JPH1125402A - 磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録再生装置

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JPH1125402A
JPH1125402A JP17419197A JP17419197A JPH1125402A JP H1125402 A JPH1125402 A JP H1125402A JP 17419197 A JP17419197 A JP 17419197A JP 17419197 A JP17419197 A JP 17419197A JP H1125402 A JPH1125402 A JP H1125402A
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昭彦 竹尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】垂直磁気記録においてトラッキング用サーボ信
号の熱緩和による再生出力の経時変化を小さくした磁気
記録再生装置を提供する。 【解決手段】トラッキング用サーボ信号が記録された記
録層を有する垂直磁気記録媒体と、この垂直磁気記録媒
体に対して情報の記録および再生を行うための少なくと
も一つの磁気ヘッドとを有する磁気記録再生装置におい
て、記録層のサーボ信号が記録された記録ビット内の磁
化飽和時の最大減磁界Hdmax が記録層の保磁力Hcよ
り小さくなるようにサーボ信号の記録ビット長λ/2
(記録波長λ)を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク装
置などの磁気記録再生装置に係り、特に垂直磁気記録媒
体を用いた高密度磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報化社会の急速な進展により、
扱う情報量は急激に増加している。これに伴い、磁気記
録再生装置をはじめとする情報記録機器に対する高密度
化、大容量化の要求は、止まることを知らない。磁気記
録再生装置の中でも、主にコンピュータに用いられる磁
気ディスク装置、特にハードディスク装置は年率30〜
60%の割合で容量増加が図られている。
【0003】磁気ディスク装置などの磁気記録再生装置
において、記録密度を高くしてゆくと、記録ビット当た
りの媒体面積が小さくなるためS/Nが低下し、エラー
の少ない良好な再生が難しくなる。この問題を解決する
ために、記録用ヘッドとは別に再生用ヘッドとして磁気
抵抗効果を利用したMRヘッドを用いる方法が知られて
いる。MRヘッドを再生ヘッドに用いる場合、磁気記録
媒体においては、線記録密度を高めるために、磁化反転
の幅を小さくすることと同時に、媒体ノイズを低下させ
ることが重要となる。より小さな記録ビットに対して媒
体ノイズを低減し、S/Nを高めるためには、媒体上の
最小磁化反転単位を小さくして、記録ビット内に含まれ
る磁化反転単位数を増やすことが効果的である。
【0004】一方、線記録密度を高める方法として、1
975年に垂直磁気記録方式が提案された。垂直磁気記
録方式は、周知のように記録層が垂直方向、つまり膜面
に垂直の方向に磁化容易軸を有する垂直磁気記録媒体、
いわゆる垂直配向媒体を用いて、記録層を垂直方向に磁
化を形成して記録を行う方式である。この垂直磁気記録
方式では、従来の面内に異方性を持つ磁気記録媒体を用
いて長手方向に磁化を形成して記録を行う長手磁気記録
方式に比べて、磁化転移部分での減磁界を非常に小さく
でき、磁化転移幅を狭くできるため、より高密度記録が
可能となる。
【0005】ところで、一般に高密度記録用の磁気記録
再生装置、特にハードディスク装置では、記録/再生の
ための磁気ヘッドを目標トラック上に正しく位置決め
し、かつ磁気ヘッドが目標トラックを正しく追従するよ
うにするために、媒体上に予めトラッキング用サーボ信
号を磁気的に記録しておく方法が用いられる。このよう
なサーボ信号を用いたサーボ方式は種々あるが、ディス
ク上のトラックを分割したセクタ毎にサーボ信号を予め
記録しておき、これを磁気ヘッドにより読み出してヘッ
ドとトラック間の相対位置情報を得るセクタサーボ方式
が多く用いられている。
【0006】セクタサーボ方式に限らないが、サーボ処
理回路を単純化して処理を簡単にするためと、安定した
サーボ信号再生出力が得られるようにするため、トラッ
キング用サーボ信号は通常、記録/再生されるべき本来
の情報であるデータ信号に比べ低い周波数が用いられ
る。これに伴い、ディスク上のサーボ信号の記録ビット
は低密度記録になるため、長手磁気記録においては磁気
的に安定となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】高密度記録用の磁気記
録媒体では、高いS/Nを維持しつつ微小な記録ビット
を形成するために、一般的に磁性粒子のサイズが微細化
されるが、磁性粒子サイズが小さくなりすぎると熱緩和
現象が生じ、磁性粒子の自発磁化が一定方向を維持でき
なくなる。この結果、記録当初は十分な再生出力が得ら
れるような磁化パターンが磁気記録媒体上に形成されて
いても、時間の経過に伴い熱緩和により再生出力が減衰
してしまうことが懸念される。一般に、磁気記録媒体の
異方性定数をKu、磁化最小単位体積をvとしたとき、
Ku・v/kT<100になると熱緩和の影響が現れて
くるといわれている。kはボルツマン定数、Tは絶対温
度である。
【0008】通常の長手磁気記録方式では、磁気記録媒
体の記録密度の高い領域において記録ビット内での減磁
界が強いために、磁性粒子径が比較的大きいうちから、
この熱緩和の影響を受けやすいという報告がある。
【0009】これに対し、垂直磁気記録方式では磁性粒
子を膜厚方向に成長させることで、媒体表面での粒径は
長手記録方式の場合と等しくとも、磁性粒子の体積を大
きくすることが可能であり、また高密度記録領域におい
ても静磁気的に安定であるため、長手磁気記録方式に比
べ同じ表面粒径でも熱緩和の影響を受けにくい記録方式
として注目されている。
【0010】しかし、垂直磁気記録においても、十分な
記録磁界を確保するためには膜厚にある程度の制限が要
求され、また低密度記録領域が存在する場合には、逆に
長手記録以上に大きな減磁界が記録ビット内に生じてし
まい、熱緩和の影響を受けやすくなる。例えば、前述し
たようにトラッキング用サーボ信号は通常、データ信号
に比べ低い周波数が用いられることから低密度記録にな
るため、垂直磁気記録においては熱緩和の影響を受けや
すく、サーボ信号の再生出力が時間経過と共に減少し、
トラッキングサーボの信頼性が低下する。
【0011】このような熱緩和現象の生じる磁気記録媒
体を産業上活用するための記録方式として、例えば一定
時間毎に再記録を行う方式が提案されているが、トラッ
キング用サーボ信号については再記録が困難であり、熱
緩和の影響の問題を避けることはできない。
【0012】上述したように、垂直磁気記録は長手磁気
記録に比べ記録分解能が高く、高い記録密度まで大きな
出力が得られるという長所を持つ反面、特に媒体上に記
録されるトラッキング用サーボ信号が熱緩和の影響を受
けてその再生出力が時間経過と共に減少してしまうとい
う問題点があった。
【0013】本発明は、このような問題点を解消するた
めになされたもので、垂直磁気記録においてトラッキン
グ用サーボ信号の熱緩和による再生出力の低下を抑制
し、長期にわたり安定したトラッキングサーボを可能と
する磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装
置において、従来の技術とは逆にトラッキング用サーボ
信号の記録波長、つまり記録ビット長を短くして、サー
ボ信号の経時的安定性を確保するようにしたことを基本
とする。
【0015】すなわち、本発明はトラッキング用サーボ
信号が記録された記録層を有する垂直磁気記録媒体と、
この垂直磁気記録媒体に対して情報の記録および再生を
行うための少なくとも一つの磁気ヘッドとを有する磁気
記録再生装置において、記録層のサーボ信号が記録され
た記録ビット内の磁化飽和時の最大減磁界(Hdmax)が
記録層の保磁力(Hc)より小さくなるようにサーボ信
号の記録ビット長(λ/2)を設定したことを特徴とす
る。
【0016】また、本発明はより具体的には垂直磁気記
録媒体の静磁気特性とトラッキング用サーボ信号の記録
トラック幅および記録波長(記録ビット長)の関係を規
定することによって、上記Hdmax <Hcの関係を得る
ようにしたものであり、垂直磁気記録媒体における記録
層の膜厚をt、保磁力をHc、飽和磁化(飽和残留磁
化)をMsとし、サーボ信号の記録トラック幅をTwと
し、サーボ信号の記録ビット長をλ/2としたとき、次
式の関係を満たすことを特徴とする。
【0017】
【数7】 さらに、トラッキング用サーボ信号が基本記録波長λの
連続信号を主体として構成されるとき、
【0018】
【数8】 または、
【0019】
【数9】 の関係を満たすことを特徴とする。式(8)はサーボ信
号を正弦波で近似した場合であり、式(9)はサーボ信
号を矩形波で近似した場合である。
【0020】さらに好ましくは、記録層の膜面に垂直な
方向の磁気特性は、該記録層の磁化を垂直方向に飽和さ
せた後、次式で表される磁界H1を飽和磁化と同方向に
加えたときの磁化M1が飽和磁化Msに対し±5%の誤
差範囲内にある関係を満たすことを特徴とする。
【0021】
【数10】
【0022】特に、サーボ信号が基本記録波長λの連続
信号である場合、記録層の膜面に垂直な方向の磁気特性
は、該記録層の磁化を垂直方向に飽和させた後、次式で
表される磁界H1を飽和磁化と同方向に加えたときの磁
化M1が飽和磁化Msに対し±5%の誤差範囲内にある
関係を満たすことを特徴とする。
【0023】
【数11】
【0024】また、特にトラック幅Twが記録波長λに
近い場合には、記録層の磁化を垂直方向に飽和させた
後、次式で表される磁界H1を飽和磁化Msと同方向に
加えたときの磁化M1が飽和磁化Msに対し±5%の誤
差範囲内にある関係を満たすことを特徴とする。
【0025】
【数12】
【0026】さらに、本発明における垂直磁気記録媒体
は、記録層の膜面に垂直な方向の磁気特性を測定した場
合の角形比が1であり、トラッキングサーボ信号が磁気
的に記録されていることが望ましい。
【0027】本発明における垂直磁気記録媒体は、軟磁
性下地層とその上に形成された記録層からなる二層媒体
であることが望ましい。また、トラッキングサーボ信号
は単磁極型ヘッドあるいはリング型ヘッドにより記録さ
れる。
【0028】このように構成された本発明の磁気記録再
生装置によると、以下に説明するような原理で垂直磁気
記録媒体に記録されたトラッキング用サーボ信号の熱緩
和による経時変化が抑制される。
【0029】図1に、垂直磁気記録における記録ビット
内の減磁界の様子を示す。トラック幅をTw、記録ビッ
ト長をλ/2、記録層の膜厚をt、記録層の垂直方向の
磁化Mzの大きさをmzとすると、減磁界Hdの大きさ
は次式で表される。
【0030】
【数13】
【0031】この減磁界Hdは、垂直方向に磁化が飽和
しているとき(mz=Msのとき)最大値Hdmax をと
る。一方、磁気記録媒体の典型的な静磁気特性として、
図2にMHループ(磁化曲線)の例を示す。記録層の最
小磁化反転単位が小さくなってくると、熱緩和現象によ
り保磁力Hc近傍の磁化が減少し、時間をおいて測定し
た場合、Hcが減少してしまう。図2で実線が初期のM
Hループ、破線がある時間経過後のMHループである。
【0032】発明者らは、この熱緩和による静磁気特性
の経時変化を詳細に調査した結果、短時間で測定したM
Hループに対して、dM/dHの大きい領域、つまりM
Hループの曲線が急傾斜の領域においては、時間が経過
した後の磁化Mの変化が激しく、磁化Mの飽和している
領域(dM/dH=0の領域)では磁化Mの経時変化は
最も小さいことを見出だした。
【0033】従って、トラッキング用サーボ信号が記録
されている記録ビットにおいても、磁化Mが飽和あるい
はそれに近い状態にあれば、磁化Mの経時変化は小さ
く、サーボ信号の経時的安定性が確保されることにな
る。ここで、垂直磁気記録媒体では後述するように記録
ビット内の磁化飽和時の最大減磁界Hdmax が保磁力H
cより小さければ、磁化Mの飽和状態が維持される。こ
のビット内の磁化飽和時の最大減磁界Hdmax は、記録
ビット長(λ/2)が小さいほど小さくなる。すなわ
ち、本発明に従いHdmax <Hcとなるように記録ビッ
ト長λ/2を設定することによって、サーボ信号の経時
変化を小さくすることができ、本発明の初期の目的が達
成されることになる。
【0034】図3(a)に、垂直磁気記録媒体のMHル
ープの典型的な例を示す。記録層の膜面に垂直な方向
(膜の法線方向)の磁気特性を測定する場合、測定中、
膜内に形状減磁界が生じるため、同図のように記録層材
料本来の磁気特性に対し、全体的にH=4πMの直線で
傾いたMHループが得られることが知られている。この
ため、Hc/4πMsが小さな媒体ではループの角形比
が低く、印加磁界Hに対して広い領域で熱緩和による磁
化Mの経時変化が顕著に見られる。このような薄膜で測
定された磁気特性に対し、形状減磁界のない状態での記
録層材料本来の磁気特性はH=4πMの直線で補正する
必要がある。このとき、MHループは図3(b)に示す
ようになる。
【0035】この記録層本来の磁気特性に対し、トラッ
キング用サーボ信号などの信号が記録された記録ビット
内では、式(13)で示されるような減磁界Hdが生じ
る。このビット内減磁界Hdが加わった状態での磁化M
の値が飽和していると、磁化Mの経時変化はほとんどな
く、逆にdM/dHの大きい領域内では磁化Mの経時変
化が大きい。従って、記録ビット内で減磁界Hdが加わ
った状態でもビット内磁化Mが飽和するように、つまり
dM/dH=0とすれば、熱緩和による再生出力の経時
変化を低減させることが可能となる。
【0036】また、上述の説明では記録ビット内の減磁
界Hdを単独に存在する1つの記録ビット内での大きさ
として計算したが、図4に示すように同じ記録波長λ
(記録ビット長λ/2)で連続した磁化パターンが形成
されている場合には、隣接磁化が減磁界Hdを弱めるこ
とになる。高記録密度において磁化を正弦波状の連続信
号と近似したとき、トラック幅Twを無限長とすると、
1つの記録ビット内での減磁界Hd′の大きさは、次式
で表される。
【0037】
【数14】
【0038】ここでは、トラック幅Twを無限長とした
が、Twが有限の場合においても、膜厚tに対してTw
が十分に大きければ、式(14)のHd′の誤差は小さ
く、計算機解析の結果では、λ・t/Tw<4では式
(12)のHd′の実際の減磁界Hdに対する誤差は数
%である。
【0039】さらに、今後の高密度化の傾向に対応し
て、膜厚tに対して大幅な狭トラック化が図られた場合
には、トラック幅Twを無限長と仮定した式(12)は
合わなくなる。その場合、記録されるサーボ信号を矩形
波信号、つまり記録ビット長λ/2の二値信号(記録波
長としてはλ)とすると、ビット中心での減磁界Hd″
は次式で表わされる。
【0040】
【数15】
【0041】以上から、記録層の膜面に垂直な方向の磁
気特性に関して、記録層の磁化を垂直方向に飽和させた
後、式(10)で表される磁界H1を飽和磁化Msと同
方向に加えたときの磁化M1が飽和磁化Msと等しく、
この状態でのdM/dHが0であるとき、記録磁化パタ
ーンは最も熱緩和現象の影響を受けにくい。
【0042】また、記録磁化パターンが記録波長λの連
続信号である場合、記録層の磁化を垂直方向に飽和させ
た後、式(11)で表される磁界H1を飽和磁化Msと
同方向に加えたときの磁化M1が飽和磁化Msと等し
く、この状態でのdM/dHが0であるとき、記録磁化
パターンは最も熱緩和現象の影響を受けにくい。
【0043】さらに、トラック幅Twが記録波長λに近
い場合には、記録層の磁化を垂直方向に飽和させた後、
式(12)で表される磁界H1を飽和磁化Msと同方向
に加えたときの磁化M1が飽和磁化Msと等しく、この
状態でのdM/dHが0であるとき、記録磁化パターン
は最も熱緩和現象の影響を受けにくくなる。
【0044】なお、式(10)(11)(12)で表さ
れる磁界H1を飽和磁化Msと同方向に加えたときの磁
化M1は、上述のように飽和磁化Msと完全に等しくす
る必要はなく、Msに対し±5%の誤差範囲内であれ
ば、記録磁化パターンが熱緩和減少の影響を受ける度合
いを実用上十分な程度まで低減することができる。
【0045】そして、垂直磁気記録媒体は垂直方向の磁
化容易軸の配向を揃えやすく、図3(b)に示したよう
に形状減磁界を補正した記録層材料本来の角形比Sおよ
び保磁力角形比S* は1に近い。このため、近似的には
Hdmax <Hcであれば、ビット内で磁化飽和時の最大
減磁界Hdmax が加わっていても、磁化Mは飽和してい
る。以上から、一つの記録ビットに対して、
【0046】
【数16】 あるいは、同一記録波長の連続信号に対して、
【0047】
【数17】 の関係を満たす記録磁化パターンとなるようにトラッキ
ング用サーボ信号の記録ビット長λ/2ないし記録波長
λを設定することにより、熱緩和現象による経時的なサ
ーボ信号再生出力の変動を低減できる。
【0048】また、予め決まった磁気特性の垂直磁気記
録媒体に対してHdmax <Hcの条件を満たすために
は、記録ビット長λ/2を変えてビット内最大減磁界H
dmaxを低く抑えればよい。言い換えれば、任意の垂直
磁気記録媒体の磁気特性に応じて、記録するサーボ信号
の記録ビット長λ/2を式(7)に示したように規定す
るか、あるいは連続サーボ信号の記録波長λを式(8)
に示したように規定すればよい。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。 (第1の実施形態)図5に、本発明の一実施形態に係る
磁気ディスク装置の概略構成を示す。磁気ディスク1は
垂直磁気記録媒体であり、スピンドルモータ2によって
回転駆動される。一方、ボイスコイルモータ3により駆
動される回転アーム4の先端部に、複合型磁気ヘッド5
が搭載されている。複合型磁気ヘッド5は、例えば垂直
磁気記録用の単磁極型ヘッドあるいはリング型ヘッドを
記録ヘッドとし、MRヘッド(磁気抵抗型ヘッド)を再
生ヘッドとして一体化したヘッドであり、薄膜技術によ
り形成される。MRヘッドには、GMRヘッドを用いて
もよい。
【0050】磁気ディスク1上には、例えばセクタサー
ボ方式の場合、図6に示すようにトラッキングサーボ信
号が記録されている。すなわち、磁気ディスク1上のト
ラックは円周方向に複数のエリア(これをセクタとい
う)に分割され、これらのうちの幾つかのセクタをサー
ボセクタ、それ以外のセクタをデータセクタとして、サ
ーボセクタ上に図のようなサーボパターンがトラッキン
グ用サーボ信号として予め記録されている。データセク
タには、データ信号が記録される。
【0051】図7に、磁気ディスク1として用いられる
垂直磁気記録媒体の一例の断面図を示す。同図に示され
るように、この垂直磁気記録媒体はリジッドなディスク
基板11の上に記録層12および保護膜13を順次積層
した構造となっている。
【0052】図8に、このような垂直磁気記録媒体のM
Hループ(磁化曲線)の測定結果を示す。ここで、垂直
磁気記録媒体の記録層12の膜厚t=25[nm]、K
u・v/kT=80、保磁力Hc=2900[Oe]、
飽和磁化Ms=300[emu/cc]とし、試料振動
型磁力計(VSM)を使用して10分間にわたって測定
を行った。図中の点a,b,c,dについて、磁界印加
48時間後の磁化の変化を白丸で示す。点a,bでは磁
化の減衰が認められるが、飽和磁化領域にある点c,d
ではほとんど磁化の変化は認められなかった。
【0053】この垂直磁気記録媒体にオントラックで連
続信号からなるトラッキング用サーボ信号を記録し、再
生出力の経時変化を調べた。記録にはトラック幅Twが
1μmのリング型ヘッド、再生にはMRヘッドをそれぞ
れ用い、再生出力の経時変化としては記録直後(2分後
程度)の再生出力に対し、室温で放置して半年経過した
後の再生出力の変化について測定を行った。トラック幅
Twが1μmに満たない狭トラックの記録は、1μmト
ラック幅で信号を記録した後、ヘッド位置をオフトラッ
クさせ、記録トラックの一部を消去することにより行っ
た。
【0054】表1に、記録ビット長(記録密度)別にト
ラック幅Tw、保磁力Hcと減磁界Hdの大小関係およ
び再生出力経時変化を測定して結果を示す。ここで、再
生出力経時変化については、半年経過する間に15%以
上の減衰があったものを「×」とし、減衰が15%に満
たないものを「○」としている(以下同様)。
【0055】
【表1】
【0056】この結果から明らかなように、保磁力Hc
とビット内最大減磁界Hdmax が本発明に従うHd<H
cの関係を満たす場合には、再生出力経時変化が低減さ
れている。
【0057】次に、比較例として長手磁気記録媒体を用
いて同様の測定を行った結果を表2に示す。ここで用い
た媒体の保磁力はHc=2200[Oe]、Ku・v/
kT=65である。
【0058】
【表2】
【0059】このように長手磁気記録では、垂直磁気記
録とは逆に記録密度が高くなるほど再生出力の経時変化
が見られる。長手磁気記録では記録ビットが小さいほ
ど、媒体内部での減磁界を強く受けるためである。
【0060】(第2の実施形態)次に、垂直磁気記録媒
体として第1の実施形態と磁気特性の異なる媒体を用い
た例について説明する。垂直磁気記録媒体における記録
層の記録ビット内の磁化飽和時の最大減磁界Hdmax 、
すなわち
【0061】
【数18】 は4πMsを超えることはないので、常に
【0062】
【数19】 である。
【0063】従って、記録層の膜面に垂直な方向の磁気
特性を形状減磁界込みで測定したときの角形比が1であ
るような媒体では、サーボ信号の任意のトラック幅Tw
および記録波長λに対して、無条件に、『記録層の磁化
を垂直方向に飽和させた後、磁界H1を飽和磁化と同方
向に加えたときの磁化M1が飽和磁化Msとが等しい』
という関係を満たすことになる。
【0064】但し、実際には磁化の測定誤差なども含ま
れるため、磁気特性上、M1,Msの二つの値が等しい
と定義することは難しい。そこで、あるトラック幅Tw
と記録波長λで決まる磁界H1を印加した時の磁化の値
M1と飽和磁化Msの差(測定誤差も含む)(Ms−M
1)/Msに対して、再生信号出力の半年後の経時変化
を測定した結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】この結果より、M1とMsの差が5%以内
では、再生出力の経時変化が少ないことが分かる。さら
に、垂直磁気記録媒体の磁気特性別に見た再生出力経時
変化の測定結果について表4に示す。この例では、膜厚
t、Ku・v/kT、保磁力Hc、飽和磁化Ms、トラ
ック幅Twおよび記録ビット長λ/2を変えて、保磁力
Hcと減磁界Hdの大小関係および再生出力経時変化を
測定している。
【0067】
【表4】
【0068】この結果から明らかなように、どのような
磁気特性においても保磁力Hcとビット内での磁化飽和
時の最大減磁界Hdmax が本発明に従うHdmax <Hc
の関係を満たす場合には、再生出力経時変化が低減され
ていることが分かる。
【0069】なお、図7に示した垂直磁気記録媒体で
は、基板11上に記録層12を直接形成したが、基板上
にまず軟磁性層を形成し、その上に記録層を形成した二
層媒体を用いた場合にも、同様に本発明を適用すること
ができる。
【0070】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば垂直
磁気記録媒体上に記録されるトラッキング用サーボ信号
について熱緩和の影響を低減し、長時間にわたり安定し
たサーボ信号再生出力を得ることが可能となる。
【0071】また、本発明では従来よりも高い記録密度
でサーボ信号を形成することによる副次的な効果とし
て、媒体上のサーボ信号領域の占める面積が小さくな
り、磁気ディスクのデータ記録効率が向上するという利
点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録ビット内に生じる減磁界についての説明図
【図2】磁気記録媒体のMHループの典型的な例を示す
【図3】垂直磁気記録媒体の形状減磁界が加わった状態
および減磁界補正を行った状態でのMHループを示す図
【図4】連続磁化パターン内に生じる減磁界についての
説明図
【図5】本発明に係る磁気ディスク装置の概略構成図
【図6】セクタサーボ方式による磁気ディスク上のサー
ボパターンの例を示す図
【図7】垂直磁気記録媒体の構成を示す断面図
【図8】垂直磁気記録媒体のMHループとその経時変化
の測定結果を示す図
【符号の説明】
1…磁気ディスク(垂直磁気記録媒体) 2…スピンドルモータ 3…ボイスコイルモータ 4…回転アーム 5…複合型磁気ヘッド 11…ディスク基板 12…記録層 13…保護層

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トラッキング用サーボ信号が記録された記
    録層を有する垂直磁気記録媒体と、この垂直磁気記録媒
    体に対して情報の記録および再生を行うための少なくと
    も一つの磁気ヘッドとを有する磁気記録再生装置におい
    て、 前記記録層の前記サーボ信号が記録された記録ビット内
    の磁化飽和時の最大減磁界が該記録層の保磁力より小さ
    くなるように前記サーボ信号の記録ビット長を設定した
    ことを特徴とする磁気記録再生装置。
  2. 【請求項2】トラッキング用サーボ信号が記録された記
    録層を有する垂直磁気記録媒体と、この垂直磁気記録媒
    体に対して情報の記録および再生を行うための少なくと
    も一つの磁気ヘッドとを有する磁気記録再生装置におい
    て、 前記記録層の膜厚をt、保磁力をHc、飽和磁化をMs
    とし、前記サーボ信号の記録トラック幅をTw、記録ビ
    ット長をλ/2としたとき、 【数1】 の関係を満たすことを特徴とする磁気記録再生装置。
  3. 【請求項3】トラッキング用サーボ信号が記録された記
    録層を有する垂直磁気記録媒体と、この垂直磁気記録媒
    体に対して情報の記録および再生を行うための少なくと
    も一つの磁気ヘッドとを有する磁気記録再生装置におい
    て、 前記記録層の膜厚をt、保磁力をHc、飽和磁化をMs
    とし、前記サーボ信号の記録トラック幅をTwとし、前
    記サーボ信号が基本記録波長λの連続信号を主体として
    構成されるとき、 【数2】 の関係を満たすことを特徴とする磁気記録再生装置。
  4. 【請求項4】トラッキング用サーボ信号が記録された記
    録層を有する垂直磁気記録媒体と、この垂直磁気記録媒
    体に対して情報の記録および再生を行うための少なくと
    も一つの磁気ヘッドとを有する磁気記録再生装置におい
    て、 前記記録層の膜厚をt、保磁力をHc、飽和磁化をMs
    とし、前記サーボ信号の記録トラック幅をTwとし、前
    記サーボ信号が基本記録波長λの連続信号を主体として
    構成されるとき、 【数3】 の関係を満たすことを特徴とする磁気記録再生装置。
  5. 【請求項5】前記記録層の膜面に垂直な方向の磁気特性
    は、該記録層の磁化を垂直方向に飽和させた後、 【数4】 で表される磁界H1を飽和磁化と同方向に加えたときの
    磁化M1が飽和磁化Msに対し±5%の誤差範囲内にあ
    る関係を満たすことを特徴とする請求項2記載の磁気記
    録再生装置。
  6. 【請求項6】前記記録層の膜面に垂直な方向の磁気特性
    は、該記録層の磁化を垂直方向に飽和させた後、 【数5】 で表される磁界H1を飽和磁化Msと同方向に加えたと
    きの磁化M1が飽和磁化Msに対し±5%の誤差範囲内
    にある関係を満たすことを特徴とする請求項4記載の磁
    気記録再生装置。
  7. 【請求項7】前記記録層の膜面に垂直な方向の磁気特性
    は、該記録層の磁化を垂直方向に飽和させた後、 【数6】 で表される磁界H1を飽和磁化Msと同方向に加えたと
    きの磁化M1が飽和磁化Msに対し±5%の誤差範囲内
    にある関係を満たすことを特徴とする請求項3記載の磁
    気記録再生装置。
  8. 【請求項8】前記垂直磁気記録媒体は、前記記録層の膜
    面に垂直な方向の磁気特性を測定した場合の角形比が1
    であり、前記トラッキングサーボ信号は前記記録層に磁
    気的に記録されていることを特徴とする請求項1〜7の
    いずれか1項記載の磁気記録再生装置。
  9. 【請求項9】前記垂直磁気記録媒体は、軟磁性下地層と
    その上に形成された記録層からなることを特徴とする請
    求項1〜8のいずれか1項記載の磁気記録再生装置。
  10. 【請求項10】前記トラッキングサーボ信号は単磁極型
    ヘッドにより記録されていることを特徴とする請求項1
    〜9のいずれか1項記載の磁気記録再生装置。
  11. 【請求項11】前記トラッキングサーボ信号はリング型
    ヘッドにより記録されていることを特徴とする請求項1
    〜9のいずれか1項記載の磁気記録再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6924957B2 (en) 2001-07-30 2005-08-02 Kabushiki Kaisha Toshiba Method and apparatus for servo track write in disk drive for perpendicular magnetic recording
US7099104B2 (en) 2002-11-29 2006-08-29 Kabushiki Kaisha Toshiba Method for servo writing and disk drive with servo control system

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