JPH09310280A - 防炎メッシュシート - Google Patents

防炎メッシュシート

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JPH09310280A
JPH09310280A JP15732496A JP15732496A JPH09310280A JP H09310280 A JPH09310280 A JP H09310280A JP 15732496 A JP15732496 A JP 15732496A JP 15732496 A JP15732496 A JP 15732496A JP H09310280 A JPH09310280 A JP H09310280A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経時形状変化がなく変退色がない、難燃性の
優れた防炎メッシュシートを提供する。 【解決手段】 マルチフィラメントをポリ塩化ビニール
系ペーストゾル組成物で被覆し、ゲル化処理した被覆糸
を用いて製織し、加工した防炎メッシュシートにおい
て、a.マルチフィラメント繊維は、単糸繊度3〜17
デニールであって、トータル繊度1000〜4500デ
ニールであり、引張強度が6.5〜10g/デニール
で破断伸度14〜45%である合成繊維であり、b.ポ
リ塩化ビニール系ペーストゾル組成物は、ポリ塩化ビニ
ール系ペーストゾル 100重量部、フタル酸エステル
系可塑剤 30〜85重量部、燐酸エステル系可塑剤
3〜30重量部、無機難燃化剤 5〜45重量部を含有
しているペーストゾル組成物である、ことを特徴とする
防炎メッシュシートである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は長期間屋外で使用さ
れる建築工事現場、土木工事現場で使用される防炎メッ
シュシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、建築業界において建物が益々高層
化の傾向にあり、その場合に安全保護用として防災シー
ト及び防炎メッシュシートの展張が義務づけられ、規制
も一段と厳しくなってきている。現在、使用されている
防炎メッシュシートは、天然繊維やナイロンまたはポリ
エステル等合成繊維を製織加工した原織物を塩化ビニル
系ペースト樹脂組成物で被覆し所望形状に加工されたも
のである。防炎メッシュシートは性能として引張強度、
落下衝撃強度、防炎性、耐候性(変退色)、防汚性、風
荷重、寸法安定性等が良好なものが求められている。従
来、芯糸を発泡剤含有の塩化ビニル系ペースト樹脂ゾル
(プラスチゾル)で被覆した被覆糸で網状構造物を構成
し、これを該被覆糸が偏平化される条件下に、該糸の交
叉する部分が融着し且つ発泡剤が発泡する温度で加熱処
理して、自己保持性を有する網状構造物を得る技術は知
られている(例えば、米国特許第4144371号)。
しかしながら、この提案においては、難燃性の賦付に関
しては全く言及されていなく、且つまた該プラスチゾル
に用いる可塑剤についても具体的な開示はなされていな
い。その可塑化樹脂の難燃性向上のために、塩素化パラ
フィン、リン系有機化合物及び三塩化アンチモンを併用
することが、特公昭52−41786号及び特公昭53
−18065号に先行技術として紹介されている。
【0003】最近特に建設工事現場の環境面の向上、美
感の向上が求められている。そのため防炎メッシュシー
トの色の種類が多くなり建設工事現場は種々の色の防炎
メッシュシートが展張されカラーフルになった半面耐候
劣化により色が変退色すると初期の色合いと異なったも
のになり、汚れたきたない色調になって環境に悪影響を
与えることが問題となっている。さらに防炎メッシュシ
ートは建設工事現場で使用後、洗濯し汚れを除去して繰
返し使用するが、再使用の場合、新品のメッシュシート
と一緒に同一現場で展張される場合が多くある。その場
合、新品の色と洗濯品の色が違い、色むらを起こし建設
工事現場の美感を損ねる問題が生じその改善が求められ
ている。しかしながらこれ等の環境上の問題とともに防
炎メッシュシートの難燃性向上効果もまだ充分ではな
い。また、可塑剤としてフタル酸エステル系可塑剤、燐
酸エステル系可塑剤、含ハロゲン系可塑剤の三成分から
なる可塑剤を使用することが、特公昭61−9430号
公報で提案されている。このメッシュシートは優れた効
果があり広く使用されているが、最近の色の変退色の問
題からみると、含ハロゲン系可塑剤は光等による劣化が
速く、色の変退色及び強度特に落下衝撃強度の低下が大
きい。本発明者の研究により含ハロゲン系可塑剤は出来
るだけ使用量が少ない方が好ましく、全く使用しない方
がよいことがわかった。燐酸エステル系可塑剤も使用量
が少ない方が望ましい。含ハロゲン系可塑剤は変退色の
問題だけでなく、これを多く使用すると防炎メッシュシ
ートの表面にベタツキが生じ建設工事現場での使用時に
汚れがつきやすく、洗濯しても汚れがとれにくい欠点が
ある。従って防汚性からも含ハロゲン系可塑剤の使用量
が少ない方が好ましい。さらに、高強力で落下衝撃強度
が大きくかつ長期に渡って、落下衝撃強度の低下が小さ
いものが安全面から強く求められている。しかし従来の
技術では、これらの問題点を解決することが困難であっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような実
状に鑑みてなされたものであって、太陽光線等による劣
化が少なく色の変退色が小さく、強度、特に落下衝撃強
度の低下が小さく、防汚性の優れた防炎メッシュシート
を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、 「1.マルチフィラメントをポリ塩化ビニール系ペース
トゾル組成物で被覆し、ゲル化処理した被覆糸を用いて
製織し、加工した防炎メッシュシートにおいて、 a.マルチフィラメント繊維は、単糸繊度3〜17デニ
ールであって、トータル繊度1000〜4500デニー
ルであり、引張強度が6.5〜10g/デニールで破
断伸度14〜45%である合成繊維であり、 b.ポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物は、 ポリ塩化ビニール系ペーストゾル 100重量部 フタル酸エステル系可塑剤 30〜85重量部 燐酸エステル系可塑剤 3〜30重量部 無機難燃化剤 5〜45重量部 を含有しているペーストゾル組成物である、ことを特徴
とする防炎メッシュシート。 2. マルチフィラメント繊維とポリ塩化ビニール系ペ
ーストゾル組成物の重量割合がマルチフィラメント繊維
100重量部に対してポリ塩化ビニール系ペーストゾル
110〜350重量部である、1項に記載された防炎メ
ッシュシート。 3. マルチフィラメント繊維がポリエステル繊維、ナ
イロン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維から選
んだ繊維である、1項または2項に記載された防炎メッ
シュシート。 4. ポリ塩化ビニール系ペースト樹脂は塩化ビニール
含有量が90%以上で平均重合度が750〜2000の
樹脂である、1項ないし3項のいずれか1項に記載され
た防炎メッシュシート。 5. 可塑剤がエポキシ系可塑剤を可塑剤100重量部
に対し1重量部〜8重量部添加した可塑剤である、請求
項1ないし4のいずれか1項に記載された防炎メッシュ
シート。 6. 可塑剤がハロゲンを含有する可塑剤を含まない可
塑剤である、1項ないし5項のいずれか1項に記載され
た防炎メッシュシート。 7. 製織した防炎メッシュシートの加工が加熱加工で
ある、1項ないし6項のいずれか1項に記載された防炎
メッシュシート。」に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で使用するマルチフィラメ
ントは、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビ
ニロンから選んだ1または2以上のマルチフィラメント
である。強度、熱収縮の点からポリエステル繊維が好ま
しい。
【0007】マルチフィラメント繊維の引張強度は6.
5〜10.5g/デニールとすることにより、防炎メッ
シュシートの高強力、軽量化を可能とし、破断伸度を1
4〜40%にすることにより防炎メッシュシートを高タ
フネスにし、落下時の衝撃エネルギーの吸収性を良好に
なし得る。マルチフィラメントの単糸繊度は3〜17デ
ニールで、好ましくは3〜12デニール、特に好ましく
は4〜9デニールであり、トータル繊度は1000〜4
500デニールで、好ましくは1260〜3500デニ
ール、特に好ましくは2450〜3000デニールであ
る。
【0008】マルチフィラメント繊維をポリ塩化ビニル
系ペーストゾル組成物で被覆するにはサイジングノズル
を通過させて被覆するが、この際、単糸繊度が3デニー
ル以下では単糸が毛羽立ちし、被覆むらが起き被覆糸に
凹凸が生じ平滑なコート糸が得られない。またサイジン
グノズルに毛羽立ちした糸くずが詰まり、被覆ができな
くなることが起きる。単糸繊度が17デニール以上では
引張強度が十分にあるにもかかわらず最も重要な落下衝
撃強度が小さくなり、引張強度に相関した落下衝撃強度
の大きいものが得難い。さらに17デニール以上ではこ
のマルチフィラメントの被覆糸で製織、加工した防炎メ
ッシュシートは風合いが硬くなり、取扱性が悪くなる。
【0009】トータル繊度が1,000デニール以下で
は落下衝撃強度の大きいものが得難い。落下衝撃強度を
上げるため糸本数を増すと防炎メッシュシートの目合が
細くなり、風通しが悪くなるので風荷重が大きくなり好
ましくない。トータル繊度が4,500デニール以上で
は、該被覆糸で製織、加工した防炎メッシュシートは重
量が大きくなり、展張時の取扱性が悪くなり好ましくな
い。このように単糸繊度3〜17デニール、トータル繊
度1000〜4500デニールで、好ましくは1260
〜3500デニール、特に好ましくは2450〜300
0デニール、あることが防炎メッシュシートにおいて重
要である。そして引張強度6.5〜10g/デニール
で破断伸度14〜45%であることが落下衝撃に耐える
ため必要である。
【0010】強度が6.5g/デニール以下では防炎メ
ッシュシートの強度が小さくなり、落下衝撃強度の大き
いものが得られず問題が発生する。10g/デニール
以上となると繊維の破断伸度が小さくなり、防炎メッシ
ュシートの落下衝撃強度が小さくなる。したがって強度
は6g〜10g/デニールである必要がある。また
破断伸度が14%以下ではタフネスが小さくなり、落下
衝撃強度の大きいものが得られない。45%以上ではク
リープによる寸法変化が大きくなり、防炎メッシュシー
トを長期間に渡って使用することが困難となる。したが
って破断伸度が14〜45%であることが防炎メッシュ
シートには必要である。
【0011】塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に
対するフタル酸エステル系可塑剤の添加量は30〜85
重量部である。好ましくは50〜80重量部、特に好ま
しくは61〜80重量部である。添加量が30重量部以
下ではペーストゾル組成物の粘度が高くなりマルチフィ
ラメント繊維を均一に被覆することが困難になり、均一
な被覆層を有する被覆糸が得難くなる。また85重量部
以上では被覆層が柔らかくなり、建設工事現場で展張す
ると汚れがつきやすくなり、その結果色の変色が生じや
すくなる。さらに耐摩耗性が悪くなり部分的に剥離が生
じ長期の使用に耐えないものになる。
【0012】燐酸エステル系可塑剤の添加量は3〜30
重量部、好ましくは4〜20重量部、特に好ましくは4
〜14重量部である。添加量が3重量部以下では難燃効
果が小さく、30重量部以上では太陽光線等による変退
色を促進するようになり好ましくない。無機系難燃剤の
添加量は5〜45重量部、好ましくは、10〜40重量
部、特に好ましくは20.1〜35重量部である。添加
量が5重量部以下では難燃効果が小さく、添加量が45
重量部以上ではポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物の
比重が大となり、該ペーストゾル組成物マルチフィラメ
ント繊維を被覆した場合被覆したストランドにタレが生
じ被覆糸の表面に凹凸が生じやすく、平滑な表面の被覆
糸が得られなくなる。該被覆糸を用い織機で防炎メッシ
ュシートの原反を織る場合被覆糸の表面に凹凸があると
摩擦抵抗が大きいため糸切れが生じ織機が停り目合にむ
らを生じ品質の良い原反が織れなくなる。
【0013】マルチフィラメント合成繊維に対するポリ
塩化ビニルペーストゾル組成物の重合割合は、マルチフ
ィラメント合成繊維100重量部に対してポリ塩化ビニ
ル系ペーストゾル組成物が110重量部以下では被覆に
むらが生じマルチフィラメント合成繊維の地肌が露出す
る部分ができて均一被覆ができない。さらに防炎性も低
下する。350重量部以上では防炎メッシュシートの重
量が重くなり取扱性が悪くなり好ましくない。本発明に
使用する塩化ビニル系ペースト樹脂は塩化ビニルモノマ
ー100%のものが最も好ましく、塩化ビニルモノマー
に対し酢酸ビニルモノマー10重量%以下添加して共重
合した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂も使用する
ことができ、また塩化ビニルモノマーと共重合する他の
モノマー10重量%以下添加した共重合樹脂でも良い。
塩化ビニルモノマー90重量%以下ではペーストゾル組
成物の粘度の安定性が悪くなり好ましくない。塩化ビニ
ル系ペースト樹脂の平均重合度は750以下では被膜強
度が弱く、耐摩耗性が悪い。平均重合度が2,000以
上では塩化ビニルペーストゾル組成物の加熱によるゲル
化が遅く被覆糸の生産性が悪くなる。平均重合度750
〜2,000の塩化ビニル樹脂に平均重合度750以下
の塩化ビニル樹脂を強度低下を起こさない程度約20%
以下は添加しても良い。また平均重合度2,000以上
の塩化ビニル樹脂をゲル化を遅くしない程度約20%添
加しても良い。
【0014】フタル酸エステル系可塑剤の例としては、
ジノルマルアルキルフタレート、ジイソアルキルフタレ
ート及び混基ジアルキルフタレート等の如きジアルキル
フタレートが挙げられる。ジノルマルアルキルフタレー
トとしてはアルキル鎖長C〜C12のものが好まし
く、例えば、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフ
タレート、ジ−n−デシルフタレート、ジ−n−ラウリ
ルフタレート及びジウンデシルフタレート等を例示する
ことができる。また、ジイソアルキルフタレートとして
はアルキル鎖長C〜C12のものが好ましく、例え
ば、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフ
タレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタ
レート、ジノニルフタレート、ジイソデシルフタレート
等を例示することができる。さらに、混基ジアルキルフ
タレートとしてはC〜Cジアルキルフタレート、C
〜C10アルキルフタレート、C〜C11ジアルキ
ルフタレート、C〜C11ジアルキルフタレート等が
列挙できる。これ等可塑剤の中でもジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソ
オクチルフタレート、C〜Cジアルキルフタレー
ト、C〜C10ジアルキルフタレートが特に好まし
い。燐酸エステル系可塑剤の例としは、燐酸トリアリー
ル系、燐酸トリアルキル系、アリールアルキル混合燐酸
系、燐酸トリアリール系としてはトリクレジルホスフェ
ート、トリキシレニルホスフェート、燐酸トリアルキル
系としてはトリブチルホスフェート、トリオクチルホス
フェート、トリブトキシエチルホスフェート、アルキル
アリール混合燐酸系としてはオクチルジフェニルホスフ
ェート等を例示できる。
【0015】本発明において可塑剤の総量は、塩化ビニ
ル系ペースト樹脂100重量部に対して50〜90重量
部で用いることが好ましい。可塑剤としては前記したフ
タル酸エステル系可塑剤、及び燐酸エステル系可塑剤の
外に太陽光線による劣化防止に効果のなるエポキシ系可
塑剤を若干添加することが好ましい。例えば、エポキシ
化大豆油アデカ サイザ−O−130P。サンソザイザ
−E−2000等を使用する。さらに他の可塑剤も若干
量添加しても良い。但し太陽光線による劣化を促進うる
可塑剤、を添加することは好ましくない。例えば塩素化
パラフィンで塩素化度40〜70%の可塑剤は、総べて
のものが変退色を促進するので好ましくない。
【0016】本発明で使用する無機系難燃剤の例として
は、三酸化アンチモン、水和硼酸亜鉛、水酸化アルミニ
ウム、アンチモニーシリコ・オキシド等がある。またこ
れらの混合物であってもよく、好ましくは、三酸化アン
チモンを含有するもので三酸化アンチモン単独、あるい
は三酸化アンチモンを主体とする混合物がよい。本発明
でポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物には必要に応じ
て、適宜に種類及び量を選び、安定剤、安定化助剤、紫
外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、希釈剤、増粘剤、
ゲル化剤、防カビ剤、防藻剤、発泡剤などを併用するこ
とができる。該マルチフィラメント合成繊維を該塩化ビ
ニルペーストゾル組成物で被覆する場合サイジングノズ
ルを通して行うが、該サイジングノズルの材料は、SU
S、窒化鋼、セラミックス、亜鉛、鉄、ボラゾン、ダイ
ヤモンド、超硬合金等である。さらにこれらにTiC、
TiN、TiV等の硬質皮膜コーティングを行うことが
できる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に本発明の防炎メッシュシート
の製造方法について説明する。本発明の防炎メッシュシ
ートは前に説明したマルチフィラメント合成繊維を用
い、該繊維を塩化ビニルペーストゾル組成物でサイジン
グノズルを通して被覆し加熱ゲル化した後被覆糸をワイ
ンダーで巻き取る。このワインダーに巻き取った被覆糸
を織機にかけ製織する。該織物を加熱炉に導入し、加熱
加工し織物の目詰加工を行い原反を得る。該原反を所定
の寸法に裁断して縫製、ハドメ加工を行い防汚性の防炎
メッシュシートを得る。本発明の防炎メッシュシート
は、建設工事現場、土木工事現場で展張してまた張設し
て使用することができる。以下、実施例を挙げて発明を
詳細に説明する。
【0018】
【実施例】
実施例1 プラネタリヤーミキサー(容量25リットル、品川化工
株式会社製)の中へ、表1に示すように、塩化ビニルペ
ースト樹脂(平均重合度1,600)100重量部を投
入し、次に該塩化ビニルペースト樹脂100重量部に対
しジ2−エチルヘキシルフタレート(DOP)62重量
部、トリクレジルホスフェート(TCP)8重量部、エ
ポキシ系大豆油アデカ−O−130P3重量部、Ca−
Zn系液状安定剤3重量部、紫外線吸収剤チヌピン32
70.5重量部を撹拌しながら約20分かけて徐々に添
加する。さらに約20分間撹拌後、三酸化アンチモン
(Sb)22重量部、グレー顔料5重を撹拌しな
がら約10分かけて添加する。添加後、常温でさらに1
時間撹拌した。次に減圧下5mmHgで約1時間真空脱
泡を行い、粘度2,730cps(B型粘度計、ロータ
ーV−6、12rpm、25℃)の塩化ビニルペースト
ゾル組成物を得た。該ペーストゾルをバスに入れ、次に
トータル繊度1,750デニール、フィラメント本数3
84本、単糸繊度4.5デニール、引張強度8.5g/
デニール、破断伸度21%のポリエステルマルチフィラ
メント繊維をガイドを通し、ピンチロールでピンチし、
ガイドロールを通して該ゾルのバスを通過させ、サイジ
ングノズル(0.8m/mφ)をさらに通過させてマル
チフィラメントを被覆した後ストランドを190℃の加
熱炉で加熱し該ストランドをゲル化させ4,370デニ
ールの被覆糸を製造した。該被覆糸の塩化ビニルペース
トゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は15
0/100であった。次に該被覆糸をレピアヤー織機
で、タテ糸52本/10cm、ヨコ糸52本/10cm
間のメッシュ平織を50cm/minの速度で織った。
次に、この織物を150℃の加熱炉を通し加熱し、タテ
糸とヨコ糸の交点を熱融着させて本発明の防炎メッシュ
シートの原反を得た。さらに該原反を巾190cm、長
さ520cmに裁断し、ミシンで縫製後、ハドメ加工を
して、巾180cm、長さ510cmの防炎メッシュシ
ートを得た。該防炎メッシュシートについて性能を測定
した結果を表1ないし表3に示す。
【0019】実施例2 実施例1同様の塩化ビニルペーストゾル組成物を使用
し、トータル繊度2,750デニール、フィラメント本
数384本、単糸繊度7.2デニール、引張強度8.5
g/デニール、破断伸度21%のポリエステルマルチフ
ィラメント繊維を用い実施例1と同様に該ペーストゾル
の入ったバスを通過させ、サイジングノズル(0.8m
/mφ)を通過させストランドを190℃の加熱炉で加
熱ゲル化後、さらに該ペーストゾルの入ったバスを通過
させ、サイジングソズル(0.9m/mφ)を通過さ
せ、再度ストランドを加熱炉で加熱しストランドをゲル
化させ7,830デニールの被覆糸を製造した。該被覆
糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメン
ト繊維の重量比は185/100であった。該被覆糸を
タテ糸33本/10cm間、ヨコ糸33本/10cm間
で実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と
同様に加熱処理を行って原反を得た。さらに実施例1と
同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該
防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし
表3に示す。
【0020】実施例3 実施例1同様の塩化ビニルペースト樹脂(平均重合度
1,000)を用い、該樹脂100重量部に対してDO
P47重量部、TCP20重量部、Sb10重量
部添加しそれ以外実施例1と同様にして塩化ビニルペー
ストゾル組成物を得た。該ゾル組成物の粘度は4,38
0cpsであった。該ゾル組成物を用いてトータル繊度
1,430デニール、フィラメント本数420本、単糸
繊度3.4デニール、引張強度9.3g/デニール、破
断伸度25%のナイロン6マルチフィラメント繊維を実
施例1と同様に被覆して被覆糸を得た。この場合サイジ
ングノズルは穴径0.7m/mφのものを使用した。該
被覆糸の繊度は3,340デニールであった。また該被
覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメ
ント繊維の重量比は130/100であった。被覆糸を
タテ糸本数64本/10cm間、ヨコ糸本数64本/1
0cm間でその他は実施例1と同様にして織物を織っ
た。次に実施例1と同様に加熱処理を原反を得た。さら
に実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシー
トを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果
は表1ないし表3の通りである。
【0021】実施例4 実施例1においてDOP60重量部、燐酸エステル径可
塑剤KH−650E(共同薬品株式会社製)12重量
部、Sb25重量部添加しそれ以外実施例1と同
様にしてペーストゾル粘度2,350cpsの塩化ビニ
ルペーストゾル組成物を得た。該ペーストゾル組成物を
使用し、トータル繊度3,500デニール、フィラメン
ト本数240本、単糸繊度14.6デニール、引張強度
8.3g/デニール、破断伸度22%のポリエステルマ
ルチフィラメント繊維を実施例2と同様に処理して繊度
12,250デニールの被覆糸を得た。該被覆糸の塩化
ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の
重量比は250/100であった。該被覆糸をタテ糸本
数30本/10cm間、ヨコ糸本数30本/10cm間
でその他は実施例1と同様にして織物を織った。次に実
施例1と同様にして原反を得た。さらに実施例1と同様
に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎
メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3
の通りである。
【0022】実施例5 実施例1においてSb12重量部にする以外実施
例1と同様にして塩化ビニルペーストゾル組成物を製造
した。該ペーストゾル組成物の粘度2,410cpsで
あった。該ペーストゾル組成物を使用してトータル繊度
3,000デニール、マルチフィラメント本数384
本、単糸繊度7.8デニール、引張強度8.5g/デニ
ール、破断伸度18%のポリエステルマルチフィラメン
ト繊維を実施例1と同様に被覆して被覆糸を得た。該被
覆糸の繊度は7,460デニールであった。また該被覆
糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメン
ト繊維の重量比は140/100であった。該被覆糸を
タテ糸本数33本/10cm間、ヨコ糸本数33本/1
0cm間でその他は実施例1と同様にして織物を織っ
た。次に実施例1と同様に加熱処理して原反を得た。さ
らに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシ
ートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結
果は表1ないし表3の通りである。
【0023】実施例6 実施例1においてDOP70重量部、TCP3重量部、
Sb25重量部、水酸化アルミニウム(Al(O
H))10重量部を添加しそれ以外実施例1と同様に
して塩化ビニルペーストゾル組成物を製造した。該ペー
ストゾル組成物の粘度は3,260cpsであった。該
ペーストゾル組成物を使用してトータル繊度1,500
デニール、フィラメント本数240本、単糸繊度6.3
デニール、引張強度8.5g/デニール、破断伸度22
%のポリエステルマルチフィラメント繊維を実施例2と
同様に被覆して被覆糸を得た。該被覆糸の繊度は4,5
20デニールであった。また該被覆糸の塩化ビニルペー
ストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は2
00/100であった。該被覆糸をタテ糸本数64本/
10cm間、ヨコ糸本数64本/10cm間でその他は
実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同
様にして原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工
を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシ
ートの性能を測定した結果は表1ないし表3の通りであ
る。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】比較例1 実施例1において可塑剤DOP40重量部、TCP20
重量部にし、塩化パラフィン(Cl 40%)、エンパ
ラ 40(株式会社味の素製)15重量部を添加し、そ
れ以外は実施例1と同様にしてペーストゾル粘度2,6
50cpsの塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該
ペーストゾル組成物を使用して実施例1と同様にして防
炎メッシュシートを製造した。該防炎メッシュシートの
性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0028】比較例2 実施例1において可塑剤DOP30重量部、TCP35
重量部にし、塩化パラフィン(Cl 45%)、アデカ
・サイザ−E−450(アデカ・アーガス社製)8重量
部を添加し、それ以外は実施例1と同様にしてペースト
ゾル粘度2,550cpsの塩化ビニルペーストゾル組
成物を得た。該ペーストゾル組成物を使用して実施例1
と同様にして防炎メッシュシートを製造した。該防炎メ
ッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に
示す。
【0029】比較例3 実施例2において、ポリエステルマルチフィラメント繊
維でトータル繊度2,750デニールでフィラメント本
数140本、単糸繊度19.6デニール、引張強度8.
5g/デニール、破断伸度21%の繊維を使用する以外
は実施例2と同様にして防炎メッシュシートを得た。防
炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表
6に示す。
【0030】比較例4 実施例1において、ポリエステルマルチフィラメント繊
維でトータル繊度1,750デニールでフィラメント本
数384本、単糸繊度4.5デニール、引張強度5.7
g/デニール、破断伸度24%の繊維を使用する以外は
実施例1と同様にして防炎メッシュシートを得た。防炎
メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6
に示す。
【0031】比較例5 実施例1において、ポリエステルマルチフィラメント繊
維でフィラメント本数384本、単糸繊度4.5デニー
ル、引張強度8.6g/デニール、破断伸度12%の繊
維を使用する以外は実施例1と同様にして防炎メッシュ
シートを得た。防炎メッシュシートの性能を測定した結
果は表4ないし表6に示す。
【0032】比較例6 実施例1において、ナイロン6マルチフィラメント繊維
でトータル繊度860デニール、フィラメント本数12
0本、単糸繊度7.2デニール、引張強度9.3g/デ
ニール、破断伸度24%の繊維を使用し実施例1と同様
にして被覆糸を得た。該被覆糸を使用しタテ糸本数64
本/10cm間、ヨコ糸本数64本/10cm間にして
織物を織る以外は実施例1と同様にして防炎メッシュシ
ートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結
果は表4ないし表6に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】諸性能のテスト方法及びその評価は次の方
法で行った。 (1) 繊維の引張強力、破断伸度 JIS L−1017に準じて測定 (2) 防炎メッシュシートの引張強力、破断伸度 JIS L−1068に準じて測定 (3) 落下衝撃強度(貫通通性試験) JIS A−8952に準じて測定 (4) 難燃性試験 JIS L−1091に準じて測定 A−2法(45゜メッケルバーナー法) (5) 耐候性 1) 促進耐候性試験 引張強力試験 A. 促進試験 a) 促進試験機:UVテスター b) 試験条件:温度63℃ :サイクルモード:LIGHT=4hr DEW=4hr B. 引張強力試験 JIS L−1068に準じて測
定 変退色試験 A. 促進試験 A.項と同一条件で実施 B. 変退色評価方法 JIS L−0804に準じて
測定 2) 暴露試験 落下衝撃試験体の暴露、JIS Z−2381に準
じて実施 仮設用足場材パイプを組立て南面に垂直に暴露した。 引張強力試験片の暴露 JIS Z−2381に準じて実施 但し直接暴露試験による。 変退色試験片の暴露 JIS Z−2381に準じて実施 但し直接暴露試験による。0.5年、1年、3年各暴露
後、洗剤トミグリーン(花王石ケン株式会社製)0.4
水液に3時間浸漬後直ちにスポンジタワシで10回洗浄
して汚れを落とし変退色を測定後、同場所に戻し暴露し
た。 引張強力試験 JIS L−1068に準じて測定 変退色評価方法 保存用試料と比較して、色の変化の程度により区分し
た。 区分 5 僅かにあり 4 ややあり 3 あり 2 相当大きい 1 非常に大きい 難燃性試験 JIS 1091 A2により測定 接炎試験 JIS 1091 Dにより測定 (6) 塩化ビニルペーストゾル粘度の測定法 B型粘度計、ローターV6、回転数12rpm、測定温
度25℃
【0037】
【発明の効果】本発明の防炎メッシュシートは経時的な
高度の低下、変退色がなく、難燃性も優れており、落下
衝撃強度も良好である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチフィラメントをポリ塩化ビニール
    系ペーストゾル組成物で被覆し、ゲル化処理した被覆糸
    を用いて製織し、加工した防炎メッシュシートにおい
    て、 a.マルチフィラメント繊維は、単糸繊度3〜17デニ
    ールであって、トータル繊度1000〜4500デニー
    ルであり、引張強度が6.5〜10g/デニールで破
    断伸度14〜45%である合成繊維であり、 b.ポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物は、 ポリ塩化ビニール系ペーストゾル 100重量部 フタル酸エステル系可塑剤 30〜85重量部 燐酸エステル系可塑剤 3〜30重量部 無機難燃化剤 5〜45重量部 を含有しているペーストゾル組成物である、ことを特徴
    とする防炎メッシュシート。
  2. 【請求項2】 マルチフィラメント繊維とポリ塩化ビニ
    ール系ペーストゾル組成物の重量割合がマルチフィラメ
    ント繊維100重量部に対してポリ塩化ビニール系ペー
    ストゾル110〜350重量部である、請求項1に記載
    された防炎メッシュシート。
  3. 【請求項3】 マルチフィラメント繊維がポリエステル
    繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊
    維から選んだ繊維である、請求項1または2に記載され
    た防炎メッシュシート。
  4. 【請求項4】 ポリ塩化ビニール系ペースト樹脂は塩化
    ビニール含有量が90%以上で平均重合度が750〜2
    000の樹脂である、請求項1ないし3のいずれか1項
    に記載された防炎メッシュシート。
  5. 【請求項5】 可塑剤がエポキシ系可塑剤を可塑剤10
    0重量部に対し1重量部〜8重量部添加した可塑剤であ
    る、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された防炎
    メッシュシート。
  6. 【請求項6】 可塑剤がハロゲンを含有する可塑剤を含
    まない可塑剤である、請求項1ないし5のいずれか1項
    に記載された防炎メッシュシート。
  7. 【請求項7】 製織した防炎メッシュシートの加工が加
    熱加工である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    された防炎メッシュシート。
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