JP3537624B2 - 電子放出素子 - Google Patents
電子放出素子Info
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Description
に、多孔質半導体電子放出素子に関する。
(field emission display)が、陰極の加熱を必要としな
い冷陰極の電子放出源のアレイを備えた平面形発光ディ
スプレイとして知られている。面電子放出源として金属
層-絶縁層-金属層(MIM)構造の電子放出素子や、多
孔度の均一な多孔質シリコンSiの多孔質半導体を用い
た電子放出素子も注目されている。
すように、裏面にオーミック電極11を設けたシリコン
層12に多孔質シリコン層13を設け、その上に金属薄
膜電極15を形成したものである。多孔質半導体電子放
出素子は、表面の薄膜電極を正電位Vpsにし裏面オーミ
ック電極を接地電位としたダイオードである。オーミッ
ク電極11と薄膜電極15との間に電圧Vpsを印加し半
導体層12に電子を注入すると、ダイオード電流Ipsが
流れ、多孔質半導体層13は高抵抗であるので、印加電
界の大部分は多孔質半導体層にかかる。電子は、金属薄
膜電極15側に向けて多孔質半導体層13内を移動す
る。金属薄膜電極付近に達した電子は、そこで強電界に
より一部は金属薄膜電極をトンネルし、外部の真空中に
放出される。このトンネル効果によって薄膜電極15か
ら放出された電子e(放出電流IEM)は、透明基板1上
の対向したコレクタ電極(透明電極)2に印加された高
電圧Vcによって加速され、コレクタ電極に集められ
る。コレクタ電極に蛍光体が塗布されていれば対応する
可視光を発光させる。
リコン層12と金属薄膜電極15の間に電圧を印加し、
電子の一部を金属薄膜電極15をトンネルさせ、蛍光体
3R,3G,3B付きの対向電極2に当て、発光させ
る。しかしながら、多孔質半導体構造の電子放出素子で
も、以下ような問題点がある。
電子放出効率η(η=放出電流IEM/ダイオード電流I
ps)が低くなる。 (2) 多孔質化した表面はかなり荒れており、後で設
ける表面金属薄膜電極との接触が悪くなり、電子放出が
不安定になる。 (3) 多孔質Siは元のSiに比べ熱伝導率が悪くな
っているため、素子の熱破壊が起きやすい。
に鑑みてなされたものであり、電子放出効率の高い電子
放出素子を提供することを目的とする。
は、電子を供給する半導体層、前記半導体層上に形成さ
れた多孔質半導体層及び前記多孔質半導体層上に形成さ
れ前記真空空間に面する金属薄膜電極からなり、前記半
導体層及び前記金属薄膜電極間に電界を印加し電子を放
出する電子放出素子であって、前記多孔質半導体層はそ
の膜厚方向において互いに異なる多孔度を有する少なく
とも2以上の多孔質層を有することを特徴とする。
くなるので、表示素子とした場合、高輝度が得られ、駆
動電流の消費及び発熱を抑制でき、さらに駆動回路への
負担を低減できる。本発明の電子放出素子においては、
前記多孔質半導体層は、その膜厚方向において高い多孔
度の多孔質層と低い多孔度の多孔質層とが交互に積層さ
れたことを特徴とする。
孔質層はその膜厚方向において漸次上昇又は下降した多
孔度を有することを特徴とする。本発明の電子放出素子
においては、前記多孔質半導体層は前記半導体層の表面
を陽極酸化処理により多孔質化して形成されたことを特
徴とする。本発明の電子放出素子においては、前記多孔
質半導体層は前記陽極酸化処理の化成電流密度を変化さ
せた処理時間で前記半導体層の表面から陽極酸化された
ことを特徴とする。
孔質半導体層は前記陽極酸化処理の化成電流密度を低く
した処理時間と高くした処理時間とを交互に繰り返し前
記半導体層の表面から陽極酸化されたことを特徴とす
る。本発明の電子放出素子は、面状又は点状の電子放出
ダイオードであり、赤外線又は可視光又は紫外線の電磁
波を放出する発光ダイオード又はレーザダイオードとし
て動作可能である。
多孔質半導体層の多孔質化した表面が平坦になり、表面
の金属薄膜電極との接触面積が多くなるので、電子放出
が安定する。さらに、多孔度の低い緻密な層が多孔質半
導体層内部に存在するため、熱伝導率が上がり、放熱効
果により熱破壊が起き難くなる。
照しつつ説明する。図2に示すように、実施例の電子放
出素子は、オーミック電極11を備えた例えばSi基板
の電子を供給する半導体層12と、このSi半導体層を
陽極酸化により多孔質化したSiの多孔質半導体層13
と、真空空間に面する金属薄膜電極15と、からなり、
半導体層及び金属薄膜電極間に電界を印加し電子を放出
する電子放出素子である。
いて互いに異なる多孔度を有する少なくとも2以上の多
孔質層13a,13bからなる。多孔質半導体層13は全
体は1〜50μmの膜厚を有する。多孔質半導体層13
は、図2に示すように、その膜厚方向において高い多孔
度の多孔質層13aと低い多孔度の多孔質層13bとが交
互に積層されている。
膜厚方向において漸次上昇又は下降した多孔度を有する
ように形成してもよい。このように、多孔質半導体層1
3中において、多孔度に変化を持たせるようにする。少
なくとも最上表面には高電気抵抗で平坦かつ緻密な低多
孔度層13bを設け、ダイオード電流Ipsの流れすぎを
防ぎ、表面の金属薄膜電極15との接触を改善する。ま
た、低多孔度多孔質層13bが交互に積層されているの
で、素子の放熱が促進されることになる。
孔質層13bと組合わせは1組でも上記の効果が得られ
るが、何回か繰り返すことでダイオード電流Ipsの流れ
すぎ抑制と、放熱効果がさらに高まることになる。さら
に、かかる電子放出素子は半導体層を多孔質化した多孔
質半導体層にPt等の薄膜電極を設けただけで電子放出
を達成するが、半導体層の多孔質化後の多孔質半導体層
を、下記の条件で、酸化もしくは窒化を行い、その後、
Pt等の薄膜電極を設けるとさらに安定性と耐久性がよ
り向上する。
00℃、1〜120分間、又は酸素プラズマ中で、20
0〜900℃、1〜120分間である。さらに窒化条件
では窒素ガス中で、700〜1200℃、1〜120分
間、又は窒素プラズマ中で、200〜900℃、1〜1
20分間である。また、多孔質化するSi層は、N型、
P型、単結晶、多結晶もしくはアモルファスのSiウエ
ハー自体を基板としてもよく、或いはオーミック電極を
予め形成した基板上に形成されたSi薄膜でも良い。複
数素子を形成して表示素子とするためには都合がよい。
またこれら機能層の成膜法としては、スパッタリング法
が特に有効であるが、真空蒸着法、CVD(chemical v
apor deposition)法、レーザアブレイション法、MB
E(molecular beam epitaxy)法、イオンビームスパッ
タリング法でも有効である。
が挙げられるが、本発明の半導体層はシリコンに限られ
たものではなく、陽極酸化法を適用できる半導体は全て
利用することができ、ゲルマニウム(Ge)、炭化シリ
コン(SiC)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化イ
ンジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)
など、IV族、III−V族、II−VI族などの単体及び化合
物半導体が、用いられ得る。Si層12では単結晶、ア
モルファス、多結晶、n型、p型の何れでも良いが、単
結晶の場合、(100)方向が面に垂直に配向している方
が、多孔質Si層の電子放出効率ηの点で好ましい。(1
00)面Si層はナノメータオーダ内径の孔及びSi結晶
が表面に垂直に配向するからであると推定される。アモ
ルファスSi層から多孔質Si層を陽極酸化形成する場
合、残留Siもアモルファスとなる。
酸化処理を行って得られる。例えば、半導体層にn型S
iウエハを用い陽極酸化処理を行う場合、Si層のウエ
ハ12を用意し、その表面に多孔質半導体層用開口を有
する絶縁層を積層形成する。開口を有するSi層のウエ
ハを陽極、Pt線を陰極として、弗化水素酸HF溶液内
にて両者を対向させ、低い電流密度で陽極化成して、S
i層12内に多孔質Si層13を形成する。この場合、
多孔質形成にはホールの消費が必要であるからホール供
給のために光照射が必要である。多孔質Si層はp型S
i半導体層にも形成できるが、この場合は、暗状態でも
多孔質Si層が形成される。
からなる。微細孔径が1〜数百nm内径で残留Siが原
子数十〜数百の大きさにした多孔質Si層により、量子
サイズ効果による放出現象が得られる。これらの値はH
F濃度、化成電流密度、処理時間、光照射の陽極酸化処
理条件によって制御される。本発明においては、半導体
層の陽極酸化における化成電流密度及び処理時間を制御
することによって、多孔質半導体層13の膜圧方向にお
いて、多孔度を10〜80%で変化させた多孔質層13
a,13bを交互に形成している。すなわち、多孔質Si
層の表面ほど微細孔径が小さく(多孔質層13b)、深
くなって微細孔径が大きく(多孔質層13b)、また深
くなって微細孔径が小さくなる(多孔質層13a)よう
に、例えば、低い電流密度で短い処理時間の組と、高い
電流密度で長い処理時間の組と、を交互に繰り返すこと
によって、多孔質層13a,13bを交互に形成してい
る。この場合、陽極酸化における電流密度及び処理時間
の関係を示す図6(a)及び(b)のグラフに示すように、
所定高低電流密度を所定処理時間の間隔で交互に行う。
法で、電流密度及び処理時間を制御して、多孔質半導体
層の中で、その膜厚方向において互いに異なる多孔度を
有する少なくとも2以上の多孔質層を形成することもで
きる。図6(c)及び(d)のグラフに示す方法では、電流
密度及び処理時間の制御により、多孔質Si層13の表
面近傍の比抵抗が大きくSi層12に近いほど比抵抗が
小さくなるように、勾配を設けるようにしている。多孔
質Si層中の厚さ方向の多孔度に勾配を持たせるために
は、陽極酸化中に電流密度を漸次変化させる。
としてはPt, Au, W, Ru, Irなどの金属が有効である
が、Al, Sc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga,
Y, Zr, Nb, Mo, Tc, Rh, Pd, Ag, Cd, Ln, Sn, Ta, R
e, Os, Tl, Pb, La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb,
Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Luも用いられ、更に、それらの
合金であっても良い。薄膜電極15の材質は、電子放出
の原理から仕事関数φが小さい材料で、薄い程良いが、
薄膜電極15の材質は極薄化の面では、導電性が高く化
学的に安定な金属が良く、たとえばAu、Pt、Lu、
Ag,Cuの単体又はこれらの合金等が望ましい。ま
た、これらの金属に、上記仕事関数の小さい金属をコー
ト、あるいはドープしても有効である。AuまたはPt
薄膜電極膜厚が1〜50nmで実用化可能な効率が得られ
る。素子としての安定性を考えるとAuまたはPt薄膜
電極膜厚は2〜20nmが最も適当である。
しては、Au、Pt、Al、W等の一般にICの配線に
用いられる材料である。半導体層12を薄膜として成膜
するための素子基板(図示せず)の材質はガラスの他
に、Al2O3,Si3N4、BN等のセラミックスでも良
い。具体的に、14mm×14mmのSiウエハから電子放
出素子を作製し特性を調べた。
の電流密度及び処理時間を変化させ、一例として電流密
度を低下させた短時間の処理を間歇的に行い、従来のも
のに対して細孔の孔径1/20,孔数400倍/cm2の薄
い多孔質層を多孔質半導体層の中に複数得た。 (陽極酸化条件) 電解液成分(温度) HF:エタノール=1:1 (0℃) 電流密度と処理時間 (2.5mA/cm2を2秒間と50mA/cm2を10秒間との組)
×3回 合計 36秒 多孔質半導体層の膜厚 (多孔質層0.016μmと多孔質層1.67μmとの組)×3回 合計 5.058μm 比較例として、従来の一様の多孔度の多孔質Si層を有
する以外は上記実施例と同一の電子放出素子を作製し
た。このときは以下の化成条件で行なった。 (陽極酸化条件) 電解液成分(温度) HF:エタノール=1:1 (0℃) 電流密度 50mA/cm2の一定 処理時間 30秒間 多孔質半導体膜厚 5μm 陽極酸化した各Siウエハの裏面にAlのオーミック電極
を設けた。
に直径6mmのPtの薄膜電極を膜厚6nmでスパッタ成
膜し、素子基板を多数作成した。さらに、内面にITO
コレクタ電極が形成された透明ガラス基板や、各コレク
タ電極上に、R,G,Bに対応する蛍光体からなる蛍光
体層を常法により形成した透明基板を作成した。
及びコレクタ電極が対向するように平行に10mm離間
してスペーサにより保持し、間隙を10-5Paの真空にし
て、電子放出素子を組立て、作製した。その後、多数の
得られた素子についてAlオーミック電極とPt薄膜電極
15との間に10〜50Vの電圧Vpsを印加してSiウ
エハ層に電子を注入し、ダイオード電流Ips及び放出電
流IEMを測定した。
ように、本発明の素子は、従来の素子に比べて、放出電
流IEM低下させずに、ダイオード電流Ipsだけが抑えら
れ、電子放出効率ηが10-3から10-2に2桁も向上し
た。また、両素子について20Vの電圧Vpsを印加した
場合の放出電流IEMの経時変化を測定した。
5に示す。両図からあきらかなように、本発明の素子
は、従来の素子に比べて、放出電子流の変動が少なくな
った。更に、本発明及び従来の素子では、同一電圧Vps
印加時の素子温度について、本発明のものが一様に低下
していた。また更に、蛍光体を塗布したコレクタ電極及
び薄膜電極の間に約4kVの電圧を印加した状態では、
各素子で薄膜電極に対応する形の均一な蛍光パターンが
観測された。このことは、その膜厚方向において互いに
異なる多孔度を有する少なくとも2以上の多孔質層を有
する多孔質半導体層からの電子放出が均一であり、直線
性の高いことを示し、電子放出ダイオードとして、赤外
線又は可視光又は紫外線の電磁波を放出する発光ダイオ
ード又はレーザダイオードとして動作可能であることを
示した。
面図である。
及び放出電流対電圧特性を示すグラフである。
流の経時変化を示すグラフである。
示すグラフである。
陽極酸化における電流密度及び処理化成時間の関係を示
すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 電子を供給する半導体層、前記半導体層
上に形成された多孔質半導体層及び前記多孔質半導体層
上に形成され前記真空空間に面する金属薄膜電極からな
り、前記半導体層及び前記金属薄膜電極間に電界を印加
し電子を放出する電子放出素子であって、前記多孔質半
導体層はその膜厚方向において互いに異なる多孔度を有
する少なくとも2以上の多孔質層を有することを特徴と
する電子放出素子。 - 【請求項2】 前記多孔質半導体層は、その膜厚方向に
おいて高い多孔度の多孔質層と低い多孔度の多孔質層と
が交互に積層されたことを特徴とする請求項1記載の電
子放出素子。 - 【請求項3】 前記多孔質層はその膜厚方向において漸
次上昇又は下降した多孔度を有することを特徴とする請
求項1又は2記載の電子放出素子。 - 【請求項4】 前記多孔質半導体層は前記半導体層の表
面を陽極酸化処理により多孔質化して形成されたことを
特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の電子放出素
子。 - 【請求項5】 前記多孔質半導体層は前記陽極酸化処理
の化成電流密度を変化させた処理時間で前記半導体層の
表面から陽極酸化されたことを特徴とする請求項4記載
の電子放出素子。 - 【請求項6】 前記多孔質半導体層は前記陽極酸化処理
の化成電流密度を低くした処理時間と高くした処理時間
とを交互に繰り返し前記半導体層の表面から陽極酸化さ
れたことを特徴とする請求項4記載の電子放出素子。
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- 1997-03-25 JP JP07186497A patent/JP3537624B2/ja not_active Expired - Fee Related
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