JPH093230A - ポリエステルよりなる合成紙及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステルよりなる合成紙及びその製造方法

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JPH093230A
JPH093230A JP17564195A JP17564195A JPH093230A JP H093230 A JPH093230 A JP H093230A JP 17564195 A JP17564195 A JP 17564195A JP 17564195 A JP17564195 A JP 17564195A JP H093230 A JPH093230 A JP H093230A
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JP
Japan
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sheet
synthetic paper
polyester resin
solvent
crystalline polyester
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JP17564195A
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English (en)
Inventor
Akinao Hashimoto
暁直 橋本
Hitoshi Mantoku
均 萬徳
Kazuo Yagi
和雄 八木
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする合成
紙。この合成紙は、結晶性ポリエステル樹脂を溶融成形
して結晶化度10%以下のシートを製造し、次いで該シ
ートの表面を結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を促進す
る溶剤を接触させることにより、該シートの少なくとも
片面の表面のみを結晶化させ、ついで少なくとも一方向
に延伸を行った後、熱処理することによって得られる。 【効果】 従来のポリエステル合成紙と同等の高引張強
度,耐熱性,腰の強さを持ち、特に鉛筆筆記性,印刷性
などにおいて優れた性質を有している。また、他種の樹
脂や無機材料等を含有させないため、リサイクルや廃棄
時にその処理が容易となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶性ポリエステル樹
脂を主成分とする合成紙、およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】紙代替物である合成紙は、主原料に合成
樹脂を使用することにより、耐水性,表面平滑性,表面
構造の均一性,強度などや、印刷の光沢や精細性を改良
している。近年、天然紙に対するこれらの優位点をいか
し、天然紙の一部用途の置き換えや、天然紙が適用でき
ない分野への用途展開が進められている。
【0003】従来の合成紙の主原料としてはポリエチレ
ン、ポリプロピレンが主流であり、一部用途にはポリス
チレンやポリエステル等が使用されてきた。近年、複写
や印刷,印字用途等からの高度な要求に対し、腰の強さ
や耐熱性の面で優れているポリエステルが特に注目され
ている。
【0004】ポリエステル樹脂を使用した筆記性や印刷
性に優れたフィルムやシートとしては、様々な方法が考
案されている。例えば特公昭44−29385号公報に
は、ポリエステル重合体に充填剤を添加し、フィルム成
形後アルカリ水溶液に浸漬してその表面を浸食し、洗浄
する方法が開示されている。また特公昭54−2955
0号公報には、ポリエステル重合体にポリスチレンと無
機充填剤を添加した混合物を、二軸配向させた微細な空
泡を含有することを特徴とするフィルムとその製造方法
が開示されている。さらに、特公昭63−22997号
公報には、支持体表面にインクの受理層を設けた記録シ
ートが開示されている。
【0005】これらの方法は、優れた描画性や印刷性、
高白色度、高強度のフィルムやシートが得られることが
認められる。しかしながら、これらの方法はいずれも数
種の異なる材料よりなる成形体であり、また、筆記性や
印刷性,表面強度,引張強度,白色度,密度,接着性等
をすべて満足させる材料はなく、これらの課題を解決す
るために、多くの研究が継続されている。
【0006】一方、単独材料よりなる表面粗度の成形体
を作成する方法としては、ポリエステル重合体フィルム
をアルカリ処理する方法やエンボス加工による方法,機
械的に処理する方法などが提案されている。しかしなが
ら、これら単独材料から作製する方法では、鉛筆筆記性
や高精細な印刷性,強度,白色度は十分なレベルまで到
達したものはなかった。
【0007】更に近年、多量のプラスチック廃棄物処理
が問題になっている。従来、プラスチック廃棄物は、埋
立や焼却による処理が行われてきたが、埋立用地の不
足,焼却による炭酸ガス放出での地球温暖化問題等のた
め、次第に、これらの処理は困難となりつつある。一方
で、廃棄された樹脂を再利用することによって環境破壊
を少しでも防止しようとする試みがなされている。なか
でもポリエステル樹脂はこの再利用に関し例えば合成綿
として使用する等の様々な試みがなされている。
【0008】ポリエステル樹脂から合成紙を製造するに
は、表面の粗化された結晶性ポリエステル樹脂シートを
製造する必要がある。このようにポリエステル樹脂シー
トを粗化するための方法としては、溶剤によりポリエス
テル樹脂を結晶化させる方法が、既に公知であり、例え
ばH.G.Zachman,Kolloid Zu.
Z.Polymer,189,67(1963)やR.
P.Shelden,Polymer,3,27(19
62)やH.Jameel,J.AppliedPol
ymer Science,27,773(1982)
等において述べられている。
【0009】また、特開昭64−38445号公報に
は、結晶化度が10%以下の結晶性ポリマー成形体に、
該結晶性ポリマーの結晶化を促進する溶剤を浸透させる
ことにより、該成形体を多孔質化する微多孔質膜の製造
方法が開示され、さらに該成形体を多孔質化し次いで延
伸する微多孔質膜の製造方法が開示されている。
【0010】しかし、該発明を本発明者等が追試したと
ころ、明細書に記載されている方法では、溶媒の促進効
果が大きい為、良好な通気性を持つ微多孔フィルムが得
られるが、印刷性や筆記性に優れる合成紙に適用しよう
とする場合においては、 印刷に使用するインクが印刷面からフィルムの反対面
に透過する、 フィルムに腰がない上、表面強度が低く鉛筆筆記性が
悪い、 引張強度が低い、 等の問題があり印刷用途等に使用する合成紙としては不
適であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、ポ
リエステル樹脂を原料としその表面のみを粗化させてな
りリサイクルを容易にするため、異種材料である他の樹
脂や界面形成用の充填剤をシート内部に実質上含有させ
ることなく、従来の合成紙と同等以上の性能を有する印
刷性や筆記性に優れた合成紙を提供せんとするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とし、下記特性を
有することを特徴とする合成紙が提供される(第1番目
の発明)。 (1)少なくとも一方向の引張強度が600kg/cm2
上、 (2)全方向の200℃における熱収縮率が3%以下、 (3)ヘイズが80%以上、 (4)表面粗さが1.0μ以上20μ以下、 (5)表面から裏面への貫通孔が存在しない、
【0013】また、本発明によれば、結晶性ポリエステ
ル樹脂を溶融成形して結晶化度10%以下のシートを製
造し、次いで該シートの表面を結晶性ポリエステル樹脂
の結晶化を促進する溶剤を接触させることにより、該シ
ートの少なくとも片面の表面のみを結晶化させ、ついで
少なくとも一方向に延伸を行った後、熱処理することを
特徴とする合成紙の製造方法が提供される(第2番目の
発明)。
【0014】
【発明の具体的説明】以下に本発明における合成紙の製
造方法とその構造および物性について具体的に述べる。 <原料>本発明において用いられる結晶性ポリエステル
樹脂とは、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェ
ノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼ
ライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボ
ン酸などのジカルボン酸単位と、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコール、トリメチレングリコール(プロ
ピレングリコール)、ブタンジオール、ペンタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコー
ル、ドデカメチレングリコール、ポリエチレングリコー
ルなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノー
ルなどの脂環式グリコール、ビスフェノール類、ハイド
ロキノン類などの芳香族ジオール類などのジオール単位
とから形成される結晶性を有するポリエステル樹脂であ
る。
【0015】これらのポリエステル樹脂としては、具体
的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート等を挙げることができ
る。これらのうちでは非晶性のシートが得られ易く、成
形性が優れ、結晶化度の高いポリエチレンテレフタレー
トが最も好ましい。このポリエチレンテレフタレート
は、テレフタル酸またはそのエステル誘導体以外のジカ
ルボン酸から誘導される構成単位を20モル%以下の量
で含有していてもよい。
【0016】テレフタル酸以外のジカルボン酸として
は、具体的に、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタ
ンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、
デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロ
ヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが
挙げられる。これらのテレフタル酸以外のジカルボン酸
は、そのエステル誘導体として用いてもよい。
【0017】また、エチレングリコール以外のジオール
から誘導される構成単位を、重合体中に2重量%未満の
量で含有していてもよい。このようなエチレングリコー
ル以外のジオールとして、具体的には、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリ
コール、トリメチレングリコール(プロピレングリコー
ル)、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチ
レングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族
グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式
グリコール、ビスフェノール類、ハイドロキノン類など
の芳香族ジオール類などが挙げられる。これらのジオー
ルは、そのエステル誘導体として用いてもよい。
【0018】また、本発明で用いられるポリエチレンテ
レフタレートは、必要に応じて、トリメシン酸、ピロメ
リット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロ
パン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールな
どの多官能化合物から誘導される構成単位を、少量、た
とえば2モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0019】本発明で用いられるポリエチレンテレフタ
レートは、o−クロロフェノール中で25℃で測定され
る固有粘度IVは、通常0.3ないし1.5dl/g、
好ましくは0.5ないし1.5dl/gであることが望
ましい。また、本発明で用いられるポリエチレンテレフ
タレートは、上記のようなジカルボン酸とジオールから
従来公知の製造方法により製造される。
【0020】また、主成分のポリエチレンテレフタレー
トとは、上記組成,製法で作製されたポリエチレンテレ
フタレートが実質的に100%であることが望ましい
が、重合時や成形時に生じるオリゴマーや分解物を合成
紙の性能を損なわない範囲内で含有することができる。
本発明は、単独材料からなりリサイクルが容易なことが
特徴であるが、リサイクル時に悪影響を及ぼさない範囲
内で、主成分のポリエチレンテレフタレート以外に、結
晶化の促進を目的としない添加剤、例えば抗酸化剤、帯
電防止剤,染料,滑剤等を含有させることも可能であ
る。
【0021】<シート成形>シートの成形は、Tダイを
装着した溶融押出成形が好ましい。押出条件は、従来公
知の条件が使用できる。冷却固化して得られたシート
は、通常無配向から弱い配向状態である。配向状態は成
形時のドラフトにより変化させることが可能であるが、
本発明においては、できるだけ低ドラフト率で成形する
ことが好ましい。これは、後述する溶剤の結晶化におい
て、シートが多孔化するのを防ぎ、延伸後のシートの貫
通孔の形成によるインクの裏面への透過を防止するため
である。シートの結晶化度は通常の公知の方法で得られ
る、非晶シートと呼ばれる範疇に属するものであり、お
おむね10%以下である。結晶化度はX線回折やDSC
による融解熱量から測定可能である。
【0022】<溶剤による結晶化>本発明では次に非晶
シートの表面層の結晶化度を高める工程を設ける。この
結晶性ポリエステル樹脂シートの表面層の結晶化度を高
める方法としては、表面のみを結晶化促進するような溶
媒をシートの表面に接触させる。結晶化を促進する溶剤
としては、一般的にはアセトン、1,4−ジオキサン、
ジメチルホルムアミド、1,2−ジクロロメタン等を使
用することができる。本発明における特に好ましい結晶
化溶剤としては、アセトンが挙げられる。アセトンを用
いて結晶化したシートの電子顕微鏡写真を図4に示し
た。また、結晶化促進能力の高い1,4−ジオキサン等
を結晶化促進能力のない溶剤で希釈して、アセトン程度
の適度な結晶化促進能力を持つ混合溶剤として使用する
ことも可能である。
【0023】これに対し、1,4−ジオキサン等の結晶
化促進能力が高い溶剤を単独で使用する場合、図5に電
子顕微鏡写真で示すような明確な球状の組織が発達す
る。そのため球状組織間に空隙が多数生じ、延伸後のシ
ートにおいて、インク透過の原因となるとともに、球状
組織間のつなぎ分子数が減少するため、引張強度の低下
の原因となる。このような問題は、シートの溶融成形時
にドラフト率を低くすると若干改善される傾向にある
が、延伸後のインク透過性と引張強度の観点から結晶化
促進能力が高すぎる溶剤は本発明においては、好ましく
ない。
【0024】溶剤を接触させるときの温度は、特に限定
されるものではないが、浸透速度や結晶化速度を重視す
る場合においては、ポリマー融点以下室温以上、例えば
30ないし100℃で処理することが好ましい。また、
溶剤気化の問題で安全性に配慮する場合は、室温程度の
低温で処理することもできる。接触時間は、各溶媒の各
温度での結晶化促進能力や処理する厚みにもよるが、例
えば100μ厚のシートの全部を結晶化する場合、室温
(23℃)のアセトンで30分程度接触させれば十分で
ある。溶剤による結晶化処理は、少なくともシートの片
面、好ましくはシート両面を行うことが好ましい。処理
方法としては、シートを溶剤中に浸漬しても良いし、シ
ート上に溶剤を流してもよい。また、溶剤を気化させて
処理することも可能である。
【0025】<延伸>溶剤による結晶化後の延伸は、引
張強度の増加と表面粗さの拡大を目的として実施され
る。延伸方法としては、固定幅一軸延伸,自由幅一軸延
伸,逐次二軸延伸,同時二軸延伸が可能である。延伸媒
体としては、空気中や結晶化溶剤中で延伸することが可
能である。より好ましくは、非晶状態のポリエステル樹
脂のシートに対して、延伸温度で結晶化促進能力はない
が、結晶性の特に低い領域を膨潤させる能力のあるイソ
プロパノール,イソブタノール等の溶媒が適している。
結晶化促進能力は、非晶シートと溶剤中に浸漬した後乾
燥したシートの結晶化度の変化を観察することで、ま
た、膨潤能力は、室温(23℃)の溶剤中で延伸し、延
伸部全体に延伸方向に対し直角方向に縞模様が多数観察
されることで明かとなる。
【0026】延伸温度は、空気中で延伸する場合、ポリ
エステル樹脂のガラス転移温度(約76℃)からポリエ
ステル樹脂の融点未満の範囲で延伸することが好まし
い。これは延伸部となる球状組織間のつなぎ領域の中の
欠陥部等に延伸応力の集中が起こり易く、破断の原因と
なりやすいためと考えられる。これに対し、上記の液状
媒体中での延伸は、ガラス転移温度以下の温度で延伸す
ることが好ましい。これは球晶組織間のつなぎ領域等が
膨潤しているため、欠陥部に応力集中が起こり難く、均
一に延伸され易いためと考えられる。ガラス転移温度以
上では、表面粗さがやシートのヘイズが低下するため好
ましくない。
【0027】延伸倍率は、少なくとも一軸方向に1.5
倍ないし4倍未満、好ましくは少なくとも一軸方向に
1.5倍ないし3倍、より好ましくは二軸方向にそれぞ
れ1.5倍ないし3倍である。延伸倍率が1.5倍以下
であると十分な引張強度と表面粗度が得られず、延伸倍
率が4倍以上になると引張強度は優れるが、表面粗さが
小さくなるため好ましくない。
【0028】<ヒートセット>延伸後のヒートセット
は、延伸後の残留応力を解消し、高温下での複写や印刷
時等の熱収縮を低減するために行われる。ヒートセット
は、少なくとも、一方向を拘束した状態で処理すること
が望ましい。また、ヒートセットを行うための熱媒体
は、空気,窒素ガスなどの気体やポリエステル樹脂を溶
解、変性しない液体が使用できる。
【0029】ヒートセット温度は、100℃ないし主成
分のポリエステル樹脂の融点未満、好ましくは150℃
ないし240℃、さらに好ましくは180℃ないし24
0℃の温度範囲で行われることが望ましい。ヒートセッ
ト温度が低いと処理時間が長時間必要であるとともに、
熱収縮率が改善されないおそれがある。また、ヒートセ
ット温度が高すぎると、引張強度が低下したり、溶融に
より表面粗さが低下するおそれがある。ヒートセット時
間は、ヒートセット温度との関係で決定され、熱収縮を
低減するためには、高温でのヒートセットでは短時間、
低温でのヒートセットでは長時間が必要である。具体的
には、厚さ50μのシートでは、220℃で5分程度、
200℃で10分程度処理すれば十分である。
【0030】<シート物性>上記方法により得られた合
成紙の構造および物性を示す。図1は、図4に示したシ
ートを一軸延伸した本発明の合成紙の表面の電子顕微鏡
写真であり、図2は、同じく図4に示したシートを二軸
延伸した本発明の合成紙の表面の電子顕微鏡写真であ
る。これからもわかるように、表面の構造としては、不
明確な球状組織の集合部と、延伸方向に対し垂直方向に
形成される溝状の縞とから構成される。この二つの部分
から構成されることにより、適度な表面粗さを達成する
ことができる。
【0031】図2に示した本発明の合成紙の断面の電子
顕微鏡写真を図3に示す。断面観察試料は、液体窒素中
で切りだしたサンプルを使用した。この写真よりわかる
ように、断面中心部に空洞が存在する以外は、孔は観察
されない。そのため、表面に印刷されたインク等が孔を
通じてシートの反対面に透過することはない。中心部に
空洞が生じる原因は、非晶のシートを溶剤に接触させる
ことにより膨潤し、続いて結晶化して行く際に、シート
表面から結晶化による高密度化がおこり、シート中心部
の非結晶化部が、シート表面層側に引きつけられながら
結晶化していくためと考えられる。このことは、厚さが
一定の合成紙とする場合、鉛筆筆記性に関係するシート
表面の高硬度と、合成紙の軽量化を両立するために有効
である。
【0032】本発明の合成紙の引張強度は、少なくとも
一方向の引張強度が600kg/cm2 以上、好ましく
は少なくとも一方向の引張強度が700kg/cm2
上、より好ましくは二軸方向引張強度がそれぞれ700
kg/cm2 以上である。これは、一般的に使用されて
いる複写用紙(PPC用紙)の引張強度と同様か同等以
上の値である。
【0033】本発明の合成紙の熱収縮率は、全方向にお
いて3%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1
%以下である。一般的な複写等では、200℃程度の高
温下で処理されるため、熱収縮率は小さいほど好まし
い。本発明の合成紙のヘイズは、80%以上、好ましく
は90%以上である。これは、ヘイズが小さいと合成紙
として必要な白色性が失われるため、印刷物等を重ねた
場合に、下部の印刷物が透けて見えるなどの欠点が生じ
る。
【0034】本発明の合成紙の表面粗さは、1μ以上、
好ましくは2μ以上、より好ましくは3μ以上である。
表面粗さが小さいと、鉛筆筆記性が悪化したり、印刷時
のインク等の吸収や定着が悪くなるため好ましくない。
上限は特に限定しないが、表面粗さが大きすぎると、印
刷や印字の抜けが生じたり、リサイクル時にインク等が
合成紙内部まで侵入することになり、脱インク処理等が
難しくなるおそれがある。そのため、最大でも20μ以
下、好適には10μ以下が好ましい。
【0035】本発明の合成紙は表面から裏面に達する貫
通孔を実質上含有しない。この貫通孔があると、インキ
が裏面に透過する、いわゆるインキ透過性という欠点を
生じる。インク透過性は、無いことが必要である。これ
は、印刷時の裏写り防止のために必要であると同時に、
上記脱インク処理が難しくなるおそれがあるためであ
る。
【0036】本発明の合成紙は上記特性を有するため鉛
筆筆記性が良好である。特に、H以上の硬度の鉛筆で筆
記が良好にできる。本発明の合成紙の厚さとしては、2
0μないし1000μ、好ましくは50μないし500
μ、より好ましくは50ないし200μである。厚さが
厚くなりすぎると、溶剤による結晶化に長時間必要とな
るとともに、単位面積あたりの重量が大きくなるため好
ましくない。また、薄くなりすぎるとインク透過性が生
じるおそれがあるため好ましくない。
【0037】
【発明の効果】本発明の合成紙は、従来のポリエステル
合成紙と同等の高引張強度,耐熱性,腰の強さを持ち、
特に鉛筆筆記性,印刷性などにおいて非常に優れた性質
を有している。また、主成分がポリエステル樹脂からな
り、合成紙の基本構造を作成することを目的として、他
種の樹脂や無機材料等を含有させないため、リサイクル
や廃棄時にその処理が容易となる。よってこれらの優れ
た特徴を生かし、ラベル,タッグ,ポスター,印刷用
紙,包装材料,建築材料などの極めて広い分野に使用す
ることが可能である。
【0038】
【実施例】次に実施例を示し本発明を詳細に説明する。
本発明で使用した測定法及び評価法は下記の通りであ
る。 (1)ポリエチレンテレフタレートの固有粘度 オルトクロロフェノール溶媒を用いて8g/dlの試料
溶液を調製し、25℃で測定した溶液粘度から固有粘度
IVを算出した。
【0039】(2)シートの厚さ 10×10cmの正方形の試料を切り出し、試料内の9
点の厚さを 東京精密(株)製MINIAX(型式DH
−150型)で測定し、平均値を厚さとした。
【0040】(3)空孔率 10×10cmの正方形の試料を切り出して、重量を測
定し、下式より計算した。但し試料密度を1.388g
/cm2 として計算した。 空孔率=(T0 −Tw)/T0 ×100 ここでT0 はシート厚さ、Twは重量から計算した空孔
率0%のシート厚さである。
【0041】(4)引張試験 引張試験はオリエンテック社製引張試験機テンシロン
(型式RTM100型)で室温(23℃)で測定した。
測定はJIS K7113に準拠して行った。
【0042】(5)熱収縮率 延伸フィルムのMD方向とTD方向が四辺に平行になる
ように、10cm×10cmの正方形の試料を切り出
す。次に針金の先端に試料の角部を接着剤で固定し、針
金部を支持し、200℃エアオーブン(タバイ製)中
で、30分間放置した。この後室温にもどして、試料の
各辺の長さを測定し、元の長さとの比をとることにより
MD方向、TD方向の熱収縮率をそれぞれ算出した。
【0043】(6)ヘイズ値 JIS−K7105に準じ、日本電色工業(株)製デジ
タル濁度計NDH−20Dを使用して、ヘイズ値(濁り
度)の測定を行った。
【0044】(7)表面粗さ 表面粗さは、小坂研究所製表面粗度計(型式SE−3A
型)を使用し、測定は、ピックアップDA(標準型)
で、測定力0.5g,触針3μR(ダイヤモンド製)で
行った。表面粗さは、10点平均粗さ(Rz)で計算し
た。
【0045】(8)インク透過性 油性マーカーの先端を合成紙表面に1分間接触させ、も
う一方の面からインクが透過しているかどうか目視で確
認し、透過する場合にはインク透過性あり、透過しない
場合には透過性なしとした。油性マーカーとしては、マ
ッキー極細(ゼブラ製)の細字先端部を使用した。
【0046】(9)鉛筆筆記性 手書きによる筆記性を判定した。筆記には、ユニ0.5
−100HB及びHのシャープペン替芯(三菱鉛筆製)
を使用し、筆記ができないかHB,Hともに劣悪である
場合を×、HBのみ可能な場合を△、HB,Hともに良
好な場合を○とした。
【0047】<実施例1>固有粘度が0.79dl/g
のポリエチレンテレフタレートを減圧下200℃で24
時間乾燥後、30mmφ一軸押出機で押出温度285℃
でTダイシートを成形した。成形条件としては、スクリ
ュウ回転数50rpm,ダイス幅25cm,リップ0.
75cm,引き取り速度3.3m/min,冷却ロール
温度60℃,エアーナイフ冷却を使用した。次に、該シ
ートを23℃のアセトン中に30分間浸漬して結晶化さ
せた後、23℃空気中で約2時間自然乾燥し、続いて5
0ないし70℃のイソブタノール中に浸漬し、一軸延伸
及び逐次二軸延伸を行った。延伸後、メタノールでイソ
ブタノールを置換し、23℃で自然乾燥した。続いて、
フィルム全方向を固定端でヒートセットを行った。ヒー
トセットは200℃のエアオーブン(タバイ製)中で3
0分間処理した。作成したシートの物性を表1に示す。
【0048】 図中の記号 M:シート押出方向 T :シート押出方向に対し直角方向
【0049】<比較例1>シート作成後の処理を行わな
いこと以外は実施例1と同様な方法で作成した。その結
果を表2に示す。
【0050】
【0051】<比較例2>結晶化溶剤のアセトンで処理
した後の処理を行わないこと以外は実施例1と同様な方
法で作成した。その結果を表3に示す。
【0052】
【0053】<比較例3>アセトンのかわりに結晶化溶
剤として、1,4−ジオキサンを使用する以外は、比較
例2或いは実施例1と同様な方法で作成した。延伸前後
のシートの物性を表4に示す。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】図4のシートを一軸延伸することによって得ら
れた本発明の合成紙表面の電子顕微鏡写真である。
【図2】図4のシートを二軸延伸することによって得ら
れた本発明の合成紙表面の電子顕微鏡写真である。
【図3】図2に示した合成紙の断面電子顕微鏡写真であ
る。
【図4】本発明のアセトン処理したポリエチレンテレフ
タレートシートの表面の電子顕微鏡写真である。
【図5】1,4−ジオキサンで処理したポリエチレンテ
レフタレートシートの表面の電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリエステル樹脂を主成分とし、
    下記特性を有することを特徴とする合成紙。 (1)少なくとも一方向の引張強度が600kg/cm2以上 (2)全方向の200℃における熱収縮率が3%以下 (3)ヘイズが80%以上 (4)表面粗さが1.0μ以上20μ以下 (5)表面から裏面への貫通孔が存在しない
  2. 【請求項2】 結晶性ポリエステル樹脂がポリエチレン
    テレフタレートである請求項1記載の合成紙。
  3. 【請求項3】 無機充填剤の含有量が1重量%未満であ
    る請求項1記載の合成紙。
  4. 【請求項4】 厚みが30ないし500μの範囲にある
    請求項1記載の合成紙。
  5. 【請求項5】 結晶性ポリエステル樹脂を溶融成形して
    結晶化度10%以下のシートを製造し、次いで該シート
    の表面に結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を促進する溶
    剤を接触させることにより、該シートの少なくとも片面
    の表面のみを結晶化させ、ついで少なくとも一方向に延
    伸を行った後、熱処理することを特徴とする合成紙の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 結晶化を促進する溶剤がアセトンである
    請求項5記載の合成紙の製造方法。
  7. 【請求項7】 延伸倍率が少なくとも一軸方向に1.5
    倍以上4倍未満である請求項5または6記載の合成紙の
    製造方法。
JP17564195A 1995-06-20 1995-06-20 ポリエステルよりなる合成紙及びその製造方法 Withdrawn JPH093230A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20060072547A (ko) * 2004-12-23 2006-06-28 에스케이케미칼주식회사 폴리에스테르 펠렛의 표면 결정화 방법
US9775896B2 (en) 2004-06-07 2017-10-03 Qu Biologics Inc. Tissue targeted antigenic activation of the immune response to treat cancers
JP2019123092A (ja) * 2018-01-12 2019-07-25 コニカミノルタ株式会社 斜め延伸フィルムの製造方法

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