JP2007021952A - 脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム及び反射板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い反射率を有し、しかも製造時に目ヤニ、ブツ等の発生による製造トラブルが生じない脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを提供する。
【解決手段】 脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂と、脂肪族ポリエステル系樹脂に非相溶の樹脂とを含有する樹脂組成物AからなるA層を、脂肪族ポリエステル系樹脂及び酸化チタンを含有する樹脂組成物BからなるB層の少なくとも一方の面に有するフィルムであって、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸されている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムに関し、特に、液晶表示装置、照明器具、照明看板等に使用される脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムに関するものである。また、前記反射フィルムを有する反射板に関するものである。
近年、液晶表示装置用の反射板、投影用スクリーンや面状光源の部材、照明器具用反射板および照明看板用反射板等に反射フィルムが使用されている。例えば、液晶ディスプレイ用の反射板では装置の大画面化及び表示性能の高度化の要求から、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させるために、高い反射性能の反射フィルムが求められている。
反射フィルムとしては、芳香族ポリエステル系樹脂に酸化チタンを添加して形成された白色シート(例えば特許文献1参照)が知られているが、要求されるような高い光反射性を有するものではなく、反射指向性が低いものでもなかった。また、フィルムを形成する芳香族ポリエステル系樹脂の分子鎖中に含まれる芳香環が紫外線を吸収するため、液晶表示装置等の光源から発せられる紫外線によってフィルムが劣化し、黄変して、反射フィルムの光反射性が低下するという欠点があった。
一方、脂肪族ポリエステル系樹脂に、ポリエステル系樹脂と非相溶の樹脂を添加して2軸延伸させることにより空隙を形成したフィルムが知られているが(例えば、特許文献2参照)、このフィルムは反射特性に注目したものではない。すなわちこのフィルムは、受像フィルム、ラベル等に使用される白色フィルムであって反射フィルムではない。
また、高い光反射性を達成するために、多量の微粉状充填剤を配合してなる白色シートが知られている(例えば特許文献3参照)。脂肪族ポリエステル系樹脂に微粉状充填剤、例えば酸化チタンを多量に配合した場合には、反射フィルムを製造する際に、酸化チタンが、押出機、Tダイ等の口金内壁面に付着して凝集堆積し、この堆積物が間欠的に溶融樹脂組成物と共に押し出されて、いわゆる「プレートアウト現象」が生じたり、酸化チタンが口金リップに付着して堆積し、いわゆる「メヤニ」が発生することがある。このプレートアウト現象による堆積物やメヤニは、形成後のフィルム製品表面のブツとなって製品の外観を損ねたり、フィルムを延伸製膜する時にフィルム破断の起点となって破断トラブルを発生させることがあった。そのため、これらの問題を生じずに安定して生産できる反射フィルムが求められていた。
特開2002−138150号公報 特開2002−146071号公報 WO2004/104077号公報
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、優れた光反射性を有し、かつ、安定して生産することができる脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを提供することにある。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂と、脂肪族ポリエステル系樹脂に非相溶の樹脂とを含有する樹脂組成物AからなるA層を、脂肪族ポリエステル系樹脂及び酸化チタンを含有する樹脂組成物BからなるB層の少なくとも一方の面に有しており、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸されていることを特徴とする。
ここで、前記脂肪族ポリエステル系樹脂に非相溶の樹脂はポリオレフィン系樹脂であることができる。
また、前記脂肪族ポリエステル系樹脂に非相溶の樹脂の含有量は、前記樹脂組成物A中、1質量%以上、30質量%以下であることができる。
本発明において、前記酸化チタン中のニオブ含有量は500ppm以下であることが好ましい。
本発明において、前記酸化チタンの表面は、シリカ、アルミナ、及び、ジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類の不活性無機酸化物で被覆されていることが好ましい。
また、前記酸化チタンの表面を被覆する不活性無機酸化物は、シリカを必須とする2種類以上の不活性無機酸化物からなることが好ましい。
本発明において、前記脂肪族ポリエステル系樹脂は乳酸系重合体であることができる。
本発明の反射板は、上記いずれかに記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、高い光反射性を有すると共に、延伸製膜時に破断を起こすことなく安定して生産することができる脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを得ることができる。また、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを用いて、高い光反射性を有する液晶表示装置、照明器具、照明看板等に使用される反射板を得ることができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明を詳しく説明する。なお、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂と、この脂肪族ポリエステル系樹脂に非相溶の樹脂を含有する樹脂組成物AからなるA層を、脂肪族ポリエステル系樹脂及び酸化チタンを含有する樹脂組成物BからなるB層の少なくとも一方の面に有する。但し、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸されている。なお、A層は最外表面に配置されていることが好ましい。
本発明において、脂肪族ポリエステル系樹脂に非相溶の樹脂(以下「非相溶樹脂」と称すこともある)とは、樹脂組成物を混練した後、シート化した状態で相分離を示す樹脂のことを言い、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられる。本発明においては、非相溶樹脂としてポリオレフィンを使用することが好ましい。
酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸又は脂環族ジカルボン酸と、グリコールとを主たる構成成分とするポリエステルが使用される。
この芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等が挙げられ、これらの中では、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を使用することが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等が挙げられる。また、脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができる。
本発明においては酸成分として、例えば上記酸成分の中から1種類のみを採用しても良いし、2種類以上を採用してもよく、更に、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合させてもよい。
上記ポリエステルを構成するグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。本発明においてはグリコール成分として、例えばこれらのグリコール成分の中から1種類のみを採用しても良いし、あるいは、2種類以上を採用してもよい。
本発明に使用されるポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレンナフタレートとの共重合体等を得ることができる。
非相溶樹脂として使用されるポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、及び、これらの混合物や共重合体等を挙げることができる。これらの中では、ポリプロピレン系樹脂が好ましく使用される。
A層に配合される非相溶樹脂の含有量は、生産性、光学特性等を考慮すると、脂肪族ポリエステル系樹脂及び非相溶樹脂を含有する樹脂組成物A中、1質量%以上、30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上、25質量%以下であることが更に好ましい。非相溶樹脂の含有量が1質量%以上、30質量%以下であれば、満足のいく光学特性を実現することができ、また、押出、製膜工程全般に亘って悪影響を及ぼさない。
上述したように、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、A層の他に脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタンとを含有するB層を有する。酸化チタンは屈折率が高く、ベース樹脂である脂肪族ポリエステル系樹脂との屈折率差を大きくすることができるので、より少ない配合量で得られるフィルムに高い反射性能を付与することができ、また、フィルムの厚みが薄くても高い反射性能を有することができる。
本発明に用いられる酸化チタンとしては、例えば、アナタース型及びルチル型のような結晶形の酸化チタンが挙げられる。ベース樹脂との屈折率差を大きくするという観点からは、屈折率が2.7以上の酸化チタンであることが好ましく、例えば、ルチル型の結晶形の酸化チタンを用いることが好ましい。
得られるフィルムに高い光反射性を付与するためには、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタンを用いることが好ましい。酸化チタンの光吸収能を小さくするためには、この酸化チタンに含まれる着色元素の量が少ないことが好ましい。例えば、ニオブの含有量が500ppm以下の酸化チタンを用いることにより、高い反射性を有する反射フィルムを得ることができる。
本発明に用いられる酸化チタンとしては、塩素法プロセスで製造されるものと硫酸法プロセスで製造されるものが挙げられる。そのうち、塩素法プロセスで製造される酸化チタンは純度が高く、例えばニオブの含有量を500ppm以下とすることができるので、本発明の反射フィルムには好適である。なお、塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱または合成ルチルを1,000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、まず、四塩化チタンを生成させ、次いで、この四塩化チタンを酸素で燃焼させることにより、純度の高い酸化チタンを得ることができる。
本発明に用いられる酸化チタンは、フィルムの耐光性を高めるために、あるいは、酸化チタンの光触媒活性を抑制する目的で、不活性無機酸化物で表面処理されていることが好ましい。酸化チタンの表面がシリカ、アルミナ、およびジルコニアの中から選ばれる少なくとも1種類の不活性無機酸化物で被覆処理されていると、酸化チタンの高い光反射性が損なわれることがないので好ましい。本発明においては、酸化チタンの表面処理には、シリカ、アルミナ及びジルコニアの中から選ばれる2種類以上を併用することが好ましく、これらの中でもシリカを必須とする複数の不活性無機酸化物を組み合わせて使用することが特に好ましい。
また、酸化チタンの樹脂への分散性を向上させるために、酸化チタンの表面を、シロキサン化合物、シランカップリング剤等から選ばれた少なくとも1種類の無機化合物や、ポリオール、ポリエチレングリコール等から選ばれる少なくとも1種類の有機化合物で表面処理することもできる。
本発明に用いられる酸化チタンは、粒径が0.1μm以上、1μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、0.5μm以下であることが更に好ましい。酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性が良好であり、均質なフィルムを得ることができる。また、酸化チタンの粒径が1μm以下であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されるので、反射フィルムに高い光反射性を付与することができる。
次に、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムに含まれる酸化チタンの含有量について説明する。酸化チタンは脂肪族ポリエステル系樹脂のB層に分散配合されることが好ましい。フィルムの光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、B層に含まれる酸化チタンの含有量は、B層を形成するための樹脂組成物B中、10質量%以上、60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上、60質量%以下であることが更に好ましい。B層に含まれる酸化チタンの含有量が10質量%以上であれば、ベース樹脂と酸化チタンとの界面の面積の大きさを充分に確保することができるので、得られる反射フィルムに高い光反射性を付与することができる。また、B層の酸化チタンの含有量が60質量%以下であれば、反射フィルムに必要な機械的性質を確保することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムのA層を構成するベース樹脂及びB層を構成するベース樹脂は、それぞれ、屈折率(n)が1.52未満であることが好ましく、本発明においては、屈折率(n)が1.52未満の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。なお、A層及びB層に用いられるベース樹脂は同一でも異なっていてもよい。
非相溶樹脂を含有するA層と、酸化チタンを含有するB層とを有する本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、ベース樹脂と非相溶樹脂又は酸化チタンとの界面における屈折散乱を利用して光反射性を発現する。この屈折散乱効果は、ベース樹脂と酸化チタン等との屈折率の差が大きくなるに従って大きくなる。したがって、ベース樹脂としては、酸化チタン等との屈折率差が大きくなるように、屈折率の小さい樹脂を用いることが好ましい。例えば、芳香環を含み、屈折率が約1.55以上である芳香族ポリエステルよりも、屈折率が1.52未満である脂肪族ポリエステル系樹脂をベース樹脂として用いることが好ましく、脂肪族ポリエステル系樹脂の中でも屈折率の小さい乳酸系重合体(屈折率が1.46未満)を用いることが好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂は、分子鎖中に芳香環を含まないので紫外線吸収を起こさない。したがって、紫外線に晒されても、あるいは、液晶表示装置等の光源から発せられる紫外線によっても、脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムが劣化したり、黄変することがないので、フィルムの光反射性が低下することがない。
A層及びB層に用いられる脂肪族ポリエステル系樹脂としては、化学合成されたもの、微生物により発酵合成されたもの、及び、これらの混合物を用いることができる。化学合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ラクトンを開環重合して得られるポリε−カプロラクタム等、二塩基酸とジオールとを重合して得られるポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリテトラメチレンサクシネート、シクロヘキサンジカルボン酸/シクロヘキサンジメタノール縮合体等、ヒドロキシカルボン酸を重合して得られる乳酸系重合体、ポリグリコール等や、上記した脂肪族ポリエステルのエステル結合の一部、例えば50%以下がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等に置き換えられた脂肪族ポリエステル等が挙げられる。また、微生物により発酵合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバリレートとの共重合体等が挙げられる。
本発明において、乳酸系重合体とは、D−乳酸またはL−乳酸の単独重合体またはそれらの共重合体をいい、具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、更にはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、またこれらの混合体も含まれる。
乳酸系重合体は、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法で製造することが出来る。例えば、縮合重合法では、D−乳酸、L−乳酸、または、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有する乳酸系重合体を得ることができる。
本発明に用いられる乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との構成比が、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15であるか、またはD−乳酸:L−乳酸=0:100〜15:85であることが好ましく、さらに好ましくは、D−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、または、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95である。D−乳酸とL−乳酸との構成比が100:0もしくは0:100である乳酸系重合体は非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性および機械的物性に優れる傾向がある。すなわち、フィルムを延伸したり熱処理したりする際に、樹脂が結晶化して耐熱性及び機械的物性が向上するので好ましい。一方、D−乳酸とL−乳酸とで構成された乳酸系重合体は、柔軟性が付与され、フィルムの成形安定性及び延伸安定性が向上するので好ましい。したがって、得られる反射フィルムの耐熱性と、成形安定性及び延伸安定性とのバランスを勘案すると、本発明に用いられる乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との構成比が、D−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、又は、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95であることが、より好ましい。
本発明においては、D−乳酸とL−乳酸との共重合比が異なる乳酸系重合体をブレンドしてもよい。この場合には、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との共重合比を平均した値が上記範囲内に入るようにすればよい。D−乳酸とL−乳酸のホモポリマーと、共重合体とをブレンドすることにより、ブリードのし難さと耐熱性の発現とのバランスをとることができる。
本発明に用いられる乳酸系重合体は高分子量であることが好ましく、例えば、重量平均分子量が5万以上であることが好ましく、6万以上、40万以下であることが更に好ましく、10万以上、30万以下であることが特に好ましい。乳酸系重合体の重量平均分子量が5万未満であると、得られたフィルムが機械的物性に劣る場合がある。
ところで、近年、液晶ディスプレイはパソコン用ディスプレイの他、自動車用カーナビゲーションシステムや車載用小型テレビ等にも使用されるようになり、高温度、高湿度に耐えるものが必要となってきている。そのため、脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムには、耐久性を付与する目的で、加水分解防止剤を添加することが好ましい。
本発明に好ましく用いられる加水分解防止剤としては、カルボジイミド化合物等が挙げられる。カルボジイミド化合物としては、例えば、下記一般式の基本構造を有するものが好ましいものとして挙げられる。

―(N=C=N−R−)n―

式中、nは1以上の整数を示し、Rは有機系結合単位を示す。例えば、Rは脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかであることができる。また、nは、通常、1〜50の間で適当な整数が選択される。
具体的には、例えば、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、および、これらの単量体が、カルボジイミド化合物として挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、単独で使用しても、あるいは、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、フィルムを構成する脂肪族ポリエステル系樹脂100質量部に対してカルボジイミド化合物を0.1〜3.0質量部添加することが好ましい。カルボジイミド化合物の添加量が0.1質量部以上であれば、得られるフィルムに耐加水分解性の改良効果が十分に発現される。また、カルボジイミド化合物の添加量が3.0質量部以下であれば、得られるフィルムの着色が少なく、高い光反射性が得られる。
また、例えば、夏場の炎天下に駐車中の車内では、自動車用カーナビゲーションシステム、車載用小型テレビ等は高温にさらされることになる。また、液晶表示装置が長時間使用されると光源ランプ周辺は高温にさらされることになる。したがって、カーナビゲーションシステム、液晶表示装置等の液晶ディスプレイに使用される反射フィルムには110℃程度の耐熱性が要求される。例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムが120℃の温度下で5分間放置されたときのフィルムの熱収縮率は10%以下であることが好ましく、5%以下であることが更に好ましい。フィルムの熱収縮率が10%より大きいと、高温で使用すると経時的に収縮を起こすことがあり、脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムが鋼板等に積層されている場合には、フィルムのみが変形してしまうことがある。大きな収縮が生じたフィルムは、反射を促す表面が小さくなったり、フィルム内部の空隙が小さくなるので、反射率が低下する。
熱収縮を防ぐためにはフィルムの結晶化を完全に進行させることが望ましい。脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、2軸延伸のみで完全に結晶化を進行させることは困難なので、本発明においては、延伸後、熱固定処理を行うことが好ましい。フィルムの結晶化を促進させることによって、フィルムに耐熱性を付与すると共に、耐加水分解性も向上させることができる。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、蛍光増白剤、および、その他の添加剤を添加することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、反射率および低反射指向性の点から、内部に、空隙率(空隙がフィルム中に占める割合)が50%以下となるように空隙を有することが好ましい。本発明においてはフィルム内部に効果的に分散状態で酸化チタンを含むことによって、さらに優れた反射性能と低反射指向性とをフィルムに付与することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムが、フィルム内に空隙を有する場合には、その空隙がフィルム中に占める割合(空隙率)が5%以上、50%以下の範囲内であることが好ましい。特に、反射率向上の点からは、空隙率は20%以上であることが更に好ましく、特に好ましくは30%以上である。空隙率が50%を超えると、フィルムの機械的強度が低下してフィルム製造中にフィルムが破断したり、使用時に耐熱性等の耐久性が不足することがある。例えば酸化チタン、非相溶樹脂等を添加して延伸することにより、フィルム内部に空隙を形成することができる。
本発明のA層及びB層を有する積層構成の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、A層及びB層における空隙率は、それぞれ、50%以下であることが好ましく、5%以上、50%以下の範囲内であることが更に好ましい。また、A層における空隙率が、B層における空隙率よりも高いことが好ましい。これは、A層およびB層を積層してなる脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、高い空隙率を有するA層によって光散乱反射性、すなわち、低反射指向性が付与され、また、低い空隙率を有するB層によって機械的強度が付与されるので、面光源内の輝度のばらつき(いわゆる輝度ムラ)が小さく、かつ、機械的強度も良好な反射フィルムが得られるからである。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、ニオブの含有量が500ppm以下である酸化チタンを用いれば、フィルム内部に存在する空隙率が少なくても、また、たとえ内部に空隙を有していなくても、高い光反射性を達成することができる。これは、酸化チタンの有する特徴、すなわち、屈折率が高くて、隠蔽力が高いという特徴が、有効に発揮されることによるものと推察される。また、酸化チタンの使用量を少なくすることができるならば、延伸により形成される空隙の数も少なくなるので、高い反射性能を維持しつつフィルムの機械的性質を向上させることができる。さらに、酸化チタンの使用量が多くても、延伸量を少なくして空隙を少なくすることにより、同様に機械的性質を向上させることができる。これらはフィルムの寸法安定性の向上の点においても有利な点である。また、薄肉でも高い反射性能が確保されれば、例えば、ノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ用の反射フィルム等として使用することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、波長が550nmの光に対する表面の反射率が95%以上であることが好ましく、97%以上であることが更に好ましい。かかる反射率が95%以上であれば、良好な反射特性を示し、液晶ディスプレイ等の画面に充分な明るさを与えることができる。
脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは紫外線に晒された後でも優れた反射率を保持することが好ましい。上述したように、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、ベース樹脂として分子鎖中に芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂を用いるので、紫外線によって反射フィルムが劣化することがなく、優れた反射性を保持することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、埋め立て処分された場合には微生物による分解が可能で、廃棄に伴う種々の問題が生じない。脂肪族ポリエステル系樹脂は、土壌中で、エステル結合部が加水分解されて分子量が1,000程度に低下し、引き続き土壌中の微生物等により生分解される。
一方、芳香族ポリエステル系樹脂は分子内の結合安定性が高く、エステル結合部の加水分解が起こりにくい。したがって、芳香族ポリエステル系樹脂は、土壌中に埋められても分子量の低下は起こらず、微生物等による生分解も起こらない。その結果、長期にわたって土壌中に残存して、廃棄物埋め立て処理用地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なう等の問題が生じる。
以下に、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムの製造方法について一例を挙げて説明するが、下記製造方法に何等限定されるものではない。
まず、脂肪族ポリエステル系樹脂に非相溶樹脂を配合し、更に必要に応じて、加水分解防止剤、その他の添加剤等を配合して樹脂組成物Aを作製する。また、脂肪族ポリエステル系樹脂に酸化チタンを配合し、更に必要に応じて、加水分解防止剤、その他の添加剤等を配合して樹脂組成物Bを作製する。具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂に、非相溶樹脂又は酸化チタンを加え、また、必要に応じて、加水分解防止剤、その他の添加剤等を更に加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度(例えば乳酸系重合体の場合には170℃〜230℃)で混練することにより樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bを得ることができる。または、脂肪族ポリエステル系樹脂、非相溶樹脂又は酸化チタン、更に必要に応じて加水分解防止剤等を別々のフィーダー等により所定量を添加することにより樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bを得ることができる。あるいは、予め、非相溶樹脂又は酸化チタン、加水分解防止剤等を脂肪族ポリエステル系樹脂に高濃度に配合した、いわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチと脂肪族ポリエステル系樹脂とを混合して所望の濃度の樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bとすることもできる。
次に、このようにして得られた樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bをそれぞれ溶融し、フィルム状に形成する。例えば、樹脂組成物を乾燥した後、樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bをそれぞれの押出機に供給し、樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融する。あるいは、樹脂組成物を乾燥させずに押出機に供給しても良いが、乾燥させない場合には溶融押出する際に真空ベントを用いることが好ましい。押出温度等の条件は、分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定されることが必要であるが、例えば、押出し温度は乳酸系重合体の場合であれば170℃〜230℃の範囲が好ましい。その後、溶融した樹脂組成物をTダイのスリット状の吐出口から押し出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、前記樹脂組成物Aおよび前記樹脂組成物Bをそれぞれ溶融製膜して積層体を形成した後、少なくとも1軸方向に1.1倍以上延伸する。延伸することにより、フィルム内部に非相溶樹脂又は酸化チタンを核とした空隙が形成されて、さらにフィルムの光反射性を向上させることができる。この光反射性の向上効果は新たに樹脂と空隙との界面、及び、空隙と酸化チタン等との界面が形成され、界面で生じる屈折散乱の効果が増えるためと考えられる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、面積倍率として5倍以上に延伸されることが好ましく、7倍以上に延伸することが更に好ましい。脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、面積倍率が5倍以上に延伸されることにより5%以上の空隙率を実現することができ、7倍以上に延伸されることにより20%以上の空隙率を実現することができ、7.5倍以上に延伸されることにより、30%以上の空隙率をも実現することができる。
キャストシートを延伸する際の延伸温度は、ベース樹脂のガラス転移温度(Tg)程度から(Tg+50℃)の範囲内の温度であることが好ましく、例えば乳酸系重合体の場合には50℃以上、90℃以下であることが好ましい。延伸温度がこの範囲であれば、延伸時にフィルムが破断することがなく、また延伸配向が高く、空隙率を大きくすることができるので、高い反射率を有するフィルムを得ることができる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、例えば、延伸倍率等を適宜選択して延伸することによって、フィルム内部に空隙が形成されるが、これは、延伸時に脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタン等との延伸挙動が異なるからである。つまり脂肪族ポリエステル系樹脂に適した延伸温度で延伸を行えば、マトリックスとなる脂肪族ポリエステル系樹脂は延伸されるが、酸化チタン等はそのままの状態でとどまろうとするため、脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタン等との界面が剥離して、空隙が形成される。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、さらには、2軸方向に延伸されていることが好ましい。2軸延伸することにより、空隙率は高くなり、フィルムの光反射性を高めることができるからである。また、フィルムを1軸延伸したのみでは、形成される空隙は一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、2軸延伸することによって、その空隙は縦横両方向に伸ばされたものとなり円盤状形態になる。すなわち、2軸延伸することによって、脂肪族ポリエステル系樹脂と非相溶樹脂との界面、及び、脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタンとの界面の剥離面積が増大し、フィルムの白化が進行し、その結果、フィルムの光反射性を高めることができる。さらにまた、2軸延伸するとフィルムの収縮方向に異方性がなくなるので、反射フィルムの耐熱性を向上させることができ、また、フィルムの機械的強度を増加させることもできる。
2軸延伸の延伸順序は特に制限されることはなく、例えば、同時2軸延伸でも逐次延伸でも構わない。延伸設備を用いて、溶融製膜した後、ロール延伸によってMDに延伸した後、テンター延伸によってTDに延伸しても良いし、チューブラー延伸等によって2軸延伸を行ってもよい。
本発明においては、脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムに耐熱性および寸法安定性を付与するために、延伸後に熱固定を行うことが好ましい。フィルムを熱固定するための処理温度は90〜160℃であることが好ましく、110〜140℃であることが更に好ましい。熱固定に要する処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。また、延伸設備等については特に限定はないが、延伸後に熱固定処理を行うことができるテンター延伸を行うことが好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムの厚みは、特に限定されないが、通常は30μm〜500μmであり、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜500μm程度の範囲内であることが好ましい。また、A層の1層とB層の1層との厚み比は、1:20〜1:1であることが好ましく、1:15〜1:2であることがさらに好ましい。かかる厚み比であれば、光学特性を損なうことなく、反射フィルムを安定して作製することができる。
また、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを用いて液晶ディスプレイ等に用いられる反射板を形成することができる。例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に被覆して反射板を形成することができる。この反射板は、液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射板として有用である。以下に、このような反射板の製造方法について一例を挙げて説明する。
反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に被覆する方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等があり、特に限定されるものではない。例えば、金属板もしくは樹脂板の反射フィルムを貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射フィルムを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射フィルムを貼り合わせる金属板等の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、板の表面を所定の温度に保持しつつ、直にロールラミネーターを用いて、反射フィルムを被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。この場合、金属板等の表面を210℃以下に保持すると、反射板の光反射性を高く維持できる。なお、金属板等の表面温度は、160℃以上であることが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、実施例に示す測定値および評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
(測定および評価方法)
(1)反射率(%)
分光光度計(「U―4000」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長550nmの光に対する反射率を測定した。なお測定前に、アルミナ白板の反射率が100%になるように光度計を設定した。
(2)メヤニ・ブツ防止性
反射フィルムを製造する時に、口金リップ部にメヤニが付着したか否か、及び、フィルム表面にブツが発生したか否か等を観察して、下記評価基準に基づいてメヤニ、ブツ防止性の評価を行った。ただし、記号「◎」、「○」、および「△」は実用レベル以上である。

評価基準:
◎ 製造を開始してから9時間経過した後でも、リップ部にメヤニは付着せず、フィルム表面にブツが発生していない。
○ 製造を開始してから6時間経過した時点では、リップ部にメヤニは付着しておらず、フィルム表面にブツが発生していない。
△ 製造を開始してから6時間経過した時点では、リップ部の一部にメヤニの付着が見られるが、フィルム表面にブツは発生していない。
× 製造を開始してから3時間経過した時点で、リップ部全幅に亘ってメヤニが付着しており、フィルム表面に滴状のブツが発生している。
(3)酸化チタン中のニオブ濃度(ppm)
JIS M−8321「チタン鉱石−ニオブ定量方法」に基づいてニオブ含有量を測定した。すなわち、試料を0.5gはかり取り、この試料を、融解合剤[水酸化ナトリウム:過酸化ナトリウム=1:2(質量比)]5gが入れられてあるニッケル製るつぼに移し入れ、かき混ぜた後、その試料の表面を約2gの無水炭酸ナトリウムで覆い、るつぼ内で試料を加熱融解して融成物を形成する。この融成物を、るつぼ内に入れたままの状態で放冷した後、融成物に温水100ml及び塩酸50mlを少量ずつ加えて溶解させて、さらに水を加えて250mlにメスアップする。この溶液を、ICP発光分光装置で測定し、ニオブ含有量を求めた。ただし、測定波長は309.42nmとした。
[実施例1]
(樹脂組成物Aの作製)
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(NatureWorks 4032D:カーギルダウポリマー社製、D体含有量1.5%)のペレットと、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ株式会社製:ノバテックPP(FY6H))とを、90質量%:10質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を1.5質量部添加して混合し、樹脂組成物Aを作製した。
(樹脂組成物Bの作製)
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(NatureWorks 4032D:カーギルダウポリマー社製、D体含有量1.5%)のペレットと、平均粒径が0.21μmの酸化チタン(タイペークPF−740:石原産業(株)製)とを、50質量%:50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を2.5質量部添加して混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して、いわゆるマスターバッチを作製した。このマスターバッチと上記乳酸系重合体とを60質量%:40質量%の割合で混合し、樹脂組成物Bを作製した。
(フィルムの作製)
220℃に加熱された2台の押出機に、樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを供給した。すなわち、一方の押出機に樹脂組成物Aを供給し、他方の押出機に樹脂組成物Bを供給し、溶融して、それぞれの押出機から溶融状態の樹脂組成物A及び溶融状態の樹脂組成物Bを、Tダイを用いてA層/B層/A層の3層構成となるようにシート状に押出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度65℃で、MDに2.5倍、TDに2.8倍の延伸倍率で二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ200μm(B層:180μm、A層:10μm)の反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、反射率の測定、及び、メヤニ・ブツ防止性の評価を行った。その結果を表1に示す。なお、使用した酸化チタンのニオブ含有量は、500ppm以下であり、また、アルミナ、シリカ、及び、ジルコニアで表面処理されていた。
[比較例1]
実施例1における樹脂組成物Aの作製において、ポリプロピレン系樹脂の代わりに酸化チタンを同量添加して樹脂組成物A’を作製し、この樹脂組成物A’を実施例1における樹脂組成物Aの代わりに押出機に供給した以外は、実施例1と同様にして、厚さ200μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1における樹脂組成物Aの作製において、ポリプロピレン系樹脂の代わりに酸化チタンを30質量%添加して樹脂組成物を作製し、この樹脂組成物を実施例1における樹脂組成物Aの代わりに押出機に供給した以外は、実施例1と同様にして、厚さ200μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2007021952
表1から明らかなように、実施例1の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、優れた反射性を有し、しかも、製造開始から9時間経過しても目ヤニ及びブツの発生がなく、安定して製造することができるものであった。従って得られた反射フィルムは外観も良好であった。また、実施例1の反射フィルムはベース樹脂が芳香環を有さない脂肪族ポリエステル系樹脂であるので、紫外線の照射等によっても黄変せず、時間の経過によって光反射性が低下することもなかった。なお、実施例1の反射フィルムは低反射指向性を有し、輝度ムラが少なく、機械的強度に優れたものであった。
一方、外表面に酸化チタンを含有する層が配置されている比較例1では、反射率が低下した。また、酸化チタンを多量に含有する比較例2では、製造開始後3時間で目ヤニ及びブツが発生し、製造トラブルを引き起こすものであることが分かった。
すなわち、酸化チタンを含有するB層の外表面に、非相溶樹脂を含有するA層を配置した本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、優れた光反射性を有し、しかも、安定生産を確保できるものである。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、高い反射性が要求される反射シートに好適である。また、金属板、樹脂板等に被覆して反射板を形成することができる。この反射板は、液晶表示版、照明器具、照明看板等に利用される。

Claims (8)

  1. 脂肪族ポリエステル系樹脂と、脂肪族ポリエステル系樹脂に非相溶の樹脂とを含有する樹脂組成物AからなるA層を、脂肪族ポリエステル系樹脂及び酸化チタンを含有する樹脂組成物BからなるB層の少なくとも一方の面に有しており、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸されていることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
  2. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂に非相溶の樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
  3. 前記の脂肪族ポリエステル系樹脂に非相溶の樹脂の含有量が、前記樹脂組成物A中、1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
  4. 前記酸化チタン中のニオブ含有量が500ppm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
  5. 前記酸化チタンの表面が、シリカ、アルミナ、及び、ジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類の不活性無機酸化物で被覆されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
  6. 前記前記酸化チタンの表面を被覆する不活性無機酸化物が、シリカを必須とする2種類以上の不活性無機酸化物からなることを特徴とする請求項5に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
  7. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂が乳酸系重合体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを備えていることを特徴とする反射板。
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