JP4009041B2 - 重金属イオンキレート能を有する新規水溶性重合体とその製造方法および用途 - Google Patents

重金属イオンキレート能を有する新規水溶性重合体とその製造方法および用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性重合体、その製造方法、およびその重合体を含む組成物等に関する。
【0002】
【従来技術】
カルボキシル基を有するマレイン酸系共重合体は、優れたキレート作用および分散作用を示すことが従来から知られており、洗剤組成物、繊維処理剤、分散剤、凝集剤、スケール防止剤、キレート剤、漂白助剤、pH調整剤等の用途に広く用いられている。この中でも洗剤組成物を用途とする場合には、優れたカルシウムイオン捕捉能とクレー分散能を有することが基本性能として要求され、当該性能向上のために重合体の改良が種々なされている。
【0003】
例えば、特開平10−45836には、マレイン酸とカルボン酸含有1級アミン(例えばアスパラギン酸、セリン等)とのアミド化物を単量体として導入したマレイン酸系共重合体が開示されており、主鎖から離れたところに導入されているカルボキシル基と、主鎖に直結したアミド基を有する構造的特徴により、優れたカルシウムイオン捕捉能、クレー分散能を実現している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、洗剤ビルダーの基本性能はカルシウムイオン捕捉能とクレー分散能であるが、一方で、鉄等の重金属イオンのキレート能に対するニーズも非常に高い。すなわち、世界的に見ると、洗濯水中に鉄イオン含有量が多い地域も有り、通常洗濯水は弱塩基性であるため鉄イオンは鉄粒子(水酸化鉄)となり衣類に付着して黄ばみの原因となるが、その様な地域では特に鉄イオンに対するキレート能が必要となる。日本の水道水では、特に鉄イオン濃度が高い地域はないが、それでも汚れ等に由来する鉄イオンにより黄ばみの原因となったり、或は紅茶や血液の染みが落ちにくい原因ともなり、鉄イオンキレート能に対するニーズが強いことは同じである。
【0005】
これまでマレイン酸系共重合体において、優れた鉄イオン沈着防止能を示すポリマーは開示され、これらでは同時にカルシウムイオン捕捉能にも優れていることが記載されている(特開平10−7740)。しかし、銅イオン過酸化水素安定化能に優れ、かつ、鉄イオン沈着防止能や、クレー分散能も併せて優れている重合体、即ち、これらの物性を全て満足する重合体は存在しなかった。日本の水道水では、鉄イオン濃度も低くまたカルシウム等の硬度成分も低濃度であるため、クレー(泥粒子)の分散能はさほど問題とならないが、世界的には地域によってはかなりの高硬度の水であり、クレー分散能が非常に重要となる。
【0006】
また、繊維処理剤として用いる時には、特に漂白工程において、処理液中に重金属イオンが存在していると漂白剤の主成分である過酸化物を触媒的に分解し、過酸化物が無駄に消費されるため、処理液中に存在する重金属イオン、具体的には、特に活性の高い銅イオンを捕捉して不活性化させる必要がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、重合体主鎖に直結した多数のカルボキシル基に加えて、重金属イオンの捕捉に有効とされるアミド基、アミノ基、チオエーテル基から選ばれる少なくとも1つの官能基を重合体主鎖中に多数しかも容易に導入されて有する、新規な水溶性重合体を見いだし、この重合体が、鉄イオン沈着防止能、クレー分散能、銅イオン過酸化水素安定化能のいずれに対しても優れていることを見つけた。そして、これら重合体が、洗剤組成物、繊維処理剤等にも非常に有用であることも見出した。本発明はこのようにして完成された。
【0008】
すなわち、本発明に係る水溶性重合体は、下記一般式(1)および/または(2)で表される構造単位を有し、重量平均分子量が1000〜100000であることを特徴とする。
【0009】
【化8】
Figure 0004009041
【0010】
【化9】
Figure 0004009041
【0011】
また、本発明に係る水溶性重合体の製造方法は、下記一般式(3)および/または(4)で表されるアミド化合物をマイケル付加重合に利用することを特徴とする。
【0012】
【化10】
Figure 0004009041
【0013】
【化11】
Figure 0004009041
【0014】
本発明において、前記水溶性重合体の製造に好適に用いられるアミド化合物は、下記一般式(3)または(4)で表されるものである
【0015】
【化12】
Figure 0004009041
【0016】
【化13】
Figure 0004009041
【0017】
本発明に用いる前記アミド化合物の製造方法は、下記一般式(5)で表される酸無水物と、下記一般式(6)で表されるアミン化合物とのアミド化反応を利用することを特徴とする。
【0018】
【化14】
Figure 0004009041
【0019】
さらに、本発明の洗剤組成物、繊維処理剤、または過酸化物安定剤は、前記本発明の水溶性重合体を含むことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
(水溶性重合体)
本発明の水溶性重合体は、上記一般式(1)および/または(2)で表される構造単位を有する単独重合体あるいは共重合体である。
本発明の水溶性重合体が共重合体の場合には、前記一般式(1)で表される構造単位と前記一般式(2)で表される構造単位の両方を含むものでもよいし、前記一般式(1)または(2)のいずれか一方の構造単位と他の単量体由来の構造単位を含むものでもよい。
【0021】
本発明の水溶性重合体構造中の、前記一般式(1)および/または(2)で表される構造単位の割合は、モル比で80〜100%であり、好ましくは、モル比で90〜100%であり、さらに好ましくは、モル比で100%である。
本発明の水溶性重合体は、その重量平均分子量が500〜100000であることを特徴とし、好ましくは500〜50000、さらに好ましくは500〜20000、より好ましくは1000〜20000、最も好ましくは1400〜15000である。
【0022】
本発明の水溶性重合体は、重合体主鎖に直結した多数のカルボキシル基に加えて、重金属イオンの捕捉に有効とされるアミド基、アミノ基、チオエーテル基から選ばれる少なくとも1つの官能基を重合体主鎖中に多数導入されて有するので、鉄イオン沈着防止能、クレー分散能、銅イオン過酸化水素安定化能のいずれに対しても優れた能力を有し、好ましくは、鉄イオン沈着防止能が70%以上、クレー分散能が60%以上、銅イオン過酸化水素安定化能が50%以上であり、さらに好ましくは、鉄イオン沈着防止能が80%以上、クレー分散能が70%以上、銅イオン過酸化水素安定化能が60%以上である。また、鉄イオン沈着防止能のみに着目した場合、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上であり、クレー分散能のみに着目した場合、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上であり、銅イオン過酸化水素安定化能のみに着目した場合、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、さらにより好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上である。
(水溶性重合体の製造方法)
本発明に係る水溶性重合体の製造方法は、上記一般式(3)および/または(4)で表されるアミド化合物をマイケル付加重合に利用することを特徴とする。
【0023】
本発明でマイケル付加重合を行うための重合方法としては、溶液重合が好ましく、この場合、攪拌下、静置下の何れでも良い。
前記溶液重合を行う際の溶媒は、水系溶媒が好ましく、さらに好ましくは水である。また、単量体の溶解性を向上させるために、好ましくは、活性プロトンを有しない水系溶媒を10%以下の量で適宜加えても良い。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;等から、1種類または2種類以上を適宜選択して用いることができる。
【0024】
前記溶液重合を行う際の触媒は基本的に不要であるが、必要に応じて重合に悪影響を及ぼさないものであれば適宜使用してもよい。
前記溶液重合を行う際の単量体濃度は特に限定されないが、好ましくは10%以上であり、さらに好ましくは20%以上である。また、重合溶液のpHは任意であるが、マイケル付加重合では一般的にpHが高い方が重合性が良く、単量体の溶解性にもよるが、好ましくは7以上、さらに好ましくは10以上である。
【0025】
前記溶液重合を行う際の重合温度は、20〜100℃が好ましく、アミド結合の開裂を防ぐため好ましくは80℃以下で行う。重合時間は特に限定されず、重合圧力は、常圧(大気圧)、加圧、減圧の何れでも良い。
(アミド化合物)
水溶性重合体の製造に好適に用いられる、本発明のアミド化合物は、上記一般式(3)または(4)で表されることを特徴とする。
【0026】
上記一般式(3)または(4)で表されるアミド化合物は、1分子中に、カルボキシル基(および/またはその塩)が共役した二重結合と、X基(XはNH、NR、Sを表し、前記Rは、−CH、−CHCH、−CHCOOM、−CHOHを表し、前記Mは互いに独立にHあるいはK、Na等のアルカリ金属、あるいはMg、Ca等のアルカリ土類金属を表す。)を有するので、前述のマイケル付加重合によって重合体を生成する。
(アミド化合物の製造方法)
本発明に用いる上記アミド化合物の製造方法は、上記一般式(5)で表される酸無水物と、上記一般式(6)で表されるアミン化合物とのアミド化反応を利用することを特徴とする。
【0027】
前記一般式(5)で表される酸無水物としては、R1 とR2 の選択により種々の化合物が挙げられるが、中でも特に無水マレイン酸が好ましく用いられる。
前記一般式(6)で表されるアミン化合物としては、例えば、XがNHまたはNR4 の場合は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、リジン、アルギニン、シスチン等が挙げられ、XがSの場合は、システイン、システアミン等が挙げられるが、中でも特に好ましくは、エチレンジアミン、リジン、トリス(2−アミノエチル)アミン、システインである。
【0028】
上記一般式(5)で表される酸無水物と、上記一般式(6)で表されるアミン化合物とのアミド化反応の方法としては、例えば、
▲1▼水系溶媒(好ましくは水中)のアミン化合物(6)に酸無水物(5)(固体状であるものは好ましくは粉末状にしたもの)を、35℃以下、好ましくは20℃以下に保持しながら、攪拌下、徐々に添加してアミド化させる方法。
【0029】
▲2▼トルエン、キシレン等不活性有機溶剤中で、(5)と(6)または(5)の加水分解物と(6)を従来公知の方法でアミド化させる方法。
▲3▼トルエン、キシレン等不活性有機溶剤中で、(5)のモノエステルと(6)とを従来公知のエステルアミド交換反応によりアミド化させる方法。
等が挙げられるが、好ましくは、▲1▼の方法である。水系溶媒で合成するので、有機溶剤の除去工程等が不要である。また高濃度での合成も可能であるので、安全性、環境面からも、また経済的にも好ましい。また次工程の重合も水系溶媒(好ましくは水)で行う点からも好ましい。
【0030】
上記の水系溶媒としては、好ましくは水であるが、アミンの溶解性を向上させるために、好ましくは活性プロトンを有しない水系溶媒を10%以下の量で適宜加えても良い。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;等から、1種類または2種類以上を適宜選択して用いることができる。
【0031】
前記アミド化反応の温度は、35℃以下が好ましく、さらに好ましくは20℃以下である。35℃を越えると、アミド化反応よりも酸無水物(5)の単なる加水分解の方が進行してしまうので好ましくない。また、反応時間は(5)を10分以上に渡って実質上連続添加し、(5)をすべて添加後、さらに10分以上熟成させるのが好ましい。
(水溶性重合体の用途)
本発明の洗剤組成物は、本発明の水溶性重合体と後述の界面活性剤とを含んでいる。洗剤組成物中の水溶性重合体の配合量は0.1〜20重量%であり、界面活性剤の配合量は5〜70重量%であるのが好ましい。さらに好ましくは、水溶性重合体の配合量は0.5〜15重量%であり、界面活性剤の配合量は20〜60重量%である。
【0032】
本発明の水溶性重合体を含む洗剤組成物に、界面活性剤および必要に応じて酵素を配合してもよい。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤およびカチオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを好ましく使用することができる。
【0033】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩を挙げることができる。
【0034】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
【0035】
両性界面活性剤としては、カルボキシ型またはスルホベタイン型両性界面活性剤を挙げることができ、カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。
本発明のマレイン酸系共重合体を含む洗剤組成物に配合される酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等を使用することができる。特に、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼおよびアルカリセルラーゼが好ましい。酵素の配合量は、0.01〜5重量%が好ましい。この範囲を外れると、界面活性剤とのバランスがくずれ、洗浄力を向上させることができない。
【0036】
本発明の水溶性重合体を含む洗剤組成物には、必要に応じて、公知のアルカリビルダー、キレートビルダー、再付着防止剤、蛍光剤、漂白剤、香料等の洗剤組成物に常用される成分を配合してもよい。また、ゼオライトを配合してもよい。アルカリビルダーとしては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等を用いることができる。キレートビルダーとしては、ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン六酢酸)、クエン酸等を必要に応じて使用することができる。
【0037】
本発明の水溶性重合体を含む洗剤組成物は、衣料用の洗剤として、好適に使用される。特に、洗浄液中に存在する鉄イオン等の重金属イオンの捕捉能に優れ、かつ、クレー分散能にも優れていることから、本発明の洗剤組成物は、非常に有効である。
本発明の繊維処理剤は、本発明の水溶性重合体と、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとを含んでなるものであり、繊維処理における精練、染色、漂白、ソーピングの工程で使用することができる。この場合、繊維処理剤中の本発明の水溶性重合体の含有量は特に限定されず、所望によりその添加量を調整することができる。染色剤、過酸化物および界面活性剤としては繊維処理剤に通常使用されるものが挙げられる。水溶性重合体と、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとの比率は、たとえば、繊維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のためには、水溶性重合体1重量部に対して、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.1〜100重量部という割合で配合される。本発明の繊維処理剤を使用できる繊維は特に限定されないが、たとえば、木綿、麻等のセルロース系繊維;ナイロン、ポリエステル等の化学繊維;羊毛、絹糸等の動物性繊維;人絹等の半合成繊維およびこれらの織物および混紡品が挙げられる。
【0038】
本発明の繊維処理剤を精練工程に適用する場合は、本発明の水溶性重合体と、アルカリ剤および界面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用する場合では、本発明の水溶性重合体と、過酸化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤とを配合するのが好ましい。
本発明の水溶性重合体は、過酸化物が存在する系内の重金属イオン、特に活性の高い銅イオンを効果的に捕捉することができるので、過酸化物が存在する系内に添加した場合、過酸化物安定剤として効果的に作用することもできる。よって、本発明の水溶性重合体を含む過酸化物安定剤は好ましい実施形態である。本発明の水溶性重合体を含む過酸化物安定剤は、必要に応じてその他の安定剤、添加剤が含まれていてもよい。また、本発明の水溶性重合体を含む過酸化物安定剤を用いて、過酸化物を安定化させる各種の方法に好ましく使用することができる。また、安定化させる過酸化物としては特に限定されない。また、水溶性の過酸化物が存在する系内に、より具体的には水系に、本発明の水溶性重合体を含む過酸化物安定剤を添加する事が安定化効果を発現する上で好ましい。より具体的には、過酸化水素水溶液等の安定剤として好適である。また、上記過酸化物安定剤中の本発明の水溶性重合体の含有量は特に限定されず、所望によりその添加量を調整することができる。
【0039】
本発明の水溶性重合体は、前述のような優れた性能を有するので、洗剤組成物、繊維処理剤、過酸化物安定剤に好適に用いられるが、この他の用途、例えば、無機顔料分散剤、水処理剤、パルプ漂白助剤、腐食防止剤、セメント添加剤等に用いてもよい。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を、その実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではない。なお、下記例中、「%」は「重量%」を示し、「部」は「重量部」を示す。
(重量平均分子量)
重合体の重量平均分子量(以下、Mwと称す)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。測定条件、装置等は以下の通りである。
【0041】
カラム:G−3000PWXL (東ソー製)
移動相:リン酸水素二ナトリウム12水和物34.5g及びリン酸二水素ナトリウム2水和物46.2g(何れも試薬特級、以下測定に用いる試薬は全て特級を使用)に純水を加えて全量を5000gとし、その後0.45ミクロンのメンブランフィルターで濾過した水溶液
検出器:UV 214nm (ウォーターズ製 モデル481型)
ポンプ:L−7110(日立製)、流量;0.5ml/min、温度;35℃
検量線:ポリアクリル酸ナトリウム標準サンプル(創和科学製)
(鉄イオン沈着防止能)
鉄イオン沈着防止能は以下の手順で測定した。
【0042】
▲1▼まず、測定サンプルの水溶液を調整した。即ち、固形分換算で0.05%のサンプル水溶液を150g調製した(A液)。
▲2▼次に、鉄イオン水溶液を次のように調整した。即ち、塩化鉄(III) 6水和物を2gとり、純水を加えて1000gとした(B液)。
▲3▼さらに、水酸化ナトリウム水溶液を次のように調整した。即ち、水酸化ナトリウムを2.08gとり、純水を加えて1000gとした(C液)。
【0043】
▲4▼A液、B液、C液100gずつをこの順に混合し5分間攪拌した後2時間静置した。
▲5▼5C濾紙(55mm)、ブフナーロートを用いて吸引濾過した後1時間真空デシケータで乾燥させた。
▲6▼色差計によって測定した濾紙の白度をブランクに対する百分率で示した値を鉄イオン沈着防止能(鉄イオン捕捉能)とした。
(クレー分散能)
クレー分散能は、以下の手順により測定した。
【0044】
▲1▼まず、グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、1N−NaOH60mlにイオン交換水を加えて600gとしたグリシン緩衝溶液を調整した。
▲2▼塩化カルシウム・2水和物を0.3268g、▲1▼の調整液60gを取って、イオン交換水を加えて1000gとし、分散液を調整した。
▲3▼次に重合体(pH7に調整)の固形分換算で0.1%の水溶液を調整した。
【0045】
▲4▼試験管に、JIS試験用粉体I,8種(関東ローム,微粒:日本粉体工業技術協会)のクレー0.3gを入れ、▲2▼の調整液27g、▲3▼の調整液3gを添加した。この時、試験液のカルシウム濃度は炭酸カルシウム換算で200ppmとなっていた。
▲5▼試験管をパラフィルムで密封した後、クレーが全体に分散するように軽く振った後、さらに、上下に20回振った。
【0046】
▲6▼この試験管を直射日光の当たらないところに20時間静置し、その後分散液の上澄みをホールピペットで5ml採取した。
▲7▼この液をUV分光器を用いて、波長380nm、1cmのセルで透過率(T%)を測定した。100からこのT%の値を差し引いた値をクレー分散能(濁度)とした。
(銅イオン過酸化水素安定化能)
銅イオン過酸化水素安定化能は以下の手順で測定した。
【0047】
▲1▼250mlポリビンの内ブタにピンホールを開けた。
▲2▼5%ポリマー水溶液を10gほど調製した。
▲3▼0.0393%硫酸銅水溶液を100gほど調製した。
▲4▼0.1%硫酸マグネシウム水溶液を調製した。
▲5▼48%水酸化ナトリウム、35%過酸化水素水を用意した。
【0048】
▲6▼次に0.0393%硫酸銅水溶液1ml、5%ポリマー水溶液4ml、純水80g、0.1%硫酸マグネシウム水溶液10ml、48%水酸化ナトリウム2ml、35%過酸化水素水3mlを、この順に250mlポリビンに加えた。(この試験液における過酸化水素濃度は1.05%となる。)
▲7▼50℃の恒温槽中に2時間静置した後、溶液中の過酸化水素濃度を酸化還元滴定法により測定した。この過酸化水素濃度をX(%)とし、銅イオン過酸化水素安定化能を次式より求めた。
銅イオン過酸化水素安定化能=(X/1.05)×100
(実施例1−1)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水188g、48%の水酸化ナトリウム水溶液167gを仕込み、L−リジン塩酸塩183gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸98gを徐々に添加した。添加終了後30分以上反応させた後、48%の水酸化ナトリウム水溶液84gを徐々に添加して中和し、マレイン酸−リジンモノアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−リジンモノアミドモノマー(1−1a)を単離した。また、上記のようにして得たマレイン酸−リジンモノアミドモノマーの水溶液を60℃で5時間静置することにより固形分濃度48%、最終中和度100%の水溶性重合体(1−1)を得た。この重合体の重量平均分子量は5600であった。
【0049】
マレイン酸−リジンモノアミドモノマー(1−1a)と水溶性重合体(1−1)について、1 H−NMR測定を行った結果は以下の通りであった。
1 H−NMR(D2 O):(1−1a)δ6.28(1H)、5.83(1H)、4.04(1H)、3.12(2H)、2.38(2H)、1.29〜1.64(4H);(1−1)δ4.02(1H)、3.08〜3.32(2H)、2.41(3H)、1.26〜1.65(6H)。
【0050】
以上の結果より、マレイン酸−リジンモノアミドモノマー(1−1a)と水溶性重合体(1−1)の構造は、それぞれ一般式(3)、(1)においてR1 =H、R2 =H、R3 =CH(COONa)−C4 8 、M=Na、X=NHの場合に該当することが明らかとなった。
(実施例1−2)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水118gを仕込み、エチレンジアミン60gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸98gを徐々に添加した。添加終了後30分以上反応させた後、48%の水酸化ナトリウム水溶液84gを徐々に添加し中和し、マレイン酸−エチレンジアミンモノアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−エチレンジアミンモノアミドモノマー(1−2a)を単離した。また、上記のようにして得たマレイン酸−エチレンジアミンモノアミドモノマーの水溶液を80℃で1時間攪拌することにより固形分濃度50%、最終中和度100%の水溶性重合体(1−2)を得た。この重合体の重量平均分子量は1500であった。
【0051】
マレイン酸−エチレンジアミンモノアミドモノマー(1−2a)と水溶性重合体(1−2)について、1 H−NMR測定を行った結果は以下の通りであった。1 H−NMR(D2 O):(1−2a)δ6.16(1H)、5.76(1H)、3.38(2H)、3.00(2H);(1−2)δ3.28(1H)、3.16(2H)、2.50(2H)、2.34(2H)。
【0052】
以上の結果より、マレイン酸−エチレンジアミンモノアミドモノマー(1−2a)と水溶性重合体(1−2)の構造は、それぞれ一般式(3)、(1)においてR1 =H、R2 =H、R3 =CH2 CH2 、M=Na、X=NHの場合に該当することが明らかとなった。
(実施例1−3)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水336gを仕込み、エチレンジアミン60gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸196gを徐々に添加した。添加終了後30分以上反応させた後、48%の水酸化ナトリウム水溶液168gを徐々に添加して中和し、マレイン酸−エチレンジアミンジアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−エチレンジアミンジアミドモノマー(1−3a)を単離した。また、上記のようにして得たマレイン酸−エチレンジアミンジアミドモノマーの水溶液にエチレンジアミン60gを添加し、80℃で1時間攪拌することにより固形分濃度44%、最終中和度100%の水溶性重合体(1−3)を得た。この重合体の重量平均分子量は1400であった。
【0053】
マレイン酸−エチレンジアミンジアミドモノマー(1−3a)と水溶性重合体(1−3)について、1 H−NMR測定を行った結果は以下の通りであった。
1 H−NMR(D2 O):(1−3a)δ6.24(2H)、5.84(2H)、3.27(4H);(1−3)δ3.26(2H)、3.15(4H)、2.50(4H)、2.36(4H)。
【0054】
以上の結果より、マレイン酸−エチレンジアミンジアミドモノマー(1−3a)と水溶性重合体(1−3)の構造は、それぞれ一般式(4)、(2)においてR1 =H、R2 =H、R3 =CH2 CH2 、R4 =H、R5 =H、R6 =CH2 CH2 、M=Na、X=NHの場合に該当することが明らかとなった。
(実施例1−4)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量0.5リットルのガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水133gを仕込み、トリス(2−アミノエチル)アミン(略称:トレン)73gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸49gを徐々に添加した。添加終了後30分以上攪拌した後、48%の水酸化ナトリウム水溶液42gを徐々に添加し中和し、マレイン酸−トレンモノアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−トレンモノアミドモノマー(1−4a)を単離した。
【0055】
還流冷却器、攪拌機を備えた容量0.5リットルのガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水55g、48%の水酸化ナトリウム水溶液84gを仕込み、L−アスパラギン酸67gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸49gを徐々に添加した。添加終了後30分以上攪拌した後、48%の水酸化ナトリウム水溶液42gを徐々に添加し中和し、マレイン酸−L−アスパラギン酸モノアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−L−アスパラギン酸モノアミドモノマー(1−4b)を単離した。
【0056】
上記で得られたマレイン酸−トレンモノアミドモノマー(1−4a)の水溶液とマレイン酸−L−アスパラギン酸モノアミドモノマーの水溶液を混合し、80℃で1時間攪拌することにより固形分濃度47%、最終中和度100%の水溶性重合体(1−4)を得た。この重合体の重量平均分子量は14000であった。
マレイン酸−トレンモノアミドモノマー(1−4a)、マレイン酸−L−アスパラギン酸モノアミドモノマー(1−4b)、水溶性重合体(1−4)について、1 H−NMR測定を行った結果は以下の通りであった。
1 H−NMR(D2 O):(1−4a)δ6.22(1H)、5.79(1H)、3.21(2H)、2.55(6H)、2.43(4H);(1−4b)δ6.28(1H)、5.82(1H)、4.34(1H)、2.48(2H);(1−4)δ4.26(1H)、3.27(2H)、3.21(2H)、2.34〜2.58(16H)。
【0057】
以上の結果より、マレイン酸−トレンモノアミドモノマー(1−4a)の構造は、一般式(3)においてR1 =H、R2 =H、R3 =CH2 CH2 N(CH2 CH2 NH2 )CH2 CH2 、M=Na、X=NHの場合に該当し、水溶性重合体(1−4)の構造は、一般式(1)においてR1 =H、R2 =H、R3 =CH2 CH2 N(CH2 CH2 NHCH(COONa)CH2 CONHCH(COONa)CH2 COONa)CH2 CH2 、M=Na、X=NHの場合に該当することが明らかとなった。
(実施例1−5)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量0.5リットルのガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水133gを仕込み、トリス(2−アミノエチル)アミン(略称:トレン)73gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸49gを徐々に添加した。添加終了後30分以上攪拌した後、48%の水酸化ナトリウム水溶液42gを徐々に添加し中和し、マレイン酸−トレンモノアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−トレンモノアミドモノマー(1−4a)を単離した。
【0058】
還流冷却器、攪拌機を備えた容量0.5リットルのガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水17g、48%の水酸化ナトリウム水溶液84gを仕込み、L−ヒスチジン塩酸塩1水和物105gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸49gを徐々に添加した。添加終了後30分以上攪拌した後、48%の水酸化ナトリウム水溶液42gを徐々に添加し中和し、マレイン酸−L−ヒスチジンモノアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−L−ヒスチジンモノアミドモノマー(1−5b)を単離した。
【0059】
上記で得られたマレイン酸−トレンモノアミドモノマー(1−4a)の水溶液とマレイン酸−L−ヒスチジンモノアミドモノマー(1−5b)の水溶液を混合し、80℃で1時間攪拌することにより固形分濃度52%、最終中和度100%の水溶性重合体(1−5)を得た。この重合体の重量平均分子量は1400であった。
【0060】
マレイン酸−L−ヒスチジンモノアミドモノマー(1−5b)、水溶性重合体(1−5)について、1 H−NMR測定を行った結果は以下の通りであった。
1 H−NMR(D2 O):(1−5b)δ7.53(1H)、6.78(1H)、6.20(1H)、5.72(1H)、4.29(1H)、2.92(2H);(1−5)δ7.54(1H)、6.78(1H)、4.29(1H)、3.22(4H)、2.90(2H)、2.37〜2.50(14H)。
【0061】
以上の結果より、水溶性重合体(1−5)の構造は、一般式(1)においてR1 =H、R2 =H、R3 =CH2 CH2 N(CH2 CH2 NHCH(COONa)CH2 CONHCH(COONa)CH2 (C3 2 3 )CH2 CH2 、M=Na、X=NHの場合に該当することが明らかとなった。
(実施例1−6)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水188g、48%の水酸化ナトリウム水溶液167gを仕込み、L−リジン塩酸塩183gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸98gを徐々に添加した。添加終了後30分以上反応させた後、48%の水酸化ナトリウム水溶液84gを徐々に添加し中和し、マレイン酸−リジンモノアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−リジンモノアミドモノマー(1−1a)を単離した。また、上記のようにして得たマレイン酸−リジンモノアミドモノマーの水溶液を80℃で1時間攪拌することにより固形分濃度48%、最終中和度100%の水溶性重合体(1−6)を得た。この重合体の重量平均分子量は2000であった。
(実施例1−7)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水114g、48%の水酸化ナトリウム水溶液84gを仕込み、L−システイン塩酸塩一水和物88gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸49gを徐々に添加した。添加終了後30分以上反応させた後、48%の水酸化ナトリウム水溶液42gを徐々に添加し中和し、マレイン酸−システインモノアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−システインモノアミドモノマー(1−7a)を単離した。また、上記のようにして得たマレイン酸−システインモノアミドモノマーの水溶液を80℃で1時間攪拌することにより固形分濃度43%、最終中和度100%の水溶性重合体(1−7)を得た。この重合体の重量平均分子量は2100であった。
【0062】
水溶性重合体(1−7)について、1 H−NMR測定を行った結果は以下の通りであった。なお、マレイン酸−システインモノアミドモノマー(1−7a)は不安定で測定不能であった。
1 H−NMR(D2 O):(1−7)δ4.26(1H)、3.49(1H)、2.94(2H)、2.41〜2.74(2H)。
【0063】
以上の結果より、水溶性重合体(1−7)の構造は、一般式(1)においてR1 =H、R2 =H、R3 =CH(COONa)CH2 、M=Na、X=Sの場合に該当することが明らかとなった。
(実施例1−8)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水114g、48%の水酸化ナトリウム水溶液84gを仕込み、L−システイン塩酸塩一水和物88gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸49gを徐々に添加した。添加終了後30分以上反応させた後、48%の水酸化ナトリウム水溶液42gを徐々に添加し中和し、マレイン酸−システインモノアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−システインモノアミドモノマー(1−7a)を単離した。
【0064】
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水94g、48%の水酸化ナトリウム水溶液84gを仕込み、L−リジン塩酸塩92gを添加した。その後攪拌下、氷冷により15℃以下に保ちながら、乳鉢にて粉砕した無水マレイン酸49gを徐々に添加した。添加終了後30分以上反応させた後、48%の水酸化ナトリウム水溶液42gを徐々に添加し中和し、マレイン酸−リジンモノアミドモノマーの水溶液を得た。この水溶液から水分を除去して、マレイン酸−リジンモノアミドモノマー(1−1a)を単離した。
【0065】
このようにして得たマレイン酸−システインモノアミドモノマー(1−7a)の水溶液とマレイン酸−リジンモノアミドモノマー(1−1a)の水溶液を混合し、80℃で1時間攪拌することにより固形分濃度45%、最終中和度100%の水溶性重合体(1−8)を得た。この重合体の重量平均分子量は1500であった。
【0066】
水溶性重合体(1−8)について、1 H−NMR測定を行った結果は以下の通りであった。
1 H−NMR(D2 O):(1−8)δ4.28(1H)、4.05(1H)、3.55(1H)、3.12〜3.35(2H)、2.97(2H)、2.68(2H)、2.47(3H)、1.32〜1.68(6H)。
【0067】
以上の結果より、水溶性重合体(1−8)の構造は、一般式(1)においてR1 =H、R2 =H、R3 =CH2 CH2 、M=Na、X=NHの場合と、一般式(1)においてR1 =H、R2 =H、R3 =CH(COONa)CH2 、M=Na、X=Sの場合との構造単位を有する共重合体に該当することが明らかとなった。
(実施例2−1〜2−6)
実施例1で得られた重合体(1−1)〜(1−6)について、鉄イオン沈着防止能、クレー分散能、過酸化水素安定化能の測定を行った。結果を表1にまとめた。
【0068】
【表1】
Figure 0004009041
【0069】
(比較例2−9)
従来公知の製造方法である、特開平10−7740に記載の実施例1に開示された方法により、重合体(1−9)を得た。得られた重合体の各種測定結果を表1にまとめた。
(比較例2−10)
従来公知の化合物であるクエン酸を用いたときの各種測定結果を表1にまとめた。
(実施例3)
重合体(1−1)〜(1−6)の洗剤組成物としての性能を評価するため、以下に示す洗浄性試験を行った。
【0070】
▲1▼表2に示した人工汚垢を四塩化炭素中に分散し、綿の白布を人工汚垢液を通した後、乾燥、切断することにより、10cm×10cmの汚染布を作成した。
【0071】
【表2】
Figure 0004009041
【0072】
▲2▼表3の洗剤組成物を配合し、表4の条件下で洗濯を行なった。洗濯後、布を乾燥後、反射率の測定を行なった。
【0073】
【表3】
Figure 0004009041
【0074】
【表4】
Figure 0004009041
【0075】
▲3▼下式により反射率から洗浄率を求め、洗浄性評価を行った。結果を表5に記す。
洗浄率=(洗浄後の反射率−洗浄前の反射率)/(白布の反射率−洗浄前の反射率)×100
【0076】
【表5】
Figure 0004009041
【0077】
(実施例4)
重合体(1−1)〜(1−6)の繊維処理剤としての性能を評価するため、以下に示す繊維の漂白試験を行った。
すなわち、繊維処理剤として各重合体2g/lを用い、精錬した綿天竺製ニットを表6の条件にて漂白を行い、風合いと白色度を評価した。
【0078】
風合いは、官能検査法により判定した。
白色度は、スガ試験機(株)製3MカラーコンピューターSM−3型を用いて測色し、Lab系の白色度式
W=100−[(100−L)2 +a2 +b2 1/2
但し、L=測定された明度
a=測定されたクロマチックネス指数
b=測定されたクロマチックネス指数
によって白色度(W)を求め評価した。
【0079】
評価結果を表7に示した。
【0080】
【表6】
Figure 0004009041
【0081】
【表7】
Figure 0004009041
【0082】
【発明の効果】
本発明の新規な水溶性重合体は、鉄イオン沈着防止能、クレー分散能、銅イオン過酸化水素安定化能のいずれに対しても優れ、洗剤組成物、繊維処理剤、過酸化物安定剤等にも非常に有用である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)および/または(2)で表される構造単位を有し、重量平均分子量が1000〜100000である、水溶性重合体。
    Figure 0004009041
    Figure 0004009041
  2. 鉄イオン沈着防止能が70%以上、クレー分散能が60%以上、銅イオン過酸化水素安定化能が50%以上である、請求項1に記載の水溶性重合体。
  3. 下記一般式(3)および/または(4)で表されるアミド化合物をマイケル付加重合に利用する請求項1または2に記載の水溶性重合体の製造方法。
    Figure 0004009041
    Figure 0004009041
  4. 請求項1または2に記載の水溶性重合体を含む、洗剤組成物。
  5. 請求項1または2に記載の水溶性重合体を含む、繊維処理剤。
  6. 請求項1または2に記載の水溶性重合体を含む、過酸化物安定剤。
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