびカーボンブラック
を69.7:29.8:0.5(重量比)にて混合した
人工汚垢を作成した。 オレイン酸 28.3重量部 トリオレイン 15.6重量部 コレステロールオレイン 12.2重量部 流動パラフィン 2.5重量部 スクワレン 2.5重量部 コレステロール 1.6重量部 ゼラチン 7.0重量部 計 69.7重量部 この人工汚垢を用い、水溶媒系湿式法にて清浄布から汚
染布を作成し、これを5cm×5cmに裁断して反射率
が38〜43%のものを作製し、洗浄前の表面反射率を
測定後、下記条件下による洗浄試験に供した。
【0058】−洗浄条件− 試験機 Terg-O-Tometer 回転数 120rpm 水の硬度 90ppm(CaCO3 換算) 洗液量 900ミリリットル 洗浄温度 30℃ 洗剤濃度 0.067% 浴比 30倍 洗浄時間 10分 すすぎ時間 3分を2回 乾燥 ロ紙にはさんでアイロン乾燥
【0059】次いで、洗浄後の布(洗浄布)の表面反射
率を測定し、次式から洗浄力を求めた。 洗浄力(%)=(汚垢布のK/S−洗浄布のK/S)/
(汚垢布のK/S−清浄布のK/S)×100 〔ここでK/S=(1−R)2 /2R (Kubelka-Munk
の式)であり、Rは布の表面反射率を示す。〕
【0060】(7)分散作用の評価 分散作用は、炭酸カルシウム(関東化学製)と水の比を
60:40(重量比)になるように調整したスラリー
に、Na塩とした重合体を炭酸カルシウムに対して0.
3重量%となる量を添加し、3分間攪拌し、1分間静置
した後の粘度をB型回転粘度計(リオン社製ビスコメー
タVT−04)で測定した。なお、重合体を添加しない
場合は、10dPa・sであった。
【0061】〔実施例1〕攪拌装置、熱電対を備えた容
量500ミリリットルのセパラブルフラスコに、無水マ
レイン酸39.22g,60%過酸化水素水22.6g
を入れ、50℃で5分間攪拌し、均一溶液を得た。次に
20℃以下でアクリル酸57.6g,水10gを入れ、
攪拌した。この溶液を100℃のオイルバスで加熱した
セパラブルフラスコに攪拌しながら1時間かけて滴下し
た。滴下終了後、更に2時間加熱攪拌を続けた。反応終
了後、残留した過酸化水素を定量したところ、仕込んだ
量の0.8%が未反応として残っていることが判った。得ら
れた重合体の性状(収量及び収率を含む。以下同じ。)
は第1表に示した。
【0062】該重合体を重メタノール溶媒で溶液とした
ものの 1H−NMRチャートは図1に示す通りであり、
6.3ppmにC=C、4.3ppmにエステル、また
1.4〜3.1ppmにアクリル酸重合体の各吸収を確
認し、又、IRチャートは図2に示す通りであり、17
40cm-1にエステル、1726cm-1にカルボキシル
基、1633cm-1にC=Cの各吸収を確認し、末端に
マレイン酸がエステル結合でつながったアクリル酸重合
体であることが判った。
【0063】また、得られた重合体をジメチルホルムア
ミドに溶解し、塩化メチレン溶液で再沈殿し、乾燥させ
た。これにより単離した重合体を重水溶媒で溶液とした
ものの 1H−NMRチャートは図3に示す通りであり、
重合体の前述の主鎖のプロトンに由来する1.0〜3.
6ppmのピーク面積aに対する末端マレイン酸残基の
−CH=CH−のプロトンに由来する6.3〜6.6p
pmのピーク面積bの比率〔(b/a)×100
(%)〕が、2.1%、また末端マレイン酸残基の−C
H=CH−のプロトンに由来する6.3〜6.6ppm
のピーク面積bに対する−C2 OHの下線部のプロト
ンに由来する3.80〜3.90ppmのピーク面積と
−C(OH)COOHの下線部のプロトンに由来する
3.94〜4.10ppmのピーク面積cとの比率
〔(c/b)×100(%)〕が200%であった。さ
らに、前述のようにして加水分解し、GPCで数平均分
子量を測定した結果、加水分解後の数平均分子量は71
0であった。これも第1表に示した。
【0064】〔実施例2〕アクリル酸の量を28.8g
とした他は実施例1と同様にして実施した。反応終了後
の残留過酸化水素は0.03%であった。その後20重
量%の苛性ソーダ水溶液を添加し、pHを9.0とし
た。得られた重合体の性状は第1表に示した。
【0065】〔実施例3〕アクリル酸の量を72.0g
とした他は実施例1と同様にして実施した。反応終了後
の残留した過酸化水素は、0.29%であった。得られ
た重合体の性状は第1表に示した。
【0066】〔実施例4〕実施例1と同じ装置に、60
%過酸化水素水45.3g、アクリル酸57.6g、濃
硫酸1gを30℃で2時間攪拌しながら加熱した。次に
無水マレイン酸39.2gを室温で加え、5分間攪拌し
た。この溶液を100℃のオイルバスで加熱したセパラ
ブルフラスコに攪拌しながら1時間かけて滴下した。滴
下終了後、更に2時間加熱攪拌を続けた。反応終了後、
残留した過酸化水素を定量したところ、1.7%であっ
た。得られた重合体の性状は第1表に示した。
【0067】〔実施例5〕実施例1において、アクリル
酸の量を72.0g,水の量を200ミリリットルとし
た以外は実施例1と同様に行った。反応終了後、残留過
酸化水素は1.1%であった。得られた重合体の性状は
第1表に示した。
【0068】〔実施例6〕実施例1と同じ装置に、無水
マレイン酸39.2g、60%過酸化水素水22.6g
を入れ、50℃で5分間攪拌し、均一溶液を得た。次に
20℃以下でアクリル酸216.0g、50%過酸化水
素水45.3g、濃硫酸1gを加え、攪拌した。この溶
液を100℃のオイルバスで加熱したセパラブルフラス
コに攪拌しながら2時間かけて滴下した。滴下終了後、
更に2時間攪拌を続けた。反応終了後の残留した過酸化
水素は1.9%であった。得られた重合体の性状は第1
表に示した。
【0069】〔比較例1〕実施例1と同じ装置に、アク
リル酸57.6g及び60%過酸化水素水22.6gを
それぞれ100℃のオイルバスで加熱したセパラブルフ
ラスコに攪拌しながら1時間かけて滴下した。滴下終了
後更に2時間加熱攪拌を続けた。反応終了後、残留した
過酸化水素を定量したところ仕込んだ量の38.8%が
未反応として残っていることが判った。得られた重合体
の性状は第1表に示した。
【0070】
【表1】
【0071】〔実施例7〕実施例1の重合体をビルダー
として使用した洗剤組成物について洗浄力の評価を行っ
た。結果は第2表に示した。 〔実施例8〕実施例2の重合体をビルダーとして使用し
た洗剤組成物について洗浄力の評価を行った。結果は第
2表に示した。
【0072】〔比較例2〕実施例7の「実施例1の重合
体」に代え、A型ゼオライトを使用した他は、実施例7
と同様に行った。結果は第2表に示した。 〔比較例3〕実施例8の「実施例2の重合体」に代え、
A型ゼオライトを使用した他は、実施例8と同様に行っ
た。結果は第2表に示した。
【0073】
【表2】
【0074】〔実施例9〕無水マレイン酸19.6g及
び60%過酸化水素11.3gをフラスコに入れ室温で
均一の溶液とした。この溶液とアクリル酸14.4gを
100℃に加熱したセパラブルフラスコにそれぞれケミ
カルポンプを使用して滴下した。滴下時には攪拌を行
い、滴下終了後もさらに2時間加熱攪拌を続けた。冷却
後、水酸化ナトリウムを使用してpH10とした。得ら
れた重合体は、数平均分子量が1200であった。 1
−NMRからエステル結合を有していることが確認でき
た。このNa塩とした重合体を上記(7)の分散作用の
評価に基づき、粘度測定を行った。粘度は2.8dPa
・sであり、重合体を添加しなかった場合の10dPa
・sや分子量3万のポリアクリル酸ナトリウムを用いた
場合の3.4dPa・sよりも粘度が低く、分散性が良
好であることが判った。
【0075】〔実施例10〜15〕実施例1、3〜7で
得られた重合体を実施例9と同様にNa塩とし、それら
の分散作用の評価を行った。結果は第3表に示した。
【0076】〔比較例4〕比較例1で得られた重合体を
実施例9と同様にNa塩とし、それらの分散作用の評価
を行った。結果は第3表に示した。
【0077】
【表3】
【0078】
【発明の効果】本発明に係る新規なアクリル系重合体
は、特異な末端基を有する分子構造と、比較的低分子量
であり、重合開始剤の残留が少なく、キレート能力に優
れ、生分解性ビルダーとして有用であり、各種界面活性
成分に配合して好適な洗剤組成物が得られる。また、生
分解性を有する分散剤としても有用である。さらに、製
造方法も簡単であり、経済的に有利である。
【0079】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたアクリル系重合体の 1H−
NMRチャート(重メタノール溶媒)。
【図2】実施例1で得られたアクリル系重合体のIRチ
ャート。
【図3】実施例1で得られたアクリル系重合体の 1H−
NMRチャート(重水溶媒)。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】末端基として一般式(I) 【化1】 (式中、R1 は水素原子又はメチル基を示す。X1 は水
    素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウム基を示
    す。)で示される基を分子中に少なくとも1個有する、
    数平均分子量が300〜100,000のアクリル系重
    合体。
  2. 【請求項2】分子鎖に複数のエステル結合を有する請求
    項1記載のアクリル系重合体。
  3. 【請求項3】加水分解後の数平均分子量が100〜1
    0,000である請求項1又は2に記載のアクリル系重
    合体。
  4. 【請求項4】一般式(I) で示される末端基がHOOC−
    CH=CH−COO−である請求項1〜3のいずれかに
    記載のアクリル系重合体。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル
    系重合体を主成分とする生分解性ビルダー。
  6. 【請求項6】一般式(II) 【化2】 (式中、R1 は水素原子又はメチル基を示す。X1 は水
    素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウム基を示
    す。)で示される過カルボン酸を開始剤として、アクリ
    ル系モノマーを重合させることを特徴とするアクリル系
    重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 HOOC−CH=CH−COO−OH
    で示される過カルボン酸を開始剤として、アクリル系モ
    ノマーを重合させることを特徴とするアクリル系重合体
    の製造方法。
  8. 【請求項8】無水マレイン酸と過酸化水素の反応物の存
    在下に、アクリル系モノマーを重合させることを特徴と
    するアクリル系重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】洗剤組成物中に請求項5記載の生分解性ビ
    ルダーの少なくとも1種を1〜40重量%、界面活性剤
    を1〜40重量%及び酵素、漂白剤又は無機系ビルダー
    からなる残部を20〜80重量%含有することを特徴と
    する洗剤組成物。
  10. 【請求項10】請求項1〜4のいずれかに記載のアクリ
    ル系重合体をアルカリで中和したものからなる分散剤。
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