JP2007168340A - 高感度感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム - Google Patents

高感度感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 穿孔感度、穿孔独立性、印刷歪、耐刷性、耐カール性に優れ、特にサーマルヘッドによる低いエネルギーでの穿孔から高いエネルギーまでの広い範囲で確実に穿孔する、穿孔性に優れた感熱孔版印刷用フィルムを提供する。
【解決手段】 ポリエステルを構成する酸成分の10〜30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、グリコール成分の10〜50モル%が1,4−ブタンジオール成分であるポリエステルフィルムであり、融点が145〜200℃であり、120℃の熱収縮率が15%以上であり、150℃の収縮率が30%以上であり、ガラス転移温度が60〜85℃であることを特徴とする高感度感熱孔版印刷用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、穿孔特性(穿孔感度、穿孔径の均一性、独立穿孔性)および印刷特性(印刷歪、耐印刷性)に優れ、広範囲の穿孔エネルギーで穿孔可能な高感度感熱孔版印刷原紙用フィルムに関するものである。
従来、感熱孔版印刷用原紙としては、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムにインキ透過性多孔性薄葉紙を熱または接着剤によりラミネートしたもの、あるいは多孔性樹脂膜と多孔性薄葉紙を併用したものが知られている。孔版印刷物に対して、高品質の要求があり、さらなる品質の改良が求められている。具体的な要求特性は、以下のとおりである。
(1)印字エネルギーと穿孔特性
高解像度を得るため、個々のサーマルヘッドは小さく、単位面積当たりの穿孔数を増し、個々のヘッドに供給するエネルギーは低減させる方向にある。また、設定した印刷画像を得るため、画像信号に応じたエネルギーを供給し、穿孔径が調整されている。要求されるフィルム特性は、低いエネルギーでも十分穿孔することであり、また高い穿孔エネルギー下でも穿孔された穿孔径が繋がらず、穿孔独立性が維持されていることも要求される。
(2)耐刷性
印刷部数は作成された原図マスターで多部数の印刷ができる印刷耐久性が望まれる。具体的には、印刷紙エッジと孔版マスターとの繰り返し圧着、磨耗によってフィルムが損傷、破れが発生しないことが望ましい。
(3)印刷機内のマスター搬送性
搬送性の不良はマスターが詰まりやすく、製版不良、印刷画像ずれを生じる。搬送不良原因はマスターの寸法変化によることが多く、保存カールが少ないことが望まれる。
上記の印刷特性を改良するため、孔版マスターの構成を配慮した幾つかの提案がなされている。例えば、特許文献1には、多孔性支持体として、繊度1デニール以下の合成繊維からなる薄葉紙を用いることが開示されている。また、特許文献2および3には熱可塑性フィルムの片面に多孔性樹脂膜を設けた感熱孔版マスターが提案されている。特許文献4および5には、インキ通過を阻害しない多孔性支持体を用いない実質的に熱可塑性フィルムからなる感熱孔版印刷用原紙が提案されている。
一方、孔版マスターを構成するフィルムの穿孔特性の改良、製膜時および孔版原紙作成時の取扱い性を改良した提案もされている。例えば、熱的特性を特定のものにすることにより印刷特性を改善したフィルム(特許文献6)、平均粒子径とフィルム厚みを特定範囲としたフィルム(特許文献7)、表面の粗度および突起個数を規定したフィルム(特許文献8)、あるいは熱収縮特性を規定したフィルム(特許文献9)等が提案されている。
しかしながら、従来の孔版フィルムでは、低いエネルギーでの穿孔には、フィルムの穿孔特性不良、フィルム溶融、変形不良のため穿孔が十分でなく、また高エネルギーで穿孔した場合には穿孔径が大きく連なる連孔が発生し、文字印刷、ベタ印刷で印刷裏移り等の印刷品質が低下する欠点が生じる。幅広い穿孔エネルギーに対して確実に穿孔し、高いエネルギー領域では個々の穿孔径が連なることなく独立穿孔する特性付与が必要であるが、これを満足するものはまだ開発されていない。さらにマスターのカール性においても、常温での加工時の歪がフィルムに付与されることなく、保管中あるいは高湿度下で寸法変化しない感熱孔版印刷用原紙が必要とされているが、従来品では不十分である。
特開平3−193445公報 特開平8-332785公報 特開2003−276355号公報 特開昭54-33117公報 特開2001−212925公報 特開昭62−149496号公報 特開昭63−286396号公報 特開昭63−227634号公報 特開平5−116215号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、穿孔感度、穿孔独立性、印刷歪、耐刷性、耐カール性に優れ、特にサーマルヘッドによる低いエネルギーでの穿孔から高いエネルギーまでの広い範囲で確実に穿孔する、穿孔性に優れた感熱孔版印刷用フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルを構成する酸成分の10〜30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、グリコール成分の10〜50モル%が1,4−ブタンジオール成分であるポリエステルフィルムであり、融点が145〜200℃であり、120℃の熱収縮率が15%以上であり、150℃の収縮率が30%以上であり、ガラス転移温度が60〜85℃であることを特徴とする高感度感熱孔版印刷用ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルとは、上記したジカルボン酸成分、およびグリコール成分を含有してなる共重合体から成る。かかる共重合可能成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸等のジカルボン酸およびその誘導体、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のグリコール成分等が挙げられる。
かかるポリエステルを得る方法としては、重合時に所定量のジカルボン酸成分とグリコール成分を仕込み、共重合により目的のポリエステルを得る方法あるいは、異なる成分比の共重合ポリエステルの2種類以上をブレンドして溶融混練りにより所定の成分量になるように調整する方法が挙げられる。
本発明のフィルムを構成するポリエステルは、酸成分の10〜30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分から構成され、好ましくは15〜30モル%、さらに好ましくは15〜25モル%の範囲から構成されるものである。かかる範囲外では低エネルギーから高エネルギーでの穿孔性において、本発明の目的とする特性が発現しない。さらに2,6−ナフタレンジカルボン酸以外の酸成分として、テレフタル酸が70〜90モル%、さらには70〜85モル%、特には75〜85モル%含まれていることが好ましい。
また、グリコール成分の10〜50モル%が1,4−ブタンジオール成分から構成される必要があり、当該成文は、20〜50モル%の範囲が好ましい。1,4−ブタンジオール成分が10モル%未満では高感度が得られず、50モル%を超えると、フィルムの耐熱性、寸法安定性が悪いため、マスター保管中にカールしやすく、厳しい要求特性に満足する品質のものが得られない。さらに、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分として、エチレングリコールを50〜90モル%、さらには50〜80モル%含まれていることが好ましい。
本発明のフィルムの熱収縮率は120℃で15%以上であり、好ましくは20%以上、また150℃の熱収縮率が30%以上、好ましくは40%以上である。これを満たすならば、特に印字エネルギーを可変あるいは印字時間により穿孔径を調整するシステムに広範囲の印刷特性を得ることが可能になる。また、120℃での収縮率が15%未満では、低エネルギーでの穿孔性の点から、十分な穿孔径、穿孔確率を確保することができず、未穿孔が発生する。
本発明のフィルムのガラス転移温度(Tg)は60〜85℃以上の範囲である。Tgが60℃未満の場合は、サーマルヘッドの発熱により、ベタ印刷周辺でのフィルム収縮、製版歪が発生し、印刷品質を悪化させる。また、マスターカールについては、60℃での長時間収縮率が寄与するが、Tgが60℃未満では、フィルム製膜時の張力変動が、残留歪として残存するし、マスター保存中に残存した歪の回復、寸法変化から高温、高湿下でカールが発生しやすくなる。カールが大きいと、製版印刷機での通紙性および搬送性が悪化する。また、ラミ加工温度に関しては、フィルムのTgより低い温度が好ましく、生産性面で不利になる。また、フィルムのTgが85℃を超える場合は、低エネルギーでの穿孔が難しく、未穿孔が発生する。
本発明のフィルムの融点は145℃〜200℃の範囲である。融点が145℃未満では、融点が低過ぎて独立穿孔径の維持が難しい。融点が200℃を超える場合は、低エネルギーでの穿孔が得られず、印字特性が低下する。融点は、好ましくは175℃以下、さらに好ましくは160℃以下である。
穿孔径の独立穿孔性および穿孔径に寄与するフィルム特性として、フィルムの固有粘度〔η〕は通常052以上、好ましくは0.55以上である。フィルム固有粘度〔η〕が0.52未満では、サーマルヘッド印字の温度で溶融粘度が低くなり、穿孔径の独立性が維持できず連孔を生じることがある。また、〔η〕が0.70以上の場合は、穿孔時の変形抵抗が大きく、穿孔径が小さくなり、穿孔径の不揃いが発生しやすく、未穿孔が発生しやすくなる傾向がある。
フィルム厚みは、通常1.0〜5.0μmであり、好ましくは1.0〜3.0μmであり、さらに好ましくは1.0〜2.0μmである。フィルム厚みが薄くなれば、熱伝導距離が短縮され、穿孔時に必要な熱エネルギーも減少するため穿孔性が向上し、印刷時の解像度や印字品位性が向上するが、フィルム厚みが1.0μm未満では、穿孔性の点では問題がないが、印刷枚数が多い用途にはフィルム強度が弱く耐刷性が低下する傾向がある。また、厚みが3.0μmを超えると、穿孔性が若干悪化する傾向にある。フィルム厚みが厚い分、穿孔エネルギーを高めると穿孔された周辺のフィルムの盛り上がりが大きく印刷品質は不利になるが、耐刷性が要求される用途では、フィルムと印刷紙との摩擦によるフィルム破れが少なく耐刷性が向上する。支持体が不織布のように腰が弱い用途、支持体がないフィルム強度が要求される孔版印刷原紙にも利用できる。厚みが5.0μを超える場合は穿孔径を得るため、穿孔エネルギーを大きくする必要があり、サーマルヘッドの寿命面からも好ましくない場合がある。
マスターの搬送性には、マスターの腰および和紙とフィルムの温湿度変化による寸法変化に起因するカール量が影響する。孔版マスターが保存あるいは使用される環境下より少し高めの温度である60℃で長時間放置されたときの収縮率、寸法変化の少ないフィルムが望まれる。
また、本発明のフィルムは、フィルム製造時の巻上げ工程、原紙作製時のコーティング、貼合せ工程および印刷時の作業性を向上させるため、あるいは、熱穿孔時のサーマルヘッドとフィルムとの融着を防止するため、表面を粗面化してフィルムに適度な滑り性が付与させることが好ましいが、そのためには微細な不活性粒子をフィルム中に添加すればよい。用いる微細な不活性粒子の平均粒径は、フィルム厚みの0.2〜1.0倍であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.7倍、特に好ましくは0.3〜0.5倍である。平均粒径がフィルム厚みの1.0倍を超えると、フィルム表面の平面性が損なわれて熱伝達にムラが生じることがあり、穿孔が不均一となったり、解像度が劣ったり、印字品位性を損なったりすることがある。また、平均粒径がフィルム厚みの0.2倍未満では、フィルムの巻き特性が劣るなどフィルム製造時および原紙製造時の作業性が悪化する傾向がある。
粒子の添加量は、通常0.05〜3.0重量%の範囲であり、好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲である。粒子の添加量が0.05重量%未満では、巻き特性が劣る傾向がある。また3重量%を超えるとフィルム表面の粗面化の度合いが大き過ぎて、熱伝達にムラが生じやすくなる傾向があり、穿孔が不均一となったり、解像度が劣ったり、印字品位性を損なったりすることがある。
本発明で用いる不活性粒子の例としては、酸化ケイ素、酸化チタン、ゼオライト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、セライト、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシム、フッ化リチウム、カオリン、タルク、カーボンブラックおよび特公昭59−5216号公報に記載されたような架橋高分子微粉体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。この際、配合する不活性粒子は単成分でもよく、また、2成分以上を同時に用いてもよい。本発明においてポリエステルに不活性粒子を配合する方法としては、特に限定されないが、例えば不活性粒子をポリエステルの重合工程に添加する方法、またはフィルム化前に溶融混練りする方法が好ましく用いられる。
本発明においては、上記したような方法により表面を適度に粗面化したフィルムを得るが、作業性や印刷時の解像度、印字品位性をさらに高度に満足させるためには、フィルム表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.02〜0.2μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.15μmの範囲であり、かかる範囲となるよう適宜、条件を選択することが望ましい。
次に本発明のポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明においては、ポリマーをエクストルーダーに代表される周知の溶融押出装置に供給し、ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをスリット状のダイから押し出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、通常、静電印加密着法を採用する。
このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは55〜95℃、さらに好ましくは60〜85℃の温度範囲で、まず一方向に3.0〜6.0倍、好ましくは3.5〜5.0倍に延伸する。次に一段目と直交する方向に、好ましくは70〜120℃、さらに好ましくは75〜110℃の温度範囲で3.0〜6.0倍、好ましくは3.5〜5.0倍に延伸を行い、2軸に配向したフィルムを得る。
なお、一方向の延伸を2段階以上で行う方法も用いることができるが、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入ることが望ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が9〜30倍になるように同時二軸延伸することも可能である。
かくして得られたフィルムを熱処理してもよく、また必要に応じ熱処理を行う前または後に再度縦または横方向に延伸してもよい。延伸後の熱処理は実質的に行わないか、行ったとしても120℃以下、さらには100℃以下とし、通常、熱処理時間は1秒〜20秒間でフィルムを弛緩状態や定長下で行う。
また、感熱孔版印刷用原紙を製造する際、40〜70℃程度の乾燥工程および夏場を経る長期保存中にフィルムの収縮に起因すると考えられるカールが発生することがある。従って本発明においてはカール防止のため、得られたフィルムを30〜60℃で5時間から3日間、好ましくは35〜50℃で1日〜3日間エージング処理すると該環境下での耐カール性が良好となる。
本発明の感熱孔版用フィルムは、上記構成でフィルム特性を最適化することにより穿孔感度が極めて高く、印刷機のサーマルヘッドに供給されるエネルギーを下げて製版が可能となり、サーマルヘッドの寿命延長や高速製版に寄与する。また、フィルムの機械特性、耐カール性、耐磨性が優れているため、穿孔原版から、多くの印刷枚数が可能となり、本発明の工業的価値は高い。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性測定法は以下に示すとおりである。
(1)熱収縮率(%)
試料を無張力状態で所定の温度(120℃または150℃)に保ったオーブン中、3分間熱処理し、その前後の試料長さを測定し次式にて熱収縮率を算出した。また、60℃低温度については1000分間熱処理した。フィルム縦方向と横方向に5点ずつ測定し、平均値を求めた。
熱収縮率=(熱処理前のサンプル長−熱処理後のサンプル長)÷(熱処理前のサンプル長)×100
(2)固有粘度〔η〕
ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒
100ml中に溶解し、30℃で測定した。
(3)融点〔℃〕およびガラス転移温度〔℃〕
示差走査熱量計(DSC)を用いる方法で、具体的にはテイー・エイ・インスルメント社製DSC−2920を使用して測定した。試料は温度0℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し結晶融解吸熱ピーク温度を融点とした。ガラス転移温度は300℃に加熱したものを急冷した非晶質試料を昇温、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲する温度範囲の中心値とした。
(4)試料成分含有量の測定
ポリマー試料を重水素トルフルオロ酢酸溶媒に濃度3重量%となるように溶解させた溶液を調整した。核磁気共鳴装置(ブルカ−バイオスピン製DRX−500)を用い、この溶液の1H−NMRスペクトルを得、各ピークを帰属し、ピークの積分値から各成分の含有量を算出した。
(5)耐カール性
厚み2.0μmのポリエステルフィルムに支持体としてマニラ麻の繊維からなる和紙を用い、接着剤としてビニル系樹脂をトルエンに溶解したものを用い、該フィルムと和紙をラミネートし、50℃のエアーオーブンで10秒間乾燥し、感熱孔版原紙を得た。得られた原紙を50℃−湿度90%の恒温恒湿中で1日処理した。カール試験は前述したサンプルから50mm幅試験片を切り取り、25℃、65%RH雰囲気下で放置し、カール量は試験片の両端カールの高さを測定した。カール性が悪く円筒状にカールするときは、直径を測定した。試験片の両端の高さが10mm以下は実用上問題にはならない。カール量は長手方向と直角方向のニ方向で測定を行い、カール量の大きい値をフィルムのカール量とした。
(6)感熱孔版印刷原紙実用特性
フィルムに和紙を貼り合わせて原紙を作製した。得られた原紙をプリポートVT3950により、印刷した。印字エネルギーは通電コントロール調整−17%(標準)−35%(エコノミ)−50%にて文字画像および16段階の階調画像を製版した。製版された原紙のフィルム側から顕微鏡で階調画像部の穿孔状態を観察し、以下の項目について評価した。
(a)穿孔感度
◎:所定の穿孔が確実に行われ、穿孔の大きさも十分である
○:所定の穿孔がほぼ確実に行われ、穿孔の大きさも十分である
△:まれに所定の穿孔が得られない部分や穿孔の大きさが不十分な部分があり、また穿孔エネルギーが高い条件下では穿孔が連なっている部分がある
×…所定の穿孔が得られない部分が数多くあり、穿孔の大きさも不十分であり、実用上支障がある
また、製版原紙を用い、リコー(株)製プリポートVT3950印刷機を用いて実際に印刷し、得られた文字、画像について、下記の特性を目視で判定した。
(b)印字品位性
◎:濃度のムラ、にじみが全くなく、鮮明に印字できる
○:濃度のムラ、にじみがなく、鮮明に印字できる
△:わずかに濃淡のムラ、にじみが認められ、やや鮮明さに欠ける
×…濃淡のムラ、あるいはにじみ、かすれがはっきり出ている
(c)穿孔周辺のしわ、製版歪み
○:べタ印刷部の連続穿孔された穿孔部の周辺にフィルムしわ観察されない
△:べタ印刷部の連続穿孔された穿孔部の周辺にフィルムしわが僅かに観察される
×:ベタ印刷部の連続穿孔された穿孔部の周辺にフィルムしわが広い範囲に観察される
(d)耐刷性
25mm直径の金属ドラムに180度接触させ10mm/分の速度で繰り返し摩耗させた。摩耗長さは75mm、2時間繰り返し摩耗した時のフィルム表面変化、あるいはフィルムダメージレベルを下記の三段階で評価した。
○:フィルム表面変化が少なくダメージが少ない
△:フィルム表面に薄い引掻きキズは観察されるが、著しいフィルム摩耗は観察されない
×:フィルム表面が穿孔された部分から一部破壊されている
実施例1:
テレフタル酸ジメチル70重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル30重量部、エチレングリコール58重量部、1,4−ブタンジール42重量部、テトラブチルチタネート0.005重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留出とともに反応温度を除々に昇温させ、3時間後に210℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了したこの反応混合物に平均粒径が1.2μmの球状シリカ粒子を分散させてエチレングリコールスラリとして0.5%重量部添加し、テトラブチルチタネート0.005重量%を加えて、4時間後重縮合反応を行った。この時、温度は220℃から徐々に昇温して280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、5時間を得た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吹出させ共重合ポリエステルを得た。上記ポリエステルを260℃に設定した押出機よりシート状に押出し、表面温度30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加密着法で急冷固化させ、厚み32μの非晶シ−トを得た。得られたシートをタテ方向に80℃で4.0倍横方向に83℃で4.0倍に延伸しさらに100℃で6秒間熱処理を実施、厚み2.0μmの二軸配向フィルムを製膜した。次いで得られたフィルムを常法に従い、多孔性薄葉紙に貼り合わせ感熱孔版印刷用原紙を作製し謄写印刷を行った。
実施例2〜6、比較例1〜7:
実施例1において、ポリエステルの構成を下記表1および2に示すように変更した。実施例1の製造と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成し印刷評価を実施したが、比較例7は熱処理温度を100℃から120℃に変更した。得られた評価結果をまとめて表1および2に示す。
Figure 2007168340
Figure 2007168340
本発明のフィルムは、例えば、高感度感熱孔版印刷原紙用のベースフィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルを構成する酸成分の10〜30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、グリコール成分の10〜50モル%が1,4−ブタンジオール成分であるポリエステルフィルムであり、融点が145〜200℃であり、120℃の熱収縮率が15%以上であり、150℃の収縮率が30%以上であり、ガラス転移温度が60〜85℃であることを特徴とする高感度感熱孔版印刷用ポリエステルフィルム。
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