JP3787893B2 - 防炎メッシュシート - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は長期間屋外で使用される建築工事現場、土木工事現場で使用される防炎メッシュシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築業界において建物が益々高層化の傾向にあり、その場合に安全保護用として防災シート及び防炎メッシュシートの展張が義務づけられ、規制も一段と厳しくなってきている。
現在、使用されている防炎メッシュシートは、天然繊維やナイロンまたはポリエステル等合成繊維を製織加工した原織物を塩化ビニル系ペースト樹脂組成物で被覆し所望形状に加工されたものである。
防炎メッシュシートは性能として引張強度、落下衝撃強度、防炎性、耐候性(変退色)、防汚性、風荷重、寸法安定性等が良好なものが求められている。
従来、芯糸を発泡剤含有の塩化ビニル系ペースト樹脂ゾル(プラスチゾル)で被覆した被覆糸で網状構造物を構成し、これを該被覆糸が偏平化される条件下に、該糸の交叉する部分が融着し且つ発泡剤が発泡する温度で加熱処理して、自己保持性を有する網状構造物を得る技術は知られている(例えば、米国特許第4144371号)。しかしながら、この提案においては、難燃性の賦付に関しては全く言及されていなく、且つまた該プラスチゾルに用いる可塑剤についても具体的な開示はなされていない。その可塑化樹脂の難燃性向上のために、塩素化パラフィン、リン系有機化合物及び三酸化アンチモンを併用することが、特公昭52−41786号及び特公昭53−18065号に先行技術として紹介されている。
【0003】
最近特に建設工事現場の環境面の向上、美観の向上が求められている。そのため防炎メッシュシートの色の種類が多くなり建設工事現場は種々の色の防炎メッシュシートが展張されカラフルになった半面耐候劣化により色が変退色すると
初期の色合いと異なったものになり、汚れたきたない色調になって環境に悪影響を与えることが問題となっている。さらに防炎メッシュシートは建設工事現場で使用後、洗濯し汚れを除去して繰返し使用するが、再使用の場合、新品のメッシュシートと一緒に同一現場で展張される場合が多くある。その場合、新品の色と洗濯品の色が違い、色むらを起こし建設工事現場の美観を損ねる問題が生じその改善が求められている。
しかしながらこれ等の環境上の問題とともに防炎メッシュシートの難燃性向上効果もまだ充分ではない。
また、可塑剤としてフタル酸エステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、含ハロゲン系可塑剤の三成分からなる可塑剤を使用することが、特公昭61−9430号公報で提案されている。このメッシュシートは優れた効果があり広く使用されているが、最近の色の変退色の問題からみると、含ハロゲン系可塑剤は光等による劣化が速く、色の変退色及び強度特に落下衝撃強度の低下が大きい。
本発明者の研究により含ハロゲン系可塑剤は出来るだけ使用量が少ない方が好ましく、全く使用しない方がよいことがわかった。燐酸エステル系可塑剤も使用量が少ない方が望ましい。含ハロゲン系可塑剤は変退色の問題だけでなく、これを多く使用すると防炎メッシュシートの表面にベタツキが生じ建設工事現場での使用時に汚れがつきやすく、洗濯しても汚れがとれにくい欠点がある。従って防汚性からも含ハロゲン系可塑剤の使用量が少ない方が好ましい。
さらに、高強力で落下衝撃強度が大きくかつ長期に渡って、落下衝撃強度の低下が小さいものが安全面から強く求められている。しかし従来の技術では、これらの問題点を解決することが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、太陽光線等による劣化が少なく色の変退色が小さく、強度、特に落下衝撃強度の低下が小さく、防汚性の優れた防炎メッシュシートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
「1. マルチフィラメントをポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物で被覆し、ゲル化処理した被覆糸を用いて製織し、加工した防炎メッシュシートにおいて、
a.マルチフィラメント繊維は、
単糸繊度3〜17デニールであって、トータル繊度1000〜4500デニールであり、引張強度が6.5〜105g/デニールで破断伸度14〜45%である合成繊維であり、
b.ポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物は、
ポリ塩化ビニール系ペーストゾル 100重量部
フタル酸エステル系可塑剤 30〜85重量部
燐酸エステル系可塑剤 3〜30重量部
無機難燃化剤 5〜45重量部
を含有しているペーストゾル組成物であり、
c.マルチフィラメント繊維とポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物の重量割合がマルチフィラメント繊維100重量部に対してポリ塩化ビニール系ペーストゾル110〜350重量部である、
ことを特徴とする防炎メッシュシート。
2. マルチフィラメント繊維がポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維から選んだ繊維である、1項に記載された防炎メッシュシート。
3. ポリ塩化ビニール系ペースト樹脂は塩化ビニール含有量が90%以上で平均重合度が750〜2000の樹脂である、1項または2項に記載された防炎メッシュシート。
4. 可塑剤がエポキシ系可塑剤を可塑剤100重量部に対し1重量部〜8重量部添加した可塑剤である、1項ないし3項のいずれか1項に記載された防炎メッシュシート。
5. 可塑剤がハロゲンを含有する可塑剤を含まない可塑剤である、1項ないし4項のいずれか1項に記載された防炎メッシュシート。
6. 製織した防炎メッシュシートの加工が加熱加工である、1項ないし5項のいずれか1項に記載された防炎メッシュシート。」
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するマルチフィラメントは、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビニロンから選んだ1または2以上のマルチフィラメントである。強度、熱収縮の点からポリエステル繊維が好ましい。
【0007】
マルチフィラメント繊維の引張強度は6.5〜10.5g /デニールとすることにより、防炎メッシュシートの高強力、軽量化を可能とし、破断伸度を14〜40%にすることにより防炎メッシュシートを高タフネスにし、落下時の衝撃エネルギーの吸収性を良好になし得る。
マルチフィラメントの単糸繊度は3〜17デニールで、好ましくは3〜12デニール、特に好ましくは4〜9デニールであり、トータル繊度は1000〜4500デニールで、好ましくは1260〜3500デニール、特に好ましくは2450〜3000デニールである。
【0008】
マルチフィラメント繊維をポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物で被覆するにはサイジングノズルを通過させて被覆するが、この際、単糸繊度が3デニール以下では単糸が毛羽立ちし、被覆むらが起き被覆糸に凹凸が生じ平滑なコート糸が得られない。またサイジングノズルに毛羽立ちした糸くずが詰まり、被覆ができなくなることが起きる。単糸繊度が17デニール以上では引張強度が十分にあるにもかかわらず最も重要な落下衝撃強度が小さくなり、引張強度に相関した落下衝撃強度の大きいものが得難い。さらに17デニール以上ではこのマルチフィラメントの被覆糸で製織、加工した防炎メッシュシートは風合いが硬くなり、取扱性が悪くなる。
【0009】
トータル繊度が1,000デニール以下では落下衝撃強度の大きいものが得難い。落下衝撃強度を上げるため糸本数を増すと防炎メッシュシートの目合が細くなり、風通しが悪くなるので風荷重が大きくなり好ましくない。トータル繊度が4,500デニール以上では、該被覆糸で製織、加工した防炎メッシュシートは重量が大きくなり、展張時の取扱性が悪くなり好ましくない。
このように単糸繊度3〜17デニール、トータル繊度1000〜4500デニールで、好ましくは1260〜3500デニール、特に好ましくは2450〜3000デニール、あることが防炎メッシュシートにおいて重要である。
そして引張強度6.5〜10.5g/デニールで破断伸度14〜45%であることが落下衝撃に耐えるため必要である。
【0010】
強度が6.5g/デニール以下では防炎メッシュシートの強度が小さくなり、落下衝撃強度の大きいものが得られず問題が発生する。10.5g/デニール以上となると繊維の破断伸度が小さくなり、防炎メッシュシートの落下衝撃強度が小さくなる。
したがって強度は6.5g〜10.5g/デニールである必要がある。
また破断伸度が14%以下ではタフネスが小さくなり、落下衝撃強度の大きいものが得られない。45%以上ではクリープによる寸法変化が大きくなり、防炎メッシュシートを長期間に渡って使用することが困難となる。
したがって破断伸度が14〜45%であることが防炎メッシュシートには必要である。
【0011】
塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に対するフタル酸エステル系可塑剤の添加量は30〜85重量部である。好ましくは50〜80重量部、特に好ましくは61〜80重量部である。添加量が30重量部以下ではペーストゾル組成物の粘度が高くなりマルチフィラメント繊維を均一に被覆することが困難になり、均一な被覆層を有する被覆糸が得難くなる。また85重量部以上では被覆層が柔らかくなり、建設工事現場で展張すると汚れがつきやすくなり、その結果色の変色が生じやすくなる。さらに耐摩耗性が悪くなり部分的に剥離が生じ長期の使用に耐えないものになる。
【0012】
燐酸エステル系可塑剤の添加量は3〜30重量部、好ましくは4〜20重量部、特に好ましくは4〜14重量部である。添加量が3重量部以下では難燃効果が小さく、30重量部以上では太陽光線等による変退色を促進するようになり好ましくない。
無機系難燃剤の添加量は5〜45重量部、好ましくは、10〜40重量部、特に好ましくは20〜35重量部である。添加量が5重量部以下では難燃効果が小さく、添加量が45重量部以上ではポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物の比重が大となり、該ペーストゾル組成物でマルチフィラメント繊維を被覆した場合被覆したストランドにタレが生じ被覆糸の表面に凹凸が生じやすく、平滑な表面の被覆糸が得られなくなる。該被覆糸を用い織機で防炎メッシュシートの原反を織る場合被覆糸の表面に凹凸があると摩擦抵抗が大きいため糸切れが生じ織機が停り目合にむらを生じ品質の良い原反が織れなくなる。
【0013】
マルチフィラメント合成繊維に対するポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物の重量割合は、マルチフィラメント合成繊維100重量部に対してポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物が110重量部以下では被覆にむらが生じマルチフィラメント合成繊維の地肌が露出する部分ができて均一被覆ができない。さらに防炎性も低下する。350重量部以上では防炎メッシュシートの重量が重くなり取扱性が悪くなり好ましくない。
本発明に使用する塩化ビニル系ペースト樹脂は塩化ビニルモノマー100%のものが最も好ましく、塩化ビニルモノマーに対し酢酸ビニルモノマー10重量%以下添加して共重合した塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂も使用することができ、また塩化ビニルモノマーと共重合する他のモノマー10重量%以下添加した共重合樹脂でも良い。塩化ビニルモノマー90重量%以下ではペーストゾル組成物の粘度の安定性が悪くなり好ましくない。塩化ビニル系ペースト樹脂の平均重合度は750以下では被膜強度が弱く、耐摩耗性が悪い。平均重合度が2,000以上では塩化ビニル系ペーストゾル組成物の加熱によるゲル化が遅く被覆糸の生産性が悪くなる。
平均重合度750〜2,000の塩化ビニル樹脂に平均重合度750以下の塩化ビニル樹脂を強度低下を起こさない程度約20%以下は添加しても良い。また平均重合度2,000以上の塩化ビニル樹脂をゲル化を遅くしない程度約20%添加しても良い。
【0014】
フタル酸エステル系可塑剤の例としては、ジノルマルアルキルフタレート、ジイソアルキルフタレート及び混基ジアルキルフタレート等の如きジアルキルフタレートが挙げられる。ジノルマルアルキルフタレートとしてはアルキル鎖長C4〜C12のものが好ましく、例えば、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジ−n−ラウリルフタレート及びジウンデシルフタレート等を例示することができる。また、ジイソアルキルフタレートとしてはアルキル鎖長C8〜C12のものが好ましく、例えば、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソデシルフタレート等を例示することができる。さらに、混基ジアルキルフタレートとしてはC7〜C9ジアルキルフタレート、C7〜C10アルキルフタレート、C7〜C11ジアルキルフタレート、C9〜C11ジアルキルフタレート等が列挙できる。これ等可塑剤の中でもジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、C7〜C9ジアルキルフタレート、C7〜C10ジアルキルフタレートが特に好ましい。
燐酸エステル系可塑剤の例としは、燐酸トリアリール系、燐酸トリアルキル系、アリールアルキル混合燐酸系、燐酸トリアリール系としてはトリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、燐酸トリアルキル系としてはトリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、アルキルアリール混合燐酸系としてはオクチルジフェニルホスフェート等を例示できる。
【0015】
本発明において可塑剤の総量は、塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に対して50〜90重量部で用いることが好ましい。可塑剤としては前記したフタル酸エステル系可塑剤、及び燐酸エステル系可塑剤の外に太陽光線による劣化防止に効果のなるエポキシ系可塑剤を若干添加することが好ましい。例えば、エポキシ化大豆油アデカ サイザ−O−130P。サンソザイザ−E−2000等を使用する。さらに他の可塑剤も若干量添加しても良い。但し太陽光線による劣化を促進する可塑剤を添加することは好ましくない。例えば塩素化パラフィンで塩素化度40〜70%の可塑剤は、総べてのものが変退色を促進するので好ましくない。
【0016】
本発明で使用する無機系難燃剤の例としては、三酸化アンチモン、水和硼酸亜鉛、水酸化アルミニウム、アンチモニーシリコ・オキシド等がある。またこれらの混合物であってもよく、好ましくは、三酸化アンチモンを含有するもので三酸化アンチモン単独、あるいは三酸化アンチモンを主体とする混合物がよい。
本発明でポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物には必要に応じて、適宜に種類及び量を選び、安定剤、安定化助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、希釈剤、増粘剤、ゲル化剤、防カビ剤、防藻剤、発泡剤などを併用することができる。
該マルチフィラメント合成繊維を該塩化ビニル系ペーストゾル組成物で被覆する場合サイジングノズルを通して行うが、該サイジングノズルの材料は、SUS、窒化鋼、セラミックス、亜鉛、鉄、ボラゾン、ダイヤモンド、超硬合金等である。さらにこれらにTiC、TiN、TiV等の硬質皮膜コーティングを行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に本発明の防炎メッシュシートの製造方法について説明する。本発明の防炎メッシュシートは前に説明したマルチフィラメント合成繊維を用い、該繊維を塩化ビニルペーストゾル組成物でサイジングノズルを通して被覆し加熱ゲル化した後被覆糸をワインダーで巻き取る。このワインダーに巻き取った被覆糸を織機にかけ製織する。該織物を加熱炉に導入し、加熱加工し織物の目詰加工を行い原反を得る。
該原反を所定の寸法に裁断して縫製、ハドメ加工を行い防汚性の防炎メッシュシートを得る。
本発明の防炎メッシュシートは、建設工事現場、土木工事現場で展張してまた張設して使用することができる。
以下、実施例を挙げて発明を詳細に説明する。
【0018】
【実施例】
実施例1
プラネタリヤーミキサー(容量25リットル、品川化工株式会社製)の中へ、表1に示すように、塩化ビニルペースト樹脂(平均重合度1,600)100重量部を投入し、次に該塩化ビニルペースト樹脂100重量部に対しジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)62重量部、トリクレジルホスフェート(TCP)8重量部、エポキシ系大豆油アデカ−O−130をP3重量部、Ca−Zn系液状安定剤3重量部、紫外線吸収剤チヌピン327を0.5重量部撹拌しながら約20分かけて徐々に添加する。さらに約20分間撹拌後、三酸化アンチモン(Sb2 O3 )22重量部、グレー顔料5重を撹拌しながら約10分かけて添加する。添加後、常温でさらに1時間撹拌した。次に減圧下5mmHgで約1時間真空脱泡を行い、粘度2,730cps (B型粘度計、ローターV−6、12rpm 、25℃)の塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該ペーストゾルをバスに入れ、次にトータル繊度1,750デニール、フィラメント本数384本、単糸繊度4.5デニール、引張強度8.5g/デニール、破断伸度21%のポリエステルマルチフィラメント繊維をガイドを通し、ピンチロールでピンチし、ガイドロールを通して該ゾルのバスを通過させ、サイジングノズル(0.8mmφ)をさらに通過させてマルチフィラメントを被覆した後ストランドを190℃の加熱炉で加熱し該ストランドをゲル化させ4,370デニールの被覆糸を製造した。該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は150/100であった。
次に該被覆糸をレピアヤー織機で、タテ糸52本/10cm、ヨコ糸52本/10cm間のメッシュ平織を50cm/min の速度で織った。次に、この織物を150℃の加熱炉を通し加熱し、タテ糸とヨコ糸の交点を熱融着させて本発明の防炎メッシュシートの原反を得た。さらに該原反を巾190cm、長さ520cmに裁断し、ミシンで縫製後、ハドメ加工をして、巾180cm、長さ510cmの防炎メッシュシートを得た。
該防炎メッシュシートについて性能を測定した結果を表1ないし表3に示す。
【0019】
実施例2
実施例1同様の塩化ビニルペーストゾル組成物を使用し、トータル繊度2,750デニール、フィラメント本数384本、単糸繊度7.2デニール、引張強度8.5g/デニール、破断伸度21%のポリエステルマルチフィラメント繊維を用い実施例1と同様に該ペーストゾルの入ったバスを通過させ、サイジングノズル(0.8mmφ)を通過させストランドを190℃の加熱炉で加熱ゲル化後、さらに該ペーストゾルの入ったバスを通過させ、サイジングノズル(0.9mmφ)を通過させ、再度ストランドを加熱炉で加熱しストランドをゲル化させ7,830デニールの被覆糸を製造した。該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は185/100であった。該被覆糸をタテ糸33本/10cm間、ヨコ糸33本/10cm間で実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同様に加熱処理を行って原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3に示す。
【0020】
実施例3
実施例1と同様で塩化ビニルペースト樹脂(平均重合度1,000)を用い、該樹脂100重量部に対してDOP47重量部、TCP20重量部、Sb2O310重量部添加しそれ以外実施例1と同様にして塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該ゾル組成物の粘度は4,380cps であった。該ゾル組成物を用いてトータル繊度1,430デニール、フィラメント本数420本、単糸繊度3.4デニール、引張強度9.3g/デニール、破断伸度25%のナイロン6マルチフィラメント繊維を実施例1と同様に被覆して被覆糸を得た。この場合サイジングノズルは穴径0.7m/mφのものを使用した。該被覆糸の繊度は3,340デニールであった。また該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は130/100であった。被覆糸をタテ糸本数64本/10cm間、ヨコ糸本数64本/10cm間でその他は実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同様に加熱処理を原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3の通りである。
【0021】
実施例4
実施例1においてDOP60重量部、燐酸エステル系可塑剤KH−650E(共同薬品株式会社製)12重量部、Sb2O325重量部添加しそれ以外実施例1と同様にしてペーストゾル粘度2,350cps の塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該ペーストゾル組成物を使用し、トータル繊度3,500デニール、フィラメント本数240本、単糸繊度14.6デニール、引張強度8.3g/デニール、破断伸度22%のポリエステルマルチフィラメント繊維を実施例2のサイジングノズルを1.2mmφとしバス通過後のサイジングノズルを1.1mmφとして処理して繊度12,250デニールの被覆糸を得た。該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は250/100であった。該被覆糸をタテ糸本数26本/10cm間、ヨコ糸本数26本/10cm間でその他は実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同様にして原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3の通りである。
【0022】
実施例5
実施例1においてSb2O312重量部にする以外実施例1と同様にして塩化ビニルペーストゾル組成物を製造した。該ペーストゾル組成物の粘度2,410cps であった。該ペーストゾル組成物を使用してトータル繊度3,000デニール、マルチフィラメント本数384本、単糸繊度7.8デニール、引張強度8.5g/デニール、破断伸度18%のポリエステルマルチフィラメント繊維をサイジングノズルを0.9mmφとした他は実施例1と同様に被覆して被覆糸を得た。該被覆糸の繊度は7,460デニールであった。また該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は140/100であった。該被覆糸をタテ糸本数33本/10cm間、ヨコ糸本数33本/10cm間でその他は実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同様に加熱処理して原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3の通りである。
【0023】
実施例6
実施例1においてDOP70重量部、TCP3重量部、Sb2O325重量部、水酸化アルミニウム(Al(OH3)10重量部を添加しそれ以外実施例1と同様にして塩化ビニルペーストゾル組成物を製造した。該ペーストゾル組成物の粘度は3,260cps であった。該ペーストゾル組成物を使用してトータル繊度1,500デニール、フィラメント本数240本、単糸繊度6.3デニール、引張強度8.5g/デニール、破断伸度22%のポリエステルマルチフィラメント繊維を実施例1のサイジングノズルを使用した他は実施例2と同様に被覆して被覆糸を得た。該被覆糸の繊度は4,520デニールであった。また該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は200/100であった。該被覆糸をタテ糸本数64本/10cm間、ヨコ糸本数64本/10cm間でその他は実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同様にして原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3の通りである。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
比較例1
実施例1において可塑剤DOP40重量部、TCP20重量部にし、塩化パラフィン(Cl 40%)、エンパラ 40(株式会社味の素製)15重量部を添加し、それ以外は実施例1と同様にしてペーストゾル粘度2,650cps の塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該ペーストゾル組成物を使用して実施例1と同様にして防炎メッシュシートを製造した。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0028】
比較例2
実施例1において可塑剤DOP30重量部、TCP35重量部にし、塩化パラフィン(Cl 45%)、アデカ・サイザ−E−450(アデカ・アーガス社製)8重量部を添加し、それ以外は実施例1と同様にしてペーストゾル粘度2,550cps の塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該ペーストゾル組成物を使用して実施例1と同様にして防炎メッシュシートを製造した。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0029】
比較例3
実施例2において、ポリエステルマルチフィラメント繊維でトータル繊度2,750デニールでフィラメント本数140本、単糸繊度19.6デニール、引張強度8.5g /デニール、破断伸度21%の繊維を使用する以外は実施例2と同様にして防炎メッシュシートを得た。防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0030】
比較例4
実施例1において、ポリエステルマルチフィラメント繊維でトータル繊度1,750デニールでフィラメント本数384本、単糸繊度4.5デニール、引張強度5.7g /デニール、破断伸度24%の繊維を使用する以外は実施例1と同様にして防炎メッシュシートを得た。防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0031】
比較例5
実施例1において、ポリエステルマルチフィラメント繊維でフィラメント本数384本、単糸繊度4.5デニール、引張強度8.6g /デニール、破断伸度12%の繊維を使用する以外は実施例1と同様にして防炎メッシュシートを得た。防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0032】
比較例6
実施例1において、ナイロン6マルチフィラメント繊維でトータル繊度860デニール、フィラメント本数120本、単糸繊度7.2デニール、引張強度9.3g /デニール、破断伸度24%の繊維を使用し実施例1と同様にして被覆糸を得た。該被覆糸を使用しタテ糸本数64本/10cm間、ヨコ糸本数64本/10cm間にして織物を織る以外は実施例1と同様にして防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
諸性能のテスト方法及びその評価は次の方法で行った。
(1) 繊維の引張強力、破断伸度
JIS L−1017に準じて測定
(2) 防炎メッシュシートの引張強力、破断伸度
JIS L−1068に準じて測定
(3) 落下衝撃強度(貫通通性試験)
JIS A−8952に準じて測定
(4) 難燃性試験
JIS L−1091に準じて測定
A−2法(45°メッケルバーナー法)
(5) 耐候性
1) 促進耐候性試験
▲1▼ 引張強力試験
A. 促進試験
B. 引張強力試験 JIS L−1068に準じて測定
▲2▼ 変退色試験
A. 促進試験
▲1▼A.項と同一条件で実施
B. 変退色評価方法 JIS L−0804に準じて測定
2) 暴露試験
▲1▼ 落下衝撃試験体の暴露、JIS Z−2381に準じて実施
仮設用足場材パイプを組立て南面に垂直に暴露した。
▲2▼ 引張強力試験片の暴露
JIS Z−2381に準じて実施
但し直接暴露試験による。
▲3▼ 変退色試験片の暴露
JIS Z−2381に準じて実施
但し直接暴露試験による。
0.5年、1年、3年各暴露後、洗剤トミグリーン(花王石ケン株式会社製)0.4水液に3時間浸漬後直ちにスポンジタワシで10回洗浄して汚れを落とし変退色を測定後、同場所に戻し暴露した。
▲4▼ 引張強力試験 JIS L−1068に準じて測定
▲5▼ 変退色評価方法
保存用試料と比較して、色の変化の程度により区分した。
区分
5 僅かにあり
4 ややあり
3 あり
2 相当大きい
1 非常に大きい
▲6▼ 難燃性試験 JIS 1091 A2により測定
▲7▼ 接炎試験 JIS 1091 Dにより測定
(6) 塩化ビニルペーストゾル粘度の測定法
B型粘度計、ローターV6、回転数12rpm 、測定温度25℃
【0037】
【発明の効果】
本発明の防炎メッシュシートは経時的な強度の低下、変退色がなく、難燃性も優れており、落下衝撃強度も良好である。
【発明の属する技術分野】
本発明は長期間屋外で使用される建築工事現場、土木工事現場で使用される防炎メッシュシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築業界において建物が益々高層化の傾向にあり、その場合に安全保護用として防災シート及び防炎メッシュシートの展張が義務づけられ、規制も一段と厳しくなってきている。
現在、使用されている防炎メッシュシートは、天然繊維やナイロンまたはポリエステル等合成繊維を製織加工した原織物を塩化ビニル系ペースト樹脂組成物で被覆し所望形状に加工されたものである。
防炎メッシュシートは性能として引張強度、落下衝撃強度、防炎性、耐候性(変退色)、防汚性、風荷重、寸法安定性等が良好なものが求められている。
従来、芯糸を発泡剤含有の塩化ビニル系ペースト樹脂ゾル(プラスチゾル)で被覆した被覆糸で網状構造物を構成し、これを該被覆糸が偏平化される条件下に、該糸の交叉する部分が融着し且つ発泡剤が発泡する温度で加熱処理して、自己保持性を有する網状構造物を得る技術は知られている(例えば、米国特許第4144371号)。しかしながら、この提案においては、難燃性の賦付に関しては全く言及されていなく、且つまた該プラスチゾルに用いる可塑剤についても具体的な開示はなされていない。その可塑化樹脂の難燃性向上のために、塩素化パラフィン、リン系有機化合物及び三酸化アンチモンを併用することが、特公昭52−41786号及び特公昭53−18065号に先行技術として紹介されている。
【0003】
最近特に建設工事現場の環境面の向上、美観の向上が求められている。そのため防炎メッシュシートの色の種類が多くなり建設工事現場は種々の色の防炎メッシュシートが展張されカラフルになった半面耐候劣化により色が変退色すると
初期の色合いと異なったものになり、汚れたきたない色調になって環境に悪影響を与えることが問題となっている。さらに防炎メッシュシートは建設工事現場で使用後、洗濯し汚れを除去して繰返し使用するが、再使用の場合、新品のメッシュシートと一緒に同一現場で展張される場合が多くある。その場合、新品の色と洗濯品の色が違い、色むらを起こし建設工事現場の美観を損ねる問題が生じその改善が求められている。
しかしながらこれ等の環境上の問題とともに防炎メッシュシートの難燃性向上効果もまだ充分ではない。
また、可塑剤としてフタル酸エステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、含ハロゲン系可塑剤の三成分からなる可塑剤を使用することが、特公昭61−9430号公報で提案されている。このメッシュシートは優れた効果があり広く使用されているが、最近の色の変退色の問題からみると、含ハロゲン系可塑剤は光等による劣化が速く、色の変退色及び強度特に落下衝撃強度の低下が大きい。
本発明者の研究により含ハロゲン系可塑剤は出来るだけ使用量が少ない方が好ましく、全く使用しない方がよいことがわかった。燐酸エステル系可塑剤も使用量が少ない方が望ましい。含ハロゲン系可塑剤は変退色の問題だけでなく、これを多く使用すると防炎メッシュシートの表面にベタツキが生じ建設工事現場での使用時に汚れがつきやすく、洗濯しても汚れがとれにくい欠点がある。従って防汚性からも含ハロゲン系可塑剤の使用量が少ない方が好ましい。
さらに、高強力で落下衝撃強度が大きくかつ長期に渡って、落下衝撃強度の低下が小さいものが安全面から強く求められている。しかし従来の技術では、これらの問題点を解決することが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、太陽光線等による劣化が少なく色の変退色が小さく、強度、特に落下衝撃強度の低下が小さく、防汚性の優れた防炎メッシュシートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
「1. マルチフィラメントをポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物で被覆し、ゲル化処理した被覆糸を用いて製織し、加工した防炎メッシュシートにおいて、
a.マルチフィラメント繊維は、
単糸繊度3〜17デニールであって、トータル繊度1000〜4500デニールであり、引張強度が6.5〜105g/デニールで破断伸度14〜45%である合成繊維であり、
b.ポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物は、
ポリ塩化ビニール系ペーストゾル 100重量部
フタル酸エステル系可塑剤 30〜85重量部
燐酸エステル系可塑剤 3〜30重量部
無機難燃化剤 5〜45重量部
を含有しているペーストゾル組成物であり、
c.マルチフィラメント繊維とポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物の重量割合がマルチフィラメント繊維100重量部に対してポリ塩化ビニール系ペーストゾル110〜350重量部である、
ことを特徴とする防炎メッシュシート。
2. マルチフィラメント繊維がポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維から選んだ繊維である、1項に記載された防炎メッシュシート。
3. ポリ塩化ビニール系ペースト樹脂は塩化ビニール含有量が90%以上で平均重合度が750〜2000の樹脂である、1項または2項に記載された防炎メッシュシート。
4. 可塑剤がエポキシ系可塑剤を可塑剤100重量部に対し1重量部〜8重量部添加した可塑剤である、1項ないし3項のいずれか1項に記載された防炎メッシュシート。
5. 可塑剤がハロゲンを含有する可塑剤を含まない可塑剤である、1項ないし4項のいずれか1項に記載された防炎メッシュシート。
6. 製織した防炎メッシュシートの加工が加熱加工である、1項ないし5項のいずれか1項に記載された防炎メッシュシート。」
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するマルチフィラメントは、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビニロンから選んだ1または2以上のマルチフィラメントである。強度、熱収縮の点からポリエステル繊維が好ましい。
【0007】
マルチフィラメント繊維の引張強度は6.5〜10.5g /デニールとすることにより、防炎メッシュシートの高強力、軽量化を可能とし、破断伸度を14〜40%にすることにより防炎メッシュシートを高タフネスにし、落下時の衝撃エネルギーの吸収性を良好になし得る。
マルチフィラメントの単糸繊度は3〜17デニールで、好ましくは3〜12デニール、特に好ましくは4〜9デニールであり、トータル繊度は1000〜4500デニールで、好ましくは1260〜3500デニール、特に好ましくは2450〜3000デニールである。
【0008】
マルチフィラメント繊維をポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物で被覆するにはサイジングノズルを通過させて被覆するが、この際、単糸繊度が3デニール以下では単糸が毛羽立ちし、被覆むらが起き被覆糸に凹凸が生じ平滑なコート糸が得られない。またサイジングノズルに毛羽立ちした糸くずが詰まり、被覆ができなくなることが起きる。単糸繊度が17デニール以上では引張強度が十分にあるにもかかわらず最も重要な落下衝撃強度が小さくなり、引張強度に相関した落下衝撃強度の大きいものが得難い。さらに17デニール以上ではこのマルチフィラメントの被覆糸で製織、加工した防炎メッシュシートは風合いが硬くなり、取扱性が悪くなる。
【0009】
トータル繊度が1,000デニール以下では落下衝撃強度の大きいものが得難い。落下衝撃強度を上げるため糸本数を増すと防炎メッシュシートの目合が細くなり、風通しが悪くなるので風荷重が大きくなり好ましくない。トータル繊度が4,500デニール以上では、該被覆糸で製織、加工した防炎メッシュシートは重量が大きくなり、展張時の取扱性が悪くなり好ましくない。
このように単糸繊度3〜17デニール、トータル繊度1000〜4500デニールで、好ましくは1260〜3500デニール、特に好ましくは2450〜3000デニール、あることが防炎メッシュシートにおいて重要である。
そして引張強度6.5〜10.5g/デニールで破断伸度14〜45%であることが落下衝撃に耐えるため必要である。
【0010】
強度が6.5g/デニール以下では防炎メッシュシートの強度が小さくなり、落下衝撃強度の大きいものが得られず問題が発生する。10.5g/デニール以上となると繊維の破断伸度が小さくなり、防炎メッシュシートの落下衝撃強度が小さくなる。
したがって強度は6.5g〜10.5g/デニールである必要がある。
また破断伸度が14%以下ではタフネスが小さくなり、落下衝撃強度の大きいものが得られない。45%以上ではクリープによる寸法変化が大きくなり、防炎メッシュシートを長期間に渡って使用することが困難となる。
したがって破断伸度が14〜45%であることが防炎メッシュシートには必要である。
【0011】
塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に対するフタル酸エステル系可塑剤の添加量は30〜85重量部である。好ましくは50〜80重量部、特に好ましくは61〜80重量部である。添加量が30重量部以下ではペーストゾル組成物の粘度が高くなりマルチフィラメント繊維を均一に被覆することが困難になり、均一な被覆層を有する被覆糸が得難くなる。また85重量部以上では被覆層が柔らかくなり、建設工事現場で展張すると汚れがつきやすくなり、その結果色の変色が生じやすくなる。さらに耐摩耗性が悪くなり部分的に剥離が生じ長期の使用に耐えないものになる。
【0012】
燐酸エステル系可塑剤の添加量は3〜30重量部、好ましくは4〜20重量部、特に好ましくは4〜14重量部である。添加量が3重量部以下では難燃効果が小さく、30重量部以上では太陽光線等による変退色を促進するようになり好ましくない。
無機系難燃剤の添加量は5〜45重量部、好ましくは、10〜40重量部、特に好ましくは20〜35重量部である。添加量が5重量部以下では難燃効果が小さく、添加量が45重量部以上ではポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物の比重が大となり、該ペーストゾル組成物でマルチフィラメント繊維を被覆した場合被覆したストランドにタレが生じ被覆糸の表面に凹凸が生じやすく、平滑な表面の被覆糸が得られなくなる。該被覆糸を用い織機で防炎メッシュシートの原反を織る場合被覆糸の表面に凹凸があると摩擦抵抗が大きいため糸切れが生じ織機が停り目合にむらを生じ品質の良い原反が織れなくなる。
【0013】
マルチフィラメント合成繊維に対するポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物の重量割合は、マルチフィラメント合成繊維100重量部に対してポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物が110重量部以下では被覆にむらが生じマルチフィラメント合成繊維の地肌が露出する部分ができて均一被覆ができない。さらに防炎性も低下する。350重量部以上では防炎メッシュシートの重量が重くなり取扱性が悪くなり好ましくない。
本発明に使用する塩化ビニル系ペースト樹脂は塩化ビニルモノマー100%のものが最も好ましく、塩化ビニルモノマーに対し酢酸ビニルモノマー10重量%以下添加して共重合した塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂も使用することができ、また塩化ビニルモノマーと共重合する他のモノマー10重量%以下添加した共重合樹脂でも良い。塩化ビニルモノマー90重量%以下ではペーストゾル組成物の粘度の安定性が悪くなり好ましくない。塩化ビニル系ペースト樹脂の平均重合度は750以下では被膜強度が弱く、耐摩耗性が悪い。平均重合度が2,000以上では塩化ビニル系ペーストゾル組成物の加熱によるゲル化が遅く被覆糸の生産性が悪くなる。
平均重合度750〜2,000の塩化ビニル樹脂に平均重合度750以下の塩化ビニル樹脂を強度低下を起こさない程度約20%以下は添加しても良い。また平均重合度2,000以上の塩化ビニル樹脂をゲル化を遅くしない程度約20%添加しても良い。
【0014】
フタル酸エステル系可塑剤の例としては、ジノルマルアルキルフタレート、ジイソアルキルフタレート及び混基ジアルキルフタレート等の如きジアルキルフタレートが挙げられる。ジノルマルアルキルフタレートとしてはアルキル鎖長C4〜C12のものが好ましく、例えば、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジ−n−ラウリルフタレート及びジウンデシルフタレート等を例示することができる。また、ジイソアルキルフタレートとしてはアルキル鎖長C8〜C12のものが好ましく、例えば、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソデシルフタレート等を例示することができる。さらに、混基ジアルキルフタレートとしてはC7〜C9ジアルキルフタレート、C7〜C10アルキルフタレート、C7〜C11ジアルキルフタレート、C9〜C11ジアルキルフタレート等が列挙できる。これ等可塑剤の中でもジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、C7〜C9ジアルキルフタレート、C7〜C10ジアルキルフタレートが特に好ましい。
燐酸エステル系可塑剤の例としは、燐酸トリアリール系、燐酸トリアルキル系、アリールアルキル混合燐酸系、燐酸トリアリール系としてはトリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、燐酸トリアルキル系としてはトリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、アルキルアリール混合燐酸系としてはオクチルジフェニルホスフェート等を例示できる。
【0015】
本発明において可塑剤の総量は、塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に対して50〜90重量部で用いることが好ましい。可塑剤としては前記したフタル酸エステル系可塑剤、及び燐酸エステル系可塑剤の外に太陽光線による劣化防止に効果のなるエポキシ系可塑剤を若干添加することが好ましい。例えば、エポキシ化大豆油アデカ サイザ−O−130P。サンソザイザ−E−2000等を使用する。さらに他の可塑剤も若干量添加しても良い。但し太陽光線による劣化を促進する可塑剤を添加することは好ましくない。例えば塩素化パラフィンで塩素化度40〜70%の可塑剤は、総べてのものが変退色を促進するので好ましくない。
【0016】
本発明で使用する無機系難燃剤の例としては、三酸化アンチモン、水和硼酸亜鉛、水酸化アルミニウム、アンチモニーシリコ・オキシド等がある。またこれらの混合物であってもよく、好ましくは、三酸化アンチモンを含有するもので三酸化アンチモン単独、あるいは三酸化アンチモンを主体とする混合物がよい。
本発明でポリ塩化ビニル系ペーストゾル組成物には必要に応じて、適宜に種類及び量を選び、安定剤、安定化助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、希釈剤、増粘剤、ゲル化剤、防カビ剤、防藻剤、発泡剤などを併用することができる。
該マルチフィラメント合成繊維を該塩化ビニル系ペーストゾル組成物で被覆する場合サイジングノズルを通して行うが、該サイジングノズルの材料は、SUS、窒化鋼、セラミックス、亜鉛、鉄、ボラゾン、ダイヤモンド、超硬合金等である。さらにこれらにTiC、TiN、TiV等の硬質皮膜コーティングを行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に本発明の防炎メッシュシートの製造方法について説明する。本発明の防炎メッシュシートは前に説明したマルチフィラメント合成繊維を用い、該繊維を塩化ビニルペーストゾル組成物でサイジングノズルを通して被覆し加熱ゲル化した後被覆糸をワインダーで巻き取る。このワインダーに巻き取った被覆糸を織機にかけ製織する。該織物を加熱炉に導入し、加熱加工し織物の目詰加工を行い原反を得る。
該原反を所定の寸法に裁断して縫製、ハドメ加工を行い防汚性の防炎メッシュシートを得る。
本発明の防炎メッシュシートは、建設工事現場、土木工事現場で展張してまた張設して使用することができる。
以下、実施例を挙げて発明を詳細に説明する。
【0018】
【実施例】
実施例1
プラネタリヤーミキサー(容量25リットル、品川化工株式会社製)の中へ、表1に示すように、塩化ビニルペースト樹脂(平均重合度1,600)100重量部を投入し、次に該塩化ビニルペースト樹脂100重量部に対しジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)62重量部、トリクレジルホスフェート(TCP)8重量部、エポキシ系大豆油アデカ−O−130をP3重量部、Ca−Zn系液状安定剤3重量部、紫外線吸収剤チヌピン327を0.5重量部撹拌しながら約20分かけて徐々に添加する。さらに約20分間撹拌後、三酸化アンチモン(Sb2 O3 )22重量部、グレー顔料5重を撹拌しながら約10分かけて添加する。添加後、常温でさらに1時間撹拌した。次に減圧下5mmHgで約1時間真空脱泡を行い、粘度2,730cps (B型粘度計、ローターV−6、12rpm 、25℃)の塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該ペーストゾルをバスに入れ、次にトータル繊度1,750デニール、フィラメント本数384本、単糸繊度4.5デニール、引張強度8.5g/デニール、破断伸度21%のポリエステルマルチフィラメント繊維をガイドを通し、ピンチロールでピンチし、ガイドロールを通して該ゾルのバスを通過させ、サイジングノズル(0.8mmφ)をさらに通過させてマルチフィラメントを被覆した後ストランドを190℃の加熱炉で加熱し該ストランドをゲル化させ4,370デニールの被覆糸を製造した。該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は150/100であった。
次に該被覆糸をレピアヤー織機で、タテ糸52本/10cm、ヨコ糸52本/10cm間のメッシュ平織を50cm/min の速度で織った。次に、この織物を150℃の加熱炉を通し加熱し、タテ糸とヨコ糸の交点を熱融着させて本発明の防炎メッシュシートの原反を得た。さらに該原反を巾190cm、長さ520cmに裁断し、ミシンで縫製後、ハドメ加工をして、巾180cm、長さ510cmの防炎メッシュシートを得た。
該防炎メッシュシートについて性能を測定した結果を表1ないし表3に示す。
【0019】
実施例2
実施例1同様の塩化ビニルペーストゾル組成物を使用し、トータル繊度2,750デニール、フィラメント本数384本、単糸繊度7.2デニール、引張強度8.5g/デニール、破断伸度21%のポリエステルマルチフィラメント繊維を用い実施例1と同様に該ペーストゾルの入ったバスを通過させ、サイジングノズル(0.8mmφ)を通過させストランドを190℃の加熱炉で加熱ゲル化後、さらに該ペーストゾルの入ったバスを通過させ、サイジングノズル(0.9mmφ)を通過させ、再度ストランドを加熱炉で加熱しストランドをゲル化させ7,830デニールの被覆糸を製造した。該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は185/100であった。該被覆糸をタテ糸33本/10cm間、ヨコ糸33本/10cm間で実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同様に加熱処理を行って原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3に示す。
【0020】
実施例3
実施例1と同様で塩化ビニルペースト樹脂(平均重合度1,000)を用い、該樹脂100重量部に対してDOP47重量部、TCP20重量部、Sb2O310重量部添加しそれ以外実施例1と同様にして塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該ゾル組成物の粘度は4,380cps であった。該ゾル組成物を用いてトータル繊度1,430デニール、フィラメント本数420本、単糸繊度3.4デニール、引張強度9.3g/デニール、破断伸度25%のナイロン6マルチフィラメント繊維を実施例1と同様に被覆して被覆糸を得た。この場合サイジングノズルは穴径0.7m/mφのものを使用した。該被覆糸の繊度は3,340デニールであった。また該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は130/100であった。被覆糸をタテ糸本数64本/10cm間、ヨコ糸本数64本/10cm間でその他は実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同様に加熱処理を原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3の通りである。
【0021】
実施例4
実施例1においてDOP60重量部、燐酸エステル系可塑剤KH−650E(共同薬品株式会社製)12重量部、Sb2O325重量部添加しそれ以外実施例1と同様にしてペーストゾル粘度2,350cps の塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該ペーストゾル組成物を使用し、トータル繊度3,500デニール、フィラメント本数240本、単糸繊度14.6デニール、引張強度8.3g/デニール、破断伸度22%のポリエステルマルチフィラメント繊維を実施例2のサイジングノズルを1.2mmφとしバス通過後のサイジングノズルを1.1mmφとして処理して繊度12,250デニールの被覆糸を得た。該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は250/100であった。該被覆糸をタテ糸本数26本/10cm間、ヨコ糸本数26本/10cm間でその他は実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同様にして原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3の通りである。
【0022】
実施例5
実施例1においてSb2O312重量部にする以外実施例1と同様にして塩化ビニルペーストゾル組成物を製造した。該ペーストゾル組成物の粘度2,410cps であった。該ペーストゾル組成物を使用してトータル繊度3,000デニール、マルチフィラメント本数384本、単糸繊度7.8デニール、引張強度8.5g/デニール、破断伸度18%のポリエステルマルチフィラメント繊維をサイジングノズルを0.9mmφとした他は実施例1と同様に被覆して被覆糸を得た。該被覆糸の繊度は7,460デニールであった。また該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は140/100であった。該被覆糸をタテ糸本数33本/10cm間、ヨコ糸本数33本/10cm間でその他は実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同様に加熱処理して原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3の通りである。
【0023】
実施例6
実施例1においてDOP70重量部、TCP3重量部、Sb2O325重量部、水酸化アルミニウム(Al(OH3)10重量部を添加しそれ以外実施例1と同様にして塩化ビニルペーストゾル組成物を製造した。該ペーストゾル組成物の粘度は3,260cps であった。該ペーストゾル組成物を使用してトータル繊度1,500デニール、フィラメント本数240本、単糸繊度6.3デニール、引張強度8.5g/デニール、破断伸度22%のポリエステルマルチフィラメント繊維を実施例1のサイジングノズルを使用した他は実施例2と同様に被覆して被覆糸を得た。該被覆糸の繊度は4,520デニールであった。また該被覆糸の塩化ビニルペーストゾル組成物とマルチフィラメント繊維の重量比は200/100であった。該被覆糸をタテ糸本数64本/10cm間、ヨコ糸本数64本/10cm間でその他は実施例1と同様にして織物を織った。次に実施例1と同様にして原反を得た。さらに実施例1と同様に縫製加工を行って防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表1ないし表3の通りである。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
比較例1
実施例1において可塑剤DOP40重量部、TCP20重量部にし、塩化パラフィン(Cl 40%)、エンパラ 40(株式会社味の素製)15重量部を添加し、それ以外は実施例1と同様にしてペーストゾル粘度2,650cps の塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該ペーストゾル組成物を使用して実施例1と同様にして防炎メッシュシートを製造した。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0028】
比較例2
実施例1において可塑剤DOP30重量部、TCP35重量部にし、塩化パラフィン(Cl 45%)、アデカ・サイザ−E−450(アデカ・アーガス社製)8重量部を添加し、それ以外は実施例1と同様にしてペーストゾル粘度2,550cps の塩化ビニルペーストゾル組成物を得た。該ペーストゾル組成物を使用して実施例1と同様にして防炎メッシュシートを製造した。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0029】
比較例3
実施例2において、ポリエステルマルチフィラメント繊維でトータル繊度2,750デニールでフィラメント本数140本、単糸繊度19.6デニール、引張強度8.5g /デニール、破断伸度21%の繊維を使用する以外は実施例2と同様にして防炎メッシュシートを得た。防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0030】
比較例4
実施例1において、ポリエステルマルチフィラメント繊維でトータル繊度1,750デニールでフィラメント本数384本、単糸繊度4.5デニール、引張強度5.7g /デニール、破断伸度24%の繊維を使用する以外は実施例1と同様にして防炎メッシュシートを得た。防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0031】
比較例5
実施例1において、ポリエステルマルチフィラメント繊維でフィラメント本数384本、単糸繊度4.5デニール、引張強度8.6g /デニール、破断伸度12%の繊維を使用する以外は実施例1と同様にして防炎メッシュシートを得た。防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0032】
比較例6
実施例1において、ナイロン6マルチフィラメント繊維でトータル繊度860デニール、フィラメント本数120本、単糸繊度7.2デニール、引張強度9.3g /デニール、破断伸度24%の繊維を使用し実施例1と同様にして被覆糸を得た。該被覆糸を使用しタテ糸本数64本/10cm間、ヨコ糸本数64本/10cm間にして織物を織る以外は実施例1と同様にして防炎メッシュシートを得た。該防炎メッシュシートの性能を測定した結果は表4ないし表6に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
諸性能のテスト方法及びその評価は次の方法で行った。
(1) 繊維の引張強力、破断伸度
JIS L−1017に準じて測定
(2) 防炎メッシュシートの引張強力、破断伸度
JIS L−1068に準じて測定
(3) 落下衝撃強度(貫通通性試験)
JIS A−8952に準じて測定
(4) 難燃性試験
JIS L−1091に準じて測定
A−2法(45°メッケルバーナー法)
(5) 耐候性
1) 促進耐候性試験
▲1▼ 引張強力試験
A. 促進試験
B. 引張強力試験 JIS L−1068に準じて測定
▲2▼ 変退色試験
A. 促進試験
▲1▼A.項と同一条件で実施
B. 変退色評価方法 JIS L−0804に準じて測定
2) 暴露試験
▲1▼ 落下衝撃試験体の暴露、JIS Z−2381に準じて実施
仮設用足場材パイプを組立て南面に垂直に暴露した。
▲2▼ 引張強力試験片の暴露
JIS Z−2381に準じて実施
但し直接暴露試験による。
▲3▼ 変退色試験片の暴露
JIS Z−2381に準じて実施
但し直接暴露試験による。
0.5年、1年、3年各暴露後、洗剤トミグリーン(花王石ケン株式会社製)0.4水液に3時間浸漬後直ちにスポンジタワシで10回洗浄して汚れを落とし変退色を測定後、同場所に戻し暴露した。
▲4▼ 引張強力試験 JIS L−1068に準じて測定
▲5▼ 変退色評価方法
保存用試料と比較して、色の変化の程度により区分した。
区分
5 僅かにあり
4 ややあり
3 あり
2 相当大きい
1 非常に大きい
▲6▼ 難燃性試験 JIS 1091 A2により測定
▲7▼ 接炎試験 JIS 1091 Dにより測定
(6) 塩化ビニルペーストゾル粘度の測定法
B型粘度計、ローターV6、回転数12rpm 、測定温度25℃
【0037】
【発明の効果】
本発明の防炎メッシュシートは経時的な強度の低下、変退色がなく、難燃性も優れており、落下衝撃強度も良好である。
Claims (6)
- マルチフィラメントをポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物で被覆し、ゲル化処理した被覆糸を用いて製織し、加工した防炎メッシュシートにおいて、
a.マルチフィラメント繊維は、
単糸繊度3〜17デニールであって、トータル繊度1000〜4500デニールであり、引張強度が6.5〜105g/デニールで破断伸度14〜45%である合成繊維であり、
b.ポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物は、
ポリ塩化ビニール系ペーストゾル 100重量部
フタル酸エステル系可塑剤 30〜85重量部
燐酸エステル系可塑剤 3〜30重量部
無機難燃化剤 5〜45重量部
を含有しているペーストゾル組成物であり、
c.マルチフィラメント繊維とポリ塩化ビニール系ペーストゾル組成物の重量割合がマルチフィラメント繊維100重量部に対してポリ塩化ビニール系ペーストゾル110〜350重量部である、
ことを特徴とする防炎メッシュシート。 - マルチフィラメント繊維がポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維から選んだ繊維である、請求項1に記載された防炎メッシュシート。
- ポリ塩化ビニール系ペースト樹脂は塩化ビニール含有量が90%以上で平均重合度が750〜2000の樹脂である、請求項1または2に記載された防炎メッシュシート。
- 可塑剤がエポキシ系可塑剤を可塑剤100重量部に対し1重量部〜8重量部添加した可塑剤である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された防炎メッシュシート。
- 可塑剤がハロゲンを含有する可塑剤を含まない可塑剤である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された防炎メッシュシート。
- 製織した防炎メッシュシートの加工が加熱加工である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載された防炎メッシュシート。
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