JPH09320450A - 電子放出素子及びその製造方法 - Google Patents

電子放出素子及びその製造方法

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JPH09320450A
JPH09320450A JP7235897A JP7235897A JPH09320450A JP H09320450 A JPH09320450 A JP H09320450A JP 7235897 A JP7235897 A JP 7235897A JP 7235897 A JP7235897 A JP 7235897A JP H09320450 A JPH09320450 A JP H09320450A
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昭夫 平木
Toshimichi Ito
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Akimitsu Hatta
章光 八田
Nobuhiro Sakaemori
信広 栄森
Makoto Kitahata
真 北畠
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイヤモンド層を用いたMIS、pn、pi
n構造に順方向バイアスを印加して、電子を電子供給層
よりp型のダイヤモンド層に供給することにより、効率
的に電子線を放出する電子放出素子とその製造方法を提
供する。 【解決手段】 電極層と電子供給層とダイヤモンド層と
を含んだ積層構造とするか、または真空紫外線照射など
の方法により、ダイヤモンド層表面の電子親和力状態を
任意に制御する。電極層11a、11b間にバイアスを印加
することにより、挟まれた電子供給層12及びダイヤモン
ド層13に電界を印加することが可能となる。印加バイア
スの大きさを制御することにより、電界を電子供給層12
に与えることができ、電子を一方の電極層11aから電子
供給層12、更に電子供給層12からダイヤモンド層13に容
易に注入することが可能となる。ダイヤモンド層の表面
14の状態を制御することによって負の電子親和力の状態
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線を放出する
電子放出素子に関し、特にダイヤモンド層を用いて形成
される電子放出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子放出素子は、タングステン
(W)等の材料を高温に加熱して電子を引き出す熱陰極
が用いられてきた。近年、その様な電子銃に代わる電子
線源として、冷陰極タイプの微小電子放出素子が注目さ
れている。このようなタイプの電子放出素子としては、
一般的には電界放出型のものやpn及びショットキー接
合を用いたアバランシェ増幅型のものなどが報告されて
いる。
【0003】電界放出型の電子放出素子は、引き出し電
極に電圧をかけて電界を印加することにより、シリコン
(Si)やモリブデン(Mo)などの高融点金属などで作製
されたコーン状のエミッター部から電子を放出させるも
のであり、微細加工技術を用いることによって小型化を
図ることができるなどの特徴を有している。
【0004】それに対し半導体材料を用いたアバランシ
ェ増幅型のものは、pn及びショットキー接合部分に逆
バイアス電圧を印加してアバランシェ増幅を起こすこと
により電子をホット化し、エミッター部分より電子を放
出するものである。
【0005】この様な電子放出素子の材料として要求さ
れる特性は、1)比較的小さな電界で電子を放出し易いこ
と、即ちその物質の電子親和力が小さいこと、2)安定な
電子放出特性を維持するために、エミッター部表面が化
学的に安定なこと、3)耐摩耗性や耐熱性に優れているこ
となどがある。
【0006】そのような観点で従来技術をみた場合、電
界放出型素子は放出電流量のエミッター部形状依存性が
大きく、その作製、制御が非常に困難であると共に、用
いられている材料の表面安定性の点で課題があった。ま
たこの方式では、個々の素子は点の電子放出源であり、
面状の電子放出流を得ることは困難であった。
【0007】またアバランシェ増幅型は、一般的に非常
に大きな電流量を素子に印加する必要があるので素子の
発熱が起こり、そのため電子放出特性が不安定になった
り素子寿命が短くなったりするといった問題点があっ
た。またアバランシェ増幅型ではエミッター部表面にセ
シウム層等を設けることによって電子放出部分の仕事関
数量を小さくしているが、セシウム等の仕事関数が小さ
い材料は化学的に不安定であるため表面状態が安定でな
い、すなわち電子放出特性が安定でないといった問題点
もあった。以上のようにこれまで用いられてきた材料お
よび構造は、電子放出素子に要求される特性を十分に満
たすものではなかった。
【0008】これに対しダイヤモンドは、広禁制帯幅
(5.5 eV)を有する半導体材料であり、その特性は高硬
度、耐磨耗性、高熱伝導率、化学的に不活性であるなど
電子放出素子材料として非常に適している。またダイヤ
モンドは、その表面状態を制御することによって、伝導
帯端のエネルギー準位が真空のエネルギー準位よりも高
くなる、すなわち負の電子親和力の状態にすることが可
能である。すなわちダイヤモンド層の伝導帯に電子を注
入してやれば、容易に電子を放出させることが可能にな
るといった利点を有している。加えてダイヤモンドは、
一般に炭素系ガス種と水素ガスを原料ガスとした気相合
成法で容易に形成することが可能であり、製造的な面で
も優位性を持っている。しかし、金属とダイヤモンドの
伝導帯のエネルギーバンドが大きく異なるため、単に電
極をダイヤモンド層に接触させることにより、ダイヤモ
ンドの伝導帯に電子を供給することは容易ではない。こ
れまでダイヤモンドの伝導帯に効率的に電子を供給する
方法や構造については詳しく検討されておらず、ダイヤ
モンドの伝導帯に電子を供給し放出させるような電子放
出素子は実現されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おける前記課題を解決するため、効率的に電子線を放出
する電子放出素子を提供することを目的とする。また2
つの異なる電極層で、少なくとも電子供給層やダイヤモ
ンド層を挟んだ構造を形成することにより、容易に電子
線を放出する電子放出素子を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の電子放出素子は、ダイヤモンド層を用いて
形成される電子放出素子であって、電極層と電子供給層
とダイヤモンド層とを含む積層構造を有し、前記電子供
給層から前記ダイヤモンド層に電子を供給することを特
徴とする。
【0011】前記電子放出素子においては、金属による
電極層と、電子供給層が絶縁体層を含み、ダイヤモンド
層がp型のダイヤモンド層を含むMIS(metal-insulat
or-semiconductor)構造であり、前記MIS構造に順方
向バイアスを印加して、電子を前記p型のダイヤモンド
層に供給することが好ましい。
【0012】また前記電子放出素子においては、電極層
が金属であり、電子供給層がn型の半導体層を含み、ダ
イヤモンド層がp型のダイヤモンド層を含むpn構造
に、順方向バイアスを印加することが好ましい。
【0013】また前記電子放出素子においては、電極層
が金属であり、電子供給層がn型の半導体層及びi型の
半導体層を含み、ダイヤモンド層がp型のダイヤモンド
層を含むpin構造であり、前記pin構造に順方向バ
イアスを印加することが好ましい。
【0014】また前記電子放出素子においては、ダイヤ
モンド層の厚さが5μm以下であることが好ましい。さ
らに好ましくは、ダイヤモンド層の厚さは0.05μm以上
1μm以下である。
【0015】また、ダイヤモンド層が少なくともp型の
ダイヤモンド層を含んでいることが好ましい。また、p
型のダイヤモンド層の電気抵抗率が、1×104Ω・cm以下
であることが好ましい。さらに好ましくは、p型のダイ
ヤモンド層の電気抵抗率は1×10-2Ω・cm以上1×102Ω
・cm以下である。
【0016】次に本発明の電子放出素子の製造方法は、
基板素材上に気相合成法により連続膜状のダイヤモンド
層を形成することを特徴とする。前記方法においては、
ダイヤモンド層の膜厚が1μm以下であることが好まし
く、さらに好ましくはダイヤモンド層の膜厚は0.05μm
以上1μm以下である。
【0017】また前記方法においては、基板素材上に気
相合成法によりダイヤモンド層を形成した後、さらに、
前記ダイヤモンド層の基板素材側の面、及び前記ダイヤ
モンド層を表面側の面から選ばれる少なくとも一つの面
から、所定の厚さ以下まで前記ダイヤモンド層をエッチ
ングすることが好ましい。前記において所定の厚さと
は、0.05μm以上1μm以下が好ましい。
【0018】また前記方法においては、ダイヤモンド層
を形成した後、さらに前記ダイヤモンド層の所定の領域
に波長が200nm以下の真空紫外光を照射することが好
ましく、さらには100nm以上200nm以下が好ましい。
【0019】また前記方法においてはダイヤモンド層を
形成した後、さらに前記ダイヤモンド層の所定の領域
を、水素を含むガスを放電分解して得られるプラズマに
晒すことが好ましい。
【0020】また前記方法においてはダイヤモンド層を
形成した後、さらに前記ダイヤモンド層の所定の領域
を、酸素を含むガスを放電分解して得られるプラズマに
晒すことが好ましい。
【0021】また前記方法においては、ダイヤモンド層
を形成した後、さらに、加熱したダイヤモンド層を水素
を含むガス中に晒すことが好ましい。また前記方法にお
いては、ダイヤモンド層を形成した後、さらに、加熱し
たダイヤモンド層を酸素を含むガス中に晒すことが好ま
しい。
【0022】
【発明の実施の形態】背景技術の項に記載した様に、ダ
イヤモンドは負の電子親和力を有し、電子放出素子材料
として適したものであるが、電子を放出させるためには
エミッターとなる領域であるダイヤモンドの伝導帯に電
子を供給する必要がある。また電子を容易に放出させる
ためには、エミッター部の表面状態を制御する必要もあ
る。すなわち、ダイヤモンド層を用いた高効率電子放出
素子を形成するには、(1)エミッター領域への電子の供
給方法、並びに(2)エミッター部表面の制御方法が重要
となる。
【0023】前記本発明の実施形態によれば、ダイヤモ
ンド層を用いて形成される電子放出素子であって、少な
くとも電極層と電子供給層とダイヤモンド層とを含む積
層構造からなるため、以下のような作用を発揮する。
【0024】図1は本実施形態を示す素子の概略図であ
る。2つの異なる電極層11a、11b間にバイアスを印加
することによって、挟まれた電子供給層12及びダイヤモ
ンド層13に電界を印加することが容易に可能となる。そ
の際、印加バイアスの大きさを制御することにより、適
当な電界を電子供給層12に与えることができる。その結
果、電子を一方の電極層11aから電子供給層12、更に電
子供給層12からダイヤモンド層13に容易に注入すること
が可能となると共に、ダイヤモンド層の表面14の状態を
制御することによって負の電子親和力の状態することが
できるので、効率的に電子を外部に取り出すことが可能
となる。負の電子親和力を持つ様なダイヤモンド層の表
面14の状態は、特に限定されるものではないが、ダイヤ
モンド層13の最表面の炭素原子に水素原子を結合させる
ことによって容易に実現される。また電子供給層として
は、特に限定されるものではないが、絶縁性のダイヤモ
ンドや絶縁体層などが用いられる。
【0025】この様な実施形態の場合、電子供給層12に
電界がかかりダイヤモンド層13に電子が供給されればよ
いため、必ずしも図1の電極11bの様にダイヤモンド層
13に接している必要はなく、電極11cの様に間隔をもっ
てダイヤモンド層側の空間に設置されてもよい。この実
施形態においては、以下のような作用を発揮する。すな
わち、何らかの方法、例えばトンネリング注入、光励
起、熱励起などの方法で電極層11aより電子供給層12に
電子を注入すると、電子供給層12からダイヤモンド層13
の伝導帯に電子が供給される。この様にして負の電子親
和力を有するダイヤモンドの伝導帯に供給された電子
は、ダイヤモンド層表面14から容易に外部に取り出され
る。その結果、従来よりも小さなエネルギーで効率的に
放出電子(矢印15で示す)を得ることが可能となる。
【0026】また前記の実施形態では、2つの電極11
a、bによって少なくとも電子供給層12とダイヤモンド層
13を挟んでいたが、電子供給層に電界がかかりダイヤモ
ンド層に電子が供給されればよいため、電子供給層のみ
に電圧を印加しても、本発明の電子放出素子は実現でき
る。この場合は2つの電極層の配置は、電子供給層のみ
を挟んだ構造となる。ダイヤモンド層は電子供給層と接
して電極と同じ電子放出面側に形成される。
【0027】またこれらの実施形態において用いられる
ダイヤモンド層13としては、フェルミレベルが価電子帯
端近傍に存在するため伝導帯端のレベルが真空準位より
も高くなる負の電子親和力状態が顕著になるp型のダイ
ヤモンド層が適しており、その厚さ及び電気抵抗率値
は、5μm以下及び1×104Ω・cm以下、さらに望ましく
は1μm以下及び1×102Ω・cm以下である。その理由
は、膜厚が上記のように薄い場合は電子供給層12からダ
イヤモンド層13の伝導帯に供給された電子は容易にダイ
ヤモンド層の表面14に到達し、外部に放出電子15として
取り出されるが、膜厚が厚くなると表面に到達する前に
価電子帯に遷移したり電極に引きつけられたりして放出
効率が低下するためである。また電気抵抗率値は、上記
の値より大きい場合はダイヤモンドのフェルミレベルが
禁制帯の中央に近づき、負の電子親和力特性が低下して
しまう。さらに電気抵抗率値が高い場合には、相対的に
電子供給層に印加される電界の割合が減少するため、電
子の供給効率が低下してしまう。
【0028】また前記p型のダイヤモンド層に含まれて
いるホウ素(B)原子濃度としては、1×1016個/cm3以上
1×1020個/cm3以下であり、さらに望ましくは1×1017
個/cm3以上である。このような値は、p型のダイヤモ
ンド層の形成条件を制御することにより容易に実現され
る。上記ホウ素原子濃度以下の場合は、ダイヤモンド層
の電気抵抗率値が大きい場合に対応し、素子効率が低下
する。
【0029】また前記ダイヤモンド層の電子放出表面
は、水素によって終端されていると負の電子親和力性が
優れており、Cs,Ni,W,a-C(aはアモルファスを示す)
等により被覆されている場合でも電子放出素子として機
能する。その付着原子密度としては、1×1015atoms/cm2
以上1×1017atoms/cm2以下が適している。また、水素で
終端されたダイヤモンド表面は一般的に導電性を有して
おり、この表面導電層もダイヤモンドの電子放出表面と
して有効である。
【0030】さらに電極間に印加するバイアス範囲とし
ては、電子供給層12及びダイヤモンド層13の厚さや電気
抵抗値にも依存するが、0.1V以上100V以下で動作する電
子放出素子が実現できる。
【0031】また前記本発明の他の実施形態によれば、
ダイヤモンド層を用いて形成される電子放出素子であっ
て、少なくとも電極層と電子供給層とダイヤモンド層と
前記ダイヤモンド層と接して積層された絶縁体層とを含
んだ構造からなることを特徴とするため、以下のような
作用を奏することができる。
【0032】図2は本実施形態を示す素子の概略図であ
る。2つの異なる電極層21a、21b間にバイアスを印加
することによって、挟まれた電子供給層22とダイヤモン
ド層23に電界を印加することが容易に可能となる。その
際、印加バイアスの大きさを制御することにより、適当
な電界を電子供給層22に与えることができる。その結
果、電子を一方の電極層21aから電子供給層22、更に電
子供給層22からダイヤモンド層23に容易に注入すること
が可能となると共に、注入された電子のうち外部に取り
出されずに他方の電極21bに流れていた部分を絶縁体層
25によって抑制することができるので、負の電子親和力
を持つダイヤモンド層の表面24から効率的に電子(矢印
26で示す)を取り出すことが可能となる。
【0033】2つの電極間の印加バイアス範囲として
は、前記と同様電子供給層22及びダイヤモンド層23の厚
さや電気抵抗値にも依存するが、0.1V以上100V以下で電
子が供給され、ダイヤモンド層表面から電子が放出され
る。
【0034】また本発明において用いられるダイヤモン
ド層としては、前記と同様にp型のダイヤモンド層が適
しており、望まれる特性についても同じである。また絶
縁体層25としては、電子供給層22に印加される電界量に
影響を与えずに、かつ電極層21bへの電流を遮断する程
度の厚さ及び電気抵抗率を有するものが適している。具
体的には1μm以下の厚さで、かつ1×104Ω・cm以上1×
1012Ω・cm以下が好ましく、さらには1×108Ω・cm以上
の電気抵抗率を有するものが望ましい。膜厚が厚くなる
と電極間21a、b間に印加した電界のうち、絶縁体層25
にかかる割合が増加するため、電子供給層からの電子の
供給効率が減少するためである。上記絶縁体層25の材質
等については、特に限定されるものではないが、絶縁性
のダイヤモンド層や二酸化シリコン層等がよく用いられ
る。
【0035】本発明においてダイヤモンド層が、少なく
ともp型のダイヤモンド層を含んだという好ましい例に
よれば、前記のような理由で電子放出素子に適する。ま
た本発明の実施形態において、ダイヤモンド層に含まれ
るp型のダイヤモンド層の厚さ及び抵抗率が0.05μm以
上5μm以下及び1×10-2Ω・cm以上1×104Ω・cm以下、
さらに望ましくは1μm以下及び1×102Ω・cm以下であ
るという好ましい例によれば、より低エネルギーでの電
子放出が可能となる。
【0036】さらに前記本発明の実施形態によれば、ダ
イヤモンド層を用いて形成される電子放出素子であっ
て、電極層、i型のダイヤモンド層等の絶縁体による電
子供給層、p型のダイヤモンド層からなるMIS構造に
順方向バイアスを印加して、前記電子供給層を介して電
子を前記p型のダイヤモンド層に供給することにより、
以下のような作用を発揮する。すなわち、前記MIS構
造に適当な順方向バイアスを印加することによって電子
は金属などの電極層より、金属/絶縁体層界面に存在す
るショットキー障壁をトンネリングし、p型のダイヤモ
ンド層に効率的に注入されると共に、注入された電子は
負の電子親和力状態のp型のダイヤモンド層表面等より
容易に外部に放出させることができる。
【0037】図3に本発明に係る電子放出素子の実施形
態を示した図を示す。本実施形態では、電子供給層(絶
縁体層)33としてi型のダイヤモンド層を用いており、
電極層32との界面にはショットキー障壁が形成されてい
る。またi型のダイヤモンド層上には表面状態を制御し
て負の電子親和力状態となっているp型のダイヤモンド
層34が積層されている。そして前記p型のダイヤモンド
層34の表面の一部には、素子にバイアスを印加するため
の電極層35が形成されている。
【0038】図4は、前記実施形態のエネルギーバンド
の様子を模式的に示した図である。図4中のMetalは金
属電極層32を示し、i-type,p-typeはそれぞれ電子供給
層(絶縁体層:i型のダイヤモンド層)33、p型のダイヤ
モンド層34を示す。またεC、εV、εF、εVacはそれぞ
れ伝導帯端、価電子帯端、フェルミレベル、真空準位の
エネルギー準位を示している。
【0039】平衡状態(印加バイアス:0、図4A)で
は、p型のダイヤモンド層34の表面は負の電子親和力状
態であるものの、伝導帯中に少数キャリアである電子が
存在しないため外部に電子を放出することはできない。
しかしながら、適当な順方向バイアスを印加した状態
(図4B)では、バイアスの大部分が電子供給層(絶縁
体層)33に印加されるためバンドが図のように曲がった
結果、金属/絶縁体層の界面に存在するショットキー障
壁幅が薄くなり、電極層32から電子がトンネリング現象
によってp型のダイヤモンド層34の伝導帯中に注入され
る。この注入の度合いは、電極層/絶縁体層界面のショ
ットキー障壁のエネルギー高さ(△ε=εC−εF)また
は障壁幅に大きく依存するが、電子供給層(絶縁体層)
33を適度な薄さにすることで効率的に注入することが可
能となる。p型のダイヤモンド層34に注入された電子は
拡散等により、電子が放出されるエミッター部へ移動
し、p型のダイヤモンド層34の表面が負の電子親和力
(εV>εVac)を有することから外部へ放出される。こ
の様に適切な厚さを有する電極層32、電子供給層(絶縁
体層:i型のダイヤモンド層)33、p型のダイヤモンド
層34からなるMIS構造に順方向バイアスを印加するこ
とによって、安定に効率よく放出電子を得ることができ
る。上記説明では電子供給層(絶縁体層)33として、i
型のダイヤモンド層を用いたが、これに限定されるもの
ではなく、二酸化シリコン層等を用いることも可能であ
る。また電極層32に用いる材料としては特に限定される
ものではないが、一般的にアルミニウム(Al)やタング
ステン(W)が用いられる。
【0040】本発明において、p型のダイヤモンド層の
厚さが5μm以下、望ましくは1μm以下であるという
好ましい例によれば、注入された電子を効率的に負の電
子親和力状態である表面まで供給することが可能とな
る。また本発明において、p型のダイヤモンド層に含ま
れるホウ素原子濃度が1×1016個/cm3以上1×1020個/c
m3以下、望ましくは1×1017個/cm3以上であるという好
ましい例によれば、素子構成に適したp型のダイヤモン
ド層を得ることができる。また本発明において、p型の
ダイヤモンド層の抵抗率が1×10-2Ω・cm以上1×104Ω
・cm以下、さらに望ましくは1×102Ω・cm以下であると
いう好ましい例によれば、抵抗による損失分を抑制する
ことが可能となる。
【0041】また本発明において、電子供給層(絶縁体
層)として用いるi型のダイヤモンド層などの電気抵抗
率が1×104Ω・cm〜1×1012Ω・cm、望ましくは1×108
Ω・cm以上であるという好ましい例によれば、印加され
たバイアスを効率的に高抵抗領域にかけることができる
ので、トンネリングによる電子の注入が容易になる。
【0042】さらに前記本発明によれば、ダイヤモンド
層を用いて形成される電子放出素子であって、電極層、
n型のダイヤモンド層等のn型の半導体層による電子供
給層、p型のダイヤモンド層からなるpn構造に順方向
バイアスを印加することを特徴とするため、n型の半導
体層よりp型のダイヤモンド層に効率的に電子が注入さ
れると共に、注入された電子は負の電子親和力状態のp
型のダイヤモンド層表面等より容易に外部に放出させる
ことができる。
【0043】図5は、本発明に係る電子放出素子の好ま
しい例を示した図である。この例では、電極層52上にn
型の半導体層による電子供給層53としてn型のダイヤモ
ンド層が形成されている。またn型のダイヤモンド層53
上には、表面状態を制御して負の電子親和力状態となっ
ているp型のダイヤモンド層54が積層されている。そし
て前記p型ダイヤモンド層54の表面の一部には、素子に
バイアスを印加するための電極層55が形成されている。
【0044】図6A,図6Bは前記構成のエネルギーバ
ンドの様子を模式的に示した図である。図6A,図6B
中のMetal は金属電極層52を示し、n-type、p-typeはそ
れぞれ電子供給層(n型の半導体層:n型のダイヤモン
ド層)53、p型のダイヤモンド層54を示す。平衡状態
(印加バイアス:0、図6A)では、p型のダイヤモン
ド層54は負の電子親和力状態であるものの、伝導帯中に
電子が存在しないため電子を放出することはできない。
しかしながら適当な順方向バイアスを印加した状態(図
6B)では、電子がn型の半導体層53(n型のダイヤモ
ンド層)よりp型のダイヤモンド層54の伝導帯中に注入
されるため、注入された電子は拡散等により、エミッタ
ー部へ移動しp型のダイヤモンド層54より外部へ放出さ
れる。この様に適切な厚さを有する電極層52、n型の半
導体層53(n型のダイヤモンド層)、p型のダイヤモン
ド層54からなるpn構造に順方向バイアスを印加するこ
とによって、安定に効率よく放出電子を得ることができ
る。
【0045】上記説明ではn型の半導体層53として、n
型のダイヤモンド層を用いたがこの限りではなく、n型
のシリコンカーバイド等を用いることも可能である。ま
た電極層52、55に用いられる材料としては特に限定され
るものではないが、一般的にチタン(Ti)や金/チタン
(Au/Ti)などが用いられる。
【0046】また本発明において、p型のダイヤモンド
層の厚さが0.05〜5μm程度、望ましくは1μm以下で
あるという好ましい例によれば、注入された電子を効率
的に負の電子親和力状態である表面まで供給することが
可能となる。
【0047】また本発明において、p型のダイヤモンド
層に含まれるホウ素原子濃度が1×1016個/cm3〜1×10
20個/cm3、望ましくは1×1017個/cm3以上であるとい
う好ましい例によれば、素子構成に適したp型のダイヤ
モンド層を得ることができる。
【0048】また本発明においてp型のダイヤモンド層
の抵抗率が1×10-2Ω・cm〜1×104Ω・cm、望ましくは1
×102Ω・cm以下であるという好ましい例によれば、抵
抗による損失分を抑制することが可能となる。
【0049】また本発明において、n型のダイヤモンド
層に含まれるリン原子又は窒素(N)濃度が1×1016
/cm3〜1×1020個/cm3、望ましくは1×1017個/cm3
上であるという好ましい例によれば、素子構成に適した
n型のダイヤモンド層を得ることができる。
【0050】また本発明において、n型のダイヤモンド
層及びn型の半導体層の抵抗率が1×10-2Ω・cm〜1×10
4Ω・cm、望ましくは1×102Ω・cm以下であるという好
ましい例によれば、抵抗による損失分を抑制することが
可能となる。
【0051】また前記本発明によれば、ダイヤモンド層
を用いて形成される電子放出素子であって、電極層、n
型の半導体層及びi型の半導体層からなる電子供給層、
p型のダイヤモンド層からなるpin構造に順方向バイ
アスを印加することを特徴とするため、前記と同様にn
型の半導体層より、i型の半導体層のトンネリングを介
してp型のダイヤモンド層に効率的に電子が注入される
と共に、注入された電子は負の電子親和力状態のp型の
ダイヤモンド層表面等より容易に外部に放出させること
ができる。この様に適切な厚さを有する電極層、n型の
半導体層、i型の半導体層、p型のダイヤモンド層から
なるpin構造に順方向バイアスを印加することによっ
て、安定に効率よく放出電子を得ることができる。
【0052】本発明において、p型のダイヤモンド層の
厚さが0.05μm〜5μm、望ましくは1μm以下である
という好ましい例によれば、注入された電子を効率的に
負の電子親和力状態である表面まで供給することが可能
となる。また本発明において、p型のダイヤモンド層に
含まれるホウ素原子濃度が1×1016個/cm3〜1×1020
/cm3、望ましくは1×1017個/cm3以上であるという好
ましい例によれば、素子構成に適したp型のダイヤモン
ド層を得ることができる。また本発明において、p型の
ダイヤモンド層及びn型の半導体層の抵抗率が1×10-2
Ω・cm〜1×104Ω・cm、望ましくは1×102Ω・cm以下で
あるという好ましい例によれば、抵抗による損失分を抑
制することが可能となる。
【0053】また本発明において、i型の半導体層の抵
抗率が1×104Ω・cm〜1×1012Ω・cm以上、望ましくは1
×108Ω・cm以上であるという好ましい例によれば、印
加されたバイアスを効率的に高抵抗領域にかけることが
できるので、トンネリングによる電子の注入が容易にな
る。
【0054】さらに本発明において、電子が放出される
エミッター部分がp型のダイヤモンド層の表面であると
いう好ましい例によれば、表面状態の制御によって容易
に負の電子親和力状態を形成することができると共に、
注入された電子を効率よく外部に取り出すことが可能と
なるので、効率的な電子放出素子を実現することが出来
る。
【0055】さらに前記本発明において、p型のダイヤ
モンド層の最表面の炭素原子が水素原子との結合によっ
て終端された構造であるという好ましい例によれば、簡
便な方法で最表面の炭素原子に水素原子と結合した構造
を形成できると共に、p型のダイヤモンドを非常に安定
な負の電子親和力状態にすることができる。
【0056】さらに前記本発明において、p型のダイヤ
モンド層の最表面の炭素原子と結合した水素原子の量が
1×1015個/cm2〜1×1017個/cm2、望ましくは2×1015
個/cm2以上であるという好ましい例によれば、ほぼ全
ての最表面炭素原子が水素原子と結合するため、より安
定な負の電子親和力状態を維持することができる。
【0057】さらに前記本発明において、電子が放出さ
れるエミッター部分がp型のダイヤモンド層と前記p型
のダイヤモンド層と接する層の界面近傍であるという好
ましい例によれば、p型層伝導帯に注入された電子の拡
散距離が短くなるので、より効率的な電子放出素子を実
現することができる。さらに前記本発明において、p型
のダイヤモンド層としてダイヤモンドの表面導電層を用
いるという好ましい例によれば、新たにp型のダイヤモ
ンド層を形成する工程を経ることなく、容易に1μm以
下の厚さのp型のダイヤモンド層として作用する層が得
られるため、効率的な電子放出素子を簡便に実現するこ
とが出来る。
【0058】さらに前記本発明において、ダイヤモンド
の表面導電層の構造としてダイヤモンド層の最表面の炭
素原子が水素原子との結合によって終端された構造であ
るという好ましい例によれば、簡便な方法でp型のダイ
ヤモンドを非常に安定な負の電子親和力状態にすること
ができる。
【0059】さらに前記本発明において、ダイヤモンド
層の最表面の炭素原子と結合した水素原子の量が1×10
15個/cm2〜1×1017個/cm2、望ましくは2×1015個/cm2
上であるという好ましい例によれば、ほぼ全ての最表面
炭素原子が水素原子と結合するため、より安定な負の電
子親和力状態を維持することができる。
【0060】さらに前記本発明において、ダイヤモンド
層全体の厚さが0.05〜5μm以下、望ましくは1μm以
下であるという好ましい例によれば、ダイヤモンド層内
部で電子を失うことなく効率的に電子を放出させること
が可能となる。
【0061】さらに前記本発明において、ダイヤモンド
層を用いて形成される電子放出素子の構造が幅0.05〜5
μm、望ましくは1μm以下の細線状であるという好ま
しい例によれば、素子内部で電子を失うことなく効率的
に電子を放出させることが可能となると共に、線状に電
子を放出させることが可能となる。
【0062】さらに前記本発明において、ダイヤモンド
層が気相合成法によって形成されるという好ましい例に
よれば、後工程として何ら処理をすることなく成長直後
にダイヤモンド層表面に表面導電層を得ることが可能と
なる。
【0063】また上記のような構造を形成する方法とし
て本発明方法の構成によれば、ダイヤモンド層を用いて
形成される電子放出素子の製造方法であって、基板素材
上に気相合成法により1μm以下の連続膜状のダイヤモ
ンド層を形成する工程を有することを特徴とすることに
より、簡便に薄い膜厚のダイヤモンド層を有する高効率
電子放出素子を形成することが可能となる。
【0064】また同様に前記本発明方法によれば、ダイ
ヤモンド層を用いて形成される電子放出素子の製造方法
であって、基板素材上に気相合成法によりダイヤモンド
層を形成する工程と、前記ダイヤモンド層の基板素材側
の面又はダイヤモンド層の表面側から所定の厚さ以下ま
で前記ダイヤモンド層をエッチングする工程とを有する
ことを特徴とすることにより、容易に所望の構造を有す
る高効率電子放出素子を形成することが可能となる。
【0065】また本電子放出素子においては上記の通
り、エミッター部分表面の構造制御が非常に重要であ
る。一般的にエミッター部分として適した構造を形成す
る方法としては特に限定するものではないが、ダイヤモ
ンド表面の導電性を制御する、すなわちダイヤモンド表
面の炭素原子と結合する元素を制御することが容易であ
る。具体的な例として、上記のように水素終端表面(導
電性)とすることでダイヤモンドを負の電子親和力状態
にすることができ、酸素終端表面(絶縁性)とすること
で正の電子親和力状態とすることができる。このような
表面状態変化を任意に制御することで、高効率電子放出
素子の素子構成並びに作製プロセスを簡便にすることが
できる。
【0066】そこで前記本発明方法によれば、ダイヤモ
ンド層を用いて形成される電子放出素子の製造方法であ
って、ダイヤモンド層の所定の領域に波長が200nm
以下の真空紫外光を照射する工程を有することを特徴と
するので、選択的にダイヤモンド表面に結合した元素の
除去と新たな結合を形成することが可能となる。その結
果、ダイヤモンド表面の電子親和力状態を正(絶縁性)
及び負(導電性)のいずれにも制御することが可能とな
る。
【0067】また前記本発明方法によれば、ダイヤモン
ド層を用いて形成される電子放出素子の製造方法であっ
て、ダイヤモンド層の所定の領域を少なくとも水素を含
むガスを放電分解して得られるプラズマに晒す工程を有
することを特徴とするので、選択的にダイヤモンドの最
表層炭素原子に水素原子を結合させることが可能とな
り、その結果容易に負の電子親和力状態の領域を形成す
ることが可能になる。
【0068】また前記本発明方法によれば、ダイヤモン
ド層を用いて形成される電子放出素子の製造方法であっ
て、加熱したダイヤモンド層を少なくとも水素を含むガ
ス中に晒す工程を有することを特徴とするので、選択的
にダイヤモンドの最表層炭素原子に水素原子を結合させ
ることが可能となり、その結果容易に負の電子親和力状
態の領域を形成することが可能になる。
【0069】また前記本発明方法によれば、ダイヤモン
ド層を用いて形成される電子放出素子の製造方法であっ
て、ダイヤモンド層の所定の領域を少なくとも酸素を含
むガスを放電分解して得られるプラズマに晒す工程を有
することを特徴とするので、選択的にダイヤモンドの最
表層炭素原子に酸素原子を結合させることが可能とな
り、その結果容易に正の電子親和力状態の領域を形成す
ることが可能になる。
【0070】また前記本発明方法によれば、ダイヤモン
ド層を用いて形成される電子放出素子の製造方法であっ
て、加熱したダイヤモンド層を少なくとも酸素を含むガ
ス中に晒す工程を有することを特徴とするので、選択的
にダイヤモンドの最表層炭素原子に酸素原子を結合させ
ることが可能となり、その結果容易に正の電子親和力状
態の領域を形成することが可能になる。
【0071】以上のようにダイヤモンド層の表面状態を
任意に制御することにより、高効率電子放出素子の素子
構成並びに作製プロセスを簡便にすることができる。ま
たダイヤモンド層を含む上記電子放出素子を形成し、p
型のダイヤモンド表面から面状に電子を放出する平面電
子放出素子の実現も可能である。従来のコーン状のエミ
ッターにおいては電子放出は、突起部の先端でのみ起こ
るが、本発明のダイヤモンド層を含む電子放出素子は1
平方μm〜10000平方μmの面積からの面電子放出
が確認された。
【0072】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0073】
【第1の実施例】まず2×2×0.5mm のシリコン(Si)基
板上に気相合成法によって、電子供給層である絶縁性の
ダイヤモンド層と、p型のダイヤモンド層を形成した。
ダイヤモンド層の気相合成方法としては特に限定される
ものではないが、一般的には原料ガスにメタン、エタ
ン、エチレン、アセチレン等の炭化水素ガス、アルコー
ル、アセトン等の有機化合物及び一酸化炭素などの炭素
源を水素ガスで希釈したものを用い、その原料ガスにエ
ネルギーを与えて分解することによって行なわれる。そ
の際、さらに原料ガスに適宜酸素や水等を添加すること
もできる。本実施例においては、気相合成法の一種であ
るマイクロプラズマCVD法によって絶縁性及びp型の
ダイヤモンド層を形成した。マイクロ波プラズマCVD
法は原料ガスにマイクロ波を印加することによってプラ
ズマ化し、ダイヤモンドの形成を行なう方法である。具
体的な条件としては、原料ガスに水素で1〜10 vol%程度
に希釈された一酸化炭素ガスを用いた。p型化する際に
は、原料ガスにジボランガスを添加した。反応温度及び
圧力はそれぞれ800〜900℃、及び25〜40Torrである。形
成された絶縁性及びp型のダイヤモンド層の膜厚は、そ
れぞれ2μm及び0.5μmであった。またp型膜の膜中に
は、二次イオン質量分析によって1×1018個/cm3のホウ
素原子が含まれていることが確認され、その抵抗率は1
×102Ω・cm以下であった。また気相合成によって得られ
たp型ダイヤモンド層の最表面には水素が結合してお
り、紫外光照射でp型ダイヤモンド表面の電子親和力状
態を評価した結果、負の電子親和力状態であることがわ
かった。
【0074】そこでSi基板の一部を硝酸系のエッチング
液で除去して穴をあけ、基板と接していた面すなわち、
絶縁性ダイヤモンド層の上にアルミニウム(Al)の電極
を真空蒸着で形成した。さらにp型のダイヤモンド層上
の一部に金/チタン(Au/Ti)の電極を電子線蒸着で形
成した。その結果、図1に示したような2つの電極層で
絶縁性(電子供給層)及びp型のダイヤモンド層を挟ん
だ構造が作製された。
【0075】以上のような方法で作製した電子放出素子
を10-9Torr程度の真空中に設置し、Al電極側に正の電圧
を100V程度まで印加した結果、p型のダイヤモンド層表
面より電子が放出されていることが確認された。またそ
の放出電流の割合(放出効率)は0.1〜10%程度であり、
従来よりも効率的に電子が放出されていることを確認す
ることができた。
【0076】他の形成条件でp型のダイヤモンド層を形
成した場合や基板素材を変えた場合、電極の種類をAlか
らタングステン(W)に変えた場合などにおいても、同
様の結果が得られた。
【0077】
【第2の実施例】第1の実施例と同様に、2×2×0.5mm
のSi基板上にマイクロ波プラズマCVD法によってダイ
ヤモンド層を形成した。本実施例においては、絶縁性の
ダイヤモンド層のみを形成した。具体的な形成条件は、
第1の実施例と同じである。一般的にマイクロ波プラズ
マCVD法で形成されたダイヤモンド膜は、その表面に
水素原子が結合したことに起因すると考えられる表面導
電層が存在しており、その表面導電層はp型として働く
ことが知られている。それ故に、表面導電層を有する絶
縁性のダイヤモンド層は、第1の実施例のようなp型の
ダイヤモンド層を絶縁性ダイヤモンド層(電子供給層)
の上に積層した場合と同様の構造と考えることができ
る。そこでこの表面導電層を有する絶縁性のダイヤモン
ド層の表面を評価した結果、最表面には水素が結合して
おり、かつ負の電子親和力状態であることがわかった。
そこでSi基板の一部を硝酸系のエッチング液で除去して
穴をあけ、基板と接していた面にAlの電極を、表面伝導
層上の一部にAu/Tiの電極を形成した。その結果、図1
に示したような2つの電極層でダイヤモンド層を挟んだ
構造が作製された。
【0078】以上のような方法で作製した電子放出素子
を10-9Torr程度の真空中に設置し、Al電極側に正の電圧
を100V程度まで印加した結果、ダイヤモンドの表面導電
層より電子が放出されていることが確認された。またそ
の放出電流の割合(放出効率)は0.1〜10%程度であり、
従来よりも効率的に電子が放出されていることを確認す
ることができた。
【0079】他の形成条件で絶縁性のダイヤモンド層を
形成した場合や基板素材を変えた場合、電極の種類をAl
からWに変えた場合などにおいても、同様の結果が得ら
れた。
【0080】
【第3の実施例】第2の実施例と同様に、Si基板上にマ
イクロ波プラズマCVD法によって表面導電層を有する
絶縁性のダイヤモンド層を形成し、基板と接していた面
側にAlの電極を形成した後、絶縁性のダイヤモンド層の
表面上(表面伝導層上)の一部に絶縁性の厚さ0.1μm
の二酸化シリコン層(SiO2)を形成した。SiO2膜の形成
は、石英円盤をターゲットとしたrfスパッタ法で形成し
た。さらにそのSiO2層の上にAl電極を形成した。その結
果、図2に示したような2つの電極層で電子供給層とダ
イヤモンド層と絶縁体層とを挟んだ構造が作製された。
【0081】以上のような方法で作製した電子放出素子
を10-9Torr程度の真空中に設置し、基板面側のAl電極に
正の電圧を100V程度まで印加した結果、ダイヤモンドの
表面導電層より電子が放出されていることが確認される
と共に、表面側のAl電極にはほとんど電流が流れないこ
とが確認された。 他の形成条件で絶縁性のダイヤモン
ド層を形成した場合や基板素材を変えた場合、電極材料
の種類を変えた場合などにおいても、同様の結果が得ら
れた。
【0082】
【第4の実施例】図7は、ダイヤモンド層を用いたMI
S構造型の電子放出素子の一実施例の基本的な構造を示
す図である。図7に示すように、本電子放出素子は主な
構成部分として、電極層(ショットキー電極)71と、電
子供給層としてのi型のダイヤモンドなどの絶縁体層72
と、p型のダイヤモンド層73と、基材(導電性)74と、
素子に電界を印加するための電極層75とを有している。
この素子の電極層71、75間に順方向バイアスを印加する
ことにより、電極層71より注入された電子は、電子供給
層(絶縁体層)72、p型のダイヤモンド層73を介して基
材74、電極層75に達し、MIS構造ダイオード電流とな
る。その電子流のうちp型ダイヤモンド層73の表面近傍
を流れるものは、拡散等によって外部に放出される。こ
の構造は面による放出素子であるため、面電流密度を大
きくすることが可能である。
【0083】図8A−図8Fは、図7に示したMIS構造
型の電子放出素子の一実施例を作製するために用いたプ
ロセスの概略を示したものである。まず図8Aに示すよ
うに基材74を準備した。基材材料としては導電性であれ
ばよく、特に限定されるものではないが、後工程を考慮
するとSiやモリブデン(Mo)などの金属が一般的であ
る。本実施例においては低抵抗のSi基板を用いた。
【0084】次に図8Bに示すように基材74上に電子供
給層72として絶縁体膜を形成した。この電子供給層(絶
縁体層)72の材質に関しても特に限定されるものではな
いが、気相合成によって形成された不純物を添加しない
絶縁性のi型のダイヤモンドを用いるのが最適である。
本実施例においても主に電子供給層(絶縁体層)72とし
て、i型のダイヤモンド層を上記のマイクロ波プラズマ
CVD法で形成した。
【0085】続いて図8Cに示すように基材74の裏面の
一部76をエッチング除去した。エッチングの方法は、特
に限定されるものではなく、基材74の材質等によって適
宜選択される。例えば基材74がSiの場合はフッ硝酸によ
るウェットエッチングの手法を用いることができる。
【0086】さらに図8Dのエッチング面77に示すよう
に、電子供給層(絶縁体層:i型のダイヤモンド層)72
を裏面側よりエッチングすることによってi型のダイヤ
モンド層の厚さを5μmよりも薄くした。ダイヤモンド
層のエッチングは、酸素ガスを用いたECRイオンエッ
チングまたは反応性イオンエッチング(RIE)により行
なった。ECRイオンエッチングの条件としては、ガス
圧力:0.01Torr、バイアス電圧:-30V、バイアス電流:
2mA/cm2、マイクロ波出力:650W、基板温度:280℃で
ある。
【0087】その後、図8Eに示すように電子供給層
(絶縁体層)72のエッチング面77にp型のダイヤモンド
層73を形成した。このp型のダイヤモンド層の形成方法
は、ホウ素などのp型不純物を添加した原料ガスを用い
た気相合成法によって新たに堆積してもよいし、第2の
実施例に記載したように、絶縁体層としてi型のダイヤ
モンドを用いている場合、そのエッチング面に水素プラ
ズマ等を照射してその表面を水素終端した表面導電層を
p型ダイヤモンド層として形成しても良い。
【0088】最後に図8Fに示すように、電極層71、75
をそれぞれ電子供給層(絶縁体層)72並びに基材74上に
形成した。これらの電極材料としては、一般的にアルミ
ニウム(Al)、タングステン(W)または金/チタン
(Au/Ti)などから適宜選択される。
【0089】以上のような方法で作製した電子放出素子
に電圧を印加して電流−電圧特性を評価した結果、整流
性が得られ、MIS型ダイオードとして動作しているこ
とが確認された。さらに本電子放出素子を10-9Torr程度
の真空中に設置し、順方向バイアスを印加してその電子
放出特性を測定した結果、素子に流れるダイオード電流
に対する放出電流の割合(放出効率)は0.1〜10%程度で
あり、従来よりも効率的に電子が放出されていることを
確認することができた。
【0090】また本実施例においては、電子供給層(絶
縁体層:i型のダイヤモンド層)72を裏面側よりエッチ
ングすることによって薄くしたが、表面側よりエッチン
グして薄くした後、エッチング面を水素化して表面導電
層を形成することによって同様の構造を形成した場合に
おいても、従来よりも効率的に電子が放出されているこ
とを確認することができた。
【0091】また予めCVDダイヤモンド膜の核形成密
度を高めて、膜厚の薄い連続膜を形成(膜厚:0.5μm以
下)し、エッチングせずに電極を形成して素子を作製し
た場合においても、従来よりも効率的に電子が放出され
ていることを確認することができた。
【0092】また他の形成条件でダイヤモンド層を形成
した場合や基板素材を変えた場合、電極材料の種類を変
えた場合などにおいても、同様の結果が得られた。
【0093】
【第5の実施例】図9はダイヤモンド層を用いたpn接
合型の電子放出素子の一実施例の基本的な構造である。
図9に示すように、本電子放出素子は主な構成部分とし
て、基材91と、電極層92と、電子供給層としてのn型の
ダイヤモンドなどのn型の半導体層93と、p型のダイヤ
モンド層94と、電極層95とを有している。この素子の電
極層92、95間に順方向バイアスを印加することにより、
電子供給層(n型の半導体層)93より電子はp型のダイヤ
モンド層94に注入され、pn接合ダイオード電流とな
る。その電子流のうちp型のダイヤモンド層表面に達し
たものの一部は負の電子親和力状態に起因して外部に放
出される。この構造においても面による放出素子である
ため、面電流密度を大きくすることが可能である。
【0094】図10A−図10Fは、図9に示した前記pn
接合型の電子放出素子の一実施例を作製するために用い
たプロセスの概略を示したものである。まず基材91を準
備した。基材材料としては特に限定されるものではない
が、後工程を考慮するとSiが一般的である。本実施例に
おいては高抵抗のSi基板を用いた。
【0095】次に図10Bに示すように、基材91上に電子
供給層93としてn型の半導体層を形成した。このn型の
半導体層の材質は特に限定されるものではないが、リン
(P)または窒素(N)をドープしたn型のダイヤモン
ドまたはn型のシリコンカーバイドを用いるのが一般的
であり、中でも気相合成法で形成されるn型のダイヤモ
ンドの場合は同様の手法でp型のダイヤモンド層94を容
易に形成できるため最適である。故に本実施例において
は、電子供給層(n型の半導体層)93としてn型のダイ
ヤモンドを用いた。n型のダイヤモンド層の形成方法と
しては、上記と同様であるが、Pのドーパントとして原
料ガスにホスホン酸トリメチルを添加した。リンの添加
量は1×1018 個/cm3で、膜厚は3μm程度であった。
【0096】さらに図10Cに示すように、その上に続け
てマイクロ波プラズマCVD法によりp型のダイヤモン
ド層94を1μm型成した。p型のダイヤモンド層の形成
方法としては、上記と同様である。
【0097】続いて図10Dに示すように、基材91の裏面
の一部96をエッチング除去した。エッチングの方法は、
特に限定されるものではなく、基材91の材質等によって
適宜選択される。本実施例のような基材91がSiの場合は
フッ硝酸によるウェットエッチングの手法を用いること
ができる。
【0098】次に図10Eに示すように、前記基材91の裏
面のエッチング部96の一部(p型ダイヤモンド層94の表
面側の面)にオーミック性の電極層92を形成した。電極
材料としては、Au/Tiの二層電極を用いた。
【0099】最後に図10Fに示すように、電子供給層
(n型の半導体層:n型ダイヤモンド層)93の基材側の
面並びにp型ダイヤモンド層94の表面側の面にオーミッ
ク性の電極層95を形成した。電極材料としては、同様に
Au/Tiの二層電極を用いた。
【0100】以上のような方法で作製した電子放出素子
に電圧を印加して電流−電圧特性を評価した結果、整流
性が得られ、pn接合ダイオードとして動作しているこ
とが確認された。さらに本電子放出素子を10-9Torr程度
の真空中に設置し、100V程度まで順方向バイアスを印加
してその電子放出特性を測定した結果、素子に流れるダ
イオード電流に対する放出電流の割合(放出効率)は0.
1〜10%程度であり、従来よりも効率的に電子が放出され
ていることを確認することができた。
【0101】CVD法によるn型のダイヤモンド層の形
成以外にも、iまたはp型のダイヤモンドにPまたはN
をイオン注入した場合にも上記と同様にn型のダイヤモ
ンド層(電子供給層)として機能することを確認した。
【0102】また他の形成条件でダイヤモンド層を形成
した場合や基板素材を変えた場合、電極材料の種類を変
えた場合などにおいても、同様の結果が得られた。
【0103】
【第6の実施例】第5の実施例に記載したようなpn接
合型の素子構造において、pn層間にi型のダイヤモン
ドなどの絶縁体層を挿入したpin型の素子を形成し
た。作製手順はp型のダイヤモンド層を形成する前にi
型のダイヤモンド層(膜厚:1μm程度)を形成する以
外は、上記第5の実施例と同様である。
【0104】以上のような方法で作製した電子放出素子
に電圧を印加して電流−電圧特性を評価した結果、pi
n接合ダイオードとして動作していることが確認され
た。さらに本電子放出素子を10-9Torr程度の真空中に設
置し、順方向バイアスを印加してその電子放出特性を測
定した結果、素子に流れるダイオード電流に対する放出
電流の割合(放出効率)は0.1〜10%程度であり、従来よ
りも効率的に電子が放出されていることを確認すること
ができた。
【0105】またi層として他の材料、例えば二酸化シ
リコン膜を用いた場合などにおいても、同様の結果が得
られた。
【0106】
【第7の実施例】ダイヤモンド層の表面構造制御の方法
として、ダイヤモンドの所定の領域に波長が200nm以下
の真空紫外光の照射を行なった。まず表面に酸素が結合
したダイヤモンド層を準備した。このダイヤモンド層の
電子親和力状態を評価した結果、正の電子親和力状態で
あることがわかった。そこで10-7Torr程度の真空雰囲気
中あるいは水素雰囲気中で正の電子親和力を有するダイ
ヤモンド層の一部に波長が200nm以下の真空紫外光を照
射した。その際の真空紫外光の照射量としては照射レー
ト等に依存するため特に限定はされないが、本実施例で
は1秒当たり1011個のフォトンを15分間照射した。その
結果、真空紫外光が照射された領域の最表面炭素と酸素
との結合が切れ、水素との結合に変わっていることが確
認された。すなわち、ダイヤモンド層表面の結合状態を
変えることによって電子親和力の状態が正から負に変わ
っていることがわかった。このプロセスを用いることに
よって、エミッターとなる電子放出領域を制御すること
が可能であることが確認された。
【0107】
【第8の実施例】ダイヤモンド層の表面構造制御の方法
として、ダイヤモンド層の所定の領域を水素ガスを放電
分解して得られるプラズマに晒した。まず表面に酸素が
結合したダイヤモンド層を準備した。このダイヤモンド
層は、上記のように正の電子親和力状態である。そこで
水素ガスのECR放電プラズマに正の電子親和力を有す
るダイヤモンド層の一部を晒した。その際の水素プラズ
マ照射時間としては20秒間である。その結果、水素プラ
ズマに晒された領域の最表面炭素は、水素との結合に変
わっていることが確認された。すなわち、ダイヤモンド
層表面の結合状態を変えることによって電子親和力の状
態が正から負に変わっていることがわかった。このプロ
セスを用いることによって、エミッターとなる電子放出
領域を制御することが可能であることが確認された。
【0108】また水素ガスのECR放電プラズマに晒す
時間を変えた場合や水素ガスをアルゴンや窒素で10%程
度に希釈した場合、他の方法で形成した水素プラズマに
晒した場合などにおいても、同様の結果が得られた。
【0109】
【第9の実施例】ダイヤモンド層の表面構造制御の方法
として、加熱したダイヤモンド層を水素ガス中に晒し
た。まず表面に酸素が結合したダイヤモンド層を準備し
た。このダイヤモンド層は、上記のように正の電子親和
力状態である。そこで水素ガスを流した円筒形の容器内
に正の電子親和力を有するダイヤモンド層を設置し、60
0℃まで加熱した。その際の処理時間としては10分間で
ある。その結果、水素雰囲気中で加熱されたダイヤモン
ド層の最表面炭素は、水素との結合に変わっていること
が確認された。すなわち、ダイヤモンド層表面の結合状
態を変えることによって電子親和力の状態が正から負に
変わっていることがわかった。このプロセスを用いるこ
とによって、エミッターとなる電子放出領域を制御する
ことが可能であることが確認された。
【0110】また容器に流す水素ガスをアルゴンや窒素
で10%程度に希釈した場合や加熱温度を400〜900℃の範
囲で変化された場合などにおいても同様の結果が得られ
た。
【0111】
【第10の実施例】ダイヤモンド層の表面構造制御の方
法として、ダイヤモンド層の所定の領域を酸素ガスを放
電分解して得られるプラズマに晒した。まず表面に水素
が結合したダイヤモンド層を準備した。このダイヤモン
ド層の電子親和力状態を評価した結果、上記のように負
の電子親和力状態であることがわかった。そこで酸素ガ
スのECR放電プラズマに負の電子親和力を有するダイ
ヤモンド層の一部を晒した。その際の酸素プラズマ照射
時間としては20秒間である。その結果、酸素プラズマに
晒された領域の最表面炭素は、酸素との結合に変わって
いることが確認された。すなわち、ダイヤモンド層表面
の結合状態を変えることによって電子親和力の状態が負
から正に変わっていることがわかった。このプロセスを
用いることによって、エミッターとなる電子放出領域を
制御することが可能であることが確認された。
【0112】また酸素ガスのECR放電プラズマに晒す
時間を変えた場合や酸素ガスをアルゴンや窒素で10%程
度に希釈した場合、他の方法で形成した酸素プラズマに
晒した場合などにおいても、同様の結果が得られた。
【0113】
【第11の実施例】ダイヤモンド層の表面構造制御の方
法として、加熱したダイヤモンド層を酸素ガス中に晒し
た。まず表面に水素が結合したダイヤモンド層を準備し
た。このダイヤモンド層は、上記のように負の電子親和
力状態である。そこで酸素ガスを流した円筒形の容器内
に負の電子親和力を有するダイヤモンド層を設置し、60
0℃まで加熱した。その際の処理時間としては10分間で
ある。その結果、酸素雰囲気中で加熱されたダイヤモン
ド層の最表面炭素は、酸素との結合に変わっていること
が確認された。すなわち、ダイヤモンド層表面の結合状
態を変えることによって電子親和力の状態が負から正に
変わっていることがわかった。このプロセスを用いるこ
とによって、エミッターとなる電子放出領域を制御する
ことが可能であることが確認された。
【0114】また容器に流す酸素ガスをアルゴンや窒素
で10%程度に希釈した場合や加熱温度を400〜650℃の範
囲で変化された場合などにおいても同様の結果が得られ
た。
【0115】
【発明の効果】以上のように本発明の電子放出素子によ
れば、ダイヤモンド層を用いて形成される電子放出素子
であって、電極層と電子供給層とダイヤモンド層を有す
る積層構造を含み、電子供給層に電界を印加することに
より、ダイヤモンドの伝導帯に効率的に電子を供給し、
低電圧、低温で容易に外部に電子を取り出すことが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電極層と電子供給層とダイヤモンド
層とを含む積層構造からなる電子放出素子の一実施形態
を示す図である。
【図2】 本発明の電極層と電子供給層とダイヤモンド
層と絶縁体層とを含む積層構造からなる電子放出素子の
一実施形態を示す図である。
【図3】 本発明のダイヤモンド層を用いたMIS型電
子放出素子の一実施形態を示す図である。
【図4】 A,Bは、本発明のダイヤモンド層を用いた
MIS型電子放出素子のエネルギーバンドを示す模式図
である。
【図5】 本発明のダイヤモンド層を用いたpn接合型
電子放出素子の一実施形態を示す図である。
【図6】 A,Bは、本発明のダイヤモンド層を用いた
pn接合型電子放出素子のエネルギーバンドを示す模式
図である。
【図7】 本発明のダイヤモンド層を用いたMIS型電
子放出素子の一実施例を示す断面図である。
【図8】 A〜8Fは、本発明のダイヤモンド層を用い
たMIS型電子放出素子の一実施例を形成するためのプ
ロセスを示す図である。
【図9】 本発明のダイヤモンド層を用いたpn接合型
電子放出素子の一実施例を示す断面図である。
【図10】 A〜Fは、本発明のダイヤモンド層を用い
たpn接合型電子放出素子の一実施例を形成するための
プロセスを示す図である。
【符号の説明】
11a,11b,11c,21a,21b,21c,35,52,55,75,92,95 電極層 12,22 電子供給層 13,23 ダイヤモンド層 14,24 ダイヤモンド層の表面 15,26 放出電子 25 絶縁体層 31,51,91 基材 32,71 電極層(ショットキー電極) 33 絶縁体層(電子供給層) 34,54,73,94 p型のダイヤモンド層 53 n型のダイヤモンド層 72 電子供給層絶縁体層(i型のダイヤモンド層) 74 基材(導電性) 93 電子供給層n型の半導体層(n型のダイヤモンド
層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八田 章光 大阪府吹田市片山町2丁目2番地17号 (72)発明者 栄森 信広 愛知県刈谷市小山町4丁目18番地 第2小 山寮 (72)発明者 北畠 真 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (53)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンド層を用いて形成される電子
    放出素子であって、電極層と電子供給層とダイヤモンド
    層とを含む積層構造を有し、前記電子供給層から前記ダ
    イヤモンド層に電子を供給することを特徴とする電子放
    出素子。
  2. 【請求項2】 電極層が2層存在し、前記2層の電極層
    で少なくとも電子供給層を挟んだ構造である請求項1に
    記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 電極層が2層存在し、前記2層の電極層
    で少なくとも電子供給層とダイヤモンド層とを挟んだ構
    造である請求項1に記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 電極層が2層存在するとともにさらに絶
    縁体層を含み、前記2層の電極層で少なくとも電子供給
    層とダイヤモンド層と絶縁体層を挟んだ構造である請求
    項1に記載の電子放出素子。
  5. 【請求項5】 2つの異なる電極層間に電圧を印加する
    ことによって、前記2つの電極に挟まれている電子供給
    層に電界を印加する請求項2,3又は4に記載の電子放
    出素子。
  6. 【請求項6】 2つの異なる電極層間に印加する電圧が
    100V以下で動作する請求項5に記載の電子放出素子。
  7. 【請求項7】 ダイヤモンド層の厚さが5μm以下であ
    る請求項1に記載の電子放出素子。
  8. 【請求項8】 ダイヤモンド層に少なくとも電気抵抗率
    1×104Ω・cm以下の導電層を含んでいる請求項1に記載
    の電子放出素子。
  9. 【請求項9】 ダイヤモンド層の電子放出面の面積が1
    平方μm以上である請求項1に記載の電子放出素子。
  10. 【請求項10】 ダイヤモンド層が少なくともp型のダ
    イヤモンド層を含んでいる請求項1に記載の電子放出素
    子。
  11. 【請求項11】 p型のダイヤモンド層中のホウ素
    (B)原子濃度が1×1016個/cm3以上である請求項10に
    記載の電子放出素子。
  12. 【請求項12】 ダイヤモンド層に含まれるp型のダイ
    ヤモンド層の電気抵抗率が1×104Ω・cm以下である請求
    項10に記載の電子放出素子。
  13. 【請求項13】 電子供給層が、n型ダイヤモンド層及
    び絶縁性ダイヤモンド層から選ばれる少なくとも一つを
    含む請求項1に記載の電子放出素子。
  14. 【請求項14】 ダイヤモンド層の電子放出表面が、C
    s、Ni、Ti、W、H及びamorphous-Cから選ばれる少な
    くとも一つの物質で被覆されている請求項1に記載の電
    子放出素子。
  15. 【請求項15】 ダイヤモンド層の電子放出面を被覆し
    ている物質の付着原子密度が、1×1017atoms/cm2 以下
    である請求項14に記載の電子放出素子。
  16. 【請求項16】 電極層が金属であり、電子供給層が絶
    縁体層を含み、ダイヤモンド層がp型のダイヤモンド層
    を含むMIS(metal-insulator-semiconductor)構造で
    あり、前記MIS構造に順方向バイアスを印加して、電
    子を前記p型のダイヤモンド層に供給する請求項1に記
    載の電子放出素子。
  17. 【請求項17】 電子供給層の絶縁体層がi型のダイヤ
    モンド層である請求項16に記載の電子放出素子。
  18. 【請求項18】 p型のダイヤモンド層の厚さが5μm
    以下である請求項16に記載の電子放出素子。
  19. 【請求項19】 p型のダイヤモンド層に含まれるホウ
    素(B)原子濃度が、1×1016個/cm3以上である請求項
    16に記載の電子放出素子。
  20. 【請求項20】 p型のダイヤモンド層の電気抵抗率
    が、1×104Ω・cm以下である請求項16に記載の電子放出
    素子。
  21. 【請求項21】 i型のダイヤモンド層の電気抵抗率
    が、1×104Ω・cm以上である請求項17に記載の電子放出
    素子。
  22. 【請求項22】 絶縁体層の電気抵抗率が、1×104Ω・
    cm以上である請求項16に記載の電子放出素子。
  23. 【請求項23】 電子供給層がn型の半導体層を含み、
    ダイヤモンド層がp型のダイヤモンド層を含むpn構造
    に順方向バイアスを印加する請求項1に記載の電子放出
    素子。
  24. 【請求項24】 電子供給層のn型の半導体層がn型の
    ダイヤモンド層である請求項23に記載の電子放出素子。
  25. 【請求項25】 p型のダイヤモンド層の厚さが5μm
    以下である請求項23に記載の電子放出素子。
  26. 【請求項26】 p型のダイヤモンド層にホウ素(B)
    原子を含み、そのホウ素(B)原子濃度が1×1016個/cm
    3 以上である請求項23に記載の電子放出素子。
  27. 【請求項27】 p型のダイヤモンド層の電気抵抗率
    が、1×104Ω・cm以下である請求項23に記載の電子放出
    素子。
  28. 【請求項28】 n型のダイヤモンド層にリン(P)及
    び窒素(N)から選ばれる少なくとも一つの原子を含
    み、そのリン(P)または窒素(N)の原子濃度が1×1
    016個/cm3 以上である請求項24に記載の電子放出素子。
  29. 【請求項29】 n型のダイヤモンド層の電気抵抗率
    が、1×104Ω・cm以下である請求項24に記載の電子放出
    素子。
  30. 【請求項30】 n型の半導体層の電気抵抗率が、1×1
    04Ω・cm以下である請求項23に記載の電子放出素子。
  31. 【請求項31】 電子供給層が、n型の半導体層及びi
    型の半導体層を含み、ダイヤモンド層がp型のダイヤモ
    ンド層を含むpin構造であり、前記pin構造に順方
    向バイアスを印加する請求項1に記載の電子放出素子。
  32. 【請求項32】 p型ダイヤモンド層の厚さが5μm以
    下である請求項31に記載の電子放出素子。
  33. 【請求項33】 p型ダイヤモンド層に含まれるホウ素
    (B)原子濃度が1×1016個/cm3 以上である請求項31に
    記載の電子放出素子。
  34. 【請求項34】 p型のダイヤモンド層の電気抵抗率
    が、1×104Ω・cm以下である請求項31に記載の電子放出
    素子。
  35. 【請求項35】 n型の半導体層の電気抵抗率が、1×1
    04Ω・cm以下である請求項31に記載の電子放出素子。
  36. 【請求項36】 i型の半導体層の電気抵抗率が1×104
    Ω・cm以上である請求項31に記載の電子放出素子。
  37. 【請求項37】 電子が放出されるエミッター部分がp
    型のダイヤモンド層の表面である請求項16、23、31のい
    ずれかに記載の電子放出素子。
  38. 【請求項38】 p型のダイヤモンド層の最表面の炭素
    原子が水素原子との結合によって終端された構造である
    請求項37に記載の電子放出素子。
  39. 【請求項39】 p型のダイヤモンド層の最表面の炭素
    原子と結合した水素原子の量が、1×1015個/cm2以上で
    ある請求項38に記載の電子放出素子。
  40. 【請求項40】 電子が放出されるエミッター部分がp
    型ダイヤモンド層と前記p型ダイヤモンド層と接する層
    の界面近傍である請求項16、23、31のいずれかに記載の
    電子放出素子。
  41. 【請求項41】 p型のダイヤモンド層としてダイヤモ
    ンドの表面導電層を用いる請求項16、23、31のいずれか
    に記載の電子放出素子。
  42. 【請求項42】 ダイヤモンドの表面導電層の構造とし
    てダイヤモンド層の最表面の炭素原子が水素原子との結
    合によって終端された構造である請求項41に記載の電子
    放出素子。
  43. 【請求項43】 ダイヤモンド層の最表面の炭素原子と
    結合した水素原子の量が、1×1015個/cm2以上である請
    求項42に記載の電子放出素子。
  44. 【請求項44】 電子放出素子の構造が、幅5μm以下
    の細線状である請求項16、23、31のいずれかに記載の電
    子放出素子。
  45. 【請求項45】 ダイヤモンド層が気相合成法によって
    形成されている請求項16、23、31のいずれかに記載の電
    子放出素子。
  46. 【請求項46】 ダイヤモンド層を用いて形成される電
    子放出素子の製造方法であって、基板素材上に気相合成
    法により連続膜状のダイヤモンド層を形成することを特
    徴とする電子放出素子の製造方法。
  47. 【請求項47】 ダイヤモンド層の膜厚が1μm以下で
    ある請求項46に記載の電子放出素子の製造方法。
  48. 【請求項48】 基板素材上に気相合成法によりダイヤ
    モンド層を形成した後、さらに、前記ダイヤモンド層の
    基板素材側の面、及び前記ダイヤモンド層を表面側の面
    から選ばれる少なくとも一つの面から、所定の厚さ以下
    まで前記ダイヤモンド層をエッチングする請求項46に記
    載の電子放出素子の製造方法。
  49. 【請求項49】 ダイヤモンド層を形成した後、さらに
    前記ダイヤモンド層の所定の領域に波長が200nm以
    下の真空紫外光を照射する請求項46に記載の電子放出素
    子の製造方法。
  50. 【請求項50】 ダイヤモンド層を形成した後、さらに
    前記ダイヤモンド層の所定の領域を、水素を含むガスを
    放電分解して得られるプラズマに晒す請求項46に記載の
    電子放出素子の製造方法。
  51. 【請求項51】 ダイヤモンド層を形成した後、さらに
    前記ダイヤモンド層の所定の領域を、酸素を含むガスを
    放電分解して得られるプラズマに晒す請求項46に記載の
    電子放出素子の製造方法。
  52. 【請求項52】 ダイヤモンド層を形成した後、さら
    に、加熱したダイヤモンド層を水素を含むガス中に晒す
    請求項46に記載の電子放出素子の製造方法。
  53. 【請求項53】 ダイヤモンド層を形成した後、さら
    に、加熱したダイヤモンド層を酸素を含むガス中に晒す
    請求項46に記載の電子放出素子の製造方法。
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