JP5242923B2 - 感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
本発明でいうポリエステルの二官能性酸成分は芳香族ジカルボン酸もしくは、そのエステル形成性誘導体を主とするものであり、具体的にはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、そのエステル形成性誘導体としてはテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。またグリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
本発明においては、ポリマーをエクストルーダーに代表される周知の押出装置に供給し、ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをスリット状のダイから押し出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、通常、静電印加密着法を採用する。
ポリマー試料を重水素トルフルオロ酢酸溶媒に濃度3重量%となるように溶解させた溶液を調整した。核磁気共鳴装置(ブルカ−バイオスピン製DRX−500)を用い、この溶液の1H−NMRスペクトルを得、各ピークを帰属し、ピークの積分値から各成分の含有量を算出した。
所定の温度(140℃)に保ったオーブン中、試料を無張力状態で3分間熱処理しその前後の試料長さを測定し次式にて熱収縮率を算出した。
フィルムの縦方向と横方向に5点ずつ測定し、平均値を求めた。
熱収縮率=(熱処理前サンプル長−熱処理後サンプル長)÷熱処理前サンプル長×100
試料1gをフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解し、30℃で測定した。
示差走査熱量計(DSC)を用いる方法で、具体的にはテイー・エイ・インスルメント社製DSC−2920を使用して測定した。試料を温度0℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し結晶融解吸熱ピーク温度を融点[Tm]とした。ガラス転移温度[Tg]は300℃に加熱した試料を急冷した後、昇温速度10℃/分で昇温した時、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲する温度範囲の中心値とした。
フィルムに和紙を貼り合わせて原紙を作製した。得られた原紙をプリポートVT3950により、印刷した。印字エネルギーは通電コントロール調整−17%(標準)、−35%(エコノミ)、−50% にて文字画像および16段階の階調画像を製版した。製版された原紙のフィルム側から顕微鏡で階調画像部の穿孔状態を観察し、以下の項目について評価した。
◎…所定の穿孔が確実に行われ、穿孔の大きさも十分である
○…所定の穿孔がほぼ確実に行われる、穿孔の大きさも十分である
△…所定の穿孔がほぼ確実に行われるが、穿孔の大きさに不十分なものがある
×…所定の穿孔が得られない部分が数多くあり、穿孔の大きさも不揃があり、実用上支障がある
印字エネルギー(−35%)でのベタ印刷部の穿孔サイズを写真観察で比較した。
◎…目標サイズの穿孔が確実に穿孔されている
○…目標サイズより若干小さいが穿孔は確実に穿孔されている
△…目標サイズより若干小さく、完全に穿孔されない不十分部分がある
×…目標サイズより小さく、穿孔されない部分がある
また、製版原紙を用い、リコー(株)製プリポートVT3950印刷機を用いて実際に印刷し、得られた文字、画像について、下記の特性を目視で判定した。
◎…濃度のムラ、にじみが全くなく、鮮明に印字できる
○…濃度のムラ、にじみが殆どなく、鮮明に印字できる
△…濃度のムラ、にじみは殆どないが、わずかに鮮明さに欠ける
×…濃淡のムラ、にじみが認められ、鮮明さに欠ける
25mm直径の金属ドラムに180度接触させ10mm/秒の速度で繰り返し摩耗させた。磨耗長さは75mm、2時間繰り返し摩耗した時のフィルム表面変化、あるいはフイルムダメージレベルを三段階で以下の基準で評価した。
○…フィルム表面変化が少なくダメージが少ない
△…フィルム表面に薄い引掻きキズは観察されるが、著しいフィルム摩耗は観察されない
×…フィルム表面が穿孔された部分から一部破壊されている
テレフタル酸ジメチル80重量部、イソフタル酸ジメチル20重量部、エチレングリコール60重量部を出発原料とし、触媒として、酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器に取り、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェ−ト0.04部を添加した後、平均粒子1.1μmの球状シリカ1.0部および三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により固有粘度0.70dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル−Aの固有粘度は0.70dl/gであった。ポリエステル−A原料100重量部に東亞合成(株)社製商品名ARUFONUG−4030(カタログ値:Mw=11000、Tg52℃エポキシ価:1.8meq/g、組成 アクリル系)(以下エポキシ変性改質剤と略称する)を0.6重量部を加え、二軸押出機を用いて280℃で混練りし、シート状に押出し、表面温度40℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を使用して急冷固化させ厚み25μmの実質的に非晶質のシートを得た。得られたシートを縦方向に70℃で4.0倍、横方向に97℃で4.0倍に延伸し90℃のテンター内で熱処理を施し、厚み1.5μmの二軸配向フィルムを製造した。 次いで得られたフィルムを多孔性薄葉紙に貼り合わせ、感熱孔版印刷用原紙を作製し謄写印刷および穿孔評価を行った。
実施例1において、エポキシ変性改質剤を下記表1に示すとおり変更、実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作製し、謄写印刷と穿孔評価を行った。
実施例1において、エポキシ変性改質剤を配合しないポリエステル−Aを100重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷を行った。
実施例1において、エポキシ変性改質剤を2.5重量部配合した以外は同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷および穿孔評価を行った。
テレフタル酸ジメチル70重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル30重量部、エチレングリコール58重量部、1,4−ブタンジール42重量部、テトラブチルチタネート0.005重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留出とともに反応温度を除々に昇温させ、3時間後に210℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了したこの反応混合物に平均粒径が1.2μmの球状シリカ粒子を分散させてエチレングリコールスラリとして0.5%重量部添加し、テトラブチルチタネート0.005重量%を加えて、4時間後重縮合反応を行った。この時、温度は220℃から徐々に昇温して280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、5時間を得た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吹出させ共重合ポリエステル−Bを得た。得られたポリエステル−Bの固有粘度は0.64dl/gであった。実施例1と同様にポリエステル−Bにエポキシ変性改質剤を表−2に示す通り配合、二軸押出機を280℃から255℃に変更、回転冷却温度を40℃から30℃に変更して実質的に非晶質のシートを得た。得られたシートは縦方向に83℃で4.0倍に、横方向は84℃で4.0倍に延伸し、90℃のテンター内で熱処理を施し厚み1.5μmの二軸配向フィルムを製造した。実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作製し、謄写印刷および穿孔評価を行った。
ポリエステル−Aの製造において、出発原料テレフタル酸ジメチル100重量としたこと以外はポリエステル−Aの製造方法と同様の方法を用いてポリエステル−Cを得た。得られたポリエステル−Cの固有粘度は0.60dl/gであった。ポリエステル−Cを用い、表1に示すとおり原料を配合して、実施例1における製膜条件をフィルムの縦方向の延伸温度を83℃、横方向を103℃に変更し、テンターでの熱処理温度を100℃とし、厚み1.5μmの二軸延伸フィルムフイルムを製造した。次いで、実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作製し謄写印刷および穿孔評価を行った。
実施例6において、エポキシ変性改質剤を配合しないポリエステル−Cを用いた以外は実施例6と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷および穿孔評価を行った。
以上得られたフィルムの物性および孔版原紙実用特性を下記表1および2に示す。
Claims (1)
- エポキシを有する不飽和単量体と当該単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体(ただし、架橋高分子粒子である共重合体を除く)をポリエステル100重量部に対して0.1〜2.0重量部含有するポリエステル組成物からなるポリエステルフィルムであって、このポリエステルフィルムの融点が148℃〜254℃であることを特徴とする感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム。
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