JPH09310009A - 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法

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JPH09310009A
JPH09310009A JP12708196A JP12708196A JPH09310009A JP H09310009 A JPH09310009 A JP H09310009A JP 12708196 A JP12708196 A JP 12708196A JP 12708196 A JP12708196 A JP 12708196A JP H09310009 A JPH09310009 A JP H09310009A
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unsaturated polyester
polyester resin
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resin composition
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JP12708196A
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Makoto Yamaguchi
真 山口
Takeshi Muranaka
健 村中
Koji Matsumoto
晃治 松本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形前の作業性に優れ、かつ低圧下で圧縮成
形した場合でも流動性に優れており、良好な外観特性及
び耐熱水性を示す成形品を得ることを可能とする不飽和
ポリエステル樹脂成形材料を得る。 【解決手段】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に
対して、下記化合物(1)0.1〜20重量部、及び平
均粒径0.1〜100μmの無機充填材50〜350重
量部を含有させ、該組成物に強化繊維を加えて強化繊維
含有量を2〜50重量%とした組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物及びこの組成物を用いた不飽和ポリエステ
ル樹脂成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂に充填剤、硬化
剤、離型剤、顔料、増粘剤等を加えた樹脂組成物をガラ
ス繊維等の強化用繊維物質に含浸し、シート状あるいは
バルク状に形成した不飽和ポリエステル樹脂成形材料
は、シートモールディング・コンパウンド(SMC)、
バルクモールディング・コンパウンド(BMC)などと
呼ばれ、主に圧縮成形されて、住宅設備、工業部品、自
動車部品等に広く用いられている。
【0003】これらの成形材料は、加熱下、圧縮成形さ
れることが多く、従来、圧縮成形温度は120〜160
℃程度、圧縮成形圧力は80〜100kg/cm2 程度
の高圧で成形されていた。しかし、圧縮成形法におい
て、適用製品を拡大(大型化、多品種化)しようとする
と、大型成形機の確保、高額な金型投資等のために、費
用負担が非常に大きくなるという問題があった。従っ
て、より低圧で圧縮成形できれば、上記費用を低減する
ことができ、さらに、好ましくは、より低温かつ低圧で
圧縮成形できれば、上記費用負担、特に型に要する費用
を低減することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低圧で
圧縮成形しようとすると、欠肉したり、巣やピンホール
が成形品表面に生じたりし易くなる。巣やピンホール
は、成形品の外観を損なう上に力学特性や耐久性にも悪
影響を及ぼす。
【0005】そこで、特公昭60−16471号公報に
開示されているように、低圧下における成形材料の流動
性を高めて上記欠点を解消するために、増粘剤として、
水酸化カルシウムを用い、成形時の成形材料の粘度を従
来より低くする試みがなされている。しかしながら、こ
の方法では、巣やピンホールの発生は十分には防止され
ず、また、成形材料にべたつきがあるため、成形材料を
覆うポリエチレンフィルム等の剥離フィルムの剥離性や
カッティング等の作業性が低下する欠点があった。
【0006】また、市販されている粘度低下剤(例え
ば、竹本油脂社製、スーパーダインV−203:ポリエ
チレングリコールフェニルエーテル系化合物)を添加す
る方法も考えられるが、増粘後の粘度を低下させやす
く、作業性が低下する。また、得られた成形品は、熱水
浸漬された後に、変色しやすくなるため、SMCの大き
な用途分野である水まわり製品への適用が不可能とな
る。
【0007】本発明の目的は、成形前の取扱いに際して
の作業性に優れ、かつ低圧下の圧縮成形時においても流
動性に優れており、良好な外観特性を有しかつ耐熱水性
に優れた不飽和ポリエステル樹脂成形品を容易に得るこ
とを可能とする、不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不
飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して、下
記の化学式で表される化合物(1)を0.1〜20重量
部及び平均粒径0.1〜100μmの無機充填材を50
〜350重量部含有する組成物に強化繊維を加え、強化
繊維の含有量を2〜50重量%としたことを特徴とする
不飽和ポリエステル樹脂組成物である。
【0009】
【化2】
【0010】請求項2に記載の発明は、上記請求項1に
記載の発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物を用い
た不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法に関し、請
求項1に記載の発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
を、成形圧力2〜30kg/cm2 で圧縮成形すること
を特徴とする。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
に記載の発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物を、
成形温度60〜120℃、成形圧力2〜30kg/cm
2 で圧縮成形することを特徴とする。
【0012】以下、請求項1〜3に記載の発明の詳細を
説明する。なお、請求項1〜3に記載の発明に共通の説
明については、「本発明」として説明する。本発明にお
ける不飽和ポリエステル樹脂組成物は、請求項1に記載
の組成を有するものであるが、通常、さらに、適宜の硬
化剤、離型剤、増粘剤、顔料等を含む。すなわち、必須
成分として、不飽和ポリエステル樹脂と、上記化合物
(1)と、無機充填材と、強化繊維とを含み、他の任意
成分として、通常、硬化剤、離型剤、増粘剤、顔料等を
含む。これらを混合した材料は、ポリエチレンフィルム
等の離型フィルムで覆われて熟成されることにより、増
粘し、半固体状の成形材料とされる。
【0013】また、上記不飽和ポリエステル樹脂組成物
よりなる成形材料は、目的に応じて、シート状またはバ
ルク状に形成される。本発明において用いられる不飽和
ポリエステル樹脂とは、不飽和二塩基酸と、グリコール
と、必要に応じて飽和二塩基酸とを重縮合させてなる不
飽和ポリエステルと、重合性単量体と、必要により添加
される低収縮化のための熱可塑性樹脂とを含む混合物で
ある。
【0014】なお、不飽和ポリエステル樹脂100重量
部とは、不飽和ポリエステル重合体成分と、重合性単量
体、及び必要により添加される低収縮化のための熱可塑
性樹脂とを合計した量で100重量部を意味する。
【0015】不飽和二塩基酸としては、無水マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が使用され
る。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノール
A、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエ
チレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコール等が
使用される。
【0016】飽和二塩基酸としては、無水フタル酸、オ
ルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン
酸、コハク酸、テトラクロロフタル酸、ヘット酸等が使
用される。
【0017】重合性単量体としては、スチレン、ジクロ
ロスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、メタクリル
酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸エ
ステル、フタル酸ジアリル等が使用されるが、スチレン
が好ましく使用される。通常、不飽和ポリエステル樹脂
に含まれる重合性単量体の量は、20〜60重量%であ
る。
【0018】また、低収縮化のための熱可塑性樹脂とし
ては、例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメ
チルメタクリレート、ポリエチレン、ポリε−カプロラ
クトン、飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタ
ジエン、ポリスチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチ
レン−ポリ酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体等が使用され、価格及び低
収縮性付与の点からポリスチレンが好ましく用いられ
る。
【0019】硬化剤としては、ターシャリーブチルパー
オキシイソブチレート、ターシャリーブチルパーオキシ
2−エチルヘキサノエート、ターシャリーアミルパーオ
キシ2−エチルヘキサノエート、2,4,4−トリメチ
ルペンチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ター
シャリー−ブチルパーオキシピバレート、ターシャリー
ブチルパーオキシベンゾエート、ターシャリーブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーブチ
ルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオ
キサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が使用され
る。
【0020】なお、請求項3に記載の発明のように、比
較的低い成形温度60〜120℃で成形を行う場合に
は、上記硬化剤としては、より低温で分解し易い、例え
ば、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ2−エ
チルヘキサノエートなどが用いられ、また、比較的高
温、例えば120〜160℃で成形を行う場合には、よ
り高温で分解し易い硬化剤、例えば、ターシャリーブチ
ルパーオキシベンゾエートなどが用いられる。
【0021】離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸カルシウム等が使用される。増粘剤としては、
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、酸化亜鉛等が使用される。
【0022】本発明において用いる無機微細充填材とし
ては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カル
シウム、ガラス粉末、タルク、マイカ等が使用される。
上記無機微細充填材の平均粒径が小さくなりすぎると、
不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が高くなり、強化
繊維に十分含浸せず、材料内部にエアーを混入し易くな
り、最終的に得られる成形体に巣が入り易くなる。他
方、無機充填材の平均粒径が大きすぎると、無機充填材
の比表面積が小さくなり、化合物(1)を添加した効果
が得られ難くなり、成形材料の流動性が低下することに
なる。従って、無機充填材の平均粒径は、通常0.1〜
100μm、好ましくは0.5〜60μmの範囲とされ
る。
【0023】上記無機微細充填材の配合割合は、不飽和
ポリエステル樹脂100重量部に対し、50〜350重
量部の範囲であり、好ましくは、60〜300重量部の
範囲である。50重量部より少ない場合には、成形前の
成形材料の取扱い性が低下し、350重量部より多くな
ると、粘度が大幅に上昇し、成形加工時の成形材料の流
動性が低下すると共に、強化繊維に対する含浸性が低下
して材料内部にエアーを混入し易くなり、得られる成形
品に巣が入り易くなる。なお、上記無機微細充填材は複
数種用いてもよく、その場合には、複数種の無機充填材
の合計が50〜350重量部の範囲とされる。
【0024】本発明において用いる強化繊維としては、
ガラス繊維、炭素繊維、石綿繊維、ホイスカー、有機合
成繊維、天然繊維等が使用される。好ましくは、物性、
価格面でガラス繊維が用いられる。一定長さ、または連
続した繊維をそのまま使用する場合の他に、マット状や
クロス状のものも使用される。例えば、ガラス繊維の場
合、ストランドを一定長さに切断したチョップドストラ
ンド、チョップドストランドをバインダーで接着しマッ
ト状にしたチョップドストランドマット等が使用され
る。一定長さの繊維としては、通常、1〜80mmのも
のが使用される。1mmより短いと補強効果が乏しく、
80mmより長いと、粘度が上昇して成形性が悪くなる
場合がある。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物中の
繊維の方向性は、ランダムにしたものの他に、一方向に
並べたもの、X字状に並べたもの等、任意である。
【0025】また、強化繊維の量は、強化繊維を含む不
飽和ポリエステル樹脂組成物全体に対して、2〜50重
量%の範囲で混合される。好ましくは、3〜40重量%
の範囲である。2重量%より少ないと、成形前の材料の
取扱い性が低下するとともに、補強効果が十分でなくな
り成形品に割れや曲がりが生じ易い。50重量%より多
いと、粘度が上昇して成形時の流動性が悪くなる。
【0026】化合物(1) 本発明では、上記化合物(1)が不飽和ポリエステル樹
脂100重量部に対し0.1〜20重量部の範囲で配合
される。
【0027】上記化合物(1)は、上述した化学式から
明らかなように、炭素数10〜36の炭化水素基を有す
るイソシアネートである。また、上記炭化水素基の炭素
数が異なる複数種の化合物(1)を混合して用いてもよ
い。
【0028】上記化合物(1)の具体例としては、ラウ
リルイソシアネート、デシルイソシアネート、ペンタデ
シルイソシアネート、セチルイソシアネート、ステアリ
ルイソシアネート、ベヘニルイソシアネートなどを挙げ
ることができる。
【0029】上記化合物(1)の配合割合が少なすぎる
と、成形加工時の流動性が低下する。また、上記化合物
(1)の配合割合が多すぎると、成形品表面に巣やピン
ホールが発生し易くなる。従って、化合物(1)は、不
飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜2
0重量部、好ましくは0.5〜15重量部の割合で配合
される。
【0030】また、化合物(1)の融点が低すぎると、
成形前の成形材料の取扱い性が低下し易くなり、高すぎ
ると、成形加工時の流動性が低下することがある。従っ
て、化合物(A)の融点は、30℃〜150℃の範囲で
あることが好ましい。
【0031】触媒 また、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物では、用
いる不飽和ポリエステル樹脂の種類や成形温度により、
必要に応じて、触媒を加えることができる。例えば、ア
ミン系触媒として、N,N,N’,N”,N”−ペンタ
メチルジプロピレントリアミン、トリエチレンジアミ
ン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメ
チルエチレンジアミン等、有機金属系触媒として、ジブ
チル錫ジラウレート等が用いられる。
【0032】成形 本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、シート状に
も、バルク状にも形成される。シート状成形材料(SM
C)は、公知の機械を用いて形成される。例えば、ポリ
エチレンフィルム等の離型シートの上に、ドクターブレ
ードを用いて、均一な厚みに不飽和ポリエステル樹脂組
成物を塗布し、その面に、強化繊維を散布し、ロールを
用いて含浸させながらシート状にすることができる。バ
ルク状成形材料(BMC)は、ニーダー等の混合機で形
成される。
【0033】請求項2に記載の発明は、上記請求項1に
記載の発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物を低圧
条件下で圧縮成形し、不飽和ポリエステル樹脂成形体を
得る製造方法である。
【0034】請求項2に記載の発明では、成形圧力は2
〜30kg/cm2 とされ、好ましくは5〜20kg/
cm2 とされる。成形圧力が2kg/cm2 よりも小さ
くなると、成形材料の流動性が低下し、目的とする成形
体を得ることが困難となり、また、ボイドを押し出した
り、ボイドを小さくすることができなくなり、得られる
成形体の表面性や物性が大きく低下する。また、成形圧
力が30kg/cm2よりも大きくなると、成形型内の
材料に十分に熱が伝達する前に流動が完了するため、本
発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の有効性が低下す
る。また、上述した設備投資負担を低減することができ
ない。
【0035】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物を低温かつ
低圧の条件下で圧縮成形し、成形体を得る方法に関す
る。請求項3に記載の発明では、上記不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物は、60〜120℃に加熱された金型内に
必要量投入され、かつ2〜30kg/cm2 の成形圧力
で圧縮成形される。成形温度を60〜120℃の範囲と
するのは、60℃より低い場合には、成形加工時の成形
材料の流動性が低下したり、成形時間が大幅に長くなる
からであり、120℃より高くなると、低コストの金型
を使うことができなくなるからである。同様の理由によ
り、成形温度は、好ましくは、80〜110℃の範囲と
される。
【0036】請求項1に記載の発明の好ましい例 請求項1に記載の発明に係る好ましい例としては、不飽
和ポリエステル樹脂100重量部に対して、化合物
(1)0.5〜15重量部と、無機充填材として、平
均粒径0.5〜20μmの炭酸カルシウム60〜300
重量部、平均粒径0.5〜30μmの水酸化アルミニ
ウム60〜300重量部、または平均粒径0.5〜2
0μmのガラス粉末60〜300重量部とを加える。こ
の場合、上記無機充填材は複数種用いてもよく、その場
合には、複数の無機充填材の合計の配合割合が60〜3
00重量部の範囲となるように複数種の無機充填材を用
いる。
【0037】上記組成からなる不飽和ポリエステル樹脂
組成物に、硬化剤として、有機過酸化物0.2〜2重量
部、離型剤としてステアリン酸亜鉛2〜10重量部、増
粘剤として酸化マグネシウム0.2〜3重量部を混合
し、SMCまたはBMC製造装置を用いて、強化繊維を
樹脂組成物全体量に対して3〜40重量%の範囲となる
ように添加する。
【0038】請求項2に記載の発明の好ましい例 請求項2に記載の発明の不飽和ポリエステル樹脂成形体
の製造方法の好ましい例としては、上記請求項1に記載
の不飽和ポリエステル樹脂組成物の好ましい例の材料を
用い、80〜150℃に加熱された金型内に該不飽和ポ
リエステル樹脂組成物よりなる成形材料を置き、金型を
閉じ、圧力5〜20kg/cm2 で圧縮成形する。
【0039】請求項3に記載の発明の好ましい例 請求項3に記載の発明の好ましい例では、上記請求項1
に記載の発明の好ましい例として挙げた成形材料を用
い、金型を80〜110℃に加熱し、該金型内に成形材
料を置き、金型を閉じ、圧力5〜20kg/cm2 で圧
縮成形する。
【0040】作用 請求項1に記載の発明では、上記不飽和ポリエステル樹
脂100重量部に対し、化合物(1)が0.1〜20重
量部、無機充填材が50〜350重量部配合されている
組成物に、強化繊維が全体の2〜50重量%の範囲とな
るように加えられている。この不飽和ポリエステル樹脂
組成物を圧縮成形した場合には、2〜30kg/cm2
程度の比較的低圧で成形した場合であっても、成形材料
の流動性が高められているためか、内圧がかかりやす
く、エアーを効率的に押出しつつ流動するため、巣やピ
ンホールのない成形品が得られる。
【0041】これは、化合物(1)が、加熱成形時に溶
解し、分散し、無機材−樹脂界面のぬれ性を高めたり、
樹脂組成物と成形型との間のすべりを高めたりし、それ
によって低圧成形時の材料の流動性が大幅に高められて
いることによると考えられる。また、上記化合物(1)
は、上記のように加熱成形時に溶解し、分散して上記流
動性を高めるように作用する。従って、増粘剤として水
酸化カルシウムを用いた場合には成形前の成形材料の粘
度が低下していたのに対し、化合物(1)は成形前の成
形材料の粘度を低下させないので、成形材料の取扱い性
が低下することもない。
【0042】加えて、請求項1に記載の発明の不飽和ポ
リエステル樹脂組成物を用いて得られた不飽和ポリエス
テル樹脂成形体は良好な耐熱水性を示す。これは、化合
物(1)のイソシアネート基が、成形材料が型形状に賦
形された後の硬化反応過程において不飽和ポリエステル
と共重合し、トラップされるため、得られた成形体を使
用しているうちに化合物(1)のブリードアウトが生じ
難いためと考えられる。
【0043】請求項2に記載の発明の製造方法では、上
記請求項1に記載の発明に係る不飽和ポリエステル樹脂
組成物を用いて圧縮成形が行われるが、この場合、成形
圧力が2〜30kg/cm2 の範囲とされる。従って、
このような低圧条件下において圧縮成形した場合であっ
ても、請求項1に記載の発明に係る不飽和ポリエステル
樹脂組成物では、良好な外観性状及び耐熱水性を示す成
形体を得ることができるため、請求項1に記載の発明に
係る不飽和ポリエステル樹脂組成物の特性を有効に発揮
させることができ、成形加工時において適当な流動性を
得ることができ、巣やピンホールのない成形品を製造す
ることができ、かつ得られた成形品の耐熱水性も十分な
ものとなる。
【0044】同様に、請求項3に記載の発明において
は、請求項1に記載の発明に係る不飽和ポリエステル樹
脂組成物を用い、成形圧力を2〜30kg/cm2 とす
るだけでなく、成形温度を60〜120℃と比較的低温
で圧縮成形を行う。このような低温・低圧下で圧縮成形
する場合においても、請求項1に記載の発明に係る不飽
和ポリエステル樹脂組成物では、成形時の流動性が高め
られるため、巣やピンホールのない成形体を安定に得る
ことができ、かつ得られた成形体の耐熱水性も良好であ
る。従って、請求項1に記載の発明の不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物の特徴を活かして、低温・低圧下で圧縮成
形することができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例を挙げるこ
とにより、本発明を明らかにする。
【0046】(成形材料1−1〜1−3及び2−1〜2
−10の調製)フマル酸、イソフタル酸、プロピレング
リコールからなる不飽和ポリエステルと、ポリスチレン
とを、スチレン単量体に溶解した不飽和ポリエステル樹
脂100重量部(樹脂分として100重量部、スチレン
含有量35重量%)に対し、化合物(1)としてステア
リルモノイソシアネート(炭化水素基の炭素数nは1
8)及び炭酸カルシウム(平均粒径2μm)を表1に示
す量、酸化マグネシウム0.8重量部、有機過酸化物1
重量部、パラベンゾキノン0.03重量部、ステアリン
酸亜鉛5重量部、並びにジブチル錫ジラウレート0.0
5重量部を混合した組成物を、25mmのガラスチョッ
プドストランドに含浸し、ポリエチレンフィルムで覆っ
てSMCとした後、40℃で1日熟成した。ガラス繊維
含有率は表1に示す通りとした。
【0047】表1中、材料2−1では、化合物(1)を
添加しなかった。また、材料2−7では、化合物(1)
を添加せず、かつ増粘剤としての酸化マグネシウムに代
えて、水酸化カルシウム1.8重量部を用いた。材料2
−8では、炭酸カルシウムの代わりに、ケイ砂(平均粒
径450μm)を100重量部加えた。材料2−9で
は、化合物(1)の代わりに、分子内にイソシアネート
基を有さないステアリルアルコールを用いた。材料2−
10では、化合物(1)の代わりに、市販の粘度低下剤
である竹本油脂社製スーパーダインV−203を添加し
た。
【0048】(成形)上記SMCを使いプレス機によ
り、平板(270mm×150mm×厚み2mm)金型
で表2に示す温度及び圧力で圧縮成形した。SMCのチ
ャージに際しては、平板金型短辺側の隅にSMCを置
き、チャージ面積率約11%とした。
【0049】成形前のSMCの取扱い性の評価は、以下
の基準で行った。 ○:良好 ×:ポリエチレンフィルムに不飽和ポリエステル組成物
が粘着し易く、フィルム剥がしが困難。 成形評価項目としては、成形材料の流動性を平板金型投
影面積に対する成形材料の充填面積率で示し、かつ、得
られた成形体の表面状態観察(巣、ピンホールの有無)
結果を示した。
【0050】さらに、得られた成形品を80℃熱水中に
300時間片面浸漬し、以下の要領で耐熱水性を評価し
た。 耐熱水性の評価……浸漬面を色差計(東京電色社製、商
品名:カラーアナライザーTC−1800)にて測定
し、CIEによるL* 、a* 、b* 色空間におけるΔE
値で示した。ΔEが小さいほど、耐熱水性が良好である
ことを示す。 また、ガラス繊維含有量による曲げ特性の影響を確かめ
るために、実施例3及び比較例6で得られた成形体の曲
げ特性を評価した。
【0051】なお、実施例3(ガラス繊維含有率24
%)の曲げ強度は、12kgf/mm 2 であり、比較例
6(ガラス繊維含有率1.5重量%)の曲げ強度は、
2.5kgf/mm2 であった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】表1及び表2から明らかなように、化合物
(1)を用いなかった比較例1では、成形材料の流動性
の指標である成形材料の充填面積率が78%と低く、成
形体表面に巣が発生していることがわかる。すなわち、
同じ条件で圧縮成形を行った実施例1に比べて、化合物
(1)を用いなかったため、上記のような結果が生じた
ものと思われる。
【0055】また、比較例2のように、化合物(1)を
用いずに、成形温度を150℃に高めたとしても、同様
に、充填面積率が75%と低く、得られた成形体に巣が
発生していた。
【0056】さらに、比較例3では、化合物(1)の配
合割合が25重量部と高すぎる材料2−2を用いていた
ため、充填面積率は100%であったが、得られた成形
体において巣が発生し、かつ耐熱水性が低下していた。
【0057】比較例4では、材料2−3において、炭酸
カルシウム配合割合が30重量部と少なすぎたためか、
成形前のSMCの取扱い性が十分でなかった。加えて、
充填面積率が94%と低く、得られた成形体において巣
が発生していた。
【0058】比較例5では、材料2−4において、ガラ
ス繊維含有量が53重量%と高すぎたためか、充填面積
率が67%と低く、得られた成形体において巣が発生し
ていた。
【0059】比較例6では、材料2−5において、ガラ
ス繊維含有量が1.5重量%と低すぎたためか、成形前
のSMCの取扱い性が十分でなかった。加えて、充填面
積率が92%と低く、得られた成形体において巣が発生
していた。
【0060】比較例7では、材料2−6において、炭酸
カルシウム添加量が370重量部と高すぎたためか、充
填面積率が75%と低く、かつ得られた成形体において
巣が発生していた。
【0061】比較例8では、材料2−7において、化合
物(1)としてのステアリルモノイソシアネートが含有
されておらず、増粘剤としての酸化マグネシウムに代え
て水酸化カルシウムを用いたためか、成形前のSMCの
取扱い性が悪かった。加えて、充填面積率が90%と低
く、得られた成形体において巣が発生していた。
【0062】また、比較例9においては、材料2−7を
用いているが、成形温度を150℃にしたにもかかわら
ず、やはり同様に、SMCの取扱い性が悪く、充填面積
率が85%と低く、得られた成形体において巣が発生し
ていた。
【0063】比較例10では、請求項1に記載の発明に
属する材料1−2を用いたが、成形圧力が1kg/cm
2 と低すぎたためか、充填面積率が78%と低く、得ら
れた成形体において巣が発生していた。
【0064】また、比較例11では、材料2−8におい
て、平均粒径が450μmのケイ砂100重量部を用い
ていたため、充填面積率が82%と低かった。比較例1
2では、材料2−9が化合物(1)ではなく、ステアリ
ルアルコールを用いたものであるため、材料の流動性が
高められて充填面積率が100%であり、得られた成形
体の表面も良好であったが、得られた成形体の耐熱水性
が著しく劣っていた。
【0065】同様に、比較例13においても、ステアリ
ルアルコールを用いていたため、成形温度を90℃にし
て圧縮成形を行ったにも係わらず、同様に、耐熱水性の
低い成形体しか得られなかった。
【0066】比較例14では、市販の粘度低下剤を用い
たため、SMCの取扱い性が悪く、充填面積率が95%
にとどまりかつ巣が発生し、さらに得られた成形体の耐
熱水性も低かった。
【0067】これに対して、実施例1〜4では、請求項
1に記載の発明に属する材料1−1〜1−3を用い、成
形温度を90〜150℃、成形圧力を15〜20kg/
cm 2 の条件で圧縮成形を行っているため、充填面積率
が100%と高く、巣やピンホールのない表面の良好な
成形体を得ることができ、かつ得られた成形体の耐熱水
性も十分であった。加えて、成形前のSMCの取扱い性
も良好であった。
【0068】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明に
係る不飽和ポリエステル樹脂組成物では、不飽和ポリエ
ステル樹脂100重量部に対し、化合物(1)及び無機
微細充填材が上記特定の割合で配合され、かつ強化繊維
が全体の2〜50重量%の範囲とされている。この場
合、化合物(1)は、成形前の常温では溶解しないた
め、成形前においては請求項1に記載の発明に係る不飽
和ポリエステル樹脂組成物は十分な粘度を有するため、
成形前の取扱い性が損なわれることはない。
【0069】また、加熱成形に際しては、上記化合物
(1)が溶解し、分散し、成形材料の粘度が効果的に低
減される。さらに、無機材−樹脂界面間のぬれ性が高め
られたり、組成物と成形型との間の「すべり」が高めら
れたりすることにより、低圧条件下においても成形材料
の流動性が十分に高められる。よって、低い圧力で成形
した場合であっても、エアーを効率的に押出しながら流
動するため、巣やピンホールのない外観性に優れた成形
体を容易に得ることができる。
【0070】さらに、上記化合物(1)がイソシアネー
ト基を分子内に含んでいるため、硬化反応過程において
不飽和ポリエステルと結合を形成し、トラップされる。
よって、使用中に化合物(1)がブリードアウトし難い
ため、得られた成形体の耐熱水性も高められる。
【0071】請求項2に記載の発明では、上記請求項1
に記載の発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物を用
いているため、成形圧力を2〜30kg/cm2 の比較
的低い圧力で成形しているにも係わらず、巣やピンホー
ルの生じ難い、かつ耐熱水性に優れた成形体を安定に得
ることができる。しかも、圧力を2〜30kg/cm 2
と低くし得るため、成形機における金型投資費用を低減
することができ、良好な外観性状及び耐熱水性を有する
成形体を安価に供給することが可能となる。
【0072】また、請求項3に記載の発明では、請求項
1に記載の発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物を
用いて成形しているため、成形温度を60〜120℃と
比較的低く、かつ成形圧力を2〜30kg/cm2 と低
くしているにも係わらず、巣やピンホールが生じ難く、
かつ耐熱水性に優れた成形体を得ることができる。よっ
て、より一層金型投資費用などを低減することができ、
良好な外観特性及び耐熱水性を示す成形体をより安価に
供給することが可能となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に
    対して、下記の化学式で表される化合物(1)を0.1
    〜20重量部及び平均粒径0.1〜100μmの無機充
    填材を50〜350重量部含有する組成物に強化繊維を
    加え、強化繊維の含有量を2〜50重量%としたことを
    特徴とする不飽和ポリエステル樹脂組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹
    脂組成物を成形圧力2〜30kg/cm2 で圧縮成形す
    ることを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂成形体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹
    脂組成物を成形温度60〜120℃、成形圧力2〜30
    kg/cm2 で圧縮成形することを特徴とする不飽和ポ
    リエステル樹脂成形体の製造方法。
JP12708196A 1996-05-22 1996-05-22 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法 Pending JPH09310009A (ja)

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