JPH09298114A - 垂直磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記録装置 - Google Patents
垂直磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記録装置Info
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Abstract
として用いるのに適した垂直記録媒体を提供することで
ある。 【解決手段】 基板上または非磁性膜上に形成した垂直
磁化膜において、該垂直磁化膜の組成がCo及びCrを
含み、前記Cr量が22原子%以上30原子%以下であ
る、膜面に対して垂直方向に磁化することを特徴とする
垂直磁気記録媒体。
Description
記録媒体及びそれを用いた磁気ディスク装置に関する。
置の分野において、ハードディスク装置の小型化、記録
密度の向上がますます望まれている。記録媒体の記録密
度を向上させるための方法の一つとして、垂直記録方式
が提案されている。この垂直記録方式は、面内記録方式
に代わる方式として近年注目されているものである。
たヘッド、例えば、MRヘッドやGMRヘッドと組み合
わせた技術も提案されている。本発明の発明者等による
発表である「単層膜媒体とマージ型MRヘッドを用いた
垂直磁気記録」(日本応用磁気学会誌Vol.19, suppleme
nt, No.S2,1995)には、マージ型MRヘッドのWrit
e部を変更することなく、ヘッド浮上式の垂直記録に応
用することを目的として、記録媒体としての単層CoC
r垂直膜の特性が報告されている。この文献で記載され
ている単層CoCr垂直膜の組成は、Co量が78原子
%であり、Cr量が22原子%である。
従来の技術で用いられているCo量が78原子%で、C
r量が22原子%からなる単層CoCr膜では、MRヘ
ッドを再生ヘッドとして用いた場合に十分な最大垂直方
向磁気的相互作用(ΔM⊥)maxが得られないことが発
明者等の研究により判明した。発明者等がこの点に鑑み
研究を続けた結果、CoCr膜中のCo、Crがある所
定の範囲内の量においては、特異な(ΔM⊥)max特性
を示し、この範囲では、MRヘッド用の垂直磁気記録媒
体として優れた特性を有することを発見した。
利用したヘッドを用いる場合に好ましい磁気特性を有す
る垂直磁気記録媒体を提供することである。
発明は、基板上または非磁性膜上に形成した垂直磁化膜
において、垂直磁化膜のCr量が22原子%以上30原
子%以下である垂直磁気記録媒体を提供する。
ましい範囲は、26原子%以上30ディスク原子%以下
である。
膜上に形成した垂直磁化膜において、垂直磁化膜のCo
量が70原子%以上で78原子%以下の範囲である垂直
磁気記録媒体を提供することである。ここで、上記垂直
磁化膜のCo量のより好ましい範囲は、70原子%以上
74原子%以下である。
膜上に形成した垂直磁化膜において、該垂直磁化膜の組
成が原子%で(Co100-xCrx)100-yPtyで表され、
22≦x≦30、5≦y≦15の範囲にある、垂直磁気
記録媒体を提供することである。ここで、上記垂直磁化
膜の組成のより好ましい範囲は、(Co100-xCrx)10
0-yPtyにおいて、26≦x≦30、6≦y≦10の範
囲にある、垂直磁気記録媒体を提供することである。
垂直磁気記録媒体の断面図である。ガラス基板10上に
Tiからなる下地層11を介して、記録層として垂直磁
化膜12が形成されている。下地層11は、垂直磁化膜
12の結晶配向性を良くするために設けられている層で
あり、この層を設けなくてもよい。垂直磁化膜12の膜
厚は、3000オングストロームである。
り、膜厚方向に磁化容易軸を有していて、CoCr層で
ある。ここで、注意すべきことは、CoCr層は、Cr
の量によって面内記録膜にもなり得ることである。Cr
の量が小さい場合(例えば、8原子%程度)には、面内
方向に磁化容易軸が向くであろう。面内記録に関して
は、従来から数々の研究がなされているのでこれ以上は
説明しない。本実施例においては、Cr量を後述する量
にすることより、CoCr層の磁化容易軸が表面に対し
て垂直方向に向くようにしている。
は、対向式ターゲット法を用いて形成した。作成条件
は、基板温度が200℃、アルゴン圧5×10-3Tor
rである。
膜12であるCoCr層中に含まれるCr量を変えた場
合の外部磁界(H)と垂直磁気的相互作用(ΔM⊥)と
の関係を示す図である。ここで、Crの量を15原子
%、22原子%、26原子%、28原子%及び30原子
%とした場合について測定している。なお、横軸の外部
磁界(H)は、垂直方向の保持力(Hc⊥)で規格化し
ている。
%、26原子%、28原子%及び30原子%は、Co量
に換算すると、それぞれ85原子%、78原子%、74
原子%、72原子%及び70原子%となる。以下、Cr
の量を基準に説明し、Co量に関する説明は省略する
が、以下についても同様にCo量に換算することができ
るのは当然である。
作用(ΔM⊥)の最大値(横軸1.0付近の縦軸の値)
は、Crの含有量が15原子%から増加するにしたがい
増加していき、Cr量が28原子%で最大の1.4とな
る。そして、それ以上含有量を増やすと、逆に減少して
いることがわかる。
大値((ΔM⊥)max)との関係を図2に示す。垂直磁
気的相互作用の最大値((ΔM⊥)max)は、Cr量1
5原子%から22原子%において0.4から0.55と
徐々に増加しているが、22原子%をを境にその傾きが
急激に大きくなっていることが判る。そして、28原子
%で最大値1.4となり、その後は逆に減少しているこ
とが判る。
互作用の最大値((ΔM⊥)max)との関係は、Cr量
が22原子%以上においても、図2の破線Aで示すよう
に、Cr量が15原子%から22原子%の傾きと同じ傾
きで徐々に増加していくものと予想していた。しかしな
がら、実際には、22原子%を境にその傾きが急激に増
加していくことを見出し、22原子%より大きな範囲
で、非常に大きな垂直磁気的相互作用の最大値((ΔM
⊥)max)が得られることがわかった。
max)が大きいことは、垂直磁気記録媒体として非常に
好ましい特性である。垂直磁気的相互作用は、強磁性体
の膜面に垂直な方向に磁界をかけて測定した場合に得ら
れるパラメータであり、膜中の隣接する粒子間で磁気的
に相互に影響を及ぼしあう程度を表す。この値が大きい
場合ほど、垂直方向に連なる粒子があたかも一つの磁性
粒子として振る舞い易く、ある領域(例えば、図1にお
ける一つの矢印が存在する領域)において垂直方向に揃
った磁化状態を作り出し易い。従って、この最大値が大
きいほど、垂直方向に垂直方向に揃いやすいので垂直磁
気記録媒体に用いる場合にはより好ましい。
に急激に増加しているのかについて、そのメカニズムは
定かではない。しかしながら、いずれにしても、Cr量
が22原子%から28原子%で垂直磁気的相互作用の最
大値((ΔM⊥)max)は、急激に増加しており、垂直
磁気記録媒体に用いる場合に非常に良好な特性を示すこ
とが判った。更に、Cr量が30原子%においては、垂
直磁気的相互作用の最大値((ΔM⊥)max)が28原
子%の場合と比べて、減少しているものの、図3の破線
Aで予想される値よりも大きく、垂直磁気記録媒体の特
性として好ましい値であることがわかった。従って、C
r量が22原子%より大きく(22原子%は含まない点
に注意されたい)、30原子%以下の範囲内において、
垂直磁気記録媒体に用いる場合に好ましい特性が得られ
る。特に、垂直磁気的相互作用の最大値((ΔM⊥)
max)が1.0程度となる、Cr量が26原子%以上3
0原子%の範囲がより好ましい。
す図である。この図において、縦軸の左側は出力を表
し、縦軸の右側はS/N(再生信号とノイズとの比)を
示している。また、図中の10kFCI及び70kFC
IにおけるFCIは、(Flux Charge per Inch)であり
記録密度を意味している。S/Nを求める実験におい
て、ディスクの周速は8.29m/s、データの記録密度
は70kFCIであり、ノイズ量はスペクトルアナライ
ザーを用いて、40MHz帯で測定した積分量である。
なお、再生トラック幅とシールド・ギャップ長はそれぞ
れ2.5μm、0.3μmで、ヘッド浮上量は62nm
である。
量の増加に伴い増加していき、Cr量が28原子%で最
大値32dBとなる。そして、30原子%ではやや減少
している。一方、出力に関しては、Cr量が22原子%
までは出力は増加しているが、それ以降は減少してい
る。
して用いようとする場合には、図4に示す出力特性より
も大きくなければ好ましくない。しかしながら、磁気抵
抗効果を利用したヘッド、例えば、MRヘッド、GMR
ヘッドまたはスピンバルブヘッドなどは、インダクティ
ブ型のヘッドと比べて感度が非常によい。従って、Cr
量が22原子%から30原子%で減少するような出力特
性を有する垂直磁気記録媒体においても再生ヘッドとし
て利用することが可能である。また、磁気抵抗効果を利
用したヘッドは、感度がよいのでノイズの影響を受けや
すいが、22原子%以上30原子%以下の範囲におい
て、S/Nが25dB以上であるので、磁気抵抗効果を
利用したヘッドでも十分に利用が可能である。特に、C
r量が26原子%より大きく30原子%以下の範囲で
は、S/Nが28dB以上得られるのでかかるヘッドを
利用するのに好ましい範囲である。
c)、飽和磁化(Ms)との関係を示す図である。この図
において、飽和磁化は、Cr量に伴い徐々に減少してお
り、Cr量が26原子%以上30原子%以下の範囲で
は、飽和磁化が100emu以上200emu以上となってい
る。
22%にくらべて28%付近では半減しており、トラッ
ク幅を狭めた時の出力が十分得られない。そこでこの低
ノイズであるCr量が多い媒体に出力増加の効果が望め
るPtを添加する。図9にCo72Cr28 媒体にPtを
添加したときの出力およびS/N比を示す。出力はPt
の添加とともに急速に増大している。しかし、出力が最
大であるPt18%付近でのS/N比は逆に低下してお
り、むしろ5%以上15%以下の領域でもっとも高いS
/N比を示した。特に6%以上10%以下が好ましい結
果を示している。さらに同じヘッドを現在実用化されて
いる面内磁気記録媒体に用いた場合のS/N比が図に点
線で示した値であり、その値より約2dbほど高い値を
得ることができた。しかもこれらの結果は、膜厚が30
0nmと非常に厚いところで得られた値であり、この厚
さは、将来の磁気記録の安定性に寄与すると考えられ
る。これらの結果から、(Co100-xCrx)100-yPty
の組成を持ち22≦x≦30、5≦y≦15の範囲に
ある媒体で、膜厚が100nm以上の垂直磁気記録媒体
が将来の高密度記録媒体として非常に有望視される。
(さらに26≦x≦30、6≦y≦10がより顕著な効
果を表す。) 図10において、Ptを含有した場合における線記録密
度と再生出力の関係を示す。図10を参照すればCo及
びCrのみの(Ptを含有しなかった)場合には面内記
録方式に比べて再生出力が劣ること、Ptを含有させる
と面内記録方式に比べて再生出力がかなり向上すること
が判る。また線記録密度を100KFCI以上に増加さ
せていくと面内記録方式媒体やPtを含まない媒体が早
く出力低下をしてしまうのに対して、Ptを6%、17
%含む媒体は高い線記録密度まで大きな出力を保ってい
る。特に6%含むものが最もよい特性が得られている。
このことからPtを5〜15%含むものが記録密度が最
も高くできることが判る。よって図9及び図10からP
tの含有量が5〜15原子%付近において再生出力及び
S/N比は最適なバランス領域にあることが理解され
る。なお、PtのかわりにTaを含有しても同様の効果
が期待される。
6は、積層構造のディスク型の垂直磁気記録媒体の断面
図である。ガラス基板20上にTiからなる下地層21
を介して、記録層としてNiFe層22及び垂直磁化膜
としてのCoCr層23が形成されている。下地層11
は、垂直磁化膜12の結晶配向性を良くするために設け
られている層であり、この層を設けなくてもよい。
図である。 この磁気ディスク装置は、上述の垂直磁気
記録媒体71と、この垂直磁気記録媒体71を駆動する
ための垂直磁気記録媒体駆動部72と、垂直磁気記録媒
体71に記録されたデータを再生するためのMRヘッド
を含む磁気ヘッド部73とを有している。そして、磁気
ヘッド73は、磁気ヘッド駆動部74により駆動され
る。更に、記録再生信号処理回路75を有している。
ド部73の拡大図である。垂直磁気記録媒体71の垂直
磁化膜81は、磁気ヘッド部73中のインダクティブ型
ヘッド82によりデータが記録される。一方、垂直磁化
膜81に記録されたデータはMRヘッド83によりデー
タが再生される。
いた垂直磁気記録媒体において、Cr量が22原子%よ
り大きく30原子%以下の範囲(Co量に換算するとC
o量が70原子%以上で78原子%より小さな範囲)に
おいて、垂直磁気記録媒体の特性として良好な垂直磁気
的相互作用が得られる。そして、この範囲では、出力は
小さくなるものの良好なS/Nが得られるので、磁気抵
抗効果を利用した再生ヘッド用の垂直磁気記録媒体とし
て好ましい。特に、Cr量が26原子%以上で30原子
%以下の範囲(Co量に換算するとCo量が70原子%
以上で74原子%以下の範囲)においては、特に好まし
い特性が得られる。さらにCo及びCrの組成にPtを
5〜15原子%含有させた場合には、S/N比と再生出
力2つのパラメータの向上が望め、磁気記録媒体として
バランスのよい特性が得られる。特にPtを6〜10原
子%を含有させた場合、その効果はより顕著となる。
面図である
気的相互作用(ΔM⊥)との関係を示す図である
を示す図である
化(Ms)との関係を示す図である
断面図である
る
存性を表す図である。
表す図である。
Claims (10)
- 【請求項1】基板上または非磁性膜上に形成した垂直磁
化膜において、該垂直磁化膜の組成がCo及びCrを含
み、前記Cr量が22原子%以上30原子%以下であ
る、膜面に対して垂直方向に磁化することを特徴とする
垂直磁気記録媒体。 - 【請求項2】前記垂直磁化膜のCr量が26原子%以上
30原子%以下であることを特徴とする請求項1に記載
の垂直磁気記録媒体。 - 【請求項3】基板上または非磁性膜上に形成した垂直磁
化膜において、該垂直磁化膜の組成がCo及びCrを含
み、前記Co量が70原子%以上で78原子%以下であ
る、膜面に対して垂直方向に磁化することを特徴とする
垂直磁気記録媒体。 - 【請求項4】前記垂直磁化膜のCo量が70原子%以上
74原子%以下であることを特徴とする請求項3に記載
の垂直磁気記録媒体。 - 【請求項5】基板上または非磁性膜上に形成した垂直磁
化膜において、該垂直磁化膜の組成が原子%で(Co
100-xCrx)100-yPtyで表され、22≦x≦30、5
≦y≦15の範囲にある、膜面に対して垂直方向に磁化
することを特徴とする垂直磁気記録媒体。 - 【請求項6】基板上または非磁性膜上に形成した垂直磁
化膜において、該垂直磁化膜の組成が原子%で(Co
100-xCrx)100-yPtyで表され、26≦x≦30、6
≦y≦10の範囲にある、膜面に対して垂直方向に磁化
することを特徴とする垂直磁気記録媒体。 - 【請求項7】前記垂直磁化膜厚が100nm以上あるこ
とを特徴とする、請求項1乃至6のいづれか一にに記載
の垂直磁気記録媒体。 - 【請求項8】前記垂直磁化膜の飽和磁化が100emu
以上200emu以下であることを特徴とする請求項1
乃至6のいづれか一に記載の垂直磁気記録媒体。 - 【請求項9】データを記録するための複数の層からなる
積層構造の記録層であって、該記録層の少なくとも一層
が、請求項1乃至8のいづれか一に記載の垂直磁気記録
媒体を含む、磁気記録媒体。 - 【請求項10】1以上からなる複数の磁気ディスクと、
該磁気ディスクを回転させる手段と、回転中の該磁気デ
ィスクの記録面上を飛行または、接触して、データを書
き込みまたは、データを読み出すための信号変換ヘッド
と、前記信号変換ヘッドを前記磁気ディスクの記録面上
の所望のトラックへ位置付ける手段と、前記磁気ディス
ク、前記磁気ディスク回転手段を具備した磁気記録装置
であって、 前記複数の磁気ディスクの少なくとも1枚の磁気ディス
クが、請求項1乃至8のいづれか一に記載の垂直磁気記
録媒体を含む、磁気記録装置。
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