JPH09314688A - ポリエステル樹脂反射板およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂反射板およびその製造方法

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JPH09314688A
JPH09314688A JP12943196A JP12943196A JPH09314688A JP H09314688 A JPH09314688 A JP H09314688A JP 12943196 A JP12943196 A JP 12943196A JP 12943196 A JP12943196 A JP 12943196A JP H09314688 A JPH09314688 A JP H09314688A
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JP
Japan
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sheet
solvent
thickness
polyester resin
crystallization
Prior art date
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Application number
JP12943196A
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English (en)
Inventor
Akinao Hashimoto
暁直 橋本
Hitoshi Mantoku
均 萬徳
Kazuo Yagi
和雄 八木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パーソナルコンピューター等の液晶表示装置
用部材や投影用スクリーン、面状光源の部材等に使用さ
れる光拡散反射板、とくに、高い光線反射率を有する結
晶性ポリエステル樹脂よりなる耐熱性に優れる光拡散反
射板を提供する。 【解決手段】 結晶性ポリエステル樹脂からなり、少な
くとも、表面に突起した球晶のサイズが0.5μm以上
20μm以下である反射板。さらに、光線反射率が95
%以上および球晶が形成されている層の厚さが、合計で
少なくとも30μm以上である反射板。さらに好ましく
は、これに加えて、全方向の150℃における熱収縮率
が3%以下、厚みが40ないし500μmおよび少なく
とも一方向の引張強度が20MPa以上である反射板。
この反射板は、結晶性ポリエステル樹脂を溶融成形して
結晶化度が10%以下のシートを製造し、次いで該シー
トの表面に結晶化を促進する溶剤を接触させることによ
り、該シートの厚さ方向に30μm以上の厚さで結晶化
させた後、結晶化を促進する溶剤を乾燥し、さらに熱処
理することによって製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーソナルコンピ
ューター等の液晶表示装置用部材や投影用スクリーン、
面状光源の部材等に使用される光拡散反射板に関するも
のであり、より詳しくは、高い光線反射率を有する結晶
性ポリエステル樹脂よりなる耐熱性に優れる光拡散反射
板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光反射板は、パーソナルコンピュ
ーター等の液晶表示装置用部材や投影用スクリーン、面
状光源の部材等に様々な分野で使用されている。例え
ば、液晶表示装置では表示装置の大面積化、表示性能の
向上が望まれている。この解決策の一つとしては、バッ
クライトユニットの性能向上をはかり、少しでも多くの
光を液晶部に供給することがあり、そのためには、光反
射板の光反射率をできる限り、高くする必要があった。
従来、光反射板としては、金属板等が使用されてきた。
しかしながら、単位面積あたりの重量が大きいく、軽量
化へ悪影響を及ぼすとともに、金属板をとおして、電流
が漏洩する等の問題があった。これらの問題を解決する
ため、樹脂により反射板を作成する試みが行われてい
る。
【0003】樹脂により反射板を作成するには、表面粗
化されたシートやシート内部に光散乱反射を生じさせる
構造を持つシートを製造する必要がある。樹脂よりなる
反射板の作成に使用可能な方法としては、種々の方法が
提案されている。例えば、複数の材料より作成する方法
としては、樹脂シートに光散乱性の白色塗料を塗布する
方法や、樹脂に充填剤を添加し、シート成形後延伸する
ことにより微細な空泡を形成する方法がある。前者の方
法では、散乱反射は白色光散乱塗料の塗布厚さで制限さ
れるため、その厚さには限界があり、長期使用において
は、その脱落による反射率低下のおそれがあった。
【0004】後者の例としては、例えば特開平7−28
7110号公報には、多孔の樹脂シートからなる光反射
シートが開示されている。この光反射シートは、熱可塑
性樹脂100重量部に対し、無機系充填剤100ないし
300重量部を含んでおり、充填剤および充填剤と樹脂
との間に生じる空隙により光散乱反射を生じさせてい
る。
【0005】この場合には、光反射層を十分な厚さで作
成することができるが、無機充填剤や高分子充填剤を多
量に添加するため、その脱落に取よる反射率の低下や脱
落物質が周辺の部材に悪影響を及ぼすおそれがあるし、
また、リサイクルする上で樹脂以外の充填剤が入ってい
ることは不利であった。
【0006】これらの問題を解決する方法として、例え
ば、表面化学的処理やサンドブラスト処理等がある。前
者は、強酸やアルカリを使用して表面に化学反応を起
し、後者は砂を衝突させることにより、表面に凹凸を形
成させる方法である。これらの方法では、光拡散反射を
起こさせる厚みが十分にとれないため、光散乱反射性が
非常に小さい。
【0007】また、特公平5−69705号公報には、
表面に光拡散反射層を有するプラスチック構造体が開示
されている。この方法は、プラスチック構造体を、該プ
ラスチックの強溶媒である第1の溶媒に浸漬後、プラス
チックの貧溶媒でかつ第1の溶媒と相溶性のある第2の
溶媒に浸漬することにより、表面に微小節理よりなる光
反射層を形成する方法である。
【0008】微小節理とは、表面近傍を膨潤させた後、
急激に収縮させることで生じる微小な亀裂の集合であ
り、第1の溶媒に浸漬することで、プラスチックの分子
間に溶媒の分子が浸入して表面近傍が膨張し、第2の溶
媒に浸漬すると、プラスチックの分子間に存在していた
第1の溶媒が第2の溶媒に置換され、プラスチックの分
子が急激に収縮し、このため多数の亀裂が生じ、これが
微小節理になると記載されている。
【0009】この方法で得た構造体を反射板に応用した
場合には、この反射板は、樹脂のみから構成され得るた
め、耐熱性がよく、異物の脱落がなく、さらに微小節理
による光散乱反射により非常に優れた光反射率を有する
光り反射板となる可能性があった。しかし、本発明者ら
がそこに開示された実施例を追試した結果、光反射率は
95%に留まり、この原因としては、本発明者らが推定
するところ、また該特許の発明者らが明細書中で述べて
いるように、第1の溶媒に浸漬する時間を長くしたり、
強溶媒を使用して微小節理層の厚さを増加させようとす
ると表面プラスチックが過度に溶解或いは脱落し、微小
節理層は最大でも約20μm程度に留まり、厚くするこ
とができないためであると考えられる。
【0010】以上に述べたように、耐熱性がよく、異物
の脱落がない、光線反射率が十分なレベルまで到達した
反射板はこれまでなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、上記問題を解決するため、ポリエステル樹脂を原料
とし、充填剤や光拡散剤等を実質上含有あるいは塗布さ
せることなくシートを作成し、シートに特定の構造を持
たせることにより、異物脱落の問題がなく、優れた耐熱
性と光線反射率を有する光反射板を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために提案されたものであって、結晶性ポリエス
テル樹脂よりなる非晶シートの表面および内部に特定サ
イズの球晶を多数形成させることにより、光拡散反射を
生じさせることが可能であるという本発明者らによって
得られた知見、および、シート内部に形成される球晶層
厚さが特定の厚さ以上になると、従来のポリエステル樹
脂よりなる反射板より著しく優れた光線反射率となり、
耐熱性がよく、異物の脱落のない光反射板として最適で
あるという知見に基づいて完成されたものである。
【0013】すなわち、本発明によれば、結晶性ポリエ
ステル樹脂からなり、表面に突起した球晶のサイズが
0.5μm以上、20μm以下であることを特徴とする
反射板が提供される。
【0014】また、本発明によれば、さらに光線透過率
が95%以上、球晶が形成されている層の厚さが合計で
30μm以上である上記反射板が提供される。
【0015】また、本発明によれば、さらに全方向の1
50℃における熱収縮率が3%以下、厚みが40ないし
500μm、少なくとも一方向の引張強度が20MPa
以上である上記反射板が提供される。
【0016】また、本発明によれば、結晶性ポリエステ
ル樹脂がポリエチレンテレフタレートである上記反射板
が提供される。
【0017】また、本発明によれば、結晶性ポリエステ
ル樹脂を溶融成形して結晶化度が10%以下のシートを
製造し、次いで該シートの表面に結晶化を促進する溶剤
を接触させることにより、該シートの厚さ方向に30μ
m以上の厚さで結晶化させた後、結晶化を促進する溶剤
を乾燥し、さらに熱処理することを特徴とする反射板の
製造方法が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】結晶性ポリエステル樹脂の非晶シ
ートを結晶化させ、球晶を生じさせる方法は、熱処理に
よる方法や結晶化を促進する溶剤中で結晶化させる方法
が既に公知である。結晶化を促進する溶剤中で結晶化す
る方法としては、例えばH.G.Zachman,Ko
lloid Zu.Z.Polymer,189,67
(1963)やR.P.Shelden,Polyme
r,3,27(1962)やH.Jameel,J.A
pplied Polymer Science,2
7,773(1982)等において述べられている。こ
れらの文献中においては、処理により球晶がシート内部
に形成されることやシート表面が粗面化されることが述
べられている。
【0019】本発明者らはこれらの技術を改良し、結晶
性ポリエステル樹脂を溶融成形してシートを製造し、次
いで該シートを結晶化を促進する溶剤中に浸漬すること
により、表面に特定の大きさの球晶を生じるように結晶
化させた後、直ちに結晶化を促進する溶剤を乾燥し、さ
らに熱処理することをにより、優れた反射板を得るに到
った。
【0020】以下に、本発明における反射板の製造方法
とその構造および物性について具体的に述べる。
【0021】<原料>本発明において用いられる結晶性
ポリエステル樹脂とは、テレフタル酸、フタル酸、イソ
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボ
ン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジ
カルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバ
シン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪
族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂
環族ジカルボン酸などのジカルボン酸単位と、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、テトラエチレングリコール、トリメチレングリ
コール(プロピレングリコール)、ブタンジオール、ペ
ンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチ
レングリコール、ドデカメチレングリコール、ポリエチ
レングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサ
ンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノー
ル類、ハイドロキノン類などの芳香族ジオール類などの
ジオール単位とから形成される結晶性を有するポリエス
テル樹脂である。
【0022】これらのポリエステル樹脂としては、具体
的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート等を挙げることができ
る。これらのうちでは非晶性のシートが得られ易く成形
性が優れ結晶化度の高いポリエチレンテレフタレートが
最も好ましい。
【0023】このポリエチレンテレフタレートは、テレ
フタル酸またはそのエステル誘導体以外のジカルボン酸
から誘導される構成単位を20モル%以下の量で含有し
ていてもよい。テレフタル酸以外のジカルボン酸として
は、具体的に、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタ
ンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、
デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロ
ヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが
挙げられる。これらのテレフタル酸以外のジカルボン酸
は、そのエステル誘導体として用いてもよい。
【0024】また、エチレングリコール以外のジオール
から誘導される構成単位を、重合体中に2重量%未満の
量で含有していてもよい。このようなエチレングリコー
ル以外のジオールとして、具体的には、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリ
コール、トリメチレングリコール(プロピレングリコー
ル)、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチ
レングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族
グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式
グリコール、ビスフェノール類、ハイドロキノン類など
の芳香族ジオール類などが挙げられる。これらのジオー
ルは、そのエステル誘導体として用いてもよい。
【0025】また、本発明で用いられるポリエチレンテ
レフタレートは、必要に応じて、トリメシン酸、ピロメ
リット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロ
パン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールな
どの多官能化合物から誘導される構成単位を少量、たと
えば2モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0026】このようなポリエチレンテレフタレート
は、実質上線状であり、このことは該ポリエチレンテレ
フタレートが、o−クロロフェノールに溶解することに
よって確認される。
【0027】本発明で用いられるポリエチレンテレフタ
レートは、o−クロロフェノール中で25℃で測定され
る固有粘度(IV)は、通常0.3ないし1.5dl/
g、好ましくは0.5ないし1.5dl/gである。ま
た、本発明で用いられるポリエチレンテレフタレート
は、上記のようなジカルボン酸とジオールから従来公知
の製造方法により製造される。
【0028】また、主成分のポリエチレンテレフタレー
トとは、上記組成,製法で作製されたポリエチレンテレ
フタレートが実質的に100%であることが望ましい
が、重合時や成形時に生じるオリゴマーや分解物を反射
板の性能を損なわない範囲内で含有することができる。
本発明の反射板には、主成分のポリエステル樹脂以外
に、結晶化の促進を目的としない添加剤、例えば抗酸化
剤、帯電防止剤,染料,滑剤等を含有させることも可能
である。
【0029】<シート成形>シートの成形は、Tダイを
装着した溶融押出成形が好ましい。押出条件は、従来公
知の条件が使用できる。冷却固化して得られたシート
は、通常無配向から弱い配向状態である。配向状態は成
形時のドラフト比や冷却条件等により変化させることが
可能である。ドラフト比が小さければ、溶剤による結晶
化で形成する球晶サイズは大きくなり、ドラフト比が大
きくなれば、球晶サイズは小さくなる。シートの結晶化
度は通常の公知の方法で得られるが、非晶シートと呼ば
れる範疇に属するものである。結晶化度はX線回折やD
SCによる融解熱量から測定可能である。
【0030】<溶剤による結晶化>本発明では次に非晶
シートの結晶化度を高める工程を設ける。この結晶性ポ
リエステル樹脂シートの結晶化度を高める方法として
は、結晶化を促進するような溶剤を接触させる。結晶化
を促進する溶剤としては、アセトン、1,4−ジオキサ
ン、ジメチルホルムアミド、1,2−ジクロロメタン、
フェノール、ジメチルスルフォキシド等があり、結晶性
ポリエステル樹脂よりなる非晶シートの結晶化を促進で
きる溶剤であれば、いずれの溶剤でも使用することがで
きる。
【0031】本発明における特に好ましい溶剤として
は、アセトンが挙げられる。また、結晶化促進能力の高
い1,4−ジオキサン等を結晶化促進能力の低い溶剤や
結晶化促進能力のない媒体で希釈して、アセトン程度の
適度な結晶化促進能力を持つ混合溶剤として使用するこ
とも可能である。
【0032】これに対し、1,4−ジオキサン等の結晶
化促進能力が高い溶剤を単独で使用する場合、球状組織
間に欠陥が多数生じ、球状組織間のつなぎ分子数が減少
するため、引張強度の低下の原因となる。このような問
題は、シートの溶融成形時にドラフト率を低くすると若
干改善される傾向にあるが、結晶化促進能力が高すぎる
溶剤は本発明においては、好ましくない。
【0033】結晶化促進溶剤を接触させるときの温度
は、特に限定されるものではないが、浸透速度や結晶化
速度を重視する場合においては、ポリマー融点以下の室
温以上、例えば、30ないし100℃で処理することが
好ましい。また、溶剤気化の問題で安全性に配慮する場
合は室温程度の低温で処理することができる。接触時間
は、各溶媒の各温度での結晶化促進能力や処理する厚み
にもよるが、例えば100μ厚のシートの全部を結晶化
する場合、室温(23℃)のアセトンで30分程度接触
させれば十分である。
【0034】結晶化を促進する溶剤による結晶化処理
は、少なくともシートの片面、或いはシート両面を行う
ことが好ましい。処理方法としては、シートを結晶化促
進溶剤中に浸漬しても良いし、シート上に溶剤を流して
もよい。また、結晶化を促進する溶剤を気化させて処理
することも可能である。
【0035】また球晶を形成させる層の厚さや球晶のサ
イズ等を調節する目的として、結晶化促進溶剤と相溶性
があり、結晶化促進能力のない液状媒体と置換すること
ができる。結晶化処理後の溶剤の乾燥は、結晶化促進溶
剤を直接乾燥することができる。ただし、乾燥速度の遅
い溶剤の場合、乾燥速度を早くする目的において、結晶
化促進溶剤と相溶性のある他の溶剤と置換して乾燥する
ことができる。本発明においては、引張強度改善と表面
粗さの拡大を目的として、結晶化を促進する溶剤による
結晶化処理後に少なくとも一軸に延伸を行ってもよい。
【0036】<ヒートセット>結晶化処理後のヒートセ
ットは、高温下での熱収縮を低減するために行われる。
ヒートセットは少なくとも、一方向を拘束した状態で処
理することが望ましい。また、ヒートセットを行うため
の熱媒体は、空気,窒素ガスなどの気体やポリエステル
樹脂を溶解、変性しない液体が使用できる。
【0037】ヒートセット温度は、100℃ないしポリ
エステル樹脂の融点未満、好ましくは150℃ないし2
40℃、さらに好ましくは180℃ないし200℃の温
度範囲で行われる。ヒートセット温度が低いと処理時間
が長時間必要であるとともに、熱収縮率が改善されない
おそれがある。また、ヒートセット温度が高すぎると、
引張強度が低下したり、溶融により表面粗さが低下する
おそれがある。
【0038】ヒートセット時間は、ヒートセット温度と
の関係で決定され、熱収縮を低減するためには、高温で
のヒートセットでは短時間、低温でのヒートセットでは
長時間が必要である。具体的には、厚さ50μのシート
では、220℃で5分程度、200℃で10分程度処理
すれば十分である。
【0039】<シート物性>次に、上記方法により得ら
れた反射板の構造および物性を示す。本発明の反射板の
表面および断面を走査型電子顕微鏡で観察すると、表面
には、突起した球晶が観察される。断面は、中心部に空
洞が存在する以外は、孔は観察されない。中心部に空洞
が生じる原因は、非晶のシートを溶剤に接触させること
により膨潤し、続いて直ちに結晶化して行く際に、シー
ト表面から結晶化による高密度化がおこり、シート中心
部の非結晶化部が、シート表面層側に引きつけられなが
ら結晶化していくためと考えられる。この中心部に形成
された空洞は、粗面フィルムの表面と同様に光を散乱さ
せる作用があるため光線反射率に好影響を及ぼすと考え
られる。
【0040】本発明の反射板の光線反射率は、通常95
%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%
以上である。光線反射率は、反射板の性能の主体である
ため高ければ高いほどよい。表面に突起した球晶のサイ
ズは、0.5μm以上20μm以下、好ましくは1.5
μm以上10μm以下である。球晶サイズが小さすぎる
と光拡散反射が得られなくなるため好ましくない。
【0041】球晶が形成されている層の厚さは、通常は
合計で少なくとも30μm以上、好ましくは50μm以
上である。ただし球晶が形成される層の結晶化が進みす
ぎると球晶間を結ぶ領域が少なくなり、引張強度が低下
する原因となるおそれがあるため、反射板の厚みにもよ
るが、球晶が形成されていない層を反射板の内部あるい
は、片側の表面に1μm以上の厚さで残存させることが
好ましい。
【0042】本発明の反射板の150℃における熱収縮
率は、通常全方向において3%以下、好ましくは2%以
下、より好ましくは1%以下である。面状光源やバック
ライト部材おいては、反射板は光源に隣接して配置され
るため、高温下での熱収縮率は小さいほど好ましい。
【0043】本発明の反射板の厚さとしては、通常40
μmないし500μm、好ましくは40μmないし30
0μm、より好ましくは100μmないし200μであ
る。厚さが厚くなりすぎると、単位面積あたりの重量が
大きくなるため好ましくない。また、薄くなりすぎると
引張強度が低下するとともに、光線反射率が低くなるお
それがあるため好ましくない。
【0044】本発明の反射板の引張強度は、少なくとも
一方向の引張強度が20MPa以上、好ましくは少なく
とも一方向の引張強度が30MPa以上、より好ましく
は全方向の引張強度がそれぞれ40MPa以上である。
【0045】空孔率は特に規定しないが、空孔率が25
%を超えると反射板の内部に存在する空洞層だけでな
く、球晶間に欠陥が生じ始め、引張強度が低下するおそ
れがあるため、好ましくは20%以下、より好ましくは
15%以下に抑えることが望ましい。本発明の反射板
は、表面から裏面に達する貫通孔を実質上有しないこと
が、フィルムの引張強度等、の強度の面から見て好まし
い。
【0046】
【発明の効果】本発明の反射板は、従来の反射板と比較
して耐熱性,腰の強さを持ち、特に光線反射率において
非常に優れた性質を有している。また、主成分がポリエ
ステル樹脂からなり、反射板の基本構造を作成すること
を目的として、他種の樹脂や無機材料、金属等を含有さ
せないため、異物の脱落がないと同時に、リサイクルや
廃棄時に環境汚染の問題がなく、その処理が容易とな
る。よってこれらの優れた特徴を生かし、パーソナルコ
ンピューターや壁掛けテレビ等の液晶表示装置のバック
ライトユニット用光反射板や投影用スクリーンなどの極
めて広い分野に使用することが可能である。
【0047】
【実施例】次に実施例を示し本発明を詳細に説明する
が、本発明はこの実施例によって限定されるものではな
く、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜の変更
が許容されることは理解されるべきである。
【0048】本発明で使用する測定法及び評価法を示
す。 (1)ポリエチレンテレフタレートの固有粘度 オルトクロロフェノール溶媒を用いて8g/dlの試料
溶液を調製し、25℃で測定した溶液粘度から固有粘度
(IV)を算出した。
【0049】(2)シートの厚さ 10×10cmの正方形の試料を切り出し、試料内の9
点の厚さを 東京精密(株)製MINIAX(型式DH
−150型)で測定し、平均値を厚さとした。
【0050】(3)空孔率 10×10cmの正方形の試料を切り出して、重量を測
定し、下式より計算した。但し試料密度を1.388g
/cm2 として計算した。 空孔率=(T0 −Tw)/T0 ×100 ここでT0 はシート厚さ、Twは重量から計算した空孔
率0%のシート厚さである。
【0051】(4)引張試験 引張試験はオリエンテック社製引張試験機テンシロン
(型式RTM100型)で室温(23℃)で測定した。
測定はJIS K7113に準拠して行った。
【0052】(5)熱収縮率 試料のMD方向とTD方向が四辺に平行になるように、
10cm×10cmの正方形の試料を切り出す。次に針
金の先端に試料の角部を接着剤で固定し、針金部を支持
し、150℃エアオーブン(タバイ製)中で、10分間
放置した。この後室温にもどして、試料の各辺の長さを
測定し、元の長さとの比をとることによりMD方向、T
D方向の熱収縮率をそれぞれ算出した。
【0053】(6)走査型電子顕微鏡観察 表面に突起した球晶サイズは走査型電子顕微鏡(日立
S−800)により撮影した表面写真から球晶のサイズ
を測定した。また、球晶が形成されている層の厚さは、
液体窒素中で切りだしたサンプルを使用し、偏光顕微鏡
で球晶の形成を確認後、断面の表面写真より測定した。
【0054】(7)光線反射率 光線反射率は、分光光度計(島津UV−356 16
型)を使用して測定し、波長550nmの光の反射率を
採用した。また、標準反射板としては硫酸バリウムを使
用し、硫酸バリウムの反射率を100%ととし、相対値
を示した。
【0055】実験例1 固有粘度が0.79dl/gのポリエチレンテレフタレ
ートを減圧下200℃で24時間乾燥後、30mmφ一
軸押出機で押出温度285℃でTダイシートを成形し
た。成形条件としては、スクリュウ回転数50rpm,
ダイス幅25cm,リップ0.75cm,引き取り速度
3.3m/min,冷却ロール温度60℃,エアーナイ
フ冷却を使用した。次に、該シートを結晶化溶剤のアセ
トン中に所定時間浸漬して結晶化させた後、23℃空気
中で約2時間自然乾燥し、さらに23℃で自然乾燥し
た。続いて、シート全方向を固定端でヒートセットを行
った。ヒートセットは200℃のエアオーブン(タバイ
製)中で30分間処理した。作成した反射板の物性を表
1に示す。
【0056】 MD: 機械軸方向 TD: 機械軸と垂直方向
【0057】実験例2 結晶化処理溶剤をジメチルスルフォキシドに変更し、乾
燥を容易にするため、メタノールに置換して乾燥した以
外は実施例1と同様な方法で反射板を作成した。作成し
た反射板の物性を表2に示す。
【0058】 MD: 機械軸方向 TD: 機械軸と垂直方向
【0059】実験例3 シートの成型時、スクリュウ回転数を15rpmに変更
した以外は、実施例1と同様な方法で反射板を作成し
た。作成した反射板の物性を表3に示す。
【0060】 MD: 機械軸方向 TD: 機械軸と垂直方向

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリエステル樹脂からなり、表面
    に突起した球晶のサイズが0.5μm以上、20μm以
    下であることを特徴とする反射板。
  2. 【請求項2】 光線透過率が95%以上、球晶が形成さ
    れている層の厚さが合計で30μm以上である請求項1
    記載の反射板。
  3. 【請求項3】 全方向の150℃における熱収縮率が3
    %以下、厚みが40ないし500μm、少なくとも一方
    向の引張強度が20MPa以上である請求項1または2
    記載の反射板。
  4. 【請求項4】 結晶性ポリエステル樹脂がポリエチレン
    テレフタレートである請求項1ないし3のいずれか1記
    載の反射板
  5. 【請求項5】 結晶性ポリエステル樹脂を溶融成形して
    結晶化度が10%以下のシートを製造し、次いで該シー
    トの表面に結晶化を促進する溶剤を接触させることによ
    り、該シートの厚さ方向に30μm以上の厚さで結晶化
    させた後、結晶化を促進する溶剤を乾燥し、さらに熱処
    理することを特徴とする反射板の製造方法。
JP12943196A 1996-05-24 1996-05-24 ポリエステル樹脂反射板およびその製造方法 Pending JPH09314688A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7261934B2 (en) * 2003-09-11 2007-08-28 Teijin Dupont Films Japan Limited Polyester film
JP2009076378A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Panasonic Electric Works Co Ltd 光源カバー用の成形体及びこの成形体を備えた照明器具
JP2009076343A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Panasonic Electric Works Co Ltd 光源カバー用の成形体及びこの成形体を備えた照明器具
US10619275B2 (en) 2014-06-26 2020-04-14 3M Innovative Properties Company Thermally stable nonwoven web comprising meltblown blended-polymer fibers

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