JP4370648B2 - 繊維強化プラスチック成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化プラスチック成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化プラスチック成形品は、意匠性(着色、柄出し)、耐候性、耐熱水性、耐薬性、耐汚染性を得る目的で、必要により ゲルコート樹脂層(硬化物)が設けられる。 ゲルコート樹脂層は、用途、性能に応じ、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等あるいはこれらの混合物、重合性不飽和単量体、硬化促進剤、硬化剤、必要により顔料等からからなる常温で硬化可能な樹脂組成物を型に吹き付け、予め、0.3〜0.5mm厚程度の硬化皮膜として形成され、通常、次工程で積層させる繊維強化プラスチッック層の硬化とともに、一体化される。
【0003】
ここで言う繊維強化プラスチック層とは、通常ハンドレイアップ、スプレーアップ成形であり、前者は、繊維長が約2インチのチョップドストランドマット及びまたはロービングクロス等に、後者は、約1インチのチョップドストランドに、脱泡ローラーを用いて常温硬化可能なラジカル硬化性不飽和樹脂組成物を含浸させ、硬化後、脱型して成形品を得る一般的な方法である。
【0004】
その際、繊維強化プラスチック層の硬化収縮をミクロな視点から観察すると繊維強化材付近と樹脂リッチ部では硬化収縮に差が生じ、その結果、ゲルコート面に繊維強化材の配向パターンが凹凸として浮き出すファイバーパターンのプリントスルーと呼ばれる外観不良の問題が発生する。この様な製品の表面平滑性を損なう外観不良は、程度により、研磨等の修正工程を加える場合があり、これら修正工程に余計な時間、労力を費やしている場合も多々ある。また、脱型直後は、平滑なゲルコートの製品面が得られていても、経時での硬化の進行、後硬化により、製品の表面平滑性が損なわれる場合がある。
【0005】
そこで発明者らは、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性プラスチックを低収縮化剤として添加、あるいは、特開平4−198209号公報のような低収縮性ラジカル硬化性不飽和樹脂により、得られる成形品の表面平滑性を向上させ、製品面の修正工程に費やしていた時間と人手の削減について検討を行った。
【0006】
しかし、前者では、熱可塑性ポリマーを低収縮化剤として添加すると、ラジカル硬化性不飽和樹脂との相溶性が悪く、熱可塑性ポリマーの分離を招いてしまい均一な硬化ができなくなってしまう。また、相溶性の良い熱可塑性ポリマーをラジカル硬化性不飽和樹脂に添加して低収縮性を得ようとしても、常温硬化を行うハンドレイアップ、スプレーアップ成形では、十分な硬化発熱が得らず、後工程が削減できる程の表面平滑性の向上がみられなかった他、強度低下のために成形品の撓みによりゲルコートクラックが容易に生じることも確認された。
【0007】
又、後者の低収縮性のラジカル硬化性不飽和樹脂組成物を用いた場合、表面平滑性は、一度に積層する厚み、成形温度、積層終了から脱型するまでの時間等の成形条件により大きく影響を受ける。更に、脱型時点の硬化が不十分な場合、従来のラジカル硬化性不飽和樹脂同様、経時で表面平滑性の悪化を招く場合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、繊維強化プラスチック層の成形条件の影響を殆ど受けずに表面平滑性に優れるゲルコート表面が得られ、更に、ゲルコートクラック防止に関しては、撓み、変形量の許容範囲が大きい繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究の結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
即ち、本発明は、表層より順にゲルコート樹脂層(A)と、充填材、チキソ付与材及び注型板(JIS−K−6919 5.2.3)の引張り伸びが2〜50%(JIS K−7113 1号試験片)のラジカル硬化性不飽和樹脂からなる樹脂組成物を吹き付けて硬化させた中間層(B)と、繊維強化プラスチック層(C)とからなり、前記中間層(B)を構成するラジカル硬化性不飽和樹脂がエポキシアクリレート、または、ジエチレングリコールを用いて得られる不飽和ポリエステルであり、前記中間層(B)に含有する充填材の量が前記ラジカル硬化性樹脂100重量部に対し30〜150重量部であり、かつ前記中間層(B)に含有するチキソ付与材の量が前記ラジカル硬化性不飽和樹脂100重量部に対し1〜4重量部であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品を提供するものである。
【0011】
次に本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維強化プラスチック成形品は、 ゲルコート樹脂層(A)を有する繊維強化プラスチック成形品を成形する際、充填材、チキソ付与材及び、注型板の引張り伸びが2〜50%のラジカル硬化性不飽和樹脂とからなる樹脂組成物を吹き付けて硬化させた中間層(B)を設けるものである。
【0013】
ゲルコート樹脂層(A)は、常温硬化可能なラジカル硬化性不飽和樹脂組成物をスプレーにて離型処理した型面に吹き付け、好ましくは0.1〜1.0mm、より好ましくは0.3〜0.5mmの厚み程度の硬化物皮膜として形成されるものである。
【0014】
ゲルコート樹脂層(A)に用いられラジカル硬化性不飽和樹脂組成物とは、後述する不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、または、これらの混合物等から性能、用途により選ばれるラジカル硬化性不飽和樹脂と、後述する重合性不飽和単量体とを主成分とし、さらに、たれ止めにチキソ付与材として、ヒュームドシリカで代表されるシラノール基を有する酸化珪素(SiO2)あるいは無機ベントナイト化合物等を混合使用して揺変性を付与し、更に必要により顔料の添加により着色された常温で液状のラジカル硬化性不飽和樹脂組成物である。
【0015】
このラジカル硬化性不飽和樹脂組成物の市販品としては、ポリライトGC−130、GC−230、GC−251、GC−505、GC−560等のクリアーゲルコート樹脂が挙げられる。(大日本インキ化学工業(株)製品)
【0016】
ゲルコート樹脂層(A)は、単一色、透明、半透明、部分的に透明、部分的に半透明であっても、又、着色、デザイン、柄等の加飾手段の有無については特に限定するものではない。
【0017】
本発明の中間層(B)は、注型板(JIS−K−6919 5.2.3)の引張り伸びが2〜50%(JIS K−7113)のラジカル硬化性不飽和樹脂100重量部に対し、後述の充填材好ましくは30〜150重量部、チキソ材好ましくは1〜4重量部及び硬化促進剤、硬化剤を配合し、先に塗布硬化させた ゲルコート樹脂層(A)の上にスプレーにて好ましくは0.4〜2.0mmの厚さで吹き付け常温あるいは加熱硬化させて得られる。
【0018】
本発明の中間層(B)で用いる注型板(JIS−K−6919 5.2.3)の引張り伸び率が2〜50%のラジカル硬化性不飽和樹脂とは、好ましくは不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、または、これらの混合物等であり、好ましくはこれらラジカル硬化性不飽和樹脂45〜75重量%を重合性不飽和単量体65〜25重量%に溶解した常温で液状の樹脂組成物、また、これら単独でも2種以上を併用しても良く、これら樹脂組成物に硬化促進剤、硬化剤を添加して硬化させた注型板(JIS−K−6919 5.2.3)の引張り伸びが(JIS−K−7113 1号試験片)2〜50%、好ましくは10〜40%である。
【0019】
本発明の中間層(B)に用いるラジカル硬化性不飽和樹脂の注型板の引張り伸び率が2%未満であると、成形品に撓みや変形が起きた場合、中間層(B)を設けない場合に比べゲルコートのクラックが容易に発生してしまう。また、ラジカル硬化性不飽和樹脂の注型板の引張り伸び率が50%を越えると、先のゲルコートクラック防止については、中間層(B)を設けない場合に比べ良好となるが、次工程の繊維強化プラスチック層(C)のファイバーパターンがプリントスルーし易くなり、本来の目的である表面平滑性については、悪化を招く、さらに、表面平滑性の経時変化についても同様に悪化する傾向にある。
【0020】
本発明の中間層(B)に用いる充填材の量は、ラジカル硬化性不飽和樹脂100重量部に対し、好ましくは30〜150重量部であり、より好ましくは、70〜100重量部である。充填材の量が150重量部を越えると、増粘によりスプレーによる吹きつけが困難な他、ゲルコートクラック発生に対する成形品の撓み変形量の許容範囲が小さくなる等の弊害を生ずる。又、充填材量が30重量部未満である中間層(B)を設けても、繊維強化プラスチック層からのファイバーパターンのプリントスルーが防止できなくなる。
【0021】
本発明の中間層(B)に用いるチキソ材の量は、ラジカル硬化性不飽和樹脂100重量部に対し、好ましくは1〜4重量部であり、より好ましくは、2〜3重量部である。チキソ材の量が4重量部を越えると、増粘によりスプレーによる吹きつけが困難となり、1重量部未満であると、スプレーにて縦面に吹き付けた時、たれの発生や、レベリング不良が発生し、均一厚みの中間層が得られず、ゲルコート面の表面平滑性を損なう可能性がある。
【0022】
また、本発明の中間層(B)に用いられる充填材、チキソ付与材及び、注型板(JIS−K−6919 5.2.3)の引張り伸びが2〜50%(JIS K−7113 1号試験片)のラジカル硬化性不飽和樹脂組成物の粘度は、好ましくは10〜100ポイズ、より好ましくは粘度30〜70ポイズ(JIS−K−6901 4、5)であり、揺変性は、好ましくは3.0〜9.0、より好ましくは4.0〜7.0(JIS−K−6901 4、5)であり、ゲル化時間は2〜30分で、より好ましくは2〜5分(JIS−K−6901 4、8)である。粘度及び揺変性が、この範囲を外れるとスプレーによる吹きつけが難しくなるので、好ましくない。
【0023】
本発明の繊維強化プラスチック層(C)は、先に硬化させたの中間層(B)の上に、従来の繊維強化プラスチック同様ハンドレイアップ、スプレーアップ成形にて、所望の設計強度、弾性率が得られるまで、前者は、繊維長が約2インチのチョップドストランドマット及びまたはロービングクロス等に、後者は、約1インチのチョップドストランド等の繊維強化材に硬化促進剤、硬化剤を配合したラジカル硬化性不飽和樹脂の含浸脱泡作業を繰り返し、常温あるいは加熱により硬化させるものである。
【0024】
本発明の繊維強化プラスチック層(C)で用いるラジカル硬化性不飽和樹脂とは、好ましくは不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートまたは、これらの混合物等であり、これらは重合性不飽和単量体に溶解し、硬化促進剤、硬化剤の添加により常温で硬化可能な液状樹脂組成物とされる。これらの単独でも2種以上を併用しても良い。また、通常のハンドレイアップ、スプレーアップ同様、たれ止め、作業性維持のため後述のチキソ付与材、また、コスト面を考慮し作業性、強度物性を損なわない範囲内で後述の充填材を添加しても良く、更に必要により顔料を添加しても良い。
【0025】
本発明で用いられる不飽和ポリエステルとは、α,β−不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類と多価アルコ−ル類、必要によりジシクロペンタジエン系化合物との縮合反応で得られるものである。好ましくは分子量500〜5000の範囲のものである。
【0026】
不飽和ポリエステルを調整するにあたって使用されるα,β−不飽和二塩基酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。飽和二塩基酸としては、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等を挙げることができる。
【0027】
多価アルコ−ル類としては、例えばエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、1,4−ブタンジオ−ル、ビスフェノ−ルAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−シクロヘキサングリコ−ル、1,3−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、パラキシレングリコ−ル、ビシクロヘキシル−4,4'−ジオ−ル、2,6−デカリングリコ−ル、2,7−デカリングリコ−ル等を挙げることができる。本発明の及び不飽和ポリエステルを合成するにあたって使用される不飽和二塩基酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。飽和二塩基酸としては、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等を挙げることができる。これらは、単独でも2種類以上組み合わせて使用しても良い。
【0028】
本発明で用いられるエポキシ(メタ)アクリレートとは、例えば、ビスフェノール・タイプのエポキシ樹脂の単独を、あるいは、ビスフェノール・タイプのエポキシ樹脂とノボラック・タイプのエポキシ樹脂との併用、1,6−ナフタレン型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート等になるものを指称し、その平均エポキシ当量が、好ましくは150〜450なる範囲内にあるようなエポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸とを、エステル化触媒の存在下で、反応せしめて得られるものである。
【0029】
上記したビスフェノール・タイプのエポキシ樹脂として特に代表的なもののみを挙げるにとどめれば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド付加型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、1,6−ナフタレン型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0030】
また、上記したノボラックタイプのエポキシ樹脂としては、特に代表的なもののみを挙げるにとどめれば、フェノール・ノボラックまたはクレゾール・ノボラックと、エピクロルヒドリンまたはメチルエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂などである。
【0031】
さらに、上記した不飽和一塩基酸として特に代表的なもののみを挙げるにとどめれば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート、またはモノ(2−エチルヘキシル)マレートなどがある。
【0032】
なお、これらの不飽和一塩基酸は、単独使用でも2種以上の併用でもよい。上記したエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応は、好ましくは、60〜140℃、特に好ましくは、80〜120℃なる範囲内の温度において、エステル化触媒を用いて行われる。
【0033】
エステル化触媒としては、公知慣用の化合物が、そのまま使用できるが、そのうちでも特に代表的なもののみを挙げるにとどめれば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリンもしくはジアザビシクロオクタンの如き、各種の3級アミン類;またはジエチルアミン塩酸塩などである。
【0034】
かかるエポキシ(メタ)アクリレートの数平均分子量としては、好ましくは、450〜2,500、特に好ましくは500〜2,200なる範囲内が適切である。分子量が450よりも小さい場合には、得られる硬化物に粘着性が生じたり、強度物性が低下したりするようになるし、一方、2,500よりも大きい場合には、硬化時間が長くなり、生産性が劣って来るようになる。
【0035】
ウレタン(メタ)アクリレートを調製するにあたって使用されるポリオールとしては、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物等のポリエーテルポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0036】
ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート及びその異性体または異性体の混合物(以下TDIと略す)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バーノックDー750、クリスボンNX(大日本インキ化学工業(株)製品)、デスモジュールL(住友バイエル(株)社製品)、コロネートL(日本ポリウレタン社製品)、タケネートD102(武田薬品工業(株)社製品)、イソネート143L(三菱化学(株)社製)等を挙げることができ、それらの単独または2種以上で使用することができる。上記ポリイソシアネートのうちジイソシアネート、特にTDIが好ましく用いられる。
【0037】
水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の様な水酸基を2個有するアルコールのモノ(メタ)アクリレート類;α−オレフィンエポキサイドと(メタ)アクリル酸の付加物、カルボン酸グリシジルエステルと(メタ)アクリル酸の付加物;トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の様な3個以上の水酸基を有するアルコールの部分(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0038】
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレート製造において、水酸基含有(メタ)アクリル化合物の一部を、本発明の効果を損なわない程度の水酸基含有アリールエーテルや、高級アルコール等の化合物で置換しても良い。
【0039】
水酸基含有アリールエーテル化合物としては、公知慣用のものが使用できるが、うちでも代表的なものには、エチレングリコールモノアリールエーテル、ジエチレングリコールモノアリールエーテル、トリエチレングリコールモノアリールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリールエーテル、プロピレングリコールモノアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノアリールエーテル、トリプロピレングリコールモノアリールエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリールエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリールエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリールエーテル、ヘキシレングリコールモノアリールエーテル、オクチレングリコールモノアリールエーテル、トリメチロールプロパンジアリールエーテル、グリセリンジアリールエーテル、ペンタエリスリトールトリアリールエーテル等の多価アルコール類のアリールエーテル化合物等が挙げられ、水酸基を1個有するアリールエーテル化合物が好ましい。
【0040】
高級アルコールとしては、公知慣用のものが使用できるが、中でも代表的なものは、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
【0041】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法の一例を挙げれば、先ずポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを、好ましくは数平均分子量500〜30000、特に好ましくは700〜5000になるようにNCO/OH=2〜1.5で反応させ、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを生成し、次いでそれに水酸基含有アクリル化合物を該プレポリマーのイソシアネート基に対して水酸基がほぼ当量となるように反応する。
【0042】
別の方法としては、まず水酸基含有アクリル化合物とポリイソシアネートとを反応させ、次いで得られたイソシアネート基含有化合物とポリエーテルポリオールとを反応させて、好ましくは数平均分子量500〜30000、より好ましくは700〜5000のウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。
【0043】
本発明に使用される重合性不飽和単量体は、本発明の効果を損なわない範囲で通常不飽和ポリエステル樹脂組成物、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂組成物に使用される、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン、t-ブチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ジアリールフタレ-ト、トリアリールシアヌレ-ト、さらにアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレ-ト、PTMGのジメタアクリーレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAEO変性(n=2)ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性(n=3)ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート等の、樹脂と架橋可能な重合性不飽和単量体或いは不飽和オリゴマー等が挙げられる。これら重合性不飽和単量体は、単独でも2種類以上組み合わせて使用しても良い。
【0044】
本発明に用いられる充填材としては、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硅石等の粉末、及び有機系(ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、またはこれら2種以上の共重合物等)、無機系(ガラス、シリカ、セラミック等)の中空充填材等が挙げられ、その粒子径は中間層(B)形成時のスプレーによる吹きつけ、繊維強化プラスチック層(C)形成時の積層、含浸脱泡作業に支障を来さないものであれば良い。又、これらの2種以上を併用しても良い。
【0045】
本発明に用いられる充填材の市販品としては、炭酸カルシウムNSシリーズ(日東粉化(株)社製)、水酸化アルミニウム ハイジライトHシリーズ(昭和電工(株)社製)、アルミナ(住友化学工業(株)社製)、硫酸カルシウムフランフリンファイバー(UNITED STATES GYPSUM COMPANY社製)、中空充填材としては、スコッチライトグラスバブル(住友スリーエム(株)社製)、Dualite(PIERCE&STEVENS社製)、GlassMicroballoon(EMERSPON&CUMING社製)、Q−CEL,Microcel(旭硝子(株)社製)、エクスパンセル、Microcel(日本フィライト(株)社製),MFLシリーズ(松本油脂(株)社製)等の物が使用できる。
【0046】
本発明に用いられるチキソ付与材とは、熱硬化性樹脂に揺変性を与える形状のものであれば良い。具体例としては、例えばシリカ粉末、アスベスト、スメクタイト硫酸カルシウムウィスカー等が挙げられる。必要に応じて前記の2種以上を併用しても良い。
【0047】
チキソ付与材の市販品としては、レオロシールQSシリーズ((株)トクヤマ製)、アエロジルシリーズ(日本アエロジル(株)社製)BENATHIXシリーズ(ウィルバーエリス社製、CABOSILシリーズ(CABOT社製、HDKシリーズ(WACKER社製)、FRANKLIN FIBER(USG社製)等が使用できる。
【0048】
本発明のゲルコート樹脂層(A)、中間層(B)、繊維強化プラスチック層(C)用組成物には、その硬化速度を調整するために硬化剤、硬化促進剤、及び遅延剤の種類、添加量を適宜選択して用いる。
【0049】
硬化剤としては、アゾ化合物、例えばアゾイソブチロニトリル等や、有機過酸化物、例えば、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の公知の物が使用され、具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられ、これらの2種以上を併用しても良い。その添加量は、組成物100重量部に好ましくは0.5〜5重量部である。
【0050】
硬化促進剤としては、金属石鹸類、例えばナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、オクテン酸バナジル、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウムが挙げられ、金属キレート化合物としては、バナジルアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネートがある。またアミン類にはN,N−ジメチルアミノ−p−ベンズアルデヒド、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノベンズアルデヒド、4-メチルヒドロキシエチルアミノベンズアルデヒド、N,N-ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニルモルホリン、ピペリジン、ジエタノールアニリン等がある。
【0051】
硬化促進剤の添加量は、組成物100重量部に好ましくは0.001〜5重量部使用する。本発明においてはアミン系促進剤が好ましい。なお、硬化促進剤は予め樹脂に添加しておいても良いし、使用時に添加しても良い。
【0052】
硬化遅延剤としては、例えばトリハイドロベンゼン、トルハイドロキノン、1,4−ナフトキノン、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、トリメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノ−p−クレゾール、ナフテン酸銅等が挙げられる。
【0053】
硬化遅延剤の添加量は、好ましくは0.0001〜0.1重量部使用する。なお、硬化遅延剤は予め樹脂に添加しておいても良いし、使用時に添加しても良い。
【0054】
更に、必要により、各種添加剤、例えば、消泡剤、顔料、減粘剤、難燃剤、等を使用してもよい。
【0055】
着色剤としては、従来公知の有機、及び無機の染顔料がいずれも使用できるが、なかでも耐熱性、透明性に優れ、かつ不飽和ポリエステルの硬化を著しく妨害することのないものが好ましい。
【0056】
本発明の繊維強化プラスチック層(C)に用いられる繊維強化材とは、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、カーボン繊維、金属繊維等あるいはそれらの組合せである。好ましいのはガラス繊維、カーボン繊維である。また、繊維の形態は、クロス、ロービングクロス、ロービングをカットしたストランド、ショップドストランドマット、ロービングクロスとチョップドストランドを縫い合わしたペアマット等、繊維による補強硬化が得られるものであれば特に限定するものではない。
【0057】
繊維強化材の重量割合は、ラジカル硬化性不飽和樹脂からなる組成物100重量部に対し、20〜50重量部であり、より好ましくは30〜40重量部である。
【0058】
本発明の繊維強化プラスチック成形品とは、例えば、ボート、バスタブ、防水パン等であり、ゲルコート表面の平滑性を要する、主にハンドレイアップ、スプレーアップ成形により得られる大型のFRP成形品であり、特に製品、用途、を限定するものではない。
【0059】
【実施例】
(合成例1)(エポキシアクリレートの合成)
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により得られたエポキシ当量189のエピクロン850(大日本インキ化学工業(株)製エポキシ樹脂)458部、メタクリル酸215部、ハイドロキノン0.35部及びトリエチルアミン2.1部を加えて、110℃間で昇温し、6時間反応後、スチレンモノマー40.0重量%、トルハイドロキノン0.06部を加えエポキシアクリレート分60.0%、粘度4.3dPa・sの樹脂組成物を得た。更に、得られた樹脂組成物100部に対し、スチレンモノマー5部を加え、エポキシアクリレート樹脂組成物▲1▼を得た。
【0060】
(合成例2)(不飽和ポリエステルの合成)
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、トリエチレングリコール:1509部、ジエチレングリコール:525部、無水フタル酸:1887部、無水マレイン酸:221部を仕込み、窒素雰囲気中205℃まで昇温し、ソリッド酸価18.6になったところで、トルハイドロキノン0.10部、スチレンモノマ−27重量%を加え不飽和ポリエステル分73.0重量%、酸価13.5、粘度12.0dPa・sの樹脂組成物を得た。
更に、得られた樹脂組成物100部に対し、スチレンモノマ−28部を加え、不飽和ポリエステル樹脂組成物▲2▼を得た。
【0061】
(合成例3)(不飽和ポリエステルの合成)
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、ジエチレングリコール:1746部、イソフタル酸:1162部、アジピン酸:512部を仕込み210℃まで昇温し、酸価1まで反応させた後、無水マレイン酸:515部を仕込み、窒素雰囲気中205℃まで昇温し、ソリッド酸価19.3になったところで、トルハイドロキノン0.10部、スチレンモノマ−32重量%を加え不飽和ポリエステル分68.0重量%、酸価12.1、粘度6.0dPa・sの樹脂組成物を得た。更に、得られた樹脂組成物100部に対し、スチレンモノマ−24部を加え、不飽和ポリエステル樹脂組成物▲3▼を得た。
【0062】
(合成例4)(不飽和ポリエステルの合成)
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、プロピレングリコール:1521部、無水フタル酸:1480部、無水マレイン酸:981部を仕込み、窒素雰囲気中205℃まで昇温し、ソリッド酸価40.5になったところで、トルハイドロキノン0.10部、スチレンモノマ−34重量%を加え不飽和ポリエステル分66.0重量%、酸価26.7、粘度10.2dPa・sの樹脂組成物を得た。
更に、得られた樹脂組成物100部に対し、スチレンモノマ−25部を加え、不飽和ポリエステル樹脂組成物▲4▼を得た。
【0063】
(合成例5)(不飽和ポリエステルの合成)
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、プロピレングリコール:837部、エチレングリコール:523部、無水フタル酸:814部、無水マレイン酸:1618部を仕込み、窒素雰囲気中205℃まで昇温し、ソリッド酸価36.9になったところで、トルハイドロキノン0.10部、スチレンモノマ−34重量%を加え不飽和ポリエステル分66.0重量%、酸価24.1、粘度9.7dPa・sの樹脂組成物を得た。
更に、得られた樹脂組成物100部に対し、スチレンモノマ−22部を加え、不飽和ポリエステル樹脂組成物▲5▼を得た。
【0064】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また文中「部」とあるのは、重量部を示すものである。
【0065】
<実施例1>
(注型板の作成)
エポキシアクリレート樹脂組成物▲1▼40重量%及び、不飽和ポリエステル樹脂組成物▲2▼60重量%を配合したラジカル硬化性不飽和樹脂組成物100部に対し、6%ナフテン酸コバルト0.5部、55%−MEKPO1.0部を加え、JIS−K−6919 5.2.3に従い、注型板を作成した。
【0066】
(注型板の伸び測定)
上述、注型板よりJIS−K−7113の1号試験片を切り出し、n=5で引張り試験を行った。
【0067】
(中間層用樹脂組成物の作成)
注型板樹脂組成と同じく、エポキシアクリレート樹脂組成物▲1▼40重量%及び、不飽和ポリエステル樹脂組成物▲2▼60重量%を配合した樹脂組成物100部に対し、硬化促進剤として6%ナフテン酸コバルト:0.5部、チキソ 付与材としてアエロジル#200(日本アエロジル(株)社製):2.3部、充填材として炭酸カルシウムSS−80:77部、及びDualite−M6017AE(PIERCE&STEVENS社製):3部を配合し、粘度:40.8dPa・s、揺変度:7.2の中間層用樹脂組成物 Iを得た。
【0068】
(繊維強化プラスチッック板の作成− ゲルコート樹脂層の作成)
離型処理したガラス板(350×350mm))に、クリアーゲルコート樹脂POLYLITE GC−560(大日本インキ化学工業(株)製):100部に対し、顔料POLYTON WHITE107J(大日本インキ化学工業(株)製):10部、6%ナフテン酸コバルト0.5部、硬化剤パーメックN(日本油脂(株)製):1.0部を配合したゲルコート樹脂組成物を、岩田塗装機(株)製スプレーガンW−77(φ2.5mm)にて、0.4mm厚に吹きつけ、常温でタックフリーとなるまで硬化させた。
【0069】
(繊維強化プラスチッック板の作成−中間層の作成)
次に東技研社製スプレーガンHLL−9000型を用い、中間層用樹脂組成物I:100部に対し、硬化剤パーメックN(日本油脂(株)製):1.0部の配合で、上記ゲルコート上に1.5mmの厚さに中間層を吹きつけ、常温でタックフリーとなるまで硬化させた。
【0070】
(繊維強化プラスチッック板の作成−繊維強化プラスチック層の作成)
上記中間層の上に、ハンドレイアップ用FRP積層用樹脂POLYLITE FH−123−NM(大日本インキ化学工業(株)製):100部に対し、硬化剤パーメックN(日本油脂(株)製):1.0部を配合し、MM’RMRのガラス繊維構成でFRPの積層成形を行った。
【0071】
M:450g/m2チョップドストランドマット(日東紡(株)製)
ガラス含有率33重量%
M’:600g/m2チョップドストランドマット(日東紡(株)製)
ガラス含有率33重量%
R:600g/m2ロービングクロス(日東紡(株)製)
ガラス含有率50重量%
常温で72時間硬化後、脱型を行い、ゲルコート、中間層、繊維強化プラスチック層となる繊維強化プラスチック成形品Aを得た。
【0072】
(繊維強化プラスチッック成形品Aの評価−表面平滑評価)
得られた繊維強化プラスチッック成形品Aについて、BYK−Gardner社製WaveScanPlusを用い、脱型直後と1週間後の表面平滑性の測定を行った。評価結果は、BYK−Gardner社性WaveScanPlusにより表面平滑性の指標として算出されるGM−Tension値*を用いた。
*GM−Tension(max21)が大きい程、表面平滑性に優れる。
評価結果については、表−1に示した。
【0073】
(繊維強化プラスチッック成形品Aの評価−ゲルコートの耐クラック性評価)
繊維強化プラスチッック成形品Aを25mm幅に切り出し、スパンを厚みの16倍(mm)として、曲げ試験を行った。積層面より荷重をかけ、 ゲルコート樹脂層にクラックが発生した時の撓み量が大きい程、耐クラック性に優れるものとして評価を行った。
評価結果については、表面平滑性と同じく、表−1に示した。
【0074】
<実施例2>
ラジカル硬化性不飽和樹脂として、▲3▼:100部、充填材として炭酸カルシウムSS−80(日東粉化社製):60部、炭酸カルシウムSS−30(日東粉化(株)社製):90部、チキソ 付与材としてアエロジル#200(日本アエロジル(株)社製):1.1部、を用いた以外は実施例1と同じくして評価を行い、結果は表−1に示した。
【0075】
<実施例3>
ラジカル硬化性不飽和樹脂として、▲3▼:20重量%、及び▲4▼:80重量%を用い、充填材として、炭酸カルシウムNS−100:51部、及びDualite−M6017AE(PIERCE&STEVENS社製):4部、炭酸カルシウムR重炭(丸尾カルシウム(株)社製):30部、チキソ 付与材としてレオロシールQS−20L((株)トクヤマ製):2.3部を用いた以外は実施例1と同じくして評価を行い、結果は表−1に示した。
【0076】
<実施例4>
ラジカル硬化性不飽和樹脂として、▲4▼:100部を用い、充填材として、炭酸カルシウムNS−100(日東粉化(株)社製):35部、チキソ 付与材としてアエロジル#200(日本アエロジル社(株)製):2.4部を用いた以外は実施例1と同じくして評価を行い、結果は表−1に示した。
【0077】
参考例(従来のゲルコート付き繊維強化プラスチック成形品の成形、評価)
中間層を設けない他は、実施例1と同じく、従来のゲルコート付き繊維強化プラスチック成形品として成形、評価を行い、結果を表−2に示した。
【0078】
<比較例1>
ラジカル硬化性不飽和樹脂として、▲2▼:80重量%、及び▲4▼:20重量%を用いた以外は実施例1と同じくして評価を行い、結果は表−2に示した。
【0079】
<比較例2>
ラジカル硬化性不飽和樹脂として、▲5▼:100部を用いた以外は実施例1と同じくして評価を行い、結果は表−2に示した。
【0080】
<比較例3>
充填材として、炭酸カルシウムSS−30(日東粉化(株)社製):25部を用いた以外は実施例1と同じくして評価を行い、結果は表−2に示した。
【0081】
<比較例4>
充填材として炭酸カルシウムR重炭(丸尾カルシウム(株)製):170部を用いた以外は実施例1と同じくして評価を行い、結果は表−2に示した。
【0082】
<比較例5>
チキソ 付与材として、アエロジル#200(日本アエロジル(株)製):4.2部を用いた以外は、実施例1と同じくして評価を行い、結果は表−2に示した。
【0083】
<比較例6>
チキソ 付与材としてアエロジル#200(日本アエロジル(株)社製):0.6部を用いた以外は実施例1と同じくして評価を行い、結果は表−2に示した。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【発明の効果】
本発明は、 ゲルコート樹脂層を有する繊維強化プラスチック成形品を成形する際、中間層として、充填材、チキソ 付与材を必須成分とし、注型板の引張り伸びが2〜50%のラジカル硬化性不飽和樹脂とからなる樹脂組成物とを吹き付けて硬化させた中間層を設けることにより、ゲルコート表面の平滑性及び、ゲルコートの耐クラック性に優れる繊維強化プラスチック成形品を提供することができる。
Claims (2)
- 表層より順にゲルコート樹脂層(A)と、充填材、チキソ付与材及び注型板(JIS−K−6919 5.2.3)の引張り伸びが2〜50%(JIS K−7113 1号試験片)のラジカル硬化性不飽和樹脂からなる樹脂組成物を吹き付けて硬化させた中間層(B)と、繊維強化プラスチック層(C)とからなり、前記中間層(B)を構成するラジカル硬化性不飽和樹脂がエポキシアクリレート、または、ジエチレングリコールを用いて得られる不飽和ポリエステルであり、前記中間層(B)に含有する充填材の量が前記ラジカル硬化性樹脂100重量部に対し30〜150重量部であり、かつ前記中間層(B)に含有するチキソ付与材の量が前記ラジカル硬化性不飽和樹脂100重量部に対し1〜4重量部であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品。
- 前記繊維強化プラスチック層(C)を構成するラジカル硬化性不飽和樹脂が数平均分子量450〜2500のエポキシアクリレート、または、α、β不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類及びジエチレングリコールを含む多価アルコール類を縮合反応して得られる不飽和ポリエステルである、請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形品。
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