JPH09268708A - 鉄筋保持金具付セパレーター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易に鉄筋を保持することができるととも
に、鉄筋保持金具の連結位置を容易に変更できる鉄筋保
持金具付セパレーターを提供する。 【解決手段】 両端がネジ部２ａ，２ｂに形成された長
棒２と、長棒２の一方の端部に連結する連結ナット２０
に鉄筋を保持する鉄筋保持具２１を取り付けた鉄筋保持
金具３とで鉄筋保持金具付セパレーター１を構成し、向
かい合わせて起立させられるコンクリート打設用型枠１
０の対称位置の間に鉄筋保持金具付セパレーター１を配
置してコン５，フォームタイ６などにより型枠１０を連
結保持させるとともに、鉄筋保持金具３の鉄筋保持具２
１で主筋１５ａを保持してかぶり厚を確保する。また、
鉄筋保持金具３に取り付けられている固定プレート４の
貫通孔に長棒２の端部を貫通させるとともに、鉄筋保持
具２１で主筋１５ａを保持させた状態で、固定プレート
４の先端を折り曲げて長棒２の回動を阻止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明の鉄筋保持金具付セパ
レーターは、壁躯体施工時のコンクリート打設用型枠の
間隔を保持するセパレーターに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、壁躯体を施工する際には、所定位
置にコンクリート打設用型枠を向かい合わせて起立さ
せ、型枠の間隔を保持するとともに、型枠にかかるコン
クリートの側圧などに対向するセパレータを左右の型枠
の対称位置に開けられた孔に通し、座金やナットをセパ
レータの外端に設けて型枠を挟んで支えるようにしてい
る。また、コンクリート打設用型枠内には、型枠の内側
面から適宜間隔を開けて鉄筋が配筋されており、型枠の
間に配筋される鉄筋とコンクリート打設用の型枠の間の
間隔（以下、かぶり厚という）を確保するために鉄筋に
適宜位置にスペーサを設けている。また、擁壁などの傾
斜壁などの施工時には、配置した鉄筋の保持が容易でな
いため、上下方向の配筋としてトラス筋を所定間隔で複
数配置し、トラス筋の主筋と直交するように配力筋を設
けてトラス筋相互を連結する場合がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の方
法では、スペーサを用いるとコンクリート打設時にスペ
ーサが外れてしまうという問題があった。また、プラス
チックで形成されたスペーサは、傾斜壁を施工する際に
は、鉄筋の荷重がスペーサにかかって変形するなど十分
にその機能を発揮できない場合があった。なお、相対す
る型枠の間に配置されているセパレータの任意位置と鉄
筋を溶接により固定することも考えられるが、溶接する
場合には、溶接に必要な設備が必要で手間がかかるとと
もに、狭い型枠の間に手を入れて溶接作業を行なうため
に作業し辛く溶接の信頼性が低下するなどの問題があ
る。そこで本発明の鉄筋保持金具付セパレーターは、セ
パレーターの端部に鉄筋の鉄筋保持金具を設けて鉄筋を
保持させるようにして、容易に鉄筋を保持することがで
きるとともに、鉄筋保持金具の連結位置を容易に変更で
きる鉄筋保持金具付セパレーターを提供することを目的
とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の鉄筋保持金具付
セパレーターは上記課題を解決したもので、建築物の壁
躯体施工時に向かい合わせて起立させられたコンクリー
ト打設用型枠を適宜間隔に連結保持させ、コンクリート
打設用型枠の間に配置されるトラス筋などの鉄筋を適宜
位置に保持させる際に使用されるセパレーターであっ
て、外端にネジ部を有するとともに相対するコンクリー
ト打設用型枠の対称位置の間に配置される長棒と、長棒
の少なくとも一方の端部に連結される鉄筋保持金具とか
らセパレーターを構成し、長棒の一端に鉄筋保持金具を
連結した状態で相対するコンクリート打設用型枠の対称
位置の間に鉄筋保持金具付セパレーターを配置させると
ともに、相対するコンクリート打設用型枠の間に配置さ
れた鉄筋の任意位置を鉄筋保持金具で保持させ、セパレ
ータの外端にコンや座金，フォームタイなどを設けて型
枠相互を連結保持できるとともに、コンクリート打設用
型枠内の鉄筋を適宜位置に保持できるようにして容易に
鉄筋のかぶり厚を確保できるようにした。

【０００５】また、長棒は、鉄筋保持金具が連結される
側のネジ部を外端から長手方向の適宜位置まで延長し、
鉄筋保持金具の連結具を、長棒のネジ部にねじ込まれる
連結ナットに形成し、鉄筋保持金具の連結ナットをネジ
部の任意位置までねじ込めるようにして、鉄筋保持金具
の位置を長棒の長手方向沿って容易に変更できるように
した。さらに、鉄筋保持金具の適宜位置に、断面Ｌ字状
の固定プレートを取り付け、固定プレートの前記取付側
とは逆側に長棒の端部を貫通させる貫通孔を設けて、固
定プレートの貫通孔に長棒の端部を貫通させた状態で固
定プレートの貫通孔側の端部を折り曲げることにより、
貫通孔の内周縁部を長棒の外周面に係止させて、鉄筋保
持金具の移動を規制するとともに長棒の回動を阻止でき
るようにした。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の鉄筋保持金具付セパレー
ターの実施の形態を図１〜図３により説明する。建物の
傾斜壁などを施工する際に、向かい合わせて起立させら
れるコンクリート打設用型枠の対称位置の間に設けられ
る鉄筋保持金具付セパレーターは、その両端がネジ部２
ａ，２ｂに形成された長棒２と、後記する長棒２の一方
の端部に連結される連結具を有するとともに鉄筋を保持
する鉄筋保持具を有する鉄筋保持金具３とで構成されて
いる。この鉄筋保持金具付セパレーター１は、長棒２の
一端の適宜位置に鉄筋保持金具３を連結した状態で、そ
の外端に２つのコン５がねじ込まれ、各コン５の外端の
ネジ５ａが、相対するコンクリート打設用型枠１０の対
称位置に設けられた孔１０ａに差し込まれ、型枠１０の
外面から突出したコン５のネジ５ａにフォームタイ６が
ねじ込まれて相対する型枠１０を連結保持できる。ま
た、鉄筋保持金具３により型枠１０の間に配置されたト
ラス筋１５の主筋１５ａが保持されて、トラス筋１５を
型枠１０内の所定位置に保持してかぶり厚を確保できる
ようになっている。

【０００７】向かい合わせで起立させられたコンクリー
ト打設用型枠１０の間に配置された長棒２は、例えば所
定長さに形成された鋼材の丸棒が用いられ、鉄筋保持金
具３が設けられる側の端部が外端から長手方向の適宜位
置（少なくとも保持金具３の連結位置）までネジ溝が設
けられたネジ部２ａに形成されているとともに、逆側の
端部にコン５にねじ込むネジ部２ｂが形成されており、
ネジ部２ａに鉄筋保持金具３の連結具やコン５などをね
じ込むことができるようになっている。なお、ネジ部２
ａは、鉄筋保持金具３が連結される位置よりも長めにネ
ジ溝が設けられており、鉄筋保持金具３の位置を調整で
きるようになっている。

【０００８】図２に示すように、長棒２の端部に連結さ
れた鉄筋保持金具３は、連結具として長棒２の長手方向
に長い連結ナット２０が用いられ、その側面に鉄筋を保
持する鉄筋保持具２１が取り付けられて構成されてお
り、連結ナット２０を長棒２のネジ部２ａの適宜位置ま
でねじ込んで鉄筋保持金具３を長棒２に連結させること
ができるようになっている。さらに、鉄筋保持金具３に
は、長棒２の回動を阻止できる固定プレート４が設けら
れている。なお、固定プレート４を設けない構成にして
もかまわない。

【０００９】鉄筋保持具２１は、例えば、中央付近に鉄
筋を保持する一部開放の保持孔２１ｃが設けられた２枚
の保持板２１ａが、保持孔２１ｃを相対させるととも
に、２つの保持孔２１ｃに鉄筋を挟持できるようにして
Ｌ字状の連結板２１ｂで連結され、連結板２１ｂの一方
の平面部に保持孔２１ｃに挟持した鉄筋を固定する固定
ボルト２２が設けられている。そして、各保持板２１ａ
の保持孔２１ｃの中心を通る軸線が連結ナット２０の長
手方向とは直交するように鉄筋保持具２１を配置して、
鉄筋保持具２１の連結板２１ｂの固定ボルト２２が設け
られていない側の平面部を連結ナット２０の側面に固定
プレート４を介して取り付けて、鉄筋保持金具付セパレ
ーター１の長手方向とは直交する方向に配筋されている
トラス筋１５の主筋１５ａを鉄筋保持具２１で保持でき
るようになっている。なお、連結ナット２０の代わり
に、鉄筋保持金具３の連結具にクランプを用いて長棒を
保持させるようにしてもよいし、長棒２を貫通させる筒
状部材の側面に固定用のボルトを設けて長棒２の適宜位
置に差し込んだ筒状部材をボルトで固定するようにして
もかまわない。その場合は、長棒２のネジ部２ａを延長
しなくともよい。また、鉄筋保持具にクランプを用いて
鉄筋を把持させるようにしてもよい。

【００１０】鉄筋保持金具３に設けられた固定プレート
４は、例えば断面Ｌ字状に形成され、一方の平面部に鉄
筋保持金具３が連結される長棒２の端部を貫通させる貫
通孔４ａが設けられ、他方の平面部が鉄筋保持金具３の
鉄筋保持具２１と連結ナット２０との間に取り付けられ
ており、固定プレート４の貫通孔４ａが連結ナット２０
の開口部付近に配置されて、連結ナット２０に長棒２の
端部をねじ込む際に固定プレート４の貫通孔４ａを通す
ことができるようになっている。なお、貫通孔４ａは長
棒２の外径よりも少し大きめに形成されている。この固
定プレート４は、鉄筋保持金具３が長棒２の端部に連結
された状態で鉄筋保持金具３の鉄筋保持具２１で鉄筋を
保持した後に、貫通孔４ａが設けられた平面部の先端を
ハンマーなどによってたたいて連結ナット２０側もしく
は逆側に折り曲げることによって、貫通孔４ａの内周縁
部が長棒２の外周面のネジ溝に当たって長棒２の回動を
阻止することができるようになっている。

【００１１】上記構成の鉄筋保持金具付セパレーター１
を用いて傾斜壁のコンクリート打設用型枠を構築するに
は、図３に示すように、施工される壁の傾斜に沿って上
下方向に複数のトラス筋１５を所定間隔を開けて配置
し、各トラス筋１５の主筋１５ａとは直交する方向に沿
って複数の配力筋１６を配置して各トラス筋１５を連結
させる。トラス筋１５は、その平面部分が壁の厚さ方向
と平行となるように配置される。そして、各トラス筋１
５を挟むようにして、例えばベニヤ，透明アクリル板な
どを用いた型枠１０を向かい合わせで配置させる。

【００１２】このとき、相対する型枠１０の所定の対称
位置に、長棒２の一端の適宜位置（トラス筋のかぶり厚
を確保できる位置）に鉄筋保持金具３をねじ込んで連結
した状態でその外端に２つのコン５がねじ込まれた長棒
２をそれぞれ配置して、相対する型枠１０の所定の対称
位置に設けられた孔にコン５のネジを差し込むととも
に、型枠１０の外面に突出した各ネジにそれぞれフォー
ムタイ６をねじ込んで相対する型枠１０を連結保持させ
て、型枠１０内に打設されるコンクリートの側圧に対抗
できるようにする。なお、鉄筋保持金具３のねじ込み位
置を調節すれば、トラス筋１５のかぶり厚を調節するこ
とができる。

【００１３】また、長棒２で型枠１０を連結保持する際
に、長棒２の一端に連結された鉄筋保持金具３の鉄筋保
持具２１でトラス筋１５の主筋１５ａの適宜位置を挟持
するとともに、鉄筋保持具２１の固定ボルト２２で主筋
１５ａを保持させることにより、相対する型枠１０の間
に配置されたトラス筋１５を適宜位置に保持させてトラ
ス筋１５のかぶり厚を確保できるようにする。鉄筋保持
金具３で主筋１５ａを保持した後に、鉄筋保持金具３の
固定プレートの先端をハンマーなどによってたたいて折
り曲げ、長棒２の回動を阻止して、型枠の間隔やかぶり
厚を所定値に保持させる。最後に、フォームタイ６に座
金などを設けてバタ材を保持させ、フォームタイ６の外
端にくさびを設けて座金を係止させて型枠１０を補強し
て壁躯体のコンクリート打設用型枠が構築される。

【００１４】上記の鉄筋保持金具付セパレーターは、両
面打放のコンクリート壁に用いられるセパレーターとし
ているが、そのほか、仕上げ壁用のセパレータとするこ
ともできる。その場合は、長棒の外端から鉄筋保持金具
をねじ込んで所定位置にセットした後に、長棒の両端も
しくは一端に、コンクリート打設用型枠の内側面に係止
させる係止板を設けて鉄筋保持金具付セパレーターを構
成する。この鉄筋保持金具付セパレーターは、コンクリ
ート打設用型枠の対称位置に開けられた孔にセパレータ
の外端を通し、セパレーターの外端に座金やナットを設
けて型枠を挟んで支えるとともに、鉄筋保持金具で鉄筋
を保持するようにする。また、鉄筋保持金具付セパレー
ターは、傾斜壁のほか直立した壁の施工に用いることも
できる。また、鉄筋保持金具は、トラス筋のほか通常の
鉄筋を保持させることもできる。その場合、長棒の両端
に鉄筋保持金具を連結して、向かい合わせて配置された
鉄筋を保持させるようにしてもよい。

【００１５】

【発明の効果】本発明の鉄筋保持金具付セパレーターに
よれば、コンクリート打設用型枠の連結保持と、鉄筋の
かぶり厚の確保を同時にかつ確実に行なうことができ、
作業効率および施工精度の向上を図ることができる。ま
た、鉄筋保持金具を長棒の端部にねじ込んで連結させる
ことにより、鉄筋保持金具のねじ込み位置を変更するこ
とにより容易に鉄筋のかぶり厚を調整することができ
る。さらに、固定プレートを設けた場合は、長棒の回動
を阻止して型枠組立後の鉄筋位置などがずれることを防
止することができ、施工精度の高い壁躯体を構築するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鉄筋保持金具付セパレーターの実施の
形態を示す側面説明図である。

【図２】鉄筋保持金具を示す側面説明図（ａ）と、正面
説明図（ｂ）と、平面説明図（ｃ）である。

【図３】鉄筋保持金具付セパレーターを用いた型枠を示
す断面説明図である。

【符号の説明】

１ 鉄筋保持金具付セパレーター ２ 長棒 ３ 鉄筋保持金具 ４ 固定プレート ２０ 連結ナット ２１ 鉄筋保持具

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建築物の壁躯体施工時に向かい合わせて
   起立させられたコンクリート打設用型枠を適宜間隔に連
   結保持させ、コンクリート打設用型枠の間に配置される
   トラス筋などの鉄筋を適宜位置に保持させる際に使用さ
   れるセパレーターであって、 外端にネジ部を有するとともに向かい合わせて起立させ
   られたコンクリート打設用型枠の対称位置の間に配置さ
   れる長棒と、長棒の少なくとも一方の端部に連結される
   連結具を有するとともに鉄筋を保持する鉄筋保持具を有
   する鉄筋保持金具とからセパレーターが構成され、長棒
   の一端に鉄筋保持金具を連結した状態で相対するコンク
   リート打設用型枠の対称位置の間を連結保持できるとと
   もに、鉄筋保持金具によりコンクリート打設用型枠内の
   鉄筋を適宜位置に保持できることを特徴とする鉄筋保持
   金具付セパレーター。
2. 【請求項２】 長棒は、鉄筋保持金具が連結される側の
   ネジ部が外端から長手方向の適宜位置まで延長され、鉄
   筋保持金具は、連結具が長棒のネジ部にねじ込まれる連
   結ナットに形成されているとともに前記連結ナットの側
   面に鉄筋保持具が取り付けられて、鉄筋保持金具の連結
   ナットをネジ部の任意位置までねじ込めることを特徴と
   する請求項１に記載の鉄筋保持金具付セパレーター。
3. 【請求項３】 鉄筋保持金具の適宜位置に、断面Ｌ字状
   の固定プレートが取り付けられ、固定プレートの前記取
   付側とは逆側に長棒の端部を貫通させる貫通孔が設けら
   れ、固定プレートの貫通孔に長棒の端部を貫通させた状
   態で固定プレートの貫通孔側の端部を折り曲げて長棒の
   回動を阻止できることを特徴とする請求項１または２に
   記載の鉄筋保持金具付セパレーター。