JPH10169205A - 建築工事用メッシュ織物 - Google Patents

建築工事用メッシュ織物

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Publication number
JPH10169205A
JPH10169205A JP8326676A JP32667696A JPH10169205A JP H10169205 A JPH10169205 A JP H10169205A JP 8326676 A JP8326676 A JP 8326676A JP 32667696 A JP32667696 A JP 32667696A JP H10169205 A JPH10169205 A JP H10169205A
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JP
Japan
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mesh
fabric
mesh fabric
polyester
curable
Prior art date
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Pending
Application number
JP8326676A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiro Hayakawa
敏弘 早川
Masao Seki
昌夫 関
Masanobu Takeda
昌信 武田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、軽量で風合いが柔軟で目ズレしにく
く、糸強力の利用効率が高く、安定した通気性を有する
上に、さらに優れた耐候性を有する建築工事用メッシュ
織物を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の建築工事用メッシュ織物は、2官
能性燐化合物が少なくとも40重量%共重合されてなる
原着ポリエステル系難燃性繊維からなる糸条で構成され
たメッシュ織物であって、該メッシュ織物が3〜7本横
絽組織からなる織物であって、かつ、防炎性がJIS
L−1091 A−1法の区分3およびD法の区分2の
難燃性試験に合格し、かつ、JIS A−1410に規
定される45度法屋外曝露法で365日間の屋外曝露試
験を行った織物の引張り強力が、タテ、ヨコ共に135
Kg/3cm幅以上であることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性に優れた建
築工事用メッシュ織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、建築工事現場において、建築資材
や工具類の落下による危害を防止するため、ポリプロピ
レン繊維やポリエステル繊維からなるメッシュ状布帛や
ポリエステル繊維、ポリアミド繊維を塩化ビニル樹脂な
どで被覆したメッシュ状布帛が使用されている。
【0003】前者は、目ズレを防止するためモノフィラ
メントを使用する場合が多く、そのため布帛の風合いが
剛直で取扱い性が悪いうえ工事現場に張った場合の見栄
えが悪いという欠点を有する。後者は、塩化ビニル樹脂
に含まれるジオクチルフタレートやテトラクレジルフォ
スヘートなどの可塑剤が表面にブリードして表面が粘着
化し汚れが着きやすくしかも付着した汚れが洗浄しても
落ちにくいという欠点を有する。さらに、塩化ビニル樹
脂を被覆したものは、焼却廃棄時に塩素元素を含む燃焼
ガスや燃焼残渣を発生するため環境を著しく悪化すると
いう重大な欠点を有するため、近年、地球環境保全の観
点からハロゲン元素を含まない商品の開発が切望されて
いる。
【0004】また、かかる建築工事用メッシュ織物は、
長期間にわたり屋外に曝露されるため、高い耐候性能が
要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点に鑑み、軽量で風合いが柔軟で目ズレしに
くく、糸強力の利用効率が高く、安定した通気性を有す
る上に、さらに優れた耐候性を有する建築工事用メッシ
ュ織物を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために次のような手段を採用する。すなわち、
本発明の建築工事用メッシュ織物は、2官能性燐化合物
が少なくとも40重量%共重合されてなる原着ポリエス
テル系難燃性繊維からなる糸条で構成されたメッシュ織
物であって、該メッシュ織物が3〜7本横絽組織からな
る織物であって、かつ、防炎性がJIS L−1091
A−1法の区分3およびD法の区分2の難燃性試験に
合格し、かつ、JIS A−1410に規定される45
度法屋外曝露法で365日間の屋外曝露試験を行った織
物の引張り強力が、タテ、ヨコ共に135Kg/3cm幅以上
であることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明でいう建築工事用メッシュ
織物とは、建築工事現場での作業に際して、建築資材や
工具類などの落下による危害を防止するために使用され
るネット状物であり、軽量で風合いが柔軟で目ズレしに
くく、糸強力の利用効率が高く、安定した通気性を有す
るところに重点が置かれて開発されてきたものである。
しかし、かかる機能に加えて、さらに極めて高い耐候性
を有する機能が付与された建築工事用メッシュ織物が要
求されるようになり、鋭意検討したところ、特定な難燃
性繊維と紫外線吸収剤との組合わせで、しかも該紫外線
吸収材を該難燃性繊維内に濃度勾配をもたせて吸尽させ
ると、意外にも上述課題を一挙に解決することを究明し
たものである。
【0008】すなわち、本発明の建築工事用メッシュ織
物は、特定なポリエステル系難燃性繊維で特定な3〜7
本横絽組織からなる織物を構成したものであって、特定
なタテ方向とヨコ方向の強力を有し、かつ、特定の紫外
線吸収剤を特定な形態で吸尽させることによって、従来
技術では達成されなかった優れた目ズレ防止効果と通気
性と軽量化と優れた難燃性の特性と同時に優れた耐候性
を付与せしめ得たものである。
【0009】本発明の2官能性リン化合物が共重合され
てなるポリエステル系難燃性繊維とは、繰り返し単位の
少なくとも85モル%がポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフ
タレートなどのポリエステルであり、その繰り返し単位
の中に、リン元素に換算して、好ましくは0.1〜1重
量%の範囲に2官能性リン化合物が共重合されているポ
リマーからなる繊維である。なお、上述のポリエステル
には難燃性を阻害しない範囲で共重合成分が含有されて
いてもよい。かかるポリエステル系繊維のポリマーの固
有粘度は、好ましくは0.65以上、さらに好ましくは
0.8以上である。さらに好ましくは該難燃性繊維自身
の密度が1.38g/cm3 以上であるポリエステル系繊
維を使用するのがよい。
【0010】上述の2官能性リン化合物としては、次の
式(1)で示されるホスホネート、式(2)で示される
ホスフィネートあるいは式(3)で示されるホスフィン
オキシドが好ましく使用される。
【0011】
【化1】
【化2】
【化3】 式(1)で示されるリン化合物としては、フェニルホス
ホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジフェニル等が好
ましく使用される。
【0012】式(2)で示されるリン化合物としては、
(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸、(2
−メトキシカルボニルエチル)メチルホスフィン酸メチ
ル、(2−カルボキシルエチル)フェニルホスフィン
酸、(2−メトキシカルボニルエチル)フェニルホスフ
ィン酸メチル、(4−メトキシカルボニルフェニル)フ
ェニルホスフィン酸メチル、[2−(β−ヒドロキシエ
トキシカルボニル)エチル]メチルホスフィン酸のエチ
レングリコールエステル等が好ましく使用される。 式
(3)のリン化合物としては、(1,2−ジカルボキシ
ルエチル)ジメチルホスフィンオキシド、(2,3−ジ
カルボキシプロピル)ジメチルホスフィンオキシド、
(1,2−ジメトキシカルボニルエチル)ジメチルホス
フィンオキシド、(2.3−ジメトキシカルボニルエチ
ル)ジメチルホスフィンオキシド、[1,2ジ(β−ヒ
ドロキシエトキシカルボニル)エチル]ジメチルホスフ
ィンオキシド、[2,3ジ(β−ヒドロキシエトキシカ
ルボニル)エチル]ジメチルホスフィンオキシド等が好
ましく使用される。
【0013】これらの化合物の中でも、特に式(3)の
化合物が、ポリエステルとの共重合反応性がよいこと、
および重合反応時の飛散が少ないことなどから好ましく
使用される。
【0014】上述のリン化合物は、ポリエステルポリマ
ー中に、リン元素に換算して好ましくは0.2〜1.5
重量%、特に好ましくは0.4〜1.3重量%含有され
たものがよい。すなわち、0.2重量%未満の場合は、
得られる建築工事用メッシュ織物の難燃性が低下してく
るので好ましくない。一方、リン元素量が1.5重量%
を超えると原糸の物理的特性、とくに強度低下、収縮特
性の増大および製造コストが高くなるなどの欠点が出現
してくる。
【0015】本発明は、該共重合ポリエステルが織物中
に少なくとも40重量%以上含有されているものであ
り、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70
重量%以上である。かかる使用量によりJIS L−1
091に規定される難燃性能を達成することができるの
で、交織、混繊、混紡など他の繊維と混用されて織物が
構成されていてもよい。具体的には、経糸あるいは緯糸
の一方のみに共重合ポリエステル繊維を使用し、他方を
通常のポリエステル繊維を使用したりまたは経糸および
緯糸に共重合ポリエステル繊維と通常のポリエステル繊
維を交互に配列する方法等が好ましく採用される。
【0016】本発明の建築工事用メッシュ織物は次に示
す項目を全て兼ね備えて初めて目的とする品質を達成で
きるものである。織物組織は3〜7本横絽組織であり、
かかる組織を採用することにより塩化ビニル樹脂や他の
熱可塑性樹脂で目止め加工をする必要のない耐目ズレ性
能を発揮させることができる。
【0017】かかる横絽組織織物について、図面で説明
する。
【0018】図1は、3本横絽組織1であり、平織組織
が緯糸3本(2、3、4)と経糸9により構成され、次
にからみ目がある繰り返し組織である。
【0019】図2は、5本横絽組織1(緯糸:2、3、
4、5、6)であり、図3は、7本横絽組織1(緯糸:
2、3、4、5、6、7、8)を示すものである。
【0020】かかる横絽組織では、絽本数が多くなるに
したがい、緯糸が5本、7本と増加するので、それだけ
平織部分の比率が増加し、より強固な組織となるため、
目ズレはしにくくなるが、同時に通気性も減少する。す
なわち、9本横絽組織になると平織とほとんど同等にな
り、本発明の通気性を達成するのが難しくなる。したが
って、建築工事用メッシュ織物として、実用に耐え本発
明の通気性、物性を満足させるには3〜7本横絽組織と
いう極めて特定な範囲の組織のみであり、かかる特定な
範囲の組織のみが、樹脂を付与することなく軽量で通気
性も目ズレ防止も達成するものである。中でも3本横絽
組織が本発明の通気性を確保する上で好ましく使用され
る。かかる3本横絽組織において本発明の緯方向の引張
り強力を達成するには、緯糸3本のうち少なくとも1本
を太い繊度の糸を配列するのがよい。
【0021】本発明の建築工事用メッシュ織物において
は、JIS L−1096に基づく糸引き抜き法A法に
よる緯糸1組の滑脱抵抗力が好ましくは1.5Kgf 以
上、さらに好ましくは、2.0Kgf 以上であり、かかる
滑脱抵抗力を維持できれば目ズレしにくい横絽組織の織
物とすることができる。
【0022】本発明の建築工事用メッシュ織物において
は、JIS L−1096に基づいてフラジール型通気
性測定器で測定した通気量が、100〜400cm3 /cm
2 ・秒であることが、防風効果、スプレー作業時の換気
のためならびに強風時の風圧等に耐えるために重要であ
る。
【0023】本発明の建築工事用メッシュ織物において
は、メッシュの開口部面積を0.5〜25mm2 にするこ
とが安定した通気量を達成するのに望ましい。
【0024】また、本発明の建築工事用メッシュ織物に
おいては、45度法屋外曝露法で365日間の屋外曝露
試験を行った織物のJIS A−8952−5.1項に
基ずくストリップ法による、つかみ間隔20cm、幅3cm
にて測定した時の引張り強力が、135Kg以上、好まし
くは200kg以上、特に好ましくは240kg以上である
ことが、工事用資材ならびに工具類の落下防止効果は当
然のことながら、紫外線吸収剤を吸尽させたものの屋外
曝露の耐久性の上から好ましい。 また、同様の方法で
測定した引張り長さと引張り強力の積で求められるタフ
ネスが好ましくは18000Kg・mm以上であることが、
落下防止効果と耐久性の面で好ましい。本発明の建築工
事用メッシュ織物に使用される織糸の繊度は1000〜
4000Dの範囲のものがよい。すなわち、本発明の目
的とする特定の引張り強力を特定の通気量を維持して達
成するには1000Dより細いと織込み本数が多くなり
すぎて、通気量の低下をきたしたり、コストアップとな
る場合がある。4000Dより太いと、目ズレを起こし
やすくなったり製織性が著しく低下する場合がある。
【0025】なお、本発明においては、経糸と緯糸の繊
度は同じでも異なっていてもよい。本発明の建築工事用
メッシュ織物に使用される織糸の単糸繊度は10〜25
dの範囲のものがよい。本発明は、耐候性能を向上させ
るために、紫外線吸収剤を織物にした後に後加工法で吸
尽させるが、かかる紫外線吸収剤の利用効率は単糸繊度
が太いほど好ましく、10dより細いと利用効率が低下
する場合があり、25dより太いと紫外線吸収剤の利用
効率の面では好ましいが、風合いが硬くなり作業性の低
下を来す場合があり、また製糸性が低下する場合があ
る。
【0026】かかる織糸に使用されるポリエステル系難
燃性繊維の強度は好ましくは6g/d以上、好ましくは
8g/d以上であることが、低目付けで、通気性を維持
して目的とする織物の引張り強力を得る上で望ましい。
【0027】かかる織糸に使用されるポリエステル系難
燃性繊維は撚り糸にして使用するのが耐候性の点で好ま
しい。撚り糸にすると原糸の強力利用効率が高くなると
ともに、繊維束の外周に位置する糸が内部の糸を保護す
る効果をもたらす。さらに紫外線吸収剤で後加工した場
合に外周に位置する糸に効率的に紫外線吸収剤が吸尽、
付着するので、すなわち、該ポリエステル系難燃性繊維
糸条が、紫外線吸収剤を該糸の表面に濃く中心部に向か
って薄く吸尽されている形で濃度勾配をもって含有され
ており、この形態を採用することにより、著しく耐候性
効果を高めえたものである。
【0028】本発明の撚係数は、T×(D)1/2 の式に
より計算で求められるもので、ここでTは糸長10cm
当たりの撚りの数で、Dは糸のデニールを表す。本発明
の撚係数は、100以上、好ましくは200〜1000
の範囲である。撚係数は大きいほど耐候性の点では好ま
しいが、1000を越えると原糸の強力利用効率が低下
する場合があり、また、撚トルクが回復して製織性を低
下させたりする場合がある。撚トルクを固定するために
は熱処理等を行うことは、別工程を必要としコストアッ
プを来すことになる。撚係数が100より小さいと外周
の糸による強度変化のカバリング効果が不十分になる場
合がある。
【0029】また、本発明の建築工事用メッシュ織物
は、目付けが300〜450g/m2の範囲にあるもの
が、該織物の強度保持、施工、運搬の上の取扱いやすさ
から望ましい。
【0030】本発明は、上述したメッシュ織物に紫外線
吸収剤が吸尽されてなるものである。紫外線吸収剤の繊
維内部への吸尽は、織糸に吸尽させてから織物を構成す
る方法、織物にしてから紫外線吸収剤を吸尽させる方法
のどちらでも採用することができるが、後者のほうが処
理の安定性が高く好ましい。
【0031】本発明で使用する紫外線吸収剤は、特に限
定されるものではなく、一般に後加工でポリエステル系
繊維の内部に吸尽させることのできる、トリアジン系化
合物またはベンゾトリアゾール系化合物またはベンゾフ
ェノン系化合物の少なくとも1種類が繊維内部に吸尽さ
れているものである。具体的には、下記に示す化合物が
好ましく使用できる。
【0032】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】 本発明の紫外線吸収剤の吸尽量は、ポリエステル系繊維
重量に対し好ましくは0.1〜4.0重量%、さらに好
ましくは0.5〜2.5重量%である。0.1重量%よ
り少ないと目的とする耐候性能が発揮できない場合があ
り、4重量%を越えると紫外線吸収剤の使用量に対する
吸尽効率が低下し、コストアップになったり、繊維の強
力が低下する場合がある。
【0033】ポリエステル系繊維は、波長が約290〜
350nm領域の紫外線により光分解反応を起こし、ポリ
マー分子の切断などをきたすので、主としてこの領域に
極大吸収を持つ紫外線吸収剤を使用するのが効果的であ
る。かかる観点から、トリアジン系化合物やベンゾトリ
アゾール系化合物が好ましい。また、できるだけ広い波
長領域で紫外線を吸収することがポリエステル系繊維の
劣化を防止するのに効果的であるから、異なる化合物を
混合して使用するのが好ましい。
【0034】本発明は紫外線吸収剤を後加工により吸尽
させる方法を主に採用するが、原糸製造時に紫外線吸収
剤を混合する方法も採用しても構わない。しかし、ポリ
エステル系繊維を製造する際の300℃近辺の温度に耐
え得る化合物が少ないこと、また、紫外線吸収剤を1重
量%程度配合すると製糸性が著しく低下すること等の問
題が多く、目的とする効果が得にくい場合がある。ま
た、紫外線吸収剤の繊維表面濃度を高くするため、紫外
線吸収剤を含むポリマーを鞘成分に配置する複合糸の提
案もあるが、製糸性の低下は避けられず、しかもかかる
方法は特殊な紡糸機が必要となるためコストアップとな
る。また、原糸に紫外線吸収剤を混合した糸の場合は、
糸の繊度、単糸繊度、布帛の構造により耐候性能が変動
するので、性能が不足する場合は、後加工法で補う方法
を取らざるを得ず、極めて効率の悪いものになる場合が
ある。
【0035】本発明の紫外線吸収剤をポリエステル系繊
維内部に吸尽させる方法は、上述した化合物を含む水溶
液に織物を浸漬し100〜140℃に加熱する浴中吸尽
法または上述した化合物を含む水溶液に織物浸漬しマン
グルなどで所定の付着量に絞った後、180〜230℃
で乾熱処理するサーモゾル法が採用できるが、本発明の
建築工事用メッシュ織物のように太繊度で目付けの高い
織物にはサーモゾル法を適用するのが望ましい。また、
ポリエステル系繊維を分散染料を用いてサーモゾル染色
する場合、染料が単繊維表層部に止まるという特徴がよ
く知られているが、本発明の紫外線吸収剤の吸尽をサー
モゾル方法で実施することは、紫外線吸収剤が単繊維表
層部に集中的に分散されるので、紫外線を遮蔽して繊維
の光劣化を押さえる効率が高くなる。サーモゾル吸尽法
は、高温で熱処理するので、使用する紫外線吸収剤が熱
昇華しやすものは熱処理時に大気中に飛散してしまい化
合物の利用効率が低下するので、熱昇華性の低いものが
好ましい。例えば、2−(2’−ヒドロキシ−4’−メ
トキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジ
ンや2−(2’−ヒドロキシ−4’−エトキシフェニ
ル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジンなどのトリ
アジン環に3つのフェニル基が置換された熱昇華性の低
いトリアジン系化合物が特に好ましい。
【0036】さらに、本発明の紫外線吸収剤のサーモゾ
ル吸尽法において、処理を2回以上繰り返して行えば、
耐候性能が飛躍的に向上する。例えば、固形分で1%の
吸尽を行う場合、1回の処理で1%を吸尽させたものに
対し、2回の処理で1%の吸尽を行ったものは約1.5
倍の耐候性を発揮させることができる。繰り返し処理の
場合、紫外線吸収剤がより繊維表層部に高濃度に分散す
るためと推定される。本発明の建築工事用メッシュ織物
はJIS L−1091A−1法の区分3及びD法の区
分2の難燃性試験に合格するものであり、建築工事用メ
ッシュ織物として使用し得る特性を持つ。
【0037】かかるポリエステル系繊維からなる建築工
事用メッシュ織物には、好ましくは防炎加工を施すこと
ができる。かかる防炎加工は、繊維の段階で加工しても
よく、織物とした後で加工してもよい。かかる防炎剤と
しては、下記に示すハロゲン元素を含まないリン系化合
物、アミドホスファゼン化合物が好ましい。
【0038】
【化9】
【化10】
【化11】 かかる防炎剤の該ポリエステル系繊維に含有させる場合
は、該繊維重量に対して、0.2〜10重量%付与した
ものが好ましい。本発明のポリエステル系難燃性繊維に
他の充填剤、安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定
剤等が混合されていてもさしつかえない。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳しく説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】なお、実施例および比較例に示す性能値は
次の方法で測定した。
【0041】(織物の引張り強力、伸び)JIS L−
1096に規定されるストリップ法により3cm幅の引張
り強さ(Kg)、と伸び(mm)を測定した。
【0042】(織糸の撚係数)撚係数=T(D)1/2
式から計算で求めた。
【0043】ここで、Tは糸長10cm当たりの撚りの
数、Dは糸のデニールを表す。
【0044】(原糸強度)JIS L−1096に規定
される方法で測定した(g/d)。
【0045】(目 付)JIS L−1096に規定さ
れる方法で測定した(g/m2 )。
【0046】(通気量)JIS L−1096に規定さ
れるフラジール型通気性測定機で測定した(cm3 //cm
2 ・秒)。
【0047】(滑脱抵抗力)JIS L−1096に規
定される糸引抜きA法で緯糸1組の滑脱抵抗力(Kgf )
を測定し、目ズレの程度の判定値とした。
【0048】(耐候性)JIS A−1410に規定さ
れる45度法屋外曝露法で365日間の処理を行い、J
IS L−1096に規定されるストリップ法により3
cm幅の引張強さ(Kg)を測定した。
【0049】(難燃性)JIS L−1091に規定さ
れるA−1法とD法で性能を測定した。
【0050】実施例1〜7、比較例1〜6 燐化合物として[2−(β−ヒドロキシエトキシカルビ
ニル)エチル]メチルホスフィン酸を燐元素換算して
0.5%を含む青色原着難燃性ポリエステル繊維と、燐
化合物を含まない青色原着レギュラーポリエステル繊維
1500D−144F(固有粘度0.94)を用いて三
本絽織物を製織し(タテ/ヨコ密度24/18本/イン
チ)、ノニオン系界面活性剤と炭酸ソーダを各0.1%
を含む80℃の湯で精練し、170℃で乾燥した後、2
15℃でヒートセットした(タテ/ヨコ密度26/1
8.5本/インチ)。次いで、紫外線吸収剤を含む水溶
液に浸漬し、マングルで絞って50%の付着量に調整
し、150℃で乾燥、215℃で熱処理した。該織物の
特性は次の通りであった。
【0051】引張強力:タテ方向295Kg/3cm、
ヨコ方向240Kg/3cm 目付け:360g/m2 目空き率:15% 通気量:196(cm3 //cm2 ・秒) 滑脱抵抗力:2.5Kgf なお、紫外線吸収剤は次のものを単独あるいは混合した
ものの濃度を変えて使用した。
【0052】(後加工で使用した紫外線吸収剤) a:チヌビンP(チバガイギー社製トリアジン系化合
物:化式4) b:サンライフLPS885(日華化学株式会社製ベン
ゾフェノン系化合物:化式5) 紫外線吸収剤の吸尽量は、紫外線吸収剤で処理した織物
をノニオン系界面活性剤と炭酸ソーダを各0.1%を含
む80℃の湯中で洗浄、150℃で乾燥して重量を測定
し、紫外線吸収剤で処理する前の織物重量に対する増加
量から計算した。
【0053】該織物を365日間屋外に曝露し性能を評
価した結果を表1に示す。
【0054】
【表1】 表1から明らかなように、実施例も比較例も、2官能性
燐化合物共重合原着ポリエステル系難燃性繊維からなる
糸条を使用しているので、難燃性は、いずれも合格であ
ったが、耐候性が、実施例1〜7は、140kg以上で極
めて優れているのに対して、比較例は、いずれも117
kg以下で弱くて長期間実用に耐えないものであった。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2官能性燐化合物が少なくとも40重量
    %共重合されてなる原着ポリエステル系難燃性繊維から
    なる糸条で構成されたメッシュ織物であって、該メッシ
    ュ織物が3〜7本横絽組織からなる織物であって、か
    つ、防炎性がJISL−1091 A−1法の区分3お
    よびD法の区分2の難燃性試験に合格し、かつ、JIS
    A−1410に規定される45度法屋外曝露法で36
    5日間の屋外曝露試験を行った織物の引張り強力が、タ
    テ、ヨコ共に135Kg/3cm幅以上であることを特徴とす
    る建築工事用養生メッシュ。
  2. 【請求項2】 該ポリエステル系難燃性繊維が、紫外線
    吸収剤を0.1〜4.0重量%含有するものである請求
    項1記載の建築工事用養生メッシュ。
  3. 【請求項3】 該紫外線吸収剤が、トリアジン系化合
    物、ベンゾトリアゾール系化合物およびベンゾフェノン
    系化合物から選ばれた少なくとも1種である請求項3記
    載の建築工事用メッシュ織物。
  4. 【請求項4】 該ポリエステル系難燃性繊維が、紫外線
    吸収剤を表面に濃く中心部に向かって薄く吸尽されてい
    る形で濃度勾配をもって含有されているものである請求
    項1〜3のいずれかに記載の建築工事用養生メッシュ。
  5. 【請求項5】 該ポリエステル系難燃性繊維が、200
    以上の撚係数を有する撚糸である請求項1〜2のいずれ
    かに記載の建築工事用養生メッシュ。
  6. 【請求項6】 該メッシュ織物が、緯糸1組での滑脱抵
    抗力が1.5Kgf以上有するものである請求項1記載
    の建築工事用養生メッシュ。
  7. 【請求項7】 該メッシュ織物が、0.5〜25mm2
    メッシュ開口部面積を有するものである請求項1および
    6のいずれかに記載の建築工事用養生メッシュ。
  8. 【請求項8】 該メッシュ織物が、10〜20%の目空
    き率を有するものである請求項1、6および7のいずれ
    かに記載の建築工事用養生メッシュ。
  9. 【請求項9】 該メッシュ織物が、100〜400cm3
    /cm2 ・秒の通気量を有するものである請求項1、6、
    7および8のいずれかに記載の建築工事用養生メッシ
    ュ。
  10. 【請求項10】 該メッシュ織物が、300〜450g
    /m2 の目付を有するものである請求項1、6、7、8
    および9のいずれかに記載の建築工事用養生メッシュ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007016378A (ja) * 2005-06-24 2007-01-25 Alcantara Spa 高耐光性を有する極細繊維起毛不織布およびその製造方法
JP2009242953A (ja) * 2008-03-28 2009-10-22 Toray Ind Inc 産業資材用繊維構造物
JP2018202639A (ja) * 2017-05-31 2018-12-27 東レ株式会社 樹脂複合体
JPWO2020262671A1 (ja) * 2019-06-28 2020-12-30

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