JPH09268115A

JPH09268115A - 養毛化粧料

Info

Publication number: JPH09268115A
Application number: JP8106275A
Authority: JP
Inventors: Kazuto Hamada; 和人濱田; Hiromi Minamino; 博美南野
Original assignee: Kanebo Ltd
Current assignee: Kanebo Ltd
Priority date: 1996-04-02
Filing date: 1996-04-02
Publication date: 1997-10-14

Abstract

(57)【要約】【課題】、５α−レダクターゼ活性阻害能を有するとと
もに、育毛、脱毛予防、及びふけ防止等の効果に優れた
皮膚刺激性の低い養毛化粧料を提供する。【解決手段】ウコン（Curcuma longa)抽出エキスから分
画して得られる、クルクミン、デメトキシクルクミン、
ビスデメトキシクルクミンの一種、又は二種以上を配合
した養毛化粧料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ウコン抽出エキス
から得られる、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビ
スデメトキシクルクミンを配合してなる養毛化粧料に関
して、詳しくは、５α- レダクターゼの活性阻害能を有
し、育毛効果、脱毛予防効果、及びふけ防止効果に優れ
た養毛化粧料に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、トウガラシチンキ、センブリ
エキス、朝鮮ニンジンエキス、ニコチン酸、ニコチン酸
メチル等の頭皮の血行促進物質等を配合してなる養毛化
粧料は知られている。しかしながら、育毛、脱毛防止、
ふけ防止等の効果を充分に発現する程に有効なる物質の
発見にまでは至っていない。近年、育毛に関し、ホルモ
ンの関与が示唆されている。つまり、毛母細胞を含めた
毛包に於いて、男性ホルモン（テストステロン）は、５
α- レダクターゼ（Δ⁴−３−ケトステロイド５α- オ
キシドリダクターゼ）により、活性型男性ホルモン（ジ
ヒドロテストステロン）に活性化され、更に受容体と結
合し、核に取り込まれ、ＤＮＡレベルで情報を伝達す
る。伝達された情報により、ケラチン合成に関与する酵
素合成が制御され、毛髪のケラチン合成を抑制し、毛髪
の成長が低下し、最終的に脱毛を促進させる。従って、
養毛剤開発にあたり、頭毛及び頭皮に於いて男性ホルモ
ンの活性化酵素である５α- レダクターゼの活性阻害物
質に関する研究が注目されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、養毛
化粧料に配合して有効なる５α- レダクターゼ活性阻害
物質を植物より見出し、育毛効果、脱毛予防効果、及び
ふけ防止効果に優れた養毛化粧料を提供することにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、以下に示
す抽出分画方法により得られるウコン抽出エキスの分画
物である、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデ
メトキシクルクミンが養毛化粧料に配合することにより
強い５α- レダクターゼ活性阻害能を示し、有効な毛成
長促進作用を有することを見出だし、本発明を完成する
に至った。

【０００５】即ち、本発明は、ウコン(Curcuma longa)
抽出エキスから分画して得られる、下記一般式（１）で
示される、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデ
メトキシクルクミンの群から選ばれる一種、又は二種以
上を配合することを特徴とする養毛化粧料にある。

【０００６】

【化１】（上記一般式において、Ｒ₁がＯＣＨ₃、Ｒ₂がＯＣＨ
₃であるものが、クルクミンであり、Ｒ₁がＯＣＨ₃、
Ｒ₂がＨであるものが、デメトキシクルクミンであり、
Ｒ₁がＨ、Ｒ₂がＨであるものが、ビスデメトキシクル
クミンである。）

【０００７】

【発明の実施の形態】ウコン(Curcuma longa) は、ショ
ウガ科（Zingriberance)に属する多年草植物であり、一
般にウコンの根茎は止血剤、香料、カレー粉、黄色染
料、肝道疾患の治療薬として利用している。本発明に使
用するウコン抽出エキスは、ウコンの根茎を、メタノー
ル、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルア
ルコール、ブタノール等の低級アルコール、または含水
低級アルコール、プロピレングリコール、１，３−ブチ
レングリコール等の多価アルコール、または含水多価ア
ルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル
エステル、クロロホルム、ｎ−ヘキサン等の有機溶媒等
での抽出方法を単独、または組合せ抽出して得られる。
ここで、ウコン抽出エキスとは、抽出溶媒を若干含むも
の、抽出溶媒を完全に蒸発させたウコン抽出エキスの乾
涸物を言う。そして、該ウコン抽出エキスからカラムク
ロマトグラフィー等を用い分画して得られるクルクミ
ン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン
を主成分とする粗製分画物、或いは粗製分画物を溶媒で
再結晶させた精製分画物を本発明では使用することがで
きる。

【０００８】本発明者は、ウコン抽出エキス中に含ま
れ、且つ、ウコン抽出エキス中の主成分でない特定の分
画物である、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビス
デメトキシクルクミンが優れた育毛、脱毛予防、及びふ
け防止等に優れた効果を有することを見出だしたのであ
る。更に、上記分画物は、男性ホルモンが活性型男性ホ
ルモン（ジヒドロテストステロン）に活性化される過程
を阻害する。この５α-レダクターゼ活性阻害能が、毛
乳頭細胞に於ける活性型男性ホルモン（ジヒドロテスト
ステロン）産生を抑制し、更には、頭皮代謝機能を正常
化して、育毛効果、脱毛予防効果、及びふけ防止効果を
高めるものと推察される。

【０００９】本発明の養毛化粧料における、クルクミ
ン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン
の配合量は、養毛化粧料の組成物の全重量に対して０．
０１〜１０．０重量％（以下ｗｔ％と略記する。）が好
ましく、更に好ましくは、０．１％〜８．０ｗｔ％であ
る。配合量が０．０１ｗｔ％未満では、本発明の目的と
する効果に十分でない場合があり、一方、１０．０ｗｔ
％を超えても、その増加分に見合った効果の向上は望め
ない場合がある。

【００１０】本発明の養毛化粧料は、例えば、ヘアート
ニック、ヘアーローション、ヘアームース等の直接頭皮
に塗布する剤形であり、常法に従い、製造することがで
きる。そして、本発明の養毛化粧料には、他の成分とし
て、色素、香料、殺菌剤、防腐剤、角質溶解剤、抗アン
ドロゲン剤、養毛剤、抗酸化剤等を本発明の目的を達す
る範囲内で適宜配合することができる。

【００１１】次に実施例中で具体的に、グルクミン、デ
メトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミンの各分
画物の製造例、及び得られた各分画物の化学構造につい
ての確認方法と各分画物の含有量について述べる。

【００１２】

【実施例】

（１）ウコン抽出エキスの製造例乾燥したウコン(Curcuma longa) （インド産輸入品）の
根茎を粉砕した粉末２ｋｇを正確に秤り、その１０倍量
のエタノール（試薬一級）を加え、時々振り混ぜながら
４時間浸出させた後、濾過する。この操作を２回繰り返
し、瀘液を集めて減圧下に濃縮・乾凅し、ウコン抽出エ
キス乾凅物１２９．４０ｇ（原料ウコンからの収率：
６．４７重量％）を得た。

【００１３】（２）クルクミン、デメトキシクルクミ
ン、及びビスデメトキシクルクミンの分画物の製造例ウコン抽出エキスの乾涸物８．９ｇをシリカゲルカラム
クロマトグラフィー（８ｃｍＩ．Ｄ．×６０ｃｍ）に付
し、クロロホルム−メタノール（４０：１→３０：１→
２０：１→１０：１）で多段溶出し、Ｆｒ．１〜Ｆｒ．
６に分画する。Ｆｒ．３（２．４ｇ）を、更に、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー（５ｃｍＩ．Ｄ．×６０
ｃｍ）に付し、クロロホルム−メタノール（５０：１→
４０：１→３０：１→２０：１→１０：１）で溶出し、
Ｆｒ．Ｉ〜Ｆｒ．ＩＶに分画する。Ｆｒ．Ｉ（１．０
ｇ）は、酢酸エチルで再結晶し、クルクミン３５０ｍｇ
を得た。また、Ｆｒ．ＩＩ（０．４ｇ）、及びＦｒ．Ｉ
ＩＩ（０．６ｇ）はクロロホルム−アセトニトリル
（９：１）で再結晶し、デメトキシクルクミン１８０ｍ
ｇ、及びビスデメトキシクルクミン２７０ｍｇを得た。
得られた各化合物について、各々¹Ｈ−及び¹³Ｃ−ＮＭ
Ｒ、融点、比旋光度等を測定し、文献値［Chem. Pharm.
Bull. 33. 1499-1502(1985)］と比較することにより構
造を確認した。

【００１４】（３）ウコン抽出エキス乾涸物中のクルク
ミン、デメトキシクルクミン、及びビスデメトキシクル
クミンの含有量の測定ウコン抽出エキスの乾涸物約５０ｍｇを精密に秤り、メ
タノールを加えて正確に全量を５０ｍｌとした。更に、
その１０ｍｌを正確に取り、メタノールを加えて正確に
全量を５０ｍｌとし、試料溶液とした。一方、クルクミ
ン、デメトキシクルクミン及びビスデメトキシクルクミ
ン標準品約５０ｍｇを精密に秤り、メタノールを加えて
正確に全量を５０ｍｌとし、その２ｍｌを正確に取り、
メタノールを加えて正確に全量を１００ｍｌとし、各々
の標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液を高速液体ク
ロマトグラフィー（ＨＰＬＣ）に注入し、得られるクロ
マトグラムの各ピーク高より、次式を用いて含有量を算
出した。

【００１５】ウコン抽出エキス乾涸物中のクルクミ
ン、デメトキシクルクミン及びビスデメトキシクルクミ
ンの含有量（重量％）＝〔標準試料秤取量（ｍｇ）÷１
０／ウコン抽出エキス乾涸物秤取量（ｍｇ）〕×〔試料
ピーク高さ／標準試料ピーク高さ〕×１００ＨＰＬＣ条件カラム：Wakosil 115C18HG(4.6mm I.D. ×250mm)（和光
純薬工業株式会社製）移動相：５０重量％アセトニトリル溶液（０．１重量％
リン酸含有）流速：１．０ｍｌ／ｍｉｎカラム温度：４０℃ 測定波長：４２０ｎｍ試料注入量：２０μｌ

【００１６】ウコン抽出エキス乾涸物中に含まれる各分
画物の含有量の測定結果の例を表１に示す。

【００１７】

【表１】

【００１８】次に、本発明の養毛化粧料の育毛、脱毛予
防、及びふけ防止等の効果について詳述する。尚、実施
例に記載の５α−レダクターゼ活性阻害試験、Ｃ３Ｈマ
ウス発毛促進効果試験法、ヒト頭皮毛成長促進効果試験
法、及びヒト実用試験法を下記に示す。

【００１９】（１）５α−レダクターゼ活性阻害試験酵素源：ＳＤ系ラット（１０週齢、オス）を屠殺後、
前立腺を摘出し、３倍容の０．２５Ｍシュークロースを
含む０．１Ｍヘペス（ＨＥＰＥＳ）緩衝液（ｐＨ７．
２）中にてホモジナイズした。得られたホモジネートを
３，０００ｒｐｍ，１０分の遠心分離により核分画を分
離し、同倍容の上記緩衝溶液に再懸濁して酵素溶液とし
た。

【００２０】アッセー法：５α- レダクターゼ活性測
定にはマイクロラジオアッセー法を用いた。詳しくは、
１．５ｎｍｏｌの（４−¹⁴Ｃ)-テストステロン及び試料
溶液を添加し、溶媒を揮発させた後、１０μｌの５０ｍ
Ｍニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド（ＮＡ
ＤＰＨ）及び６０μｌの上記緩衝溶液を加え攪拌し、３
７℃で５分間プレインキュベーションした。反応は３０
μｌの酵素溶液を添加することにより開始した。３７
℃、６０分間インキュベートした後、０．４ｍｌのクロ
ロホルム：メタノール（１：２）溶液を加えて、反応を
停止させ、３，０００ｒｐｍ，１０分間遠心し、分析用
サンプルを得た。

【００２１】分析方法：５０μｌの各サンプルを下記
２段階の薄層クロマトグラフィー（ＴＬＣ）に掛けた。
本系により、参考文献［Clin. Endocrinol., M.J.Thorn
ton, I.Laing, K.Hamada, A.G.Messenger and V.A.Rand
all, 39, 633-639, 1993］に示す如く、全ての男性ホル
モン代謝物を分析することが可能である。・ジクロロメタン：ジエチルエーテル（７０：１０）・クロロホルム：ジエチルエーテル（９０：１０）ＴＬＣ板は風乾後、ラジオクロマトアナライザー（アロ
カＪＴ６０１）を用いて、５α- レダクターゼによる
テストステロンの５α−ダイハイドロテストステロンへ
の変換率を測定した。試料無添加（コントロール）の場
合の変換率を、各試料の変換率で除したパーセント
（％）を残存酵素活性（５α- レダクターゼ阻害率）と
し、５α- レダクターゼ活性阻害能の指標とした。尚、
この数値が高い程、５α- レダクターゼ活性阻害能を有
する。

【００２２】（２）Ｃ３Ｈマウス発毛促進効果試験法Ｃ３Ｈマウス（８週齢、オス、平均重量３５ｇ）の背部
皮膚（２ｃｍ×４ｃｍ）を電気バリカン、及びシェーバ
ーで刈り、翌日より実施例及び比較例の各試料を被験部
皮膚に朝夕２回、一匹当り０．２ｍｌを二週間連用塗布
した。一試料に対して動物一群１０匹使用した。塗布開
始１４日目に各試料の被験部皮膚をビデオカメラに撮影
し、画像解析装置にて毛刈り部及び発毛部の面積を測定
し、発毛率（％）を算出した。発毛率（％）＝（発毛部の面積／毛刈り部の面積）×１
００養毛効果の判定は、実施例または比較例の各群の平均値
を対照群（無塗布）の平均値により除した値を発毛促進
度として比較した。

【００２３】（３）ヒト頭皮毛成長促進効果試験法男性型脱毛症患者である被試験者１０名の頭部の耳の上
５ｃｍの位置の頭髪を左右２カ所に於いて直径１ｃｍの
円形状に剃毛した被験部位に、実施例及び比較例の各試
料を左側に毎日朝夕２回、約３ｍｌ塗布し、無処置の右
側と比較した。効果の判定は、試験開始後２８日目に、
左右の被験部位の毛髪各々２０本ずつを剃毛し、下記の
式で求めた値で毛成長促進度を評価した。毛成長促進度＝（Ｂ）／（Ａ）（Ａ）：右側（無処置）の毛２０本の長さの平均値（Ｂ）：左側（実施例及び比較例の試料を塗布）の毛２
０本の長さの平均値

【００２４】（３）ヒト実用試験法男性型脱毛症患者である被試験者２０名の頭部に毎日朝
夕２回、連続６カ月間塗布した後の効果を評価した。試
験結果は、育毛効果、脱毛予防効果、ふけ防止効果の各
項に対して、「生毛が剛毛化した或いは生毛が増加し
た」、「脱毛が少なくなった」、「ふけが少なくなっ
た」と回答した人数で示した。

【００２５】実施例１〜７、比較例１〜１１（オイリー
ヘアートニック）下記の原料組成に於いて、表２に記載のごとく、各種毛
成長促進物質を配合して各々のヘアートニックを調製
し、上記の諸試験を実施した。（１）組成

【００２６】

【表２】

【００２７】（２）調整法（Ｂ）成分中、ニコチン酸、ニコチン酸メチルは、
（Ａ）成分中に、トウガラシチンキ、ニンジンエキス、
ウコン抽出エキス乾涸物、クルクミン、デメトキシクル
クミン、ビスデメトキシクルクミンは（Ｃ）成分中に添
加し、（Ａ），（Ｃ）成分を各々均一に溶解した後、
（Ａ）成分と（Ｃ）成分を混合攪拌分散し、次いで容器
に充填し、オイリーヘアートニックを調製した。使用時
には内容物を均一に振盪分散して使用した。

【００２８】（３）特性各オイリーヘアートニックの諸試験を実施した結果を表
３に示す。

【００２９】

【表３】

【００３０】表３に示す如く、本発明の養毛化粧料であ
る実施例１〜３及び実施例４〜７のオイリーヘアートニ
ックは、比較例１〜６及び比較例７〜１１と比較して高
い発毛促進作用を示し、またヒト実用試験での皮膚刺激
性も無かった。そして、実施例１〜７のオイリーヘアー
トニックは、ウコン抽出エキス乾涸物を配合した比較例
６、及び比較例１１に比較しても優れた発毛促進作用が
あることが確認できた。尚、比較例２〜４は、敏感肌の
被験者の一部に極く軽度の皮膚刺激の傾向があり、試験
を中止した。

【００３１】

【発明の効果】以上記載のごとく、本発明は、優れた５
α−レダクターゼ活性阻害能を有するとともに、育毛、
脱毛予防、及びふけ防止等の実用効果に優れた皮膚刺激
性の低い養毛化粧料を提供することは明らかである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ウコン(Curcuma longa) 抽出エキスから
分画して得られる、クルクミン、デメトキシクルクミ
ン、ビスデメトキシクルクミンの群から選ばれる一種、
又は二種以上を配合することを特徴とする養毛化粧料。