JP2007030284A - 脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 液晶表示装置等の反射板に使用される脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムにおいて、400nm付近の短波長領域においても良好な光反射性能を発揮する反射フィルムを提供する。
【解決手段】 脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を含有してなる樹脂組成物AからなるA層を備えると共に、少なくとも当該A層の反射使用面側に、脂肪族ポリエステル系樹脂及び蛍光増白剤を含有してなる樹脂組成物BからなるB層を備えることを特徴とする。400nm付近の波長領域の光線を吸収し易いA層の少なくとも反射使用面側に、蛍光増白剤を含有するB層を形成することにより、400nm付近の波長領域の反射率を高めることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を含有してなる樹脂組成物AからなるA層を備えると共に、少なくとも当該A層の反射使用面側に、脂肪族ポリエステル系樹脂及び蛍光増白剤を含有してなる樹脂組成物BからなるB層を備えることを特徴とする。400nm付近の波長領域の光線を吸収し易いA層の少なくとも反射使用面側に、蛍光増白剤を含有するB層を形成することにより、400nm付近の波長領域の反射率を高めることができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、液晶表示装置、照明器具、照明看板等の反射板等に使用される反射フィルムであって、特に脂肪族ポリエステル系樹脂を主材料としてなる脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムに関する。
近年、液晶表示装置をはじめ、投影用スクリーンや面状光源の部材、照明器具、照明看板等の多くの分野で反射板が使用されている。中でも、液晶表示装置の分野においては装置の大型化及び表示性能の高度化が進み、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させるため、反射フィルムにはより一層の反射性能が求められるようになって来ている。
この種の反射フィルムとしては、例えば特許文献1や特許文献2において、芳香族ポリエステル系樹脂からなるフィルムが開示されている。しかし、これらの反射フィルムでは、現在開発されている液晶ディスプレイの反射板等に求められる光反射率を実現することが困難であったばかりか、分子鎖中に含まれる芳香環が紫外線を吸収するため、紫外線に晒されると反射フィルムが劣化黄変して反射率を経時的に低下させるという課題を有していた。
また、特許文献3には、ポリプロピレン系樹脂に無機充填剤を添加してなる反射フィルムが開示されているが、無機充填剤を60質量%以上添加することによって高い反射率を実現できる反面、無機充填剤を60重量%以上添加することによってフィルム強度を確保することが難しくなり、延伸時にフィルムが破断しやすくなってフィルム生産の安定性が低下するという課題を有していた。
このような課題に鑑み、本発明者らは、高い反射性能を実現することができ、しかも安定して生産することができる反射フィルムとして、乳酸系重合体等の脂肪族ポリエステル系樹脂に酸化チタン等の微粉状充填剤を添加してなる反射フィルムを提案した(特許文献4)。ところが、かかる構成のフィルムは、非常に高い反射性能を実現できる反面、微粉状充填剤として酸化チタンを添加した場合、酸化チタンの光吸収作用によって420nm以下の波長域での反射率が顕著に低くなるという課題を抱えていた。また、乳酸系重合体は、その製造工程による熱履歴や残触媒、モノマー、オリゴマー、鉄、亜鉛などの存在に起因して黄色度(YI値)が高くなる傾向があり、芳香族ポリエステル(主にPET)やポリカーボネート、ポリオレフィン等に比べると、反射フィルムが黄色味を帯びるという課題を抱えていた。
そこで本発明の目的は、400nm付近の短波長領域においても良好な光反射性能を発揮し、広い波長領域に渡って高い反射性能を実現することができ、しかもフィルム自体の黄色味を消すことができる反射フィルムを提供することにある。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を含有してなる樹脂組成物AからなるA層を備えると共に、少なくとも当該A層の反射使用面側に、脂肪族ポリエステル系樹脂及び蛍光増白剤を含有してなる樹脂組成物BからなるB層を備えることを特徴とする。
本発明の反射フィルムは、400nm付近の波長領域の光線を吸収し易いA層の少なくとも反射使用面側に、蛍光増白剤を含有するB層を形成することにより、400nm付近の波長領域の反射率を高めることができる。もともとA層自体優れた反射性能を備えているから、B層を形成することによってさらに広い波長領域に渡って高い反射性能を実現することができる。また、400nm付近の波長領域の反射率を向上させたことにより、反射フィルムからの光線の青みを増加させることができ、反射フィルムの黄色味を消すことにも成功した。
本発明の反射フィルムは、このように光反射性等の光学特性に関しバランスのとれた優れた特性を備えたおり、例えば金属板や樹脂板に被覆することにより、液晶表示装置、照明器具、照明看板等に好適に使用可能な反射板を形成することができる。
本発明の反射フィルムは、このように光反射性等の光学特性に関しバランスのとれた優れた特性を備えたおり、例えば金属板や樹脂板に被覆することにより、液晶表示装置、照明器具、照明看板等に好適に使用可能な反射板を形成することができる。
なお、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、通常はその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、本発明において「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるのが普通である。
また、本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」を意図するものである。
また、本発明において「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるのが普通である。
また、本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」を意図するものである。
以下、本発明の実施形態の一例について詳しく説明する。
本実施形態に係る脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム(以下「本反射フィルム」という)は、脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を主成分として含有してなる樹脂組成物AからなるA層と、脂肪族ポリエステル系樹脂及び蛍光増白剤を主成分として含有してなる樹脂組成物BからなるB層とを備え、A層の少なくとも反射使用面側にB層を形成してなる構成を備える反射フィルムである。
<A層>
A層は、脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を主成分として含有してなる樹脂組成物Aからなる層である。
A層は、脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を主成分として含有してなる樹脂組成物Aからなる層である。
(A層の脂肪族ポリエステル系樹脂)
A層のベース樹脂としての脂肪族ポリエステル系樹脂は、芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂であるのが好ましい。分子鎖中に芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂であれば、紫外線吸収を起こさないから、紫外線に晒されることによって、或いは、液晶表示装置等の光源から発せられた紫外線を受けることによってフィルムが劣化したり、黄変したりすることがなく、フィルムの光反射性が経時的に低下するのを抑えることができる。
A層のベース樹脂としての脂肪族ポリエステル系樹脂は、芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂であるのが好ましい。分子鎖中に芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂であれば、紫外線吸収を起こさないから、紫外線に晒されることによって、或いは、液晶表示装置等の光源から発せられた紫外線を受けることによってフィルムが劣化したり、黄変したりすることがなく、フィルムの光反射性が経時的に低下するのを抑えることができる。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、化学合成されたもの、微生物により発酵合成されたもの、或いは、これらの混合物を用いることができる。
化学合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えばラクトンを開環重合して得られるポリε−カプロラクタム等や、二塩酸とジオールとを重合して得られるポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリテトラメチレンサクシネート、シクロヘキサンジカルボン酸/シクロヘキサンジメタノール縮合重合体等、ヒドロキシカルボン酸を重合して得られる乳酸系重合体やポリグリコール等、或いは前記した脂肪族ポリエステルのエステル結合の一部を、例えばエステル結合の50%以下をアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等に置き換えた脂肪族ポリエステル等を挙げることができる。
微生物により発酵合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えばポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバリレートとの共重合体等を挙げることができる。
化学合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えばラクトンを開環重合して得られるポリε−カプロラクタム等や、二塩酸とジオールとを重合して得られるポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリテトラメチレンサクシネート、シクロヘキサンジカルボン酸/シクロヘキサンジメタノール縮合重合体等、ヒドロキシカルボン酸を重合して得られる乳酸系重合体やポリグリコール等、或いは前記した脂肪族ポリエステルのエステル結合の一部を、例えばエステル結合の50%以下をアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等に置き換えた脂肪族ポリエステル等を挙げることができる。
微生物により発酵合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えばポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバリレートとの共重合体等を挙げることができる。
上記脂肪族ポリエステル系樹脂の中でも、屈折率(n)が1.52未満の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いるのが好ましい。屈折率(n)が1.52未満の脂肪族ポリエステル系樹脂をベース樹脂として含有すれば、該ベース樹脂と微粉状充填剤との界面における屈折散乱を利用して優れた光反射性を得ることができる。この屈折散乱効果は、ベース樹脂と微粉状充填剤との屈折率が大きくなるにしたがって大きくなるため、ベース樹脂としては、より屈折率が小さい方が好ましく、この観点から、屈折率が1.46未満(一般的には1.45程度)と非常に低い乳酸系重合体は最も好適な一例である。
乳酸系重合体としては、例えばD−乳酸またはL−乳酸の単独重合体またはそれらの共重合体を挙げることができる。具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、L−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)、或いはこれらの混合体を挙げることができる。
ところで、乳酸には、上記のように2種類の光学異性体すなわちL−乳酸及びD−乳酸があり、これら2種の構造単位の割合で結晶性が異なる。例えば、L−乳酸とD−乳酸の割合が約80:20〜20:80のランダム共重合体では結晶性が低く、ガラス転移点60℃付近で軟化する透明完非結晶性ポリマーとなる。その一方、L−乳酸とD−乳酸の割合が約100:0〜80:20、又は約20:80〜0:100のランダム共重合体は、ガラス転移点は前記の共重合体同様に60℃程度であるが結晶性が高い。
本反射フィルムでは、乳酸系重合体におけるDL比、すなわちD−乳酸とL−乳酸との含有比率は、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15、または、D−乳酸:L−乳酸=0:100〜15:85が好ましく、さらに好ましくはD−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、または、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95である。
D−乳酸とL−乳酸との含有比率が100:0もしくは0:100である乳酸系重合体は、非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性および機械的物性に優れる傾向がある。すなわち、フィルムを延伸したり熱処理したりする際に、樹脂が結晶化して耐熱性及び機械的物性が向上するので、その点で好ましい。その一方、D−乳酸とL−乳酸とで構成される乳酸系重合体は、柔軟性が付与され、フィルムの成形安定性及び延伸安定性が向上するので、その点で好ましい。得られる反射フィルムの耐熱性と成形安定性及び延伸安定性とのバランスを勘案すると、D−乳酸とL−乳酸との構成比は、D−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、又は、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95であるものがより一層好ましい。
D−乳酸とL−乳酸との含有比率が100:0もしくは0:100である乳酸系重合体は、非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性および機械的物性に優れる傾向がある。すなわち、フィルムを延伸したり熱処理したりする際に、樹脂が結晶化して耐熱性及び機械的物性が向上するので、その点で好ましい。その一方、D−乳酸とL−乳酸とで構成される乳酸系重合体は、柔軟性が付与され、フィルムの成形安定性及び延伸安定性が向上するので、その点で好ましい。得られる反射フィルムの耐熱性と成形安定性及び延伸安定性とのバランスを勘案すると、D−乳酸とL−乳酸との構成比は、D−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、又は、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95であるものがより一層好ましい。
乳酸系重合体は、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法で製造することが出来る。例えば、縮合重合法では、D−乳酸、L−乳酸、または、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有する乳酸系重合体を得ることができる。
なお、D−乳酸とL−乳酸との共重合比が異なる乳酸系重合体をブレンドしてもよい。この場合、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との共重合比を平均した値が上記DL比の範囲内に入るように調整するのが好ましい。
また、乳酸系重合体には、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体を用いることもできる。この際、共重合される「他のヒドロキシカルボン酸単位」としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類を挙げることができる。
さらに、乳酸系重合体は、必要に応じ、少量共重合成分として、テレフタル酸のような非脂肪族カルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールや、乳酸及び/又は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を含んでいてもよい。
さらに、乳酸系重合体は、必要に応じ、少量共重合成分として、テレフタル酸のような非脂肪族カルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールや、乳酸及び/又は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を含んでいてもよい。
乳酸系重合体は高分子量であるのが好ましく、例えば、重量平均分子量が5万以上であるのが好ましく、6万〜40万であるのが更に好ましく、中でも10万〜30万であるのが特に好ましい。乳酸系重合体の重量平均分子量が5万未満であると、得られたフィルムが機械的物性に劣る場合がある。
(A層の微粉状充填剤)
A層における微粉状充填剤としては、有機質微粉体、無機質微粉体等を挙げることができる。
有機質微粉体としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等から選ばれた少なくとも1種を用いるのが好ましい。
無機質微粉体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等から選ばれた少なくとも1種が用いるのが好ましい。
中でも、脂肪族ポリエステル系樹脂との屈折率差が大きく、優れた反射性能を得ることができるという観点から、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンまたは酸化亜鉛が好ましく、中でも酸化チタン、或いは酸化チタンと前記に挙げた酸化チタン以外の微粉状充填剤とを組み合わせて併用するのが好ましい。
A層における微粉状充填剤としては、有機質微粉体、無機質微粉体等を挙げることができる。
有機質微粉体としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等から選ばれた少なくとも1種を用いるのが好ましい。
無機質微粉体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等から選ばれた少なくとも1種が用いるのが好ましい。
中でも、脂肪族ポリエステル系樹脂との屈折率差が大きく、優れた反射性能を得ることができるという観点から、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンまたは酸化亜鉛が好ましく、中でも酸化チタン、或いは酸化チタンと前記に挙げた酸化チタン以外の微粉状充填剤とを組み合わせて併用するのが好ましい。
酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いることが特に好ましい。
高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタンであり、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ないものをいい、特に酸化チタンに含まれるニオブ含有量が500ppm以下である高純度酸化チタンが好ましい。
高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタンであり、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ないものをいい、特に酸化チタンに含まれるニオブ含有量が500ppm以下である高純度酸化チタンが好ましい。
また、本反射フィルムに用いる酸化チタンとしては、アナタース型酸化チタン或いはルチル型酸化チタンのような結晶形を有する酸化チタンが好ましく、中でも、ベース樹脂との屈折率差が大きいという観点から、屈折率2.7以上の酸化チタンであるルチル型酸化チタンを用いるのが特に好ましい。
また、微粉状充填剤の樹脂への分散性を向上させるために、微粉状充填剤の表面に、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理を施したものを使用してもよい。
表面処理剤としては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア等からなる群から選ばれた少なくとも1種の無機化合物、シロキサン化合物、シランカップリング剤、ポリオール及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも1種の有機化合物等を用いることができる。また、これらの無機化合物と有機化合物とを組み合わせて併用してもよい。
酸化チタンについては、その粒子表面を不活性無機酸化物で被覆処理することにより、酸化チタンの光触媒活性を抑制することができ、フィルムの耐光性(光の照射を受けた際の耐久性)を高めることができる。この際の不活性無機酸化物としては、アルミナ、シリカ及びジルコニアからなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましく、中でもこれらの不活性無機酸化物のうちの2種類以上を組み合わせて併用するのが好ましく、その中でも、シリカと他の不活性無機酸化物(例えばアルミナ及びジルコニア)とを組み合わせて併用するのが特に好ましい。
表面処理剤としては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア等からなる群から選ばれた少なくとも1種の無機化合物、シロキサン化合物、シランカップリング剤、ポリオール及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも1種の有機化合物等を用いることができる。また、これらの無機化合物と有機化合物とを組み合わせて併用してもよい。
酸化チタンについては、その粒子表面を不活性無機酸化物で被覆処理することにより、酸化チタンの光触媒活性を抑制することができ、フィルムの耐光性(光の照射を受けた際の耐久性)を高めることができる。この際の不活性無機酸化物としては、アルミナ、シリカ及びジルコニアからなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましく、中でもこれらの不活性無機酸化物のうちの2種類以上を組み合わせて併用するのが好ましく、その中でも、シリカと他の不活性無機酸化物(例えばアルミナ及びジルコニア)とを組み合わせて併用するのが特に好ましい。
本反射フィルムに用いる微粉状充填剤は、粒径が0.1μm以上、1μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、0.5μm以下であることが更に好ましい。
例えば高純度酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性がより一層良好となり、均質なフィルムを得ることができる。また、高純度酸化チタンの粒径が1μm以下であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されるので、反射フィルムにより一層高い光反射性を付与することができる。
例えば高純度酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性がより一層良好となり、均質なフィルムを得ることができる。また、高純度酸化チタンの粒径が1μm以下であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されるので、反射フィルムにより一層高い光反射性を付与することができる。
酸化チタン(微粉状充填剤)の含有量は、フィルムの光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、A層を構成する樹脂組成物A中の10質量%以上、60質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上、55質量%未満であることが更に好ましく、20質量%以上、50質量%以下であることが特に好ましい。
微粉状充填剤の含有量が10質量%以上であれば、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができて、フィルムに高い光反射性を付与することができる。また、微粉状充填剤の含有量が60質量%以下であれば、フィルムに必要な機械的性質を確保することができる。
微粉状充填剤の含有量が10質量%以上であれば、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができて、フィルムに高い光反射性を付与することができる。また、微粉状充填剤の含有量が60質量%以下であれば、フィルムに必要な機械的性質を確保することができる。
<B層>
B層は、脂肪族ポリエステル系樹脂及び蛍光増白剤を主成分として含有してなる樹脂組成物Bからなる層である。反射フィルム中に2層以上のB層を有してもよいが、少なくともそのうちの1層は上記A層の反射使用面側に配置する必要がある。
B層は、脂肪族ポリエステル系樹脂及び蛍光増白剤を主成分として含有してなる樹脂組成物Bからなる層である。反射フィルム中に2層以上のB層を有してもよいが、少なくともそのうちの1層は上記A層の反射使用面側に配置する必要がある。
(蛍光増白剤)
B層における蛍光増白剤は、主に400nm付近(例えば380nm〜420nm)の波長領域の反射率を高める機能を発揮する。すなわち、A層中の微粉状充填剤、特に酸化チタン、中でも表面処理をされた酸化チタンを用いた反射フィルムは、A層中の脂肪族ポリエステル、特に乳酸系重合体との屈折率差によって430nmから700nmの波長領域においては非常に優れた反射率を示す反面、400nm付近(例えば380nm〜420nm)の波長領域の反射率は顕著に低くなるという特徴がある。また、ベース樹脂として乳酸系重合体を使用した場合には、その製造工程による熱履歴や、残触媒、モノマー、オリゴマー、鉄、亜鉛などの存在に起因して黄色度(YI値)が高くなる傾向があり、芳香族ポリエステル(主にPET)やポリカーボネート、ポリオレフィン等と比べると、反射フィルム全体が黄色味を帯びるようになる。
これに対し、本反射フィルムでは、脂肪族ポリエステル(特に乳酸系重合体)及び微粉状充填剤(特に酸化チタン)を含有するA層の少なくとも反射使用面側に、蛍光増白剤を含有するB層を設けたことにより、400nm付近の波長領域の反射率を高め、更に反射性能(輝度)を向上させることができる。つまり、蛍光増白剤を含有するB層を設けることにより、光源から出る紫外線領域の波長をB層で吸収し、400nm付近(例えば380nm〜420nm)の可視域波長の(見かけの)反射率を向上させることができる。また同時に、この波長領域の反射率向上により、反射フィルムからの光線の青みが増加し、反射フィルムの黄色味を消すと共に、これを液晶表示装置の反射板に使用すると、液晶画面の青みが増加してディスプレイ上により一層見栄えのよい白色を表現することができる。
この際、蛍光増白剤の種類を選択することによって、反射光線の可視光線領域の反射光のスペクトルパターンをより一層制御することができ、所望のパターンに近づけることも可能である。
B層における蛍光増白剤は、主に400nm付近(例えば380nm〜420nm)の波長領域の反射率を高める機能を発揮する。すなわち、A層中の微粉状充填剤、特に酸化チタン、中でも表面処理をされた酸化チタンを用いた反射フィルムは、A層中の脂肪族ポリエステル、特に乳酸系重合体との屈折率差によって430nmから700nmの波長領域においては非常に優れた反射率を示す反面、400nm付近(例えば380nm〜420nm)の波長領域の反射率は顕著に低くなるという特徴がある。また、ベース樹脂として乳酸系重合体を使用した場合には、その製造工程による熱履歴や、残触媒、モノマー、オリゴマー、鉄、亜鉛などの存在に起因して黄色度(YI値)が高くなる傾向があり、芳香族ポリエステル(主にPET)やポリカーボネート、ポリオレフィン等と比べると、反射フィルム全体が黄色味を帯びるようになる。
これに対し、本反射フィルムでは、脂肪族ポリエステル(特に乳酸系重合体)及び微粉状充填剤(特に酸化チタン)を含有するA層の少なくとも反射使用面側に、蛍光増白剤を含有するB層を設けたことにより、400nm付近の波長領域の反射率を高め、更に反射性能(輝度)を向上させることができる。つまり、蛍光増白剤を含有するB層を設けることにより、光源から出る紫外線領域の波長をB層で吸収し、400nm付近(例えば380nm〜420nm)の可視域波長の(見かけの)反射率を向上させることができる。また同時に、この波長領域の反射率向上により、反射フィルムからの光線の青みが増加し、反射フィルムの黄色味を消すと共に、これを液晶表示装置の反射板に使用すると、液晶画面の青みが増加してディスプレイ上により一層見栄えのよい白色を表現することができる。
この際、蛍光増白剤の種類を選択することによって、反射光線の可視光線領域の反射光のスペクトルパターンをより一層制御することができ、所望のパターンに近づけることも可能である。
本反射フィルムに用いる蛍光増白剤としては、その種類を特に限定するものではないが、例えばスチルベン系、クマリン系、オキサゾール系、イミダゾール系、ナフタルイミド系等の構造のものを挙げることができ、中でも着色が少なく、耐熱性に優れているものが好ましい。具体的には、4,4’−ビス(ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、2,5−ビス(5−t−ブチル−2−ベンズオキサゾリル)チオフェン、1,2−ジ(5−メチル−2−ベンジアゾリル)エチレン、1,2−ビス(5−メチル−2−ベンズオキサゾール)エチレン、2,2’−(4,4’−ジフェノールビニル)ジベンズオキサゾール、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビス−ベンズオキサゾール、2,5−ビス(ベンズオキサゾール−2−)チオフェン、4−4’−ビス(5−メチル−2−ベンズオキサゾール)エチレン、1,4−ビス(ベンズオキサゾリル−2−イル)エチレン、1,4−ビス(ベンズオキサゾリル−2−イル)ナフタレン、4−4’−ビス[(4−アミノ−6−モルフォリノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]スチルベン−ジサルフォネート、2,2’−(1,4−ナフタレンジイル)ビス−ベンズオキサゾールなどを挙げることができ、これらのうちの一種を単独で使用することも、又、これらのうちの二種以上を組合わせて使用することもできる。
また、一般に市販されている蛍光増白剤を単独で使用しても良いし、複数を組合わせて併用しても良い。具体的な商品名としては、Mikephor(三池染料(株))、UVITEX OB ONE(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)、BLANKOPHOR(バイエル社)、LEUCOPHOR(クライアント社)、OB−1(イーストマンケミカル社)、TBO(住友精化(株))、ケイコール(日本曹達(株))、カヤホール(日本化薬(株))、WHITEX(住友化学(株))、LumogenF(BASF社)などを挙げることができる。
また、一般に市販されている蛍光増白剤を単独で使用しても良いし、複数を組合わせて併用しても良い。具体的な商品名としては、Mikephor(三池染料(株))、UVITEX OB ONE(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)、BLANKOPHOR(バイエル社)、LEUCOPHOR(クライアント社)、OB−1(イーストマンケミカル社)、TBO(住友精化(株))、ケイコール(日本曹達(株))、カヤホール(日本化薬(株))、WHITEX(住友化学(株))、LumogenF(BASF社)などを挙げることができる。
蛍光増白剤の含有量は、B層のベース樹脂(脂肪族ポリエステル)100質量部に対して0.005質量部(50ppm)〜0.5質量部(5000ppm)、中でも特に0.01〜0.2質量部とするのが好ましい。蛍光増白剤の含有量が0.005質量部以上であれば上記特性を十分発揮することができ、また、添加量が0.5質量部以下であれば、蛍光増白剤自体の着色により反射シートの反射率の低下を招くこともない。
(B層の脂肪族ポリエステル系樹脂)
B層のベース樹脂は、A層の脂肪族ポリエステル系樹脂として説明した樹脂を用いることができ、中でもA層同様に乳酸系重合体を用いるのが好ましい。
B層のベース樹脂は、A層の脂肪族ポリエステル系樹脂として説明した樹脂を用いることができ、中でもA層同様に乳酸系重合体を用いるのが好ましい。
(他の成分)
樹脂組成物A及び樹脂組成物Bは、脂肪族ポリエステル系樹脂、微粉状充填剤又は蛍光増白剤の機能を妨げない範囲で他の樹脂や他の添加物を含んでいてもよい。例えば、加水分解防止剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、その他の添加剤を添加することができる。
中でも、耐久性を付与する目的で、加水分解防止剤を添加することが好ましいので、以下これについて詳述する。
樹脂組成物A及び樹脂組成物Bは、脂肪族ポリエステル系樹脂、微粉状充填剤又は蛍光増白剤の機能を妨げない範囲で他の樹脂や他の添加物を含んでいてもよい。例えば、加水分解防止剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、その他の添加剤を添加することができる。
中でも、耐久性を付与する目的で、加水分解防止剤を添加することが好ましいので、以下これについて詳述する。
近年、液晶表示装置はパソコン用ディスプレイの他、自動車用カーナビゲーションシステムや車載用小型テレビ等にも使用されるようになり、高温度、高湿度に耐えるものが必要となってきている。そのため、脂肪族ポリエステル系樹脂を含む反射フィルムには、耐久性を付与する目的で、加水分解防止剤を添加することが好ましい。
加水分解防止剤の好ましい一例としてカルボジイミド化合物を挙げることができる。
カルボジイミド化合物としては、例えば、下記一般式の基本構造を有するものを好ましいものとして挙げることができる。
―(N=C=N−R−)n―
式中、nは1以上の整数を示し、Rは有機系結合単位を示す。例えば、Rは脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかであることができる。また、nは、通常、1〜50の間で適当な整数が選択される。
カルボジイミド化合物としては、例えば、下記一般式の基本構造を有するものを好ましいものとして挙げることができる。
―(N=C=N−R−)n―
式中、nは1以上の整数を示し、Rは有機系結合単位を示す。例えば、Rは脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかであることができる。また、nは、通常、1〜50の間で適当な整数が選択される。
カルボジイミド化合物の具体例としては、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、および、これらの単量体が挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、単独で使用しても、あるいは、2種以上組み合わせて使用してもよい。
カルボジイミド化合物は、樹脂組成物A又はBを構成する脂肪族ポリエステル系樹脂100質量部に対して0.1〜3.0質量部の割合で添加することが好ましい。
カルボジイミド化合物の添加量が0.1質量部以上であれば、得られるフィルムに耐加水分解性の改良効果が十分に発現される。また、カルボジイミド化合物の添加量が3.0質量部以下であれば、得られるフィルムの着色が少なく、高い光反射性を得ることができる。
カルボジイミド化合物の添加量が0.1質量部以上であれば、得られるフィルムに耐加水分解性の改良効果が十分に発現される。また、カルボジイミド化合物の添加量が3.0質量部以下であれば、得られるフィルムの着色が少なく、高い光反射性を得ることができる。
(内部空隙)
本反射フィルムにおいては、フィルム内部(A層又はB層中)に空隙を有していてもよく、フィルム内部の空隙によって反射率を更に高めることができる。
本反射フィルムにおいては、フィルム内部(A層又はB層中)に空隙を有していてもよく、フィルム内部の空隙によって反射率を更に高めることができる。
本反射フィルムの空隙率(フィルム中に空隙が占める割合)は50%以下であることが好ましく、特に5%以上、50%以下の範囲内であることが好ましい。中でも、反射率向上の点から、空隙率が20%以上であることが好ましく、特に30%以上であるのが好ましい。その一方、空隙率が50%を超えると、フィルムの機械的強度が低下してフィルム製造中にフィルムが破断したり、使用時に耐熱性等の耐久性が不足することが想定される。
このようなフィルム内の空隙は、例えばフィルムに微粉状充填剤を添加しておき、これを延伸することにより形成することができる。
このようなフィルム内の空隙は、例えばフィルムに微粉状充填剤を添加しておき、これを延伸することにより形成することができる。
但し、微粉状充填剤として、ニオブ含有量が500ppm以下の高純度酸化チタンを用いた場合には、フィルム内部に存在する空隙率が低くても或いは空隙が存在しなくても十分に高い光反射性を得ることができ、次のような効果を得ることができる。すなわち、ニオブ含有量が500ppm以下の酸化チタンを用いた場合には、充填剤の使用量を少なくすることができ、延伸により形成される空隙の数も少なくなるので、高い反射性能を維持しつつフィルムの機械的性質を向上させることができる。また、フィルム内部に存在する空隙の数を少なくすることは、フィルムの寸法安定性の向上の点においても有利である。さらに、薄肉でも高い反射性能を確保することができるから、例えばノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ用の反射フィルム等として特に好適である。
(積層構成)
本反射フィルムは、A層とB層とを備え、A層の少なくとも反射使用面側にB層を備えた積層構成であればよい。これは、微粉状充填剤、特に酸化チタンは400nm付近の波長領域を特異的に吸収するため、蛍光増白剤を含むB層をA層よりも反射使用面側に設けることにより、光源からの光線を、A層よりも先にB層中の蛍光増白剤に受光させるのが好ましいからである。
本反射フィルムは、A層とB層とを備え、A層の少なくとも反射使用面側にB層を備えた積層構成であればよい。これは、微粉状充填剤、特に酸化チタンは400nm付近の波長領域を特異的に吸収するため、蛍光増白剤を含むB層をA層よりも反射使用面側に設けることにより、光源からの光線を、A層よりも先にB層中の蛍光増白剤に受光させるのが好ましいからである。
本反射フィルムは、A層の少なくとも反射使用面側にB層を備えていればよいから、反射使用面側から順次、B層/A層の2層構成、B層/A層/B層或いはB層/A層/・・の3層構成、又は、B層/・・A層・・或いはB層/A層・・の4層、又はそれ以上に多層からなる積層構成に形成することができる(前記「・・」は任意の層を示す)。また、A層及びB層以外の層を備えていてもよい。例えば最外層に、酸化チタン等の微粉状充填剤を全く含まない樹脂層などを例えば傷防止層等として形成することができる。
上記の積層構成において、反射使用面側に位置するB層の厚みは、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上40μm以下であることがより好ましい。反射使用面側に位置するB層の厚みが10μm以上であれば上記反射特性を十分に発揮することができ、50μm以下であればフィルム全体の蛍光増白剤層が占める割合が高過ぎることがなく、反射シートの反射率低下を招くことがない。
本反射フィルム全体の厚みとしては、特に限定するものではないが、通常は30μm〜500μmであり、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜500μm程度の範囲内であることが好ましい。特に、小型、薄型の反射板用途の反射フィルムとしては、厚みが30μm以上100μm未満であるのが好ましい。かかる厚みの反射フィルムを用いれば、例えばノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ等にも使用することができる。
(反射率)
本反射フィルムは、反射率光を照射する側(反射使用面側)の面において、420nm〜700nmの波長域の光の平均反射率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが更に好ましく、中でも97%以上であればさらに好ましい。
また、550nmの波長の光に対する反射率が95%以上であることが好ましく、97%以上であることが更に好ましい。かかる反射率が95%以上であれば、良好な反射特性を示し、液晶ディスプレイ等の画面に充分な明るさを与えることができる。
本反射フィルムは、反射率光を照射する側(反射使用面側)の面において、420nm〜700nmの波長域の光の平均反射率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが更に好ましく、中でも97%以上であればさらに好ましい。
また、550nmの波長の光に対する反射率が95%以上であることが好ましく、97%以上であることが更に好ましい。かかる反射率が95%以上であれば、良好な反射特性を示し、液晶ディスプレイ等の画面に充分な明るさを与えることができる。
さらにまた、400nm付近の反射率(400nmの反射率或いは380nm〜420nmの波長領域の平均反射率)は、60%以上、更には65%以上であるのがより好ましい。フィルム表面の平均反射率が上記以上であれば、良好な反射特性を示し、液晶ディスプレイ等の画面も十分な明るさを実現することができる。このようにして得られた反射フィルムは、液晶表示装置等に用いる反射フィルムとして十分機能する反射率を実現することができる。
本反射フィルムは、紫外線に晒された後でも、上記のような優れた反射率を保持することができるという特徴を備えている。上述のように本反射フィルムは、ベース樹脂として分子鎖中に芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂を用いるので、紫外線によってフィルムが劣化せず、優れた反射性を保持することができる。
(熱収縮率)
本反射フィルムは、120℃の温度下で5分間放置されたときのフィルムの熱収縮率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることが更に好ましい。
夏場の炎天下に駐車中の車内では、自動車用カーナビゲーションシステム、車載用小型テレビ等は高温に晒されることになる。また、液晶表示装置が長時間使用されると光源ランプ周辺は高温に晒されることになる。したがって、カーナビゲーションシステムや液晶表示装置等の液晶ディスプレイに使用される反射フィルムには120℃程度における耐熱性が要求される。
120℃の温度下で5分間放置されたときのフィルムの熱収縮率が10%以下であれば、高温で使用したときに経時的にフィルムに収縮を起こすことがなく、また、反射フィルムが鋼板等に積層されている場合においても、フィルムのみが変形するようなことがない。大きな収縮が生じたフィルムは、反射を促す表面が小さくなったり、フィルム内部の空隙が小さくなったりしてフィルムの反射率が低下することになる。
本反射フィルムは、120℃の温度下で5分間放置されたときのフィルムの熱収縮率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることが更に好ましい。
夏場の炎天下に駐車中の車内では、自動車用カーナビゲーションシステム、車載用小型テレビ等は高温に晒されることになる。また、液晶表示装置が長時間使用されると光源ランプ周辺は高温に晒されることになる。したがって、カーナビゲーションシステムや液晶表示装置等の液晶ディスプレイに使用される反射フィルムには120℃程度における耐熱性が要求される。
120℃の温度下で5分間放置されたときのフィルムの熱収縮率が10%以下であれば、高温で使用したときに経時的にフィルムに収縮を起こすことがなく、また、反射フィルムが鋼板等に積層されている場合においても、フィルムのみが変形するようなことがない。大きな収縮が生じたフィルムは、反射を促す表面が小さくなったり、フィルム内部の空隙が小さくなったりしてフィルムの反射率が低下することになる。
フィルムの熱収縮を抑える、すなわち熱収縮率を低下させるには、フィルムの結晶化を完全に進行させることが望ましい。脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムの場合、2軸延伸を行うことのみでフィルムの結晶化を完全に進行させることは困難なので、フィルムを延伸した後、熱固定処理を行うことが好ましい。フィルムの結晶化を促進させることによって、フィルムに耐熱性を付与すると共に、耐加水分解性も向上させることもできる。
(生分解性)
本反射フィルムは、埋め立て処理した場合に微生物等による分解が可能で、廃棄に伴う種々の問題を生じないという特徴も備えている。脂肪族ポリエステル系樹脂は、そのエステル結合部が土壌中で加水分解して分子量が1,000程度に低下し、その後土壌中の微生物等により生分解される。
この一方、芳香族ポリエステル系樹脂は分子内の結合安定性が高く、エステル結合部の加水分解が起こりにくい。したがって、芳香族ポリエステル系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を埋め立て処理しても、分子量は低下せず、微生物等による生分解も起こらない。その結果、長期にわたって土壌中に残存し、廃棄物埋め立て処理用地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なう等の問題を引き起こすことになる。
本反射フィルムは、埋め立て処理した場合に微生物等による分解が可能で、廃棄に伴う種々の問題を生じないという特徴も備えている。脂肪族ポリエステル系樹脂は、そのエステル結合部が土壌中で加水分解して分子量が1,000程度に低下し、その後土壌中の微生物等により生分解される。
この一方、芳香族ポリエステル系樹脂は分子内の結合安定性が高く、エステル結合部の加水分解が起こりにくい。したがって、芳香族ポリエステル系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を埋め立て処理しても、分子量は低下せず、微生物等による生分解も起こらない。その結果、長期にわたって土壌中に残存し、廃棄物埋め立て処理用地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なう等の問題を引き起こすことになる。
(製造方法)
以下に、本反射フィルムの製造方法の一例について説明するが、下記製造法に何等限定されるものではない。例えば本反射フィルムは、共押出によってB層を形成することも、コーティングその他の方法によってB層を形成することも可能であるが、ここではB層を共押出する方法について説明する。
以下に、本反射フィルムの製造方法の一例について説明するが、下記製造法に何等限定されるものではない。例えば本反射フィルムは、共押出によってB層を形成することも、コーティングその他の方法によってB層を形成することも可能であるが、ここではB層を共押出する方法について説明する。
先ず、脂肪族ポリエステル系樹脂に微粉状充填剤又は蛍光増白剤、さらに必要に応じて加水分解防止剤、その他の添加剤等をそれぞれ所定量配合して混合し、2軸押出機等を用いて脂肪族ポリエステル系樹脂の融点以上の温度で混練することにより樹脂組成物A,Bをそれぞれ作製する。
より具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂に、樹脂組成物Aの場合には微粉状充填剤、樹脂組成物Bの場合には蛍光増白剤を加え、さらに必要に応じて加水分解防止剤、その他の添加剤等を加えて、リボンブレンダー、タンプラー或いはヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸または2軸押出機等を用いて、脂肪族ポリエステル系樹脂の融点以上の温度(例えば乳酸系重合体の場合には170℃〜230℃)で混練することにより、樹脂組成物A,Bをそれぞれ作製する。
より具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂に、樹脂組成物Aの場合には微粉状充填剤、樹脂組成物Bの場合には蛍光増白剤を加え、さらに必要に応じて加水分解防止剤、その他の添加剤等を加えて、リボンブレンダー、タンプラー或いはヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸または2軸押出機等を用いて、脂肪族ポリエステル系樹脂の融点以上の温度(例えば乳酸系重合体の場合には170℃〜230℃)で混練することにより、樹脂組成物A,Bをそれぞれ作製する。
次に、このようにして得られた樹脂組成物A,Bを各々別々の押出機で加熱溶融し、Tダイのスリット状の吐出口から押出して、その後、溶融した樹脂組成物A及び樹脂組成物BをTダイのスリット状の吐出口からそれぞれ押出して積層し、この積層体を冷却ロ−ルに密着固化させてキャストシートを形成する。
この際、樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを乾燥させずにそれぞれ押出機に供給しても良いが、乾燥させない場合には溶融押出する際に真空ベントを用いることが好ましい。
押出温度等の条件は、分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定する必要があるが、例えば、乳酸系重合体であれば170℃〜230℃の範囲内に押出温度を設定するのが好ましい。
この際、樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを乾燥させずにそれぞれ押出機に供給しても良いが、乾燥させない場合には溶融押出する際に真空ベントを用いることが好ましい。
押出温度等の条件は、分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定する必要があるが、例えば、乳酸系重合体であれば170℃〜230℃の範囲内に押出温度を設定するのが好ましい。
本反射フィルムにおいては、上記のようにして得たキャストシートを少なくとも1軸方向に1.1倍以上延伸するのが好ましく、2軸方向に延伸することが更に好ましい。
フィルムの機械的強度を高めるという観点のほか、フィルム内部に空隙を形成して反射率を高めるという観点からも延伸は重要である。つまり、脂肪族ポリエステル系樹脂に適した延伸温度で延伸を行うと、マトリックスとなる脂肪族ポリエステル系樹脂は延伸されるが、微粉状充填剤はそのままの状態でとどまろうとするため、延伸時における脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤の延伸挙動が異なるようになり、これによって脂肪峠ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤との界面が剥離して空隙が形成され、この空隙によって反射率が高まることになる。
2軸延伸することにより、より一層高い空隙率を得ることができるようになり、フィルムの反射率をさらに向上させることができる。また、フィルムを1軸延伸したのみでは、形成される空隙が一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、2軸延伸することにより、その空隙は縦横両方向に伸ばされた円盤状形態になる。つまり、2軸延伸することによって、樹脂と微粉状充填剤との界面の剥離面積が増大し、フィルムの白化が進行し、その結果、フィルムの光反射性をより一層高めることができる。しかも2軸延伸すると、フィルムの収縮方向に異方性がなくなるので、反射フィルムの耐熱性を向上させることができ、機械的強度を増加させることもできる。
フィルムの機械的強度を高めるという観点のほか、フィルム内部に空隙を形成して反射率を高めるという観点からも延伸は重要である。つまり、脂肪族ポリエステル系樹脂に適した延伸温度で延伸を行うと、マトリックスとなる脂肪族ポリエステル系樹脂は延伸されるが、微粉状充填剤はそのままの状態でとどまろうとするため、延伸時における脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤の延伸挙動が異なるようになり、これによって脂肪峠ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤との界面が剥離して空隙が形成され、この空隙によって反射率が高まることになる。
2軸延伸することにより、より一層高い空隙率を得ることができるようになり、フィルムの反射率をさらに向上させることができる。また、フィルムを1軸延伸したのみでは、形成される空隙が一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、2軸延伸することにより、その空隙は縦横両方向に伸ばされた円盤状形態になる。つまり、2軸延伸することによって、樹脂と微粉状充填剤との界面の剥離面積が増大し、フィルムの白化が進行し、その結果、フィルムの光反射性をより一層高めることができる。しかも2軸延伸すると、フィルムの収縮方向に異方性がなくなるので、反射フィルムの耐熱性を向上させることができ、機械的強度を増加させることもできる。
なお、2軸延伸の延伸順序は特に制限するものではなく、例えば、同時2軸延伸でも逐次延伸でも構わない。延伸設備を用いて、溶融製膜した後、ロール延伸によってMD(フィルムの引取り方向)に延伸した後、テンター延伸によってTD(前記MDに直角な方向)に延伸しても良いし、チューブラー延伸等によって2軸延伸を行ってもよい。
本反射フィルムを延伸する場合、得られたキャストシートを面積倍率において5倍以上に延伸することが好ましく、7倍以上に延伸することが更に好ましい。面積倍率において5倍以上に延伸することにより5%以上の空隙率を実現することができ、7倍以上に延伸することにより20%以上の空隙率を実現することができ、7.5倍以上に延伸することにより、30%以上の空隙率も実現することができる。
キャストシートを延伸する際の延伸温度は、例えばA層のベース樹脂のガラス転移温度(Tg)程度以上から該Tg+50℃以下の範囲とするのが好ましく、例えばA層のベース樹脂が乳酸系重合体の場合には50℃以上90℃以下とするのが好ましい。延伸温度が50℃以上であれば、延伸時にフィルムが破断することがなく、90℃以下であれば延伸配向が低くなって空隙率が小さくなることもない。
さらには、本反射フィルムにおいては、フィルムに耐熱性および寸法安定性を付与するために、延伸後に熱固定を行うことが好ましい。
フィルムを熱固定するための処理温度は90〜160℃であることが好ましく、110〜140℃であることが更に好ましい。熱固定に要する処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。また、延伸設備等については特に限定はないが、延伸後に熱固定処理を行うことができるテンター延伸を行うことが好ましい。
フィルムを熱固定するための処理温度は90〜160℃であることが好ましく、110〜140℃であることが更に好ましい。熱固定に要する処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。また、延伸設備等については特に限定はないが、延伸後に熱固定処理を行うことができるテンター延伸を行うことが好ましい。
(用途)
本反射フィルムは、広い波長領域において優れた光反射性を発揮し、しかも黄色味も帯びることもないから、例えばパソコンやテレビなどのディスプレイ、照明器具、照明看板等の反射板等に用いられる反射フィルムとして好適であるばかりか、薄型化が要求される用途の反射フィルムとしても好適である。
近年、軽量、小型ノートブック型コンピュータ、車載用小型テレビ等の需要が増えており、これに対応するような薄型液晶パネルが求められている。そのため、反射フィルムとしても薄型化が要求されており、本反射フィルムであればこの需要にも対応することができ、総厚み100μm未満の反射フィルムを実現することができる。
本反射フィルムは、広い波長領域において優れた光反射性を発揮し、しかも黄色味も帯びることもないから、例えばパソコンやテレビなどのディスプレイ、照明器具、照明看板等の反射板等に用いられる反射フィルムとして好適であるばかりか、薄型化が要求される用途の反射フィルムとしても好適である。
近年、軽量、小型ノートブック型コンピュータ、車載用小型テレビ等の需要が増えており、これに対応するような薄型液晶パネルが求められている。そのため、反射フィルムとしても薄型化が要求されており、本反射フィルムであればこの需要にも対応することができ、総厚み100μm未満の反射フィルムを実現することができる。
具体的には、本反射フィルムを用いて液晶ディスプレイ等に用いられる反射板を形成することができ、例えば、本反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に積層して反射板を形成することができる。この反射板は、液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射板として有用である。
以下に、このような反射板の製造方法の一例について説明する。
反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に被覆する方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコ−ティングする方法等があり、特に限定するものではない。例えば、金属板もしくは樹脂板の反射フィルムを貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射フィルムを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射フィルムを貼り合わせる金属板等の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2μm〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、板の表面を所定の温度に保持しつつ、直にロールラミネーターを用いて、反射フィルムを被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。この場合、金属板等の表面を210℃以下に保持すると、反射板の光反射性を高く維持できて好ましい。なお、金属板等の表面温度は160℃以上であるのが好ましい。
反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に被覆する方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコ−ティングする方法等があり、特に限定するものではない。例えば、金属板もしくは樹脂板の反射フィルムを貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射フィルムを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射フィルムを貼り合わせる金属板等の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2μm〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、板の表面を所定の温度に保持しつつ、直にロールラミネーターを用いて、反射フィルムを被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。この場合、金属板等の表面を210℃以下に保持すると、反射板の光反射性を高く維持できて好ましい。なお、金属板等の表面温度は160℃以上であるのが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
なお、実施例に示す測定値および評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
なお、実施例に示す測定値および評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
(測定および評価方法)
(1)平均粒径
(株)島津製作所製の型式「SS−100」の粉体比表面測定器(透過法)を用い、断面積2cm2、高さ1cmの試料筒に試料3gを充填して、500mm水柱で20ccの空気透過の時間より算出した。
(1)平均粒径
(株)島津製作所製の型式「SS−100」の粉体比表面測定器(透過法)を用い、断面積2cm2、高さ1cmの試料筒に試料3gを充填して、500mm水柱で20ccの空気透過の時間より算出した。
(2) 反射率(%)
分光光度計(「U―4000」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長350nmから700nmの範囲で0.5nmの波長間隔で反射率を測定した。表1には、400nm、435nm、550nm、610nmでの反射率を示すと共に、435nm、550nm及び610nmの反射率の平均値をAve.として示した。
なお、測定前に、アルミナ白板の反射率が100%になるように光度計を設定した。
分光光度計(「U―4000」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長350nmから700nmの範囲で0.5nmの波長間隔で反射率を測定した。表1には、400nm、435nm、550nm、610nmでの反射率を示すと共に、435nm、550nm及び610nmの反射率の平均値をAve.として示した。
なお、測定前に、アルミナ白板の反射率が100%になるように光度計を設定した。
(3)黄色度(YI)
フィルムの黄色度(YI値)をJIS K−7103に準じて測定した。測定には、分光測色計(「SC−T」、スガ試験機(株)製)を用いた。
フィルムの黄色度(YI値)をJIS K−7103に準じて測定した。測定には、分光測色計(「SC−T」、スガ試験機(株)製)を用いた。
(4)酸化チタン中のニオブ濃度(ppm)
酸化チタン0.6gに硝酸10mLを加えて、マイクロウェーブ式灰化装置内で80分問分解させて、得られた溶液について、ICP発光分光分析装置を用いて測定を行った。
酸化チタン0.6gに硝酸10mLを加えて、マイクロウェーブ式灰化装置内で80分問分解させて、得られた溶液について、ICP発光分光分析装置を用いて測定を行った。
[実施例1]
(A層用の樹脂組成物Aの作製)
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタン(ルチル型、ニオブ濃度430ppm;シリカ、アルミナおよびジルコニアによる表面処理あり)とを、70:30の質量割合で混合して混合物を得た。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)1.5質量部を加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物Aを作製した。
(A層用の樹脂組成物Aの作製)
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタン(ルチル型、ニオブ濃度430ppm;シリカ、アルミナおよびジルコニアによる表面処理あり)とを、70:30の質量割合で混合して混合物を得た。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)1.5質量部を加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物Aを作製した。
(B層用の樹脂組成物Bの作製)
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレット100質量部に、蛍光増白剤(イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB−1)を0.1質量部、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)を1.5質量部、二酸化珪素を0.2質量部の割合で添加し、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物Bを作製した。
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレット100質量部に、蛍光増白剤(イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB−1)を0.1質量部、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)を1.5質量部、二酸化珪素を0.2質量部の割合で添加し、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物Bを作製した。
(フィルムの作製)
樹脂組成物A、Bを、押出量がA層:B層=5:1の割合になるように、それぞれ190℃〜220℃に加熱された押出機AおよびBに供給し、190℃〜220℃で溶融し、溶融状態の樹脂組成物AおよびBをTダイの口金にて合流させ、B層/A層/B層の2種3層構成(押出量比=1:8:1)に押出し、キャストロールで冷却し未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを、65℃でMDに2.5倍、温度70℃でTDに3.2倍に二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ250μm(A層:210μm、B層:20μm)の反射フィルムを得た。
樹脂組成物A、Bを、押出量がA層:B層=5:1の割合になるように、それぞれ190℃〜220℃に加熱された押出機AおよびBに供給し、190℃〜220℃で溶融し、溶融状態の樹脂組成物AおよびBをTダイの口金にて合流させ、B層/A層/B層の2種3層構成(押出量比=1:8:1)に押出し、キャストロールで冷却し未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを、65℃でMDに2.5倍、温度70℃でTDに3.2倍に二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ250μm(A層:210μm、B層:20μm)の反射フィルムを得た。
[比較例1]
(A層用の樹脂組成物Aの作製)
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタン(ルチル型、ニオブ濃度430ppm;シリカ、アルミナおよびジルコニアによる表面処理あり)とを、70:30の質量割合で混合して混合物を得た。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)1.5質量部を加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物aを作製した。
(A層用の樹脂組成物Aの作製)
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタン(ルチル型、ニオブ濃度430ppm;シリカ、アルミナおよびジルコニアによる表面処理あり)とを、70:30の質量割合で混合して混合物を得た。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)1.5質量部を加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物aを作製した。
(B層用の樹脂組成物Bの作製)
他方、重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレット100質量部に、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)を1.5質量部、二酸化珪素を0.2質量部の割合で添加し、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物bを作製した。
他方、重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレット100質量部に、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)を1.5質量部、二酸化珪素を0.2質量部の割合で添加し、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物bを作製した。
樹脂組成物a、bを、押出量がa層:b層=5:1の割合になるように、それぞれ190℃〜220℃に加熱された押出機AおよびBに供給し、190℃〜220℃で溶融し、溶融状態の樹脂組成物AおよびBをTダイの口金にて合流させ、b層/a層/b層の2種3層構成(押出量比=1:8:1)に押出し、キャストロールで冷却し未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを、65℃でMDに2.5倍、温度70℃でTDに3.2倍に二軸延伸した後に、140℃で熱処理し、厚さ250μm(a層:210μm、b層:20μm)の反射フィルムを得た。
この未延伸フィルムを、65℃でMDに2.5倍、温度70℃でTDに3.2倍に二軸延伸した後に、140℃で熱処理し、厚さ250μm(a層:210μm、b層:20μm)の反射フィルムを得た。
[比較例2]
フィルムの作製を以下のように変更した以外、実施例1と同様とした、すなわちA層からなる単層フィルムとした。
フィルムの作製を以下のように変更した以外、実施例1と同様とした、すなわちA層からなる単層フィルムとした。
(フィルムの作製)
樹脂組成物Aを、190℃〜220℃に加熱された押出機Aに供給し、190℃〜220℃で溶融し、樹脂組成物Aからなる単層構成として押出し、キャストロールで冷却し未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを、65℃でMDに2.5倍、温度70℃でTDに3.2倍に二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ250μmの反射フィルムを得た。
樹脂組成物Aを、190℃〜220℃に加熱された押出機Aに供給し、190℃〜220℃で溶融し、樹脂組成物Aからなる単層構成として押出し、キャストロールで冷却し未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを、65℃でMDに2.5倍、温度70℃でTDに3.2倍に二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ250μmの反射フィルムを得た。
[比較例3]
B層用の樹脂組成物Bの作製を以下のように変更した以外、実施例1と同様にした。
B層用の樹脂組成物Bの作製を以下のように変更した以外、実施例1と同様にした。
(B層用の樹脂組成物Bの作製)
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタン(ルチル型、ニオブ濃度430ppm;シリカ、アルミナおよびジルコニアによる表面処理あり)とを、70:30の質量割合で混合して混合物を得た。この混合物100質量部に対して、蛍光増白剤(イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB−1)を0.1質量部、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)を1.5質量部、二酸化珪素を0.2質量部の割合で添加し、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物Bを作製した。
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタン(ルチル型、ニオブ濃度430ppm;シリカ、アルミナおよびジルコニアによる表面処理あり)とを、70:30の質量割合で混合して混合物を得た。この混合物100質量部に対して、蛍光増白剤(イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB−1)を0.1質量部、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)を1.5質量部、二酸化珪素を0.2質量部の割合で添加し、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物Bを作製した。
[比較例4]
A層用の樹脂組成物Aの作製を以下のように変更した以外、比較例1と同様にした、すなわち以下のA層からなる単層フィルムとした。
A層用の樹脂組成物Aの作製を以下のように変更した以外、比較例1と同様にした、すなわち以下のA層からなる単層フィルムとした。
(A層用の樹脂組成物Aの作製)
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.7μmの硫酸バリウム(堺化学社製#300)とを、70:30の質量割合で混合して混合物を得た。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)1.5質量部を加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物Aを作製した。
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(カーギルダウポリマー社製NW4032D、D体:L体=1.5:98.5、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.7μmの硫酸バリウム(堺化学社製#300)とを、70:30の質量割合で混合して混合物を得た。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤としてカルボジイミド変性イソシアネート(日清紡績(株)製カルボジライトLA―1)1.5質量部を加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して樹脂組成物Aを作製した。
Claims (8)
- 脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を含有してなる樹脂組成物AからなるA層を備えると共に、少なくとも当該A層の反射使用面側に、脂肪族ポリエステル系樹脂及び蛍光増白剤を含有してなる樹脂組成物BからなるB層を備えた脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
- A層の反射使用面側に位置するB層は、樹脂組成物Bの0.005質量%以上0.5質量%以下の割合で蛍光増白剤を含有し、且つ、層厚みが10μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
- 反射使用面側における400nm波長の反射率が65%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
- A層が含有する微粉状充填剤は、ニオブ含有量が500ppm以下の酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
- A層が含有する微粉状充填剤は、その表面が、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類の不活性無機酸化物で被覆された酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
- A層が含有する微粉状充填剤は、その表面が、シリカとシリカ以外の不活性無機酸化物とを組合わせて併用して被覆された酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
- 樹脂組成物A及び樹脂組成物Bの脂肪族ポリエステル系樹脂はいずれも乳酸系重合体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の反射フィルムを備えた反射板。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005215418A JP2007030284A (ja) | 2005-07-26 | 2005-07-26 | 脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2005
- 2005-07-26 JP JP2005215418A patent/JP2007030284A/ja active Pending
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