JPH09317000A - 柱と梁との接合方法及び柱と梁との接合構造 - Google Patents

柱と梁との接合方法及び柱と梁との接合構造

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JPH09317000A
JPH09317000A JP13542496A JP13542496A JPH09317000A JP H09317000 A JPH09317000 A JP H09317000A JP 13542496 A JP13542496 A JP 13542496A JP 13542496 A JP13542496 A JP 13542496A JP H09317000 A JPH09317000 A JP H09317000A
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JP
Japan
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column
joined
joining
pillar
flange
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Application number
JP13542496A
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English (en)
Inventor
Kazuo Sasagawa
和郎 笹川
Masa Aoki
雅 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Engineering Co Ltd
Original Assignee
Toyo Construction Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1スパンラーメン構造を有する建築物におい
て、柱に加わるモーメントを小さなものとする。 【解決手段】 コンクリートの柱10に接合部材20を
介して鋼材の梁30を接合する。この際に、まず、コン
クリート柱10に接合部材20を固定する。次いで、該
接合部材20と梁30とを、柱10に対して梁30が上
下に回動できるようにピン接合状態に接合する。この状
態で、梁30上に床スラブ60を形成する。この際に
は、梁30に固定荷重がかけられた状態となるが、梁3
0が柱10にピン接合されているので、柱10にかかる
モーメントを小さくできる。そして、床スラブ60を形
成した後に柱10と梁30とを剛に接合する。柱10に
かかるモーメントを小さくすることにより、柱10の必
要強度を小さくすることができるので、柱10を細くし
て建築物の有効な容積を増やせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、床固定荷重による
梁端部及び柱のモーメントを低減することが可能な柱と
梁との接合方法及び柱と梁との接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、柱や梁が鉄筋コンクリートから
なる鉄筋コンクリート(RC)構造や、柱と梁とが鉄骨
からなる鉄骨(S)構造や、鉄筋コンクリート内に鉄骨
を入れた鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)構造が知られ
ている。また、柱をRC構造とし、梁をS構造としたハ
イブリット構造のRCS構造が知られている。このよう
なハイブリット構造においては、各構造の長所を兼ね備
えた構造とすることができる。従来、建築物の構築にお
いて、特に、梁を鉄骨とした場合には、柱と梁とを剛接
合した後に、梁の部分に床スラブや屋根を形成してい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図8(a)
に示すような1スパンラーメン構造の場合には、常時荷
重によって、梁端部のモーメントが大きくなるとともに
柱端部のモーメントが大きくなる傾向がある。特に、梁
のスパンが大きく、かつ、階数が小さい建築物の場合に
は、上述の傾向が強く、また、このような建築物におい
ては、最上階で、さらに、その傾向が強い。例えば、図
8(b)は、柱に対する梁の剛性(K=J/l J:部
材の断面二次モーメント、l:部材の長さ)の比kbに
対する固定端モーメントMを示すものである。
【0004】図8(b)に示すようにkb<1では特に
固定端モーメントMが大きくなる。すなわち、大スパン
のために梁の長さlが長く、階数が低いために柱の長さ
lが短い場合には、柱の剛性Kより梁の剛性Kが低くな
るので、kb<1となり、図8(b)に示すように固定
端モーメントMが大きくなる。そして、上述のような場
合には、梁端部及び柱端部で大きなモーメントが生じる
ので、柱を大きなモーメントに対応できる構造とする必
要がある。
【0005】この際に、柱が鉄骨や鉄骨鉄筋コンクリー
トの場合には、鋼材の厚みを厚くすることである程度対
応できるので、必ずしも柱の径が大きくなることはない
が、柱が鉄筋コンクリートの場合には、鉄筋の数等での
対応にも限界があり、柱の径を大きくする必要がある。
そして、柱の径を大きくした場合には、建築物の有効な
容積が減少するなどの問題が生じる。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、常時荷重による梁端部(柱端部)のモーメント
を低減することができる柱と梁との接合方法と、この柱
と梁との接合方法を実現可能な柱と梁との接合構造を提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
柱と梁との接合方法は、梁の端部を柱に接合するに際
し、上記柱に対して上記梁を上下方向に回動可能となる
ようにピン接合状態に接合し、次いで、上記梁の部分に
床もしくは屋根を形成した後に、上記柱と上記梁との接
合部分を上記ピン接合状態から剛接合状態とすることを
上記課題の解決手段とした。上記構成によれば、梁の部
分に床もしくは屋根を形成する段階では、柱と梁の端部
とはピン接合された状態となっている。
【0008】そして、梁の部分に床もしくは屋根を形成
した際には、床もしくは屋根の荷重、すなわち、固定荷
重(D.L.)がかかり、梁及び柱にモーメントが加わ
ることになるが、柱と梁とがピン接合された状態では、
固定荷重によるモーメントが梁端部及び柱の梁接合部に
おいて大きなものとならない。なお、このような状態で
は、固定荷重による梁の中央部のモーメントが大きなも
のとなる。
【0009】そして、この状態で、柱と梁との接合部分
をピン接合から剛接合とすることにより、柱のモーメン
トを小さなものとして、建築物を構築することができる
ので、柱の必要強度を小さなものとすることができる。
従って、柱、特に鉄筋コンクリートの柱においては、そ
の径を小さくすることが可能となる。
【0010】本発明の請求項2記載の柱と梁との接合方
法は、上記柱が鉄筋コンクリート製とされるとともに、
上記梁が鉄骨製とされていることを上記課題の解決手段
とした。上記構成によれば、上述のように柱及び梁端部
のモーメントが減少して梁中央部のモーメントが増大す
ることになるが、柱を鉄筋コンクリート製とし、梁を鉄
骨製としたRCS構造の建築物においては、柱に生じる
モーメントが減少することにより、柱の径を細くするこ
とができる。
【0011】また、梁においては、特に、中央部におい
て生じるモーメントが増大することになり、梁の強度を
高める必要があるが、梁が鉄骨製となっているので、径
を大きくすることなく、鋼材の厚みを厚くすることで、
モーメントの増大に対応することができる。従って、R
CS構造において、上述のような柱と梁との接合方法を
用いた場合には、梁の径を大きくせずに柱の径を小さく
することが可能となり、建築物の有効な容積を拡大する
ことができる。
【0012】なお、本発明は必ずしもRCS構造のみに
適用されるものではなく、他の構造においても適用可能
であり、上述のように柱端部及び梁端部のモーメントを
減少することができ、何らかの理由により柱もしくは梁
端部におけるモーメントを減少させたい場合に有効に用
いることができる。
【0013】本発明の請求項3記載の柱と梁との接合方
法は、上記柱と上記梁とが接合部材を介して接合される
ようになっているとともに、上記接合部材と上記梁とに
それぞれ垂直なウェブ部が設けられており、上記接合部
材を上記柱に固定した状態で、上記梁のウェブ部の先端
部と上記接合部材のウェブ部の先端部とをピン接合する
ことにより、上記接合部材に対して上記梁を上下に回動
可能となるように接合することを上記課題の解決手段と
した。上記構成によれば、上記梁のウェブ部の先端部と
上記接合部材のウェブ部の先端部とを互いに重ねた状態
で、これらウェブ部同士をピン接合することにより、上
記請求項1記載の作用効果と同様の作用効果を得ること
ができる。
【0014】本発明の請求項4記載の柱と梁との接合方
法は、上記柱と上記梁とが接合部材を介して接合される
ようになっているとともに、上記接合部材と上記梁とに
それぞれ水平なフランジ部が設けられており、上記接合
部材を上記柱に固定した状態で、上記梁のフランジ部の
先端部と上記接合部材のフランジ部の先端部とを互いに
重ねた状態で、これらフランジ部同士を上記梁と直交す
る方向に水平に一列に配置されるボルトで締結すること
により、上記柱に対して上記梁を上下に回動可能となる
ようにピン接合状態に接合することを上記課題の解決手
段とした。
【0015】上記構成によれば、上記梁のフランジ部の
先端部と上記接合部材のフランジ部の先端部とを互いに
重ねた状態で、これらフランジ部同士が上記梁と直交す
る方向に水平に一列に配置されるボルトにより締結され
ているので、梁に直交する水平な線上で梁と接合部材と
が接合された状態となっており、上記接合部材に対して
梁が剛接合状態とはならず、ボルトで締結された部分を
支点として、接合部材に対して梁がある程度上下に回動
可能となっているとともに、フランジ部の弾性変形によ
っても接合部材に対して梁を上下に回動可能となってい
る。従って、柱と梁とが上述のピン接合状態となり、上
記請求項1記載の作用効果と同様の作用効果を得ること
ができる。
【0016】また、上述の構成によれば、ピン接合状態
の接合部材と梁とは、単に一列のボルトにより仮止めさ
れたのと同じ状態であり、容易に柱と梁とをピン接合状
態とすることができるとともに、さらに、接合部材と梁
との他の部分をボルト等により接合することで仮止め状
態の接合部材と梁とを容易に剛接合の状態とすることが
できる。
【0017】本発明の請求項5記載の柱と梁との接合構
造は、梁の端部を接合部材を介して柱に接合する際に、
上記柱に対して上記梁を上下方向に回動可能となるよう
にピン接合状態に接合した後に、上記柱と上記梁とを剛
接合状態に接合可能な柱と梁との接合構造であって、上
記梁は、垂直なウェブ部と該ウェブ部の上下に接合され
た水平なフランジ部とを有するH型の鋼材とされ、上記
柱には、上記梁との接合部分に上記接合部材が固定さ
れ、上記接合部材は、上記梁側に延出する延出部を有
し、かつ、上記延出部が垂直なウェブ部と該ウェブ部の
上下に接合された水平なフランジ部とを有して上記梁と
ほぼ同様の形状に形成され、上記梁のウェブ部と上記接
合部材のウェブ部との少なくとも一方のウェブ部に他方
のウェブ部側に延出する延出片が設けられ、該延出片が
他方のウェブ部に左右方向に重ねられた状態で配置さ
れ、上記延出片と他方のウェブ部とをピン接合すること
により、上記柱に対して上記梁が上下方向に回動可能と
なっていることを上記課題の解決手段とした。
【0018】上記構成によれば、上記延出片と他方のウ
ェブ部とをピン接合することにより、上記柱に対して上
記梁が上下方向に回動可能となっているので、この状態
で、梁の部分に床や屋根を形成し、その後に、上記接合
部材と梁とを例えば接合用のカバープレートを介して溶
接やボルトの締結により固定することで、上記請求項1
記載の構成と同様の作用効果を得ることができる。
【0019】本発明の請求項6記載の柱と梁との接合構
造は、梁の端部を接合部材を介して柱に接合する際に、
上記柱に対して上記梁を上下方向に回動可能となるよう
にピン接合状態に接合した後に、上記柱と上記梁とを剛
接合状態に接合可能な柱と梁との接合構造であって、上
記梁は、垂直なウェブ部と該ウェブ部の上下に接合され
た水平なフランジ部とを有するH型の鋼材とされ、上記
柱には、上記梁との接合部分に上記接合部材が固定さ
れ、上記接合部材は、上記梁側に延出する延出部を有
し、かつ、上記延出部が垂直なウェブ部と該ウェブ部の
上下に接合された水平なフランジ部とを有して上記梁と
ほぼ同様の形状に形成され、上記梁の下側のフランジ部
と上記接合部材の下側のフランジ部との少なくとも一方
のフランジ部に他方のフランジ部側に延出する延出片が
設けられ、該延出片が他方のフランジ部に上下に重ねら
れた状態で配置され、互いに重なった上記延出片と他方
のフランジ部とを梁の長さ方向に対して直交する方向に
水平に一列に配置されたボルトで締結することにより、
上記柱に対して上記梁が上下方向に回動可能となってい
ることを上記課題の解決手段とした。
【0020】上記構成によれば、例えば、柱に固定され
た接合部材の延出部の下側のフランジ部に延出片を設
け、該延出片上に梁の端部を載せた状態で、互いに重な
った延出片と梁の下側のフランジ部とを梁の長さ方向に
対して直交する方向に水平に一列に配置されたボルトに
より締結することができ、容易に上記柱と上記梁とをピ
ン接合状態に接合することができる。
【0021】このように、上記柱と上記梁とをピン接合
状態に接合した状態で、梁の部分に床や屋根を形成し、
その後に、上記接合部材と梁とを例えば接合用のカバー
プレートを介して溶接やボルトの締結により固定するこ
とで、上記請求項1記載の構成と同様の作用効果を得る
ことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態の第
一例の柱と梁との接合方法及び柱と梁との接合構造を図
面を参照して説明する。なお、ここで柱と梁との接合方
法を説明する前に、この柱と梁との接合方法を適用可能
な柱と梁との接合構造を説明する。また、第一例は、柱
を鉄筋コンクリートとし、梁を鉄骨としたRCS構造に
本発明を応用したものである。
【0023】図1及び図2は、第一例の柱と梁との接合
構造を示すものである。図1及び図2に示すように、第
一例においては、鉄筋コンクリート製の柱10に接合部
材20を介して鉄骨製の梁30が接合されている。上記
柱10は、鉄筋コンクリート製の断面略正方形上の周知
のものであり、コンクリート11内部に鉄筋12…が埋
設された状態となっている。なお、図中の鉄筋12…
は、柱10内に配筋される鉄筋の一部を示すものであ
る。
【0024】また、上記梁30は、周知のH型の鉄骨か
らなるものであり、垂直なウェブ31と該ウェブ31の
上下に設けられた水平なフランジ32、33とからなる
ものである。上記接合部材20は、鋼製のものであり、
柱10を包み込むように四角筒状に一体に接合される4
枚の柱プレート21…と、該柱プレート21…内に垂直
に配置されたパネルゾーンプレート22と、該パネルゾ
ーンプレート22の両端部に設けられたリブ23…と、
柱プレート21とから梁30側に延出し、梁30に接合
されるブラケット部(延出部)24とからなるものであ
る。
【0025】上記4枚の柱プレート21…は、四角筒状
に形成されて柱10を包み込むようにして接合部材20
を柱10に固定するようになっている。上記パネルゾー
ンプレート22は、2枚の柱プレート21、21間に梁
30の長さ方向に沿って垂直に配置されるとともに、そ
の両端部が2枚の柱プレート21、21の内面に接合さ
れている。
【0026】そして、柱10に梁30を接合した際に、
上記パネルゾーンプレート22と梁30のウェブ31と
が一直線上に配置されるようになっている。上記リブ2
3…は、パネルゾーンプレート22の左右両端の上部と
下部にそれぞれ配置されている。そして、上記リブ23
…は、直角三角形上の水平な板体であり、直角の頂点を
挟む二つの辺うちの一方の辺側がパネルゾーンプレート
22に接合され、他方の辺側が柱プレート21に接合さ
れている。
【0027】これら接合部材20の柱プレート21…、
パネルゾーンプレート22、リブ23…は、接合部材2
0を柱10に固定するとともに、柱10と梁30との接
合部において柱10を補強し、かつ、柱10と梁30と
の間で応力を伝達するようになっている。上記ブラケッ
ト部24は、パネルゾーンプレート22から梁側に延出
した状態に配置された垂直なウェブブラケット25と、
該ウェブブラケット25の上下に設けられた水平なフラ
ンジブラケット26、27とからなるものである。ま
た、上記ブラケット部24と、上記梁30との断面形状
は、ほぼ同様の形状となっている。
【0028】上述のような構成を有する柱10、接合部
材20及び梁30は、以下のような接合構造で接合され
るようになっている。すなわち、接合部材20は、柱1
0を構築する段階、すなわち、柱10の図示しない型枠
にコンクリート11を打設する際に、型枠部分に固定さ
れた状態となっており、型枠内に鉄筋12…を配筋して
コンクリート11を打設し、コンクリート11が硬化し
た段階で、接合部材20の四角筒状の柱プレート21…
内にコンクリート11が満たされて固定された状態とな
るようになっている。
【0029】図1に示すように、上記梁30は、その端
部が柱10に固定された接合部材20のブラケット部2
4に接合されるようになっている。この際には、ブラケ
ット部24の上下のフランジブラケット26、27と、
梁30の上下のフランジ32、33とが同じ高さで一直
線上に連続するように対向して配置され、同じくブラケ
ット部24のウェブブラケット25と、梁30のウェブ
31が一直線上に連続するように対向して配置される。
【0030】そして、ブラケット部24の上側のフラン
ジブラケット26と、梁30の上側のフランジ32との
接合部分においては、フランジブラケット26及びフラ
ンジ32に跨ってこれらの上側と下側にそれぞれ第一の
カバープレート41と第二のカバープレート42とが配
置され、第一のカバープレート41と第二のカバープレ
ート42とが、フランジブラケット26の端部とフラン
ジ32の端部とを対向させた状態で挟み込むようになっ
ている。なお、第二のカバープレート42は、左右に二
分割された形状となっており、ウェブ31及びウェブブ
ラケット25の左右に配置されるようになっている。
【0031】そして、第一のカバープレート41、フラ
ンジブラケット26及び第二のカバープレート42が複
数のボルト50により一体に締結されているとともに、
第一のカバープレート41、フランジ32及び第二のカ
バープレート42が複数のボルト50…により一体に締
結され、フランジブラケット26の端部とフランジ32
の端部とが接合されるようになっている。また、ブラケ
ット部24の下側のフランジブラケット27と、梁30
の下側のフランジ33とは、上記フランジブラケット2
6とフランジ32との接合と同様に、第一のカバープレ
ート41と第二のカバープレート42とボルト50…と
により接合されるようになっている。
【0032】そして、ブラケット部24のウェブブラケ
ット25と、梁30のウェブ31との接合部分において
は、その左右にそれぞれ第三のカバープレート43(図
1においては片側の第三のカバープレート43だけを図
示)が配置され、二枚の第三のカバープレート43が、
ウェブブラケット25の端部とウェブ31の端部とを対
向させた状態で挟み込むようになっている。そして、上
記上側のフランジブラケット26と上側のフランジ32
の場合と同様に、2枚の第三のカバープレート43がウ
ェブブラケット25とウェブ31とにそれぞれボルト5
0…により締結され、ウェブブラケット25とウェブ3
1とが締結されている。
【0033】また、上記第三のカバープレート43は、
上下に長い長方形の柱10側の側縁に三角形を接合した
五角形状に形成されている。そして、第三のカバープレ
ートの柱10よりの中央部分がブラケット部24のウェ
ブブラケット25にピン接合されている。すなわち、ウ
ェブブラケット25と、その左右に重ねて配置された第
三のカバープレート43とを水平に貫通してピン44が
配置され、該ピン44により、ウェブブラケット25
と、その左右に重ねて配置された第三のカバープレート
43とがピン接合された状態となっている。なお、上記
ピン44は、梁30及び梁30上に打設される床スラブ
60の荷重に対応可能な強度を有するものである。
【0034】そして、上記第三のカバープレート43
は、後述するように、ブラケット部24に対して梁30
を上下に回動可能にピン接合するに際して、図3に示す
ように、第三のカバープレート43の梁30側をボルト
50…により梁30のウェブ31に締結し、第三のカバ
ープレート43とウェブブラケット25とは締結されて
いない状態とする。そして、第三のカバープレート43
とウェブブラケット25とを水平に貫通した状態に上記
ピン44を配置することで、柱10と梁30とが接合部
材20及び第三のカバープレート43を介した状態でピ
ン接合される。
【0035】なお、第三のカバープレート43は、梁3
0のウェブ31からブラケット部24のウェブブラケッ
ト25に延出して、ウェブブラケット25と左右に重ね
られた状態に配置され、上記ピン44に接合されるよう
になっており、本発明の延出片となっている。
【0036】また、図1に図示された柱10と梁30と
の接合構造は、柱10に接合部材20を固定し、該接合
部材20に梁30を後述するピン接合状態に接合し、梁
30上の柱10と梁30との接合部分を除く部分に床ス
ラブ60を形成し、次いで、接合部材20に梁30を剛
接合状態に接合した段階を示すものである。
【0037】また、梁30上に床スラブ60を形成する
前、すなわち、梁30に床スラブ60の荷重がかかる前
の段階においては、図3に示すように、梁30は、その
中央部がその端部より高くなるように湾曲して形成さ
れ、むくりaが設けられている。そして、床スラブ60
を形成した際に、梁30の弾性変形により梁30が水平
な状態となるようになっている。
【0038】また、図4に示す仮止めプレート46は、
接合部材20に梁30を後述するピン接合状態に接合す
る際に、上記第一のプレート41のようにブラケット部
24の上側のフランジブラケット26と、梁30の上側
のフランジ32との接合部分の上に配置されて、フラン
ジブラケット26とフランジ32とにそれぞれボルト5
0…により締結されるものである。
【0039】そして、仮止めプレート46は、上記ボル
ト50を貫通させるための第一のボルト孔46a…と第
二のボルト孔46b…とを有するとともに、図中左側に
配置され、かつ、フランジブラケット26に締結される
第一のボルト孔46a…は、ボルト50の径より僅かに
大きい円形の孔とされ、図中右側に配置され、かつ、フ
ランジ32に締結される第二のボルト孔46b…は、梁
30の長さ方向に沿って長く形成されたルーズホール
(長孔)となっている。
【0040】従って、仮止めプレート46を用いてブラ
ケット部24の上側のフランジブラケット26と、梁3
0の上側のフランジ32とを接合した場合に、フランジ
ブラケット26に対してフランジ32がルーズホールと
なった第二のボルト孔46b…の長さ方向に沿って移動
できるようになっている。すなわち、フランジブラケッ
ト26に対してフランジ32が離れる方向に移動可能と
なっているとともに、フランジブラケット26に対して
フランジ32が左右に移動しようとするのを規制するよ
うになっている。
【0041】次に、上述のような柱と梁との接合構造を
用いた柱と梁との接合方法を説明する。まず、上述のよ
うに、柱10に接合部材20を固定する。次に、図3に
示すように、接合部材20にほぼ突き合わせた状態で梁
30を配置し、梁30のウェブ31の左右に上述のよう
に第三のカバープレート43をボルト50により締結す
る。また、第三のカバープレート43同士の柱10側の
間には、ブラケット部24のウェブブラケット25を挟
み込んだ状態とする。そして、ピン44を第三のカバー
プレート43とウェブブラケット25とを水平に貫通し
た状態に配置して、第三のカバープレート43とウェブ
ブラケット25とをピン接合する。
【0042】なお、この際には、梁30の他方の端部側
においても、同様の作業を行う。また、図3に示すよう
に梁30は中央部が上側に突出するように湾曲している
ため、ブラケット部24の上側のフランジブラケット2
6と梁30の上側のフランジ32とがほぼ当接した状態
となり、ブラケット部24の下側のフランジブラケット
27と梁30の下側のフランジ33との間に間隙ができ
た状態となっている。従って、柱10に対して梁30を
上側に回動することが困難な状態となっているが、柱1
0に対して梁30を下側に回動できるようになってお
り、梁30に床スラブ60の荷重がかかって梁30が湾
曲した状態から水平な状態に曲げられた際に、柱10に
対して梁30が下側に回動するように移動可能となって
いる。
【0043】次に、接合部材20の上側のフランジブラ
ケット26と梁30の上側のフランジ32を上述のよう
に上記仮止めプレート46を使ってボルト50により締
結する。この際には、上述のように、フランジブラケッ
ト26に対してフランジ32が離れる方向、すなわち、
梁30の長さ方向に沿って移動可能となっているので、
柱10に対して梁30がピン44を支点として上下に移
動可能なようにピン接合された状態を保持することがで
きる。
【0044】また、上記仮止めプレート46により、フ
ランジブラケット26に対するフランジ32の左右への
移動を規制できるので、梁30が転倒するような力や梁
30を横にずらすような力が外部から梁30に働く可能
性がある場合に、第三のカバープレート43、ピン4
4、ウェブブラケット25、ウェブ31等に無理な力が
かかるのを、梁30の上面の左右への移動を規制して確
実に防止することができる。
【0045】次に、この状態で、床スラブ60を柱10
と梁30との接合部を除いて形成する。すなわち、図示
しない床スラブ60用の型枠を建て込むとともに鉄筋を
配筋してコンクリートを打設する。この段階において
は、床スラブ60の荷重、すなわち、固定荷重が梁30
にかかり、梁30には、この固定荷重による曲げ応力が
かかり、中央部が高くなるように湾曲した状態の梁10
が弾性変形して水平になる。
【0046】また、この際には、梁30にモーメントが
生じることになるが、梁30の両端部が完全に固定され
ず、ピン接合状態となっているので、梁30の中央部の
モーメントが大きくなるが梁30の端部に生じるモーメ
ントは小さなものとなる。また、梁30の端部に生じる
モーメントが小さくなるとともに柱10の梁30の接合
部に生じるモーメントも小さなものとなる。
【0047】なお、この際の柱に加わる端部モーメント
Mは、図3に示すように、梁30及び床スラブ60の荷
重による剪断力をQとし、偏心をeとした場合に、M=
eQとなり、剛接合の場合に比較して小さなものとな
る。次に、上述の第一〜第二のカバープレート41、4
2と、ボルト50…とを用いて、上述のように柱10に
固定された接合部材20に梁30を接合する。また、ブ
ラケット部24のウェブブラケット25にピン接合状態
となった第三のカバープレート43を、ウェブブラケッ
ト25にボルト50…により上述のように締結する。な
お、第三のカバープレート43に設けられたボルト孔
(図3に図示)43a…と、ウェブブラケット25のボ
ルト孔(図示略)とは、梁30が床スラブ60の固定荷
重で水平になった場合に位置が一致して連通するように
なっている。そして、以上のような作業により、柱10
と梁30との接合を剛接合とする。
【0048】次に、床スラブ60を形成しなかった柱1
0と梁30との接合部分に、後打ちコンクリートにより
床スラブ60aを先に形成された床スラブ60と一体と
なるように形成する。これにより柱10と梁30と床ス
ラブ60とが一体に接合されて形成された状態となる。
【0049】次に、図5に示すモーメント分布図を用い
て、上記柱と梁との接合方法による作用を説明する。図
5(a)は、従来の柱10と梁30とを剛接合した状態
で床スラブ60を形成した場合のモーメント分布を示す
ものであり、固定荷重及び活荷重により梁30の端部及
び柱10の端部に生じるモーメントが大きなものとなっ
ている。
【0050】図5(b)は、柱10に上述のように梁3
0をピン接合状態に接合し、この状態で床スラブ60を
形成して固定荷重を柱10と梁30とにかけ状態を示し
ている。図5(b)に示すように、この状態では、梁1
0の中央部のモーメントは大きなものとなるが、梁10
の端部及び柱のモーメントは小さなものとなっている。
【0051】図5(c)は、柱10と梁30を剛接合し
た状態で、固定荷重を無視して活荷重により生じるモー
メントを示したものである。図5(d)は、図5(b)
に示すモーメント分布に図5(c)のモーメントを加え
たものであり、上述のように柱10と梁30とをピン接
合状態として固定荷重をかけた後に、柱10と梁30と
を剛接合状態として活荷重をかけた状態を示している。
【0052】図5(d)に示すように、上述の柱と梁と
の接合方法により、1スパンラーメン構造の建築物を構
築した場合には、従来の図5(a)に示すように柱10
に大きなモーメントが生じることがなない。すなわち、
柱10の梁30接合部に加わるモーメントを小さなもの
とすることができる。
【0053】従って、柱10を鉄筋コンクリートとし、
梁30を鉄骨としたRCS構造においては、柱10の径
を従来の柱と梁との接合方法を用いた場合よりも小さな
ものとすることができ、建築物のスペース効率を向上す
ることができる。一方、梁30の中央部には、大きなモ
ーメントがかかることになるが、梁30は鉄骨製なの
で、鋼材の厚みを厚くすることで梁30の径を大きくす
ることなく、モーメントの増大に対応することができ
る。
【0054】なお、第一例においては、建物をRCS構
造としたが、他の構造においても、上記柱と梁との接合
方法を用いることにより、梁端部及び柱端部に生じるモ
ーメントを減少させることができる。また、柱10と梁
30とをピン接合状態とする方法は、上述の方法に限定
されるものではなく、様々な方法を用いることができ
る。
【0055】また、上記例の柱と梁との接合方法は、1
スパンラーメンを有する建築物に特に有効であり、さら
に、スパンが長く階数が低い建築物に有効である。ま
た、建築物の中では、特に最上階に用いると有効であ
り、この場合、上記床スラブ60は、屋上のものとな
る。
【0056】また、梁30に活荷重がかかった状態で梁
30が水平になるように、接合部材20においてブラケ
ット部24を柱10に対して直角よりも大きな角度とな
るように設定しても良い。すなわち、ブラケット部24
を水平よりも僅かに上向きにしておき、梁30に活荷重
がかかった段階で、ブラケット部24が水平になるよう
にしても良い。
【0057】次に、本発明の実施の形態の第二例の柱と
梁との接合方法及び柱と梁との接合構造を図面を参照し
て説明する。なお、第二例の柱と梁との接合構造は、上
述の第一例の柱と梁との接合構造の一部を変更したもの
であり、第一例と同様の構成要素には、同一の符号を付
してその説明を省略した。
【0058】図6及び図7は、第二例の柱と梁との接合
構造を示すものである。図6及び図7に示すように、第
二例においては、第一例と同様に鉄筋コンクリート製の
柱10に接合部材20’を介して鉄骨製の梁30が接合
されている。なお、柱10及び梁30は、上述の第一例
と同様のものであり、接合部材20’もそのブラケット
部24’を除いて、第一例と同様のものである。
【0059】そして、上記接合部材20’のブラケット
部(延出部)24’は、パネルゾーンプレート22から
梁30側に延出した状態に配置された垂直なウェブブラ
ケット25’と、該ウェブブラケット25’の上側に設
けられた水平なフランジブラケット26’と、ウェブブ
ラケット25’の下側に設けられた水平なフランジブラ
ケット27’とからなるものである。
【0060】また、上記ウェブブラケット25’と、上
側のフランジブラケット26’との端面は、梁30の長
さ方向に直交する一つの垂直面に配置されるように略面
一とされている。一方、下側のフランジブラケット2
7’は、ウェブブラケット25’及び上側のフランジブ
ラケット26’よりも梁30側に延出した状態に形成さ
れ、先端部分が延出片27’aとなっている。
【0061】また、ウェブブラケット25’は、その上
下幅が梁30のウェブ31の上下幅よりも梁30のフラ
ンジ33の厚み分だけ長くされている。そして、下側の
フランジブラケット27’上に梁30の端部を載せた際
に、ブラケット部24’の上側のフランジブラケット2
6’の上面と、梁30の上側のフランジ32の上面が略
面一になるようになっている。
【0062】上述のような構成を有する柱10、接合部
材20’及び梁30は、以下のような接合構造で接合さ
れるようになっている。すなわち、接合部材20’は、
第一例と同様に、柱10に固定されている。そして、図
6に示すように、上記梁30は、その端部が柱10に固
定された接合部材20’のブラケット部24’に接合さ
れるようになっている。そして、梁30の端部がブラケ
ット部24’に設けられた下側のフランジブラケット2
7’の延出片27’aに載置されるようになっている。
【0063】そして、この際には、ブラケット部24’
の上側のフランジブラケット26’と、梁30の上側の
フランジ32が同じ高さで一直線上に連続するように対
向して配置され、同じくブラケット部24’のウェブブ
ラケット25’と、梁30のウェブ31が一直線上に連
続するように対向して配置され、さらに、ブラケット部
24’の下側のフランジブラケット27’の延出片2
7’a上に、梁30の下側のフランジ33の端部が重ね
られて配置された状態となっている。
【0064】そして、ブラケット部24’の上側のフラ
ンジブラケット26’と、梁30の上側のフランジ32
とは、第一例と同様に、第一のカバープレート41と第
二のカバープレート42とボルト50…により接合され
るようになっている。そして、ブラケット部24’のウ
ェブブラケット25’と、梁30のウェブ31との接合
部分においては、その左右にそれぞれ第三のカバープレ
ート43’が配置され、二枚の第三のカバープレート4
3’が、ウェブブラケット25’の端部とウェブ31の
端部とを対向させた状態で挟み込むようになっている。
【0065】そして、上記上側のフランジブラケット2
6’と上側のフランジ32の場合と同様に、2枚の第三
のカバープレート43’がウェブブラケット25’とウ
ェブ31とにそれぞれボルト50…により締結され、ウ
ェブブラケット25’とウェブ31とが接合されてい
る。
【0066】そして、ブラケット部24’の下側のフラ
ンジブラケット27’と、梁30の下側のフランジ33
との接合部分においては、上述のようにフランジブラケ
ット27’の延出片27’aの上に、フランジ33が重
ねられた状態となっているとともに、フランジブラケッ
ト27’の下に第四のカバープレート46が重ねて配置
され、フランジ33と第四のカバープレート46がフラ
ンジブラケット27’を挟み込むようになっている。
【0067】また、第四のカバープレート46は、フラ
ンジ33とフランジブラケット27’との重なった部分
よりも梁30側に延出するように長く形成されている。
そして、フランジ33と第四のカバープレート46との
間のフランジブラケット27’の端部よりも梁30側の
部分にフィルプレート47が挟まれた状態となってい
る。
【0068】そして、重ねて配置されたフランジ33、
フランジブラケット27’及び第四のカバープレート4
6が複数のボルトにより一体に締結されるとともに、重
ねて配置されたフランジ33、フィルプレート47及び
第四のカバープレート46が複数のボルト50…により
一体に締結されている。そして、ボルト50…によりこ
れらを締結することで、フランジブラケット27’の端
部(延出片27’a)とフランジ33の端部とが接合さ
れるようになっている。
【0069】なお、図6においては、後述するように柱
10と梁30とを接合部材20’を介してピン接合状態
に接合する際に用いられるボルト50(51)と第四の
カバープレート46とを実線で示し、他のボルト50…
及び第1から第3のカバープレート41、42、43’
を仮想線で図示した。また、図6に図示された柱10と
梁30との接合構造は、柱10に接合部材20’を固定
し、該接合部材20’に梁30を後述するピン接合状態
に接合し、梁30上の柱10と梁30との接合部分を除
く部分に床スラブ60を形成した段階を示すものであ
る。
【0070】次に、上述のような第二例の柱と梁との接
合構造を用いた柱と梁との接合方法を説明する。まず、
上述のように、柱10に接合部材20’を固定する。次
に、図7に示すように、柱10に固定された接合部材2
0’の下側のフランジブラケット27’の延出片27’
a上に梁30の端部を載せて、フランジブラケット2
7’の端部と梁30の下側のフランジ33とを重ねた状
態とする。
【0071】なお、この際には、梁30の他方の端部が
図示しない他の柱10の接合部材20’の下側のフラン
ジブラケット27’との延出部分上に載せられた状態と
なっている。次に、フランジブラケット27’の端部と
梁30の下側のフランジ33の最先端部とを梁30の長
さ方向に直交して水平に一列に配置された複数のボルト
51により締結する。
【0072】なお、図6及び図7において、ボルト51
を一つだけ図示したが、実際には図面の奥行き方向に一
列に複数のボルト51が配置されている。また、図7に
おいては、第四のカバープレート46を用いないでボル
ト51を締結したが、図6に示すように第四のカバープ
レート46をフランジブラケット27’及びフランジ3
3とともに締結することが好ましい。
【0073】すなわち、第四のカバープレート46を一
緒に締結しておけば、後述するように接合部材20’と
梁30とを剛接合する際に、ボルト51を外して第四の
カバープレート46を取り付けてボルト51を締結しな
おす必要がない。このように梁30の長さ方向に直交し
て水平に一列に配置されたボルト51によりフランジブ
ラケット27’にフランジ33を締結した場合には、フ
ランジブラケット27’とフランジ33とが一直線上だ
けで締結された状態になり、柱10に対して梁30が上
記ボルト51に締結された部分を支点として上下にある
程度移動可能な状態となり、柱10に対して梁30がピ
ン接合状態となる。
【0074】また、梁30は接合部材20’のフランジ
ブラケット27’の板状の延出部分に載せられた状態と
なっているので、フランジ33の弾性変形によっても柱
10に対して梁30が上下にある程度移動可能な状態と
なっている。また、図7に示すように、梁30にはむく
りaが設けられているので、フランジブラケット27’
の上面に梁30の下側のフランジ33の下面の先端縁部
分だけが線状に接触した状態となり、ボルト51に締結
されたフランジブラケット27’とフランジ33との間
に僅かに隙間ができた状態となる。
【0075】従って、柱10に対して梁30が線状に接
触したフランジ33の下面の先端縁部分を支点として下
方にある程度移動可能な状態となっている。以上のこと
から、この段階で柱10と梁30とは、柱10に対して
梁30が接合部を支点として上下に移動可能なようにピ
ン接合された状態となっている。
【0076】次に、接合部材20’の上側のフランジブ
ラケット26’と梁30の上側のフランジ32を上述の
ように上記仮止めプレート46を使ってボルト50によ
り締結する。この際には、上述のように、フランジブラ
ケット26’に対してフランジ32が離れる方向、すな
わち、梁30の長さ方向に沿って移動可能となっている
ので、柱10に対して梁30が接合部を支点として上下
に移動可能なようにピン接合された状態を保持すること
ができる。
【0077】また、上記仮止めプレート46により、フ
ランジブラケット26’に対するフランジ32の左右へ
の移動を規制できるので、梁30が転倒するような力や
梁30を横にずらすような力が外部から梁30に働く可
能性がある場合に、接合部材20’に対して梁30がず
れるように移動したり、接合部材20’のフランジブラ
ケット27’上の梁30が転倒したり、これらにより接
合部材20’のフランジブラケット27’上から梁30
が落下したりするのを、梁30の上面の左右への移動を
規制して確実に防止することができる。
【0078】次に、この状態で、床スラブ60を柱10
と梁30との接合部を除いて形成する。この段階におい
ては、床スラブ60の荷重、すなわち、固定荷重が梁3
0にかかり、梁30には、この固定荷重による曲げ応力
がかかり、中央部が高くなるように湾曲した状態の梁1
0が弾性変形して水平になる。また、この際には、梁3
0にモーメントが生じることになるが、梁30の両端部
が完全に固定されず、ピン接合状態となっているので、
梁30の中央部のモーメントが大きくなるが梁30の端
部に生じるモーメントは小さなものとなる。
【0079】また、梁30の端部に生じるモーメントが
小さくなるとともに柱10の梁30の接合部に生じるモ
ーメントも小さなものとなる。次に、上述の第一〜第四
のカバープレート41、42、43’、46及びフィル
プレート47と、ボルト50…とを用いて、上述のよう
に柱10に固定された接合部材20’に梁30を完全に
接合し、柱10と梁30との接合を剛接合とする。
【0080】次に、床スラブ60を形成しなかった柱1
0と梁30との部分に、後打ちコンクリートにより床ス
ラブ60aを先に形成された床スラブ60と一体となる
ように形成する。これにより柱10と梁30と床スラブ
60とが一体に接合されて形成された状態となる。そし
て、第二例の柱と梁との接合方法においても、第一例と
同様の効果を奏することができる。
【0081】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の柱と梁との接合
方法によれば、柱と梁との接合部がピン接合状態となっ
ている間に床もしくは屋根を形成して固定荷重をかけた
後に柱と梁との接合部を剛接合状態とすることにより、
梁端部及び柱に生じるモーメントを小さなものとするこ
とができる。
【0082】本発明の請求項2記載の柱と梁との接合方
法によれば、上述のように柱及び梁端部のモーメントが
減少して梁中央部のモーメントが増大することになる
が、柱を鉄筋コンクリート製とし、梁を鉄骨製としたR
CS構造の建築物においては、柱に生じるモーメントが
減少することにより、柱の径を細くすることができる。
【0083】また、梁においては、特に、中央部におい
て生じるモーメントが増大することになり、梁の強度を
高める必要があるが、梁が鉄骨製となっているので、径
を大きくすることなく、鋼材の厚みを厚くすることで、
モーメントの増大に対応することができる。従って、R
CS構造において、上述のような柱と梁との接合方法を
用いた場合には、梁の径を大きくせずに柱の径を小さく
することが可能となり、建築物の有効な容積を拡大する
ことができる。
【0084】本発明の請求項3記載の柱と梁との接合方
法によれば、上記梁のウェブ部の先端部と上記接合部材
のウェブ部の先端部とをピン接合することにより、上記
請求項1記載の構成と同様の効果を奏することができ
る。
【0085】本発明の請求項4記載の柱と梁との接合構
造によれば、上記梁のフランジ部の先端部と上記接合部
材のフランジ部の先端部とを互いに重ねた状態で、これ
らフランジ部同士が上記梁と直交する方向に水平に一列
に配置されるボルトにより締結されているので、梁に直
交する水平な線上で梁と接合部材が接合された状態とな
っており、上記接合部材に対して梁が剛接合状態とはな
らず、ボルトで締結された部分を支点として、接合部材
に対して梁がある程度上下に回動可能となっているとと
もに、フランジ部の弾性変形によっても接合部材に対し
て梁を上下に回動可能となっている。従って、柱と梁と
が上述のピン接合状態となり、上記請求項1記載の構成
と同様の効果を奏することができる。また、上述の構成
によれば、ピン接合状態の接合部材と梁とは、単に一列
のボルトにより仮止めされたのと同じ状態であり、容易
に柱と梁とをピン接合状態とすることができるととも
に、さらに、接合部材と梁との他の部分をボルト等によ
り接合することで仮止め状態の接合部材と梁とを容易に
剛接合の状態とすることができる。
【0086】上記請求項5記載の柱と梁との接合構造に
よれば、上記延出片と他方のウェブ部とをピン接合する
ことにより、上記柱に対して上記梁が上下方向に回動可
能となっているので、この状態で、梁の部分に床や屋根
を形成し、その後に、上記接合部材と梁とを例えば接合
プレートを介して溶接やボルトの締結により固定するこ
とで、上記請求項1記載の構成と同様の効果を奏するこ
とができる。
【0087】上記請求項6記載の柱と梁との接合構造に
よれば、例えば、柱に固定された接合部材の延出部の下
側のフランジ部に延出片を設け、該延出片上に梁の端部
を載せた状態で、互いに重なった延出片と梁の下側のフ
ランジ部とを梁の長さ方向に対して直交する方向に水平
に一列に配置されたボルトにより締結することができ、
容易に上記柱と上記梁とをピン接合状態に接合すること
ができる。
【0088】このように、上記柱と上記梁とをピン接合
状態に接合した状態で、梁の部分に床や屋根を形成し、
その後に、上記接合部材と梁とを例えば接合用のカバー
プレートを介して溶接やボルトの締結により固定するこ
とで、上記請求項1記載の構成と同様の作用効果を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第一例の柱と梁との接合
方法が適用される柱と梁との接合構造を示す縦断面図で
ある。
【図2】上記第一例の柱と梁との接合方法が適用される
柱と梁との接合構造を示す平面図である。
【図3】上記第一例の柱と梁との接合方法において柱と
梁とが剛接合される前の状態を示す縦断面図である。
【図4】上記第一例の柱と梁との接合方法において、ピ
ン接合状態の梁の安定化を図るための仮止めプレートを
示す平面図である。
【図5】上記第一例の柱と梁との接合方法を用いた1ス
パンラーメン構造に作用するモーメントを示すモーメン
ト分布図である。
【図6】本発明の実施の形態の第二例の柱と梁との接合
方法が適用される柱と梁との接合構造を示す縦断面図で
ある。
【図7】上記第二例の柱と梁との接合方法において柱と
梁とが剛接合される前の状態を示す縦断面図である。
【図8】従来の柱と梁との接合構造における柱及び梁の
固定端モーメントを説明するための図面である。
【符号の説明】
10 柱 20、20’ 接合部材 24、24’ ブラケット部(延出部) 25、25’ 接合部材のウェブブラケット 26、26’ 接合部材の上側のフランジブラケット 27、27’ 接合部材の下側のフランジブラケット 27’a 延出片 30 梁 31 梁の鉄骨のウェブ 32 梁の鉄骨の上側のフランジ 33 梁の鉄骨の下側のフランジ 43 第三のカバープレート(延出片) 50 ボルト 51 梁の長さ方向に直交して水平に一列に配
置されたボルト 60 床スラブ(床、屋根)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 梁の端部を柱に接合するに際し、上記柱
    に対して上記梁を上下方向に回動可能となるようにピン
    接合状態に接合し、 次いで、上記梁の部分に床もしくは屋根を形成した後
    に、上記柱と上記梁との接合部分を上記ピン接合状態か
    ら剛接合状態とすることを特徴とする柱と梁との接合方
    法。
  2. 【請求項2】 上記柱が鉄筋コンクリート製とされると
    ともに、上記梁が鉄骨製とされていることを特徴とする
    請求項1記載の柱と梁との接合方法。
  3. 【請求項3】 上記柱と上記梁とが接合部材を介して接
    合されるようになっているとともに、上記接合部材と上
    記梁とにそれぞれ垂直なウェブ部が設けられており、 上記接合部材を上記柱に固定した状態で、上記梁のウェ
    ブ部の先端部と上記接合部材のウェブ部の先端部とをピ
    ン接合することにより、上記接合部材に対して上記梁を
    上下に回動可能となるように接合することを特徴とする
    請求項1または2記載の柱と梁との接合方法。
  4. 【請求項4】 上記柱と上記梁とが接合部材を介して接
    合されるようになっているとともに、上記接合部材と上
    記梁とにそれぞれ水平なフランジ部が設けられており、 上記接合部材を上記柱に固定した状態で、上記梁のフラ
    ンジ部の先端部と上記接合部材のフランジ部の先端部と
    を互いに重ねた状態で、これらフランジ部同士を上記梁
    と直交する方向に水平に一列に配置されるボルトで締結
    することにより、上記柱に対して上記梁を上下に回動可
    能となるようにピン接合状態に接合することを特徴とす
    る請求項1または2記載の柱と梁との接合方法。
  5. 【請求項5】 梁の端部を接合部材を介して柱に接合す
    る際に、上記柱に対して上記梁を上下方向に回動可能と
    なるようにピン接合状態に接合した後に、上記柱と上記
    梁とを剛接合状態に接合可能な柱と梁との接合構造であ
    って、 上記梁は、垂直なウェブ部と該ウェブ部の上下に接合さ
    れた水平なフランジ部とを有するH型の鋼材とされ、 上記柱には、上記梁との接合部分に上記接合部材が固定
    され、 上記接合部材は、上記梁側に延出する延出部を有し、か
    つ、上記延出部が垂直なウェブ部と該ウェブ部の上下に
    接合された水平なフランジ部とを有して上記梁とほぼ同
    様の形状に形成され、 上記梁のウェブ部と上記接合部材のウェブ部との少なく
    とも一方のウェブ部に他方のウェブ部側に延出する延出
    片が設けられ、該延出片が他方のウェブ部に左右方向に
    重ねられた状態で配置され、 上記延出片と他方のウェブ部とをピン接合することによ
    り、上記柱に対して上記梁が上下方向に回動可能となっ
    ていることを特徴とする柱と梁との接合構造。
  6. 【請求項6】 梁の端部を接合部材を介して柱に接合す
    る際に、上記柱に対して上記梁を上下方向に回動可能と
    なるようにピン接合状態に接合した後に、上記柱と上記
    梁とを剛接合状態に接合可能な柱と梁との接合構造であ
    って、 上記梁は、垂直なウェブ部と該ウェブ部の上下に接合さ
    れた水平なフランジ部とを有するH型の鋼材とされ、 上記柱には、上記梁との接合部分に上記接合部材が固定
    され、 上記接合部材は、上記梁側に延出する延出部を有し、か
    つ、上記延出部が垂直なウェブ部と該ウェブ部の上下に
    接合された水平なフランジ部とを有して上記梁とほぼ同
    様の形状に形成され、 上記梁の下側のフランジ部と上記接合部材の下側のフラ
    ンジ部との少なくとも一方のフランジ部に他方のフラン
    ジ部側に延出する延出片が設けられ、該延出片が他方の
    フランジ部に上下に重ねられた状態で配置され、 互いに重なった上記延出片と他方のフランジ部とを梁の
    長さ方向に対して直交する方向に水平に一列に配置され
    たボルトで締結することにより、上記柱に対して上記梁
    が上下方向に回動可能となっていることを特徴とする柱
    と梁との接合構造。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014175575A1 (ko) * 2013-04-23 2014-10-30 Chae Il Soo 철골보 접합부
KR20180050903A (ko) * 2016-11-07 2018-05-16 영산대학교산학협력단 연쇄붕괴 저항형 철골 모멘트 보-기둥의 접합 시스템
KR102654047B1 (ko) * 2023-11-01 2024-04-03 주식회사 거원산업 내진 복구용 철골 구조

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