JPH09290429A - 加飾成形品の製造方法 - Google Patents

加飾成形品の製造方法

Info

Publication number
JPH09290429A
JPH09290429A JP8108070A JP10807096A JPH09290429A JP H09290429 A JPH09290429 A JP H09290429A JP 8108070 A JP8108070 A JP 8108070A JP 10807096 A JP10807096 A JP 10807096A JP H09290429 A JPH09290429 A JP H09290429A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molding
weight
mold
thermosetting resin
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8108070A
Other languages
English (en)
Inventor
Natsuki Morishita
夏樹 森下
Toshimitsu Tsuji
敏充 辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP8108070A priority Critical patent/JPH09290429A/ja
Publication of JPH09290429A publication Critical patent/JPH09290429A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面性が良好な、加熱硬化性樹脂からなる加
飾成形品を、短い成形時間で得る製造方法を提供する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂(例えば、不飽和ポリエス
テル樹脂)の樹脂分100重量部に対して、1時間半減
期温度が100〜115℃である有機過酸化物(例え
ば、1,1−ビスターシャリーヘキシルパーオキシ−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)を0.2〜3
重量部、及び1時間半減期温度が120〜150℃であ
る有機過酸化物(例えば、ターシャリーブチルパーオキ
シベンゾエート)を0.3〜4重量部含有する熱硬化性
樹脂組成物を印刷又は着色した基材に含浸させてなる加
飾成形用シートを、金型上に載置し、その上に熱硬化性
成形材料を載置し、その後、型を閉めて加熱加圧成形す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面性が良好な、
熱硬化性樹脂からなる加飾成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化プラスチック(以下、FRPと
いう)製品を大量生産する場合に、原料として、シート
・モールディング・コンパウンド(以下、SMCとい
う)、又はバルク・モールディング・コンパウンド(以
下、BMCという)等の熱硬化性成形材料を用いたプレ
ス成形法が広く工業的に行われている。
【0003】しかし、このようなSMCあるいはBMC
のプレス成形法により得られた成形品は、成形品全体の
色が単一色に限定され、例えば赤色なら成形品全体の色
が赤色のものしか生産できず、意匠の自由度が非常に狭
いという欠点を有する。勿論、印刷、塗装等の後加工を
行えば、適宜意匠を付加することは可能であるが、この
場合には、複雑な後加工の工程を必要とし、生産性が劣
るものとなる。
【0004】そこで、これらのFRP製品に加飾する方
法として、例えば、特開平5─285973号公報に記
載のように、印刷したチタン紙に熱硬化性樹脂を含浸さ
せた含浸紙をSMCに積層してプレス成形し、加飾成形
品を得る方法が提案されている。この場合、加飾材料で
ある含浸紙としては、従来の建材分野において積層化粧
板等に用いられていたものがそのまま転用されていた。
従って、含浸紙に含浸させる熱硬化性樹脂の硬化剤とし
ては、化粧板等の製造に好適に用いられていたベンゾイ
ルパーオキサイドがそのまま用いられていたと推察され
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等の知見によれば、このような方法で得られた成形品
は、プレス成形時にいわゆるプリゲル(プレス成形完了
前に樹脂の一部が硬化すること)が発生しやすく、その
加飾部分の表面性が悪く、微小な凹凸が表面の広い面積
に発生し、その部分については光沢が悪く、かつ表面が
汚染されやすいという問題点があった。
【0006】本発明は、上記の如き、従来のFRP加飾
成形品の製造上の問題点に着目してなされたものであ
り、表面性の良好な加飾成形品の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱硬化性樹脂
の樹脂分100重量部に対して、1時間半減期温度が1
00〜120℃未満である有機過酸化物(以下、第1の
硬化剤と記す)を0.2〜3重量部、及び1時間半減期
温度が120〜150℃である有機過酸化物(以下、第
2の硬化剤と記す)を0.3〜4重量部含有する熱硬化
性樹脂組成物を印刷又は着色した基材に含浸させてなる
加飾成形用シートを、金型上に載置し、その上に熱硬化
性成形材料を載置し、その後、型を閉めて加熱加圧成形
することを特徴とする加飾成形品の製造方法である。
【0008】本発明において、加飾成形用シートとして
は、熱硬化性樹脂に第1の硬化剤及び第2の硬化剤を含
有する熱硬化性樹脂組成物を、印刷又は着色した基材に
含浸させたものが用いられる。
【0009】ここで基材とは、従来から積層化粧板やF
RP成形分野で使用される基材を言い、例えば、紙、織
布、不織布、ガラスマット、ガラスクロス等をいう。
【0010】上記紙としては、例えば、チタン紙、オー
バーレイ紙、パターン紙、コア紙、バランス紙、バリア
ー紙、新聞巻き取り紙、薄様紙、上質紙、中質紙、更
紙、グラビア用紙、筆記用紙、図画用紙等が挙げられ、
中でもチタン紙、オーバーレイ紙が、樹脂の含浸性、価
格等の点から好ましく用いられる。また紙の目付量とし
ては、好ましくは40〜150g/m2 であり、より好
ましくは60〜130g/m2 である。
【0011】紙への印刷又は着色による加飾方法として
は、印刷、転写、彩色等の一般的方法を用いる。印刷方
法としては従来公知の各種方法が可能であり、例えば、
グラビア印刷方式、グラビア・オフセット印刷方式、シ
ルクスクリーン印刷方式、凸版印刷方式、オフセット印
刷方式等が挙げられる。
【0012】紙への着色方法としては、例えば、抄造時
に顔料等を混ぜ込む方法、抄造後にインク等を染み込ま
せる方法、絵の具や塗料を塗布する方法等が挙げられ
る。
【0013】上記織布としては、例えば絹、麻、木綿等
の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリエステル、ナ
イロン、アクリル等の合成繊維等を織成してなるものが
挙げられる。
【0014】上記不織布としては、例えば絹、麻、木綿
等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリエステル、
ナイロン、アクリル等の合成繊維等を化学的、熱的に接
着または繊維同士の溶着等を利用して布状としたものが
挙げられる。
【0015】上記ガラスマットとしては、例えば、ガラ
ス繊維を接着剤(バインダー)を用いて接着させ、布状
としたものが挙げられる。
【0016】上記ガラスクロスとしては、例えば、ガラ
ス繊維を織成してなる従来公知のものが挙げられる。
【0017】これら基材への印刷又は着色による加飾方
法は、上述した紙と同様の方法が可能であり、更に基材
の製造工程において着色繊維を一部使用しても構わな
い。
【0018】印刷又は着色の態様としても、単一色に彩
色しても構わないし、複数色を用いて模様等図柄を形成
させても構わない。目的に応じて自在な意匠を適用して
加飾することが可能である。
【0019】上記熱硬化性樹脂とは、積層化粧板等の製
造において一般的に用いられる樹脂であり、好ましく
は、有機過酸化物との反応性が良好な樹脂であり、例え
ば、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹
脂,エポキシアクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹
脂等が挙げられる。
【0020】上記不飽和ポリエステル樹脂は、公知慣用
の方法により、通常、エチレングライコール、プロピレ
ングライコール等の有機グライコールと、無水マレイン
酸、フマル酸等の不飽和酸と、さらに必要に応じて、無
水フタル酸、イソフタル酸等の飽和酸とから製造された
ものである。
【0021】上記ウレタンアクリレート樹脂は、通常、
ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオール等
の有機ポリオールに、トリレンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネ
ートを反応させ、さらにヒドロキシエチルメタクリレー
ト等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応
させて製造されたものである。
【0022】上記エポキシアクリレート樹脂は、通常、
エピクロルヒドリンとビスフェノールAとの反応で得ら
れるビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂
と(メタ)アクリル酸等の反応性二重結合を持つモノカ
ルボン酸とから製造されたものである。
【0023】上記ジアリルフタレート樹脂は、通常、ジ
アリルフタレートモノマーを過酸化ベンゾイル等の過酸
化物触媒の存在下で加熱、重合させてプレポリマー化さ
せたものである。
【0024】本発明の熱硬化性樹脂の樹脂分とは、上記
熱硬化性樹脂と必要により加えられる共重合性モノマー
との合計量を言う。
【0025】本発明の熱硬化性樹脂組成物には、第1の
硬化剤、及び第2の硬化剤として、それぞれラジカル反
応開始剤としての有機過酸化物を用いる。
【0026】上記第1の硬化剤の有機過酸化物は、1時
間半減期温度が100〜120℃未満であることが必要
であり、好適には102〜115℃であり、より好適に
は104〜113℃である。1時間半減期温度がこれよ
りも低い場合には、反応開始が早すぎて成形時にプリゲ
ルが発生しやすく、逆に高すぎる場合には、反応速度が
遅すぎて硬化不足になったり、成形時間が長くかかり過
ぎる欠点が生じる。
【0027】第2の硬化剤の有機過酸化物は、1時間半
減期温度が120〜150℃であることが必要であり、
好適には122〜145℃であり、より好適には124
〜140℃である。1時間半減期温度がこれよりも低い
場合には、反応開始が早すぎて成形時にプリゲルが発生
しやすく、逆に高すぎる場合には、反応速度が遅すぎて
硬化不足になったり、成形時間が長くかかり過ぎる欠点
が生じる。
【0028】第1の硬化剤の1時間半減期温度と、第2
の硬化剤の1時間半減期温度との関係としては、この両
者の差が5〜45℃であることが好適であり、より好適
には10〜40℃であり、さらに好ましくは13〜35
℃である。この差を設けることにより、ゲル化時間を長
く(プリゲルが発生しにくく)し、かつ硬化完了までの
時間を短縮できる。従ってその差が小さい場合には反応
時間が早すぎるため、成形時にプリゲルが発生しやす
く、逆に差が大きすぎる場合には反応速度が遅すぎるた
め硬化不足になったり成形時間が長くかかりすぎる。
【0029】第1の硬化剤として使用可能な有機過酸化
物としては、パーオキシエステル類、パーオキシケター
ル類に属するものが挙げられる。パーオキシエステル類
としては、例えばターシャリーヘキシルパーオキシイソ
プロピルカーボネート(1時間半減期温度114.6
℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(メタトルオイル
パーオキシ)ヘキサン(1時間半減期温度117.3
℃)、ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルモノ
カーボネート(1時間半減期温度118.4℃)等が挙
げられる。
【0030】また、パーオキシケタール類としては、例
えば、1,1−ビスターシャリーへキシルパーオキシ−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1時間半減期
温度106.4℃)、1,1−ビスターシャリーヘキシ
ルパーオキシシクロヘキサン(1時間半減期温度10
7.3℃)、1,1−ビスターシャリーブチルパーオキ
シ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1時間半
減期温度109.2℃)、1,1−ビスターシャリーブ
チルパーオキシシクロヘキサン(1時間半減期温度11
1.1℃)、2,2−ビス(4、4−ジターシャリーブ
チルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(1時間半減
期温度114.0℃)、1,1−ビス(ターシャリーブ
チルパーオキシ)シクロドデカン(1時間半減期温度1
14.0℃)等が挙げられる。中でも、ターシャリーヘ
キシルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1−
ビスターシャリーへキシル−オキシ−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン、1,1−ビスターシャリーブチ
ルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
等が、安全性、取り扱い性、価格の点で有利であり好適
である。
【0031】第2の硬化剤として使用可能な有機過酸化
物としては、パーオキシエステル類、パーオキシケター
ル類、ジアルキルパーオキサイド類に属するものが挙げ
られる。パーオキシエステル類としては、例えば、ター
シャリーブチルパーオキシアセテート(1時間半減期温
度120.9℃)、ターシャリーブチルパーオキシベン
ゾエート(1時間半減期温度124.7℃)、ジターシ
ャリーブチルパーオキシイソフタレート(1時間半減期
温度126.7℃)、2,2−ビス(ターシャリーブチ
ルパーオキシ)ブタン(1時間半減期温度121.7
℃)、ブチル4,4−ビス(ターシャリーブチルパーオ
キシ)バレレート(1時間半減期温度126.7℃)、
α,-α′ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ジイソ
プロピルベンゼン(1時間半減期温度137.7℃)、
ジクミルパーオキサイド(1時間半減期温度135.7
℃)、2,5−ジメチル−2,5−(ターシャリーブチ
ルパーオキシ)ヘキサン(1時間半減期温度138.1
℃)、ターシャリーブチルクミルパーオキサイド(1時
間半減期温度138.1℃)、ジターシャリーブチルパ
ーオキサイド(1時間半減期温度144.1℃)、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオ
キシ)ヘキシン3(1時間半減期温度138.1℃)等
が挙げられる。中でも、ターシャリーブチルパーオキシ
ベンゾエート、ジクミルパーオキサイド等が、安全性、
取り扱い性、価格の点で有利であり好適である。
【0032】第1の硬化剤の使用量は、少なすぎる場合
には成形時に加飾成形用シートが完全硬化に至りにく
く、逆に多すぎる場合には成形時に加飾成形用シートが
黄変しやすいという欠点が生じるので、前記熱硬化性樹
脂の樹脂分100重量部に対して0.2〜3重量部に限
定され、0.3〜2.5重量部が好適であり、より好適
には0.4〜2.0重量部である。
【0033】第2の硬化剤の使用量は、少なすぎる場合
には成形時に加飾成形用シートが完全硬化に至りにく
く、逆に多すぎる場合には成形時に加飾成形用シートが
黄変しやすいという欠点が生じるので、前記熱硬化性樹
脂の樹脂分100重量部に対して0.4〜4重量部に限
定され、0.3〜2.5重量部が好適であり、より好適
には0.4〜2.5重量部である。
【0034】第1の硬化剤と第2の硬化剤の総量として
は、少なすぎる場合には成形時に加飾成形用シートが完
全硬化に至りにくく、逆に多すぎる場合には成形時に加
飾成形用シートが黄変しやすいという欠点が生じるの
で、前記熱硬化性樹脂の樹脂合計100重量部に対して
0.6〜4重量部に限定され、0.8〜3.5重量部が
好適である。
【0035】上記熱硬化性樹脂組成物には、第1の硬化
剤、第2の硬化剤の他に、必要に応じて、1時間半減期
温度が100℃未満の有機過酸化物を併用することがで
きる。その使用量としては、多すぎると成形品の表面性
が悪くなり易い欠点を生じるため、前記熱硬化性樹脂の
樹脂分100重量部に対して0.5重量部以下が好まし
く、より好適には0.3重量部以下である。
【0036】上記熱硬化性樹脂には、第1の硬化剤、第
2の硬化剤の他に、必要に応じて、1時間半減期温度が
150℃を越える有機過酸化物を併用することができ
る。その使用量としては、多すぎると成形時に加飾成形
用シートが黄変し易いという欠点を生じるため、前記熱
硬化性樹脂の樹脂分100重量部に対して1.0以下が
好ましく、より好適には0.5重量部以下である。
【0037】ここで、上記のように、各種有機過酸化物
を併用する場合には、それらの有機過酸化物の総量とし
ては、少なすぎる場合には成形時に加飾成形用シートが
完全硬化に至りにくく、逆に多すぎる場合には成形時に
加飾成形用シートが黄変しやすいという欠点が生じるの
で、前記熱硬化性樹脂の樹脂分100重量部に対して
0.8〜4重量部が好ましく、より好適には0.6〜
3.5重量部が好適である。
【0038】本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物
は、前記熱硬化性樹脂に第1の硬化剤、第2の硬化剤を
混合し、必要に応じて、他の有機過酸化物、溶剤、モノ
マーを添加混合して得られる。例えば、粘度の高い樹脂
組成物においては、含浸性を改良するために非重合性溶
剤もしくは溶剤として重合性モノマーを加えて粘度を低
下させる。また反応性の低い樹脂組成物においては、モ
ノマー等を添加して反応性を改良することができる。な
お、粘度調節のために溶剤を用いる場合には、基材への
含浸工程の後に、溶剤を揮発乾燥させる工程を経ること
が好ましい。
【0039】上記樹脂組成物には、さらに必要に応じ、
各種充填剤、添加剤を添加しても良い。例えば、炭酸カ
ルシウム等の無機充填剤、ジメチルアニリンやナフテン
酸コバルト等の硬化促進剤、パラベンゾキノン等の重合
禁止剤、帯電防止剤、離型剤等が挙げられる。
【0040】本発明に用いられる加飾成形用シートは、
前記基材に上記熱硬化性樹脂組成物を含浸させることに
より得られるが、シート中の基材量としては、基材とし
て紙、織布、不織布等の有機系基材を用いる場合には、
含浸・乾燥後のシート重量に対して、基材重量が25〜
70重量%となるよう調製するのが好ましい。より好適
には35〜40重量%である。基材として、ガラスクロ
ス、ガラスマット等無機系のものを用いる場合には、こ
の比率が10〜50重量%が好ましく、より好ましくは
20〜40重量%である。
【0041】基材への上記樹脂組成物の含浸方法は従来
公知の方法が使用される。例えば、樹脂組成物の入った
槽に基材を浸漬して含浸し、ロール等でしごいて含浸量
を調節した後、必要に応じ乾燥炉で乾燥する方法、又は
ベルト上に基材を載せ移動させつつ樹脂組成物を基材上
に流し、ロール又はブレードでしごいてゆく方法等が挙
げられる。
【0042】本発明においては、上記のように調製した
加飾成形用シートを、金型上に載置し、その上に熱硬化
性成形材料を載置し、その後、型を閉めて加熱加圧成形
して加飾成形品を得る。
【0043】上記熱硬化性成形材料としては、通常のF
RP成形分野で一般的に使用されているSMCやBMC
をそのまま使用することができる。具体的には、例え
ば、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂、エポ
キシアクリレート樹脂、又はウレタンアクリレート樹脂
のスチレン溶液(スチレン濃度40〜70重量%)60
〜100重量部に、ポリメチルメタクリレート、ポリス
チレン、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂のスチレン溶
液(スチレン濃度40〜70重量%)0〜40重量部を
加えて100重量部とし、これにターシャリーブチルパ
ーオキシベンゾエート等の有機過酸化物0.7〜2.5
重量部、及び無機成分〔酸化チタン、酸化鉄、カーボン
ブラック、チタンイエロー等の着色顔料5〜20重量
部、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の充填剤粉
末60〜160重量部〕70〜180重量部を加えて混
練してコンパウンドとし、ガラス繊維等の補強材5〜8
0重量部に含浸させてSMC又はBMCの形態にしたも
のが好適に使用される。
【0044】本発明の加飾成形品の製造方法は、上記の
ような材料を用いて、次のようなプロセスをとる。本発
明において、成形機としては従来公知のプレス成形機が
使用可能である。本発明において、成形型としては、従
来公知の金型や鋳物型が使用可能である。成形型の形式
としては、左右型(横型)でも上下型(縦型)でも構わ
ないが、一般的には、上下型が好ましい。この場合に
は、通常、上型を可動型、下型を固定型として用いる。
【0045】成形機に成形型を取り付け、加熱した後、
成形型内に、加飾成形用シートをその目的の位置に載置
する。型の温度は、120〜170℃が好適で、130
〜155℃がより好適で、さらに好ましくは135〜1
50℃である。型温度が低すぎると、硬化に時間がかか
りすぎ、逆に高すぎる場合には表面性の不良が発生しや
すくなる。ここで、加飾成形用シートを載置する向きと
しては、金型表面即ち出来上がり製品の表面側を印刷又
は着色した面とするのが普通であるが、必要に応じて、
成形材料側を印刷又は着色した面とすることもできる。
【0046】次に、その上に、成形材料を載置する。こ
の工程は加飾成形用シートを金型に載置した後、2分以
内に完了させるのが好ましい。1分30秒以内に完了す
ることがより好適であり、さらに好ましくは1分以内で
ある。余り遅すぎる場合には、表面性の不良が発生しや
すくなる。
【0047】そして、型を締め、通常、10〜120k
g/cm2 の圧力で加圧成形する。加圧時間は40秒〜
7分が好適であり、より好適には1分30秒〜6分であ
り、さらに好適には2〜5分である。加圧時間が短すぎ
ると、硬化不足となって製品強度が不十分となり、長す
ぎると生産効率の点で好ましくない。所定時間の加圧
後、製品を脱型して加飾成形品を得る。
【0048】本発明により得られる成形品の形態として
は、図1、図2に示すように、加飾成形用シート1と熱
硬化性成形材料2との積層状態とされたものである。
【0049】(作用)従来用いられていた加飾成形用シ
ートは、シートを製造する時に用いる熱硬化性樹脂組成
物として、旧来の積層化粧板に用いられていた配合がそ
のまま転用されていた。しかし、硬化剤として、例え
ば、ベンゾイルパーオキサイド(1時間半減期温度9
2.0℃)をそのままFRPプレス工程に用いると、本
発明者等の研究によれば、加飾成形用シートを金型に載
置すると同時に硬化が始まり、成形材料をシートの上に
載置する工程時間の間にも硬化が進み、金型を締め加圧
する前にシートは硬化してしまう。即ち圧の無い状態の
まま硬化することになり、シート製造時の表面の凹凸を
残したままで硬化してしまい、いわゆるプリゲルと呼ば
れる表面性不良な製品となる。
【0050】本発明の製造方法においては、加飾成形用
シートに含浸される熱硬化性樹脂組成物の硬化剤たる有
機過酸化物の1時間半減期温度が100〜120℃未満
であることにより、シートを金型に載置した後、成形材
料を載置する間には硬化が始まらず、その後金型が締ま
った後に第1の硬化剤が反応を始め、シートの硬化が始
まる。そしてその反応熱により1時間半減期温度が12
0〜150℃である第2の硬化剤が急激に反応を始めて
速やかに硬化完了に至る。すなわち、第1の硬化剤によ
り適切なゲル化時間が得られるので、プリゲルという表
面性不良は起こらない。また、第2の硬化剤の作用によ
り短い硬化完了時間が得られ、成形工程を速いものとす
ることができる。このように1時間半減期温度が異なる
有機過酸化物を併用することにより、短い成形時間で十
分硬化し、硬化不足による光沢不良、強度発現不良等の
性能不足のない良好な製品が得られる。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。1.成形機及び成形型の準備 成形型として、川崎油工社製、300トンプレス成形機
を準備した。成形型として、100cm×100cmの
正方形平板を成形する上下型からなる金型であって、上
下型共に電気ヒーター及び冷却配管が埋め込まれたもの
を準備した。この金型をプレス成形機に取り付け、上型
を可動型とし、下型を固定型とした。
【0052】2.加飾成形用シートの調製 加飾成形用シートの調製は、以下のようにした。 (1)熱硬化性樹脂組成物の調製 熱硬化性樹脂組成物1:不飽和ポリエステル樹脂液〔イ
ソフタル酸系の不飽和ポリエステル樹脂(数平均分子量
約2000)をアセトンに溶解したもの(アセトン濃度
40重量%)〕83重量部(乾燥後の重量として50重
量部)と、ジアリルフタレート樹脂液〔ジアリルフタレ
ート樹脂(数平均分子量約700)をアセトンに溶解し
たもの(アセトン濃度45重量%)〕91重量部(乾燥
後の重量として50重量部)と、第1の硬化剤1,1−
ビスターシャリーヘキシルパーオキシ−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン(1時間半減期温度106.4
℃)1重量部と、第2の硬化剤ターシャリーブチルパー
オキシベンゾエート(1時間半減期温度124.7℃)
1.5重量部とを、よく攪拌混合し、熱硬化性樹脂組成
物1とした。
【0053】熱硬化性樹脂組成物2〜10 硬化剤配合を表1の通りに変更した以外は熱硬化性樹脂
組成物1と同様に作製した。なお、表1において有機過
酸化物の略称は次の通りである。 BPO:ベンゾイルパーオキサイド(1時間半減期温度
92.0℃) H3M:1,1−ビスターシャリーヘキシルパーオキシ
−3,3,5,トリメチルシクロヘキサン(1時間半減
期温度106.4℃) 3M:1,1−ビスターシャリーブチルパーオキシ−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1時間半減期
温度109.2℃) TBPB:ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート
(1時間半減期温度124.7℃) DCPO:ジクミルパーオキサイド(1時間半減期温度
135.7℃) IBHO:ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサ
イド(1時間半減期温度172.8℃)
【0054】
【表1】
【0055】(2)基材 基材として次のものを用いた。 基材1:チタン紙(厚さ0.1mm、80g/m2 、P
M11P、興人社製)に石目柄を印刷したもの 基材2:オーバーレイ紙(厚さ0.12mm、85g/
2 、興人社製)に石目柄を印刷したもの 基材3:ナイロン織布(厚さ0.1mm、90g/
2 、東洋紡績社製)に石目柄を印刷したもの 基材4:ポリエステル不織布(厚さ0.36mm、4
0.7g/m2 、ソンタラ♯8000、東レ・デュポン
社製)に石目柄を印刷したもの。
【0056】(3)含浸及び乾燥 加飾成形用シート1:基材1を80cm×80cmの大
きさに切り、上記熱硬化性樹脂組成物1に浸漬して含浸
させ、ロールで余分な樹脂をしごいた後、乾燥炉にて8
0℃で1時間乾燥させ加飾成形用シートを得た。このシ
ートの基材含有率は40重量%であった。 加飾成形用シート2〜13:表2と表3に示した熱硬化
性樹脂組成物及び基材を用いた以外は加飾成形用シート
1と同様に作製した。得られた加飾成形用シートの基材
含有率は表2、表3中に示した。なお、表2と表3にお
いては、加飾成形用シートは単にシート、及び熱硬化性
樹脂組成物は単に樹脂組成物と記した。
【0057】3.成形材料の調製 不飽和ポリエステル樹脂液〔イソフタル酸系の不飽和ポ
リエステル樹脂(数平均分子量約2000)をスチレン
に溶解したもの(スチレン濃度40重量%)〕70重量
部と、ポリスチレン樹脂液〔ポリスチレン樹脂(重量平
均分子量約9500)をスチレンに溶解したもの(スチ
レン濃度65重量%)〕30重量部と、硬化剤(ターシ
ャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート)
1.5重量部と、炭酸カルシウム粉末(NS−100:
日東粉化社製)120重量部と、着色顔料(酸化チタン
粉末、SR−1:堺化学工業社製)6重量部と、増粘剤
〔酸化マグネシウム粉末(協和化学工業社製、商品名
「キョウーワマグ150」)〕1重量部と、内部離型剤
(ステアリン酸亜鉛、堺化学工業社製)3重量部とを混
合し、充分混練を行った後、SMC製造装置により、ガ
ラス繊維〔旭ファイバーグラス社製のロービング(ER
4630LBD166W)を長さ25mmに切断したも
の〕70重量部に含浸させ、40℃にて24時間熟成し
て、厚み2mmの熱硬化性成形材料であるSMCを得
た。
【0058】4.成形方法 上記の加飾成形用シート及び成形材料を用いて、以下の
実施例のように成形した。 実施例1 6分加圧品の成形 上型を140℃、下型を150℃に加熱した後、下型上
に加飾成形用シート1を1枚供給し、その上に50cm
×50cmの大きさに切った成形材料5枚を載せた。下
型上にシートを供給してから成形材料の載置までの時間
は50秒であった。次いで、型を締めて100kg/c
2 の圧力で6分間加圧成形した。その後、型を開いて
脱型し、加飾成形品を得た。 3分加圧品の成形 上記方法において、型を締めた後、加圧する時間を3分
に変更して成形し、成形品を得た。 2.5分加圧品の成形 上記方法において、型を締めた後、加圧する時間を2.
5分に変更して成形し、成形品を得た。 2分加圧品の成形 上記方法において、型を締めた後加圧する時間を、2分
に変更して成形し、成形品を得た。
【0059】実施例2〜7、比較例1〜6 加飾成形用シートを表2及び表3に示したとおりに変更
した以外は、実施例1と同様にして成形した。
【0060】5.性能評価 実施例1〜7及び比較例1〜6で得られた成形品につい
て、下記の評価方法に従って、光沢、耐汚染性を評価
し、結果を表2及び表3に示した。 光沢:各成形品について、JIS−K−5450「塗料
一般試験方法」6.7「60度鏡面光沢度」に準じて、
光沢度を光沢計(堀場製作所社製、クロスチェッカーI
G−300)にて測定した。
【0061】耐汚染性:各成形品について、表面の5c
m×5cmの部分に油性の黒マジックインクを均一に塗
り、1分間放置したのち、酢酸エチルを滲みこませたガ
ーゼにて拭き取り、汚れの残りを観察した。なお、判定
基準は以下のようにした。表2、表3中の−、○、×は
次の状態を表す。 −:脱型時に成形品が硬化不良(未だ軟らかい)のた
め、測定せず。 ○:拭き取り後、汚れ残りなし。 ×:拭き取り後、汚れ残りあり。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】比較例においては、一部長時間加圧したも
の以外は、光沢、耐汚染性の劣るものであった。
【0065】
【発明の効果】本発明の加飾成形品の製造方法の構成
は、上記のとおりであり、本発明によるとプリゲルがな
く表面性が良好な、熱硬化性樹脂からなる加飾成形品
を、短い成形時間で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られる加飾成形品の一例を示す
断面図である。
【図2】本発明により得られる成形品の別の例を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 加飾成形用シート 2 熱硬化性成形材料(SMC)
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 31/20 9349−4F B32B 31/20 33/00 33/00 C08K 5/14 KAV C08K 5/14 KAV C08L 101/00 C08L 101/00 // B29K 101:10 105:06 105:08 B29L 9:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂の樹脂分100重量部に対
    して、1時間半減期温度が100〜120℃未満である
    有機過酸化物を0.2〜3重量部、及び1時間半減期温
    度が120〜150℃である有機過酸化物を0.3〜4
    重量部含有する熱硬化性樹脂組成物を印刷又は着色した
    基材に含浸させてなる加飾成形用シートを、金型上に載
    置し、その上に熱硬化性成形材料を載置し、その後、型
    を閉めて加熱加圧成形することを特徴とする加飾成形品
    の製造方法。
JP8108070A 1996-04-26 1996-04-26 加飾成形品の製造方法 Pending JPH09290429A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8108070A JPH09290429A (ja) 1996-04-26 1996-04-26 加飾成形品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8108070A JPH09290429A (ja) 1996-04-26 1996-04-26 加飾成形品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09290429A true JPH09290429A (ja) 1997-11-11

Family

ID=14475128

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8108070A Pending JPH09290429A (ja) 1996-04-26 1996-04-26 加飾成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09290429A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR960007008B1 (ko) 수지강화 화장판의 제조방법
TW202030217A (zh) 聚氨酯及包含其之uv濕氣雙固化之pu反應性熱熔膠
JP6715666B2 (ja) シートモールディングコンパウンド、その製造方法及び成形品
JPH10180758A (ja) 加飾成形用シート及び加飾成形品の製造方法
JPH09290429A (ja) 加飾成形品の製造方法
JP3822936B2 (ja) 加飾成形品の製造方法
JPH08174759A (ja) シートモールディングコンパウンド・亜鉛板の複合板
JPH0911265A (ja) 加飾シートおよび加飾成形品の製造方法
JPH08169966A (ja) 加飾成形品用シート及び加飾成形品の製造方法
JPH08127110A (ja) 加飾成形品用シート及び加飾成形品の製造方法
JPH09207231A (ja) 加飾成形用シート及び該シートを用いた加飾成形品の製造法
JPH0911262A (ja) 加飾成形品の製造方法
JPH11130881A (ja) 加飾用プリプレグシート及び繊維強化プラスチック成形体の製造方法
JPH10249870A (ja) 加飾成形用シート及び加飾成形品の製造方法
JPH1015969A (ja) 加飾成形品の製造方法
JPH08267482A (ja) 加飾成形品の製造方法
JP2001288230A (ja) ゲルコートシート製造用硬化性樹脂組成物
JPH08127036A (ja) 加飾成形品の製造方法及び加飾成形品用シート
JPH08174547A (ja) 圧縮成形用加飾シート及び該シートを用いた加飾成形品の製造方法
JPH09234752A (ja) 加飾成形品の製造方法
JPH0939103A (ja) 加飾積層用シートおよび加飾成形品の製造方法
JPS61166850A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物
JPH08174771A (ja) 加飾成形品、加飾成形品用シート及び加飾成形品の製造方法
JP4370648B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形品
JPH10202680A (ja) 加飾成形用シート及び加飾成形品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040310